JP2005127748A - 光熱変換測定装置及びその方法 - Google Patents

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弘行 高松
Masahito Amanaka
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Tsutomu Morimoto
勉 森本
Toshihiro Kugimiya
敏洋 釘宮
Yasushi Goto
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Abstract

【課題】 試料の光熱効果による特性変化を,安定的に高精度で測定でき,さらに,消費電力の増加や高コスト化,S/N比の低下,測定時間の長時間化を防止しながら高感度かつ容易に測定できること。
【解決手段】 試料6の所定の測定部に励起光としてレーザ光を照射する励起光源1と,所定の測定光及び参照光を出射するレーザ光源7と,試料6の測定部に接して設けられ前記測定光を通過させて前記測定部との界面で前記測定光を1回全反射させる透明体5と,前記励起光の強度変化に対する前記界面での全反射後の前記測定光の位相変化を測定する位相変化測定部18とを具備し,位相変化測定部18は,前記測定光とこれと光周波数が異なる所定の参照光との干渉光の強度を光電変換する光検出器14と,得られた干渉光の強度信号に基づいて前記測定光の位相変化を算出する信号処理装置14とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は,試料の含有物質等を分析する際に用いられ,励起光を試料に照射したときの光熱効果により試料に生じる屈折率変化に基づく特性変化を測定する光熱変換測定装置及びその方法に関するものである。
各種試料の含有物質等の分析において,分析感度の向上は,試薬の量の低減や試料の濃縮処理の簡素化,分析の効率化及び低コスト化を図る上で重要である。
ところで,試料に励起光を照射すると,その照射部は励起光を吸収することにより発熱し,これを光熱効果という。この発熱を測定することを光熱変換測定という。
従来,この光熱変換測定による試料の高感度分析法として,光熱効果により試料に形成される熱レンズ効果を用いた手法(以下,熱レンズ法という)が知られている。
熱レンズ法による分析装置(光熱変換分光分析装置)は,例えば,特許文献1に示されている。
図4は,特許文献1に示される熱レンズ法による試料の分析装置の構成図である(特許文献1の図1を引用)。
図4に示されるように,励起光源10からの励起光Aは,チョッパ11で断続光に変換(即ち,周期的に強度変調)され,ビームエクスパンダ12,位置制御ミラー31,22,レンズ34及び顕微鏡35を介して試料40に照射される。これにより,試料40は励起光を吸収して発熱し,その屈折率が変化する。
この屈折率の変化は,検出光源20からの検出光B(測定光)により検出される。
検出光源20からの検出光Bは,ビームエクスパンダ22を介して励起光Aと同軸経路となって位置制御ミラー31,32で反射し,さらにレンズ34,顕微鏡35を介して試料40に照射される。そして,試料40を通過した検出光Bは,集光レンズ50により集光され,開口部51A(ピンホール)を通過して検出器53により受光され,その光強度が検出される。ここで,試料40の屈折率変化により検出光Bの試料40中の集光状態が変化するため,ピンホールを通過して得られる検出光の強度は,試料の屈折率の変化(即ち,試料の含有物質等に応じた光吸収量)に応じて変化する。この検出光Bの強度変化を測定することにより,試料の屈折率の変化を測定でき,その測定結果により試料の含有物質の量等を評価することができる。
前記熱レンズ法では,試料の透過光を測定することから,試料への測定光の入射条件,即ち,試料界面の状態(形状)を一定に維持しておかないと,測定光の収束状態が変動して検出信号の再現性が悪化する。これに対し,解放系で試料を測定すると,表面張力や外気の影響等により試料の表面状態(形状)が不安定となり,一定状態を維持できない。そこで,前記熱レンズ法では,試料を密閉容器或いは密閉流路に設置することにより試料の表面状態の安定化を図った上で測定を行う。
また,特許文献1では,検出光Bの強度変化を高いS/N比(信号対雑音比)で検出するために,ロックインアンプ61によって励起光Aのチョッパによる断続周波数成分(強度変調周期の周波数成分)のみを検出している。
特開平10−232210号公報
しかしながら,前記熱レンズ法による試料の分析は,試料の発熱による屈折率変化を,測定光(検出光)の集光状態変化による光強度(検出信号の強度)の変化によって検出するものであり,この光強度(検出信号強度)の変化は,試料の屈折率変化だけでなく,検出器53(光電変換手段)の受光位置や測定光の強度及びその強度分布等にも依存する。このため,再現性良く(安定的に)試料を分析(屈折率変化を測定)することが難しいという問題点があった。
また,測定感度を高めるためには,励起光の強度を増大させる,或いは試料通過後の測定光を通過させるピンホールの径を小さくする必要があるが,励起光強度の増大化は消費電力の増加,高コスト化を招き,ピンホールの小口径化は検出器での受光光量が減少によるS/N比の低下や測定時間の長時間化を招くという問題点もあった。
さらに,前記レンズ法では,前述したように試料を密閉容器或いは密閉流路に設置する必要があるため,試料の設置に手間を要するという問題点もあった。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,試料の光熱効果による特性変化を,安定的に高精度で測定でき,さらに,消費電力の増加や高コスト化,S/N比の低下,測定時間の長時間化を防止しながら高感度かつ容易に測定できる光熱変換測定装置及びその方法を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は,所定の測定部に励起光が照射された試料の光熱効果により前記試料に生じる特性変化を測定する光熱変換測定装置において,所定の測定光を出射する測定光出射手段と,前記試料の前記測定部に接して設けられ前記測定光を通過させて前記測定部との界面で前記測定光を1回又は複数回全反射させる透明体と,前記励起光の強度変化に対する前記界面での全反射後の前記測定光の位相変化を測定する位相変化測定手段と,を具備してなることを特徴とする光熱変換測定装置として構成されるものである。
測定光を屈折率の異なる2つの媒体(ここでは,試料と透明体)の界面に対して臨界角を超える入射角(垂直入射を0°)で入射させると全反射することが知られている。さらに,測定光を透明体(例えば,石英ガラス等)と試料との界面に全反射させると,反射体(試料)の内部にも光(エバネセント波)が存在し,反射波の位相はこのエバネセント波の存在する領域(測定部)の屈折率等の影響を受けることが知られている。
このため,試料の測定部が前記励起光の照射により発熱してその屈折率が変化すると,その変化に応じて前記測定光の全反射光の位相が変化する。
従って,前記構成により,前記励起光の強度変化に対する前記透明体と前記測定部との界面での全反射後の前記測定光の位相変化を測定すれば,試料の前記測定部の特性変化(即ち,温度変化による屈折率変化)を測定でき,その測定結果により試料の含有物質の量等を評価することができる。
ここで,エバネセント波が現れる領域は,前記透明体及び前記試料の屈折率,前記測定光の入射角度,前記測定光の波長に依存するが,例えば,前記測定光を可視光とすると,前記界面からサブμm〜数十μmの深さの領域にのみエバネセント波が現れる。このように,前記測定光の全反射光の位相に影響を与える領域,即ち,測定領域(深さ)を特定できるので,前記構成によれば,前記試料の測定部(測定面)と反対側の面の試料状態に影響されずに測定することが可能となる。従って,試料の測定部を前記透明体に接して配置する形態で,試料を密閉容器や密閉流路に設置することなく(解放系で)簡易に測定することが可能となる。
また,前記透明体が,前記界面(試料の励起部分との界面)で前記測定光を複数回全反射させるものであれば,前記励起光の出力増大やS/N比の低下を伴うことなく,高感度で試料の特性変化(温度変化)を測定することが可能となる。
また,前記測定光の位相変化は,以下の手段によって再現性高く高精度で測定できる。
例えば,前記測定部に照射する前記励起光を周期的に強度変調させる励起光強度変調手段を具備し,前記位相変化測定手段が,前記励起光強度変調手段による強度変調周期と同じ周期成分について前記測定光の位相変化を測定するものが考えられる。
これにより,前記強度変調周期と同じ周期で試料の測定部の温度が変化するので,同じ周期成分を有しないノイズの影響を除去して前記測定光の強度変化に起因する試料の特性変化(温度変化による屈折率変化)のみを測定できる。よって,前記位相変化の測定のS/N比が向上し,高精度で試料を分析することが可能となる。
また,前記位相変化測定手段が,光干渉法により前記測定光の位相変化を測定するもの,例えば,前記測定光とこれと光周波数が異なる所定の参照光との干渉光の強度を光電変換する光電変換手段と,前記光電変換手段により得られた前記干渉光の強度信号に基づいて前記測定光の位相変化を算出する位相変化算出手段と,を具備するもの等が考えられる。
これにより,例えば装置ごとに光検出器(光電変換手段)の位置や測定光の強度及びその強度分布等が異なっても,測定中に変化さえしなければ,これらに依存することなく再現性高く(安定的に),しかも光学的に高精度で試料の特性変化(温度変化による屈折率変化)を測定することが可能となる。よって,高精度で試料を分析することが可能となる。ここで,前記光電変換手段により得られる電気信号(干渉光の強度信号)の位相成分は,FM復調等により抽出でき,抽出された位相成分には,試料の発熱による屈折率変化の信号が含まれる。
また,本発明は,前記光熱変換測定装置により行われる光熱変換測定方法として捉えたものであってもよい。
即ち,所定の測定部に励起光が照射された試料の光熱効果により前記試料に生じる特性変化を測定する光熱変換測定方法において,所定の測定光を前記試料の前記測定部に接して設けられた透明体に通過させつつ前記測定光を前記透明体と前記測定部との界面で1回又は複数回全反射させ,前記励起光の強度変化に対する前記界面での全反射後の前記測定光の位相変化を測定することを特徴とする光熱変換測定方法である。
本発明によれば,所定の測定光を出射する測定光出射手段と,励起光が照射された試料の測定部に接して設けられ前記測定光を通過させて前記測定部との界面で前記測定光を1回又は複数回全反射させる透明体と,前記励起光の強度変化に対する前記界面での全反射後の前記測定光の位相変化を測定する位相変化測定手段と,を具備することにより,試料において前記位相変化に影響を与えるエバネセント波が現れる領域(深さ)を特定できるので,試料の測定部(測定面)と反対側の面の試料状態に影響されずに試料の光熱効果による特性変化を測定することが可能となる。従って,試料の測定部を前記透明体に接して配置する形態で,試料を密閉容器や密閉流路に設置することなく(解放系で)簡易に測定することが可能となる。ここで,前記透明体が,前記界面(試料の励起部分との界面)で前記測定光を複数回全反射させるものであれば,前記励起光の出力増大やS/N比の低下を伴うことなく,高感度で試料の特性変化(温度変化)を測定することが可能となる。
また,前記測定部に照射する前記励起光を周期的に強度変調させる励起光強度変調手段を具備し,前記位相変化測定手段が,前記励起光強度変調手段による強度変調周期と同じ周期成分について前記測定光の位相変化を測定するものであれば,前記強度変調周期と同じ周期成分を有しないノイズの影響を除去でき,前記位相変化の測定のS/N比が向上し,高精度で試料を分析することが可能となる。
また,前記位相変化測定手段が,光干渉法により前記測定光の位相変化を測定するものであれば,装置ごとに光検出器(光電変換手段)の位置や測定光の強度及びその強度分布等が異なっても,測定中に変化さえしなければ,これらに依存することなく再現性高く(安定的に),しかも光学的に高精度で試料の特性変化(温度変化による屈折率変化)を測定することが可能となる。よって,高精度で試料を分析することが可能となる。
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係る光熱変換測定装置Xの概略構成を表す図,図2は光熱変換測定装置Xを構成する透明体の第1の実施例を表す図,図3は光熱変換測定装置Xを構成する透明体の第2の実施例を表す図,図4は従来の光熱変換測定装置(光熱変換分光分析装置)の概略構成図である。
以下,図1を用いて,本発明の実施の形態に係る光熱変換測定装置Xについて説明する。
本光熱変換測定装置Xは,試料6の所定の測定部に励起光としてレーザ光を照射する励起光源1と,所定の測定光及び参照光を出射するレーザ光源7(前記測定光出射手段の一例)と,試料6の測定部に接して設けられ前記測定光を通過させて前記測定部との界面で前記測定光を1回全反射させる透明体5と,前記励起光の強度変化に対する前記界面での全反射後の前記測定光の位相変化を測定する位相変化測定部18(前記位相変化測定手段の一例)とを具備している。
前記励起光源1(例えば,波長533nm,出力100mWのレーザ(YAG倍波))から出力された励起光は,チョッパ2(前記励起光強度変調手段の一例)により所定周期の断続光(断続周波数:f)に変換(即ち,周期的に強度変調)され,これがミラー3により反射されて,レンズ4及び前記透明体5を通過して試料6の測定部に照射される。前記励起光は,前記透明体5と前記試料6との界面で反射しないよう,該界面に対して垂直に入射される。これにより,試料6が励起光を吸収して発熱し(光熱効果),その温度変化(上昇)によって試料6の屈折率が変化する。
一方,前記レーザ光源7(例えば,出力1mWのHe−Neレーザ))から出力されたレーザ光は,ビームスプリッタ8によって2分岐され,各分岐光は音響光学変調機(AOM9,10)によって光周波数がシフト(周波数変換)される。該AOM9,10によりシフト後の各光の周波数差fbは,例えば,30MHz等とする。
前記AOM10からの出射光(シフト後の光)は,ミラー11で反射された後,前記試料6の屈折率変化を測定するための測定光として前記透明体5に入射し,該透明体5の前記試料6との界面(前記試料6の測定部との接触面,以下,単に界面という)に向かう。
前記透明体5の屈折率は,前記試料6の屈折率よりも大きいものであり,前記ミラー11は,前記測定光を,前記界面に対して臨界角を超える入射角α(垂直入射を0°,α<90°)で入射させる。これにより,前記測定光は,前記界面に対して全反射する。
前記界面で全反射した前記測定光は,前記透明体5から出射後,ミラー12により反射され,ビームスプリッタ13へ入射される。
一方,前記AOM9からの出射光,即ち,前記測定光と光周波数が異なる(周波数差fb)光は,ミラー15,16で反射された後,前記測定光に対する参照光として前記ビームスプリッタ13に入射される。
これにより,前記ビームスプリッタ13に入射された前記測定光(前記界面で全反射後の測定光)とこれと光周波数が異なる前記参照光とが合成された干渉光が形成され,その干渉光が前記光検出器20に入射される。そして,前記光検出器20(前記光電変換手段の一例)により,前記干渉光の光強度が電気信号(以下,この電気信号の信号値を干渉光強度S1という)に変換される。
前記光検出器20により出力される電気信号(即ち,干渉光強度)は,所定の計算機等である信号処理装置17に入力及び記憶され,該信号処理装置17(前記位相変化算出手段の一例)において前記測定光(前記界面で全反射後の測定光)の位相変化の算出処理(即ち,光干渉法による位相変化の測定)がなされる。ここで,前記ビームスプリッタ13,前記光検出器14(光電変換手段)及び前記信号処理装置17(位相変化算出手段)が前記位相変化測定部18(位相変化算出手段)を構成する。前記信号処理装置17は,所定のプログラムを実行することにより,前記位相変化の算出処理を行う。
ところで,前記干渉光強度S1は,次の(1)式で表される。
S1=C1+C2・cos(2π・fb・t+φ) …(1)
C1,C2は前記ビームスプリッタ8,13,ミラー11,12,15,16等の光学系により定まる定数,φは前記測定光と前記参照光の光路長差による位相差,fbは前記測定光と前記参照光の周波数差である。
(1)式より,前記干渉光強度S1の変化(前記励起光を照射しない或いはその光強度が小さいときとその光強度が大きいときとの差)から,前記位相差φの変化が求まる,即ち,前記励起光の強度変化に対する前記界面での全反射後の前記測定光の位相変化が求まることがわかる。前記信号処理装置21は,(1)式に基づいて前記位相差φの変化を算出する。
ここで,前記励起光は前記チョッパ2によって周波数fで強度変調されているため,試料6の屈折率も周波数fで変化し,前記測定光の光路長も周波数fで変化し(前記参照光の光路長は一定),前記位相差φも周波数fで変化する。
従って,前記信号処理装置17は,前記位相差φの変化(即ち,前記測定光の位相変化)を,周波数fの成分(前記励起信号の強度変調周期と同周期成分)について測定(算出)する。これにより,周波数fの成分を有しないノイズの影響を除去しつつ試料6の特性変化(温度変化)のみを測定でき,前記位相差φの測定のS/N比が向上する。
また,試料6の中の励起光を吸収する所定の含有物質の量に応じて吸熱量(発熱量)が変化し,該発熱量に応じて試料6の測定部の屈折率も変化する。この屈折率変化に応じて前記位相差φが変化する。即ち,前記含有物質の量が多いほど,前記励起光の変化に対する前記位相差φの変化が大きくなる。従って,前記位相差φを測定すれば,試料6の含有物質の量(濃度)の分析が可能となる。
当該光熱変換測定装置Xを用いて,予め所定の含有物質の量(濃度)が既知である複数種類のサンプル試料について前記位相差φの変化を測定し,その結果とその含有物質の量との対応づけを前記信号処理装置17にデータテーブルとして記憶しておく。そして,測定対象とする試料についての前記位相差φの測定結果を前記データテーブルに基づいて補間処理等を行う等によりその含有物質の量を特定する処理を前記信号処理装置17により実行すればよい。
前述したように,前記試料6の測定部においてエバネセント波が現れる領域,即ち,前記測定光の全反射光の位相に影響を与える領域(深さ)は,所定範囲に特定できる。このため,前記光熱変換測定装置Xによれば,前記試料6の測定部(測定面)と反対側の面の試料状態に影響されずに測定することが可能となる。従って,試料の測定部を前記透明体5に接して配置する形態で,試料を密閉容器や密閉流路に設置することなく(解放系で)簡易に測定することが可能となる。
また,前記光熱変換測定装置Xでは,試料6の光熱効果による特性変化を,前記励起光の強度変化に対する全反射後の前記測定光の位相変化を光干渉法を用いて測定するので,例えば装置ごとに前記光検出器14の位置や前記測定光の強度及びその強度分布等が異なっても,測定中に変化さえしなければ,これらに依存することなく安定的に,しかも光学的に高精度で試料の屈折率変化を測定することが可能となる。
(透明体の第1の実施例)
前記光熱変換測定装置Xでは,前記測定光を前記透明体5の前記界面に対して1回の全反射をさせるものであったが,前記測定光を前記界面に対して複数回全反射させることによってさらなる感度向上を図ることが可能である。
図2は,前記測定光を前記界面に対して複数回全反射させる第1の実施例に係る前記透明体5’の構成を表す概略断面図である。
図2に示すように,断面台形の前記透明体5’は,石英ガラス等の透明体であり,その厚みが薄く形成されることにより,前記試料6との界面で全反射した前記測定光が,前記界面と反対側の面(図中,下側の面)でも全反射し,前記透明体5’内において,前記測定光が前記界面とその反対面との間で全反射を繰り返しながら(複数回全反射しながら)伝搬する構成を有している。
ここで,前記測定光の照射角度は,空気よりも屈折率の大きな透明体(ガラス)からそれより屈折率の小さな空気中への界面である前記反対側の面において全反射する角度に設定されている。
これにより,前記測定光が前記界面に反射する回数にほぼ比例して,前記測定光の位相変化が増幅されるため,前記励起光の出力増大やS/N比の低下を伴うことなく高感度で前記位相差φの変化を測定できる。
(透明体の第2の実施例)
図3は,前記測定光を前記界面に対して複数回全反射させる第2の実施例に係る前記透明体5”の構成を表す概略断面図である。
図3に示すように,断面長方形の前記透明体5”は,石英ガラス等の透明体であり,前記試料6との接触面から所定深さの範囲の表層に他の層(前記接触面側からより深い層の部分)よりも高い屈折率を有する層(高屈折率層5a)が形成され,該高屈折率層5aを前記測定光の光導波路とするものである。前記高屈折率層5aは,例えばTi拡散等により形成することができる。
これにより,前記高屈折率層5aを伝搬する前記測定光は,前記試料6との界面と前記透明体5”の他の層との境界面との間で全反射を繰り返しながら(複数回全反射しながら)進行する。その結果,前記透明体5’と同様の効果が得られる。
また,前記実施の形態では,前記励起光の光源としてレーザ光源を用いたが,これに限るものでなく,例えば,タングステンランプ等による白色光源や,それを分光器で分光する光源とすること等も考えられる。分光光源を用いれば,分光評価に前記試料6のより詳細な分析(含有物質の同定等)も可能となる。
即ち,光熱効果による測定光の屈折率変化は,励起光の波長によっても異なり,試料の含有物質の種類によって各波長の励起光に対する光熱効果及び光熱効果による試料の屈折率変化も異なる。従って,複数の異なる波長の励起光を照射し,そのそれぞれについて前記位相差φの変化を測定すれば,その分布から試料の含有物質の種類及び量を特定(評価)できる。
ここで,前記励起光を,波長ごとに異なる周期で強度変調された光の多重光とし,前記信号処理装置17により,前記測定光の位相φの変化を,前記励起光の各波長の強度変調周期と同周期成分それぞれについて測定すれば,1回の測定によって複数波長の測定光についての試料の屈折率変化を測定でき,効率的な測定が可能となる。
このような励起光の光源(照射手段)としては,白色光源(例えば,タングステンランプ)の光を分光器で分光し,分光された光ごとに異なる周波数のチョッパ等を介して強度変調し,それらを集光(合流)した光を前記励起光するものが考えられる。
また,白色光源の光をビームスプリッタによって2方向に分岐させ,それらを固定ミラー及び移動ミラーそれぞれに反射さて再び前記ビームスプリッタに戻して合流させ,これを励起光とする周知のフーリエ分光を用いた励起光出力部とすることも考えられる。
本発明は,光熱変換測定への利用が可能である。
本発明の実施の形態に係る光熱変換測定装置Xの概略構成を表す図。 光熱変換測定装置Xを構成する透明体の第1の実施例を表す図。 光熱変換測定装置Xを構成する透明体の第2の実施例を表す図。 従来の光熱変換測定装置(光熱変換分光分析装置)の概略構成図。
符号の説明
1…励起光源
2…チョッパ
3,11,12,15,16…ミラー
4…レンズ
5,5’,5”…透明体
6…試料
7…レーザ光源
8,13…ビームスプリッタ
9,10…音響光学変調機
14…光検出器(光電変換手段)
17…信号処理装置
18…位相変化測定部(位相変化測定手段)

Claims (5)

  1. 所定の測定部に励起光が照射された試料の光熱効果により前記試料に生じる特性変化を測定する光熱変換測定装置において,
    所定の測定光を出射する測定光出射手段と,
    前記試料の前記測定部に接して設けられ前記測定光を通過させて前記測定部との界面で前記測定光を1回又は複数回全反射させる透明体と,
    前記励起光の強度変化に対する前記界面での全反射後の前記測定光の位相変化を測定する位相変化測定手段と,
    を具備してなることを特徴とする光熱変換測定装置。
  2. 前記測定部に照射する前記励起光を周期的に強度変調させる励起光強度変調手段を具備し,
    前記位相変化測定手段が,前記励起光強度変調手段による強度変調周期と同じ周期成分について前記測定光の位相変化を測定してなる請求項1に記載の光熱変換測定装置。
  3. 前記位相変化測定手段が,光干渉法により前記測定光の位相変化を測定してなる請求項1又は2のいずれかに記載の光熱変換測定装置。
  4. 前記位相変化測定手段が,前記測定光とこれと光周波数が異なる所定の参照光との干渉光の強度を光電変換する光電変換手段と,前記光電変換手段により得られた前記干渉光の強度信号に基づいて前記測定光の位相変化を算出する位相変化算出手段と,を具備してなる請求項3に記載の光熱変換測定装置。
  5. 所定の測定部に励起光が照射された試料の光熱効果により前記試料に生じる特性変化を測定する光熱変換測定方法において,
    所定の測定光を前記試料の前記測定部に接して設けられた透明体に通過させつつ前記測定光を前記透明体と前記測定部との界面で1回又は複数回全反射させ,前記励起光の強度変化に対する前記界面での全反射後の前記測定光の位相変化を測定することを特徴とする光熱変換測定方法。
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