JPWO2003074993A1 - 濃度測定装置、濃度測定用接触装置、濃度測定用算出装置、及び濃度測定方法 - Google Patents
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Abstract
バックグラウンド測定を行うことなく、安定に高精度な濃度測定を行うことができる特定成分の濃度測定方法を提供する。測定対象物に接触させられる濃度測定用接触子2と、光を射出して、濃度測定用接触子に入射させる光源1と、濃度測定用接触子2より測定対象物内に入射し、測定対象物内を伝播した後濃度測定用接触子2に帰還した光のP偏光成分とS偏光成分とを取り出す偏光子7と、その取り出されたP偏光成分の光量とS偏光成分の光量とを少なくとも計測する光検出器6と、その計測された結果に基づいて、測定対象物に含まれる特定成分の濃度を算出する算出手段8とを備える。
Description
技術分野
本発明は、グルコース、コレステロール、エタノール等の濃度を測定する濃度測定装置に関する。
背景技術
従来、減衰全反射(以降ATRと記述する)測定装置を用いて被検体、とりわけ生体や溶液の特定成分を測定する方法が種々提案されている。
例えば、特開平9−113439号公報には、図7に示すように、平行に向かい合った一対の反射面を備えた透明なATR素子51に上下の口唇52を密着させて血糖値を測定する方法が提案されている。この方法によると、ATR素子51を口にくわえて上下から押さえつけた後、ATR素子51に光を入射させ、図7の破線で示すようにATR素子51の反射面と口唇52の境界で全反射を繰り返してATR素子51の外部にしみ出した光を分析する。なお、特開平9−113439号公報の文献の全ての開示は、そっくりそのまま引用する(参照する)ことにより、ここに一体化する。
また、BME、Vol.5、No.8(日本エムイー学会、1991)には、ZnSe光学結晶等からなるATR索子を口唇の粘膜に密着させたのち、このATR素子に波長9〜11ミクロンのレーザ光を進入させてATR素子の内部で多重的に反射させ、その吸収光、散乱反射光を分析することにより血糖値や血中エタノール濃度を測定する方法が提案されている。なお、BME、Vol.5、No.8(日本エムイー学会、1991)の文献の全ての開示は、そっくりそのまま引用する(参照する)ことにより、ここに一体化する。
この方法によると、リアルタイムに、かつ非侵襲的にグルコース濃度やエタノール濃度、コレステロール濃度等の特定成分の濃度を測定することができる。この方法は、エバネッセント光(いわゆる浸みだし光)を定量分析に応用したものである。ATR素子を進行する光はわずかに口唇に浸入し、そこに存在する体液中の各成分の影響を受ける。
例えば、グルコースには光の波数が1080cm−1において光吸収ピークが存在するため、この波数の光を生体に照射した場合、生体中のグルコース濃度の変化に応じて、吸収量が異なってくる。従って、この光の生体からの帰還光を測定することにより、体液の各種成分の濃度変化にともなう吸収量の変化を検出することができ、すなわち、各成分の濃度を得ることが可能になる。
一般に、ATR測定装置を用いて、物質表面の吸光度を測定したり、また吸光度を用いて濃度を算出する場合、図8に示す測定方法を行っていた。
まず、バックグラウンド測定工程において、光源から出射した光をATR素子に入射させ、ATR素子を測定対象である試料に接触させないで、例えば空気や純水等の参照物の分光計測を行い、計測結果をメモリに記憶することにより、バックグラウンドを測定する(S4)。バックグラウンド測定を行うのは、光源や光検出器などの波長特性を補正するためと、これらの特性が経年的に変化した場合にも、正確な吸光度や濃度を算出できるようにするためである。
次に、測定対象である試料をATR素子と接触するように設定した(S5)後、試料の測定を行う(S6)。
次に、バックグラウンド測定時の光検出器からの検出信号をIb、試料測定時の光検出器からの検出信号をImとすると、Log10(Ib/Im)を算出する(S7)。この値は一般に吸光度と呼ばれる。このようにすると、吸光度と試料中の特定成分の濃度には相関関係があるため、予め吸光度と濃度との検量線を求めておけば、算出された吸光度より試料中の特定成分の濃度を推定することができる。
しかしながら、上記のような従来のATR測定装置は、以下のような問題点を有していた。
バックグラウンド測定後、ある程度時間が経過した後に、試料を測定するような場合、光源の強度や、光検出器の感度が微妙に変化してしまい、正確な測定が困難であった。
また、試料の分光特性を計測する場合、正確に測定するためには、試料測定時において試料とATR素子との接触位置及び接触面積を、バックグラウンド測定時と同じように設定することが必要であるが、これらを精密に行うことが困難であるため測定精度が悪くなっていた。特に生体を計測する場合、測定時の正確な位置決めが困難であった。
発明の開示
本発明は、上記課題を考慮し、バックグラウンド測定を行うことなく、安定に高精度な濃度測定を行うことができる濃度測定装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、第1の本発明は、測定対象物に接触させられる濃度測定用接触子(2)と、
光を射出して、前記濃度測定用接触子(2)に入射させる光源(1)と、
前記濃度測定用接触子(2)より前記測定対象物内に入射し、前記測定対象物内を伝播した後前記濃度測定用接触子(2)に帰還した前記光のP偏光成分とS偏光成分とを取り出す偏光子(7)と、
その取り出された前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを少なくとも計測する光検出器(6)と、
その計測された結果に基づいて、前記測定対象物に含まれる特定成分の濃度を算出する算出手段(8)とを備えた濃度測定装置である。
また、第2の本発明は、前記算出手段(8)は、前記計測された結果と前記特定成分の濃度とを対応付ける、予め求められた対応情報(9)を利用して、前記特定成分の濃度を算出する第1の本発明の濃度測定装置である。
また、第3の本発明は、濃度測定用接触子(2)は、減衰全反射素子であり、前記測定対象物に入射する光は、前記減衰全反射素子からしみ出したエバネッセント光である第1の本発明の濃度測定装置である。
また、第4の本発明は、前記測定対象物は生体組織であり、前記特定成分はグルコース、エタノール、コレステロール、またはコレステロール誘導体である第1の本発明の特定成分の濃度測定方法である。
また、第5の本発明は、前記算出手段(8)は、前記P偏光成分の光量の計測値をIpとし、前記S偏光成分の光量の計測値をIsとする場合、log10(Is/Ip)またはlog10(Ip/Is)を算出し、その算出された値に基づいて前記特定成分の濃度を求める第1の本発明の濃度測定装置である。
また、第6の本発明は、前記算出手段(8)は、前記P偏光成分の光量の計測値をIpとし、前記S偏光成分の光量の計測値をIsとする場合、Ip/IsまたはIs/Ipを算出し、その算出された値に基づいて前記特定成分の濃度を求める第1の本発明の濃度測定装置である。
また、第7の本発明は、前記光検出器(6)は、前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを交互に少なくとも各々1回以上計測し、
前記算出手段(8)は、前記光検出器において計測された計測値のうち、互いに計測した時間が近接した前記P偏光成分の光量の計測値Ipと前記S偏光成分の光量の計測値Isとを選択し、前記Ipと前記Isとを用いて演算を行い、得られた値に基づいて前記特定成分の濃度を求める第1の本発明の濃度測定装置である。
また、第1の発明は、測定対象物に濃度測定用接触子を接触させる接触工程と、
前記濃度測定用接触子に光を入射させる入射工程と、
前記濃度測定用接触子より前記測定対象物内に入射し、前記測定対象物内を伝播した後前記濃度測定用接触子に帰還した前記光のP偏光成分の光量とS偏光成分の光量とを少なくとも計測する計測工程と、
前記計測工程において計測された結果に基づいて、前記測定対象物に含まれる特定成分の濃度を算出する算出工程とを備えた特定成分の濃度測定方法である。本発明は、第1の発明であってもよい。
また、第2の発明は、測定対象物に接触させられる濃度測定用接触子(2)と、
光を射出して、前記濃度測定用接触子(2)に入射させる光源(1)と、
前記濃度測定用接触子(2)より前記測定対象物内に入射し、前記測定対象物内を伝播した後前記濃度測定用接触子(2)に帰還した前記光のP偏光成分とS偏光成分とを取り出す偏光子(7)と、
その取り出された前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを少なくとも計測する光検出器(6)とを備え、
その計測された結果に基づいて、前記測定対象物に含まれる特定成分の濃度が算出手段によって算出される濃度測定用接触装置である。本発明は、第2の発明であってもよい。
また、第3の発明は、測定対象物に接触させられる濃度測定用接触子(2)と、
光を射出して、前記濃度測定用接触子に入射させる光源(1)と、
前記濃度測定用接触子(2)より前記測定対象物内に入射し、前記測定対象物内を伝播した後前記濃度測定用接触子(2)に帰還した前記光のP偏光成分とS偏光成分とを取り出す偏光子(7)と、
その取り出された前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを少なくとも計測する光検出器(6)とを備えた濃度測定用接触装置が計測した結果に基づいて、前記測定対象物に含まれる特定成分の濃度を算出する算出手段(8)を備えた濃度測定用算出装置である。本発明は、第3の発明であってもよい。
発明を実施するための最良の形態
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施の形態における特定成分の濃度測定方法に用いる濃度測定用接触子を示す概略図である。
本実施の形態では、一例として、測定対象物中の特定成分であるグルコースの濃度を計測する例について説明する。
光源1には、例えば中赤外光を発生する光源を用いる。本実施の形態では、光源1としてSiC光源を用いる。SiC光源は、特に、グルコースのような吸収波数が1080cm−1や1033cm−1等の指紋領域(中赤外領域)にあるような物質の濃度を測定するような場合に適している。
濃度測定用接触子2の材料としては、中赤外光を透過し、化学的に安定で、機械的強度に優れているものが好ましく、本実施の形態では、濃度測定用接触子2の材料には、ゲルマニウムを用いる。
接触部4には、測定対象物を接触させる。例えば、グルコース溶液を測定する場合、この部分にグルコース溶液を滴下し、接触部4の表面上をすべて覆わせる。表面張力の効果によって、グルコースは接触部4よりこぼれることなく計測に必要な適度の量が接触部4に保持されるので、安定に計測することができる。
また、測定対象物が生体である場合には、接触部4に生体を密着させる。ここで、生体と密着する部分の面積が2cm2以下であることが好ましい。面積を2cm2以下にすることにより、生体への食い込みが大きくなり、密着性がよくなって安定に計測することができる。接触部4に密着させる生体の部分は、角質層の薄いところが好ましく、指の爪の付け根部分や後爪郭や口唇や口腔内が好ましい。
接触部4の形状は特に限定するものではないが、略円形状であると、測定対象物が生体の場合は、測定時の痛みが少ないため好ましい。更に外周部に面取り部分、もしくは丸み部分を設けることにより、更に痛みが低減化できるため好ましい。
光検出器6として、本実施の形態ではMCT光検出器を用いる。
偏光子7は、ある特定の偏光成分の光を取り出す働きを有する。本実施の形態では、微細なスリットを複数本設けたワイヤーグリッド偏光子を用いる。偏光子7を回転させることで、光検出器6に到達する光の偏光成分をS偏光またはP偏光に任意に設定することができる。偏光子7は、図1の位置に限定されず、光源1と光検出器6との光路上にあればよい。
図中偏光子7の実線方向はS偏光成分の光の振動方向を示し、破線方向はP偏光成分の光の振動方向を示す。偏光子7は同一振動方向の光しか通過させないため、例えば図の実線方向に設定してS偏光成分の計測を行った後、P偏光成分を測定するには、偏光子7を90度回転する必要がある。
また、図示しないが、例えば光源1と濃度測定用接触子2との間に分光手段を設けると、特定成分の波長分光特性が計測できるので、種々の波長での吸収特性を得ることができるため好ましい。特に干渉計を用いた分光法FT−IR法は高感度な計測ができるため好ましい。
算出手段8は、光検出器6で計測された結果から対応情報9を利用して、グルコース溶液の濃度を算出する。算出手段8としてはCPUとメモリーから構成されるマイクロコンピュータまたはパーソナルコンピュータを用いる。
検量線9は、予め濃度が既知のグルコース溶液を本実施の形態の特定成分の濃度測定方法により計測し、グルコース溶液の濃度と計測結果とを各グルコース溶液の濃度において対応付けた情報である。検量線9は、例えば、上記マイクロコンピュータまたはパーソナルコンピュータに予め格納されている。
なお、本実施の形態の検量線9は本発明の対応情報の例である。
次に、本実施の形態における特定成分の濃度測定方法の測定フローについて図2を用いて説明する。
まず、測定対象物であるグルコース溶液を濃度測定用接触子の接触部に設定する(S1)。ここで、従来では測定が必要であった、空気や純水を用いたバックグラウンド測定は行う必要がない。次に、グルコース溶液を設定した状態で、グルコース溶液の偏光分光特性を計測する(S2)。偏光分光特性としては、例えばS偏光の分光特性、P偏光の分光特性を計測する。次に、算出手段8において、得られた偏光成分の計測値を用いて演算を行い、得られた値に基づいてグルコース溶液中のグルコース濃度を算出する(S3)。演算としては、例えば、S偏光成分の計測値をIs、P偏光成分の計測値をIpとした場合、Ip/Isを算出する。
次に、本実施の形態の濃度測定用接触子を用いた特定成分の濃度測定方法について図1を用いて説明する。
接触部4上に測定対象物であるグルコース溶液を滴下し、接触部4全面を溶液で満たす。光源1から出射した光を接触部4に入射角度λで入射させ全反射させる。このとき接触部4からエバネッセント光がしみ出し、グルコース溶液内を伝播した後、接触部4に帰還し、次いで光出力部5より出射し、偏光子7を介して光検出器6に到達する。
偏光子7を、図中実線方向の振動面をもつ光、すなわちS偏光の光が通過するように設定して、グルコース溶液のS偏光成分の分光特性を測定する。次に、偏光子7を90度回転させてP偏光成分の分光特性を測定し計測を完了する。各波数毎のIp、IsによりIp/Isを算出し、この値と、あらかじめ求めておいた検量線9とを用いてグルコース濃度を算出する。
ここで、接触部4に入射させる光の入射角度θは、下記の数1により求めたz/λが0.25以上となるように設定することが好ましい。ただし、zはしみ出し深さ(単位ミクロン)、λは接触部に入射する光の波長(単位ミクロン)、nfは接触部の屈折率、θは接触部に入射する光の入射角度、ncは測定対象物の屈折率をあらわす。
例えば、測定対象物であるグルコース溶液の、波長約9.6ミクロンでの屈折率ncを1.24とし、接触部に屈折率nfが4のゲルマニウムを用い、z/λ=0.25となる入射角度θは約45度となる。このような入射角度で光を接触部に入射させることで、S偏光とP偏光の測定対象物内での光の吸光度に大きな差が生じる。このS偏光とP偏光との吸光度差により、特定成分の濃度を検出することができる。すなわち、S偏光は、測定対象物のより浅い部分までしかしみ出さず、P偏光は、測定対象物のより深い部分までしみ出す。そして、S偏光は、測定対象物に含まれる特定成分の濃度の影響をほとんど受けない。つまり、S偏光の光量を計測することは、従来の技術におけるバックグラウンド測定を行うことに対応し、P偏光の光量を計測することは、従来の技術における試料の計測を行うことに対応する。従って、S偏光の光量とP偏光の光量とを計測することにより、特定成分の濃度を検出することが出来る。
入射角度は、45度より小さければ有効であるが、臨界角よりも大きいことが好ましい。臨界角よりも小さくなると光が全反射条件を満足しないために光が測定対象物中に拡散して帰還する光の量が減少するとともに、P偏光とS偏光の光の光路差が減少してしまうためである。実験の結果、z/λ=0.9以上、すなわち接触部にゲルマニウムを使用した場合、入射角度を21度や20度にすると特に良好な結果が得られ、19度にすると更に好ましい結果が得られた。
また、一般にFT−IR分光器を用いて測定する場合、波長をスキャンさせて計測操作を数回繰り返して行い、その平均計測値を算出する場合が多い。本発明はこのような測定方法にも有効であり、例えば各偏光成分で数回計測した後に計測値を平均して平均計測値を算出することが好ましい。
また、S偏光成分を計測した後、P偏光成分を計測するという操作を交互に行ってもよい。この時、、計測した時間が互いに近接した、S偏光成分とP偏光成分の計測結果をもとに、Ip/Is、Is/Ip、log10(Ip/Is)またはlog10(Is/Ip)を算出すると、光源や光検出器の経時変化の影響を極力抑制することができるため特に好ましい。
なお、本実施の形態では、光源1としてSiC光源を用いるとして説明したが、これに限らず、光源1として例えばタングステンなどを用いることが好ましい。また、さらに好ましくは光源1として量子カスケードレーザを用いることが好ましい。このような光源を用いる場合も、SiC光源を用いる場合と同様に、特に、グルコースのような吸収波数が約1080cm−1や1033cm−1等の指紋領域(中赤外領域)にあるような物質の濃度を測定するような場合に適している。
さらに、本実施の形態では、濃度測定用接触子2の材料としてゲルマニウムを用いるとして説明したが、これに限らない。濃度測定用接触子2の材料として、中赤外光を透過し、化学的に安定で、機械的強度に優れているシリコンを用いることも出来る。
また、濃度測定用接触子2の材料としてシリコンを用いる場合には、例えば、波長1.1〜10ミクロンで透明なシリコン単結晶基板を用いる。特にホウ素やリン等の不純物含有量が小さく、抵抗率も100Ωcm以上のものが好ましい。さらには、抵抗率が1500Ωcm以上のものが好ましい。これら高抵抗率のシリコンは、約9〜10ミクロンの赤外波長で透過率が高く、これらの波長帯に吸収領域を有するグルコース等の物質を測定する場合に好ましい。
さらに、光入力部3の表面には反射防止膜を設けることが好ましい。反射防止膜の材料としては、例えばダイヤモンドライクカーボン(DLC)やZnSeを用いる。膜厚としては約1.1から1.3ミクロンが好ましく、更には1.2ミクロン程度が好ましい。
さらに、光出力部5には、光入力部3と同様に反射防止膜を設けることが好ましい。
さらに、本実施の形態では、光検出器6としてMCT光検出器を用いるとして説明したが、これに限らない。光検出器6として焦電センサーを用いても構わない。
さらに、検量線9は、グルコース溶液の濃度と計測結果とを対応つけるテーブルであっても構わないし、グルコース溶液の濃度と計測結果とを対応つける数式であっても構わない。
さらに、本実施の形態では、偏光子7としてワイヤーグリッド偏光子を用いるとして説明したが、これに限らない。偏光子7としてP偏光成分を透過し、S偏光成分を反射する干渉フィルタ型偏光子を用いることも出来る。
図6に偏光子7の代わりに干渉フィルタ型偏光子である偏光子7aを用いた場合の特定成分の濃度測定方法に用いる濃度測定用接触子を示す概略図を示す。図6において、図1と同一部分については同一符号を付し詳細な説明を省略する。
偏光子7aは、図1の偏光子7と同様にある特定の偏光成分の光を取り出す働きを有する。偏光子7aの偏光子7との相違点は、上述したように偏光子7aは、S偏光成分を反射し、P偏光成分を透過する点である。
従って、図1とは異なり、図6では、P偏光成分の光量つまり偏光子7aの透過光の光量を検出するための光検出器6aと、S偏光成分の光量つまり偏光子7aの反射光の光量を検出するための光検出器6bとが配置されている。光検出器6a、6bとしては、焦電センサーを用いる。なお、光検出器6a、6bとして、MCT光検出器を用いてもよい。
図6の濃度測定用接触子によれば、2つの光検出器6a、6bにより、同時にS偏光成分とP偏光成分とを測定出来るので、図1で説明したように偏光子7を、S偏光の光が通過するように設定して、グルコース溶液のS偏光成分の分光特性を測定し、次に、偏光子7を90度回転させてP偏光成分の分光特性を測定するという2段階の測定ステップを踏む必要がない。従って上記実施の形態より、より光源1の変動の影響を受けにくくなるという効果を得ることが出来る。
さらに、本実施の形態では、測定対象物としてグルコース溶液を用い、測定対象物の特定成分がグルコースである場合について説明したが、これに限らない。測定対象物としてグルコース溶液だけでなく、血漿中のグルコース濃度、生体中のグルコース濃度等の測定にも有用である。測定対象物の特定成分がグルコース以外に、コレステロール、エタノール、コレステロール誘導体等である場合も本実施の形態を効果的に適用することが出来る。ただし、測定対象物の特定成分が変わると、計測する光の波長も変わる。
すなわち、コレステロールもしくはコレステロール誘導体を測定対象物の特定成分とする場合には、コレステロールの吸収波長が1500nmや1700nmであるので、光源1として、このような波長の光を射出する光源を用いるかまたはこのような波長の光を検出する光検出器を用いればよい。また、エタノールを測定対象物の特定成分とする場合には、エタノールの吸収波数が1240cm−1や1400cm−1であるので、このような波数の光を射出する光源を用いるかまたはこのような波数の光を検出する光検出器を用いればよい。また、上記以外の測定対象物の特定成分であっても、その測定対象物の特定成分の吸収波数の光を射出する光源を用いるかまたはこのような波数の光を検出する光検出器を用いることにより、上記と同様にその測定対象物の特定成分の濃度を計測することが出来る。
このように本実施の形態によれば、バックグラウンド測定を行うことなく、安定に高精度な濃度測定を行うことが可能な特定成分の濃度測定方法を提供することができる。本発明の特定成分の濃度測定方法は、グルコース溶液だけでなく、血漿中のグルコース濃度、生体中のグルコース濃度等の測定にも有用である。
(実施例)
図1に示す濃度測定用接触子を用いて、グルコース溶液中のグルコース濃度の測定を行った。図3は、異なる濃度のグルコース溶液について求めた、Ip/Isの入射光波数依存性を示す特性図である。測定には、50、100、200mg/dlの異なるグルコース濃度のグルコース溶液を用いた。また、1135cm−1と1000cm−1の波数でのIp/Isがゼロとなるように、ベースライン補正を行った。
例えば、1076cm−1もしくは1033cm−1の波数に着眼すると、グルコース濃度が増大するとともに、Ip/Isの値が減少し、グルコース濃度とIp/Isの値との間に相関関係があることがわかる。
図4に、1033cm−1でのIp/Isの値とグルコース濃度との関係を示す。図から、両者には直線関係があり、良好な相関性があることがわかる。したがって、従来のバックグラウンド測定を行なわなくても、計測値であるIpとIsとを用いてIp/Isを求めることにより、容易にグルコース濃度を算出することができた。そして、例えば図4に示したIp/Isの値とグルコース濃度との関係を予め求めておいた検量線9として用いることが出来る。
また、図5は、図4に示したIp/Isの値とグルコース濃度との関係を求めた際の光源の光量より、10%だけ光量が低減された光源を用いた場合のIp/Isの値とグルコース濃度との関係を示すものである。図4と図5とを比較すると実質上同一の直線関係となっていることがわかる。従って、本実施例のようにIp/Isを求めることにより、光源の光量が光源の経年変化などにより低下した場合であっても、精度よくグルコース濃度を求めることが出来ることがわかる。
なお、本実施例では、Ip/Isを用いてグルコース濃度を求めたが、これに限定されず、Is/Ip、log10(Ip/Is)またはlog10(Is/Ip)を用いても、同様の効果を得ることができる。
産業上の利用可能性
以上説明したところから明らかなように、本発明は、バックグラウンド測定を行うことなく、安定に高精度な濃度測定を行うことができる濃度測定装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の一実施の形態における特定成分の濃度測定方法に用いる濃度測定用接触子を示す概略図である。
図2は、同実施の形態における特定成分の濃度測定方法の測定フローを示す図である。
図3は、同実施の形態における特定成分の濃度測定方法により求めた、Ip/Isの入射光波数依存性を示す特性図である。
図4は、同実施の形態における特定成分の濃度測定方法により求めた、Ip/Isの値とグルコース濃度との関係を示す特性図である。
図5は、同実施の形態における図4に示したIp/Isの値とグルコース濃度との関係を求めた際の光源の光量より、10%だけ光量が低減された光源を用いた場合のIp/Isの値とグルコース濃度との関係を示す図である。
図6は、同実施の形態における偏光子として干渉フィルター型偏光子を用いた場合における特定成分の濃度測定方法に用いる濃度測定用接触子を示す概略図である。
図7は、従来のATR素子を用いた濃度測定方法を示す概略図である。
図8は、従来の濃度測定方法の測定フローを示す図である。
(符号の説明)
1 光源
2 濃度測定用接触子
3 光入力部
4 接触部
5 光出力部
6 光検出器
7 偏光子
51 ATR素子
52 口唇
本発明は、グルコース、コレステロール、エタノール等の濃度を測定する濃度測定装置に関する。
背景技術
従来、減衰全反射(以降ATRと記述する)測定装置を用いて被検体、とりわけ生体や溶液の特定成分を測定する方法が種々提案されている。
例えば、特開平9−113439号公報には、図7に示すように、平行に向かい合った一対の反射面を備えた透明なATR素子51に上下の口唇52を密着させて血糖値を測定する方法が提案されている。この方法によると、ATR素子51を口にくわえて上下から押さえつけた後、ATR素子51に光を入射させ、図7の破線で示すようにATR素子51の反射面と口唇52の境界で全反射を繰り返してATR素子51の外部にしみ出した光を分析する。なお、特開平9−113439号公報の文献の全ての開示は、そっくりそのまま引用する(参照する)ことにより、ここに一体化する。
また、BME、Vol.5、No.8(日本エムイー学会、1991)には、ZnSe光学結晶等からなるATR索子を口唇の粘膜に密着させたのち、このATR素子に波長9〜11ミクロンのレーザ光を進入させてATR素子の内部で多重的に反射させ、その吸収光、散乱反射光を分析することにより血糖値や血中エタノール濃度を測定する方法が提案されている。なお、BME、Vol.5、No.8(日本エムイー学会、1991)の文献の全ての開示は、そっくりそのまま引用する(参照する)ことにより、ここに一体化する。
この方法によると、リアルタイムに、かつ非侵襲的にグルコース濃度やエタノール濃度、コレステロール濃度等の特定成分の濃度を測定することができる。この方法は、エバネッセント光(いわゆる浸みだし光)を定量分析に応用したものである。ATR素子を進行する光はわずかに口唇に浸入し、そこに存在する体液中の各成分の影響を受ける。
例えば、グルコースには光の波数が1080cm−1において光吸収ピークが存在するため、この波数の光を生体に照射した場合、生体中のグルコース濃度の変化に応じて、吸収量が異なってくる。従って、この光の生体からの帰還光を測定することにより、体液の各種成分の濃度変化にともなう吸収量の変化を検出することができ、すなわち、各成分の濃度を得ることが可能になる。
一般に、ATR測定装置を用いて、物質表面の吸光度を測定したり、また吸光度を用いて濃度を算出する場合、図8に示す測定方法を行っていた。
まず、バックグラウンド測定工程において、光源から出射した光をATR素子に入射させ、ATR素子を測定対象である試料に接触させないで、例えば空気や純水等の参照物の分光計測を行い、計測結果をメモリに記憶することにより、バックグラウンドを測定する(S4)。バックグラウンド測定を行うのは、光源や光検出器などの波長特性を補正するためと、これらの特性が経年的に変化した場合にも、正確な吸光度や濃度を算出できるようにするためである。
次に、測定対象である試料をATR素子と接触するように設定した(S5)後、試料の測定を行う(S6)。
次に、バックグラウンド測定時の光検出器からの検出信号をIb、試料測定時の光検出器からの検出信号をImとすると、Log10(Ib/Im)を算出する(S7)。この値は一般に吸光度と呼ばれる。このようにすると、吸光度と試料中の特定成分の濃度には相関関係があるため、予め吸光度と濃度との検量線を求めておけば、算出された吸光度より試料中の特定成分の濃度を推定することができる。
しかしながら、上記のような従来のATR測定装置は、以下のような問題点を有していた。
バックグラウンド測定後、ある程度時間が経過した後に、試料を測定するような場合、光源の強度や、光検出器の感度が微妙に変化してしまい、正確な測定が困難であった。
また、試料の分光特性を計測する場合、正確に測定するためには、試料測定時において試料とATR素子との接触位置及び接触面積を、バックグラウンド測定時と同じように設定することが必要であるが、これらを精密に行うことが困難であるため測定精度が悪くなっていた。特に生体を計測する場合、測定時の正確な位置決めが困難であった。
発明の開示
本発明は、上記課題を考慮し、バックグラウンド測定を行うことなく、安定に高精度な濃度測定を行うことができる濃度測定装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、第1の本発明は、測定対象物に接触させられる濃度測定用接触子(2)と、
光を射出して、前記濃度測定用接触子(2)に入射させる光源(1)と、
前記濃度測定用接触子(2)より前記測定対象物内に入射し、前記測定対象物内を伝播した後前記濃度測定用接触子(2)に帰還した前記光のP偏光成分とS偏光成分とを取り出す偏光子(7)と、
その取り出された前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを少なくとも計測する光検出器(6)と、
その計測された結果に基づいて、前記測定対象物に含まれる特定成分の濃度を算出する算出手段(8)とを備えた濃度測定装置である。
また、第2の本発明は、前記算出手段(8)は、前記計測された結果と前記特定成分の濃度とを対応付ける、予め求められた対応情報(9)を利用して、前記特定成分の濃度を算出する第1の本発明の濃度測定装置である。
また、第3の本発明は、濃度測定用接触子(2)は、減衰全反射素子であり、前記測定対象物に入射する光は、前記減衰全反射素子からしみ出したエバネッセント光である第1の本発明の濃度測定装置である。
また、第4の本発明は、前記測定対象物は生体組織であり、前記特定成分はグルコース、エタノール、コレステロール、またはコレステロール誘導体である第1の本発明の特定成分の濃度測定方法である。
また、第5の本発明は、前記算出手段(8)は、前記P偏光成分の光量の計測値をIpとし、前記S偏光成分の光量の計測値をIsとする場合、log10(Is/Ip)またはlog10(Ip/Is)を算出し、その算出された値に基づいて前記特定成分の濃度を求める第1の本発明の濃度測定装置である。
また、第6の本発明は、前記算出手段(8)は、前記P偏光成分の光量の計測値をIpとし、前記S偏光成分の光量の計測値をIsとする場合、Ip/IsまたはIs/Ipを算出し、その算出された値に基づいて前記特定成分の濃度を求める第1の本発明の濃度測定装置である。
また、第7の本発明は、前記光検出器(6)は、前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを交互に少なくとも各々1回以上計測し、
前記算出手段(8)は、前記光検出器において計測された計測値のうち、互いに計測した時間が近接した前記P偏光成分の光量の計測値Ipと前記S偏光成分の光量の計測値Isとを選択し、前記Ipと前記Isとを用いて演算を行い、得られた値に基づいて前記特定成分の濃度を求める第1の本発明の濃度測定装置である。
また、第1の発明は、測定対象物に濃度測定用接触子を接触させる接触工程と、
前記濃度測定用接触子に光を入射させる入射工程と、
前記濃度測定用接触子より前記測定対象物内に入射し、前記測定対象物内を伝播した後前記濃度測定用接触子に帰還した前記光のP偏光成分の光量とS偏光成分の光量とを少なくとも計測する計測工程と、
前記計測工程において計測された結果に基づいて、前記測定対象物に含まれる特定成分の濃度を算出する算出工程とを備えた特定成分の濃度測定方法である。本発明は、第1の発明であってもよい。
また、第2の発明は、測定対象物に接触させられる濃度測定用接触子(2)と、
光を射出して、前記濃度測定用接触子(2)に入射させる光源(1)と、
前記濃度測定用接触子(2)より前記測定対象物内に入射し、前記測定対象物内を伝播した後前記濃度測定用接触子(2)に帰還した前記光のP偏光成分とS偏光成分とを取り出す偏光子(7)と、
その取り出された前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを少なくとも計測する光検出器(6)とを備え、
その計測された結果に基づいて、前記測定対象物に含まれる特定成分の濃度が算出手段によって算出される濃度測定用接触装置である。本発明は、第2の発明であってもよい。
また、第3の発明は、測定対象物に接触させられる濃度測定用接触子(2)と、
光を射出して、前記濃度測定用接触子に入射させる光源(1)と、
前記濃度測定用接触子(2)より前記測定対象物内に入射し、前記測定対象物内を伝播した後前記濃度測定用接触子(2)に帰還した前記光のP偏光成分とS偏光成分とを取り出す偏光子(7)と、
その取り出された前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを少なくとも計測する光検出器(6)とを備えた濃度測定用接触装置が計測した結果に基づいて、前記測定対象物に含まれる特定成分の濃度を算出する算出手段(8)を備えた濃度測定用算出装置である。本発明は、第3の発明であってもよい。
発明を実施するための最良の形態
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施の形態における特定成分の濃度測定方法に用いる濃度測定用接触子を示す概略図である。
本実施の形態では、一例として、測定対象物中の特定成分であるグルコースの濃度を計測する例について説明する。
光源1には、例えば中赤外光を発生する光源を用いる。本実施の形態では、光源1としてSiC光源を用いる。SiC光源は、特に、グルコースのような吸収波数が1080cm−1や1033cm−1等の指紋領域(中赤外領域)にあるような物質の濃度を測定するような場合に適している。
濃度測定用接触子2の材料としては、中赤外光を透過し、化学的に安定で、機械的強度に優れているものが好ましく、本実施の形態では、濃度測定用接触子2の材料には、ゲルマニウムを用いる。
接触部4には、測定対象物を接触させる。例えば、グルコース溶液を測定する場合、この部分にグルコース溶液を滴下し、接触部4の表面上をすべて覆わせる。表面張力の効果によって、グルコースは接触部4よりこぼれることなく計測に必要な適度の量が接触部4に保持されるので、安定に計測することができる。
また、測定対象物が生体である場合には、接触部4に生体を密着させる。ここで、生体と密着する部分の面積が2cm2以下であることが好ましい。面積を2cm2以下にすることにより、生体への食い込みが大きくなり、密着性がよくなって安定に計測することができる。接触部4に密着させる生体の部分は、角質層の薄いところが好ましく、指の爪の付け根部分や後爪郭や口唇や口腔内が好ましい。
接触部4の形状は特に限定するものではないが、略円形状であると、測定対象物が生体の場合は、測定時の痛みが少ないため好ましい。更に外周部に面取り部分、もしくは丸み部分を設けることにより、更に痛みが低減化できるため好ましい。
光検出器6として、本実施の形態ではMCT光検出器を用いる。
偏光子7は、ある特定の偏光成分の光を取り出す働きを有する。本実施の形態では、微細なスリットを複数本設けたワイヤーグリッド偏光子を用いる。偏光子7を回転させることで、光検出器6に到達する光の偏光成分をS偏光またはP偏光に任意に設定することができる。偏光子7は、図1の位置に限定されず、光源1と光検出器6との光路上にあればよい。
図中偏光子7の実線方向はS偏光成分の光の振動方向を示し、破線方向はP偏光成分の光の振動方向を示す。偏光子7は同一振動方向の光しか通過させないため、例えば図の実線方向に設定してS偏光成分の計測を行った後、P偏光成分を測定するには、偏光子7を90度回転する必要がある。
また、図示しないが、例えば光源1と濃度測定用接触子2との間に分光手段を設けると、特定成分の波長分光特性が計測できるので、種々の波長での吸収特性を得ることができるため好ましい。特に干渉計を用いた分光法FT−IR法は高感度な計測ができるため好ましい。
算出手段8は、光検出器6で計測された結果から対応情報9を利用して、グルコース溶液の濃度を算出する。算出手段8としてはCPUとメモリーから構成されるマイクロコンピュータまたはパーソナルコンピュータを用いる。
検量線9は、予め濃度が既知のグルコース溶液を本実施の形態の特定成分の濃度測定方法により計測し、グルコース溶液の濃度と計測結果とを各グルコース溶液の濃度において対応付けた情報である。検量線9は、例えば、上記マイクロコンピュータまたはパーソナルコンピュータに予め格納されている。
なお、本実施の形態の検量線9は本発明の対応情報の例である。
次に、本実施の形態における特定成分の濃度測定方法の測定フローについて図2を用いて説明する。
まず、測定対象物であるグルコース溶液を濃度測定用接触子の接触部に設定する(S1)。ここで、従来では測定が必要であった、空気や純水を用いたバックグラウンド測定は行う必要がない。次に、グルコース溶液を設定した状態で、グルコース溶液の偏光分光特性を計測する(S2)。偏光分光特性としては、例えばS偏光の分光特性、P偏光の分光特性を計測する。次に、算出手段8において、得られた偏光成分の計測値を用いて演算を行い、得られた値に基づいてグルコース溶液中のグルコース濃度を算出する(S3)。演算としては、例えば、S偏光成分の計測値をIs、P偏光成分の計測値をIpとした場合、Ip/Isを算出する。
次に、本実施の形態の濃度測定用接触子を用いた特定成分の濃度測定方法について図1を用いて説明する。
接触部4上に測定対象物であるグルコース溶液を滴下し、接触部4全面を溶液で満たす。光源1から出射した光を接触部4に入射角度λで入射させ全反射させる。このとき接触部4からエバネッセント光がしみ出し、グルコース溶液内を伝播した後、接触部4に帰還し、次いで光出力部5より出射し、偏光子7を介して光検出器6に到達する。
偏光子7を、図中実線方向の振動面をもつ光、すなわちS偏光の光が通過するように設定して、グルコース溶液のS偏光成分の分光特性を測定する。次に、偏光子7を90度回転させてP偏光成分の分光特性を測定し計測を完了する。各波数毎のIp、IsによりIp/Isを算出し、この値と、あらかじめ求めておいた検量線9とを用いてグルコース濃度を算出する。
ここで、接触部4に入射させる光の入射角度θは、下記の数1により求めたz/λが0.25以上となるように設定することが好ましい。ただし、zはしみ出し深さ(単位ミクロン)、λは接触部に入射する光の波長(単位ミクロン)、nfは接触部の屈折率、θは接触部に入射する光の入射角度、ncは測定対象物の屈折率をあらわす。
例えば、測定対象物であるグルコース溶液の、波長約9.6ミクロンでの屈折率ncを1.24とし、接触部に屈折率nfが4のゲルマニウムを用い、z/λ=0.25となる入射角度θは約45度となる。このような入射角度で光を接触部に入射させることで、S偏光とP偏光の測定対象物内での光の吸光度に大きな差が生じる。このS偏光とP偏光との吸光度差により、特定成分の濃度を検出することができる。すなわち、S偏光は、測定対象物のより浅い部分までしかしみ出さず、P偏光は、測定対象物のより深い部分までしみ出す。そして、S偏光は、測定対象物に含まれる特定成分の濃度の影響をほとんど受けない。つまり、S偏光の光量を計測することは、従来の技術におけるバックグラウンド測定を行うことに対応し、P偏光の光量を計測することは、従来の技術における試料の計測を行うことに対応する。従って、S偏光の光量とP偏光の光量とを計測することにより、特定成分の濃度を検出することが出来る。
入射角度は、45度より小さければ有効であるが、臨界角よりも大きいことが好ましい。臨界角よりも小さくなると光が全反射条件を満足しないために光が測定対象物中に拡散して帰還する光の量が減少するとともに、P偏光とS偏光の光の光路差が減少してしまうためである。実験の結果、z/λ=0.9以上、すなわち接触部にゲルマニウムを使用した場合、入射角度を21度や20度にすると特に良好な結果が得られ、19度にすると更に好ましい結果が得られた。
また、一般にFT−IR分光器を用いて測定する場合、波長をスキャンさせて計測操作を数回繰り返して行い、その平均計測値を算出する場合が多い。本発明はこのような測定方法にも有効であり、例えば各偏光成分で数回計測した後に計測値を平均して平均計測値を算出することが好ましい。
また、S偏光成分を計測した後、P偏光成分を計測するという操作を交互に行ってもよい。この時、、計測した時間が互いに近接した、S偏光成分とP偏光成分の計測結果をもとに、Ip/Is、Is/Ip、log10(Ip/Is)またはlog10(Is/Ip)を算出すると、光源や光検出器の経時変化の影響を極力抑制することができるため特に好ましい。
なお、本実施の形態では、光源1としてSiC光源を用いるとして説明したが、これに限らず、光源1として例えばタングステンなどを用いることが好ましい。また、さらに好ましくは光源1として量子カスケードレーザを用いることが好ましい。このような光源を用いる場合も、SiC光源を用いる場合と同様に、特に、グルコースのような吸収波数が約1080cm−1や1033cm−1等の指紋領域(中赤外領域)にあるような物質の濃度を測定するような場合に適している。
さらに、本実施の形態では、濃度測定用接触子2の材料としてゲルマニウムを用いるとして説明したが、これに限らない。濃度測定用接触子2の材料として、中赤外光を透過し、化学的に安定で、機械的強度に優れているシリコンを用いることも出来る。
また、濃度測定用接触子2の材料としてシリコンを用いる場合には、例えば、波長1.1〜10ミクロンで透明なシリコン単結晶基板を用いる。特にホウ素やリン等の不純物含有量が小さく、抵抗率も100Ωcm以上のものが好ましい。さらには、抵抗率が1500Ωcm以上のものが好ましい。これら高抵抗率のシリコンは、約9〜10ミクロンの赤外波長で透過率が高く、これらの波長帯に吸収領域を有するグルコース等の物質を測定する場合に好ましい。
さらに、光入力部3の表面には反射防止膜を設けることが好ましい。反射防止膜の材料としては、例えばダイヤモンドライクカーボン(DLC)やZnSeを用いる。膜厚としては約1.1から1.3ミクロンが好ましく、更には1.2ミクロン程度が好ましい。
さらに、光出力部5には、光入力部3と同様に反射防止膜を設けることが好ましい。
さらに、本実施の形態では、光検出器6としてMCT光検出器を用いるとして説明したが、これに限らない。光検出器6として焦電センサーを用いても構わない。
さらに、検量線9は、グルコース溶液の濃度と計測結果とを対応つけるテーブルであっても構わないし、グルコース溶液の濃度と計測結果とを対応つける数式であっても構わない。
さらに、本実施の形態では、偏光子7としてワイヤーグリッド偏光子を用いるとして説明したが、これに限らない。偏光子7としてP偏光成分を透過し、S偏光成分を反射する干渉フィルタ型偏光子を用いることも出来る。
図6に偏光子7の代わりに干渉フィルタ型偏光子である偏光子7aを用いた場合の特定成分の濃度測定方法に用いる濃度測定用接触子を示す概略図を示す。図6において、図1と同一部分については同一符号を付し詳細な説明を省略する。
偏光子7aは、図1の偏光子7と同様にある特定の偏光成分の光を取り出す働きを有する。偏光子7aの偏光子7との相違点は、上述したように偏光子7aは、S偏光成分を反射し、P偏光成分を透過する点である。
従って、図1とは異なり、図6では、P偏光成分の光量つまり偏光子7aの透過光の光量を検出するための光検出器6aと、S偏光成分の光量つまり偏光子7aの反射光の光量を検出するための光検出器6bとが配置されている。光検出器6a、6bとしては、焦電センサーを用いる。なお、光検出器6a、6bとして、MCT光検出器を用いてもよい。
図6の濃度測定用接触子によれば、2つの光検出器6a、6bにより、同時にS偏光成分とP偏光成分とを測定出来るので、図1で説明したように偏光子7を、S偏光の光が通過するように設定して、グルコース溶液のS偏光成分の分光特性を測定し、次に、偏光子7を90度回転させてP偏光成分の分光特性を測定するという2段階の測定ステップを踏む必要がない。従って上記実施の形態より、より光源1の変動の影響を受けにくくなるという効果を得ることが出来る。
さらに、本実施の形態では、測定対象物としてグルコース溶液を用い、測定対象物の特定成分がグルコースである場合について説明したが、これに限らない。測定対象物としてグルコース溶液だけでなく、血漿中のグルコース濃度、生体中のグルコース濃度等の測定にも有用である。測定対象物の特定成分がグルコース以外に、コレステロール、エタノール、コレステロール誘導体等である場合も本実施の形態を効果的に適用することが出来る。ただし、測定対象物の特定成分が変わると、計測する光の波長も変わる。
すなわち、コレステロールもしくはコレステロール誘導体を測定対象物の特定成分とする場合には、コレステロールの吸収波長が1500nmや1700nmであるので、光源1として、このような波長の光を射出する光源を用いるかまたはこのような波長の光を検出する光検出器を用いればよい。また、エタノールを測定対象物の特定成分とする場合には、エタノールの吸収波数が1240cm−1や1400cm−1であるので、このような波数の光を射出する光源を用いるかまたはこのような波数の光を検出する光検出器を用いればよい。また、上記以外の測定対象物の特定成分であっても、その測定対象物の特定成分の吸収波数の光を射出する光源を用いるかまたはこのような波数の光を検出する光検出器を用いることにより、上記と同様にその測定対象物の特定成分の濃度を計測することが出来る。
このように本実施の形態によれば、バックグラウンド測定を行うことなく、安定に高精度な濃度測定を行うことが可能な特定成分の濃度測定方法を提供することができる。本発明の特定成分の濃度測定方法は、グルコース溶液だけでなく、血漿中のグルコース濃度、生体中のグルコース濃度等の測定にも有用である。
(実施例)
図1に示す濃度測定用接触子を用いて、グルコース溶液中のグルコース濃度の測定を行った。図3は、異なる濃度のグルコース溶液について求めた、Ip/Isの入射光波数依存性を示す特性図である。測定には、50、100、200mg/dlの異なるグルコース濃度のグルコース溶液を用いた。また、1135cm−1と1000cm−1の波数でのIp/Isがゼロとなるように、ベースライン補正を行った。
例えば、1076cm−1もしくは1033cm−1の波数に着眼すると、グルコース濃度が増大するとともに、Ip/Isの値が減少し、グルコース濃度とIp/Isの値との間に相関関係があることがわかる。
図4に、1033cm−1でのIp/Isの値とグルコース濃度との関係を示す。図から、両者には直線関係があり、良好な相関性があることがわかる。したがって、従来のバックグラウンド測定を行なわなくても、計測値であるIpとIsとを用いてIp/Isを求めることにより、容易にグルコース濃度を算出することができた。そして、例えば図4に示したIp/Isの値とグルコース濃度との関係を予め求めておいた検量線9として用いることが出来る。
また、図5は、図4に示したIp/Isの値とグルコース濃度との関係を求めた際の光源の光量より、10%だけ光量が低減された光源を用いた場合のIp/Isの値とグルコース濃度との関係を示すものである。図4と図5とを比較すると実質上同一の直線関係となっていることがわかる。従って、本実施例のようにIp/Isを求めることにより、光源の光量が光源の経年変化などにより低下した場合であっても、精度よくグルコース濃度を求めることが出来ることがわかる。
なお、本実施例では、Ip/Isを用いてグルコース濃度を求めたが、これに限定されず、Is/Ip、log10(Ip/Is)またはlog10(Is/Ip)を用いても、同様の効果を得ることができる。
産業上の利用可能性
以上説明したところから明らかなように、本発明は、バックグラウンド測定を行うことなく、安定に高精度な濃度測定を行うことができる濃度測定装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の一実施の形態における特定成分の濃度測定方法に用いる濃度測定用接触子を示す概略図である。
図2は、同実施の形態における特定成分の濃度測定方法の測定フローを示す図である。
図3は、同実施の形態における特定成分の濃度測定方法により求めた、Ip/Isの入射光波数依存性を示す特性図である。
図4は、同実施の形態における特定成分の濃度測定方法により求めた、Ip/Isの値とグルコース濃度との関係を示す特性図である。
図5は、同実施の形態における図4に示したIp/Isの値とグルコース濃度との関係を求めた際の光源の光量より、10%だけ光量が低減された光源を用いた場合のIp/Isの値とグルコース濃度との関係を示す図である。
図6は、同実施の形態における偏光子として干渉フィルター型偏光子を用いた場合における特定成分の濃度測定方法に用いる濃度測定用接触子を示す概略図である。
図7は、従来のATR素子を用いた濃度測定方法を示す概略図である。
図8は、従来の濃度測定方法の測定フローを示す図である。
(符号の説明)
1 光源
2 濃度測定用接触子
3 光入力部
4 接触部
5 光出力部
6 光検出器
7 偏光子
51 ATR素子
52 口唇
【書類名】 明細書
【特許請求の範囲】
【請求項1】 測定対象物に接触させられる濃度測定用接触子と、
光を射出して、前記濃度測定用接触子に入射させる光源と、
前記濃度測定用接触子より前記測定対象物内に入射し、前記測定対象物内を伝播した後前記濃度測定用接触子に帰還した前記光のP偏光成分とS偏光成分とを取り出す偏光子と、
その取り出された前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを少なくとも計測する光検出器と、
その計測された結果に基づいて、前記測定対象物に含まれる特定成分の濃度を算出する算出手段とを備えた濃度測定装置。
【請求項2】 前記算出手段は、前記計測された結果と前記特定成分の濃度とを対応付ける、予め求められた対応情報を利用して、前記特定成分の濃度を算出する請求項1記載の濃度測定装置。
【請求項3】 濃度測定用接触子は、減衰全反射素子であり、前記測定対象物に入射する光は、前記減衰全反射素子からしみ出したエバネッセント光である請求項1記載の濃度測定装置。
【請求項4】 前記測定対象物は生体組織であり、前記特定成分はグルコース、エタノール、コレステロール、またはコレステロール誘導体である請求項1記載の特定成分の濃度測定装置。
【請求項5】 前記算出手段は、前記P偏光成分の光量の計測値をIpとし、前記S偏光成分の光量の計測値をIsとする場合、log10(Is/Ip)またはlog10(Ip/Is)を算出し、その算出された値に基づいて前記特定成分の濃度を求める請求項1記載の濃度測定装置。
【請求項6】 前記算出手段は、前記P偏光成分の光量の計測値をIpとし、前記S偏光成分の光量の計測値をIsとする場合、Ip/IsまたはIs/Ipを算出し、その算出された値に基づいて前記特定成分の濃度を求める請求項1記載の濃度測定装置。
【請求項7】 前記光検出器は、前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを交互に少なくとも各々1回以上計測し、
前記算出手段は、前記光検出器において計測された計測値のうち、互いに計測した時間が近接した前記P偏光成分の光量の計測値Ipと前記S偏光成分の光量の計測値Isとを選択し、前記Ipと前記Isとを用いて演算を行い、得られた値に基づいて前記特定成分の濃度を求める請求項1記載の濃度測定装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、グルコ−ス、コレステロ−ル、エタノ−ル等の濃度を測定する濃度測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、減衰全反射(以降ATRと記述する)測定装置を用いて被検体、とりわけ生体や溶液の特定成分を測定する方法が種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、図7に示すように、平行に向かい合った一対の反射面を備えた透明なATR素子51に上下の口唇52を密着させて血糖値を測定する方法が提案されている。この方法によると、ATR素子51を口にくわえて上下から押さえつけた後、ATR素子51に光を入射させ、図7の破線で示すようにATR素子51の反射面と口唇52の境界で全反射を繰り返してATR素子51の外部にしみ出した光を分析する。なお、特許文献1の文献の全ての開示は、そっくりそのまま引用する(参照する)ことにより、ここに一体化する。
【0004】
また、非特許文献1には、ZnSe光学結晶等からなるATR素子を口唇の粘膜に密着させたのち、このATR素子に波長9〜11ミクロンのレ−ザ光を進入させてATR素子の内部で多重的に反射させ、その吸収光、散乱反射光を分析することにより血糖値や血中エタノ−ル濃度を測定する方法が提案されている。なお、非特許文献1の文献の全ての開示は、そっくりそのまま引用する(参照する)ことにより、ここに一体化する。
【0005】
この方法によると、リアルタイムに、かつ非侵襲的にグルコ−ス濃度やエタノ−ル濃度、コレステロ−ル濃度等の特定成分の濃度を測定することができる。この方法は、エバネッセント光(いわゆる浸みだし光)を定量分析に応用したものである。ATR素子を進行する光はわずかに口唇に浸入し、そこに存在する体液中の各成分の影響を受ける。
【0006】
例えば、グルコ−スには光の波数が1080cm-1において光吸収ピ−クが存在するため、この波数の光を生体に照射した場合、生体中のグルコ−ス濃度の変化に応じて、吸収量が異なってくる。従って、この光の生体からの帰還光を測定することにより、体液の各種成分の濃度変化にともなう吸収量の変化を検出することができ、すなわち、各成分の濃度を得ることが可能になる。
【0007】
一般に、ATR測定装置を用いて、物質表面の吸光度を測定したり、また吸光度を用いて濃度を算出する場合、図8に示す測定方法を行っていた。
【0008】
まず、バックグラウンド測定工程において、光源から出射した光をATR素子に入射させ、ATR素子を測定対象である試料に接触させないで、例えば空気や純水等の参照物の分光計測を行い、計測結果をメモリに記憶することにより、バックグラウンドを測定する(S4)。バックグラウンド測定を行うのは、光源や光検出器などの波長特性を補正するためと、これらの特性が経年的に変化した場合にも、正確な吸光度や濃度を算出できるようにするためである。
【0009】
次に、測定対象である試料をATR素子と接触するように設定した(S5)後、試料の測定を行う(S6)。
【0010】
次に、バックグラウンド測定時の光検出器からの検出信号をIb、試料測定時の光検出器からの検出信号をImとすると、Log10(Ib/Im)を算出する(S7)。この値は一般に吸光度と呼ばれる。このようにすると、吸光度と試料中の特定成分の濃度には相関関係があるため、予め吸光度と濃度との検量線を求めておけば、算出された吸光度より試料中の特定成分の濃度を推定することができる。
【特許文献1】
特開平9−113439号公報
【非特許文献1】
BME、Vol.5、No.8(日本エムイー学会、1991)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来のATR測定装置は、以下のような問題点を有していた。
【0012】
バックグラウンド測定後、ある程度時間が経過した後に、試料を測定するような場合、光源の強度や、光検出器の感度が微妙に変化してしまい、正確な測定が困難であった。
【0013】
また、試料の分光特性を計測する場合、正確に測定するためには、試料測定時において試料とATR素子との接触位置及び接触面積を、バックグラウンド測定時と同じように設定することが必要であるが、これらを精密に行うことが困難であるため測定精度が悪くなっていた。特に生体を計測する場合、測定時の正確な位置決めが困難であった。
【0014】
本発明は、上記課題を考慮し、バックグラウンド測定を行うことなく、安定に高精度な濃度測定を行うことができる濃度測定装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、第1の本発明は、測定対象物に接触させられる濃度測定用接触子と、
光を射出して、前記濃度測定用接触子に入射させる光源と、
前記濃度測定用接触子より前記測定対象物内に入射し、前記測定対象物内を伝播した後前記濃度測定用接触子に帰還した前記光のP偏光成分とS偏光成分とを取り出す偏光子と、
その取り出された前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを少なくとも計測する光検出器と、
その計測された結果に基づいて、前記測定対象物に含まれる特定成分の濃度を算出する算出手段とを備えた濃度測定装置である。
【0016】
また、第2の本発明は、前記算出手段は、前記計測された結果と前記特定成分の濃度とを対応付ける、予め求められた対応情報を利用して、前記特定成分の濃度を算出する第1の本発明の濃度測定装置である。
【0017】
また、第3の本発明は、濃度測定用接触子は、減衰全反射素子であり、前記測定対象物に入射する光は、前記減衰全反射素子からしみ出したエバネッセント光である第1の本発明の濃度測定装置である。
【0018】
また、第4の本発明は、前記測定対象物は生体組織であり、前記特定成分はグルコース、エタノール、コレステロール、またはコレステロール誘導体である第1の本発明の特定成分の濃度測定方法である。
【0019】
また、第5の本発明は、前記算出手段は、前記P偏光成分の光量の計測値をIpとし、前記S偏光成分の光量の計測値をIsとする場合、log10(Is/Ip)またはlog10(Ip/Is)を算出し、その算出された値に基づいて前記特定成分の濃度を求める第1の本発明の濃度測定装置である。
【0020】
また、第6の本発明は、前記算出手段は、前記P偏光成分の光量の計測値をIpとし、前記S偏光成分の光量の計測値をIsとする場合、Ip/IsまたはIs/Ipを算出し、その算出された値に基づいて前記特定成分の濃度を求める第1の本発明の濃度測定装置である。
【0021】
また、第7の本発明は、前記光検出器は、前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを交互に少なくとも各々1回以上計測し、
前記算出手段は、前記光検出器において計測された計測値のうち、互いに計測した時間が近接した前記P偏光成分の光量の計測値Ipと前記S偏光成分の光量の計測値Isとを選択し、前記Ipと前記Isとを用いて演算を行い、得られた値に基づいて前記特定成分の濃度を求める第1の本発明の濃度測定装置である。
【0022】
また、第1の発明は、測定対象物に濃度測定用接触子を接触させる接触工程と、
前記濃度測定用接触子に光を入射させる入射工程と、
前記濃度測定用接触子より前記測定対象物内に入射し、前記測定対象物内を伝播した後前記濃度測定用接触子に帰還した前記光のP偏光成分の光量とS偏光成分の光量とを少なくとも計測する計測工程と、
前記計測工程において計測された結果に基づいて、前記測定対象物に含まれる特定成分の濃度を算出する算出工程とを備えた特定成分の濃度測定方法である。本発明は、第1の発明であってもよい。
【0023】
また、第2の発明は、測定対象物に接触させられる濃度測定用接触子と、
光を射出して、前記濃度測定用接触子に入射させる光源と、
前記濃度測定用接触子より前記測定対象物内に入射し、前記測定対象物内を伝播した後前記濃度測定用接触子に帰還した前記光のP偏光成分とS偏光成分とを取り出す偏光子と、
その取り出された前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを少なくとも計測する光検出器とを備え、
その計測された結果に基づいて、前記測定対象物に含まれる特定成分の濃度が算出手段によって算出される濃度測定用接触装置である。本発明は、第2の発明であってもよい。
【0024】
また、第3の発明は、測定対象物に接触させられる濃度測定用接触子と、
光を射出して、前記濃度測定用接触子に入射させる光源と、
前記濃度測定用接触子より前記測定対象物内に入射し、前記測定対象物内を伝播した後前記濃度測定用接触子に帰還した前記光のP偏光成分とS偏光成分とを取り出す偏光子と、
その取り出された前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを少なくとも計測する光検出器とを備えた濃度測定用接触装置が計測した結果に基づいて、前記測定対象物に含まれる特定成分の濃度を算出する算出手段を備えた濃度測定用算出装置である。本発明は、第3の発明であってもよい。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0026】
図1は本発明の一実施の形態における特定成分の濃度測定方法に用いる濃度測定用接触子を示す概略図である。
【0027】
本実施の形態では、一例として、測定対象物中の特定成分であるグルコースの濃度を計測する例について説明する。
【0028】
光源1には、例えば中赤外光を発生する光源を用いる。本実施の形態では、光源1としてSiC光源を用いる。SiC光源は、特に、グルコースのような吸収波数が1080cm-1や1033cm-1等の指紋領域(中赤外領域)にあるような物質の濃度を測定するような場合に適している。
【0029】
濃度測定用接触子2の材料としては、中赤外光を透過し、化学的に安定で、機械的強度に優れているものが好ましく、本実施の形態では、濃度測定用接触子2の材料には、ゲルマニウムを用いる。
【0030】
接触部4には、測定対象物を接触させる。例えば、グルコース溶液を測定する場合、この部分にグルコース溶液を滴下し、接触部4の表面上をすべて覆わせる。表面張力の効果によって、グルコースは接触部4よりこぼれることなく計測に必要な適度の量が接触部4に保持されるので、安定に計測することができる。
【0031】
また、測定対象物が生体である場合には、接触部4に生体を密着させる。ここで、生体と密着する部分の面積が2cm2以下であることが好ましい。面積を2cm2以下にすることにより、生体への食い込みが大きくなり、密着性がよくなって安定に計測することができる。接触部4に密着させる生体の部分は、角質層の薄いところが好ましく、指の爪の付け根部分や後爪郭や口唇や口腔内が好ましい。
【0032】
接触部4の形状は特に限定するものではないが、略円形状であると、測定対象物が生体の場合は、測定時の痛みが少ないため好ましい。更に外周部に面取り部分、もしくは丸み部分を設けることにより、更に痛みが低減化できるため好ましい。
【0033】
光検出器6として、本実施の形態ではMCT光検出器を用いる。
【0034】
偏光子7は、ある特定の偏光成分の光を取り出す働きを有する。本実施の形態では、微細なスリットを複数本設けたワイヤーグリッド偏光子を用いる。偏光子7を回転させることで、光検出器6に到達する光の偏光成分をS偏光またはP偏光に任意に設定することができる。偏光子7は、図1の位置に限定されず、光源1と光検出器6との光路上にあればよい。
【0035】
図中偏光子7の実線方向はS偏光成分の光の振動方向を示し、破線方向はP偏光成分の光の振動方向を示す。偏光子7は同一振動方向の光しか通過させないため、例えば図の実線方向に設定してS偏光成分の計測を行った後、P偏光成分を測定するには、偏光子7を90度回転する必要がある。
【0036】
また、図示しないが、例えば光源1と濃度測定用接触子2との間に分光手段を設けると、特定成分の波長分光特性が計測できるので、種々の波長での吸収特性を得ることができるため好ましい。特に干渉計を用いた分光法FT−IR法は高感度な計測ができるため好ましい。
【0037】
算出手段8は、光検出器6で計測された結果から対応情報9を利用して、グルコース溶液の濃度を算出する。算出手段8としてはCPUとメモリーから構成されるマイクロコンピュータまたはパーソナルコンピュータを用いる。
【0038】
検量線9は、予め濃度が既知のグルコース溶液を本実施の形態の特定成分の濃度測定方法により計測し、グルコース溶液の濃度と計測結果とを各グルコース溶液の濃度において対応付けた情報である。検量線9は、例えば、上記マイクロコンピュータまたはパーソナルコンピュータに予め格納されている。
【0039】
なお、本実施の形態の検量線9は本発明の対応情報の例である。
【0040】
次に、本実施の形態における特定成分の濃度測定方法の測定フローについて図2を用いて説明する。
【0041】
まず、測定対象物であるグルコース溶液を濃度測定用接触子の接触部に設定する(S1)。ここで、従来では測定が必要であった、空気や純水を用いたバックグラウンド測定は行う必要がない。次に、グルコース溶液を設定した状態で、グルコース溶液の偏光分光特性を計測する(S2)。偏光分光特性としては、例えばS偏光の分光特性、P偏光の分光特性を計測する。次に、算出手段8において、得られた偏光成分の計測値を用いて演算を行い、得られた値に基づいてグルコース溶液中のグルコース濃度を算出する(S3)。演算としては、例えば、S偏光成分の計測値をIs、P偏光成分の計測値をIpとした場合、Ip/Isを算出する。
【0042】
次に、本実施の形態の濃度測定用接触子を用いた特定成分の濃度測定方法について図1を用いて説明する。
【0043】
接触部4上に測定対象物であるグルコース溶液を滴下し、接触部4全面を溶液で満たす。光源1から出射した光を接触部4に入射角度λで入射させ全反射させる。このとき接触部4からエバネッセント光がしみ出し、グルコース溶液内を伝播した後、接触部4に帰還し、次いで光出力部5より出射し、偏光子7を介して光検出器6に到達する。
【0044】
偏光子7を、図中実線方向の振動面をもつ光、すなわちS偏光の光が通過するように設定して、グルコース溶液のS偏光成分の分光特性を測定する。次に、偏光子7を90度回転させてP偏光成分の分光特性を測定し計測を完了する。各波数毎のIp、IsによりIp/Isを算出し、この値と、あらかじめ求めておいた検量線9とを用いてグルコース濃度を算出する。
【0045】
ここで、接触部4に入射させる光の入射角度θは、下記の数1により求めたz/λが0.25以上となるように設定することが好ましい。ただし、zはしみ出し深さ(単位ミクロン)、λは接触部に入射する光の波長(単位ミクロン)、nfは接触部の屈折率、θは接触部に入射する光の入射角度、ncは測定対象物の屈折率をあらわす。
【0046】
【数1】
例えば、測定対象物であるグルコース溶液の、波長約9.6ミクロンでの屈折率ncを1.24とし、接触部に屈折率nfが4のゲルマニウムを用い、z/λ=0.25となる入射角度θは約45度となる。このような入射角度で光を接触部に入射させることで、S偏光とP偏光の測定対象物内での光の吸光度に大きな差が生じる。このS偏光とP偏光との吸光度差により、特定成分の濃度を検出することができる。すなわち、S偏光は、測定対象物のより浅い部分までしかしみ出さず、P偏光は、測定対象物のより深い部分までしみ出す。そして、S偏光は、測定対象物に含まれる特定成分の濃度の影響をほとんど受けない。つまり、S偏光の光量を計測することは、従来の技術におけるバックグラウンド測定を行うことに対応し、P偏光の光量を計測することは、従来の技術における試料の計測を行うことに対応する。従って、S偏光の光量とP偏光の光量とを計測することにより、特定成分の濃度を検出することが出来る。
【0047】
入射角度は、45度より小さければ有効であるが、臨界角よりも大きいことが好ましい。臨界角よりも小さくなると光が全反射条件を満足しないために光が測定対象物中に拡散して帰還する光の量が減少するとともに、P偏光とS偏光の光の光路差が減少してしまうためである。実験の結果、z/λ=0.9以上、すなわち接触部にゲルマニウムを使用した場合、入射角度を21度や20度にすると特に良好な結果が得られ、19度にすると更に好ましい結果が得られた。
【0048】
また、一般にFT−IR分光器を用いて測定する場合、波長をスキャンさせて計測操作を数回繰り返して行い、その平均計測値を算出する場合が多い。本発明はこのような測定方法にも有効であり、例えば各偏光成分で数回計測した後に計測値を平均して平均計測値を算出することが好ましい。
【0049】
また、S偏光成分を計測した後、P偏光成分を計測するという操作を交互に行ってもよい。この時、計測した時間が互いに近接した、S偏光成分とP偏光成分の計測結果をもとに、Ip/Is、Is/Ip、log10(Ip/Is)またはlog10(Is/Ip)を算出すると、光源や光検出器の経時変化の影響を極力抑制することができるため特に好ましい。
【0050】
なお、本実施の形態では、光源1としてSiC光源を用いるとして説明したが、これに限らず、光源1として例えばタングステンなどを用いることが好ましい。また、さらに好ましくは光源1として量子カスケードレーザを用いることが好ましい。このような光源を用いる場合も、SiC光源を用いる場合と同様に、特に、グルコ−スのような吸収波数が約1080cm-1や1033cm-1等の指紋領域(中赤外領域)にあるような物質の濃度を測定するような場合に適している。
【0051】
さらに、本実施の形態では、濃度測定用接触子2の材料としてゲルマニウムを用いるとして説明したが、これに限らない。濃度測定用接触子2の材料として、中赤外光を透過し、化学的に安定で、機械的強度に優れているシリコンを用いることも出来る。
【0052】
また、濃度測定用接触子2の材料としてシリコンを用いる場合には、例えば、波長1.1〜10ミクロンで透明なシリコン単結晶基板を用いる。特にホウ素やリン等の不純物含有量が小さく、抵抗率も100Ωcm以上のものが好ましい。さらには、抵抗率が1500Ωcm以上のものが好ましい。これら高抵抗率のシリコンは、約9〜10ミクロンの赤外波長で透過率が高く、これらの波長帯に吸収領域を有するグルコ−ス等の物質を測定する場合に好ましい。
【0053】
さらに、光入力部3の表面には反射防止膜を設けることが好ましい。反射防止膜の材料としては、例えばダイヤモンドライクカーボン(DLC)やZnSeを用いる。膜厚としては約1.1から1.3ミクロンが好ましく、更には1.2ミクロン程度が好ましい。
【0054】
さらに、光出力部5には、光入力部3と同様に反射防止膜を設けることが好ましい。
【0055】
さらに、本実施の形態では、光検出器6としてMCT光検出器を用いるとして説明したが、これに限らない。光検出器6として焦電センサーを用いても構わない。
【0056】
さらに、検量線9は、グルコース溶液の濃度と計測結果とを対応つけるテーブルであっても構わないし、グルコース溶液の濃度と計測結果とを対応つける数式であっても構わない。
【0057】
さらに、本実施の形態では、偏光子7としてワイヤーグリッド偏光子を用いるとして説明したが、これに限らない。偏光子7としてP偏光成分を透過し、S偏光成分を反射する干渉フィルタ型偏光子を用いることも出来る。
【0058】
図6に偏光子7の代わりに干渉フィルタ型偏光子である偏光子7aを用いた場合の特定成分の濃度測定方法に用いる濃度測定用接触子を示す概略図を示す。図6において、図1と同一部分については同一符号を付し詳細な説明を省略する。
【0059】
偏光子7aは、図1の偏光子7と同様にある特定の偏光成分の光を取り出す働きを有する。偏光子7aの偏光子7との相違点は、上述したように偏光子7aは、S偏光成分を反射し、P偏光成分を透過する点である。
【0060】
従って、図1とは異なり、図6では、P偏光成分の光量つまり偏光子7aの透過光の光量を検出するための光検出器6aと、S偏光成分の光量つまり偏光子7aの反射光の光量を検出するための光検出器6bとが配置されている。光検出器6a、6bとしては、焦電センサーを用いる。なお、光検出器6a、6bとして、MCT光検出器を用いてもよい。
【0061】
図6の濃度測定用接触子によれば、2つの光検出器6a、6bにより、同時にS偏光成分とP偏光成分とを測定出来るので、図1で説明したように偏光子7を、S偏光の光が通過するように設定して、グルコース溶液のS偏光成分の分光特性を測定し、次に、偏光子7を90度回転させてP偏光成分の分光特性を測定するという2段階の測定ステップを踏む必要がない。従って上記実施の形態より、より光源1の変動の影響を受けにくくなるという効果を得ることが出来る。
【0062】
さらに、本実施の形態では、測定対象物としてグルコース溶液を用い、測定対象物の特定成分がグルコースである場合について説明したが、これに限らない。測定対象物としてグルコース溶液だけでなく、血漿中のグルコース濃度、生体中のグルコース濃度等の測定にも有用である。測定対象物の特定成分がグルコース以外に、コレステロール、エタノール、コレステロール誘導体等である場合も本実施の形態を効果的に適用することが出来る。ただし、測定対象物の特定成分が変わると、計測する光の波長も変わる。
【0063】
すなわち、コレステロールもしくはコレステロール誘導体を測定対象物の特定成分とする場合には、コレステロールの吸収波長が1500nmや1700nmであるので、光源1として、このような波長の光を射出する光源を用いるかまたはこのような波長の光を検出する光検出器を用いればよい。また、エタノールを測定対象物の特定成分とする場合には、エタノールの吸収波数が1240cm-1や1400cm-1であるので、このような波数の光を射出する光源を用いるかまたはこのような波数の光を検出する光検出器を用いればよい。また、上記以外の測定対象物の特定成分であっても、その測定対象物の特定成分の吸収波数の光を射出する光源を用いるかまたはこのような波数の光を検出する光検出器を用いることにより、上記と同様にその測定対象物の特定成分の濃度を計測することが出来る。
【0064】
このように本実施の形態によれば、バックグラウンド測定を行うことなく、安定に高精度な濃度測定を行うことが可能な特定成分の濃度測定方法を提供することができる。本発明の特定成分の濃度測定方法は、グルコース溶液だけでなく、血漿中のグルコース濃度、生体中のグルコース濃度等の測定にも有用である。
【0065】
(実施例)
図1に示す濃度測定用接触子を用いて、グルコース溶液中のグルコース濃度の測定を行った。図3は、異なる濃度のグルコース溶液について求めた、Ip/Isの入射光波数依存性を示す特性図である。測定には、50、100、200mg/dlの異なるグルコース濃度のグルコース溶液を用いた。また、1135cm-1と1000cm-1の波数でのIp/Isがゼロとなるように、ベースライン補正を行った。
【0066】
例えば、1076cm-1もしくは1033cm-1の波数に着眼すると、グルコース濃度が増大するとともに、Ip/Isの値が減少し、グルコース濃度とIp/Isの値との間に相関関係があることがわかる。
【0067】
図4に、1033cm-1でのIp/Isの値とグルコース濃度との関係を示す。図から、両者には直線関係があり、良好な相関性があることがわかる。したがって、従来のバックグラウンド測定を行なわなくても、計測値であるIpとIsとを用いてIp/Isを求めることにより、容易にグルコース濃度を算出することができた。そして、例えば図4に示したIp/Isの値とグルコース濃度との関係を予め求めておいた検量線9として用いることが出来る。
【0068】
また、図5は、図4に示したIp/Isの値とグルコース濃度との関係を求めた際の光源の光量より、10%だけ光量が低減された光源を用いた場合のIp/Isの値とグルコース濃度との関係を示すものである。図4と図5とを比較すると実質上同一の直線関係となっていることがわかる。従って、本実施例のようにIp/Isを求めることにより、光源の光量が光源の経年変化などにより低下した場合であっても、精度よくグルコース濃度を求めることが出来ることがわかる。
【0069】
なお、本実施例では、Ip/Isを用いてグルコース濃度を求めたが、これに限定されず、Is/Ip、log10(Ip/Is)またはlog10(Is/Ip)を用いても、同様の効果を得ることができる。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したところから明らかなように、本発明は、バックグラウンド測定を行うことなく、安定に高精度な濃度測定を行うことができる濃度測定装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、本発明の一実施の形態における特定成分の濃度測定方法に用いる濃度測定用接触子を示す概略図である。
【図2】
図2は、同実施の形態における特定成分の濃度測定方法の測定フローを示す図である。
【図3】
図3は、同実施の形態における特定成分の濃度測定方法により求めた、Ip/Isの入射光波数依存性を示す特性図である。
【図4】
図4は、同実施の形態における特定成分の濃度測定方法により求めた、Ip/Isの値とグルコース濃度との関係を示す特性図である。
【図5】
図5は、同実施の形態における図4に示したIp/Isの値とグルコース濃度との関係を求めた際の光源の光量より、10%だけ光量が低減された光源を用いた場合のIp/Isの値とグルコース濃度との関係を示す図である。
【図6】
図6は、同実施の形態における偏光子として干渉フィルター型偏光子を用いた場合における特定成分の濃度測定方法に用いる濃度測定用接触子を示す概略図である。
【図7】
図7は、従来のATR素子を用いた濃度測定方法を示す概略図である。
【図8】
図8は、従来の濃度測定方法の測定フローを示す図である。
【符号の説明】
1 光源
2 濃度測定用接触子
3 光入力部
4 接触部
5 光出力部
6 光検出器
7 偏光子
51 ATR素子
52 口唇
【特許請求の範囲】
【請求項1】 測定対象物に接触させられる濃度測定用接触子と、
光を射出して、前記濃度測定用接触子に入射させる光源と、
前記濃度測定用接触子より前記測定対象物内に入射し、前記測定対象物内を伝播した後前記濃度測定用接触子に帰還した前記光のP偏光成分とS偏光成分とを取り出す偏光子と、
その取り出された前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを少なくとも計測する光検出器と、
その計測された結果に基づいて、前記測定対象物に含まれる特定成分の濃度を算出する算出手段とを備えた濃度測定装置。
【請求項2】 前記算出手段は、前記計測された結果と前記特定成分の濃度とを対応付ける、予め求められた対応情報を利用して、前記特定成分の濃度を算出する請求項1記載の濃度測定装置。
【請求項3】 濃度測定用接触子は、減衰全反射素子であり、前記測定対象物に入射する光は、前記減衰全反射素子からしみ出したエバネッセント光である請求項1記載の濃度測定装置。
【請求項4】 前記測定対象物は生体組織であり、前記特定成分はグルコース、エタノール、コレステロール、またはコレステロール誘導体である請求項1記載の特定成分の濃度測定装置。
【請求項5】 前記算出手段は、前記P偏光成分の光量の計測値をIpとし、前記S偏光成分の光量の計測値をIsとする場合、log10(Is/Ip)またはlog10(Ip/Is)を算出し、その算出された値に基づいて前記特定成分の濃度を求める請求項1記載の濃度測定装置。
【請求項6】 前記算出手段は、前記P偏光成分の光量の計測値をIpとし、前記S偏光成分の光量の計測値をIsとする場合、Ip/IsまたはIs/Ipを算出し、その算出された値に基づいて前記特定成分の濃度を求める請求項1記載の濃度測定装置。
【請求項7】 前記光検出器は、前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを交互に少なくとも各々1回以上計測し、
前記算出手段は、前記光検出器において計測された計測値のうち、互いに計測した時間が近接した前記P偏光成分の光量の計測値Ipと前記S偏光成分の光量の計測値Isとを選択し、前記Ipと前記Isとを用いて演算を行い、得られた値に基づいて前記特定成分の濃度を求める請求項1記載の濃度測定装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、グルコ−ス、コレステロ−ル、エタノ−ル等の濃度を測定する濃度測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、減衰全反射(以降ATRと記述する)測定装置を用いて被検体、とりわけ生体や溶液の特定成分を測定する方法が種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、図7に示すように、平行に向かい合った一対の反射面を備えた透明なATR素子51に上下の口唇52を密着させて血糖値を測定する方法が提案されている。この方法によると、ATR素子51を口にくわえて上下から押さえつけた後、ATR素子51に光を入射させ、図7の破線で示すようにATR素子51の反射面と口唇52の境界で全反射を繰り返してATR素子51の外部にしみ出した光を分析する。なお、特許文献1の文献の全ての開示は、そっくりそのまま引用する(参照する)ことにより、ここに一体化する。
【0004】
また、非特許文献1には、ZnSe光学結晶等からなるATR素子を口唇の粘膜に密着させたのち、このATR素子に波長9〜11ミクロンのレ−ザ光を進入させてATR素子の内部で多重的に反射させ、その吸収光、散乱反射光を分析することにより血糖値や血中エタノ−ル濃度を測定する方法が提案されている。なお、非特許文献1の文献の全ての開示は、そっくりそのまま引用する(参照する)ことにより、ここに一体化する。
【0005】
この方法によると、リアルタイムに、かつ非侵襲的にグルコ−ス濃度やエタノ−ル濃度、コレステロ−ル濃度等の特定成分の濃度を測定することができる。この方法は、エバネッセント光(いわゆる浸みだし光)を定量分析に応用したものである。ATR素子を進行する光はわずかに口唇に浸入し、そこに存在する体液中の各成分の影響を受ける。
【0006】
例えば、グルコ−スには光の波数が1080cm-1において光吸収ピ−クが存在するため、この波数の光を生体に照射した場合、生体中のグルコ−ス濃度の変化に応じて、吸収量が異なってくる。従って、この光の生体からの帰還光を測定することにより、体液の各種成分の濃度変化にともなう吸収量の変化を検出することができ、すなわち、各成分の濃度を得ることが可能になる。
【0007】
一般に、ATR測定装置を用いて、物質表面の吸光度を測定したり、また吸光度を用いて濃度を算出する場合、図8に示す測定方法を行っていた。
【0008】
まず、バックグラウンド測定工程において、光源から出射した光をATR素子に入射させ、ATR素子を測定対象である試料に接触させないで、例えば空気や純水等の参照物の分光計測を行い、計測結果をメモリに記憶することにより、バックグラウンドを測定する(S4)。バックグラウンド測定を行うのは、光源や光検出器などの波長特性を補正するためと、これらの特性が経年的に変化した場合にも、正確な吸光度や濃度を算出できるようにするためである。
【0009】
次に、測定対象である試料をATR素子と接触するように設定した(S5)後、試料の測定を行う(S6)。
【0010】
次に、バックグラウンド測定時の光検出器からの検出信号をIb、試料測定時の光検出器からの検出信号をImとすると、Log10(Ib/Im)を算出する(S7)。この値は一般に吸光度と呼ばれる。このようにすると、吸光度と試料中の特定成分の濃度には相関関係があるため、予め吸光度と濃度との検量線を求めておけば、算出された吸光度より試料中の特定成分の濃度を推定することができる。
【特許文献1】
特開平9−113439号公報
【非特許文献1】
BME、Vol.5、No.8(日本エムイー学会、1991)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来のATR測定装置は、以下のような問題点を有していた。
【0012】
バックグラウンド測定後、ある程度時間が経過した後に、試料を測定するような場合、光源の強度や、光検出器の感度が微妙に変化してしまい、正確な測定が困難であった。
【0013】
また、試料の分光特性を計測する場合、正確に測定するためには、試料測定時において試料とATR素子との接触位置及び接触面積を、バックグラウンド測定時と同じように設定することが必要であるが、これらを精密に行うことが困難であるため測定精度が悪くなっていた。特に生体を計測する場合、測定時の正確な位置決めが困難であった。
【0014】
本発明は、上記課題を考慮し、バックグラウンド測定を行うことなく、安定に高精度な濃度測定を行うことができる濃度測定装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、第1の本発明は、測定対象物に接触させられる濃度測定用接触子と、
光を射出して、前記濃度測定用接触子に入射させる光源と、
前記濃度測定用接触子より前記測定対象物内に入射し、前記測定対象物内を伝播した後前記濃度測定用接触子に帰還した前記光のP偏光成分とS偏光成分とを取り出す偏光子と、
その取り出された前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを少なくとも計測する光検出器と、
その計測された結果に基づいて、前記測定対象物に含まれる特定成分の濃度を算出する算出手段とを備えた濃度測定装置である。
【0016】
また、第2の本発明は、前記算出手段は、前記計測された結果と前記特定成分の濃度とを対応付ける、予め求められた対応情報を利用して、前記特定成分の濃度を算出する第1の本発明の濃度測定装置である。
【0017】
また、第3の本発明は、濃度測定用接触子は、減衰全反射素子であり、前記測定対象物に入射する光は、前記減衰全反射素子からしみ出したエバネッセント光である第1の本発明の濃度測定装置である。
【0018】
また、第4の本発明は、前記測定対象物は生体組織であり、前記特定成分はグルコース、エタノール、コレステロール、またはコレステロール誘導体である第1の本発明の特定成分の濃度測定方法である。
【0019】
また、第5の本発明は、前記算出手段は、前記P偏光成分の光量の計測値をIpとし、前記S偏光成分の光量の計測値をIsとする場合、log10(Is/Ip)またはlog10(Ip/Is)を算出し、その算出された値に基づいて前記特定成分の濃度を求める第1の本発明の濃度測定装置である。
【0020】
また、第6の本発明は、前記算出手段は、前記P偏光成分の光量の計測値をIpとし、前記S偏光成分の光量の計測値をIsとする場合、Ip/IsまたはIs/Ipを算出し、その算出された値に基づいて前記特定成分の濃度を求める第1の本発明の濃度測定装置である。
【0021】
また、第7の本発明は、前記光検出器は、前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを交互に少なくとも各々1回以上計測し、
前記算出手段は、前記光検出器において計測された計測値のうち、互いに計測した時間が近接した前記P偏光成分の光量の計測値Ipと前記S偏光成分の光量の計測値Isとを選択し、前記Ipと前記Isとを用いて演算を行い、得られた値に基づいて前記特定成分の濃度を求める第1の本発明の濃度測定装置である。
【0022】
また、第1の発明は、測定対象物に濃度測定用接触子を接触させる接触工程と、
前記濃度測定用接触子に光を入射させる入射工程と、
前記濃度測定用接触子より前記測定対象物内に入射し、前記測定対象物内を伝播した後前記濃度測定用接触子に帰還した前記光のP偏光成分の光量とS偏光成分の光量とを少なくとも計測する計測工程と、
前記計測工程において計測された結果に基づいて、前記測定対象物に含まれる特定成分の濃度を算出する算出工程とを備えた特定成分の濃度測定方法である。本発明は、第1の発明であってもよい。
【0023】
また、第2の発明は、測定対象物に接触させられる濃度測定用接触子と、
光を射出して、前記濃度測定用接触子に入射させる光源と、
前記濃度測定用接触子より前記測定対象物内に入射し、前記測定対象物内を伝播した後前記濃度測定用接触子に帰還した前記光のP偏光成分とS偏光成分とを取り出す偏光子と、
その取り出された前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを少なくとも計測する光検出器とを備え、
その計測された結果に基づいて、前記測定対象物に含まれる特定成分の濃度が算出手段によって算出される濃度測定用接触装置である。本発明は、第2の発明であってもよい。
【0024】
また、第3の発明は、測定対象物に接触させられる濃度測定用接触子と、
光を射出して、前記濃度測定用接触子に入射させる光源と、
前記濃度測定用接触子より前記測定対象物内に入射し、前記測定対象物内を伝播した後前記濃度測定用接触子に帰還した前記光のP偏光成分とS偏光成分とを取り出す偏光子と、
その取り出された前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを少なくとも計測する光検出器とを備えた濃度測定用接触装置が計測した結果に基づいて、前記測定対象物に含まれる特定成分の濃度を算出する算出手段を備えた濃度測定用算出装置である。本発明は、第3の発明であってもよい。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0026】
図1は本発明の一実施の形態における特定成分の濃度測定方法に用いる濃度測定用接触子を示す概略図である。
【0027】
本実施の形態では、一例として、測定対象物中の特定成分であるグルコースの濃度を計測する例について説明する。
【0028】
光源1には、例えば中赤外光を発生する光源を用いる。本実施の形態では、光源1としてSiC光源を用いる。SiC光源は、特に、グルコースのような吸収波数が1080cm-1や1033cm-1等の指紋領域(中赤外領域)にあるような物質の濃度を測定するような場合に適している。
【0029】
濃度測定用接触子2の材料としては、中赤外光を透過し、化学的に安定で、機械的強度に優れているものが好ましく、本実施の形態では、濃度測定用接触子2の材料には、ゲルマニウムを用いる。
【0030】
接触部4には、測定対象物を接触させる。例えば、グルコース溶液を測定する場合、この部分にグルコース溶液を滴下し、接触部4の表面上をすべて覆わせる。表面張力の効果によって、グルコースは接触部4よりこぼれることなく計測に必要な適度の量が接触部4に保持されるので、安定に計測することができる。
【0031】
また、測定対象物が生体である場合には、接触部4に生体を密着させる。ここで、生体と密着する部分の面積が2cm2以下であることが好ましい。面積を2cm2以下にすることにより、生体への食い込みが大きくなり、密着性がよくなって安定に計測することができる。接触部4に密着させる生体の部分は、角質層の薄いところが好ましく、指の爪の付け根部分や後爪郭や口唇や口腔内が好ましい。
【0032】
接触部4の形状は特に限定するものではないが、略円形状であると、測定対象物が生体の場合は、測定時の痛みが少ないため好ましい。更に外周部に面取り部分、もしくは丸み部分を設けることにより、更に痛みが低減化できるため好ましい。
【0033】
光検出器6として、本実施の形態ではMCT光検出器を用いる。
【0034】
偏光子7は、ある特定の偏光成分の光を取り出す働きを有する。本実施の形態では、微細なスリットを複数本設けたワイヤーグリッド偏光子を用いる。偏光子7を回転させることで、光検出器6に到達する光の偏光成分をS偏光またはP偏光に任意に設定することができる。偏光子7は、図1の位置に限定されず、光源1と光検出器6との光路上にあればよい。
【0035】
図中偏光子7の実線方向はS偏光成分の光の振動方向を示し、破線方向はP偏光成分の光の振動方向を示す。偏光子7は同一振動方向の光しか通過させないため、例えば図の実線方向に設定してS偏光成分の計測を行った後、P偏光成分を測定するには、偏光子7を90度回転する必要がある。
【0036】
また、図示しないが、例えば光源1と濃度測定用接触子2との間に分光手段を設けると、特定成分の波長分光特性が計測できるので、種々の波長での吸収特性を得ることができるため好ましい。特に干渉計を用いた分光法FT−IR法は高感度な計測ができるため好ましい。
【0037】
算出手段8は、光検出器6で計測された結果から対応情報9を利用して、グルコース溶液の濃度を算出する。算出手段8としてはCPUとメモリーから構成されるマイクロコンピュータまたはパーソナルコンピュータを用いる。
【0038】
検量線9は、予め濃度が既知のグルコース溶液を本実施の形態の特定成分の濃度測定方法により計測し、グルコース溶液の濃度と計測結果とを各グルコース溶液の濃度において対応付けた情報である。検量線9は、例えば、上記マイクロコンピュータまたはパーソナルコンピュータに予め格納されている。
【0039】
なお、本実施の形態の検量線9は本発明の対応情報の例である。
【0040】
次に、本実施の形態における特定成分の濃度測定方法の測定フローについて図2を用いて説明する。
【0041】
まず、測定対象物であるグルコース溶液を濃度測定用接触子の接触部に設定する(S1)。ここで、従来では測定が必要であった、空気や純水を用いたバックグラウンド測定は行う必要がない。次に、グルコース溶液を設定した状態で、グルコース溶液の偏光分光特性を計測する(S2)。偏光分光特性としては、例えばS偏光の分光特性、P偏光の分光特性を計測する。次に、算出手段8において、得られた偏光成分の計測値を用いて演算を行い、得られた値に基づいてグルコース溶液中のグルコース濃度を算出する(S3)。演算としては、例えば、S偏光成分の計測値をIs、P偏光成分の計測値をIpとした場合、Ip/Isを算出する。
【0042】
次に、本実施の形態の濃度測定用接触子を用いた特定成分の濃度測定方法について図1を用いて説明する。
【0043】
接触部4上に測定対象物であるグルコース溶液を滴下し、接触部4全面を溶液で満たす。光源1から出射した光を接触部4に入射角度λで入射させ全反射させる。このとき接触部4からエバネッセント光がしみ出し、グルコース溶液内を伝播した後、接触部4に帰還し、次いで光出力部5より出射し、偏光子7を介して光検出器6に到達する。
【0044】
偏光子7を、図中実線方向の振動面をもつ光、すなわちS偏光の光が通過するように設定して、グルコース溶液のS偏光成分の分光特性を測定する。次に、偏光子7を90度回転させてP偏光成分の分光特性を測定し計測を完了する。各波数毎のIp、IsによりIp/Isを算出し、この値と、あらかじめ求めておいた検量線9とを用いてグルコース濃度を算出する。
【0045】
ここで、接触部4に入射させる光の入射角度θは、下記の数1により求めたz/λが0.25以上となるように設定することが好ましい。ただし、zはしみ出し深さ(単位ミクロン)、λは接触部に入射する光の波長(単位ミクロン)、nfは接触部の屈折率、θは接触部に入射する光の入射角度、ncは測定対象物の屈折率をあらわす。
【0046】
【数1】
例えば、測定対象物であるグルコース溶液の、波長約9.6ミクロンでの屈折率ncを1.24とし、接触部に屈折率nfが4のゲルマニウムを用い、z/λ=0.25となる入射角度θは約45度となる。このような入射角度で光を接触部に入射させることで、S偏光とP偏光の測定対象物内での光の吸光度に大きな差が生じる。このS偏光とP偏光との吸光度差により、特定成分の濃度を検出することができる。すなわち、S偏光は、測定対象物のより浅い部分までしかしみ出さず、P偏光は、測定対象物のより深い部分までしみ出す。そして、S偏光は、測定対象物に含まれる特定成分の濃度の影響をほとんど受けない。つまり、S偏光の光量を計測することは、従来の技術におけるバックグラウンド測定を行うことに対応し、P偏光の光量を計測することは、従来の技術における試料の計測を行うことに対応する。従って、S偏光の光量とP偏光の光量とを計測することにより、特定成分の濃度を検出することが出来る。
【0047】
入射角度は、45度より小さければ有効であるが、臨界角よりも大きいことが好ましい。臨界角よりも小さくなると光が全反射条件を満足しないために光が測定対象物中に拡散して帰還する光の量が減少するとともに、P偏光とS偏光の光の光路差が減少してしまうためである。実験の結果、z/λ=0.9以上、すなわち接触部にゲルマニウムを使用した場合、入射角度を21度や20度にすると特に良好な結果が得られ、19度にすると更に好ましい結果が得られた。
【0048】
また、一般にFT−IR分光器を用いて測定する場合、波長をスキャンさせて計測操作を数回繰り返して行い、その平均計測値を算出する場合が多い。本発明はこのような測定方法にも有効であり、例えば各偏光成分で数回計測した後に計測値を平均して平均計測値を算出することが好ましい。
【0049】
また、S偏光成分を計測した後、P偏光成分を計測するという操作を交互に行ってもよい。この時、計測した時間が互いに近接した、S偏光成分とP偏光成分の計測結果をもとに、Ip/Is、Is/Ip、log10(Ip/Is)またはlog10(Is/Ip)を算出すると、光源や光検出器の経時変化の影響を極力抑制することができるため特に好ましい。
【0050】
なお、本実施の形態では、光源1としてSiC光源を用いるとして説明したが、これに限らず、光源1として例えばタングステンなどを用いることが好ましい。また、さらに好ましくは光源1として量子カスケードレーザを用いることが好ましい。このような光源を用いる場合も、SiC光源を用いる場合と同様に、特に、グルコ−スのような吸収波数が約1080cm-1や1033cm-1等の指紋領域(中赤外領域)にあるような物質の濃度を測定するような場合に適している。
【0051】
さらに、本実施の形態では、濃度測定用接触子2の材料としてゲルマニウムを用いるとして説明したが、これに限らない。濃度測定用接触子2の材料として、中赤外光を透過し、化学的に安定で、機械的強度に優れているシリコンを用いることも出来る。
【0052】
また、濃度測定用接触子2の材料としてシリコンを用いる場合には、例えば、波長1.1〜10ミクロンで透明なシリコン単結晶基板を用いる。特にホウ素やリン等の不純物含有量が小さく、抵抗率も100Ωcm以上のものが好ましい。さらには、抵抗率が1500Ωcm以上のものが好ましい。これら高抵抗率のシリコンは、約9〜10ミクロンの赤外波長で透過率が高く、これらの波長帯に吸収領域を有するグルコ−ス等の物質を測定する場合に好ましい。
【0053】
さらに、光入力部3の表面には反射防止膜を設けることが好ましい。反射防止膜の材料としては、例えばダイヤモンドライクカーボン(DLC)やZnSeを用いる。膜厚としては約1.1から1.3ミクロンが好ましく、更には1.2ミクロン程度が好ましい。
【0054】
さらに、光出力部5には、光入力部3と同様に反射防止膜を設けることが好ましい。
【0055】
さらに、本実施の形態では、光検出器6としてMCT光検出器を用いるとして説明したが、これに限らない。光検出器6として焦電センサーを用いても構わない。
【0056】
さらに、検量線9は、グルコース溶液の濃度と計測結果とを対応つけるテーブルであっても構わないし、グルコース溶液の濃度と計測結果とを対応つける数式であっても構わない。
【0057】
さらに、本実施の形態では、偏光子7としてワイヤーグリッド偏光子を用いるとして説明したが、これに限らない。偏光子7としてP偏光成分を透過し、S偏光成分を反射する干渉フィルタ型偏光子を用いることも出来る。
【0058】
図6に偏光子7の代わりに干渉フィルタ型偏光子である偏光子7aを用いた場合の特定成分の濃度測定方法に用いる濃度測定用接触子を示す概略図を示す。図6において、図1と同一部分については同一符号を付し詳細な説明を省略する。
【0059】
偏光子7aは、図1の偏光子7と同様にある特定の偏光成分の光を取り出す働きを有する。偏光子7aの偏光子7との相違点は、上述したように偏光子7aは、S偏光成分を反射し、P偏光成分を透過する点である。
【0060】
従って、図1とは異なり、図6では、P偏光成分の光量つまり偏光子7aの透過光の光量を検出するための光検出器6aと、S偏光成分の光量つまり偏光子7aの反射光の光量を検出するための光検出器6bとが配置されている。光検出器6a、6bとしては、焦電センサーを用いる。なお、光検出器6a、6bとして、MCT光検出器を用いてもよい。
【0061】
図6の濃度測定用接触子によれば、2つの光検出器6a、6bにより、同時にS偏光成分とP偏光成分とを測定出来るので、図1で説明したように偏光子7を、S偏光の光が通過するように設定して、グルコース溶液のS偏光成分の分光特性を測定し、次に、偏光子7を90度回転させてP偏光成分の分光特性を測定するという2段階の測定ステップを踏む必要がない。従って上記実施の形態より、より光源1の変動の影響を受けにくくなるという効果を得ることが出来る。
【0062】
さらに、本実施の形態では、測定対象物としてグルコース溶液を用い、測定対象物の特定成分がグルコースである場合について説明したが、これに限らない。測定対象物としてグルコース溶液だけでなく、血漿中のグルコース濃度、生体中のグルコース濃度等の測定にも有用である。測定対象物の特定成分がグルコース以外に、コレステロール、エタノール、コレステロール誘導体等である場合も本実施の形態を効果的に適用することが出来る。ただし、測定対象物の特定成分が変わると、計測する光の波長も変わる。
【0063】
すなわち、コレステロールもしくはコレステロール誘導体を測定対象物の特定成分とする場合には、コレステロールの吸収波長が1500nmや1700nmであるので、光源1として、このような波長の光を射出する光源を用いるかまたはこのような波長の光を検出する光検出器を用いればよい。また、エタノールを測定対象物の特定成分とする場合には、エタノールの吸収波数が1240cm-1や1400cm-1であるので、このような波数の光を射出する光源を用いるかまたはこのような波数の光を検出する光検出器を用いればよい。また、上記以外の測定対象物の特定成分であっても、その測定対象物の特定成分の吸収波数の光を射出する光源を用いるかまたはこのような波数の光を検出する光検出器を用いることにより、上記と同様にその測定対象物の特定成分の濃度を計測することが出来る。
【0064】
このように本実施の形態によれば、バックグラウンド測定を行うことなく、安定に高精度な濃度測定を行うことが可能な特定成分の濃度測定方法を提供することができる。本発明の特定成分の濃度測定方法は、グルコース溶液だけでなく、血漿中のグルコース濃度、生体中のグルコース濃度等の測定にも有用である。
【0065】
(実施例)
図1に示す濃度測定用接触子を用いて、グルコース溶液中のグルコース濃度の測定を行った。図3は、異なる濃度のグルコース溶液について求めた、Ip/Isの入射光波数依存性を示す特性図である。測定には、50、100、200mg/dlの異なるグルコース濃度のグルコース溶液を用いた。また、1135cm-1と1000cm-1の波数でのIp/Isがゼロとなるように、ベースライン補正を行った。
【0066】
例えば、1076cm-1もしくは1033cm-1の波数に着眼すると、グルコース濃度が増大するとともに、Ip/Isの値が減少し、グルコース濃度とIp/Isの値との間に相関関係があることがわかる。
【0067】
図4に、1033cm-1でのIp/Isの値とグルコース濃度との関係を示す。図から、両者には直線関係があり、良好な相関性があることがわかる。したがって、従来のバックグラウンド測定を行なわなくても、計測値であるIpとIsとを用いてIp/Isを求めることにより、容易にグルコース濃度を算出することができた。そして、例えば図4に示したIp/Isの値とグルコース濃度との関係を予め求めておいた検量線9として用いることが出来る。
【0068】
また、図5は、図4に示したIp/Isの値とグルコース濃度との関係を求めた際の光源の光量より、10%だけ光量が低減された光源を用いた場合のIp/Isの値とグルコース濃度との関係を示すものである。図4と図5とを比較すると実質上同一の直線関係となっていることがわかる。従って、本実施例のようにIp/Isを求めることにより、光源の光量が光源の経年変化などにより低下した場合であっても、精度よくグルコース濃度を求めることが出来ることがわかる。
【0069】
なお、本実施例では、Ip/Isを用いてグルコース濃度を求めたが、これに限定されず、Is/Ip、log10(Ip/Is)またはlog10(Is/Ip)を用いても、同様の効果を得ることができる。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したところから明らかなように、本発明は、バックグラウンド測定を行うことなく、安定に高精度な濃度測定を行うことができる濃度測定装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、本発明の一実施の形態における特定成分の濃度測定方法に用いる濃度測定用接触子を示す概略図である。
【図2】
図2は、同実施の形態における特定成分の濃度測定方法の測定フローを示す図である。
【図3】
図3は、同実施の形態における特定成分の濃度測定方法により求めた、Ip/Isの入射光波数依存性を示す特性図である。
【図4】
図4は、同実施の形態における特定成分の濃度測定方法により求めた、Ip/Isの値とグルコース濃度との関係を示す特性図である。
【図5】
図5は、同実施の形態における図4に示したIp/Isの値とグルコース濃度との関係を求めた際の光源の光量より、10%だけ光量が低減された光源を用いた場合のIp/Isの値とグルコース濃度との関係を示す図である。
【図6】
図6は、同実施の形態における偏光子として干渉フィルター型偏光子を用いた場合における特定成分の濃度測定方法に用いる濃度測定用接触子を示す概略図である。
【図7】
図7は、従来のATR素子を用いた濃度測定方法を示す概略図である。
【図8】
図8は、従来の濃度測定方法の測定フローを示す図である。
【符号の説明】
1 光源
2 濃度測定用接触子
3 光入力部
4 接触部
5 光出力部
6 光検出器
7 偏光子
51 ATR素子
52 口唇
【特許請求の範囲】
【請求項1】 測定対象物に接触させられる濃度測定用接触子と、
光を射出して、前記濃度測定用接触子に入射させる光源と、
前記濃度測定用接触子より前記測定対象物内に入射し、前記測定対象物内を伝播した後前記濃度測定用接触子に帰還した前記光のP偏光成分とS偏光成分とを取り出す偏光子と、
その取り出された前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを少なくとも計測する光検出器と、
その計測された結果に基づいて、前記測定対象物に含まれる特定成分の濃度を算出する算出手段とを備えた濃度測定装置。
【請求項2】 前記算出手段は、前記計測された結果と前記特定成分の濃度とを対応付ける、予め求められた対応情報を利用して、前記特定成分の濃度を算出する請求項1記載の濃度測定装置。
【請求項3】 濃度測定用接触子は、減衰全反射素子であり、前記測定対象物に入射する光は、前記減衰全反射素子からしみ出したエバネッセント光である請求項1記載の濃度測定装置。
【請求項4】 前記測定対象物は生体組織であり、前記特定成分はグルコース、エタノール、コレステロール、またはコレステロール誘導体である請求項1記載の濃度測定装置。
【請求項5】 前記算出手段は、前記P偏光成分の光量の計測値をIpとし、前記S偏光成分の光量の計測値をIsとする場合、log10(Is/Ip)またはlog10(Ip/Is)を算出し、その算出された値に基づいて前記特定成分の濃度を求める請求項1記載の濃度測定装置。
【請求項6】 前記算出手段は、前記P偏光成分の光量の計測値をIpとし、前記S偏光成分の光量の計測値をIsとする場合、Ip/IsまたはIs/Ipを算出し、その算出された値に基づいて前記特定成分の濃度を求める請求項1記載の濃度測定装置。
【請求項7】 前記光検出器は、前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを交互に少なくとも各々1回以上計測し、
前記算出手段は、前記光検出器において計測された計測値のうち、互いに計測した時間が近接した前記P偏光成分の光量の計測値Ipと前記S偏光成分の光量の計測値Isとを選択し、前記Ipと前記Isとを用いて演算を行い、得られた値に基づいて前記特定成分の濃度を求める請求項1記載の濃度測定装置。
【請求項8】 測定対象物に濃度測定用接触子を接触させる接触工程と、
前記濃度測定用接触子に光を入射させる入射工程と、
前記濃度測定用接触子より前記測定対象物内に入射し、前記測定対象物内を伝播した後前記濃度測定用接触子に帰還した前記光のP偏光成分の光量とS偏光成分の光量とを少なくとも計測する計測工程と、
前記計測工程において計測された結果に基づいて、前記測定対象物に含まれる特定成分の濃度を算出する算出工程とを備えた特定成分の濃度測定方法。
【請求項9】 測定対象物に接触させられる濃度測定用接触子と、
光を射出して、前記濃度測定用接触子に入射させる光源と、
前記濃度測定用接触子より前記測定対象物内に入射し、前記測定対象物内を伝播した後前記濃度測定用接触子に帰還した前記光のP偏光成分とS偏光成分とを取り出す偏光子と、
その取り出された前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを少なくとも計測する光検出器とを備え、
その計測された結果に基づいて、前記測定対象物に含まれる特定成分の濃度が算出手段によって算出される濃度測定用接触装置。
【請求項10】 測定対象物に接触させられる濃度測定用接触子と、
光を射出して、前記濃度測定用接触子に入射させる光源と、
前記濃度測定用接触子より前記測定対象物内に入射し、前記測定対象物内を伝播した後前記濃度測定用接触子に帰還した前記光のP偏光成分とS偏光成分とを取り出す偏光子と、
その取り出された前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを少なくとも計測する光検出器とを備えた濃度測定用接触装置が計測した結果に基づいて、前記測定対象物に含まれる特定成分の濃度を算出する算出手段を備えた濃度測定用算出装置。
【請求項1】 測定対象物に接触させられる濃度測定用接触子と、
光を射出して、前記濃度測定用接触子に入射させる光源と、
前記濃度測定用接触子より前記測定対象物内に入射し、前記測定対象物内を伝播した後前記濃度測定用接触子に帰還した前記光のP偏光成分とS偏光成分とを取り出す偏光子と、
その取り出された前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを少なくとも計測する光検出器と、
その計測された結果に基づいて、前記測定対象物に含まれる特定成分の濃度を算出する算出手段とを備えた濃度測定装置。
【請求項2】 前記算出手段は、前記計測された結果と前記特定成分の濃度とを対応付ける、予め求められた対応情報を利用して、前記特定成分の濃度を算出する請求項1記載の濃度測定装置。
【請求項3】 濃度測定用接触子は、減衰全反射素子であり、前記測定対象物に入射する光は、前記減衰全反射素子からしみ出したエバネッセント光である請求項1記載の濃度測定装置。
【請求項4】 前記測定対象物は生体組織であり、前記特定成分はグルコース、エタノール、コレステロール、またはコレステロール誘導体である請求項1記載の濃度測定装置。
【請求項5】 前記算出手段は、前記P偏光成分の光量の計測値をIpとし、前記S偏光成分の光量の計測値をIsとする場合、log10(Is/Ip)またはlog10(Ip/Is)を算出し、その算出された値に基づいて前記特定成分の濃度を求める請求項1記載の濃度測定装置。
【請求項6】 前記算出手段は、前記P偏光成分の光量の計測値をIpとし、前記S偏光成分の光量の計測値をIsとする場合、Ip/IsまたはIs/Ipを算出し、その算出された値に基づいて前記特定成分の濃度を求める請求項1記載の濃度測定装置。
【請求項7】 前記光検出器は、前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを交互に少なくとも各々1回以上計測し、
前記算出手段は、前記光検出器において計測された計測値のうち、互いに計測した時間が近接した前記P偏光成分の光量の計測値Ipと前記S偏光成分の光量の計測値Isとを選択し、前記Ipと前記Isとを用いて演算を行い、得られた値に基づいて前記特定成分の濃度を求める請求項1記載の濃度測定装置。
【請求項8】 測定対象物に濃度測定用接触子を接触させる接触工程と、
前記濃度測定用接触子に光を入射させる入射工程と、
前記濃度測定用接触子より前記測定対象物内に入射し、前記測定対象物内を伝播した後前記濃度測定用接触子に帰還した前記光のP偏光成分の光量とS偏光成分の光量とを少なくとも計測する計測工程と、
前記計測工程において計測された結果に基づいて、前記測定対象物に含まれる特定成分の濃度を算出する算出工程とを備えた特定成分の濃度測定方法。
【請求項9】 測定対象物に接触させられる濃度測定用接触子と、
光を射出して、前記濃度測定用接触子に入射させる光源と、
前記濃度測定用接触子より前記測定対象物内に入射し、前記測定対象物内を伝播した後前記濃度測定用接触子に帰還した前記光のP偏光成分とS偏光成分とを取り出す偏光子と、
その取り出された前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを少なくとも計測する光検出器とを備え、
その計測された結果に基づいて、前記測定対象物に含まれる特定成分の濃度が算出手段によって算出される濃度測定用接触装置。
【請求項10】 測定対象物に接触させられる濃度測定用接触子と、
光を射出して、前記濃度測定用接触子に入射させる光源と、
前記濃度測定用接触子より前記測定対象物内に入射し、前記測定対象物内を伝播した後前記濃度測定用接触子に帰還した前記光のP偏光成分とS偏光成分とを取り出す偏光子と、
その取り出された前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを少なくとも計測する光検出器とを備えた濃度測定用接触装置が計測した結果に基づいて、前記測定対象物に含まれる特定成分の濃度を算出する算出手段を備えた濃度測定用算出装置。
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、グルコ−ス、コレステロ−ル、エタノ−ル等の濃度を測定する濃度測定装置、濃度測定用接触装置、濃度測定用算出装置、及び濃度測定方法に関する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、グルコ−ス、コレステロ−ル、エタノ−ル等の濃度を測定する濃度測定装置、濃度測定用接触装置、濃度測定用算出装置、及び濃度測定方法に関する。
例えば、特許文献1には、図7に示すように、平行に向かい合った一対の反射面を備えた透明なATR素子51に上下の口唇52を密着させて血糖値を測定する方法が提案されている。この方法によると、ATR素子51を口にくわえて上下から押さえつけた後、ATR素子51に光を入射させ、図7の破線で示すようにATR素子51の反射面と口唇52の境界で全反射を繰り返してATR素子51の外部にしみ出した光を分析する。
また、非特許文献1には、ZnSe光学結晶等からなるATR素子を口唇の粘膜に密着させたのち、このATR素子に波長9〜11ミクロンのレ−ザ光を進入させてATR素子の内部で多重的に反射させ、その吸収光、散乱反射光を分析することにより血糖値や血中エタノ−ル濃度を測定する方法が提案されている。
次に、バックグラウンド測定時の光検出器からの検出信号をIb、試料測定時の光検出器からの検出信号をImとすると、log 10(Ib/Im)を算出する(S7)。この値は一般に吸光度と呼ばれる。このようにすると、吸光度と試料中の特定成分の濃度には相関関係があるため、予め吸光度と濃度との検量線を求めておけば、算出された吸光度より試料中の特定成分の濃度を推定することができる。
本発明は、上記課題を考慮し、バックグラウンド測定を行うことなく、安定に高精度な濃度測定を行うことができる濃度測定装置、濃度測定用接触装置、濃度測定用算出装置、及び濃度測定方法を提供することを目的とする。
また、第4の本発明は、前記測定対象物は生体組織であり、前記特定成分はグルコース、エタノール、コレステロール、またはコレステロール誘導体である第1の本発明の濃度測定装置である。
また、第8の本発明は、測定対象物に濃度測定用接触子を接触させる接触工程と、
前記濃度測定用接触子に光を入射させる入射工程と、
前記濃度測定用接触子より前記測定対象物内に入射し、前記測定対象物内を伝播した後前記濃度測定用接触子に帰還した前記光のP偏光成分の光量とS偏光成分の光量とを少なくとも計測する計測工程と、
前記計測工程において計測された結果に基づいて、前記測定対象物に含まれる特定成分の濃度を算出する算出工程とを備えた特定成分の濃度測定方法である。
前記濃度測定用接触子に光を入射させる入射工程と、
前記濃度測定用接触子より前記測定対象物内に入射し、前記測定対象物内を伝播した後前記濃度測定用接触子に帰還した前記光のP偏光成分の光量とS偏光成分の光量とを少なくとも計測する計測工程と、
前記計測工程において計測された結果に基づいて、前記測定対象物に含まれる特定成分の濃度を算出する算出工程とを備えた特定成分の濃度測定方法である。
また、第9の本発明は、測定対象物に接触させられる濃度測定用接触子と、
光を射出して、前記濃度測定用接触子に入射させる光源と、
前記濃度測定用接触子より前記測定対象物内に入射し、前記測定対象物内を伝播した後前記濃度測定用接触子に帰還した前記光のP偏光成分とS偏光成分とを取り出す偏光子と、
その取り出された前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを少なくとも計測する光検出器とを備え、
その計測された結果に基づいて、前記測定対象物に含まれる特定成分の濃度が算出手段によって算出される濃度測定用接触装置である。
光を射出して、前記濃度測定用接触子に入射させる光源と、
前記濃度測定用接触子より前記測定対象物内に入射し、前記測定対象物内を伝播した後前記濃度測定用接触子に帰還した前記光のP偏光成分とS偏光成分とを取り出す偏光子と、
その取り出された前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを少なくとも計測する光検出器とを備え、
その計測された結果に基づいて、前記測定対象物に含まれる特定成分の濃度が算出手段によって算出される濃度測定用接触装置である。
また、第10の本発明は、測定対象物に接触させられる濃度測定用接触子と、
光を射出して、前記濃度測定用接触子に入射させる光源と、
前記濃度測定用接触子より前記測定対象物内に入射し、前記測定対象物内を伝播した後前記濃度測定用接触子に帰還した前記光のP偏光成分とS偏光成分とを取り出す偏光子と、
その取り出された前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを少なくとも計測する光検出器とを備えた濃度測定用接触装置が計測した結果に基づいて、前記測定対象物に含まれる特定成分の濃度を算出する算出手段を備えた濃度測定用算出装置である。
光を射出して、前記濃度測定用接触子に入射させる光源と、
前記濃度測定用接触子より前記測定対象物内に入射し、前記測定対象物内を伝播した後前記濃度測定用接触子に帰還した前記光のP偏光成分とS偏光成分とを取り出す偏光子と、
その取り出された前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを少なくとも計測する光検出器とを備えた濃度測定用接触装置が計測した結果に基づいて、前記測定対象物に含まれる特定成分の濃度を算出する算出手段を備えた濃度測定用算出装置である。
接触部4上に測定対象物であるグルコース溶液を滴下し、接触部4全面を溶液で満たす。光源1から出射した光を接触部4に入射角度θで入射させ全反射させる。このとき接触部4からエバネッセント光がしみ出し、グルコース溶液内を伝播した後、接触部4に帰還し、次いで光出力部5より出射し、偏光子7を介して光検出器6に到達する。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したところから明らかなように、本発明は、バックグラウンド測定を行うことなく、安定に高精度な濃度測定を行うことができる濃度測定装置、濃度測定用接触装置、濃度測定用算出装置、及び濃度測定方法を提供することが出来る。
【発明の効果】
以上説明したところから明らかなように、本発明は、バックグラウンド測定を行うことなく、安定に高精度な濃度測定を行うことができる濃度測定装置、濃度測定用接触装置、濃度測定用算出装置、及び濃度測定方法を提供することが出来る。
Claims (7)
- 測定対象物に接触させられる濃度測定用接触子と、
光を射出して、前記濃度測定用接触子に入射させる光源と、
前記濃度測定用接触子より前記測定対象物内に入射し、前記測定対象物内を伝播した後前記濃度測定用接触子に帰還した前記光のP偏光成分とS偏光成分とを取り出す偏光子と、
その取り出された前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを少なくとも計測する光検出器と、
その計測された結果に基づいて、前記測定対象物に含まれる特定成分の濃度を算出する算出手段とを備えた濃度測定装置。 - 前記算出手段は、前記計測された結果と前記特定成分の濃度とを対応付ける、予め求められた対応情報を利用して、前記特定成分の濃度を算出する請求項1記載の濃度測定装置。
- 濃度測定用接触子は、減衰全反射素子であり、前記測定対象物に入射する光は、前記減衰全反射素子からしみ出したエバネッセント光である請求項1記載の濃度測定装置。
- 前記測定対象物は生体組織であり、前記特定成分はグルコース、エタノール、コレステロール、またはコレステロール誘導体である請求項1記載の特定成分の濃度測定装置。
- 前記算出手段は、前記P偏光成分の光量の計測値をIpとし、前記S偏光成分の光量の計測値をIsとする場合、log10(Is/Ip)またはlog10(Ip/Is)を算出し、その算出された値に基づいて前記特定成分の濃度を求める請求項1記載の濃度測定装置。
- 前記算出手段は、前記P偏光成分の光量の計測値をIpとし、前記S偏光成分の光量の計測値をIsとする場合、Ip/IsまたはIs/Ipを算出し、その算出された値に基づいて前記特定成分の濃度を求める請求項1記載の濃度測定装置。
- 前記光検出器は、前記P偏光成分の光量と前記S偏光成分の光量とを交互に少なくとも各々1回以上計測し、
前記算出手段は、前記光検出器において計測された計測値のうち、互いに計測した時間が近接した前記P偏光成分の光量の計測値Ipと前記S偏光成分の光量の計測値Isとを選択し、前記Ipと前記Isとを用いて演算を行い、得られた値に基づいて前記特定成分の濃度を求める請求項1記載の濃度測定装置。
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