JP2019069981A - イルベサルタンとアムロジピンまたはその塩を含有する医薬組成物 - Google Patents

イルベサルタンとアムロジピンまたはその塩を含有する医薬組成物 Download PDF

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村上 貴之
Takayuki Murakami
貴之 村上
松岡 誠
Makoto Matsuoka
誠 松岡
西井 宏行
Hiroyuki Nishii
宏行 西井
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Abstract

【課題】本発明は、イルベサルタンとアムロジピンまたはその塩を含有する医薬組成物を提供する。【解決手段】本発明は、イルベサルタン、アムロジピンまたはその塩、およびポリビニルアルコールを含有する医薬組成物である。該組成物は、更に、賦形剤、崩壊剤、および滑沢剤を含有する医薬組成物である。該組成物は、更にフィルムコーティングされていてもよい。【選択図】なし

Description

本発明は、イルベサルタンとアムロジピンまたはその塩を含有する医薬組成物に関する。更に好ましくは、これにフィルムコーティングが施された医薬組成物に関する。
イルベサルタン(2-ブチル-3-{4-[2-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル]ベンジル}-1,3-ジアザスピロ[4.4]ノン-1-エン-4-オン)は、高血圧症等の治療に有用な長時間作用型
アンジオテンシンII受容体拮抗剤である。イルベサルタンは、式:
で示される構造を有する(特許文献1)。イルベサルタンは、一般に、上記疾患の治療のためには、たとえば50〜300mgと比較的多量投与する必要がある。
一方、アムロジピン(3-エチル5−メチル‐2-[(2-アミノエトキシ)メチル]-4-(2-クロロフェニル)-6-メチル-1,4-ジヒドロピリジン‐3,5-ジカルボキシレート)は、高血圧症等の治療に有用なカルシウム拮抗剤である。アムロジピンは、式:
で示される構造を有する(特許文献2)。アムロジピンは、医薬的に、そのマレイン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩:特許文献3)、またはメシル酸塩として用いることができるが、特にそのベンゼンスルホン酸塩として用いられている。アムロジピンは、一般に、上記疾患の治療のためには、たとえば、2.5mg、5mgまたは10mgを投与する必要がある。
イルベサルタンとアムロジピンは、その作用機序が異なることから、一つの薬剤(単剤)で標的血圧を達成できない患者に対して、又は高血圧症と複合的な疾患を有する患者に対して、それらを組み合わせることにより有利に協働することが期待される。
しかしながら、イルベサルタンとアムロジピンを含有する医薬組成物を調製するには、単剤を併用した場合と同等の溶出作用を担保する観点、及び安定供給可能な製造性を担保する観点から実用化のための技術的困難性を有する。特に、イルベサルタンは、水への親和性が低いことや、流動性および造粒性が低く取り扱いが困難な物性であることに加えて、比較的に多量投与する必要があることから、イルベサルタンのみを含有する医薬組成物を調製するには、該組成物を小型化する点に技術的困難性を有する。ましてや、イルベサルタンとアムロジピンを含有する医薬組成物を、上記技術的困難性を克服した上で、該組成物を小型化するには更なる技術的な困難性を有する。
米国特許第5270317号明細書 欧州特許出願公開第89167号明細書 欧州特許出願公開第244944号明細書
本発明の課題は、単剤を併用した場合と同等の溶出作用及び安定供給可能な製造性を有し、小型化されたイルベサルタンとアムロジピンまたはその塩を含有する医薬組成物を提供することである。
本発明者らは、かかる課題を解決するために鋭意検討を行った結果、賦形剤を用い、結合剤としてポリビニルアルコールを用いることで上記課題を解決する医薬組成物が得られることを見いだした。
すなわち、本発明は以下の通りである。
項1:イルベサルタン、アムロジピンまたはその塩、およびポリビニルアルコールを含有する医薬組成物。
項2:イルベサルタン、アムロジピンまたはその塩、賦形剤、ポリビニルアルコール、崩壊剤、および滑沢剤を含有する、項1に記載の医薬組成物。
項3:イルベサルタン、賦形剤、ポリビニルアルコール、および崩壊剤を含有する顆粒と、アムロジピンまたはその塩を含む、項1または項2に記載の医薬組成物。
項4:イルベサルタン、賦形剤、ポリビニルアルコール、および崩壊剤を含有する顆粒に、アムロジピンまたはその塩、崩壊剤および滑沢剤を配合し、打錠して得られる、項3に記載の医薬組成物。
項5:イルベサルタン、賦形剤、ポリビニルアルコール、および崩壊剤を含有する顆粒と、アムロジピンまたはその塩を含有する顆粒を含む、項3に記載の医薬組成物。
項6:イルベサルタン、賦形剤、ポリビニルアルコール、および崩壊剤を含有する顆粒に、アムロジピンまたはその塩を含有する顆粒および滑沢剤を配合し、打錠して得られる、項5に記載の医薬組成物。
項7:賦形剤が、D−マンニトールおよび結晶セルロースを含む、項2〜項6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
項8:崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン、コーンスターチ、カルメロースおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択される、項2〜項7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
項9:崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウムである、項8に記載の医薬組成物。
項10:滑沢剤が、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリン、フマル酸ステアリルナトリウム、パルミトステアリン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、タルク、カルナウバロウ、L−ロイシンおよびポリエチレングリコールからなる群から選択される、項2〜項9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
項11:滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウムである、項10に記載の医薬組成物。
項12:イルベサルタン、アムロジピンまたはその塩、D−マンニトール、結晶セルロース、ポリビニルアルコール、クロスカルメロースナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムを含有する医薬組成物。
項13:賦形剤の含量が10w/w%〜50w/w%である、項2〜項12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
項14:崩壊剤の含量が1w/w%〜20w/w%である、項2〜項13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
項15:滑沢剤の含量が0.01w/w%〜5w/w%である、項2〜項14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
項16:イルベサルタンの含量が、20w/w%〜80w/w%である、項2〜項15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
項17:アムロジピンまたはその塩の含量が、アムロジピンに換算して0.5w/w%〜20w/w%である、項2〜項16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
項18:ポリビニルアルコールの含量が、0.01w/w%〜10w/w%である、項2〜項17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
項19:ポリビニルアルコールが、イルベサルタンの含量に対して、0.01w/w%以上〜10w/w%以下である、項2〜項18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
項20:下記素錠(A)およびフィルムコーティング層(B)を含む、項1〜項19のいずれか一項に記載の医薬組成物:
イルベサルタン、アムロジピンまたはその塩、賦形剤、ポリビニルアルコール、崩壊剤、および滑沢剤を含有する素錠(A)、並びにコーティング剤、可塑剤、および着色剤を含有するフィルムコーティング層(B)。
項21:コーティング剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびメタクリル酸コポリマーからなる群から選択される、項20に記載の医薬組成物。
項22:コーティング剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、項21に記載の医薬組成物。
項23:可塑剤が、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビタンモノラウレート、トリアセチン、モノステアリン、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、ポリエチレングリコール、ポロキサマー、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、およびポリソルベートからなる群から選択される、項20〜項22のいずれか一項に記載の医薬組成物。
項24:可塑剤が、プロピレングリコールである、項23に記載の医薬組成物。
項25:着色剤が、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、黒酸化鉄、タルク、ベータカロチンおよびリボフラビンからなる群から選択される、項20〜項24のいずれか一項に記載の医薬組成物。
項26:着色剤が、酸化チタン、黄色三二酸化鉄および三二酸化鉄からなる群から選択される、項25に記載の医薬組成物。
項27: イルベサルタンを含有する混合物を湿式造粒して得られる顆粒と、アムロジピ
ンまたはその塩を混合する工程を含んで製造されることを特徴とする、項1〜項26のいずれか一項に記載の医薬組成物。
項28: イルベサルタンを含有する混合物を湿式造粒して得られる顆粒と、アムロジピ
ンまたはその塩を含有する顆粒を混合する工程を含んで製造されることを特徴とする、項1〜項27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
項29:アムロジピンまたはその塩が、アムロジピンベシル酸塩である、項1〜項28のいずれか一項に記載の医薬組成物。
本発明の医薬組成物(以下、本発明組成物と称する。)は、結合剤としてポリビニルアルコールを用いることにより、単剤と同等の溶出作用及び安定供給可能な製造性を有する。また、本発明組成物におけるイルベサルタンの含有量が比較的多いにもかかわらず、小型化された錠剤を製造することができる。
図1は、試験例1における時間経過に伴うイルベサルタンの溶出率を示す。 図2は、試験例1における時間経過に伴うアムロジピンの溶出率を示す。 図3は、試験例1における時間経過に伴うイルベサルタンの溶出率を示す。 図4は、試験例1における時間経過に伴うアムロジピンの溶出率を示す。 図5は、試験例3における時間経過に伴うイルベサルタン及びアムロジピンの溶出率を示す。
以下、本発明につき、更に詳しく説明する。
「本発明組成物」は、イルベサルタンとアムロジピンまたはその塩を含有する形態であればいずれでもよい。「医薬組成物」としては、例えば、素錠、チュアブル錠、フィルムコーティング錠などの錠剤などが挙げられる。項2に記載の医薬組成物としては、素錠(以下、本発明の素錠と称することもある。)が好ましく、項20に記載の医薬組成物としては、フィルムコーティング錠(以下、本発明のフィルムコーティング錠と称することもある。)が好ましい。
本発明における有効成分である「イルベサルタン」としては、取扱い性または溶出性の改善等、必要に応じて解砕物または粉砕物を用いてもよい。また、苦味マスキング、溶出制御、安定化等の目的でその表面の一部または全部をコーティング剤等で被覆しても良い。「イルベサルタン」は、その塩の形態であってもよい。その塩は、イルベサルタンと製薬上許容し得る塩を形成する酸または塩基との塩が挙げられる。酸との塩としては、ピクリン酸塩、シュウ酸塩、または工学的に活性な酸塩、例えばマンデル酸塩、またはショウノウスルホン酸塩のような鉱酸または有機酸との塩、塩酸、塩臭化水素酸塩、硫酸塩、硫酸水素酸塩、リン酸二水素酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル硫酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩などが挙げられる。塩基との塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、およびマグネシウム塩のようなアルカリまたはアルカリ土類金属塩、またはトロメタモールのような第3級アミンとの塩、あるいはアルギニン、リシン、または任意の生理的に許容し得る塩などが挙げられる。
本発明の医薬組成物に用いられるイルベサルタンの含量は、「本発明の素錠」の全量に対して、通常80w/w%以下であり、好ましくは70w/w%以下が挙げられる。含量の下限は特に限定されないが、通常20w/w%以上である。更に好ましくは50w/w%以上65w/w%以下が挙げられる。
本発明における有効成分である「アムロジピン」としては、取扱い性または溶出性の改善等、必要に応じて解砕物または粉砕物を用いてもよい。また、苦味マスキング、溶出制御、安定化等の目的でその表面の一部または全部をコーティング剤等で被覆しても良い。
「アムロジピンまたはその塩」における塩としては、マレイン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、またはメシル酸塩などが挙げられる。好ましくは、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)である。
本発明の医薬組成物に用いられるアムロジピンまたはその塩の含量は、「本発明の素錠」の全量に対して、アムロジピンに換算して、通常20w/w%以下であり、好ましくは15w/w%以下が挙げられる。含量の下限は特に限定されないが、通常0.5w/w%以上である。更に好ましくは1w/w%以上10w/w%以下が挙げられる。
本発明に用いる「賦形剤」は、例えば、白糖、ショ糖、果糖、フラクトオリゴ糖、ブドウ糖、マルトース、還元麦芽糖、粉糖、粉末飴、還元乳糖等の糖類、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、D−マンニトール等の糖アルコール類、カオリン、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コメデンプン、コムギデンプン等の天然デンプン)、結晶セルロース等が挙げられる。好ましくは、D−マンニトールおよび結晶セルロースである。本発明組成物に用いる賦形剤の含量は特に限定されないが、「本発明の素錠」の全量に対して、通常10w/w%〜50w/w%が挙げられ、好ましくは20w/w%〜40w/w%が挙げられる。より好ましくは、20w/w%〜35w/w%である。
本発明に用いる「結合剤」は、ポリビニルアルコールである。本発明組成物に用いる上記結合剤は、イルベサルタンを含有する顆粒の造粒を促進するだけでなく、イルベサルタ
ンの溶出性をも促進する。
ポリビニルアルコールからなる結合剤の本発明組成物中含量は特に限定されないが、「本発明の素錠」の全量に対して、10w/w%以下が挙げられる。好ましくは5w/w%以下が挙げられ、より好ましくは3w/w%以下が挙げられる。また、0.01w/w%以上、好ましくは0.05w/w%以上が挙げられる。より好ましくは0.01w/w%〜3w/w%が挙げられ、更に好ましくは0.05w/w%〜3w/w%が挙げられる。
ポリビニルアルコールからなる結合剤とイルベサルタンの本発明組成物中比率は特に限定されないが、ポリビニルアルコールからなる結合剤はイルベサルタン量に対して、10w/w%以下が挙げられる。好ましくは8w/w%以下が挙げられ、より好ましくは5w/w%以下が挙げられる。また、0.01w/w%以上、好ましくは0.05w/w%以上が挙げられる。より好ましくは0.01w/w%〜5w/w%が挙げられ、更に好ましくは0.05w/w%〜5w/w%が挙げられる。
本発明に用いる「崩壊剤」は、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン、コーンスターチ、カルメロースおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択される同種または異種の少なくとも1種が挙げられる。好ましくは、クロスカルメロースナトリウムである。
崩壊剤の本発明組成物に用いられる含量は特に限定されないが、「本発明の素錠」の全量に対して、通常1〜20w/w%が挙げられ、好ましくは1w/w%〜15w/w%が挙げられる。より好ましくは、3w/w%〜10w/w%である。崩壊剤を2種以上使用する場合の崩壊剤全量も上記と同量である。
本発明に用いる「滑沢剤」は、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリン、パルミトステアリン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、タルク、カルナウバロウ、L−ロイシンおよびポリエチレングリコールからなる群から選択される1種が挙げられる。好ましくは、ステアリン酸マグネシウムである。
滑沢剤の本発明組成物に用いられる含量は特に限定されないが、「本発明の素錠」の全量に対して、通常0.01w/w%〜5w/w%が挙げられ、好ましくは0.01w/w%〜4w/w%が挙げられる。滑沢剤を2種以上使用する場合の滑沢剤全量の本発明組成物中含量も上記と同量である。
「本発明の素錠」は、必要に応じて、コーティングしてもよい。コーティング層には、コーティング剤、可塑剤、および着色剤を含有する。
本発明に用いる「コーティング剤」としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メタクリル酸コポリマー等が挙げられる。好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
「コーティング剤」の本発明のフィルムコーティング錠に用いる含量は、本発明のフィルムコーティング層の全量に対して、通常30w/w%〜90w/w%が挙げられる。好ましくは、50w/w%〜70w/w%である。
本発明に用いる「可塑剤」としては、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビタンモノラウレート、トリアセチン、モノステアリン、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、ポリエチレングリコール、ポロキサマー、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート等が挙げられる。好ましくは、プロピレングリコールである。
「可塑剤」の本発明のフィルムコーティング錠に用いる含量は、本発明のフィルムコー
ティング層の全量に対して、通常1w/w%〜50w/w%が挙げられる。好ましくは、5w/w%〜30w/w%である。
本発明に用いる「着色剤」としては、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、黒酸化鉄、タルク、ベータカロチン、リボフラビン等が挙げられる。好ましくは、無機顔料である酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄からなる群から少なくとも1種が選ばれる

「着色剤」の本発明のフィルムコーティング錠に用いる含量は、「本発明のフィルムコーティング層」の全量に対して、通常0.01w/w%〜50w/w%が挙げられる。好ましくは、0.05w/w%〜30w/w%である。
本発明組成物は、本発明の効果に影響を与えない範囲であれば、上記以外の製剤分野において通常使用される無毒性かつ不活性な添加剤を添加することもできる。使用する添加剤としては、医薬的に許容されるものであればよく、例えば、界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等のイオン性界面活性剤、ポリソルベート類、ショ糖脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油およびポロクサマー類(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール)等の非イオン性界面活性剤等)、甘味剤もしくは矯味剤(例えば、アスパルテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、ステビア、タウマチン、スクラロース、アセスルファムK、ネオテーム等)、着香剤もしくは香料(例えば、レモン、オレンジ、グレープフルーツ等の柑橘系香料、ペパーミント、スペアミント、メントール、パイン、チェリー、フルーツ、ヨーグルト、コーヒー等)、安定化剤等が挙げられる。本発明組成物は、有機酸(例えば、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸等)、流動化剤(例えば、軽質無水ケイ酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)を含有しないのが好ましい。
本発明組成物は、良好な溶出性を有する。具体的には第15改正日本薬局方溶出試験法(パドル法)に従った、溶出試験第2液での溶出試験において、30分時点におけるイルベサルタンおよびアムロジピンの溶出率が通常65%以上、好ましくは70%以上である。また、本発明組成物は単剤を併用した場合と同等の溶出性を有し、30分時点におけるイルベサルタンおよびアムロジピンの溶出率が通常±15%以内、好ましくは±10%以内である。
本発明組成物は、良好な製造性を有する。具体的には素錠の錠剤硬度が通常40N以上、好ましくは50N以上であり、取り扱い性やフィルムコーティング性に優れている。
本発明組成物の製剤化は、製剤分野において自体公知の方法により行なえばよい。
本発明において錠剤の製造方法は特に限定されないが、たとえば以下の方法により製造することが出来る。
イルベサルタンおよび添加剤[賦形剤(D−マンニトールおよび結晶セルロース)および崩壊剤(クロスカルメロースナトリウム)等]を混合し、得られた混合物を、結合剤(ポリビニルアルコール)の水溶液で造粒し、乾燥する。得られたイルベサルタンを含む造粒物に、アムロジピンまたはその塩および添加剤[崩壊剤(クロスカルメロースナトリウム等)]を混合し、得られた混合物に添加物[滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)]を混合して、圧縮成形することで素錠を得ることができる。また、上記のイルベサルタンを含む造粒物に、アムロジピンまたはその塩を含有する造粒物および添加剤[崩壊剤(クロスカルメロースナトリウム等)]を混合し、得られた混合物に添加物[滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)]を混合して、圧縮成型することで素錠を得ることもできる。イルベサルタン及びアムロジピンまたはその塩を含有する得られた素錠は、苦味マスキング、溶出制御、安定化等の目的でその表面の一部または全部を水溶性高分子等の結合剤またはコーティング剤で被覆しても用いても良い。
造粒方法としては、湿式造粒が好ましい。湿式造粒法としては、流動層造粒法、撹拌造粒法、押出し造粒法、練合造粒法、噴霧造粒法等が挙げられる。中でも、撹拌造粒法、練合造粒法が好ましい。使用する各成分が凝集性であったり、結晶や造粒物が大きなものである等、薬効成分の含量均一性を阻害する可能性がある場合は、各成分を混合前または混合後に粉砕等の手法を利用して、含量均一性を確保できる粒子径に整えることが望ましい。
錠剤の成形方法については、特に限定されないが、商業的に製造する場合はロータリー式打錠機または単発打錠機を用いた圧縮成形法が用いられる。
なお、本発明の錠剤は、外部滑沢法を用いなくとも圧縮成型が可能であるが、勿論、外部滑沢法を用いても成型可能である。この場合には、滑沢剤を除く成分を混合した後、滑沢剤を杵臼に噴霧しながら打錠を行うか、あるいは、滑沢剤の一部をあらかじめ混合した後、残りの滑沢剤を杵臼に噴霧しながら打錠を行う。
圧縮成形力は、錠剤に十分な強度を与える程度であれば特に限定されないが、1kN(約100kgf)以上の圧縮力が好ましい。本発明で得られる錠剤の形状は、特に限定されず、円形錠、円形R錠、円形隅角錠、円形2段R錠や各種異形錠等いずれの形状でもよく、また分割錠としても良い。
フィルムコーティングの方法については、特に限定されないが、商業的に製造する場合はフィルムコーティング機を用いたコーティング法が用いられる。
本発明のイルベサルタンとアムロジピンまたはその塩を含有する医薬組成物は、ヒト等の哺乳類に対して、安全に経口投与することができる。
投与量は、年齢、体重、疾患の重症度等によって適宜選択し得るが、例えば、成人に対して、1日当たり、イルベサルタンとして50〜300mg、アムロジピンとして2.5〜10mgを投与する。
以下、実施例、比較例及び試験例をあげて本発明を更に詳しく説明するが、本発明を限定するものではない。実施例、比較例中イルベサルタンはサノフィ社製の「イルベサルタン」を使用した。D−マンニトールは協和発酵株式会社製の「D−マンニトール」を使用した。結晶セルロースは旭化成ケミカルズ株式会社製の「セオラスPH−101」を使用した。クロスカルメロースナトリウムはFMC社製の「Ac−Di−Sol」を使用した。ポリビニルアルコールは日本合成化学工業株式会社製の「ゴーセノールEG−05」を使用した。アムロジピンベシル酸塩は大日本住友製薬株式会社製の「アムロジピンベシル酸塩」を使用した。ステアリン酸マグネシウムは太平化学産業株式会社製の「ステアリン酸マグネシウム植物性」を使用した。トウモロコシデンプンは日本食品化工株式会社製の「コーンスターチ(XX16)W」を使用した。ヒドロキシプロピルセルロースは日本曹達株式会社製の「HPC SSL」を使用した。ポリソルベート80は日光ケミカルズ株式会社製の「NIKKOL TO−10MV」を使用した。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは信越化学株式会社製の「TC−5R」を使用した。酸化チタンは東邦チタニウム株式会社製「酸化チタンNA61」を使用した。黄色三二酸化鉄は癸巳化成株式会社製「黄色三二酸化鉄S」を使用した。三二酸化鉄は癸巳化成株式会社製「三二酸化鉄S」を使用した。プロピレングリコールは株式会社アデカ製「局方プロピレングリコール」を使用した。
[実施例1]
下記処方に従い、イルベサルタン、D−マンニトール、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムを高速攪拌造粒機(FM−VG−25、株式会社パウレック製)に仕込
み、混合した後、ポリビニルアルコール水溶液を添加して造粒した。造粒物を流動層乾燥機(FLO−5B型、フロイント産業株式会社製)で乾燥し、整粒機(フィオーレF−0型、株式会社徳寿工作所製)で整粒した。得られた造粒物に、アムロジピンベシル酸塩、クロスカルメロースナトリウムを加えポリ袋内で混合後、さらにステアリン酸マグネシウムを加え混合し、ロータリー式打錠機(VELA−2、株式会社菊水製作所製)を用いて、直径8mm、曲率半径12mmの円形錠用金型にて、約7kNおよび約10kNの圧縮力で成型し、錠剤を得た。
[実施例2]
下記処方に従い、イルベサルタン、D−マンニトール、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムを高速攪拌造粒機(FM−VG−25、株式会社パウレック製)に仕込み、混合した後、ポリビニルアルコール水溶液を添加して造粒した。造粒物を流動層乾燥機(FLO−5B型、フロイント産業株式会社製)で乾燥し、整粒機(フィオーレF−0型、株式会社徳寿工作所製)で整粒した。得られた造粒物に、アムロジピンベシル酸塩、クロスカルメロースナトリウム、トウモロコシデンプンを加えポリ袋内で混合後、さらにステアリン酸マグネシウムを加え混合し、ロータリー式打錠機(VELA−2、株式会社菊水製作所製)を用いて、直径8mm、曲率半径12mmの円形錠用金型にて、約7kNおよび約10kNの圧縮力で成型し、錠剤を得た。
[実施例3]
下記処方に従い、イルベサルタン、D−マンニトール、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムを高速攪拌造粒機(FM−VG−25、株式会社パウレック製)に仕込み、混合した後、ポリビニルアルコール水溶液を添加して造粒した。造粒物を流動層乾燥
機(FLF−30型、フロイント産業株式会社製)で乾燥し、整粒機(フィオーレF−0型、株式会社徳寿工作所製)で整粒した。得られた造粒物に、アムロジピンベシル酸塩、クロスカルメロースナトリウムを加えV型混合機(S−3型、筒井理化学機器株式会社製)で混合後、さらにステアリン酸マグネシウムを加え混合し、ロータリー式打錠機(HT−AP18SS−II、株式会社畑鉄工所製)を用いて、直径8mm、曲率半径12mmの円形錠用金型にて、約6kNおよび約7kNの圧縮力で成型し、錠剤を得た。
[実施例4]
下記処方に従い、イルベサルタン、D−マンニトール、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムを高速攪拌造粒機(FM−VG−25、株式会社パウレック製)に仕込み、混合した後、ポリビニルアルコール水溶液を添加して造粒した。造粒物を流動層乾燥機(FLF−30型、フロイント産業株式会社製)で乾燥し、整粒機(フィオーレF−0型、株式会社徳寿工作所製)で整粒した。得られた造粒物に、アムロジピンベシル酸塩、クロスカルメロースナトリウムを加えV型混合機(S−3型、筒井理化学機器株式会社製)で混合後、さらにステアリン酸マグネシウムを加え混合し、ロータリー式打錠機(HT−AP18SS−II、株式会社畑鉄工所製)を用いて、直径8mm、曲率半径12mmの円形錠用金型にて、約6kNおよび約7kNの圧縮力で成型し、錠剤を得た。
[実施例5]
下記処方に従い、イルベサルタン、D−マンニトール、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムを高速攪拌造粒機(FM−VG−25、株式会社パウレック製)に仕込み、混合した後、ポリビニルアルコール水溶液を添加して造粒した。造粒物を流動層乾燥機(FLF−30型、フロイント産業株式会社製)で乾燥し、整粒機(フィオーレF−0型、株式会社徳寿工作所製)で整粒した。得られた造粒物に、アムロジピンベシル酸塩、
クロスカルメロースナトリウムを加えV型混合機(S−3型、筒井理化学機器株式会社製)で混合後、さらにステアリン酸マグネシウムを加え混合し、ロータリー式打錠機(HT−AP18SS−II、株式会社畑鉄工所製)を用いて、直径8mm、曲率半径12mmの円形錠用金型にて、約5kNおよび約6kNの圧縮力で成型し、錠剤を得た。
[実施例6]
下記処方に従い、イルベサルタン、D−マンニトール、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムを高速攪拌造粒機(FM−VG−25、株式会社パウレック製)に仕込み、混合した後、ポリビニルアルコール水溶液を添加して造粒した。造粒物を流動層乾燥機(FLF−30型、フロイント産業株式会社製)で乾燥し、整粒機(フィオーレF−0型、株式会社徳寿工作所製)で整粒した。得られた造粒物に、アムロジピンベシル酸塩、クロスカルメロースナトリウムを加えV型混合機(S−3型、筒井理化学機器株式会社製)で混合後、さらにステアリン酸マグネシウムを加え混合し、ロータリー式打錠機(HT−AP18SS−II、株式会社畑鉄工所製)を用いて、直径8mm、曲率半径12mmの円形錠用金型にて、約5kNおよび約6kNの圧縮力で成型し、錠剤を得た。
[実施例7]
下記処方に従い、イルベサルタン、D−マンニトール、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムを高速攪拌造粒機(FM−VG−25、株式会社パウレック製)に仕込み、混合した後、ポリビニルアルコール水溶液を添加して造粒した。造粒物を流動層乾燥機(FLF−30型、フロイント産業株式会社製)で乾燥し、整粒機(フィオーレF−0型、株式会社徳寿工作所製)で整粒した。得られた造粒物に、アムロジピンベシル酸塩、
クロスカルメロースナトリウムを加えV型混合機(S−3型、筒井理化学機器株式会社製)で混合後、さらにステアリン酸マグネシウムを加え混合し、ロータリー式打錠機(HT−AP18SS−II、株式会社畑鉄工所製)を用いて、直径10mm、曲率半径14mmの円形錠用金型にて、約8kNおよび約12kNの圧縮力で成型し、錠剤を得た。
[実施例8]
下記処方に従い、イルベサルタン、D−マンニトール、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムを高速攪拌造粒機(FM−VG−25、株式会社パウレック製)に仕込み、混合した後、ポリビニルアルコール水溶液を添加して造粒した。造粒物を流動層乾燥機(FLF−30型、フロイント産業株式会社製)で乾燥し、整粒機(フィオーレF−0型、株式会社徳寿工作所製)で整粒した。得られた造粒物に、アムロジピンベシル酸塩、クロスカルメロースナトリウムを加えV型混合機(S−3型、筒井理化学機器株式会社製)で混合後、さらにステアリン酸マグネシウムを加え混合し、ロータリー式打錠機(HT−AP18SS−II、株式会社畑鉄工所製)を用いて、直径10mm、曲率半径14mmの円形錠用金型にて、約5kNおよび約6kNの圧縮力で成型し、錠剤を得た。
[実施例9]
下記処方に従い、イルベサルタン、D−マンニトール、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムを高速攪拌造粒機(FM−VG−25、株式会社パウレック製)に仕込み、混合した後、ポリビニルアルコール水溶液を添加して造粒した。造粒物を流動層乾燥機(FLF−30型、フロイント産業株式会社製)で乾燥し、整粒機(フィオーレF−0型、株式会社徳寿工作所製)で整粒した。得られた造粒物に、アムロジピンベシル酸塩、クロスカルメロースナトリウムを加えV型混合機(S−3型、筒井理化学機器株式会社製
)で混合後、さらにステアリン酸マグネシウムを加え混合し、ロータリー式打錠機(HT−AP18SS−II、株式会社畑鉄工所製)を用いて、直径8mm、曲率半径12mmの円形錠用金型にて、約7kNの圧縮力で成型し、錠剤を得た。得られた錠剤をフイルムコーティング機(ハイコーターHCT−30型、フロイント産業株式会社製)に投入し、酸化チタン、黄色三二酸化鉄を分散させプロピレングリコールを加えたヒドロキシプロピルセルロース水溶液でフィルムコーティングを行い、フィルムコーティング錠を得た。
[実施例10]
下記処方に従い、イルベサルタン、D−マンニトール、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムを高速攪拌造粒機(FM−VG−25、株式会社パウレック製)に仕込み、混合した後、ポリビニルアルコール水溶液を添加して造粒した。造粒物を流動層乾燥機(FLF−30型、フロイント産業株式会社製)で乾燥し、整粒機(フィオーレF−0型、株式会社徳寿工作所製)で整粒した。得られた造粒物に、アムロジピンベシル酸塩、クロスカルメロースナトリウムを加えV型混合機(S−3型、筒井理化学機器株式会社製)で混合後、さらにステアリン酸マグネシウムを加え混合し、ロータリー式打錠機(HT−AP18SS−II、株式会社畑鉄工所製)を用いて、直径8mm、曲率半径12mmの円形錠用金型にて、約7kNの圧縮力で成型し、錠剤を得た。得られた錠剤をフイルムコーティング機(ハイコーターHCT−30型、フロイント産業株式会社製)に投入し、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄を分散させプロピレングリコールを加えたヒドロキシプロピルセルロース水溶液でフィルムコーティングを行い、フィルムコーティング錠を得た。
[実施例11]
下記処方に従い、イルベサルタン、D−マンニトール、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムを高速攪拌造粒機(FM−VG−25、株式会社パウレック製)に仕込み、混合した後、ポリビニルアルコール水溶液を添加して造粒した。造粒物を流動層乾燥機(FLF−30型、フロイント産業株式会社製)で乾燥し、整粒機(フィオーレF−0型、株式会社徳寿工作所製)で整粒した。得られた造粒物に、アムロジピンベシル酸塩、クロスカルメロースナトリウムを加えV型混合機(S−3型、筒井理化学機器株式会社製)で混合後、さらにステアリン酸マグネシウムを加え混合し、ロータリー式打錠機(HT−AP18SS−II、株式会社畑鉄工所製)を用いて、直径8mm、曲率半径12mmの円形錠用金型にて、約7kNの圧縮力で成型し、錠剤を得た。得られた錠剤をフイルムコーティング機(ハイコーターHCT−30型、フロイント産業株式会社製)に投入し、酸化チタンを分散させプロピレングリコールを加えたヒドロキシプロピルセルロース水溶液でフィルムコーティングを行い、フィルムコーティング錠を得た。
[比較例1]
比較例1は市販のアムロジン(登録商標)OD錠2.5mg(大日本住友製薬株式会社製)を2錠とアバプロ(登録商標)錠50mg(大日本住友製薬株式会社製)を2錠併用して使用した。
[比較例2]
下記処方に従い、イルベサルタン、D−マンニトール、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムを高速攪拌造粒機(FM−VG−25、株式会社パウレック製)に仕込み、混合した後、ポリソルベート80を添加したヒドロキシプロピルセルロース水溶液を添加して造粒した。造粒物を流動層乾燥機(FL−LABO型、フロイント産業株式会社製)で乾燥し、整粒機(フィオーレF−0型、株式会社徳寿工作所製)で整粒した。得られた造粒物に、アムロジピンベシル酸塩、クロスカルメロースナトリウム、トウモロコシデンプンを加えポリ袋内で混合後、さらにステアリン酸マグネシウムを加え混合し、ロータリー式打錠機(VELA−2、株式会社菊水製作所製)を用いて、直径8mm、曲率半径12mmの円形錠用金型にて、約7kNおよび約10kNの圧縮力で成型し、錠剤を得た。
[比較例3]
下記処方に従い、イルベサルタン、D−マンニトール、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムを高速攪拌造粒機(FM−VG−25、株式会社パウレック製)に仕込み、混合した後、ヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液を添加して造粒した。造粒物を流動層乾燥機(FL−LABO型、フロイント産業株式会社製)で乾燥し、整粒機(フィオーレF−0型、株式会社徳寿工作所製)で整粒した。得られた造粒物に、アムロジピンベシル酸塩、クロスカルメロースナトリウム、トウモロコシデンプンを加えポリ袋内で混合後、さらにステアリン酸マグネシウムを加え混合し、ロータリー式打錠機(VELA−2、株式会社菊水製作所製)を用いて、直径8mm、曲率半径12mmの円形錠用金型にて、約7kNおよび約10kNの圧縮力で成型し、錠剤を得た。
[比較例4]
比較例4は市販のアムロジン(登録商標)OD錠2.5mg(大日本住友製薬株式会社製)を4錠とアバプロ(登録商標)錠50mg(大日本住友製薬株式会社製)を2錠併用して使用した。
[比較例5]
比較例4は市販のアムロジン(登録商標)OD錠2.5mg(大日本住友製薬株式会社製)を2錠とアバプロ(登録商標)錠50mg(大日本住友製薬株式会社製)を4錠併用して使用した。
[試験例1]
実施例1〜2および比較例1〜3の錠剤において、錠剤硬度計(TH−203MP,富山産業株式会社製)を用いて硬度を測定したところ、いずれの錠剤も50N以上であり、十分な硬度を有していた。また、第15改正日本薬局方溶出試験法(パドル法)に従って、溶出試験第2液での溶出試験を実施し、30分時点における溶出率を求めたところ、結合剤にポリビニルアルコールを用いた実施例1および2は、いずれの打錠圧でもイルベサルタンおよびアムロジピン共に単剤の併用である比較例1の溶出率の±10%以内であり、ほぼ同等の溶出率を示した。結合剤にヒドロキシプロピルセルロースを用いた比較例2の錠剤はイルベサルタン及びアムロジピン共に比較例1の溶出率よりも10%以上下回っていた。また結合剤にヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いた比較例3の錠剤は、比較例1の溶出率と比較して、イルベサルタンの溶出率低下は10%以内であったものの、アムロジピンは10%以上下回っており満足な溶出率とは言えなかった(表14及び図1〜図4)。
[試験例2]
実施例3〜7の錠剤において、錠剤硬度計(TH−203MP,富山産業株式会社製)を用いて硬度を測定したところ、いずれの錠剤も50N以上であり、十分な硬度を有していた。また、第15改正日本薬局方溶出試験法(パドル法)に従って、溶出試験第2液での溶出試験を実施し、30分時点における溶出率を求めたところ、実施例3はいずれの打錠圧でもイルベサルタンおよびアムロジピン共に単剤の併用である比較例1の溶出率の±10%以内であり、ほぼ同等の溶出率を示した。また、実施例5においても、いずれの打錠圧でもイルベサルタンおよびアムロジピン共に単剤の併用である比較例4の溶出率の±10%以内であり、ほぼ同等の溶出率を示した。さらに実施例3をより小型化した実施例4や、実施例5を小型化した実施例6においても、それぞれ比較例1および4と同様の溶出率を示した(表15)。また、実施例7においても、いずれの打錠圧でもイルベサルタンおよびアムロジピン共に単剤の併用である比較例5の溶出率の±10%以内であり、ほぼ同等の溶出率を示した。(表15)。
[試験例3]
実施例9の錠剤において、第15改正日本薬局方溶出試験法(パドル法)に従って、溶出試験第2液での溶出試験を実施し、30分時点における溶出率を求めたところ、イルベサルタンおよびアムロジピン共に単剤の併用である比較例1の溶出率の±10%以内であり、ほぼ同等の溶出率を示した(表16及び図5)。
本発明によって、単剤を併用した場合と同等の溶出挙動を示す、小型化されたイルベサルタンとアムロジピンまたはその塩を含有する医薬組成物を提供することが可能になる。また、生産においても支障をきたすことも無い。さらにフィルムコーティングを行えば服用時に苦味を有することも無い。

Claims (22)

  1. イルベサルタン;アムロジピンまたはその塩;D−マンニトールおよび結晶セルロースから選択される少なくとも1つの賦形剤;ポリビニルアルコール;カルメロースカルシウム、クロスポビドン、コーンスターチ、カルメロースおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択される少なくとも1つの崩壊剤;ならびにステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリン、フマル酸ステアリルナトリウム、パルミトステアリン酸グリセリル、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、タルク、カルナウバロウ、L−ロイシンおよびポリエチレングリコールからなる群から選択される少なくとも1つの滑沢剤を含有し、医薬組成物中のイルベサルタンの含量が20w/w%〜80w/w%である、医薬組成物。
  2. イルベサルタン、賦形剤、ポリビニルアルコール、および崩壊剤を含有する顆粒と、アムロジピンまたはその塩を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. イルベサルタン、賦形剤、ポリビニルアルコール、および崩壊剤を含有する顆粒に、アムロジピンまたはその塩、崩壊剤および滑沢剤を配合し、打錠して得られる、請求項1に記載の医薬組成物。
  4. イルベサルタン、賦形剤、ポリビニルアルコール、および崩壊剤を含有する顆粒と、アムロジピンまたはその塩を含有する顆粒を含む、請求項2に記載の医薬組成物。
  5. イルベサルタン、賦形剤、ポリビニルアルコール、および崩壊剤を含有する顆粒に、アムロジピンまたはその塩を含有する顆粒および滑沢剤を配合し、打錠して得られる、請求項4に記載の医薬組成物。
  6. 崩壊剤が、コーンスターチである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  7. 賦形剤の含量が10w/w%〜50w/w%である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  8. 崩壊剤の含量が1w/w%〜20w/w%である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  9. 滑沢剤の含量が0.01w/w%〜5w/w%である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  10. アムロジピンまたはその塩の含量が、アムロジピンに換算して0.5w/w%〜20w/w%である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  11. ポリビニルアルコールの含量が、0.01w/w%〜10w/w%である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  12. ポリビニルアルコールが、イルベサルタンの含量に対して、0.01w/w%以上〜10w/w%以下である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  13. 下記素錠(A)およびフィルムコーティング層(B)を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の医薬組成物:
    イルベサルタン、アムロジピンまたはその塩、賦形剤、ポリビニルアルコール、崩壊剤、および滑沢剤を含有する素錠(A)、並びにコーティング剤、可塑剤、および着色剤を含
    有するフィルムコーティング層(B)。
  14. コーティング剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびメタクリル酸コポリマーからなる群から選択される、請求項13に記載の医薬組成物。
  15. コーティング剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項14に記載の医薬組成物。
  16. 可塑剤が、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビタンモノラウレート、トリアセチン、モノステアリン、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、ポリエチレングリコール、ポロキサマー、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、およびポリソルベートからなる群から選択される、請求項13〜15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  17. 可塑剤が、プロピレングリコールである、請求項16に記載の医薬組成物。
  18. 着色剤が、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、黒酸化鉄、タルク、ベータカロチンおよびリボフラビンからなる群から選択される、請求項13〜17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  19. 着色剤が、酸化チタン、黄色三二酸化鉄および三二酸化鉄からなる群から選択される、請求項18に記載の医薬組成物。
  20. イルベサルタンを含有する混合物を湿式造粒して得られる顆粒と、アムロジピンまたはその塩を混合する工程を含んで製造されることを特徴とする、請求項1〜19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  21. イルベサルタンを含有する混合物を湿式造粒して得られる顆粒と、アムロジピンまたはその塩を含有する顆粒を混合する工程を含んで製造されることを特徴とする、請求項1〜19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  22. アムロジピンまたはその塩が、アムロジピンベシル酸塩である、請求項1〜21のいずれか一項に記載の医薬組成物。
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