JP2020196713A - エドキサバンを含有する口腔内崩壊錠 - Google Patents

エドキサバンを含有する口腔内崩壊錠 Download PDF

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知大 林田
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善夫 中野
洋平 帆足
Yohei Hoashi
洋平 帆足
祥太郎 生田
Shotaro Ikuta
祥太郎 生田
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Abstract

【課題】溶出性と崩壊性と硬度を両立させた、エドキサバンを含有する口腔内崩壊錠を提供する。また、上述の口腔内崩壊錠を、複雑な工程や特殊な設備を要することなく通常の圧縮成形によって製造することが可能な製造方法を提供する。【解決手段】口腔内崩壊錠は、(A)エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物と、(B)有機酸と、(C)結合剤とを含有し、結合剤は水不溶性高分子である、または、(A)エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物と、(B)崩壊剤と、(C)結合剤とを含有し、結合剤は水不溶性高分子であり、グルコース環を構成単位として有する腸溶性高分子である。【選択図】なし

Description

本発明は、エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物を含有する口腔内崩壊錠に関する。
エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物は、血液凝固カスケードにおいて、プロトロンビンからトロンビンを生成し、フィブリン形成を促進することにより血栓を形成する作用のある活性化血液凝固第X因子(activated blood coagulation factorXまたはFXa)を選択的、可逆的かつ直接的に阻害することにより、血栓形成抑制作用を発現する。
エドキサバンは国内外で実施された臨床試験により、膝関節全置換術、股関節全置換術、股関節骨折手術を含む下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制に、また非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制、並びに静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症および肺血栓塞栓症)の治療および再発抑制に用いられている。
エドキサバンは、非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制、並びに静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症および肺血栓塞栓症)の治療および再発抑制においては通常、成人には、エドキサバンとして30mg(体重が60kg以下の場合)または60mg(体重が60kgを超える場合)の用量を1日1回経口投与する。なお、腎機能、併用薬に応じて1日1回30mgに減量することもできる。また、下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制においては、通常、成人には、エドキサバンとして30mgを1日1回経口投与する。
エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物、特にエドキサバントシル酸塩は、塩基性の化合物であり、強酸性水溶液では良好な溶解性を示すが、中性以上のpHの水溶液に晒されるとゲル様の構造体を形成する。そのため、エドキサバントシル酸塩を従来の賦形剤と崩壊剤を配合して製する一般的な口腔内崩壊錠に製すると、中性水溶液領域ではエドキサバントシル酸塩の製剤からの溶出が遅延し、溶解度が低下する。
そこで、エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物の溶出特性を改善することを目的として、国際公開公報第WO2008/129846号(特許文献1)には、エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物と、糖アルコール類および水膨潤性添加剤から選ばれる1種または2種以上とを組み合わせた組成物とすること、また、エドキサバンを含有する医薬組成物をセルロース誘導体、ポリビニル化合物、アクリル酸誘導体および糖類から選択される1種または2種以上のコーティング剤によりコートすることが提案されている。
また、国際公開公報第WO2013/022059号(特許文献2)には、中性領域の溶出特性を改善することを目的として、エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物と、カルボン酸又はエノールまたはその塩を含有する、錠剤またはカプセル剤といった固形製剤が提案されている。
また、国際公開公報第WO2018/101373号(特許文献3)には、速やかな崩壊性と、通常の製造、輸送、使用に際して十分な硬度を合わせもつ口腔内崩壊錠を提供することを目的として、エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物と、有機酸と、錠剤の総重量に対して0.1〜2.0重量%の水溶性高分子、および、崩壊剤を含有する口腔内崩壊錠が提案されている。
国際公開公報第WO2008/129846号 国際公開公報第WO2013/022059号 国際公開公報第WO2018/101373号
しかしながら、特許文献1に記載の組成物や特許文献2に記載の固形製剤では、溶出特性の改善のみに着目されており、溶出特性と、水への迅速な崩壊性との両立については考えられていない。また、特に医薬組成物または固形製剤の剤形が口腔内崩壊錠である場合、製造、輸送、使用に際して物理的な衝撃に耐え得る硬度を有していなければならないが、特許文献1に記載の組成物や特許文献2に記載の固形製剤では、溶出特性と、口腔内崩壊錠の硬度との両立についても考えられていない。
一方、特許文献3に記載の口腔内崩壊錠は、崩壊性と硬度については考慮されているが、第十七改正日本薬局方に準じて測定された口腔内崩壊時間が約30秒であり、必ずしも崩壊が迅速とはいえない。また、錠剤が大きくなってしまうという問題もある。
そこで本発明の目的は、溶出性、崩壊性、および、硬度を両立させた、エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物を含有する口腔内崩壊錠を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した。そして、エドキサバンを含む口腔内崩壊錠の結合剤として水不溶性高分子を用いることで、錠剤の硬度を維持しながら、錠剤の崩壊が迅速化されることを知った。
反面、常識から考えられるとおり、水不溶性高分子は口腔内崩壊錠からのエドキサバンの溶出を強く阻害することもわかった。そのため、本発明者らはさらに鋭意研究し、口腔内崩壊錠中に有機酸を含有させることで、水不溶性高分子による溶出遅延を改善できること、および、特定の水不溶性高分子を用い、さらに崩壊剤を用いることで、有機酸を含有しなくても溶出遅延を改善できることを見出した。すなわち、エドキサバンの溶出を阻害する水不溶性高分子を用いる場合でも、水不溶性高分子と有機酸、または、特定の水不溶性高分子と崩壊剤との組み合わせで含有させることによって、中性近辺の水溶液中でゲル化するエドキサバンをほぐして、溶出速度を向上させることができ、迅速な崩壊速度を維持させながら、同時に、溶出速度を迅速化させ得ることを見出した。
以上の知見に基づいて、本発明に従った口腔内崩壊錠は、(A)エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物と、(B)有機酸と、(C)結合剤とを含有し、結合剤は水不溶性高分子である、または、(A)エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物と、(B)崩壊剤と、(C)結合剤とを含有し、結合剤は水不溶性高分子であり、グルコース環を構成単位として有する腸溶性高分子である。言い換えれば、本発明の第1の局面に従った口腔内崩壊錠は、(A)エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物と、(B)有機酸と、(C)結合剤とを含有し、結合剤は水不溶性高分子である。本発明の第2の局面に従った口腔内崩壊錠は、(A)エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物と、(B)崩壊剤と、(C)結合剤とを含有し、結合剤は水不溶性高分子であり、グルコース環を構成単位として有する腸溶性高分子である。
また、本発明の第1の局面に従った口腔内崩壊錠の製造方法は、(A)エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物と、(B)有機酸と、(C)結合剤とを含有する口腔内崩壊錠を製造する方法であって、(A)、(B)および(C)を含む造粒物を得る工程(1−I−1)と、得られた造粒物を含む打錠用混合物を打錠する工程(1−II−1)とを含み、結合剤として水不溶性高分子を用いる。
また、本発明の第1の局面に従った口腔内崩壊錠の別の製造方法は、(A)エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物と、(B)有機酸と、(C)結合剤とを含有する口腔内崩壊錠を製造する方法であって、(A)および(C)を含む造粒物を得る工程(1−I−2)と、得られた造粒物および(B)を含む打錠用混合物を打錠する工程(1−II−2)とを含み、結合剤として水不溶性高分子を用いる。
また、本発明の第2の局面に従った口腔内崩壊錠の製造方法は、(A)エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物と、(B)崩壊剤と、(C)結合剤とを含有する口腔内崩壊錠を製造する方法であって、(A)、(B)および(C)を含む造粒物を得る工程(2−I)と、得られた造粒物を含む打錠用混合物を打錠する工程(2−II)とを含み、結合剤は水不溶性高分子であり、グルコース環を構成単位として有する腸溶性高分子である。
以上のように、本発明に従えば、溶出性、崩壊性、および、硬度を両立させた、エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物を含有する口腔内崩壊錠を提供することができる。
さらに、本発明に従えば、溶出性、崩壊性、および、硬度を両立させた、エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物を含有する口腔内崩壊錠を、複雑な工程や特殊な設備を要することなく、通常の圧縮成形によって製造することが可能な製造方法を提供することができる。
本発明の第1の局面に従った口腔内崩壊錠は、(A)エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物と、(B)有機酸と、(C)結合剤とを含有し、結合剤は水不溶性高分子である。少なくとも(A)および(C)、または、(A)〜(C)は、造粒物として含有されていることが好ましい。造粒物は崩壊剤をさらに含むことが好ましい。
本発明の第2の局面に従った口腔内崩壊錠は、(A)エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物と、(B)崩壊剤と、(C)結合剤とを含有し、結合剤は水不溶性高分子であり、グルコース環を構成単位として有する腸溶性高分子である。(A),(B),(C)は、造粒物として含有されていることが好ましい。
本発明に用いられる「エドキサバン」とは、エドキサバン、その薬理上許容される塩又はそれらの溶媒和物(水和物を含む)であってもよい。エドキサバンの薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物としては、好適には、N−(5−クロロピリジン−2−イル)−N−((1S,2R,4S)−4−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−2−{[(5−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロチアゾロ[5,4−c]ピリジン−2−イル)カルボニル]アミノ}シクロヘキシル)エタンジアミドp−トルエンスルホン酸一水和物(エドキサバントシル酸塩水和物)である。以下、エドキサバン、その薬理上許容される塩又はそれらの溶媒和物(水和物を含む)を、単に「エドキサバン」とも称する。
本発明において「口腔内崩壊錠」とは、口中に含んだ際、あるいは水の中に入れた際、速やかな崩壊性を有する圧縮成形物である。具体的には、(a)口腔内での主として唾液による崩壊試験において25秒以内で、好ましくは20秒以内で崩壊する錠剤、(b)第十七改正日本薬局方の崩壊試験装置による崩壊試験において25秒以内で、好ましくは20秒以内で崩壊する錠剤、および/または、(c)口腔内崩壊錠測定装置(トリコープテスタ(登録商標);岡田精工株式会社)による崩壊試験において30秒以内で、好ましくは25秒以内で崩壊する錠剤が、当該速崩壊性の条件を満たす口腔内崩壊錠であると言える。本発明に従った速崩壊性の条件を満たす口腔内崩壊錠は、(a)〜(c)のいずれかの錠剤であり、好ましくは(a)〜(c)の2つ以上に該当する錠剤であり、より好ましくは(a)〜(c)の全てに該当する錠剤である。
本発明の口腔内崩壊錠は、通常の製造、輸送、使用の過程において十分な硬度を有する。例えば、硬度試験において硬度が20N以上、好ましくは30N以上、さらに好ましくは40N以上の硬度を有する口腔内崩壊錠である。
従来は製剤の溶出性は、胃内のpH1.2環境で確保できれば良かったが、近年は無酸症との関連も有り、中性付近での溶出性が重要視されている。その上に、エドキサバントシル酸塩のpKaは6.7であるので、その前後での溶解性も含めた物性の変化が大きい化合物であり、中性領域での溶出特性には特に注意を払う必要がある。
本発明における「中性」とはpHが7近辺の領域であることをいう。
本発明の口腔内崩壊錠からの薬物の溶出は、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有する必要がある。本願においては、エドキサバンの溶出性は、pH6.8の溶出試験液中においては、溶出試験開始後45分で60%以上であることが好ましく、45分で70%以上であることがより好ましく、45分で75%以上であることがさらに好ましく、45分で80%以上であることが特に好ましい。
本発明における「有機酸」とは、医薬品添加物として使用可能な酸性を示す有機化合物のことをいう。有機酸としては、例えば、カルボン酸、スルホン酸、エノール、又はそれらの塩が挙げられる。有機酸は、中性近辺の水溶液中でゲル化するエドキサバンをほぐして、水不溶性高分子による溶出遅延を改善し、溶出速度を高めるために配合される。
有機酸としてのカルボン酸は、医薬品に添加することができるカルボン酸であれば特に限定されないが、例えば、アジピン酸、アスパラギン酸、アルギン酸、安息香酸、クエン酸、グルタミン酸、グリシン、コハク酸、酒石酸、ソルビン酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、グルコン酸、酢酸又はリンゴ酸が挙げられ、好ましくは、アスパラギン酸、アルギン酸、クエン酸、グルタミン酸、グリシン、コハク酸、酒石酸、フマル酸、マロン酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸、又はリンゴ酸が挙げられ、より好ましくは、アスパラギン酸、グルタミン酸、コハク酸、グリシン、又はフマル酸が挙げられる。
有機酸としてのカルボン酸の塩は、医薬品に添加することができるものであれば特に限定されないが、例えば、L−アスパラギン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、クエン酸二水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、グルコン酸カルシウム、L−グルタミン酸ナトリウム、コハク酸一ナトリウム、酢酸カルシウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸水素カリウム、ソルビン酸カリウム、乳酸カルシウム、フマル酸一ナトリウム、無水クエン酸ナトリウム又はリンゴ酸ナトリウムが挙げられる。
口腔内崩壊錠中の有機酸の配合量は特に限定されないが、(A)エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物および(C)結合剤が造粒物に含まれる場合には、造粒物の全量に対して0.1〜35重量%であり、より好ましくは0.1〜30重量%である。
本発明の第1の局面に従った口腔内崩壊錠中の本発明における「水不溶性高分子」とは、水に溶けにくい、極めて溶けにくい、ほとんど溶けないとされる溶解性を有する。水不溶性高分子は、薬物と添加剤の混合物を湿式造粒するための結合剤として用いられる。水不溶性高分子は、造粒物の表面の少なくとも一部に存在する形態になっていると考えられ、口腔内崩壊錠の水への分散性がよくなるため、錠剤へ圧縮成形する際に添加混合して用いる崩壊剤などの添加量が少なくて済み、結果として小型化された口腔内崩壊錠が得られる。水不溶性高分子としては、具体的には、放出制御高分子、腸溶性高分子、胃溶性高分子、およびその他の高分子を列挙することができる。
放出制御高分子としては、エチルセルロース、アセチルセルロース、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体の粉末、並びにエチルセルロース、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体、およびエチルセルロースやアクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル共重合体をラテックスの形で含有する水分散液などが用いられる。
腸溶性高分子としては、ヒプロメロースフタレート、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、メタアクリル酸・メタアクリル酸メチル共重合体、メタアクリル酸・メタアクリル酸エチル共重合体、メタアクリル酸・アクリル酸エチル共重合体、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシメチルエチルセルロースなどがある。
胃溶性高分子としては、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸ブチル・メタアクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体などを用いることができる。
その他の水不溶性高分子としては、セラック、ゼイン、ステアリン酸などの高級脂肪酸、セタノールやステアリルアルコールなどの高級アルコール、ショ糖脂肪酸エステルなどの高級脂肪酸と多価アルコールのエステルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの水不溶性高分子については、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジクロルメタンなどの有機溶剤を用いて溶解して使用できることは勿論、これら水不溶性高分子をラテックスの形で含有する水分散液などとして用いることも自由である。水不溶性物質はその1種または2種以上を適宜組み合わせて使用することもできる。
口腔内崩壊錠中の水不溶性高分子の量は、必要以上に多くないことが好ましい。使用量が多くなると、粒子が壊れにくくなり、特に中性領域での薬物の溶出速度が低下し、医薬品の効能効果発現に悪影響を及ぼす場合がある。
本発明の第2の局面に従った口腔内崩壊錠中の特定の水不溶性高分子は、グルコース環を構成単位として有する腸溶性高分子である。グルコース環を構成単位として有する腸溶性高分子としては、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、ヒプロメロースフタル酸エステル、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシメチルエチルセルロースなどを用いることが好ましい。
崩壊剤は、本発明者らの検討によれば、水不溶性高分子が消化管内で溶けないpH領域において、口腔内崩壊錠を吸水膨潤させ、水不溶性高分子の口腔内崩壊錠中でのからまりをほぐし、口腔内崩壊錠からの薬物の溶出を速めるのに有用である。腸溶性高分子は別として、中性領域の溶液、例えばpH6.8の溶液に溶解しないエチルセルロースなどの放出制御高分子および胃溶性高分子の場合、中性領域での薬物の溶出速度が低下するため、それを防止する目的で崩壊剤を配合することが特に好ましい。一方、腸溶性高分子はpH6.8の溶液に溶解するため、溶出阻害に対する影響が低く、崩壊剤を必ずしも配合する必要がないこともある。
崩壊剤としては、水不溶性で水膨潤性のものが好ましく、クロスポビドン、カルメロースカルシウム、カルメロース、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、アルファー化デンプン、結晶セルロース、粉末セルロース、二酸化ケイ素などから選ばれる1種または2種以上の組み合わせが挙げられる。また、特定の水不溶性高分子との配合で好ましい崩壊剤は、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、アルファー化デンプンなどである。
口腔内崩壊錠中の崩壊剤の配合量は特に限定されないが、少なくとも(A)エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物および(C)結合剤が造粒物に含まれる場合には、造粒物の全量に対して通常0.5〜50重量%であり、好ましくは、3〜40重量%である。崩壊剤は、造粒物の粒子を膨潤させ、空隙を作り、薬物の溶出を助長し、溶出速度を高める。
本発明の口腔内崩壊錠は上記成分に加え、さらに賦形剤を含んでいてもよい。賦形剤としては、例えば、乳糖、ショ糖、フラクトオリゴ糖、マルトース、還元麦芽糖、D−マンニトール、エリスリトール、キシリトール、結晶セルロース、粉末セルロース、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、リン酸水素カルシウムなどから選択される1つ又は2つ以上の組み合わせを挙げることができる。
口腔内崩壊錠中の賦形剤の配合量は特に限定されないが、少なくとも(A)エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物および(C)結合剤、または(A)エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物、(B)有機酸または崩壊剤、(C)結合剤が造粒物に含まれる場合には、例えばD−マンニトールなどを用いる場合、造粒物の全量に対して賦形剤は通常15〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは、20〜45重量%である。
本発明の方法で口腔内崩壊錠を製する際は、有機酸、崩壊剤、賦形剤および水不溶性高分子以外に、水溶性結合剤、滑沢剤、可塑剤、着色剤、着香剤、甘味剤、矯味剤、流動化剤、および界面活性剤などの添加剤を配合することができる。
水溶性結合剤は水不溶性高分子とともに結合剤液に含有させることができる。例えば、ヒプロメロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのようなセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、マクロゴールなどのような水溶性高分子、乳糖、トレハロースなどの糖類、D−マンニトール、エリスリトールなどの糖アルコール類などから選択される1つ又は2つ以上の組み合わせを挙げることができ、その配合量は、崩壊性遅延を生じさせない範囲であれば制限はないが、好ましくは、水不溶性高分子1重量部に対し水溶性高分子1重量部以下であり、さらに好ましくは、水不溶性高分子1重量部に対して、水溶性高分子0.5重量部以下である。
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、およびタルク(例えば、日本薬局方適合品)から選ばれる1種または2種以上の組み合わせが挙げられる。
口腔内崩壊錠中の滑沢剤の配合量は、特に限定されないが、口腔内崩壊錠の総重量に対して、好ましくは0.1〜3.0重量%である。
着色剤としては、例えば、食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号などの食用色素;食用レーキ色素、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、酸化チタン、β−カロチンおよびリボフラビンから選択される1つ又は2つ以上の組み合わせを挙げることができる。
着香剤としては、例えば、オレンジ、レモン、ストロベリー、ハッカ、メントール、メントールミクロンおよび各種香料から選択される1つ又は2つ以上の組み合わせを挙げることができる。
甘味剤としては、例えば、サッカリンナトリウム、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、グリチルリチン酸二カリウム、スクラロース、ステビアおよびソーマチンから選択される1つまたは2つ以上の組み合わせを挙げることができる。
矯味剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、イノシン酸二ナトリウム、L−グルタミン酸ナトリウムおよびハチミツから選択される1つ又は2つ以上の組み合わせを挙げることができる。
流動化剤としては、例えば、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウムおよびタルクから選択される1つ又は2つ以上の組み合わせを挙げることができる。
界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸ポリオキシル40、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート、モノステアリン酸グリセリンおよびラウリル硫酸ナトリウムから選択される1つ又は2つ以上の組み合わせを挙げることができる。
以下に、本発明の口腔内崩壊錠の製造方法について説明する。
上述のように、本発明者らは、鋭意検討の結果、エドキサバンを含む口腔内崩壊錠の結合剤として水不溶性高分子を用いることで、錠剤の硬度を維持しながら、錠剤の崩壊が迅速化されることを見出した。また、口腔内崩壊錠中に有機酸を含有させることで、中性近辺の水溶液中でゲル化するエドキサバンをほぐして、水不溶性高分子による溶出遅延を改善し、溶出速度を向上させることができ、迅速な崩壊速度を維持させながら、同時に、溶出速度を迅速化させ得ることを見出した。さらに、不溶性高分子によってエドキサバンを造粒し、エドキサバンを水不溶性高分子で包含させた粒子(造粒物)を得て、この粒子に崩壊剤や滑沢剤などを混合して錠剤に製した場合、粒子同士の水中での分離分散が速くなることによって、錠剤の崩壊は極度に迅速化されることを知った。
以上の知見に基づいて、本発明の第1の局面に従った口腔内崩壊錠の製造方法は、(A)エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物と、(B)有機酸と、(C)結合剤とを含有する口腔内崩壊錠を製造する方法であって、(A)、(B)および(C)を含む造粒物を得る工程(1−I−1)と、得られた造粒物を含む打錠用混合物を打錠する工程(1−II−1)とを含み、結合剤として水不溶性高分子を用いる。
本発明の別の実施形態の本発明の第1の局面に従った口腔内崩壊錠の製造方法は、(A)エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物と、(B)有機酸と、(C)結合剤とを含有する口腔内崩壊錠を製造する方法であって、(A)および(C)を含む造粒物を得る工程(1−I−2)と、得られた造粒物および(B)を含む打錠用混合物を打錠する工程(1−II−2)とを含み、結合剤として水不溶性高分子を用いる。
本発明の第2の局面に従った口腔内崩壊錠の製造方法は、(A)エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物と、(B)崩壊剤と、(C)結合剤とを含有する口腔内崩壊錠を製造する方法であって、(A)、(B)および(C)を含む造粒物を得る工程(2−I)と、得られた造粒物を含む打錠用混合物を打錠する工程(2−II)とを含み、結合剤として水不溶性高分子であって、グルコース環を構成単位として有する腸溶性高分子を用いる。
本発明の口腔内崩壊錠は、成分(A)〜(C)に、薬物を含有しない造粒物粒子、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤などから選ばれる添加剤を加えて混合し、製錠することにより、錠剤を得ることができる。
(A)エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物および(C)結合剤、または、(A)エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物と(B)有機酸または崩壊剤と(C)結合剤は、造粒されることが好ましい。特に、第1の局面に従った口腔内崩壊錠の製造方法においては、工程(1−I−1)または工程(1−I−2)は、水不溶性高分子の溶液または分散液を結合剤液として用いて湿式造粒を行って造粒物を得る工程であることが好ましい。また、第2の局面に従った口腔内崩壊錠の製造方法においては、工程(2−I)は、グルコース環を構成単位として有する腸溶性高分子の溶液または分散液を結合剤液として用いて湿式造粒を行って造粒物を得る工程であることが好ましい。
このようにすることにより、得られた造粒物の表面の少なくとも一部に水不溶性高分子が存在することになるので、得られる口腔内崩壊錠の水への分散性が向上する。その結果、錠剤へ圧縮成形する際に添加混合して用いる崩壊剤などの添加量が少なくて済み、口腔内崩壊錠を小型化し得る。造粒物の表面に存在する水不溶性高分子は、造粒物の少なくとも一部の表面を被覆していることが好ましく、造粒物の表面全体を被覆していることがさらに好ましい。なお、第1の局面に従った口腔内崩壊錠の製造方法において、(A)エドキサバンおよび(C)結合剤が造粒される場合(すなわち、造粒物が(B)有機酸を含まない場合)、(A)エドキサバンと(C)結合剤のみを用いて造粒物を調製し、(B)有機酸を加えて混合物を得て、得られた混合物を用いて口腔内崩壊錠を製造すればよい。
なお、製錠するに際して、上記したような、可塑剤、着色剤、着香剤、甘味剤、矯味剤、流動化剤、および界面活性剤などの添加剤を配合することができることは言うまでもない。
本発明の口腔内崩壊錠の製造方法の各工程は、従来の製剤製造技術で実施されることができる。すなわち、例えば、成分(A)〜(C)を造粒物として口腔内崩壊錠に含有させる場合には、例えば、(A)医薬活性成分、(B)有機酸または崩壊剤に加えて賦形剤などを混合し、(C)水不溶性高分子を例えば、水、エタノールあるいはエタノールと水の混合溶剤に溶解または分散した溶液を用い湿式造粒・乾燥・篩過整粒して製する。なお、造粒操作の際、水不溶性高分子を粉末のまま配合して溶剤で湿式造粒することも自由である。
上記製剤化法に関わる造粒操作は、攪拌造粒機、流動層造粒機、転動流動層コーティング造粒機、噴霧乾燥式流動層造粒機、スプレードライヤー、ニーダー、転動造粒機、真空造粒機、流動層乾燥機、棚式乾燥機、真空乾燥機などが使用可能であり、造粒機種や乾燥機種を選ばない。
本発明の口腔内崩壊錠の圧縮成形は、通常の打錠機を用いて行うことができる。すなわち、打錠用の混合物を、通常のロータリー式打錠機を用いて圧縮成形することにより製造することが可能である。打錠機による成形圧力は通常の錠剤と同程度で良く、錠剤の形状、大きさにもよるが、好ましくは、2〜20kN、より好ましくは4〜14kN程度である。
なお、薬物を含有しない造粒物粒子は、口腔内崩壊錠として望ましい崩壊性と成形性を付与することができる製剤の骨格として機能することが好ましく、結晶セルロース、糖アルコール(例えばD−マンニトール)、崩壊剤(例えばクロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、部分アルファー化デンプン)などを用い、成型性並びに崩壊性の優れた粒子に製したものであることが望ましい。
以上のように、本発明により、特殊な製剤技術を必要とせず、一般的な設備を用い、口腔内あるいは水の中に入れたとき、口腔内での迅速な崩壊性を有するとともに、製造工程、流通過程において崩れないような強い強度を有する錠剤を製造することが可能となる。
本発明の製造方法に従って製造された口腔内崩壊錠では、口腔内崩壊時間を極度に迅速化することができ、錠剤からの薬物の溶出速度を同時に迅速化させうることを知見した。すなわち、水不溶性高分子と有機酸または特定の水不溶性高分子と崩壊剤の組み合わせによる配合が、崩壊性と溶出性の双方の問題を同時に解消することを新たに見出して問題を解決した。
さらに、本発明の製造方法に従って製造された口腔内崩壊錠では、造粒物の表面の少なくとも一部に水不溶性高分子が存在する形態、好ましくは、造粒物の表面の少なくとも一部または全部が水不溶性高分子によって被覆されている形態になっていると考えられ、水への分散性がよくなっているため、錠剤へ圧縮成形する際に添加混合して用いる崩壊剤などの添加量が少なくて済み、小型化された錠剤になし得る。
かくして得られる本発明の口腔内崩壊錠は、口腔内あるいは水の中に入れた際に崩壊性、溶解性に優れ、かつ物理的、化学的安定性に優れている。
本発明の製造方法によって製造された口腔内崩壊錠は、(a)口腔内での主として唾液による崩壊試験において25秒以内で、好ましくは20秒以内で崩壊する錠剤、(b)第十七改正日本薬局方の崩壊試験装置による崩壊試験において25秒以内で、好ましくは20秒以内で崩壊する錠剤、および、(c)口腔内崩壊錠測定装置(トリコープテスタ(登録商標);岡田精工株式会社)による崩壊試験において30秒以内で、好ましくは25秒以内で崩壊する錠剤の少なくともいずれかに該当する錠剤であり、好ましくは(a)〜(c)の2つ以上に該当する錠剤であり、より好ましくは(a)〜(c)の全てに該当する錠剤である。
一方、本発明の口腔内崩壊錠の硬度は、一定の温度、湿度の条件下(例えば、温度25℃、相対湿度75%、開放系、1週間)の安定性試験の後にも、十分な硬度を有する。従って、製剤の製造工程および流通過程において崩れない硬度を有し、一定の温度、湿度の条件下での保存においても実用的な硬度を有し、保存安定性にも優れている。
本発明の口腔内崩壊錠は、高齢者、小児や嚥下困難な患者にとっても服用し易い製剤として、また、一般成人用の安全な製剤として、病気の治療に用いることができる。
本発明を要約すると以下の通りである。
本発明に従った口腔内崩壊錠は、(A)エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物と、(i)(B)有機酸と、(C)結合剤とを含有し、結合剤は水不溶性高分子である口腔内崩壊錠、または、(ii)(B)崩壊剤と、(C)結合剤とを含有し、結合剤は水不溶性高分子であってグルコース環を構成単位として有する腸溶性高分子である、口腔内崩壊錠である。
本発明の第1の局面の口腔内崩壊錠とその製造方法を要約すると以下の通りである。
(1−1)本発明に従った口腔内崩壊錠は、(A)エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物と、(B)有機酸と、(C)結合剤とを含有し、結合剤は水不溶性高分子である。
(1−2)本発明に従った口腔内崩壊錠においては、少なくとも(A)および(C)は、造粒物として含有されていることが好ましい。
(1−3)上記(1−2)に従った口腔内崩壊錠においては、(B)が造粒物に含有されていることが好ましい。
(1−4)上記(1−2)または(1−3)に従った口腔内崩壊錠においては、造粒物の表面の少なくとも一部には(C)が存在することが好ましい。
(1−5)上記(1−2)〜(1−4)までのいずれかに従った口腔内崩壊錠においては、造粒物は崩壊剤をさらに含むことが好ましい。
(1−6)上記(1−5)に従った口腔内崩壊錠においては、崩壊剤は、水不溶性かつ水膨潤性であることが好ましい。
(1−7)上記(1−1)〜(1−6)までのいずれかに従った口腔内崩壊錠においては、水不溶性高分子は腸溶性高分子であることが好ましい。
(1−8)本発明の一つの局面に従った口腔内崩壊錠の製造方法は、(A)エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物と、(B)有機酸と、(C)結合剤とを含有する口腔内崩壊錠を製造する方法であって、(A)、(B)および(C)を含む造粒物を得る工程(1−I−1)と、得られた造粒物を含む打錠用混合物を打錠する工程(1−II−1)とを含み、結合剤として水不溶性高分子を用いる。
(1−9)上記(1−8)に従った製造方法は、工程(1−I−1)においては、(C)を含む溶液又は分散液を用いる湿式造粒を行うことが好ましい。
(1−10)本発明の別の局面に従った製造方法は、(A)エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物と、(B)有機酸と、(C)結合剤とを含有する口腔内崩壊錠を製造する方法であって、(A)および(C)を含む造粒物を得る工程(1−I−2)と、得られた造粒物および(B)を含む打錠用混合物を打錠する工程(1−II−2)とを含み、結合剤として水不溶性高分子を用いる。
(1−11)上記(1−10)に従った製造方法は、工程(1−I−2)においては、(C)を含む溶液又は分散液を用いる湿式造粒を行うことが好ましい。
本発明の第2の局面の口腔内崩壊錠とその製造方法を要約すると次の通りである。
(2−1) 本発明に従った口腔内崩壊錠は、(A)エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物、(B)崩壊剤と、(C)結合剤とを含有し、結合剤は水不溶性高分子であって、グルコース環を構成単位として有する腸溶性高分子である口腔内崩壊錠である。
(2−2)本発明に従った口腔内崩壊錠においては、(A),(B)および(C)は、造粒物として含有されていることが好ましい。
(2−3)上記(2−2)に従った口腔内崩壊錠においては、造粒物の表面の少なくとも一部には(C)が存在することが好ましい。
(2−4)上記(2−1)〜(2−3)のいずれかに従った口腔内崩壊錠においては、(B)崩壊剤は、水不溶性かつ水膨潤性であることが好ましい。
(2−5)上記(2−1)〜(2−4)のいずれかに従った口腔内崩壊錠においては、(C)結合剤は、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、ヒプロメロースフタル酸エステル、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシメチルエチルセルロースであることが好ましい。
(2−6)本発明に従った口腔内崩壊錠は、さらに有機酸を含むことが好ましい。
(2−7)本発明の一つの局面に従った口腔内崩壊錠の製造方法は、(A)エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物と、(B)崩壊剤と、(C)結合剤とを含有する口腔内崩壊錠を製造する方法であって、(A),(B)および(C)を含む造粒物を得る工程(2−I)と、得られた造粒物を含む打錠用混合物を打錠する工程(2−II)とを含み、結合剤として水不溶性高分子であってグルコース環を構成単位として有する腸溶性高分子を用いる。
(2−8)上記(2−7)に従った製造方法は、工程(2−I)においては、(B)および(C)を含む溶液又は分散液を用いる湿式造粒を行うことが好ましい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
以下の実施例および比較例に用いた製剤原料は次のとおりである。エチルセルロース(エトセル(商標登録)7、Dow Chemical)、ヒプロメロース(TC−5R、信越化学工業)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達株式会社)、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(AQOAT LGおよびAQOAT AS−LF、信越化学工業)、ヒプロメロースフタル酸エステル(HP−50およびHP−55、信越化学工業)、ポリビニルアルコール(PVA EG−05、三菱ケミカル株式会社)、ポリビニルピロリドン(プラスドン K29/30、Ashland)、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS(オイドラギット(登録商標)RLPO、エボニック)、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS分散液(オイドラギット(登録商標)RL30D、エボニック)メタクリル酸コポリマーLD(オイドラギット(登録商標)L30D55、エボニック)、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(オイドラギット(登録商標)EPO、エボニック)、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート(AEA(登録商標)、三菱ケミカルフーズ株式会社)、D−マンニトール(ペアリトール50C、ロケットジャパン)、D−マンニトール(マンニットQ、三菱フードテック)、D−マンニトール(グラニュトール(登録商標)R、フロイント産業株式会社)、結晶セルロース(セオラス(登録商標)KG−1000、旭化成株式会社)、結晶セルロース(セオラス(登録商標)UF−711、旭化成株式会社)、アルファー化デンプン(SWELSTAR(登録商標) PD−1、旭化成株式会社)、部分アルファー化デンプン(PCS(登録商標)、旭化成株式会社)、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業)、フマル酸(富士フィルム和光純薬株式会社)、L−アスパラギン酸(富士フィルム和光純薬株式会社)、L−グルタミン酸(ナカライテスク株式会社)、コハク酸(ナカライテスク株式会社)、グリシン(扶桑化学工業株式会社)、クロスポビドン(ポリプラスドンXL−10、Ashland)、カルメロース(NS−300(登録商標)、ニチリン化学)、カルメロースカルシウム(ECG−505、五徳薬品)、クロスカルメロースナトリウム(Ac−Di−Sol(登録商標)、ウイルバー・エリス)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC(登録商標)NBD又はB1、信越化学工業)、デンプングリコール酸ナトリウム(プリモジェル(登録商標)、DSP五協フード&ケミカル)、軽質無水ケイ酸(アドソリダー101(登録商標)、フロイント産業株式会社)。
以下の実施例および比較例における錠剤の硬度の測定は錠剤硬度計(MultiTest 50;フロイント産業株式会社)を用いてN=3で行った。
以下の実施例および比較例における崩壊試験は、次の3つの方法で行った。(a)口腔内に水なしで錠剤を含ませ錠剤が口腔内の唾液のみで崩壊、溶解するまでの時間を測定した(N=3)。測定された崩壊時間を、「口腔内崩壊時間」と称する。(b)第十七改正日本薬局方の崩壊試験法に準じて測定した。測定された崩壊時間を「日局崩壊時間」と称する。(c)口腔内崩壊錠測定装置(トリコープテスタ(登録商標);岡田精工株式会社)により、人工唾液、37℃、6mL/minの滴下速度で崩壊時間を測定した(N=3)。測定された崩壊時間を「トリコープテスタによる崩壊時間」と称する。
以下の実施例および比較例における溶出試験は、自動6連溶出試験器(富山産業社製)を用いて、日本薬局方第2法に従い溶出試験を行った。試験液は日本薬局方溶出試験第2液(pH6.8)900mLを用いた。なお、パドルの回転数は50rpmとした。溶出量の測定は、UV法にて実施した。溶出試験開始後30分、45分および60分の溶出量を溶出率で求めた。
[第1の局面に従った口腔内崩壊錠]
[試験例1−1]
ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(AQOAT LG)を結合剤、有機酸をフマル酸として、(A)エドキサバンと(C)結合剤、または、(A)エドキサバン、(B)有機酸、および(C)結合剤を含む造粒物を造る際に、造粒物中への(B)有機酸の配合の必要性に関して検討を行った。
表1に示す処方に準じて、造粒用の各成分それぞれ(AQOAT LGを除く)について、50錠相当分を乳鉢中に秤取し、AQOAT LGをエタノール8重量部、水2重量部の混液に溶解した結合剤液を添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し篩過して得られた造粒物に、混合用の添加剤を秤取、混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、直径8.5mm(隅角平面)の杵を用いて重量240mgの錠剤に製した。
実施例1−1〜1−4および比較例1で得られた錠剤について、溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表1に示す。
Figure 2020196713
実施例1−1〜1−4の錠剤は、口腔内崩壊時間、日局崩壊時間、トリコープテスタによる崩壊時間ともに20秒以内であり、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で60%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。有機酸を配合せず、薬物および賦形剤を用いて製した造粒物を用い、有機酸を造粒物にも混合用末にも使用せずに製した比較例1の錠剤においては、45分後の溶出率が60%に届かず、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有さないものであった。これらの結果から、有機酸の薬物の溶出への寄与度が高いことがわかった。
[試験例1−2]
エチルセルロース(エトセル7)を結合剤として、(A)エドキサバンと(C)結合剤、または、(A)エドキサバン、(B)有機酸、および(C)結合剤を含む造粒物を造る際に、造粒物中への(B)有機酸の配合の必要性に関して検討を行った。
表2に示す処方に準じて、造粒用の各成分それぞれ(エトセル7を除く)について、50錠相当分を乳鉢中に秤取し、エトセル7をエタノールに溶解した結合剤液を添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し篩過して得られた造粒物に、混合用の添加剤を秤取、混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、直径8.5mm(隅角平面)の杵を用いて表2に示す圧力で打錠し、重量240mgの錠剤に製した。
実施例1−5〜1−8と比較例2〜3で得られた錠剤について、溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表2に示す。
Figure 2020196713
実施例1−5,1−6の錠剤は、口腔内崩壊時間が25秒以内、日局崩壊時間が20秒以内、トリコープテスタによる崩壊時間が25秒以内であり、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で70%以上であり、効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。崩壊剤を配合しなかった実施例1−7は、実施例1−5,1−6と比べれば溶出性が低下したが、45分で60%以上の溶出率が得られた。有機酸が造粒物中ではなく混合末に含まれる実施例1−8も、実施例1−5,1−6と比べれば溶出性が低下したが、45分で60%以上の溶出率が得られた。一方、有機酸を全く含まない比較例2,3の錠剤においては、口腔内崩壊時間、日局崩壊時間、トリコープテスタによる崩壊時間ともに25秒以内であっても、45分後の溶出率が60%に届かず、効能効果発現に適した溶出性を有さないものであった。なお、この結果からも、有機酸が薬物の溶出の迅速化への寄与度が高いことがわかった。
[試験例1−3]
ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(AQOAT LG)を結合剤として、(A)エドキサバンと(C)結合剤、または、(A)エドキサバン、(B)有機酸と(C)結合剤を含む造粒物を造る際に、造粒物中への(B)有機酸の配合の必要性に関して検討を行った。
表3に示す処方に準じて、造粒用の各成分それぞれ(AQOAT LGを除く)について、50錠相当分を乳鉢中に秤取し、AQOAT LGをエタノール8重量部、水2重量部の混液に溶解した結合剤液を添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し篩過して得られた造粒物に、混合用の添加剤を秤取、混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、直径8.5mm(隅角平面)の杵を用いて重量240mgの錠剤に製した。
実施例1−9〜1−12および比較例4で得られた錠剤について、溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表3に示す。
Figure 2020196713
実施例1−9および実施例1−10の錠剤は、口腔内崩壊時間が25秒以内、日局崩壊時間が20秒以内、トリコープテスタによる崩壊時間が25秒以内であり、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で70%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。
崩壊剤を配合せず、薬物、有機酸、および賦形剤を配合して製した造粒物を用いて製した実施例1−11の錠剤、および有機酸を配合せず薬物、崩壊剤、および賦形剤を配合して製した造粒物に混合末として有機酸を配合して製した実施例1−12の錠剤も、45分の薬物溶出率が60%以上であった。なお、結合剤としてAQOAT LGを用いても、有機酸を配合しない比較例4の錠剤は45分後の溶出率が60%に届かず、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有さないものであり、有機酸の薬物の溶出への寄与度が高いことがわかった。
[試験例1−4]
国際公開公報2018/101373号(特許文献3)に提示された処方に準じて錠剤を製し、本発明の口腔内崩壊錠と比較した。
表4に示す処方に準じて、造粒用の各成分それぞれ(AQOAT LGおよびHPC−Lを除く)について、50錠相当分を乳鉢中に秤取し、AQOAT LGはエタノール8重量部、水2重量部の混液に溶解した溶液を結合剤液として、またHPC−Lは水に溶解した溶液を結合剤液として添加し、撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し篩過して得られた造粒物に、混合用の添加剤を秤取、混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、直径10mm(隅角平面)の杵を用い、重量360mgまたは400mgの錠剤に製した。重量360mgの錠剤は錠剤硬度が約55Nに、また400mgの錠剤は錠剤硬度が約60Nになるように圧縮成形を行った。
溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表4に示す。
Figure 2020196713
本発明による方法で製した実施例1−13〜1−15の錠剤は、口腔内崩壊時間、日局崩壊時間ともに20秒以内であり、また、トリコープテスタによる崩壊時間が25秒以内で、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で70%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。
一方、比較例5および比較例6の錠剤は、溶出率は45分で75%以上であったが、口腔内崩壊時間およびトリコープテスタによる崩壊時間が30秒以上、日局崩壊時間が25秒以上であり、実施例に比べて明らかに遅延した崩壊速度を有していた。なお、この結果は、国際公開公報2018/101373号(特許文献3)に示されている結果を再現するものであった。
参考までに、インタビューフォームに示されている配合成分との類似性から、リクシアナOD錠60mg(ロットNo.UNA0047:エドキサバントシル酸塩水和物として80.8mgを含有する)の口腔内崩壊時間、日局崩壊時間、およびトリコープテスタによる崩壊時間を測定したところ、口腔内崩壊時間は33秒、日局崩壊時間は33秒、トリコープテスタによる崩壊時間は45秒であり、本実施例に比べて明らかに遅延した崩壊速度であった。
さらに、実施例1−1〜1−13の錠剤は、表1〜3に示すように、薬物含有量80.8mgに対し、仕上がりの錠剤重量が240mgであり、試験例1−4に示す国際公開第WO2018/101373号(特許文献3)に準じて製した錠剤と比べて、重量で約40%減じて小型化されており、アドヒアランスが向上された製剤だといえる。
[試験例1−5]
水不溶性高分子としてグルコース環を構成単位として有するエトセル7、AQOAT LG、HP−50およびHP−55を用い、フマル酸以外の有機酸との組み合わせによる実験を実施した。
表5に示す処方に準じて、造粒用の各成分それぞれ(エトセル7、AQOAT LG、HP−50およびHP−55を除く)について、50錠相当分を乳鉢中に秤取し、エトセル7、AQOAT LG、HP−50およびHP−55をエタノール8重量部、水2重量部の混液に溶解した結合剤液を添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し篩過して得られた造粒物に、混合用の添加剤を秤取、混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、2.5kNの打錠圧で直径8.5mm(平面隅角)の杵を用いて、実施例1−16,1−17では重量250mgの錠剤に、実施例1−18〜1−21については重量240mgの錠剤に製した。
実施例1−16〜1−21で得られた錠剤について溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表5に示す。
Figure 2020196713
実施例1−16〜1−21の錠剤は、口腔内崩壊時間が20秒以内、日局崩壊時間が25秒以内、トリコープテスタによる崩壊時間が30秒以内であり、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で70%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。
[試験例1−6]
水不溶性高分子としてアクリル系コポリマーであるオイドラギットRLPO、オイドラギットL100−55およびオイドラギットL30D−55を用い、有機酸との組み合わせによる実験を実施した。
表6に示す処方に準じて造粒用の各成分それぞれ(オイドラギット3品目を除く)について、50錠相当分を乳鉢中に秤取し、RLPOについてはエタノール8重量部、水2重量部の混液に溶解した結合剤液として、またRL30DとL30D−55については水で希釈した液を結合剤液として添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し篩過して得られた造粒物に、混合用の添加剤を秤取、混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、直径8.5mm(平面隅角)の杵を用いて重量240mgの錠剤に製した。
実施例1−22〜1−26で得られた錠剤について、溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表6に示す。
Figure 2020196713
実施例1−22〜1−26の錠剤は、口腔内崩壊時間、日局崩壊時間による崩壊時間ともに25秒以内であり、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で60%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。
[試験例1−7]
水不溶性高分子としてエトセル7およびAQOAT LGを、水溶性高分子としてHPC−L、プラスドンK29/30、およびPVA EG−05を用い、崩壊剤と有機酸を類似させた配合処方系での組み合わせによる比較実験を実施した。
表7に示す処方に準じて造粒用の各成分それぞれ(水不溶性高分子および水溶性高分子を除く)について、50錠相当分を乳鉢中に秤取し、PVAEG−05以外の高分子についてはエタノール8重量部、水2重量部の混液に溶解した結合剤液として、またPVA EG−05については水で溶解した液を結合剤液として添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し篩過して得られた造粒物に、混合用の添加剤を秤取、混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、直径8.5mm(平面隅角)の杵を用いて重量240mg、硬度40〜50Nの錠剤に製した。
実施例1−27〜1−29および比較例7〜9で得られた錠剤について、溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表7に示す。
Figure 2020196713
実施例1−27〜1−29の錠剤は、口腔内崩壊時間、日局崩壊時間、トリコープテスタによる崩壊時間ともに20秒以内であり、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で70%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。
一方、比較例7〜9の錠剤は、溶出率は45分で80%以上であったが、口腔内崩壊時間およびトリコープテスタによる崩壊時間が60秒以上、日局崩壊時間が50秒以上であり、水溶性高分子を用いた比較例の錠剤は明らかに遅延した崩壊速度を有していた。
[試験例1−8]
水不溶性高分子としてAQOAT AS−LFの微細粉末を用い、これを水に懸濁して造粒する方法に関して検討した。
エドキサバントシル酸塩水和物を4.04g、ペアリトール50Cを3.21g、NS−300を0.5g、L−アスパラギン酸を1.5gとり混合し、0.25gのAQOAT AS−LFを適量の水に懸濁した溶液を添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し、篩過して得られた造粒物に、グラニュトールRを1.35g、ポリプラスドンXL−10を0.5g、NS−300を0.5g、アドソリダー101を0.15gとり混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、直径8.5mm(隅角平面)の杵を用い2.8kNの成形圧で打錠し重量240mgの錠剤に製して、実施例1−30の錠剤とした。
実施例1−30で得られた錠剤について、溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表8に示す。
Figure 2020196713
AQOAT AS−LFの粉末を水に懸濁した溶液で造粒して製した実施例1−30の錠剤は、口腔内崩壊時間および日局崩壊時間が25秒以内、トリコープテスタによる崩壊時間が30秒以内であり、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で80%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。
[試験例1−9]
賦形剤として有機酸でもあるグリシンを用いて口腔内崩壊錠を製した。結合剤をAQOAT AS−LFとし、結合剤中に微量のHPC−Lを配合した。
エドキサバントシル酸塩水和物を4.04g、グリシンを3.86g、L−HPC B1を1.5gとり混合し、0.09gのAQOAT AS−LFと0.01gのHPC−Lをエタノール8重量部と水2重量部の混液に溶解した結合剤液を添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し、篩過して得られた造粒物に、グラニュトールRを1.35g、ポリプラスドンXL−10を0.5g、NS−300を0.5g、アドソリダー101を0.15gとり混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、直径8.5mm(隅角平面)の杵を用い。2.2kNの成形圧で打錠し重量240mgの錠剤に製して、実施例1−31の錠剤とした。
実施例1−31で得られた錠剤について、溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表9に示す。
Figure 2020196713
有機酸であるグリシンを賦形剤的に用いた実施例1−31の錠剤は、口腔内崩壊時間、日局崩壊時間、およびトリコープテスタによる崩壊時間が25秒以内であり、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で70%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。
[第2の局面に従った口腔内崩壊錠]
[試験例2−1]
ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(AQOAT LG)を結合剤、L−HPCを崩壊剤として(A)エドキサバンと(C)結合剤、または、(A)エドキサバン、(B)崩壊剤、および(C)結合剤を含む造粒物を造る際に、造粒物中への(B)崩壊剤の配合の必要性に関して検討を行った。
表10に示す処方に準じて、造粒用の各成分それぞれ(AQOAT LGを除く)について、50錠相当分を乳鉢中に秤取し、AQOAT LGをエタノール8重量部、水2重量部の混液に溶解した結合剤液を添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し篩過して得られた造粒物に、混合用の添加剤を秤取、混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、直径8.5mm(隅角平面)の杵を用いて重量240mgの錠剤に製した。
実施例2−1〜2−3および比較例1で得られた錠剤について、溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。
Figure 2020196713
実施例2−1〜2−3の錠剤は、口腔内崩壊時間が20秒以内、日局崩壊時間が25秒以内、トリコープテスタによる崩壊時間が25秒以内であり、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で60%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。崩壊剤を配合せず、薬物および賦形剤を用いて製した造粒物を用いた比較例1の錠剤においては、45分後の溶出率が60%に届かず、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有さないものであった。
これらの結果から、崩壊剤の薬物の溶出への寄与度が高いことがわかった。また、実施例2−3から、腸溶性高分子としてヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルを結合剤とし用いる場合、造粒物中に低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどの崩壊剤を配合しておけば、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有する錠剤を作れることが示唆された。
[試験例2−2]
エチルセルロース(エトセル7)を結合剤として、(A)エドキサバンと(B)崩壊剤、または、(A)エドキサバンと(B)崩壊剤と(C)結合剤を含む造粒物を造る際に、結合剤の必要性に関して検討を行った。
表11に示す処方に準じて、造粒用の各成分それぞれ(エトセル7を除く)について、50錠相当分を乳鉢中に秤取し、エトセル7をエタノールに溶解した結合剤液を添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し篩過して得られた造粒物に、混合用の添加剤を秤取、混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、直径8.5mm(隅角平面)の杵を用いて表1に示す圧力で打錠し、重量240mgの錠剤に製した。
表11に示すように、比較例2では、崩壊剤を用いず、薬物と賦形剤を配合して製した造粒物を用いて錠剤を調製した。比較例3では、薬物、崩壊剤、および賦形剤を配合して同じように製した造粒物を用いて錠剤を調製した。
比較例2〜3で得られた錠剤について、溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表11に示す。
Figure 2020196713
造粒物中に有機酸と崩壊剤を全く含まない比較例2、崩壊剤のみを含む比較例3の錠剤のいずれも、口腔内崩壊時間、日局崩壊時間、トリコープテスタによる崩壊時間ともに25秒以内であっても、45分後の溶出率が60%に届かず、効能効果発現に適した溶出性を有さないものであり、エトセル7を結合剤として用いる場合、エドキサバンを分散させ溶出性を向上させるのに有効な有機酸の配合が必要であることが示唆されている。
[試験例2−3]
ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(AQOAT LG)を結合剤として(A)エドキサバンと(B)崩壊剤と(C)結合剤を含む造粒物を造る際に、造粒物中への(B)崩壊剤の配合の必要性に関して検討を行った。
表12に示す処方に準じて、造粒用の各成分それぞれ(AQOAT LGを除く)について、50錠相当分を乳鉢中に秤取し、AQOAT LGをエタノール8重量部、水2重量部の混液に溶解した結合剤液を添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し篩過して得られた造粒物に、混合用の添加剤を秤取、混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、直径8.5mm(隅角平面)の杵を用いて重量240mgの錠剤に製した。
実施例2−4〜2−7および比較例4で得られた錠剤について、溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表12に示す。
Figure 2020196713
実施例2−4,2−5の錠剤は、口腔内崩壊時間が25秒以内、日局崩壊時間が20秒以内、トリコープテスタによる崩壊時間が25秒以内であり、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で70%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。
実施例2−6の錠剤も、45分の薬物溶出率が60%以上であった。結合剤をAQOAT LGとする実験系においては、薬物および崩壊剤を配合して製した造粒物を用い有機酸を配合せず製した実施例2−7の錠剤も、45分の薬物溶出率は60%以上であった。なお、結合剤としてAQOAT LGを用いても、崩壊剤を配合しない比較例4の錠剤は45分後の溶出率が60%に届かず、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有さないものであった。
[試験例2−4]
国際公開公報2018/101373号(特許文献3)に提示された処方に準じて錠剤を製し、本発明の口腔内崩壊錠と比較した。
表13に示す処方に準じて、造粒用の各成分それぞれ(AQOAT LGおよびHPC−Lを除く)について、50錠相当分を乳鉢中に秤取し、AQOAT LGはエタノール8重量部、水2重量部の混液に溶解した溶液を結合剤液として、またHPC−Lは水に溶解した溶液を結合剤液として添加し、撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し篩過して得られた造粒物に、混合用の添加剤を秤取、混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、直径10mm(隅角平面)の杵を用い、重量360mgまたは400mgの錠剤に製した。重量360mgの錠剤は錠剤硬度が約55Nに、また400mgの錠剤は錠剤硬度が約60Nになるように圧縮成形を行った。
溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表13に示す。
Figure 2020196713
本発明による方法で製した実施例2−8〜2−10の錠剤は、口腔内崩壊時間、日局崩壊時間ともに20秒以内であり、また、トリコープテスタによる崩壊時間が25秒以内で、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で70%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。
一方、比較例5および比較例6の錠剤は、溶出率は45分で80%以上であったが、口腔内崩壊時間およびトリコープテスタによる崩壊時間が30秒以上、日局崩壊時間が25秒以上であり、実施例に比べて明らかに遅延した崩壊速度を有していた。なお、この結果は、国際公開公報2018/101373号(特許文献3)に示されている結果を再現するものであった。
参考までに、インタビューフォームに示されている配合成分との類似性から、リクシアナOD錠60mg(ロットNo.UNA0047:エドキサバントシル酸塩水和物として80.8mgを含有する)の口腔内崩壊時間、日局崩壊時間、およびトリコープテスタによる崩壊時間を測定したところ、口腔内崩壊時間は33秒、日局崩壊時間は33秒、トリコープテスタによる崩壊時間は45秒であり、本実施例に比べて明らかに遅延した崩壊速度であった。
さらに、実施例2−1〜2−7の錠剤は、表10〜12に示すように、薬物含有量80.8mgに対し、仕上がりの錠剤重量が240mgであり、試験例3に示す国際公開第WO2018/101373号(特許文献3)に準じて製した錠剤と比べて、重量で約40%減じて小型化されており、アドヒアランスが向上された製剤だといえる。
[試験例2−5]
水不溶性高分子としてグルコース環を構成単位として有するAQOAT LGおよびHPを用い、フマル酸以外の有機酸との組み合わせによる実験を実施した。
表14に示す処方に準じて、造粒用の各成分それぞれ(AQOAT LGおよびHPを除く)について、50錠相当分を乳鉢中に秤取し、AQOAT LG、HP−50およびHP−55をエタノール8重量部、水2重量部の混液に溶解した結合剤液を添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し篩過して得られた造粒物に、混合用の添加剤を秤取、混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、2.5kNの打錠圧で直径8.5mm(平面隅角)の杵を用いて、実施例2−11,2−12では重量250mgの錠剤に、実施例2−13〜2−15については重量240mgの錠剤に製した。
実施例2−11〜2−15で得られた錠剤について、溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表14に示す。
Figure 2020196713
実施例2−11〜2−15の錠剤は、口腔内崩壊時間が20秒以内、日局崩壊時間およびトリコープテスタによる崩壊時間が25秒以内であり、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で75%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。
[試験例2−6]
水不溶性高分子としてAQOAT LGを、水溶性高分子としてHPC−L、プラスドン K29/30、およびPVA EG-05を用い、崩壊剤と有機酸を類似させた配合処方系での組み合わせによる比較実験を実施した。
表15に示す処方に準じて造粒用の各成分それぞれ(水不溶性高分子および水溶性高分子を除く)について、50錠相当分を乳鉢中に秤取し、AQOAT LG、HPC−L、およびプラスドンK29/30についてはエタノール8重量部、水2重量部の混液に溶解した結合剤液として、またPVA EG−05については水で溶解した液を結合剤液として添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し篩過して得られた造粒物に、混合用の添加剤を秤取、混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、直径8.5mm(平面隅角)の杵を用いて重量240mg、硬度40〜50Nの錠剤に製した。
実施例2−16,2−17および比較例7〜9で得られた錠剤について、溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表15に示す。
Figure 2020196713
実施例2−16,2−17の錠剤は、口腔内崩壊時間、日局崩壊時間、トリコープテスタによる崩壊時間ともに20秒以内であり、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で75%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。
一方、比較例7〜9の錠剤は、溶出率は45分で80%以上であったが、口腔内崩壊時間およびトリコープテスタによる崩壊時間が60秒以上、日局崩壊時間が50秒以上であり、水溶性高分子を用いた比較例の錠剤は明らかに遅延した崩壊速度を有していた。
[試験例2−7]
結合剤をAQOAT LGとし、有機酸を配合しない場合の各種崩壊剤の添加効果に関して検討を実施した。
表16に示す処方に準じて、表17に示す水膨潤性崩壊剤を配合して、実施例2−18〜2−23の錠剤を製した。造粒用の各成分それぞれ(AQOAT LGを除く)について、50錠相当分を乳鉢中に秤取し、AQOAT LGをエタノール8重量部、水2重量部の混液に溶解した結合剤液を添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し篩過して得られた造粒物に、混合用の添加剤を秤取、混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢とし、直径8.5mm(平面隅角)の杵を用いて、打錠圧2kNで重量240mgの錠剤に製した。
実施例2−18〜2−23で得られた錠剤について、溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表18に示した。
Figure 2020196713
Figure 2020196713
Figure 2020196713
実施例2−18〜2−23の錠剤は、口腔内崩壊時間、日局崩壊時間による崩壊時間ともに25秒以内であり、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で65%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。
[試験例2−8]
崩壊剤として試験例2−7で良好な結果が得られたプリモジェルを用い、各種水不溶性高分子を結合剤として用いた場合の、崩壊性と溶出性に及ぼす効果に関して検討を実施した。
表19に示す処方に準じて、表20に示す水不溶性高分子を結合剤として用い、実施例2−24,2−25および比較例10〜16の錠剤を製した。造粒用の各成分それぞれ(水不溶性高分子を除く)について、50錠相当分を乳鉢中に秤取し、腸溶性高分子をエタノール8重量部と水2重量部の混液に溶解した結合剤液を添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し篩過して得られた造粒物に、混合用の添加剤を秤取、混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢とし、直径8.5mm(平面隅角)の杵を用いて、(打錠圧2kNで)重量240mgの錠剤に製した。
実施例2−24,2−25および比較例10〜16で得られた錠剤について、溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表21に示す。
Figure 2020196713
Figure 2020196713
Figure 2020196713
実施例2−24,2−25の水不溶性高分子であってグルコース環を構成単位とする腸溶性高分子を結合剤として用いて製した錠剤は、口腔内崩壊時間、日局崩壊時間による崩壊時間、トリコープテスタによる崩壊時間ともに25秒以内であり、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で70%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。
対して、比較例10〜12のアクリル酸系腸溶性高分子、アクリル酸系徐放性高分子、およびグルコース環を構成単位とする水不溶性高分子を結合剤として用いて製した錠剤は、口腔内崩壊時間、日局崩壊時間による崩壊時間ともに25秒以内であり、崩壊特性は優れていたが、45分の薬物の溶出率が60%に届かず、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有していなかった。また、比較例13〜16のアクリル酸系胃溶性高分子、ポリビニルアセタール系胃溶性高分子、およびグルコース環を構成単位とする水溶性高分子を結合剤として用いて製した錠剤は、45分の薬物の溶出率は60%以上であるものの、口腔内崩壊時間、日局崩壊時間による崩壊時間、トリコープテスタによる崩壊時間ともに30秒以上であり、口腔内崩壊錠には適さない遅延した崩壊特性を有する錠剤であった。
[試験例2−9]
(C)結合剤としてAQOAT AS−LFの微細粉末を用い、これを水に懸濁して造粒する方法に関して検討した。
エドキサバントシル酸塩水和物を4.04g、ペアリトール50Cを3.21g、NS−300を0.5g、L−アスパラギン酸を1.5gとり混合し、0.25gのAQOAT AS−LFを適量の水に懸濁した溶液を添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し、篩過して得られた造粒物に、グラニュトールRを1.35g、ポリプラスドンXL−10を0.5g、NS−300を0.5g、アドソリダー101を0.15gとり混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、直径8.5mm(隅角平面)の杵を用い2.8kNの成形圧で打錠し重量240mgの錠剤に製して、実施例34の錠剤とした。
実施例2−26で得られた錠剤について、溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表22に示す。
Figure 2020196713
AQOATの粉末を水に懸濁した溶液で造粒して製した実施例2−26の錠剤は、口腔内崩壊時間および日局崩壊時間が25秒以内、トリコープテスタによる崩壊時間が30秒以内であり、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で80%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。
[試験例2−10]
賦形剤として有機酸でもあるグリシンを用いて口腔内崩壊錠を製した。結合剤をAQOAT AS−LFとし、結合剤中に微量のHPC−Lを配合した。
エドキサバントシル酸塩水和物を4.04g、グリシンを3.86g、L−HPC B1を1.5gとり混合し、0.09gのAQOAT AS−LFと0.01gのHPC−Lをエタノール8重量部と水2重量部の混液に溶解した結合剤液を添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し、篩過して得られた造粒物に、グラニュトールRを1.35g、ポリプラスドンXL−10を0.5g、NS−300を0.5g、アドソリダー101を0.15gとり混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、直径8.5mm(隅角平面)の杵を用い。2.2kNの成形圧で打錠し重量240mgの錠剤に製して、実施例2−27の錠剤とした。
実施例2−27で得られた錠剤について、溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表23に示す。
Figure 2020196713
有機酸であるグリシンを賦形剤的に用いた実施例2−27の錠剤は、口腔内崩壊時間、日局崩壊時間、およびトリコープテスタによる崩壊時間が25秒以内であり、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で70%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。
以上に開示された実施の形態と実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態と実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものである。

Claims (12)

  1. (A)エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物と、
    (i)(B)有機酸と、(C)結合剤とを含有し、前記結合剤は水不溶性高分子である、
    または、
    (ii)(B)崩壊剤と、(C)結合剤とを含有し、前記結合剤は水不溶性高分子であり、グルコース環を構成単位として有する腸溶性高分子である、口腔内崩壊錠。
  2. (A)エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物と、
    (B)有機酸と、
    (C)結合剤とを含有し、
    前記結合剤は水不溶性高分子である、請求項1に記載の口腔内崩壊錠。
  3. 少なくとも前記(A)および前記(C)は、造粒物として含有されている、請求項1または請求項2に記載の口腔内崩壊錠。
  4. 前記(B)が前記造粒物に含有されている、請求項3に記載の口腔内崩壊錠。
  5. 前記造粒物の表面の少なくとも一部には前記(C)が存在する、請求項3又は請求項4に記載の口腔内崩壊錠。
  6. 前記造粒物は崩壊剤をさらに含む、請求項3から請求項5までのいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
  7. 前記崩壊剤は、水不溶性かつ水膨潤性である、請求項6に記載の口腔内崩壊錠。
  8. 前記水不溶性高分子は腸溶性高分子である、請求項2から請求項7までのいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
  9. (A)エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物と、
    (B)有機酸と、
    (C)結合剤とを含有する口腔内崩壊錠を製造する方法であって、
    前記(A)、前記(B)および前記(C)を含む造粒物を得る工程(1−I−1)と、
    得られた造粒物を含む打錠用混合物を打錠する工程(1−II−1)とを含み、
    前記結合剤として水不溶性高分子を用いる、口腔内崩壊錠の製造方法。
  10. 前記工程(1−I−1)においては、前記(C)を含む溶液又は分散液を用いる湿式造粒を行う、請求項9に記載の製造方法。
  11. (A)エドキサバン、その薬理上許容される塩、又はそれらの溶媒和物と、
    (B)有機酸と、
    (C)結合剤とを含有する口腔内崩壊錠を製造する方法であって、
    前記(A)および前記(C)を含む造粒物を得る工程(1−I−2)と、
    得られた造粒物および前記(B)を含む打錠用混合物を打錠する工程(1−II−2)とを含み、
    前記結合剤として水不溶性高分子を用いる、口腔内崩壊錠の製造方法。
  12. 前記工程(1−I−2)においては、前記(C)を含む溶液又は分散液を用いる湿式造粒を行う、請求項11に記載の製造方法。
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