JPWO2003075918A1 - 塩酸ピルジカイニド含有錠剤(湿式) - Google Patents

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Abstract

用法用量の遵守やコンプライアンスの確保の点で注射剤より優れた経口製剤であり、カプセル剤よりも服用し易さを有すると共に、所望の錠剤硬度と速やかな崩壊性を有する塩酸ピルジカイニド含有錠剤の提供するものであり、具体的には、塩酸ピルジカイニドを5〜95重量%含有し、湿式造粒法で得た顆粒を圧縮成型することからなる、錠剤硬度が2.5kg以上であり、かつ速崩壊特性を有することを特徴とする塩酸ピルジカイニド含有錠剤の製造方法、ならびにそれにより得られた塩酸ピルジカイニド含有の錠剤である。

Description

技術分野
本発明は、不整脈治療剤である塩酸ピルジカイニド含有製剤に係わり、詳しくは、所望の錠剤硬度を有すると共に、経口服用後に速やかに崩壊し、作用発現時間が短く、かつ、取り扱いが良好であり、服用が容易である塩酸ピルジカイニド含有錠剤に関する。
背景技術
塩酸ピルジカイニド[JAN;INN:化学名:N−(2,6−ジメチルフェニル)−8−ピロリジジニルアセトアミド・塩酸塩1/2水和物]は、リドカインの塩基性部分をより塩基性の強いピロリチジン骨格に置き換えた8−置換ピロリチジン誘導体であり、強い抗不整脈作用や、局所麻酔作用などの薬効を有する化合物である(特公平4−24956号公報)。この塩酸ピルジカイニドについては、不整脈治療剤として開発が進められて注射剤(販売名:サンリズム登録商標注)、およびカプセル剤(販売名:サンリズム登録商標カプセル25mg;販売名:サンリズム登録商標カプセル50mg)が既に上市されている。
ところで、循環器系の疾患である不整脈を発症した場合には、その治療は極めて緊急を要する。したがって、本分野の治療剤について製剤設計を行う際には、特に速やかな薬効の発現に重点を置く必要がある。塩酸ピルジカイニドについても、注射剤は速やかな薬効の発現に配慮した剤型である。しかしながら、注射剤は直接、血中に投与されることから、作用発現までの時間が短いという特徴を持つ反面、投与時に痛みを伴い、連続投与には不向きである。
一方カプセル剤は、注射剤に比較して投与が容易であり、用法用量の遵守やコンプライアンスの確保、あるいは携帯性の点で優れている。しかし、不整脈治療剤という薬効分野を考慮すると、カプセル剤を設計する上では、より速やかな薬効の発現を意識する必要がある。それに加えて、塩酸ピルジカイニドの消化管での主な吸収部位は小腸上部であることから、胃での速やかな崩壊を意図して、造粒されていない単なる混合粉末を充填したカプセル剤が開発された。上述の設計思想に加えて、塩酸ピルジカイニドの高い溶解度(0.89g/ml、20℃、精製水)に起因する溶解速度の速さによって、塩酸ピルジカイニドのカプセル剤では速やかな薬効の発現が達成されている。
しかしながら、一般にカプセル剤は、嚥下後、喉頭部や食道に付着することによる服用し難さを伴う場合があり、特に嚥下力の低下した患者、または幼小児や老人には敬遠される傾向がある。また、カプセル自体の製造原価が比較的高いという問題もある。
これに対し、取り扱い性に極めて優れた剤型として錠剤がある。その取り扱い性はカプセルと同程度以上であり、カプセル剤に比較して服用しやすく、また製造原価もカプセル剤に比較して安い利点がある。しかし、塩酸ピルジカイニド製剤に関しては、注射剤およびカプセル剤以外の剤型、特に錠剤化についてはいまだ充分な検討がなされていない。
特に、塩酸ピルジカイニドを含有する錠剤に求められる条件としては、所望の錠剤硬度を保持する必要がある反面、服用後における速やかな効果の発現を得るための速崩壊特性を満足しなければならない。硬度の確保と速崩壊性という相反する特性を有する錠剤の製剤化は困難を伴うものであって、これまで積極的な検討がなされていないのが現状である。
したがって本発明は、上記現状に鑑み、用法用量の遵守やコンプライアンスの確保の点で注射剤より優れた経口製剤であり、カプセル剤よりも服用し易さを有すると共に、所望の錠剤硬度と速やかな崩壊性を有する塩酸ピルジカイニド含有錠剤を提供することを課題とする。
ところで、錠剤は包装工程や運搬中での錠剤の欠け・割れを防止するために、あるいは必要により施されるコーティング工程に耐えるために、ある程度の錠剤強度(錠剤硬度)が求められている。一般に錠剤強度を確保するためには、配合処方中に結合剤を配合することにより行われている。しかしながら、結合剤の添加は錠剤強度の確保には有効なものの、その反面、錠剤の崩壊性が低下し、製剤から有効成分の溶出性(放出性)の遅延を招くこととなる。
その点からみれば、本発明が目的とする錠剤は、塩酸ピルジカイニドを有効成分として含有する不整脈の治療剤であることより、錠剤の崩壊性が速いことが要求され、その結果、有効成分の錠剤からの放出性が極めて良好なものでなければならない。したがって、錠剤の崩壊性が低下し、製剤から有効成分の溶出性(放出性)の遅延は極力回避しなければならない。
そこで本発明者は、塩酸ピルジカイニドの錠剤の製造に関し、崩壊性の低下の原因となる結合剤を使用することなく、あるいは可能な限り軽減することによっても、所望の錠剤硬度を保つことができると共に、その崩壊性が良好な錠剤の開発し得る技術を開発することに重点をおいて、鋭意研究を行った。
本発明者は、先ず、塩酸ピルジカイニドの水に対する高い溶解性に注目した。塩酸ピルジカイニドの溶解度は、0.89g/ml(37℃、精製水)であり、これは汎用されている賦形剤のなかで溶解性の良好な乳糖(0.17g/ml、20℃、精製水;DMV−200、DMV社)と比較しても、5倍もの高い溶解度を有する。
そこで、本発明者は、塩酸ピルジカイニドおよび乳糖について、その各濃度を有する水溶液の粘度および溶解速度を評価した。その結果、飽和溶解度に近い濃度の塩酸ピルジカイニド溶液の粘度は、乳糖と比較して粘度が高く、通常の製剤の製造工程で用いられる結合剤の溶液の粘度に匹敵するものであることを見出した。さらに、塩酸ピルジカイニドの水に対する溶解速度については、極めて早いことが判明した。
これにより、本発明者は、塩酸ピルジカイニドを少量の水に接触させた場合、部分的に高濃度の塩酸ピルジカイニド水溶液が得られ、結合剤溶液と同様の造粒作用を発揮させることができるとの着想を得た。
これをもとに本発明者は、塩酸ピルジカイニドについて、水と接触させる製剤化工程、特に湿式造粒工程を経ることにより、錠剤の成型性が改善されることを見出した。加えて、錠剤組成中の主薬である塩酸ピルジカイニドの配合割合を5〜95重量%、好ましくは10〜90重量%とすることにより、錠剤における崩壊性の低下の原因となる結合剤を使用しなくても、あるいはその使用量を低減させたとしても、圧縮成型後の錠剤の強度を確保することが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
発明の開示
したがって本発明は、(1)主薬として塩酸ピルジカイニドを5〜95重量%含有し、湿式造粒法で得た顆粒を圧縮成型することからなる、錠剤硬度が2.5kg以上であり、かつ速崩壊特性を有することを特徴とする塩酸ピルジカイニド含有錠剤の製造方法、(2)湿式造粒法が押出し造粒法、攪拌造粒法、練合造粒法、転動造粒法、流動層造粒法、転動流動層造粒法、または噴霧造粒法である上記1に記載の塩酸ピルジカイニド含有錠剤の製造方法、(3)苦味抑制物質を添加した上記1または2に記載の塩酸ピルジカイニド含有錠剤の製造方法、(4)苦味抑制物質の添加量が1〜90重量%である上記3に記載の塩酸ピルジカイニド含有錠剤の製造方法、(5)苦味抑制成分が、白糖、ブドウ糖、乳糖、D−マンニトール、アスパルテーム、キシリトール、炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、アスコルビン酸、塩化ナトリウム、デンプン、部分アルファー化デンプンおよび結晶セルロースのいずれかである上記4に記載の塩酸ピルジカイニド含有錠剤の製造方法、(6)さらにコーティング層を被覆する上記1または2に記載の塩酸ピルジカイニド含有錠剤の製造方法、(7)コーティング層が胃内で溶解または崩壊する皮膜である上記6に記載の塩酸ピルジカイニド含有錠剤の製造方法、(8)1錠当たりの主薬含量が、12.5mg、25mgまたは50mgである上記1ないし7に記載の塩酸ピルジカイニド含有錠剤の製造方法である。
さらに本発明は、(9)上記1に記載の製造方法により得られた塩酸ピルジカイニド含有錠剤、(10)上記2ないし8のいずれかに記載の製造方法により得られた塩酸ピルジカイニド含有錠剤、(11)胃内崩壊性の錠剤である上記9または10に記載の塩酸ピルジカイニド含有錠剤、(12)主薬として20〜80重量%の塩酸ピルジカイニド、結晶セルロースまたはコーンスターチを含有し、さらに結合剤を3重量%まで含有する混合物を、撹拌造粒法または流動層造粒法からなる湿式造粒法で造粒し、得られた造粒物を圧縮成型して素錠となし、次いで、当該素錠100部に対してヒドロキシプロピルメチルセルロースを基剤とする皮膜2〜4部を被覆することを特徴とする、胃内崩壊性であり、かつ速崩壊性である塩酸ピルジカイニド含有錠剤の製造方法、(13)上記12に記載の方法で得られた塩酸ピルジカイニド含有錠剤である。
発明を実施するための最良の形態
本発明が提供する錠剤において、有効成分として含有される塩酸ピルジカイニドは、特公平4−46956号公報に記載されている抗不整脈薬である。本発明が提供する、かかる塩酸ピルジカイニドを有効成分として含有する錠剤にあっては、所望の錠剤硬度として、錠剤の直径や形状にもよるが、コーティング工程や包装工程での取り扱いの容易さから2.5kg以上、より好ましくは3kg以上の硬度を有するのがよい。そのような所望の錠剤硬度を有する錠剤を得るためには、有効成分である塩酸ピルジカイニドの配合割合は、5〜95重量%とするのが好ましい。そのなかでも錠剤製造の容易さを考慮すると、10〜90重量%の範囲内にあるのが望ましい。
一方、有効成分である塩酸ピルジカイニドの粒度は、製剤の含量均一性の確保に影響を与えない限り、特に限定されない。必要により粉砕工程または整粒工程を加えることにより塩酸ピルジカイニドの粒度を制御することもできる。錠剤の製造方法や塩酸ピルジカイニドの配合割合により異なるが、例えば、流動層造粒法により造粒を行い圧縮成型して錠剤を製造する場合には、打錠用の造粒顆粒における含量均一性の確保を考慮して、塩酸ピルジカイニドの粒度が75〜500μmの範囲に50%以上分布されていることが好ましい。
本発明が提供する、有効成分として塩酸ピルジカイニドを含有する錠剤の形状は、特に限定されず、円形平面錠、円形局面錠あるいは異型錠などいずれであってもよい。また、錠剤の大きさも特に限定されないが、服用のし易さならびに取り扱いの容易さを考慮すると、円形錠の場合には、その直径は5〜14mm程度が好ましく、特に老齢者でも服用が容易である6〜10mm程度の大きさであることが望ましい。
錠剤の重量は、有効成分である塩酸ピルジカイニドの含有量ならびに錠剤の形状にもよるが、服用のし易さおよび取り扱いの容易さを考慮すると、例えば、錠剤重量として、50〜500mg程度が好ましく、特に老齢者でも服用が容易である70〜200mg程度であることが望ましい。
本発明により、適度の錠剤硬度を有し、速やかな崩壊性を有すると共に、有効成分の放出性に優れた錠剤が提供されるが、さらに必要に応じて、製剤学上一般的に必要な要件である安定性や吸収性の確保のため、あるいは製造工程の改善のために、各種添加剤を適宜選択して配合することができる。
そのような添加剤としては、(1)乳糖、デンプン、部分アルファー化デンプン、結晶セルロース、D−マンニトール、ブドウ糖、炭酸カルシウムおよびリン酸カルシウムなどの賦形剤、(2)デンプン、クロスカルメロースナトリウムのような崩壊剤、(3)ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、タルク、含水二酸化ケイ素のような滑沢剤があげられる。また、さらに必要により、安定化剤、矯味剤、着色剤などを配合することができる。これらの添加剤の種類および配合割合は、本発明が提供する錠剤が求められている特性を考慮して、適宜選択し、設定することができる。
本発明が提供する有効成分である塩酸ピルジカイニドを含有する錠剤においては、その所望の錠剤硬度と速崩壊性を確保するために、製剤一般的に使用されている結合剤を配合しないこと、あるいは結合剤の配合量を可能な限り低減させる点にひとつの特徴を有している。したがって、結合剤を配合する場合には、錠剤の速やかな崩壊性を損なわない範囲でその種類が適宜選択される。そのような結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースなどをあげることができる。
また、良好な崩壊性を損なわない範囲の結合剤の配合割合としては、適宜選択される結合剤の種類、グレード、添加方法、さらには有効成分である塩酸ピルジカイニドの含有量にもより異なり、一概に限定することはできない。例えば、デンプンなどの場合には、賦形剤として添加されると共に結合剤としての性格を発揮するからである。要は、結合剤を配合する場合には、錠剤の速崩壊性を損なわない範囲が選択される。
本発明が提供する錠剤にあっては、その錠剤の製造工程において、有効成分である塩酸ピルジカイニドを水と接触させる工程を経ることにより、錠剤の成型性が改善され、その硬度が改善されることが判明した。したがって、本発明が提供する錠剤を製造する方法として、水を用いた造粒法で得られた造粒顆粒を圧縮成型する方法が好ましい。すなわち、湿式造粒法を採用し、圧縮成型用の造粒顆粒を製造するのが望ましい。
そのような湿式造粒法としては、押出し造粒法、攪拌造粒法、練合造粒法、転動造粒法、流動層造粒法、転動流動層造粒法、または噴霧乾燥造粒法などをあげることができる。湿式造粒法は主薬や賦形剤の粉体特性の影響を受け難く、乾式造粒法に比較して含量均一性の確保が容易な優れた製造方法である。
このような湿式造粒法により得られた湿式造粒顆粒に滑沢剤を混合し、ロータリー打錠機等を用いて圧縮成型し、本発明の錠剤を得ることができる。打錠圧力は、速やかな崩壊性を損なわない範囲で適宜設定できる。錠剤の大きさ、重量にもよるが、主薬の化学的安定性への影響や製造の容易さ等を考慮すると、例えば、500kgf〜3000kgfの範囲が望ましい。なお得られた錠剤は、さらに必要により、適宜コーティング皮膜を施してもよい。
本発明が提供する錠剤において、有効成分である塩酸ピルジカイニドは、その特性として、味が苦いことならびに局所麻酔作用を有するといった特徴があり、製剤化においては、服用者のコンプライアンス向上のためにかかる不快な苦味等を改善する必要もある。
そのため、本発明が提供する錠剤においては、口腔内での苦味を抑えるために苦味改添加剤を配合するか、あるいは皮膜を施す等の施策を施すことができる。また、塩酸ピルジカイニドの局所麻酔作用による口腔内や食道での刺激性あるいは局所麻酔作用を抑制する必要がある場合には、錠剤に皮膜を施すことが必要である。
口腔内での苦味の抑制、あるいは局所麻酔作用の抑制を目的として本発明の錠剤に皮膜を施す場合には、かかる皮膜の量は、口腔内での苦味が抑えられ、かつ、胃内での速やかな錠剤の崩壊性を損なわない範囲で、適宜設定することができる。皮膜の種類としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)など水溶性基剤を用いた水溶性皮膜、オイドラギット登録商標E(アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE)、AEA(ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート)などの胃溶性コーティング基剤を用いた胃溶性皮膜、あるいは糖衣といった胃内で溶解するものが望ましい。さらにヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)やオイドラギット登録商標−L、LD、S(メタアクリル酸コポリマーL、メタアクリル酸コポリマーLD、メタアクリル酸コポリマーS)等を用いた腸溶皮膜、エチルセルロースやオイドラギット登録商標−RS(アミノアルキルメタアクリレートコポリマーRS)を用いた徐放性皮膜についても、胃内で溶解または崩壊して薬物を放出することができる組成や量であれば本発明の錠剤への皮膜成分として用いることができる。
そのなかでも、少量の皮膜量で苦味を抑制することができ、水溶性であって、また、皮膜液の調製が容易であり、かつコーティング工程の所要時間が短い特徴を有するヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を基剤とした皮膜を、本発明の錠剤である素錠100部に対して2〜4部程度被覆させることが特に好ましい。なお、錠剤に皮膜を施す被覆方法には特に制限はなく、通常のコーティング機を用いて行うことができる。
また、口腔内での苦味の抑制を目的として、錠剤組成中に苦味抑制添加剤を配合することができる。そのような苦味抑制添加剤としては、白糖、ブドウ糖、乳糖、D−マンニトール、アスパルテーム、キシリトールといった矯味剤または甘味剤;炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、アスコルビン酸、塩化ナトリウムなどの緩衝剤またはpH調節剤;さらには、乳糖、デンプン、部分アルファー化デンプン、結晶セルロース、D−マンニトールおよびブドウ糖など苦味を緩和できる賦形剤などをあげることができる。これらの添加割合は、有効成分である塩酸ピルジカイニドの配合割合にもよるが、苦味抑制の効果の面を考慮すると1〜90重量%程度が望ましい。
そのなかでも、優れた苦味の抑制作用に加え崩壊性の改善や、錠剤エッジの強度の確保に効果のあるトウモロコシデンプン、ならびに良好な苦味の抑制作用に加え成型性に優れ、崩壊性を損ねないという特徴を兼ね備えた結晶セルロースが特に好ましい。トウモロコシデンプンや結晶セルロースの添加割合は、有効成分である塩酸ピルジカイニドの配合割合や、他の配合成分の種類・量にもよるが、苦味抑制効果および錠剤の崩壊性や摩損度を考慮すると、いずれも10〜60重量%程度添加するのが望ましい。
本発明が提供する錠剤において、有効成分である塩酸ピルジカイニドの含有量は、不整脈治療剤としての1日有効投与量とその投与回数により種々変更することができる。しかしながら、現在上市されている塩酸ピルジカイニドのカプセル剤が25mgあるいは50mg含有カプセル剤であること、および低含量の製剤のニーズがあることを考慮すると、本発明が提供する錠剤において塩酸ピルジカイニドの含有量は12.5mg、25mgあるいは50mgとすることが好ましい。したがって、かかる塩酸ピルジカイニドの含有量をベースに、上述してきた本発明の特異的構成を適宜組合せ、実際の不整脈治療に有効な塩酸ピルジカイニド含有の錠剤が提供されることとなる。
実施例
以下に、本発明を実施例に代わる種々の錠剤化検討試験によりさらに具体的に説明する。ただし、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。なお、以下の記載において「部」および「%」は、特にことわらない限りそれぞれ「重量部」および「重量%」を示す。
試験例1:各種塩酸ピルジカイニド溶液の粘度
塩酸ピルジカイニドの水溶液の特性を把握する目的で、各種濃度の水溶液を調製し、その粘度を測定した。併せて、粘度測定用の水溶液を調製する際の溶解所要時間を評価した。
水を入れたビーカーに塩酸ピルジカイニドを入れて、マグネチックスターラー(ヤマト科学、MAG−MIXER m−41)および攪拌子(Φ8mm×60mm)を用いて溶解し、各種濃度の塩酸ピルジカイニ溶液500mlを得た。マグネチックスターラー回転数は溶解の進み具合を見ながら適宜調整した。溶解操作に要した時間を測定した。得られた水溶液について、B型粘度計(東京計器製)を用いて、粘度を測定した。
対照として、汎用されている賦形剤である乳糖、および結合剤であるヒドロキシプロピルセルロースについても同様に試験した。
その結果を表1に示した。
Figure 2003075918
表中に示した結果からも判明するように、塩酸ピルジカイニド溶液は、9〜60%(w/v)と濃度が上がるにしたがってその水溶液の粘度は上昇した。また、乳糖の水溶液と比較した場合には、同一濃度の溶液を比較すると粘度は塩酸ピルジカイニド溶液やや高かった[濃度9%(w/v)または12%(w/v)、溶液番号1、2、5、6]。
一方、飽和溶液に対して約70%の濃度に調整した溶液(溶液番号4および溶液番号6)を比較すると、塩酸ピルジカイニド溶液(溶液番号4)の粘度(16.2cps)は、乳糖(溶液番号6)の粘度(6.5cps)に比較して高かった。この塩酸ピルジカイニド溶液(溶液番号4)の粘度の値は、結合剤であるヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L)の汎用される濃度(2%)での粘度(18.3cps)とほぼ同等であった。したがって、塩酸ピルジカイニド溶液は特に高濃度の場合に粘性が高いことがわかった。
また、溶解速度については、塩酸ピルジカイニドはいずれの濃度[9〜60%(w/v)]でも、3分以内に溶解した。一方、乳糖は12%(w/v)溶液(飽和溶解度の約70%の濃度)では、30分もの時間を要した。この溶解所要時間に関する試験については、それぞれの粉体の平均粒子径が必ずしも揃っているとはいえず、また、溶解を早めるためにスターラーの回転速度を適宜調整したことから厳密な比較はできないものの、少なくとも、塩酸ピルジカイニドは、飽和溶解度に近い濃度でも速やかに溶解することが判った。
以上より、塩酸ピルジカイニドの粉末を少量の水に接触させた場合には、部分的に、一定の粘度を有する高濃度の塩酸ピルジカイニド溶液が速やかに得られ、結合剤的な作用が期待できることが判明した。
試験例2:塩酸ピルジカイニドの各種配合割合の処方での試験(その1)
錠剤中に含有される塩酸ピルジカイニドの配合割合が、製剤特性(崩壊性および硬度)に与える影響を、湿式造粒法(押出し造粒法)で得られた造粒顆粒を用いて圧縮成型して得た錠剤を使用して検討した。
下記表2に示す処方により、塩酸ピルジカイニド(以下、「化合物1」と記す場合もある)を各種割合で配合した組成物を湿式造粒法により造粒し、圧縮成型により錠剤を得た。
すなわち、ステアリン酸マグネシウムおよびヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L)を除く成分の混合粉末約200gを乳鉢にとり、HPC−L溶液(試料1,2)および適量の精製水(試料1−8)を加えながら乳棒で練合した。得られた練合物を孔径0.8mmのスクリーンで押出し造粒して、棚乾燥した後、15号篩(1000μm)で整粒して、造粒顆粒を得た。この造粒顆粒にステアリン酸マグネシウムを混合した後、ロータリー打錠機を用いて打錠した。
なお、打錠条件としては、錠剤重量を100mg、錠剤径を6.0mm、曲面径を8.0mm、打錠圧力を1000kgfとした。ただし、試料8については仕込み量を10gとし、打錠機としてオートグラフ(島津製作所社製)を用いた。
得られた8種類の錠剤について、その硬度および崩壊性を評価した。硬度は錠剤硬度計(Schleuniger社製)を用いた。崩壊性の評価については崩壊試験機(富山産業社製、上下数10回/分、振幅55mm、精製水900mL、37℃)で崩壊時間を測定した。なお、測定条件のうち、上下数については、崩壊性の程度を厳しく見極めることができる条件である10回/分とした。
これらの結果を、まとめて表2中に示した。
Figure 2003075918
表中に示した結果からも判明するように、結合剤であるヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L)を含む錠剤(試料1および2)は、いずれもこのサイズの錠剤における錠剤硬度の目安である値(2.5kg)以上を有する、充分な強度の錠剤であった。しかしながら、その崩壊性は、結合剤であるHPC−L量の増加に依存して低下した。すなわち、結合剤の添加は崩壊性を低下する傾向が認められた。
一方、結合剤であるヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L)を配合しない試料(試料3−8)の場合には、いずれの処方であってもその崩壊時間は2分以内であり、速やかな崩壊性を示した。また、錠剤硬度に関しては、化合物1の配合割合が3%以下(試料3および4)の錠剤では、1.8〜1.9kgと硬度が不十分であったが、化合物1の配合割合が5〜90%である本発明の錠剤(試料5〜8)では、その錠剤硬度は3.2〜4.0kgであり、充分な強度が得られた。
以上の結果から、塩酸ピルジカイニドを5%以上配合して、湿式造粒法の一種である押出し造粒法により調製した造粒顆粒を用いて圧縮成型した本発明の錠剤は、結合剤を配合させなくても、十分な錠剤硬度と速やかな崩壊性を併せ持つことが確認された。
試験例3:塩酸ピルジカイニドの各種配合割合の処方での試験(その2)
錠剤中の塩酸ピルジカイニドの配合量が、錠剤の製剤特性(崩壊性、硬度および摩損度)に与える影響について、湿式造粒法(流動層造粒法)で得られる造粒顆粒を用いて圧縮成型して得た錠剤を用いて検討した。
下記表3に記載の配合処方に基づき、各種割合の化合物1を含む錠剤を調製した。すなわち、ステアリン酸マグネシウムおよびヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L)を除く成分(ただし、試料9ではHPC−Lの半量を粉末で添加し、試料16ではポリビニルピロリドンの半量を粉末で添加した)の混合粉末約200gを流動層造粒機(ニューマルメライザーNQ−LABO;不二パウダル社製)に投入して、2分間混合した。これにHPC−L水溶液(試料9および10)、または精製水(試料11〜15)またはポリビニルピロリドン水溶液(試料16)を1.4〜1.7mL/分の速度で噴霧しながら50〜110分間造粒(品温度:24℃、吸気温度:30〜70℃)した。この後、同装置で5分間乾燥(品温度:24〜30℃、吸気温度:40〜65℃)した。得られた造粒物を取り出して15号篩(1000μm)で整粒して造粒顆粒を得た。この造粒顆粒にステアリン酸マグネシウムを混合した後、ロータリー打錠機を用いて打錠した。
なお、打錠条件としては、錠剤重量を100mg、錠剤径を6.0mm、曲面径を8.0mm、打錠圧力を1000kgfとした。
得られた8種類の錠剤について、試験例2に記載した方法によりその崩壊性および硬度を評価した。これらの結果を、まとめて表3に示した。
Figure 2003075918
結合剤であるヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L)を配合した処方に基づく試料(試料9および10)では、錠剤硬度(3.7〜4.0kg)は良好な値を示したものの、崩壊時間は10分以上であり、結合剤量に依存して崩壊性が悪くなっていた。結合剤としてポリビニルピロリドンを10%(w/w)添加した試料(試料16)についても、硬度は良好であったが、崩壊性が悪かった。
一方、結合剤であるヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L)を配合しない場合(試料11〜15)では、いずれも崩壊時間は2分以内と良好な崩壊性を示した。このうち、化合物1の配合割合が3%(試料11)の錠剤では錠剤硬度が不十分であったが、化合物1の配合割合が5%以上である本発明の錠剤(試料12〜15)では、充分な錠剤硬度を示した。
以上より、塩酸ピルジカイニドを5%以上配合し、湿式造粒法の一種である流動層造粒法で得られた造粒顆粒を圧縮成型して得られた本発明の錠剤は、結合剤を配合することなく、十分な錠剤硬度と速やかな崩壊性を併せもつ特徴を有することが確認された。
本発明が提供する塩酸ピルジカイニド含有の錠剤は、結合剤を配合しないか、あるいはその使用量を低減させても、圧縮成型後の錠剤の強度が確保でき、かつ速崩壊性を有するものである。
その点を、以下の試験により検討した。
試験例4:結合剤を配合した処方での試験
下記表4に記載の配合処方に基づき、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L)を用い、その配合割合を変化させた組成物を攪拌造粒法により造粒し、得られた造粒顆粒を圧縮成型して錠剤を調製した。
すなわち、滑沢剤を除く成分の混合粉末約250gを攪拌造粒機(ハイスピードミキサーLFS−GS−2J;深江工業社製)に投入して、1分間混合(攪拌羽:800回転/分、チョッパー:4000回転/分)した。これに適量の精製水を添加して、2分間攪拌(攪拌羽:800回転/分、チョッパー:4000回転/分)した。得られた練合物を流動層造粒乾燥機(フローコーターFLO−1;パウレック社製)で20分乾燥し、整粒(710μm篩)して、造粒顆粒を得た。
この造粒顆粒に滑沢剤を混合した後、ロータリー打錠機を用いて打錠した。なお、打錠条件としては、錠剤重量を100mg、錠剤径を6.0mm、曲面径を8.0mm、打錠圧力を1000kgfとした。得られた錠剤(試料17〜20)について、実施例1記載した方法により崩壊性および硬度を評価した。
その結果を、あわせて表4中に示した。
Figure 2003075918
攪拌造粒法で得られた造粒顆粒を圧縮成型した本発明の錠剤は、結合剤(HPC−L)をまったく配合しないもの(試料17)か、あるいは1〜3%配合したもの(試料18〜20)であるが、いずれも良好な製剤特性を示した。すなわち、本発明の錠剤においては、有効成分である塩酸ピルジカイニドの配合割合、その他の成分の種類、配合割合にもよるが、崩壊性を損なわない範囲で結合剤を低減して添加することができることが判明した。
試験例5:錠剤重量/サイズの影響の検討
有効成分として塩酸ピルジカイニドを配合する錠剤において、同一の組成で錠剤重量/サイズを変化させて錠剤を調製し、錠剤の硬度および崩壊性への影響を検討した。
下記表5に記載の配合処方に基づき、同一組成で錠剤重量/サイズを変化させた錠剤を調製した。すなわち、試験例3で得た試料14の顆粒を用いて、錠剤重量を50mg/錠剤径を5.0mmとした錠剤(試料21)、錠剤重量を100mg/錠剤径を6.0mmとした錠剤(試料22)、および錠剤重量を500mg/錠剤径を11.0mmとした錠剤(試料23)を、オートグラフを用いて打錠圧力を1000kgfで調製した。得られた各錠剤について、その崩壊性および錠剤硬度を評価した。評価項目および評価方法は試験例2に準じた。
その結果を、あわせて表5中に示した。
Figure 2003075918
その結果、本発明が提供するいずれの錠剤にあっても、良好な硬度と速やかな崩壊性を示した。したがって、本発明により各種の重量/サイズの錠剤を提供できることが判明した。
試験例6:苦味に対する、塩酸ピルジカイニドの配合割合の影響
本発明が提供する塩酸ピルジカイニド含有の錠剤は、有効成分である塩酸ピルジカイニド由来の苦味が存在する。その苦味の程度に対する、主薬である塩酸ピルジカイニドの配合割合の影響を、試験例2で得た錠剤(試料1〜8)を用いて評価した。
すなわち、健常パネリスト3名を対象にして、試料1〜8の各錠剤1錠を口腔内に含み、苦味を感じるまでの時間を測定した。評価は、錠剤を服用する際に錠剤が口腔内に留まる時間を考慮して、苦味を感じるまでの時間を10秒未満(×印)、10〜30秒(△印)、30秒以上(○印)の3段階で判定した。
その結果を、前出の表2中にあわせて示した。
表中の結果からも判明するように、主薬である塩酸ピルジカイニドの配合割合が高くなるにつれて、苦味を感じるまでの時間が早くなった。したがって、主薬の配合割合が高い場合には、本発明の錠剤では、苦味を抑制する処置を場合によっては施すことを考慮すべきであるといえる。
試験例7:苦味抑制添加剤による苦味の抑制試験
苦味を抑制する手段の一つとして、矯味剤/甘味剤、緩衝剤/pH調節剤、および苦味を緩和する賦形剤といった苦味抑制添加剤を処方中に配合する方法が挙げられる。これらの物質について、本発明の錠剤の苦味を抑制する効果について検討した。
主薬である塩酸ピルジカイニドの配合割合を7.5%として、下記表6に示す各種配合処方で錠剤を調製した。錠剤の調製方法は試験例2に記載の方法に準じた。ただし、仕込み量を10gとし、打錠機としてオートグラフを用いた。また、苦味の評価は試験例6に記載した基準に従った。
その結果を、あわせて表6中に示した。
Figure 2003075918
無味である賦形剤(リン酸水素カルシウム)を用いた錠剤(試料24)では、錠剤は苦かった。一方、甘味剤/矯味剤(アスパルテーム、D−マンニトール)、緩衝剤/pH調節剤(炭酸水素ナトリウム)、または苦味を緩和する賦形剤(乳糖、トウモロコシデンプン、結晶セルロース)を添加した錠剤(試料25〜30)では、苦味が抑制されていた。
したがって、本発明の錠剤では、矯味剤/甘味剤、緩衝剤/pH調節剤、あるいは苦味を緩和する賦形剤といった苦味抑制添加剤が、有効成分である塩酸ピルジカイニドに由来する錠剤の苦味を抑制する効果があることが分かった。
試験例8:コーティング皮膜による苦味の抑制試験
錠剤の服用時の苦味を抑制する手段の一つとして、錠剤をコーティング皮膜により被覆する手段がある。そこで、本発明の錠剤における苦味がコーティング皮膜で抑制され、かつ速崩壊性を確保しうる錠剤となりうるか検討した。
これまでに得られている味の評価の悪い錠剤(素錠:試料7)を用いて、コーティング錠を調製した。すなわち、下記表7に記載する組成にて、水溶性の皮膜をコーティングした。皮膜の量は素錠100部に対して3部とした。コーティング機として、ハイコーターミニ(フロイント社製;回転数15rpm、排気温度約45℃)を用い、仕込み量は着色プラセボ錠を加えて200gとした。
なお、コーティング工程中において、錠剤の割れや欠けといった障害は認められず、本発明の錠剤の強度は良好なものであった。
Figure 2003075918
得られたコーティング錠(試料31)について、試験例2に記載の方法により錠剤硬度および崩壊性を評価し、また試験例6に記載の評価法により苦味の有無を評価した。
その結果を表8に示した。
Figure 2003075918
本発明の有効成分である塩酸ピルジカイニドを含有するコーティング錠(試料31)は、皮膜を施すことによりコーティング前の素錠(試料7)で認められていた苦味を抑制していた。なお、コーティング錠の製剤特性は、コーティング前の素錠(試料7)と同様の良好な製剤特性であった。
したがって、本発明が提供する錠剤にあっては、含有される有効成分である塩酸ピルジカイニドに由来する錠剤の苦味を、コーティング層を被覆することにより抑制できることが判明した。
産業上の利用の可能性
以上記載のように、本発明により、これまで具体的錠剤化検討が何ら検討されていなかった不整脈治療剤である塩酸ピルジカイニドの錠剤について、不整脈治療として必須である効果の発現が速やかな速崩壊性であると共に、所望の錠剤硬度を有する錠剤が提供される。
本発明により提供される塩酸ピルジカイニドを含有する錠剤は、これまで開発されていた注射剤で認められる投与時の疼痛を回避でき、またカプセル剤で認められていた服用のし難さを回避するものであり、嚥下力の低下した患者、または幼小児や老人にも安全に服用しうるものである。
また、本発明の技術を応用することにより、塩酸ピルジカイニドの含有量を種々変化させた
また、本発明の技術を応用することにより、塩酸ピルジカイニドの含有量を種々変化させた錠剤を提供することが可能であり、そのうえ、カプセル剤に比較して製造原価が安価でもある。したがって、本発明は医療産業上多大な効果を有するものである。

Claims (13)

  1. 主薬として塩酸ピルジカイニドを5〜95重量%含有し、湿式造粒法で得た顆粒を圧縮成型することからなる、錠剤硬度が2.5kg以上であり、かつ速崩壊性を有することを特徴とする塩酸ピルジカイニド含有錠剤の製造方法。
  2. 湿式造粒法が押出し造粒法、攪拌造粒法、練合造粒法、転動造粒法、流動層造粒法、転動流動層造粒法、または噴霧造粒法である請求の範囲第1項に記載の塩酸ピルジカイニド含有錠剤の製造方法。
  3. 苦味抑制物質を添加した請求の範囲第1または第2項に記載の塩酸ピルジカイニド含有錠剤の製造方法。
  4. 苦味抑制物質の添加量が1〜90重量%である請求の範囲第3項に記載の塩酸ピルジカイニド含有錠剤の製造方法。
  5. 苦味抑制物質が、白糖、ブドウ糖、乳糖、D−マンニトール、アスパルテーム、キシリトール、炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、アスコルビン酸、塩化ナトリウム、乳糖、デンプン、部分アルファー化デンプンおよび結晶セルロースのいずれかである請求の範囲第4項に記載の塩酸ピルジカイニド含有錠剤の製造方法。
  6. さらにコーティング層を被覆する請求の範囲第1または第2項に記載の塩酸ピルジカイニド含有錠剤の製造方法。
  7. コーティング層が胃内で溶解または崩壊する皮膜である請求の範囲第5項に記載の塩酸ピルジカイニド含有錠剤の製造方法。
  8. 1錠当りの主薬含量が、12.5mg、25mgまたは50mgである請求の範囲第1ないし第6項に記載の塩酸ピルジカイニド含有錠剤の製造方法。
  9. 請求の範囲第1項に記載の製造方法により得られた塩酸ピルジカイニド含有錠剤。
  10. 請求の範囲第2項2ないし第8項のいずれかに記載の製造方法により得られた塩酸ピルジカイニド含有錠剤。
  11. 胃内崩壊性の錠剤である請求の範囲第9項または第10項に記載の塩酸ピルジカイニド含有錠剤。
  12. 主薬として20〜80重量%の塩酸ピルジカイニド、結晶セルロースまたはコーンスターチを含有し、さらに結合剤を3重量%まで含有する混合物を、攪拌造粒法または流動層造粒法からなる湿式造粒法で造粒し、得られた造粒物を圧縮成型して素錠となし、次いで、当該素錠100部に対してヒドロキシプロピルメチルセルロースを基剤とする皮膜2〜4部を被覆することを特徴とする、胃内崩壊性であり、かつ速崩壊性である塩酸ピルジカイニド含有錠剤の製造方法。
  13. 請求の範囲第12項に記載の方法で得られた塩酸ピルジカイニド含有錠剤。
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