JP2020070287A - 口腔内崩壊錠及びその製造方法 - Google Patents

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陽彦 洞口
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Abstract

【課題】メマンチン又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する口腔内崩壊錠において、当該有効成分を含む粒子のマスキング(コーティング)工程における噴霧ノズルの詰まりを解消して錠剤の製造作業性を改善すること、且つ、長期保管後に崩壊遅延を引き起こさない口腔内崩壊錠を提供すること。【解決手段】メマンチン又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含む口腔内崩壊錠であって、(メタ)アクリル酸系ポリマーを含まず、エチルセルロースを含む、口腔内崩壊錠。【選択図】なし

Description

本発明は、メマンチン又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する口腔内崩壊錠であって、有効成分の苦みをマスキング(コーティング)する製造工程における作業性が改善し、及び、長期にわたり優れた崩壊性を示す、口腔内崩壊錠及びその製造方法に関する。
アルツハイマー型認知症は、認知機能低下、人格の変化を主な症状とする認知症の一種であり、徐々に進行する認知障害(記憶障害、見当識障害、学習障害、注意障害、空間認知機能や問題解決能力の障害等)である。
アルツハイマー型認知症の治療薬として、メマンチン塩酸塩(3,5−ジメチルトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−1−アミン・塩酸塩)を有効成分として含有する薬剤が知られており、日本では2011年からその錠剤が販売されている。
アルツハイマー型認知症患者は高齢者が多く、嚥下困難なことも知られている。そのため、メマンチン塩酸塩を始めとする、アルツハイマー型認知症治療薬の口腔内崩壊錠の有用性が期待されていた。そこで、メマンチン塩酸塩を有効成分として含有する口腔内崩壊錠が開発され、日本では2014年より「メマリー(登録商標)OD錠」として発売されている(非特許文献1)。口腔内崩壊錠は、服用後口腔内で迅速に崩壊するため、高齢者のみならず小児等にも飲みやすく、また水なしで服用することができる。
一方、メマンチン塩酸塩を有効成分として含む口腔内崩壊錠は、口腔内で崩壊するために、服用時に当該有効成分由来の不快な味が感じられることがある。服薬コンプライアンスの面からは、口中に含んだ時に不快な味や刺激が抑制され、良好な口当たりを有することが望ましい。そのために、メマンチン又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する口腔内崩壊錠を製造する場合において、当該有効成分或いは当該有効成分を含む(造粒物等の)粒子をマスキング(コーティング)することが必要となる。
特許文献1には、薬物(メマンチン塩酸塩)、かさ密度が0.23g/cm以下の結晶セルロース、糖アルコール及びアルファー化デンプンを含有する口腔内崩壊錠が開示されている。また、薬物は、所望により、粉末状の薬物の表面(結晶の表面)又は造粒された薬物の顆粒表面をコーティングして用いてもよい旨の記載がある。
非特許文献1には、「メマリー(登録商標)OD錠」の処方が開示されており、製剤用添加剤として、D−マンニトール、結晶セルロース、カルメロースカルシウム、アルファー化デンプン、クロスポビドン、メタクリル酸コポリマーLD等が用いられている。このうち、メタクリル酸コポリマーLDはオイドラギット(登録商標)の1種であり、オイドラギット(登録商標)がマスキング剤として用いられることは当業者に知られている。
国際公開第2013/161823号
「メマリー(登録商標)OD錠」医薬品インタビューフォーム2018年6月改定(第15版)
前述したとおり、メマンチン又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する口腔内崩壊錠を製造する場合において、当該有効成分或いは当該有効成分を含む(造粒物等の)粒子をマスキング(コーティング)することが必要となる。
有効成分又は有効成分を含む粒子をマスキングするにあたり、マスキング剤(コーティング剤)を含む溶液乃至分散液を調製し、スプレーガン等の噴霧ノズルを用いて、当該溶液乃至分散液を当該有効成分又は当該粒子上に噴霧して、マスキングを行う手法が広く知られている。
本発明者らは、メマンチン又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する口腔内崩壊錠を製造する場合において、当該有効成分を含む粒子をマスキングするにあたり、マスキング剤として、メタクリル酸コポリマー等の(メタ)アクリル酸系ポリマー(オイドラギット(登録商標)等) を用いると、当該マスキング剤を含む溶液乃至分散液を噴霧ノズルを使用して当該粒子上に噴霧する際に噴霧ノズルが詰まるといった問題が生じることを見出した。そして、鋭意検討の結果、マスキング工程において、メマンチン又はその薬学的に許容される塩と(メタ)アクリル酸系ポリマーとが反応してゲル化することが当該問題の原因であることを見出した。
更に、本発明者らは、メマンチン又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する口腔内崩壊錠において、マスキング剤として(メタ)アクリル酸系ポリマーを用いると、長期保管後に崩壊遅延が起こり得ることを見出した。
本発明は、メマンチン又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する口腔内崩壊錠において、当該有効成分を含む粒子のマスキング(コーティング)工程における噴霧ノズルの詰まりを解消して錠剤の製造作業性を改善すること、且つ、長期保管後に崩壊遅延を引き起こさない口腔内崩壊錠を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、メマンチン又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する口腔内崩壊錠において、マスキング剤として(メタ)アクリル酸系ポリマーを配合せず、それに代えて、エチルセルロースを配合することにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の(1)ないし(21)を提供するものである。
(1)メマンチン又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含む口腔内崩壊錠であって、(メタ)アクリル酸系ポリマーを含まず、エチルセルロースを含む、口腔内崩壊錠。
(2)エチルセルロースの配合量が、メマンチン又はその薬学的に許容される塩の質量に対して5〜45質量%である、上記(1)に記載の口腔内崩壊錠。
(3)エチルセルロースの配合量が、メマンチン又はその薬学的に許容される塩の質量に対して25〜40質量%である、上記(1)または(2)に記載の口腔内崩壊錠。
(4)エチルセルロースの配合量が、メマンチン又はその薬学的に許容される塩の質量に対して30〜35質量%である、上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
(5)(メタ)アクリル酸系ポリマーが、メタクリル酸コポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、メタクリルエステルコポリマー及びアンモニオアルキルメタクリレートコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種である、上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
(6)コア粒子及び被覆層からなる被覆粒子を含み、
前記コア粒子がメマンチン又はその薬学的に許容される塩を含み、
前記被覆層が、メマンチン塩酸塩又はその薬学的に許容される塩及び(メタ)アクリル酸系ポリマーのいずれも含まず、エチルセルロースを含む、上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
(7)前記被覆層が口腔内崩壊錠の最外層ではない、上記(6)に記載の口腔内崩壊錠。
(8)前記被覆層が、タルク、ヒプロメロース、ポリソルベート、可塑剤、酸化チタン及びポリエチレングリコールからなる群から選択される少なくとも1種を更に含む、上記(6)または(7)に記載の口腔内崩壊錠。
(9)前記被覆層がタルクを更に含む、上記(6)ないし(8)のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
(10)タルクの配合量が、メマンチン又はその薬学的に許容される塩の質量に対して1〜15質量%である、上記(9)に記載の口腔内崩壊錠。
(11)前記コア粒子が造粒物である、上記(6)ないし(10)に記載の口腔内崩壊錠。
(12)甘味料を更に含む、上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
(13)前記甘味料がアスパルテームである、上記(12)に記載の口腔内崩壊錠。
(14)崩壊剤を更に含む、上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
(15)前記崩壊剤が、クロスポビドン、カルメロース、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム及びポリビニルピロリドンからなる群から選択される少なくとも1種である、上記(14)に記載の口腔内崩壊錠。
(16)前記崩壊剤が、クロスポビドン、カルメロースカルシウム及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択される少なくとも1種である、上記(14)又は(15)に記載の口腔内崩壊錠。
(17)メマンチン又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含む口腔内崩壊錠であって、(メタ)アクリル酸系ポリマーを含まず、エチルセルロース及びタルクを含み、アスパルテームを含み、クロスポビドン、カルメロースカルシウム及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む、口腔内崩壊錠。
(18)コア粒子及び被覆層からなる被覆粒子を含み、
前記コア粒子がメマンチン又はその薬学的に許容される塩を含み、
前記被覆層が、メマンチン塩酸塩又はその薬学的に許容される塩及び(メタ)アクリル酸系ポリマーのいずれも含まず、エチルセルロース及びタルクを含み、
更に、クロスポビドン、カルメロースカルシウム及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びを含む、上記(17)に記載の口腔内崩壊錠。
(19)エチルセルロースの配合量が、メマンチン又はその薬学的に許容される塩の質量に対して25〜40質量%である、上記(17)又は(18)に記載の口腔内崩壊錠。
(20)(a)メマンチン又はその薬学的に許容される塩を含む粒子を調製する工程、
(b)工程(a)で得られた粒子を、メマンチン塩酸塩又はその薬学的に許容される塩及び(メタ)アクリル酸系ポリマーのいずれも含まず、エチルセルロース及びタルクを含む被覆剤で被覆する工程、
(c)工程(b)で得られた被覆粒子を崩壊剤と混合する工程、及び
(d)工程(c)で得られた混合物を打錠する工程
を含む、口腔内崩壊錠の製造方法。
(21)前記工程(a)が、メマンチン又はその薬学的に許容される塩を少なくとも賦形剤と共に造粒することにより、造粒物である粒子を調製する工程である、上記(20)に記載の口腔内崩壊錠の製造方法。
本発明では、メマンチン又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する口腔内崩壊錠の製造中の当該有効成分を含む粒子のマスキング(コーティング)工程における噴霧ノズルの詰まりが解消される。したがって、本発明により、メマンチン又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する口腔内崩壊錠の製造作業性が改善する。これにより、口腔内崩壊錠の製造効率が向上する。
また、本発明の口腔内崩壊錠は、長期保管後も崩壊遅延を引き起こさない。したがって、本発明の口腔内崩壊錠は長期に亘って安定な口腔内崩壊性を備えることができる。そして、本発明の口腔内崩壊錠は、長期に亘り、有効成分の優れた溶出性を発揮することができる。
本発明の口腔内崩壊錠は、メマンチン又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含むものであって、更に、(メタ)アクリル酸系ポリマーを含まず、且つ、エチルセルロースを含む。
[メマンチン]
本発明の口腔内崩壊錠はメマンチン又はその薬学的に許容される塩を含む。
メマンチンは(3,5−ジメチルトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−1−アミン又は1−アミノ−3,5−ジメチル−アダマンタン)であり、下記の化学構造を有する。
Figure 2020070287
メマンチンはグルタミン酸受容体のサブタイプの1つであるNMDA(N−メチル−D−アスパルテート)受容体拮抗剤として機能するものであり、アルツハイマー型認知症の治療(ここでの「治療」には症状の進行抑制を含む)に有効である。
メマンチン又はその薬学的に許容される塩は本発明の口腔内崩壊錠の有効成分である。メマンチン又はその薬学的に許容される塩は粉体等の粒子の形態として存在することが好ましい。
メマンチンの薬学的に許容される塩は、特に限定されるものではないが、例えば、酸付加塩が挙げられる。
酸付加塩を形成するために使用可能な酸としては、特に限定されるものではないが、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸及びリン酸、並びに、有機酸、例えば、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、酒石酸、二酒石酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ベシル酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、ギ酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、乳酸、シュウ酸、p-ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸及び酢酸が挙げられる。塩酸が好ましい。したがって、メマンチンの薬学的に許容される酸付加塩としては、塩酸塩が好ましい。
本発明の口腔内崩壊錠に含まれるメマンチン又はその薬学的に許容される塩の配合量は特に限定されないが、錠剤の全質量を基準として、1〜15質量%であることが好ましく、3〜12質量%であることがより好ましく、5〜8質量%であることが特に好ましい。
本発明の有効成分がメマンチン塩酸塩の場合は、例えば、1錠剤中に5mg、10mg又は20mgのメマンチン塩酸塩を配合することが好ましい。
[エチルセルロース]
本発明の口腔内崩壊錠はエチルセルロースを含む。
エチルセルロースはコーティング剤(被覆剤)又はマスキング剤として使用されることが好ましい。特に、エチルセルロースはメマンチン若しくはその薬学的に許容される塩、又は、メマンチン又はその薬学的に許容される塩を含む(造粒物等の)粒子のコーティング(被覆)又はマスキングに使用されることが好ましい。これにより、本発明の口腔内崩壊錠が口腔内で崩壊しても、メマンチン又はその薬学的に許容される塩に由来する苦み等の不快な味を抑制することができる。
エチルセルロースをコーティング又はマスキングに使用する場合は、エチルセルロースをエタノール等の溶媒に溶解させ、得られた溶液をメマンチン若しくはその薬学的に許容される塩、又は、メマンチン又はその薬学的に許容される塩を含む粒子の表面に被覆し、乾燥してコーティング(被覆)層又はマスキング層を形成することが好ましい。前記溶液には必要に応じて他の成分を配合してもよい。
エチルセルロース以外でコーティング又はマスキングに使用する他の成分としてはタルクが好ましい。したがって、前記コーティング(被覆)層又はマスキング層にはタルクが含まれていることが好ましい。前記コーティング(被覆)層又はマスキング層中のタルクの配合量は特に限定されないが、メマンチン又はその薬学的に許容される塩の質量に対して1〜15質量%であることが好ましく、3〜12質量%がより好ましく、5〜10質量%が更により好ましい。
本発明の口腔内崩壊錠に含まれるエチルセルロースの配合量は特に限定されないが、メマンチン又はその薬学的に許容される塩の質量に対して5〜45質量%であることが好ましく、25〜40質量%であることがより好ましく、30〜35質量%であることが更により好ましい。
本発明の口腔内崩壊錠に含まれるエチルセルロースの配合量は、錠剤の全質量を基準として、0.1〜8質量%であることが好ましく、0.5〜6質量%であることがより好ましく、1.0〜4質量%であることが更により好ましい。
[(メタ)アクリル酸系ポリマー]
本発明の口腔内崩壊錠は(メタ)アクリル酸系ポリマーを含まない。
本発明において(メタ)アクリル酸系ポリマーとは、(メタ)アクリル酸又はその誘導体からなるポリマーを意味する。(メタ)アクリル酸の誘導体としては、例えば、メチルメタクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート、及び、トリメチルアンモニウムエチルメタクリレート等のアンモニオアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリル酸系ポリマーは、メタクリル酸コポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、メタクリルエステルコポリマー、及び、アンモニオアルキルメタクリレートコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸系ポリマーとしては、メタクリル酸コポリマーがより好ましい。
メタクリル酸コポリマーとしては、メタクリル酸/メタクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸/アクリル酸エチル共重合体、アクリル酸メチル/メタクリル酸メチル/メタクリル酸共重合体等が挙げられる。
メタクリル酸コポリマーとしては、メタクリル酸/アクリル酸エチル共重合体(医薬品添加物規格「メタクリル酸コポリマーLD」に対応)が好ましく、例えば、オイドラギットL30D−55(商品名;エボニック社製)、コリコートMAE30DP(商品名;BASF社製)、ポリキッドPA30(商品名;三洋化成社製)等が挙げられる。
[製剤用添加物]
本発明の口腔内崩壊錠は、メマンチン又はその薬学的に許容される塩及びエチルセルロースに加えて、錠剤乃至口腔内崩壊錠に通常配合される「製剤用添加物」を含むことができる。本発明の口腔内崩壊錠は、製剤用添加物として、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、コーティング剤、流動化剤、滑沢剤、甘味剤、矯味剤、香料等の1種又は2種以上含むことができる。
賦形剤は、特に限定されないが、糖質類、デンプン類、セルロース類等が挙げられる。
糖質類としては、固形医薬製剤の分野で使用されている単糖、二糖、及び、糖アルコールが挙げられ、具体的には、乳糖水和物、無水乳糖、白糖、精製白糖、果糖、ブドウ糖、ブドウ糖水和物、D−マンニトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、イソマル水和物等を挙げることができる。
デンプン類としては、トウモロコシデンプン、小麦澱粉、米澱粉、馬鈴薯デンプン等を挙げることができる。
セルロース類としては、結晶セルロース、粉末セルロース等を挙げることができる。
上述した賦形剤のうち、好ましいものは、例えば、D−マンニトール、キシリトール、ソルビトール、乳糖水和物、イソマル水和物、トウモロコシデンプン、結晶セルロースなどである。さらに好ましいものは、D−マンニトール、キシリトール、ソルビトール、トウモロコシデンプン、結晶セルロースであり、とりわけ好ましいものは、D−マンニトール、トウモロコシデンプン、結晶セルロースであり、特に好ましいものは、D−マンニトール及び結晶セルロースである。
賦形剤の配合量は、口腔内崩壊錠の全質量を基準として、例えば、60〜90質量%であり、好ましくは65〜85質量%であり、より好ましくは70〜80質量%である。
崩壊剤は、特に限定されないが、例えば、クロスポビドン、カルメロース、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルスターチ、結晶セルロース等を用いてもよい。これらのうち、好ましいものは、クロスポビドン、カルメロース、カルメロースカルシウム及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、より好ましいものは、クロスポビドン、カルメロースカルシウム及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースである。
崩壊剤の配合量は、口腔内崩壊錠の全質量を基準として、例えば、1〜30質量%であり、好ましくは1〜20質量%であり、より好ましくは2〜15質量%、さらにより好ましくは5〜15質量%である。崩壊剤としてクロスポビドン、カルメロースカルシウム及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの少なくとも1種を用いた場合の配合量は、製剤の全重量を基準として、例えば、1〜20重量%であり、好ましくは2〜10重量%であり、より好ましくは7〜10重量%である。
結合剤は、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール(部分けん化物又は完全けん化物)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、アルファー化デンプン等を用いてもよい。これらのうち、好ましいものは、ポリビニルアルコール(部分けん化物又は完全けん化物)、ヒプロメロース、アルファー化デンプンであり、より好ましいものは、ポリビニルアルコール及びヒドロキシプロピルセルロースである。
結合剤の配合量は、口腔内崩壊錠の全質量を基準として、例えば、0.01〜10質量%であり、好ましくは0.1〜8質量%であり、より好ましくは0.1〜3質量%である。
エチルセルロース以外のコーティング剤は、特に限定されないが、例えば、タルク、ヒプロメロース、ポリソルベート、可塑剤、酸化チタン、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられ、それらからなる群から選択される1種又は2種以上のコーティング剤を含んでいてもよい。
ポリソルベートとしては、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80等が挙げられる。
ポリエチレングリコール(マクロゴール類)の平均分子量は200〜20000が好ましく、300〜10000がより好ましく、400〜6000が更により好ましい。ここでの平均分子量は数平均分子量であってよい。ポリエチレングリコール(マクロゴール類)は、特に限定されないが、例えば、マクロゴール400、マクロゴール4000、マクロゴール6000、マクロゴール20000が挙げられ、好ましいものはマクロゴール400、マクロゴール4000、マクロゴール6000であり、より好ましいものは、マクロゴール4000及びマクロゴール6000である。
可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、クエン酸トリエチル、トリアセチン、プロピレングリコール、モノステアリン酸グリセリン、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、D‐ソルビトール、ヒマシ油、及び、これらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
これらのうち、好ましいものは、クエン酸トリエチル、酸化チタン、タルクであり、より好ましいものは、タルクである。
エチルセルロース以外のコーティング剤の配合量は、口腔内崩壊錠の全質量を基準として、例えば、0.01〜5質量%であり、好ましくは0.05〜3質量%であり、より好ましくは0.1〜1質量%である。
流動化剤は、特に限定されないが、例えば、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、乾燥水酸化アルミニウムゲル、カオリン、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、タルク等を用いることができる。これらのうち、好ましいものは、二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、タルクであり、より好ましいものは、タルクである。
流動化剤の配合量は、口腔内崩壊錠の全質量を基準として、例えば、0.1〜15質量%であり、好ましくは0.1〜10質量%であり、より好ましくは0.1〜5質量%である。
滑沢剤は、特に限定されないが、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム、水素添加植物油、マイクロクリスタリンワックス、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール等を使用してもよい。これらのうち、好ましいものは、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウムであり、より好ましいものは、ステアリン酸マグネシウムである。
滑沢剤の配合量は、口腔内崩壊錠の全質量を基準として、例えば、0.01〜7質量%であり、好ましくは0.01〜5質量%であり、より好ましくは0.01〜3質量%である。
甘味剤は、特に限定されないが、例えば、蜂蜜、サッカリン、甘草およびその抽出物、グリチルリチン酸、甘茶、アスパルテーム、ステビア、ソーマチン、アセスルファムカリウム、スクラロース等を使用することができる。これらのうち、好ましいものは、アスパルテーム及びステビアであり、より好ましいものは、アスパルテームである。
甘味料の配合量は、口腔内崩壊錠の全質量を基準として、例えば、0.1〜5質量%であり、好ましくは0.1〜3質量%であり、より好ましくは0.1〜2質量%である。
矯味剤は、特に限定されないが、例えば、シクロデキストリン、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、DL−リンゴ酸、グリシン、DL−アラニン、塩化ナトリウム等を使用することができる。これらのうち、より好ましいものは、クエン酸である。
矯味剤の配合量は、口腔内崩壊錠の全質量を基準として、例えば、0.1〜5質量%であり、好ましくは0.1〜3質量%であり、より好ましくは0.1〜2質量%である。
本発明の口腔内崩壊錠は、少なくとも1種の崩壊剤を含むことが好ましい。また、本発明の口腔内崩壊錠は、少なくとも1種の甘味料を含むことが好ましい。なお、本発明の口腔内崩壊錠は、更に、発泡剤、香料、着色料等の固形医薬製剤の分野において汎用の成分を含むことができる。
本発明の口腔内崩壊錠としては、メマンチン又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含む口腔内崩壊錠であって、
(メタ)アクリル酸系ポリマーを含まず、
エチルセルロース及びタルクを含み、
アスパルテームを含み、
クロスポビドン、カルメロースカルシウム及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む、口腔内崩壊錠が好ましい。
上記口腔内崩壊錠において、エチルセルロースの配合量が、メマンチン又はその薬学的に許容される塩の質量に対して25〜40質量%であることがより好ましい。
[被覆粒子]
本発明の口腔内崩壊錠は、コア粒子及び被覆層からなる被覆粒子を含み、
前記コア粒子がメマンチン又はその薬学的に許容される塩を含み、
前記被覆層が、メマンチン塩酸塩又はその薬学的に許容される塩及び(メタ)アクリル酸系ポリマーのいずれも含まず、エチルセルロースを含むことが好ましい。
上記の好ましい態様において、本発明の口腔内崩壊錠は少なくとも1つの被覆粒子を含むものであり、複数の被覆粒子を含んでもよい。
前記被覆粒子は、コア粒子と少なくとも1つの被覆層を備えるものであり、複数の被覆層を備えていてもよい。例えば、前記被覆粒子は、1つのコア粒子と1つの被覆層から構成されてもよく、又は、1つのコア粒子と複数の被覆層から構成されていてもよい。
前記コア粒子は、メマンチン又はその薬学的に許容される塩を含む限り、その形態は特に限定されないが、コア粒子の内部にメマンチン又はその薬学的に許容される塩を含むことが好ましい。すなわち、メマンチン又はその薬学的に許容される塩は前記コア粒子の表面だけでなく内部にも含まれていることが好ましい。
前記被覆層は、口腔内崩壊錠の最外層ではないことが好ましい。前記被覆層は前記コア粒子に接触して存在することが好ましい。
前記コア粒子はメマンチン又はその薬学的に許容される塩に加えて上記製剤用添加物を含むことが好ましい。上記製剤用添加物としては、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤等が挙げられる。
前記コア粒子は造粒物であることが好ましい。造粒物としてのコア粒子は、例えば、メマンチン又はその薬学的に許容される塩と共に上記製剤用添加物を用いて造粒することにより得ることができる。
前記コア粒子は賦形剤を含むことが好ましい。前記コア粒子用の賦形剤としては、具体的には、既述したものを使用することができるが、マンニトール及び結晶セルロースが好ましい。
賦形剤の配合量は、コア粒子の全質量を基準として、例えば、45〜75質量%であり、好ましくは50〜70質量%であり、より好ましくは55〜65質量%である。
前記コア粒子は、崩壊剤を含むことが好ましい。前記コア粒子用の賦形剤としては、具体的には、既述したものを使用することができるが、カルメロースカルシウムが好ましい。
崩壊剤の配合量は、コア粒子の全質量を基準として、例えば、1〜12質量%であり、好ましくは3〜10質量%であり、より好ましくは5〜8質量%である。
前記コア粒子は、結合剤を含むことが好ましい。前記コア粒子用の結合剤としては、具体的には、既述したものを使用することができるが、ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。
結合剤の配合量は、コア粒子の全質量を基準として、例えば、0.1〜8質量%であり、好ましくは1〜6質量%であり、より好ましくは2〜4質量%である。
前記コア粒子は、流動化剤を含むことが好ましい。前記コア粒子用の流動化剤としては、具体的には、既述したものを使用することができるが、タルクが好ましい。
流動化剤の配合量は、コア粒子の全質量を基準として、例えば、0.1〜10質量%であり、好ましくは1〜8質量%であり、より好ましくは2〜6質量%である。
上記の好ましい態様において、前記被覆層は、メマンチン塩酸塩又はその薬学的に許容される塩及び(メタ)アクリル酸系ポリマーのいずれも含まず、エチルセルロースを含む。
前記被覆層に占めるエチルセルロースの割合は特に限定されないが、被覆層の全質量を基準として、35〜100質量%が好ましく、40〜80質量%がより好ましく、45〜60質量%がより好ましい。
前記被覆層はエチルセルロースに加えてコーティング剤を含むことができる。コーティング剤としては、タルク、ヒプロメロース、ポリソルベート、可塑剤、酸化チタン及びポリエチレングリコールからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。前記被覆層はタルクを含むことがより好ましい。
前記被覆層に占めるエチルセルロース以外のコーティング剤の割合は特に限定されないが、被覆層の全質量を基準として、5〜35質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましく、15〜25質量%がより好ましい。
前記被覆層がタルクを含む場合は、前記被覆層中のタルクの量は、メマンチン又はその薬学的に許容される塩の質量に対して、1〜15質量%が好ましく、3〜12質量%がより好ましく、5〜10質量%が更により好ましい。
前記被覆層の量は、メマンチン又はその薬学的に許容される塩の質量に対して、5〜70質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましく、20〜50質量%が更により好ましい。
本発明の口腔内崩壊錠としては、
コア粒子及び被覆層からなる被覆粒子を含み、
前記コア粒子がメマンチン又はその薬学的に許容される塩を含み、
前記被覆層が、メマンチン塩酸塩又はその薬学的に許容される塩及び(メタ)アクリル酸系ポリマーのいずれも含まず、エチルセルロース及びタルクを含み、
更に、クロスポビドン、カルメロースカルシウム及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む、口腔内崩壊錠がより好ましい。
上記口腔内崩壊錠において、エチルセルロースの配合量が、メマンチン又はその薬学的に許容される塩の質量に対して25〜40質量%であることが更により好ましい。
[製造]
本発明の口腔内崩壊錠は常法により製造することができる。例えば、既述した本発明の口腔内崩壊錠の必須成分及び任意成分を混合し、得られた混合物を、そのまま、若しくは、必要に応じて更に混合、造粒、整粒等の工程を経て、打錠等の常法により圧縮成形することによって本発明の口腔内崩壊錠を製造することができる。
上記の混合に際して用いることのできる混合機としては、特に限定されず、公知の混合機を用いることができる。
本発明において、造粒の手法は特に限定されず、例えば、湿式造粒法、乾式造粒法等を採用することができる。造粒には、例えば、流動層造粒装置、転動型造粒装置、ワースター型造粒装置、攪拌造粒装置等の公知の造粒装置を適宜選択して用いることができる。また、本発明において、造粒とは、単一又は複数成分からなる粉末原料を、結合剤等を用いて、凝集させることにより、原料より大きな粒状に加工する操作を意味し、被覆造粒等もこれに含まれる。
上記の打錠に用いられる打錠機についても、特に限定されず、例えば、ロータリー式打錠機、単発打錠機等の公知の打錠機を適宜選択して用いることができる。
被覆粒子を含む本発明の口腔内崩壊錠は、例えば、造粒等によってメマンチン又はその薬学的に許容される塩を含む粒子を調製し、当該粒子を被覆剤(マスキング剤)で被覆することにより被覆粒子を調製し、得られた被覆粒子を更に崩壊剤を含む各種の添加物と共に混合して打錠機等により打錠することによって製造することができる。
具体的には、例えば、流動層造粒機を用いて、メマンチン又はその薬学的に許容される塩を含む造粒物を調製し、被覆剤(マスキング剤)を含む溶液又は分散液で噴霧コーティングすることでその造粒物を被覆(マスキング)して被覆粒子を製造し、得られた被覆粒子を崩壊剤等の製剤用添加剤と混合して、その混合物を、打錠等の常法により圧縮成形することによって本発明の口腔内崩壊錠を製造することができる。
本発明の製造方法の一態様では、具体的には、
(a)メマンチン又はその薬学的に許容される塩を含む粒子を調製する工程、
(b)工程(a)で得られた粒子を、メマンチン塩酸塩又はその薬学的に許容される塩及び(メタ)アクリル酸系ポリマーのいずれも含まず、エチルセルロース及びタルクを含む被覆剤で被覆する工程、
(c)工程(b)で得られた被覆粒子を崩壊剤と混合する工程、及び
(d)工程(c)で得られた混合物を打錠する工程
を経て、被覆粒子を含む本発明の口腔内崩壊錠を製造することができる。
前記工程(a)は、メマンチン又はその薬学的に許容される塩を少なくとも賦形剤と共に造粒することにより、造粒物である粒子を調製する工程であることが好ましい。
前記工程(a)は、例えば、流動層造粒装置を使用する流動層造粒法によって実施することができる。
具体的には、メマンチン又はその薬学的に許容される塩を少なくとも賦形剤と混合し、必要に応じて、結合剤等を含む造粒液を噴霧し、造粒を行い、得られた造粒物を乾燥することによって、メマンチン又はその薬学的に許容される塩を含む粒子を得ることができる。
前記造粒液は常温・常圧で揮発性の水性媒体を含むことが好ましく、水性媒体としては水、又は、エタノール等の低級アルコールがより好ましく、水が更により好ましい。
前記工程(b)も、例えば、流動層造粒装置を使用する流動層造粒法によって実施することができる。
具体的には、メマンチン塩酸塩又はその薬学的に許容される塩及び(メタ)アクリル酸系ポリマーのいずれも含まず、エチルセルロース及びタルクを含む被覆剤(マスキング剤)を水、エタノール等の媒体に溶解乃至分散して被覆液を調製し、スプレーガン等の噴霧ノズルを用いて、当該被覆液を工程(a)で得られた(コア)粒子に噴霧して、当該粒子を被覆することによって前記工程(b)を実施することができる。これにより、(コア)粒子が被覆された被覆粒子を得ることができる。本発明の製造方法では、噴霧ノズルの詰まりを回避できるので製造作業性が改善され、製造効率も向上する。
前記工程(b)において、必要に応じて、被覆前の(コア)粒子に甘味料等を混合してもよい。これにより、より優れた味覚マスキングを得ることができる。
前記工程(c)は、前記工程(b)で得られた被覆粒子を少なくとも崩壊剤と混合することによって実施することができる。崩壊剤としては、既述したものを使用することができる。必要に応じて、崩壊剤に加えて、既述した製剤用添加物の1種又は2種以上を更に混合してもよい。
上記の混合は、公知の混合機を用いて適宜実施することができる。
前記工程(d)は、前記工程(c)で得られた混合物を打錠する。
上記の打錠は、公知の打錠機を用いて適宜実施することができる。
本発明の口腔内崩壊錠の形状、重量、及び硬度等は特に限定されないが、口腔内崩壊錠として適した形状、重量、及び硬度を有している。
本発明の口腔内崩壊錠の崩壊時間は、通常は約30〜60秒以下である。崩壊時間の測定方法は特に限定されないが、例えば、日本薬局方に定められた崩壊試験法に従い、崩壊試験器(例えば、崩壊試験器(NT−200)(富山産業株式会社製))を用いて測定することができる。
本発明の口腔内崩壊錠は、アルツハイマー型認知症(記憶障害、見当識障害、学習障害、注意障害、空間認知機能や問題解決能力の障害等)の治療に使用することができる。本発明の口腔内崩壊錠は、特に、中等度及び高度アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制に有用である。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例に限定されるものではない。
[実施例1A]
メマンチン塩酸塩2000g、D-マンニトール(三菱フードテック製)3760g、結晶セルロース(旭化成製)800g、カルメロースカルシウム(五徳薬品製)440g、及び、タルク(林化成製)360gを流動層造粒機(パウレック製、WSG-15型)に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達製)160gを精製水10800gに溶解させた溶解液を噴霧後、乾燥することで造粒物を調製した。
得られた造粒物7480gにアスパルテーム(味の素製)500gを加え、流動層造粒機(パウレック製、WSG-15型)に投入し、エチルセルロース(ダウケミカルズ製)480gをエタノールに8550gに溶解させた溶解液と、タルク(林化成製)120gを精製水1500gに撹拌分散させた分散液とを混合し、混合液をスプレーガンを用いて噴霧後、乾燥して被覆造粒物を調製した。
得られた被覆造粒物175gにD-マンニトール、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びポリビニルアルコールの造粒物(フロイント産業製)339.2g、クロスポビドン(BASF製)16.8g、結晶セルロース(旭化成製)16.8g、アスパルテーム(味の素社製)6g、及び、香料0.56gを混合し、混合物を調製した。混合物に更にステアリン酸マグネシウム(太平化学製)5.6gを混合し、得られた混合物をロータリー打錠機にて圧縮成型(錠剤径9.0mm,質量280mg)することにより、実施例1Aのメマンチン塩酸塩の口腔内崩壊錠を得た。
[比較例1]
メマンチン塩酸塩2020g、D-マンニトール(三菱フードテック製)3760g、結晶セルロース(旭化成製)800g、カルメロースカルシウム(五徳薬品製)440g、及び、タルク(林化成製)360gを流動層造粒機(パウレック製、WSG-15型)に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達製)160gを精製水10800gに溶解させた溶解液を噴霧後、乾燥することで造粒物を調製した。
得られた造粒物7480gを流動層造粒機(パウレック製、WSG-15型)に投入し、メタアクリル酸コポリマーLD水分散液(味の素製)12000g(固形分として3600g)、クエン酸トリエチル(森村商事製)360g、及び、タルク(林化成製)1440gを精製水9000gに分散させた分散液をスプレーガンを用いて噴霧後、乾燥して被覆造粒物を調製した。
得られた被覆造粒物6440gにD-マンニトール、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びポリビニルアルコールの造粒物(フロイント産業製)7880g、クロスポビドン(BASF製)820g、及び、結晶セルロース(旭化成製)に色素を倍散した粉末503.2g、アスパルテーム(味の素社製)600g、並びに、香料16gを混合し、混合物を調製した。混合物に更にステアリン酸マグネシウム(太平化学製)160gを混合し、得られた混合物をロータリー打錠機にて圧縮成型(錠剤径9.0mm,質量280mg)することにより、比較例1のメマンチン塩酸塩の口腔内崩壊錠を得た。
実施例1A及び比較例1の口腔内崩壊錠の組成を表1に示す。
Figure 2020070287
[実施例1B、1C及び1D]
エチルセルロース及びタルクの配合量を表2に示すように変更した以外は実施例1Aと同様に口腔内崩壊錠を製造した。実施例1A〜比較例1の口腔内崩壊錠のメマンチン塩酸塩、メタクリルコポリマーLD、クエン酸トリエチル、エチルセルロース及びタルクの配合量も併せて表2に示す。
Figure 2020070287
[評価1]
実施例1A、1B、1C及び1Dの各錠剤の製造工程においては、被覆造粒物を製造する工程において、スプレーガンのノズル詰まりの問題は見受けられなかった。一方、比較例1の錠剤の製造工程においては、スプレーガンのノズルが詰まり、分散液を連続的に噴霧することができなかった。結果を表2に示す。
[評価2]
実施例1A及び比較例1の各錠剤を、加速試験条件下、開放状態で保存した。加速試験条件下とは、温度40℃及び相対湿度75%の環境を意味する。次に、各錠剤について、保存開始直前、14日後、1ヶ月後及び2ヶ月後の保存期間後に、日本薬局方(日局)に規定されている崩壊試験法に従い崩壊試験を実施した。試験液は水を使用した。結果を表3に示す。
Figure 2020070287
実施例1Aの錠剤は、加速試験条件下で2ヶ月間保存した後においても、錠剤の崩壊時間は遅延しなかった。比較例1の錠剤は、加速試験条件下で2週間保管した時点から、錠剤の崩壊時間が顕著に遅延した。
[評価3]
実施例1A及び比較例1の各錠剤を、加速試験条件下、開放状態で保存した。加速試験条件下とは、温度40℃及び相対湿度75%の環境を意味する。次に、各錠剤について、保存開始直前、1ヶ月後及び2ヶ月後に、有効成分の溶出試験を実施した。溶出試験は、後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドライン(「医薬品製造販売指針2018」(平成30年10月10日発行)株式会社じほう:「第3章」「A.経口即放性製剤及び腸溶性製剤」「V.溶出試験」「3.試験条件」「2)中性又は塩基性薬物を含む製剤,コーティング製剤」の項(第261〜262頁)参照)に従い、パドル法にて回転数50rpmで実施した。試験液は水を使用した。
また、参考例として、20mgのメマンチン塩酸塩を含む「メマリー(登録商標)OD錠20mg」(第一三共(株))についても同一の溶出試験を実施した。なお、「メマリー(登録商標)OD錠20mg」に使用されている添加剤は、非特許文献1によると、以下のとおりである。

D−マンニトール、結晶セルロース、カルメロースカルシウム、アルファー化デンプン、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、メタクリル酸コポリマーLD、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、クエン酸トリエチル、タルク、アスパルテーム(L−フェニルアラニン化合物)、ステアリン酸マグネシウム、香料
結果を表4に示す。
Figure 2020070287
実施例1Aの錠剤は、有効成分の溶出性が優れており、しかも、長期間保存しても溶出性が安定していた。例えば、加速試験条件下で2ヶ月間保存した後においても、実施例1Aの錠剤では、有効成分の高い溶出性が維持されていた。すなわち、実施例1Aの口腔内崩壊錠は、長期に亘り、有効成分の優れた溶出性を発揮することができる。一方、比較例1の錠剤は、有効成分の溶出性の点で実施例1Aの錠剤よりも劣っており、しかも、加速試験条件下で1ヶ月間保管した時点から、溶出性が顕著に低下していた。
更に、実施例1Aの錠剤は、参考例の錠剤と比較しても、有効成分の溶出性が優れたものであり、しかも、長期間保存しても有効成分の優れた溶出性を維持することが可能であった。
本発明は、有効成分の苦み等の不快な味をマスキング(コーティング)する製造工程における製造作業性が改善し、且つ、加速開放条件においても長期にわたり優れた崩壊性乃至溶出性を示す、口腔内崩壊錠に関し、医薬品等の分野において産業上の利用可能性を有する。

Claims (21)

  1. メマンチン又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含む口腔内崩壊錠であって、
    (メタ)アクリル酸系ポリマーを含まず、エチルセルロースを含む、口腔内崩壊錠。
  2. エチルセルロースの配合量が、メマンチン又はその薬学的に許容される塩の質量に対して5〜45質量%である、請求項1に記載の口腔内崩壊錠。
  3. エチルセルロースの配合量が、メマンチン又はその薬学的に許容される塩の質量に対して25〜40質量%である、請求項1または2に記載の口腔内崩壊錠。
  4. エチルセルロースの配合量が、メマンチン又はその薬学的に許容される塩の質量に対して30〜35質量%である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
  5. (メタ)アクリル酸系ポリマーが、メタクリル酸コポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、メタクリルエステルコポリマー及びアンモニオアルキルメタクリレートコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
  6. コア粒子及び被覆層からなる被覆粒子を含み、
    前記コア粒子がメマンチン又はその薬学的に許容される塩を含み、
    前記被覆層が、メマンチン塩酸塩又はその薬学的に許容される塩及び(メタ)アクリル酸系ポリマーのいずれも含まず、エチルセルロースを含む、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
  7. 前記被覆層が口腔内崩壊錠の最外層ではない、請求項6に記載の口腔内崩壊錠。
  8. 前記被覆層が、タルク、ヒプロメロース、ポリソルベート、可塑剤、酸化チタン及びポリエチレングリコールからなる群から選択される少なくとも1種を更に含む、請求項6または7に記載の口腔内崩壊錠。
  9. 前記被覆層がタルクを更に含む、請求項6ないし8のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
  10. タルクの配合量が、メマンチン又はその薬学的に許容される塩の質量に対して1〜15質量%である、請求項9に記載の口腔内崩壊錠。
  11. 前記コア粒子が造粒物である、請求項6ないし10のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
  12. 甘味料を更に含む、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
  13. 前記甘味料がアスパルテームである、請求項12に記載の口腔内崩壊錠。
  14. 崩壊剤を更に含む、請求項1ないし13のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
  15. 前記崩壊剤が、クロスポビドン、カルメロース、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム及びポリビニルピロリドンからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項14に記載の口腔内崩壊錠。
  16. 前記崩壊剤が、クロスポビドン、カルメロースカルシウム及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項14又は15に記載の口腔内崩壊錠。
  17. メマンチン又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含む口腔内崩壊錠であって、
    (メタ)アクリル酸系ポリマーを含まず、
    エチルセルロース及びタルクを含み、
    アスパルテームを含み、
    クロスポビドン、カルメロースカルシウム及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む、口腔内崩壊錠。
  18. コア粒子及び被覆層からなる被覆粒子を含み、
    前記コア粒子がメマンチン又はその薬学的に許容される塩を含み、
    前記被覆層が、メマンチン塩酸塩又はその薬学的に許容される塩及び(メタ)アクリル酸系ポリマーのいずれも含まず、エチルセルロース及びタルクを含み、
    更に、クロスポビドン、カルメロースカルシウム及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びを含む、請求項17に記載の口腔内崩壊錠。
  19. エチルセルロースの配合量が、メマンチン又はその薬学的に許容される塩の質量に対して25〜40質量%である、請求項17又は18に記載の口腔内崩壊錠。
  20. (a)メマンチン又はその薬学的に許容される塩を含む粒子を調製する工程、
    (b)工程(a)で得られた粒子を、メマンチン塩酸塩又はその薬学的に許容される塩及び(メタ)アクリル酸系ポリマーのいずれも含まず、エチルセルロース及びタルクを含む被覆剤で被覆する工程、
    (c)工程(b)で得られた被覆粒子を崩壊剤と混合する工程、及び
    (d)工程(c)で得られた混合物を打錠する工程
    を含む、口腔内崩壊錠の製造方法。
  21. 前記工程(a)が、メマンチン又はその薬学的に許容される塩を少なくとも賦形剤と共に造粒することにより、造粒物である粒子を調製する工程である、請求項20に記載の口腔内崩壊錠の製造方法。
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