JPWO2003071589A1 - 熱処理装置及び熱処理方法 - Google Patents
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Abstract
熱処理装置1は、熱処理容器2に隣接して配置され、内部空間を所定の雰囲気に設定できる処理室50と、処理対象を保持する保持手段3に作用して、処理対象を熱処理容器2と処理室50との間にて移動させる移動手段10と、を有する。
Description
技術分野
本発明は、磁場中で熱処理を行う熱処理装置及び熱処理方法に関し、微細にパターニングされた材料、磁性体などに対して、特にMR膜、GMR膜、TMR膜などの磁性体材料に対して強磁場内で熱処理を行う熱処装置及び熱処理方法に関するものである。
背景技術
磁性体膜、例えば、磁気ヘッドや不揮発性メモリの一つであるMRAM(Magnetic Random Access Memory)などに用いられる磁性体材料である、スパッタリング法などで基板上に形成されたFe−Ni、Pt−Mn、或いは、Co−Fe合金などの薄膜は、強磁場中で熱処理を行うことでその磁気特性を発現することができる。
そこで、従来、電磁石又は永久磁石で形成された磁場中に電気炉、誘導加熱炉などを設置し、その中で熱処理を行う熱処理装置が提案されている。従来の熱処理装置の一例の概略構成を図16に示す。
図16に示すように、熱処理装置1Aは、熱処理容器である円筒形状とされる真空容器2と、真空容器2内に処理対象を保持する保持手段3と、真空容器2の外側に配置された磁界発生手段20とを有する。保持手段3は、処理対象を保持するホルダー3Aと、このホルダー3Aを支持し且つ真空容器2の上部開口を開閉するための蓋部材4を備えたホルダー支持装置3Bとを有する。
真空容器2の上部にホルダー支持装置3Bが配置されており、磁性体材料などの熱処理される対象物(以下「処理対象」という。)を保持したホルダー3Aがこの支持装置3Bにより内部へと装入される。
磁界発生手段20は、真空容器2の外側で対向配置された一対の電磁石21を備え、電磁石24は磁心22とコイル23とを有する。
真空容器2の外面と、電磁石21の磁心22の端面との間に、加熱手段100が設けられている。通常、加熱手段100は、真空容器2の外面から所定の距離離間して、且つ、真空容器2の外周面を囲包して電気ヒータ101を配置することにより構成されている。電気ヒータ101は、例えば、図16に示すように、真空容器2を囲包して配置された煉瓦或はセラミック製とされるヒータ支持体102の、真空容器外周面に対面した内周面に、例えば螺旋状の溝103を設け、この溝103にニクロム線104などの発熱線を設置することにより構成されている。又、ヒータ支持体102の外周面には、アルミナフェルト、煉瓦などとされる断熱材105が配置され、加熱手段100の温度が電磁石21へと伝達しないようにされる。
熱処理された処理対象は、真空容器2から取り出され、次いで、ホルダー3Aには、新たに処理対象を保持して、支持装置3Bにより真空容器2内へと装入、保持して、上記熱処理が行われる。以後同様の手順にて、処理対象の熱処理がバッチ処理により継続して行われる。
従来、処理対象は、熱処理装置1Aにて、通常、150℃〜500℃にて熱処理されるが、場合によっては、500℃〜800℃程度での高温熱処理が行われることもあり、このような熱処理後の処理対象を高温度の状態にて真空容器2内から大気雰囲気へと取り出した場合には、酸化するなどにより変質することがある。
従って、従来、熱処理後の処理対象は、その温度が室温程度に下がるまで、真空容器2内に納めて置く必要があった。そのために、1バッチの処理時間が必然的に長いものとなった。水冷ジャケットを設けて冷却することも行われているが、熱処理後の処理対象の温度を室温程度にまで下げるには、一般には3〜4時間といった長時間を要した。
更に、従来の熱処理装置1Aでは、図16に示すように、熱処理された処理対象は、真空容器2から上方へと取り出され、次いで、ホルダー3Aには、新たに処理対象を保持して、支持装置3Bにより真空容器2内へと上方から装入して、上記熱処理が行われる。以後同様の手順にて、処理対象の熱処理がバッチ処理により継続して行われる。
このように、従来の熱処理装置1Aでは、処理対象とされる磁性体材料などは、重量が大であり、そのために、真空容器2の上端部を開口部とし、この開口部を介して処理対象の真空容器2内に対する出し入れを行う構成とされている。
本発明者らの研究実験の結果によると、上記構成の熱処理装置1Aは無塵環境下に熱処理を行う構成とされているにも拘わらず、処理対象に塵が付着することが観察された。
この問題を解決するべく、更に検討を行ったところ、従来の熱処理装置1Aは、支持装置3B、更には、図16には示していないが、この支持装置3Bを上下動するための駆動モータを備えた昇降機構等の移動手段が、ホルダー3Aに保持された処理対象及び真空容器2の上方に配置されているために、運転に際して、支持装置3B及び移動手段などから発生した塵が直接処理対象に付着したり、更には、真空容器2内へと侵入し、熱処理時に処理対象に付着することが分かった。
このように、ホルダー支持装置3B及び移動手段からの塵の発生を防止するには、装置全体の無塵化を大幅に増大することが必要となり、そのために装置構造が複雑、大型化する。その結果、装置の設置面積が大となり、装置配置の自由度が少なくなる。
そこで、本発明の主たる目的は、1バッチの処理時間を短くし、処理対象の処理量を増大することのできる熱処理装置及び熱処理方法を提供することである。
本発明の他の目的は、処理対象に塵が付き難い熱処理装置及び熱処理方法を提供することである。
本発明の更に他の目的は、装置設置面積を少なくすることができ、装置配置の自由度を向上することのできる熱処理装置及び熱処理方法を提供することである。
発明の開示
上記目的は本発明に係る熱処理装置及び熱処理方法にて達成される。要約すれば、第1の本発明によれば、処理対象を保持する保持手段と、保持手段に保持された処理対象を収納する熱処理容器と、処理対象を加熱する加熱手段と、処理対象に磁場を印加する磁界発生手段と、を有する熱処理装置において、
前記熱処理容器に隣接して配置され、内部空間を所定の雰囲気に設定できる処理室と、
前記保持手段に作用して、処理対象を前記熱処理容器と前記処理室との間にて移動させる移動手段と、
を有することを特徴とする熱処理装置が提供される。本発明の一実施態様によれば、前記加熱手段及び前記磁界発生手段は、前記熱処理容器を囲包して配置される。
第2の本発明によれば、上記熱処理装置を使用して処理対象を磁場中にて熱処理する方法において、
(a)処理対象を前記熱処理容器に収納する工程、
(b)前記熱処理容器内を所定の雰囲気として、磁場中で熱処理を行う工程、
(c)熱処理済みの処理対象を所定の雰囲気に設定されている前記処理室へ移動する工程、
を有することを特徴とする熱処理方法が提供される。
上記第1及び第2の本発明の一実施態様によれば、前記処理対象は、熱処理温度の大気雰囲気で変質するものであり、前記処理室は、非酸化雰囲気に設定する。
上記第1及び第2の本発明の他の実施態様によれば、前記処理室の非酸化雰囲気は、窒素ガス又はアルゴンガス雰囲気とされる。また、前記処理室の雰囲気を真空としてもよい。
上記第1及び第2の本発明の他の実施態様によれば、前記処理室は、所定温度に設定する。このとき、前記処理室の所定温度は、室温とし得る。
上記第1及び第2の本発明の他の実施態様によれば、前記処理室は、前記熱処理容器の上方に、下方に、又は、側方に配置することができる。
第3の本発明によれば、処理対象を保持する保持手段と、保持手段に保持された処理対象を収納する熱処理容器と、処理対象を加熱する加熱手段と、処理対象に磁場を印加する磁界発生手段と、を有する熱処理装置において、
前記熱処理容器の下方に配置され、前記熱処理容器の下端に形成した開口部が開口する無塵室と、
前記無塵室に配置され、前記保持手段に作用して処理対象を前記熱処理容器と前記無塵室との間にて移動させる移動手段と、
を有することを特徴とする熱処理装置が提供される。
上記第3の本発明の一実施態様によると、前記熱処理容器は開口部を閉鎖することによって真空とされる真空容器であって、前記移動手段は、前記真空容器の開口部より下方に位置して配置される。
第3の本発明の他の実施態様によると、前記移動手段は、その可動部分が前記無塵室に配置された処理対象より下方に位置している。
第3の本発明の他の実施態様によると、前記加熱手段及び前記磁界発生手段は、前記熱処理容器を囲包して配置される。
第3の本発明の他の実施態様によると、少なくとも前記磁界発生手段は、前記熱処理容器に対して離接可能とされる。
第4の本発明によれば、上記構成の熱処理装置を使用して処理対象を磁場中にて熱処理する方法において、
(a)処理対象を前記保持手段に収納する工程、
(b)処理対象を前記熱処理容器へと下方より装入して、磁場中で熱処理を行う工程、
(c)熱処理済みの処理対象を前記無塵室へと下方に移動して前記熱処理容器から取り出す工程、
を有することを特徴とする熱処理方法が提供される。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明に係る熱処理装置及び熱処理方法を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
図1〜図4に本発明に係る熱処理装置1の一実施例の概略全体構成を示す。
本実施例によると、熱処理装置1は、従来の熱処理装置1Aと同様に、熱処理容器としての真空容器2と、真空容器2内に処理対象を保持する保持手段3と、真空容器2の外側に配置された磁界発生手段20とを有する。保持手段3は、処理対象を保持するホルダー3Aと、このホルダー3Aを支持するホルダー支持装置3Bとを有する。
図5をも併せて参照するとより良く理解されるように、本実施例にて、真空容器2は、小径とされる容器本体部2Aと、容器本体部2Aの上部に一体に形成された大径の容器取付部2Bとを有する段付の円筒状容器とされる。容器本体部2Aの下端部は、本実施例では非酸化性ガスを導入するための導管がバルブ2aを介して接続されているが、実質的には閉鎖端とされ、容器取付部2Bの上端部は開放されている。
本実施例にて、容器上端部は、ホルダー支持装置3Bの蓋部材4が容器上端開口部に取付けられることにより密封される。真空容器2の容器本体部2Aと容器取付部2Bとの間に形成される環状肩部2Cが下部構造体5の容器設置部5aに載置され、真空容器2はその場に保持される。
真空容器2は、急冷却時において安定であることから、石英ガラスなどのセラミックスにて作製するのが好ましい。又、本実施例では、詳しくは後述するが、加熱手段30による真空中の加熱が主として輻射熱により行われるために、石英ガラスは、光学的に透明なものが良い。真空容器2の厚さは、2〜6mmとすることができ、本実施例では、3mmである。
ホルダー3Aは、例えばスパッタリングなどで形成されたFe−Ni合金膜を有する直径100〜200mm程度の基板を載置するためのトレー6が30枚程度、支持軸7にて保持されたものであり、その支持軸7の上端がホルダー支持装置3Bに懸垂支持されている。
ホルダー支持装置3Bには、ホルダー3Aに保持された処理対象を磁場方向に対してその方向を変えられるように、ホルダー3Aを回転自在に保持するのが好ましい。従って、本実施例では、ホルダー支持装置3Bに駆動モータ8を取付け、ホルダー3Aの支持軸7を回転駆動可能に構成されている。
真空容器2は、真空容器上端部にホルダー支持装置3Bを取付けた後、真空容器上端部に連通した真空ポンプ(図示せず)により真空容器2内を真空引きすることにより所定の真空状態に維持することができる。例えば、処理対象が磁性金属薄膜などとされる場合には、金属薄膜の酸化を防ぐために、処理対象は、真空中、具体的には1Pa以下の真空状態において熱処理するのが好ましい。又、好ましくは、窒素ガス、アルゴンガスなどの非酸化性ガスを真空容器2内に充填し、真空容器2内を非酸化性ガス雰囲気とする。
又、ホルダー支持装置3Bは容器上端部に配置されており、ホルダー3Aは、移動手段としての昇降機構10(図4参照)により、ホルダー支持装置3Bと共に容器2外へと上方に吊り上げることができる。従って、この状態にて磁性体材料などとされる熱処理される対象物をホルダー3Aに装着したり、或はホルダー3Aから取り出すことができる。移動手段としての昇降機構10については、後で詳述する。
磁界発生手段20は、対向配置された一対の電磁石21を備えており、各電磁石21は、図5に示すように、磁心22とコイル23とを有する。本実施例によると、詳しくは後述するが、真空容器2と磁心22との間に配置される加熱手段30の厚さを薄くすることができ、そのために、対をなす電磁石21の磁心22、22間の距離を短くすることが可能となり、従って、電磁石21自体を小型化することができる。又、本実施例によれば、磁心22は加熱されないので、耐熱性の低い材料を用いることができる。そのために、本実施例では、磁界発生手段20にて発生する磁界密度は、0.05テスラ以上、特には、0.1テスラ〜5テスラ程度とし得る。本実施例での磁心22間の距離(L0)(図5参照)は、300mmである。
図6をも参照すると理解されるように、真空容器2の容器本体2Aの外面と、電磁石21の磁心22の端面との間に、薄形の加熱手段30が設けられる。加熱手段30としては、これに限定されるものではないが、電気抵抗加熱による電気ヒータ31を有する。このような加熱手段30は、電源が高価とされる誘導加熱手段に比較すると、コスト的にも低廉であり好ましい。
更に説明すると、加熱手段30は、真空容器本体2Aの外周面を囲包して配置された電気的に絶縁性の内筒管32と、内筒管32とは所定の距離を置いて配置された流体冷却部33を構成する水冷ジャケットとを有する。内筒管32は、厚さ2〜6mmの石英ガラスチューブにて作製することができる。内筒管32と真空容器本体2Aの外周面との間には、2〜4mmの空隙(G1)を設ける。本実施例では、真空容器本体2Aの外径(D1)が240mmとされたので、内筒管32の内径(D2)は245mmとした。又、内筒管32の軸線方向長さ(L1)は450mmとした。
水冷ジャケット33は、内壁34と外壁35とを備えた二重管構造の円筒体とされ、上端と下端とは上壁36及び下壁37にてそれぞれ閉鎖されている。本実施例では、図5に示すように、外壁35が下壁37より軸線方向に長くされているが、下方の延長部には、円環状の支持板38が一体に固定され、上記内筒管32を支持している。水冷ジャケット33には、図示されてはいないが、下方部に水供給口が形成され、上方部に水排出口が形成されており、通常、水とされる冷却用流体Rが流動される。冷却用流体Rは、循環させても良い。
尚、水冷ジャケット33は、図7に示すように、円周方向に連続した円筒形状とするのではなく、軸線方向に沿って延在した切れ目39を有するように形成することもできる。この場合には、この切れ目39を利用して、水冷ジャケット33の内部に設置されるヒータ31の端子を取り出すことが可能となる。
水冷ジャケット33は、金属などの熱伝導性の良い材料で作製され、本実施例では、内壁34、外壁35、上壁36、下壁37などを厚さ3mmのステンレススチール板にて作製した。内筒管32を囲包して配置された水冷ジャケット33の内壁34の内面と、内筒管32との間には、ヒータ31を配置するために8〜13mmの空隙(G2)を設ける。本実施例では、内筒管32の外径(D3)が253mmとされたので、水冷ジャケット33の内径(D4)は272mmとした。又、水冷ジャケット33の内壁34の軸線方向長さは、加熱手段30を完全に覆う大きさとした。
次に加熱手段30について更に説明する。本発明によると、加熱手段30は、上述のように、電気ヒータ31を有し、内筒管32の外周回りに螺旋状に巻回して配置される。
本発明によれば、電気ヒータ31は、図8に示すように、抵抗加熱発熱線31Aを電気絶縁チューブ31Bで被覆した形状とされる。抵抗加熱発熱線31Aは、ニクロム線、或は、白金などの貴金属非磁性金属発熱体なども好適に使用し得る。電気絶縁チューブ31Bは、繊維状とされるアルミナファイバーを編んだチューブとされるか、又は、石英或はアルミナなどで形成された管状体を複数個つないで用いることもできる。本実施例では、抵抗加熱発熱線31Aは、直径2.0〜2.6mmのニクロム線を、アルミナファイバーを編んだチューブ31Bで被覆した、外径3.5mmのものを使用した。
抵抗加熱発熱線31Aは、上述のように磁界発生手段20による磁界内に置かれるために、加熱のための電流による磁界との相互作用により、力を受けることになり、抵抗線間が接触したりすることとなる。従って、抵抗加熱発熱線31Aは、絶縁チューブ31Bで電気的絶縁を取るのが好ましい。
又、相互作用による力を少なくするために、抵抗加熱発熱線31Aの電流の流れる方向を、それにより生じる磁界がキャンセルされるように配置する、所謂、無誘導巻きとすることが好ましい。
つまり、ヒータ31は、図9に示すように、一端で接続された、即ち、U字状とされた二重線状態で内筒管32に単層巻きにて巻き付けられる。従って、軸線方向に隣接した上下の抵抗加熱発熱線31Aに流れる電流の方向が逆方向とされ、それによって、抵抗加熱発熱線31Aを流れることによって生じる磁場が互いに打ち消しあってキャンセルされる。もし、単に1本のヒータ31を巻き付けただけでは、上述のように、抵抗加熱発熱線31Aに電流を流したとき、磁界発生手段20からの磁界により、抵抗加熱発熱線31Aが力を受け、ヒータ31が移動したり、振動したりする。
更に、加熱用電流は、このような力のキャンセルを安定なものとできるので、直流電流とすることが好ましい。又、加熱手段30には、通常、温度制御のための制御手段が設けられ、ヒータ31への通電を制御する。
通常の熱処理の温度範囲は、150℃〜500℃程度であるが、磁性膜の構造の秩序化温度が高い膜の熱処理を行う場合には、特に500℃〜800℃程度とされる。又、冷却速度は、MR素子用磁性膜の熱処理の場合には、冷却速度を5℃/分以上、特には、15℃/分〜200℃/分とすることが好ましい。
ヒータ31の回りに断熱材は設けないのが好ましいが、水冷ジャケット33とヒータ31との間には、本実施例では、水冷ジャケット33をステンレススチールにて作製したために、シート状電気絶縁材としてのアルミナシート40(図6)を配置するのが良い。アルミナシート40としては、厚さ1〜3mm程度のもので良い。ヒータ31と水冷ジャケット33との間の電気絶縁材の厚さは、4mm以下とすることが好ましい。内筒管32を設けることなく、ヒータ31をアルミナシート40の内周面に巻回して配置することもできる。
上記熱処理装置1は、更に、磁界発生手段20のための電源、磁界の測定制御装置、真空容器2を真空にするための真空ポンプ制御部、装置全体の作動シーケンスを制御する機構などを備えているが、これら各要素は、当業者には周知のものを使用し得るので、詳しい説明は省略する。
尚、上記説明では磁界発生手段20は電磁石21であるとしたが、超伝導電磁石でも良い。また、加熱手段30は、真空容器2の外側に配置するものとしたが、所望に応じて、真空容器2の内部に設置しても構わない。
次に、本発明の重要な特徴ある構成について説明する。
本発明によれば、図1〜図4にて解されるように、熱処理装置1には、真空容器2に連通する空間を画成する密閉可能の処理室50が設けられる。
本実施例では、処理室50は、立方形の箱形とされ、真空容器2、加熱手段30、磁界発生手段20等を収納した下部構造体5の上方に設置される。従って、真空容器2の容器取付部2Bが下方より処理室50内へと突出しており、容器取付部2Bが処理室50に開口している。
又、本実施例によれば、処理室50内には、真空容器2の容器取付部2Bと、ホルダー支持装置3Bと、移動手段としての昇降機構10と、が配置される。
また、本実施例では、処理室50に隣接して中間室70が配置される。中間室70は、処理室50と外部との間で、処理対象を出し入れするための密閉可能な空間であって、外部と処理室50とを遮蔽し、好ましくは真空雰囲気にすることで外部の影響を受けることなく、処理室50内の雰囲気を一定に保つことができる。
処理室50と中間室70との仕切り壁、更には、中間室70と外部との間の仕切り壁には開閉自在のゲートバルブ71、72が配置されている。中間室70には、回転駆動されるインデックステーブル73が配置され、処理対象を納めたカセット74が、本実施例では、円周上4カ所に位置決め設置可能とされている。インデックステーブル73は、油圧シリンダとされるカセットエレベータ75にて、中間室70内にて上下動可能とされる。
また、処理室50内には、ハンドリング手段、即ち、ハンドリングロボット51が設置され、ゲートバルブ71を開とすることによって、カセットエレベータ75と協働して、インデックステーブル73にセットされたカセット74内の処理対象を1枚づつ取り出し、ホルダー支持装置3Bに支持されたホルダー3Aのトレー6へと移送する。斯かる作動をなすハンドリングロボット51は、当業者には周知であるので、詳しい説明は省略する。
本実施例によると、図1に示すように、処理室50内には、処理対象を真空容器2内へと挿入する装入位置(A)から、ハンドリングロボット51により処理対象を1枚づつ受け取る受容位置(B)まで、ホルダー支持装置3B及びホルダー3Aを移動させるために、或いは、受容位置(B)から装入位置(A)まで移動させるために、走行手段としての走行装置52が設けられる。
走行装置52は、種々の構造を採用し得るが、本実施例では、図2及び図4に最も良く図示するように、走行装置52は、処理室50の底壁基台部分に設置されたガイド条53と、このガイド条53に沿って直線走行するスライダ54を備えた台車55と、を有する。従って、台車55は、油圧シリンダのような駆動手段(図示せず)を駆動することにより、ガイド条53に沿って往復直線運動する。台車55には、移動手段としての昇降機構10が取り付けられる。
本実施例にて、昇降機構10は、台車55に固定設置され、上方へと延在したフレーム構造体61と、フレーム構造体61にホルダー支持装置3Bを支持するための支持手段62を有する。
支持手段62は、一端がホルダー支持装置3Bに固定され、他端がフレーム構造体61に設置されたガイドロッド63に支承部材64を介して上下方向に移動可能に取り付けられている。又、フレーム構造体61には、駆動手段にて回転駆動される親ねじ軸65が設置されており、支持手段61に固定したナット66と螺合している。従って、親ねじ軸65を駆動手段により駆動することにより、支持手段62はフレーム構造体61に対して上下動自在とされる。
上記構成により、台車55を駆動手段によりガイド条53に沿って駆動することによって、ホルダー支持装置3B及びホルダー3Aは、一体として処理対象装入位置(A)と処理対象受容位置(B)との間を移動可能とされる。また、処理対象装入位置(A)では、昇降機構10を駆動することによりホルダー支持装置3B及びホルダー3Aを真空容器内へと挿入したり、或いは、真空容器2から外方へと取り出すことができる。
また、中間室70には、上述のように、中間室70にカセットを設置するためのカセット装入ゲートバルブ72が設けられている。従って、作業者は、このカセット装入ゲートバルブ72を開とすることによって、処理対象を所定枚数収納したカセットを中間室70のインデックステーブル73に設置することができる。
次に、本実施例に係る上記構造の熱処理装置の作動態様について説明する。
先ず、昇降機構10を駆動して、装入位置(A)に配置されたホルダー支持装置3B及びホルダー3Aを真空容器2内から上方へと取り出す。その後、駆動手段を駆動することにより台車55を走行させ、ホルダー支持装置3B及びホルダー3Aを一体として処理対象受容位置(B)に停止させる。
処理室50と中間室70との仕切り壁に設けられたゲートバルブ71を開として、ハンドリングロボット51により、インデックステーブル73にセットされたカセット74内の処理対象を1枚づつ取り出し、ホルダー3Aに移送する。
ホルダー3Aへの処理対象の移送が終わると、ゲートバルブ71を閉とすると共に、台車55を駆動してホルダー支持装置3B及びホルダー3Aを処理対象装入位置(A)へと走行させ、停止させる。
次いで、昇降機構10を駆動して、ホルダー支持装置3B及びホルダー3Aを真空容器2内へと挿入する。真空容器2の開口部は、ホルダー支持装置3Bに設けられた密閉蓋4により閉鎖される。
その後、上述した従来と同様の手順にて、真空容器2内を真空引きして減圧し、真空容器2内は非酸化性ガス雰囲気とされる。次いで、ホルダーに支持された処理対象に対して熱処理が施される。
一方、本発明によれば、処理室50は、真空容器2の開口を塞いだ状態で、密閉状態とされ、所定の雰囲気に設定される。
つまり、本実施例では、処理対象が、MR膜、GMR膜などの磁性体材料であって、室温より高温の処理温度の大気雰囲気にて変質するものであるので、処理室50内は、窒素、アルゴンなどの非酸化雰囲気状態とされる。従って、処理室50内は、1Pa以下に真空引きした後、本実施例では窒素ガスを充填し、室温、1気圧(0.1MPa)の窒素ガス雰囲気とした。または、真空のままとすることもできる。処理室50内の雰囲気条件は、必要に応じて、所望のガス、及び、所望の室温、圧力等を選択することができる。
処理室50を非酸化雰囲気状態とした後、真空容器2内にバルブ10aを介して窒素ガスを入れることで真空容器2内の真空状態を開放し、昇降機構10を駆動することにより、ホルダー支持装置3B及びホルダー3Aを真空容器の開口部より上方へと引き上げる。
処理室50内は、室温で、非酸化雰囲気状態とされており、それによって、熱処理された処理対象は、変質することなく、急冷される。
本発明者らの実験の結果によれば、500℃〜800℃程度にまで加熱された処理対象が、50℃にまで冷却されるのに略25分であった。従来の3〜4時間に比較すると、冷却時間を著しく低減することができた。また、処理対象の物性が変化することもなかった。
続いて、上述したように、台車55を駆動手段にて駆動することにより走行させ、ホルダー支持装置3B及びホルダー3Aを一体として処理対象受容位置(B)へと移動させ、ホルダー3Aに支持した処理済みの処理対象をハンドリングロボット51により中間室70へと移送すると共に、中間室70内にセットされた次に処理すべきカセット74に収納された処理対象をホルダー3A内へと移送する。
この後は、上述した手順にて、次のバッチに対する処理作業が開始される。
このように、本発明によれば、1バッチの処理時間を大幅に短縮することができる。
更に、冷却時間を短縮し、1バッチの処理時間を大幅に短縮するためには、処理室50内の雰囲気ガスを処理室50内で循環させることも可能である。更には、雰囲気ガスを、ダクト(図示せず)を介して処理室50外へと導出し、冷却した後、塵の混入を避けるためにフィルターF(図2)を介して、再度処理室50内へと還流することも可能である。いずれの場合にも、雰囲気ガスを処理対象に直接吹き付けるようにすると、冷却速度を更に速めることができる。
実施例2
実施例1では、処理室50が真空容器2の上方に位置し、処理対象は、移動手段10によりホルダー支持装置3B及びホルダー3Aを介して上下方向に移動することにより、熱処理容器2と処理室50との間を移動するものとして説明したが、本実施例では、図10に示すように、処理室50が真空容器2の下方に位置し、処理対象は、実施例1の場合と同様に、移動手段10によりホルダー支持装置3B及びホルダー3Aを介して上下方向に移動することにより、熱処理容器2と処理室50との間を移動することができる。
本実施例においても、実施例1と同様の作用効果を得ることができ、更に、本実施例では、処理対象を移動させる移動手段10などが、真空容器2の下方に配置されるために、処理対象に塵が付き難いといった利点がある。特に、処理室58を無塵室とした構成については実施例4にて更に詳しく説明する。
実施例3
実施例1及び実施例2と異なり、本実施例では、図11に示すように、真空容器2を水平方向に配置し、処理室50を真空容器2の側方に位置する構成とされる。
この実施例では、処理対象は、移動手段10によりホルダー支持装置3B及びホルダー3Aを介して水平方向に移動することにより、熱処理容器2と処理室50との間を移動することとなる。
本実施例においても、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
実施例4
本実施例では、無塵室として機能する処理室50が、実施例2において説明したと同様に、真空容器2の下方に位置する構成とされ、処理対象に塵が付き難くした熱処理装置及び熱処理方法を図面に則して更に詳しく説明する。
図12〜図14に本実施例の熱処理装置1の概略全体構成を示す。
本実施例によると、熱処理装置1は、従来の熱処理装置1Aと同様に、熱処理容器としての真空容器2と、真空容器2内に処理対象を保持する保持手段3と、真空容器2の外側に配置された磁界発生手段20とを有する。保持手段3は、処理対象を保持するホルダー3Aと、このホルダー3Aを支持するホルダー支持装置3Bとを有する。本実施例の熱処理装置1は、真空容器2の開口部が下方端に形成されており、従って、ホルダー支持装置3Bが真空容器2の下方に配置されている。
更に説明すると、本実施例にて、真空容器2は、小径とされる容器本体部2Aと、容器本体部2Aの下部に一体に形成された大径の容器取付部2Bとを有する段付の円筒状容器とされる。容器本体部2Aの上端部は、本実施例では非酸化性ガスを導入するための導管がバルブ2aを介して接続されているが、実質的に閉鎖端とされ、容器取付部2Bの下端部は開放されている。
本実施例にて、容器下端部は、ホルダー支持装置3Bの蓋部材4が容器下端開口部に取付けられることにより密封される。また、真空容器2の容器本体部2Aと容器取付部2Bとの間に形成される環状肩部2Cが、下部構造体5を形成する無塵室50の容器設置部5aに載置され、真空容器2はその場に保持される。
真空容器2は、急冷却時において安定であることから、石英ガラスなどのセラミックスにて作製するのが好ましい。又、本実施例では、詳しくは後述するが、先の実施例と同様に、加熱手段30による真空中の加熱が主として輻射熱により行われるために、石英ガラスは、光学的に透明なものが良い。真空容器2の厚さは、2〜6mmとすることができ、本実施例では、3mmである。
ホルダー3Aは、例えばスパッタリングなどで形成されたFe−Ni合金膜を有する直径100〜200mm程度の基板を載置するためのトレー6が30枚程度、支持軸体7にて保持されたものであり、その支持軸体7の下端がホルダー支持装置3Bに連結支持されている。
ホルダー支持装置3Bには、ホルダー3Aに保持された処理対象を磁場方向に対してその方向を変えられるように、ホルダー3Aを回転自在に保持するのが好ましい。従って、本実施例では、ホルダー支持装置3Bに駆動モータ8を取付け、ホルダー3Aの支持軸体7を回転駆動可能に構成されている。
真空容器2は、真空容器下端部にホルダー支持装置3Bを取付けた後、真空容器下端部に連通した真空ポンプP(図14参照)により真空容器2内を真空引きすることにより所定の真空状態に維持することができる。例えば、処理対象が磁性金属薄膜などとされる場合には、金属薄膜の酸化を防ぐために、処理対象は、真空中、具体的には1Pa以下の真空状態において熱処理するのが好ましい。又、好ましくは、所定の雰囲気とされる。本実施例では、上記バルブ2aを開として、例えば、窒素ガス、アルゴンガスなどの非酸化性ガスを真空容器2内に充填し、真空容器2内を非酸化性ガス雰囲気とする。
又、図14を参照するとより良く理解されるように、ホルダー支持装置3Bは、容器下端部に配置されており、ホルダー3Aは、移動手段としての昇降機構10により、ホルダー支持装置3Bと共に容器2外へと下方に降下して移動させることができる。従って、この状態にて磁性体材料などとされる熱処理される対象物をホルダー3Aに装着したり、或はホルダー3Aから取り出すことができる。移動手段としての昇降機構10については、後で詳述する。
磁界発生手段20は、対向配置された一対の電磁石21を備えており、各電磁石21は、図15に示すように、磁心22とコイル23とを有する。本実施例によると、詳しくは後述するが、真空容器2と磁心22との間に配置される加熱手段30の厚さを薄くすることができ、そのために、対をなす電磁石21の磁心22、22間の距離を短くすることが可能となり、従って、電磁石21自体を小型化することができる。又、本実施例によれば、磁心22は加熱されないので、耐熱性の低い材料を用いることができる。そのために、本実施例では、磁界発生手段20にて発生する磁界密度は、0.05テスラ以上、特には、0.1テスラ〜5テスラ程度とし得る。本実施例での磁心22間の距離(L0)(図15参照)は、300mmである。
本実施例においても実施例1にて説明したと同様の構成とされ、図6をも参照すると理解されるように、真空容器2の容器本体2Aの外面と、電磁石21の磁心22の端面との間に、薄形の加熱手段30が設けられる。加熱手段30としては、これに限定されるものではないが、電気抵抗加熱による電気ヒータ31を有する。このような加熱手段30は、電源が高価とされる誘導加熱手段に比較すると、コスト的にも低廉であり好ましい。
更に説明すると、加熱手段30は、真空容器本体2Aの外周面を囲包して配置された電気的に絶縁性の内筒管32と、内筒管32とは所定の距離を置いて配置された流体冷却部33を構成する水冷ジャケットとを有する。内筒管32は、厚さ2〜6mmの石英ガラスチューブにて作製することができる。内筒管32と真空容器本体2Aの外周面との間には、2〜4mmの空隙(G1)を設ける。本実施例では、真空容器本体2Aの外径(D1)が240mmとされたので、内筒管32の内径(D2)は245mmとした。又、内筒管32の軸線方向長さ(L1)は450mmとした。
水冷ジャケット33は、内壁34と外壁35とを備えた二重管構造の円筒体とされ、上端と下端とは上壁36及び下壁37にてそれぞれ閉鎖されている。本実施例では、図15に示すように、外壁35が下壁37より軸線方向に長くされているが、下方の延長部には、円環状の支持板38が一体に固定され、上記内筒管32を支持している。水冷ジャケット33には、図示されてはいないが、下方部に水供給口が形成され、上方部に水排出口が形成されており、通常、水とされる冷却用流体Rが流動される。冷却用流体Rは、循環させても良い。
尚、水冷ジャケット33は、実施例1と同様の構成の水冷ジャケットを使用することができ、図7に示すように、円周方向に連続した円筒形状とするのではなく、軸線方向に沿って延在した切れ目39を有するように形成することもできる。この場合には、この切れ目39を利用して、水冷ジャケット33の内部に設置されるヒータ31の端子を取り出すことが可能となる。
水冷ジャケット33は、金属などの熱伝導性の良い材料で作製され、本実施例では、内壁34、外壁35、上壁36、下壁37などを厚さ3mmのステンレススチール板にて作製した。内筒管32を囲包して配置された水冷ジャケット33の内壁34の内面と、内筒管32との間には、ヒータ31を配置するために8〜13mmの空隙(G2)を設ける。本実施例では、内筒管32の外径(D3)が253mmとされたので、水冷ジャケット33の内径(D4)は272mmとした。又、水冷ジャケット33の内壁34の軸線方向長さは、加熱手段30を完全に覆う大きさとした。
次に加熱手段30について更に説明する。本発明によると、加熱手段30は、上述のように、電気ヒータ31を有し、内筒管32の外周回りに螺旋状に巻回して配置される。
本発明によれば、電気ヒータ31は、図8に示すように、抵抗加熱発熱線31Aを電気絶縁チューブ31Bで被覆した形状とされる。抵抗加熱発熱線31Aは、ニクロム線、或は、白金などの貴金属非磁性金属発熱体なども好適に使用し得る。電気絶縁チューブ31Bは、繊維状とされるアルミナファイバーを編んだチューブとされるか、又は、石英或はアルミナなどで形成された管状体を複数個つないで用いることもできる。本実施例では、抵抗加熱発熱線31Aは、直径2.0〜2.6mmのニクロム線を、アルミナファイバーを編んだチューブ31Bで被覆した、外径3.5mmのものを使用した。
抵抗加熱発熱線31Aは、上述のように磁界発生手段20による磁界内に置かれるために、加熱のための電流による磁界との相互作用により、力を受けることになり、抵抗線間が接触したりすることとなる。従って、抵抗加熱発熱線31Aは、絶縁チューブ31Bで電気的絶縁を取るのが好ましい。
又、相互作用による力を少なくするために、抵抗加熱発熱線31Aの電流の流れる方向を、それにより生じる磁界がキャンセルされるように配置する、所謂、無誘導巻きとすることが好ましい。
つまり、ヒータ31は、図9に示すように、一端で接続された、即ち、U字状とされた二重線状態で内筒管32に単層巻きにて巻き付けられる。従って、軸線方向に隣接した上下の抵抗加熱発熱線31Aに流れる電流の方向が逆方向とされ、それによって、抵抗加熱発熱線31Aを流れることによって生じる磁場が互いに打ち消しあってキャンセルされる。もし、単に1本のヒータ31を巻き付けただけでは、上述のように、抵抗加熱発熱線31Aに電流を流したとき、磁界発生手段20からの磁界により、抵抗加熱発熱線31Aが力を受け、ヒータ31が移動したり、振動したりする。
更に、加熱用電流は、このような力のキャンセルを安定なものとできるので、直流電流とすることが好ましい。又、加熱手段30には、通常、温度制御のための制御手段が設けられ、ヒータ31への通電を制御する。
通常の熱処理の温度範囲は、150℃〜500℃程度であるが、磁性膜の構造の秩序化温度が高い膜の熱処理を行う場合には、特に500℃〜800℃程度とされる。又、冷却速度は、MR素子用磁性膜の熱処理の場合には、冷却速度を5℃/分以上、特には、15℃/分〜200℃/分とすることが好ましい。
ヒータ31の回りに断熱材は設けないのが好ましいが、水冷ジャケット33とヒータ31との間には、本実施例では、水冷ジャケット33をステンレススチールにて作製したために、シート状電気絶縁材としてのアルミナシート40(図6)を配置するのが良い。アルミナシート40としては、厚さ1〜3mm程度のもので良い。ヒータ31と水冷ジャケット33との間の電気絶縁材の厚さは、4mm以下とすることが好ましい。内筒管2を設けることなく、ヒータ31をアルミナシート40の内周面に巻回して配置することもできる。
上記熱処理装置1は、更に、磁界発生手段20のための電源、磁界の測定制御装置、真空容器2を真空にするための真空ポンプ制御部、装置全体の作動シーケンスを制御する機構などを備えているが、これら各要素は、当業者には周知のものを使用し得るので、詳しい説明は省略する。
尚、上記説明では磁界発生手段20は電磁石21であるとしたが、超伝導電磁石でも良い。また、加熱手段30は、真空容器2の外側に配置するものとしたが、所望に応じて、真空容器2の内部に設置しても構わない。
次に、本発明の重要な特徴ある構成について説明する。
本発明によれば、熱処理装置1には、処理室としても機能する、真空容器2の下方開口部に連通する無塵空間を画成する密閉可能の無塵室50が設けられる。本実施例では、真空容器2を囲包して配置された電磁石21等は、重量が大であり、無塵室50上に設置するのではなく、無塵室50を囲包して設置された基台構造体5に取り付けられる。
本実施例では、無塵室50は、立方形の箱形とされ、真空容器2、加熱手段30、磁界発生手段20等の下方に設置される。従って、真空容器2の容器取付部2Bが無塵室50内へと下側に突出しており、容器取付部2Bの開口部が無塵室50に開口している。
又、本実施例によれば、無塵室50内には、真空容器2の容器取付部2Bと、ホルダー支持装置3Bと、移動手段としての昇降機構10と、が配置される。
また、本実施例では、無塵室50に隣接して中間室70が配置される。中間室70は、無塵室50と外部との間で、処理対象を出し入れするための密閉可能な空間であって、外部と無塵室50とを遮蔽し、好ましくは真空雰囲気にすることで外部の影響を受けることなく、無塵室50内の雰囲気を一定に保つことができる。
無塵室50と中間室70との仕切り壁、更には、中間室70と外部との間の仕切り壁には開閉自在のゲートバルブ71、72が配置されている。中間室70には、回転駆動されるインデックステーブル73が配置され、処理対象を納めたカセット74が、本実施例では、円周上4カ所に位置決め設置可能とされている。インデックステーブル73は、油圧シリンダとされるカセットエレベータ75にて、中間室70内にて上下動可能とされる。
また、無塵室50内には、ハンドリング手段、即ち、ハンドリングロボット51が設置され、ゲートバルブ71を開とすることによって、カセットエレベータ75と協働して、インデックステーブル73にセットされたカセット74内の処理対象を1枚づつ取り出し、ホルダー支持装置3Bに支持されたホルダー3Aのトレー6へと移送する。斯かる作動をなすハンドリングロボット51は、当業者には周知であるので、詳しい説明は省略する。
本実施例にて、昇降機構10は、図12〜図14を参照するとより良く理解されるように、無塵室50の底壁に固定設置され、上方へと延在したフレーム構造体61と、フレーム構造体61にホルダー支持装置3Bを支持するための支持手段62を有する。
支持手段62は、一端がホルダー支持装置3Bに固定され、他端がフレーム構造体61に設置されたガイドロッド63に支承部材64を介して上下方向に移動可能に取り付けられている。又、フレーム構造体61には、駆動手段にて回転駆動される親ねじ軸65が設置されており、支持手段62に固定したナット66と螺合している。従って、親ねじ軸65を駆動手段により駆動することにより、支持手段62はフレーム構造体61に対して上下動自在とされる。
上記構成により、昇降機構10を駆動することによりホルダー支持装置3B及びホルダー3Aを真空容器2内へと挿入したり、或いは、真空容器2から外方へと取り出すことができる。
また、中間室70には、上述のように、中間室70にカセットを設置するためのカセット装入ゲートバルブ72が設けられている。従って、作業者は、このカセット装入ゲートバルブ72を開とすることによって、処理対象を所定枚数収納したカセットを中間室70のインデックステーブル73に設置することができる。
次に、本実施例に係る上記構造の熱処理装置の作動態様について説明する。
先ず、昇降機構10を駆動して、ホルダー支持装置3B及びホルダー3Aを真空容器2内から下方へと降下させ、真空容器2外へと露出させる。
無塵室50と中間室70との仕切り壁に設けられたゲートバルブ71を開として、ハンドリングロボット51により、インデックステーブル73にセットされたカセット74内の処理対象を1枚づつ取り出し、ホルダー3Aに移送する。
ホルダー3Aへの処理対象の移送が終わると、ゲートバルブ71を閉とする。
次いで、昇降機構10を駆動して、ホルダー支持装置3B及びホルダー3Aを下方より上方の真空容器2内へと挿入する。真空容器2の開口部は、ホルダー支持装置3Bに設けられた密閉蓋4により閉鎖される。
その後、上述した従来と同様の手順にて、真空容器2内を真空引きして減圧し、真空容器2内は非酸化性ガス雰囲気とされる。次いで、ホルダー3Aに支持された処理対象に対して熱処理が施される。
一方、本実施例によれば、無塵室50は、先の実施例で説明した処理室としても機能し、真空容器2の開口を塞いだ状態で、密閉状態とされ、真空とされる。必要に応じて、所定の雰囲気に設定される。
つまり、本実施例では、処理対象が、MR膜、GMR膜などの磁性体材料であって、室温より高温の処理温度の大気雰囲気にて変質するものであるので、無塵室50内は、窒素、アルゴンなどの非酸化雰囲気状態とされる。従って、無塵室50内は、1Pa以下に真空引きした後、本実施例では窒素ガスを充填し、室温、1気圧(0.1MPa)の窒素ガス雰囲気とした。または、真空のままとすることもできる。無塵室50内の雰囲気条件は、必要に応じて、所望のガス、及び、所望の室温、圧力等を選択することができる。
無塵室50を非酸化雰囲気状態とした後、真空容器2内にバルブ10aを介して窒素ガスを入れることで真空容器2内の真空状態を開放し、昇降機構10を駆動することにより、ホルダー支持装置3B及びホルダー3Aを真空容器の下端開口部より下方へと降下させる。
無塵室50内は、室温で、非酸化雰囲気状態とされており、それによって、熱処理された処理対象は、変質することなく、急冷することができる。
続いて、ホルダー3Aに支持した処理済みの処理対象をハンドリングロボット51により中間室70へと移送すると共に、中間室70内にセットされた次に処理すべきカセットに収納された処理対象をホルダー3A内へと移送する。
この後は、上述した手順にて、次のバッチに対する処理作業が開始される。
このように、本実施例によれば、真空容器2のような熱処理容器の下側に無塵室50を設け、更には、処理対象を移動させる移動手段10の少なくとも可動部分を真空容器2の下方に、更に好ましくは、処理対象よりも下方に位置するようにして配置されているので、塵の発生源である移動手段10の可動部分などを処理対象よりも下側に配置することができ、従来装置に比較すると、処理対象への塵の付着を大幅に減少することができる。
また、塵の発生源である移動手段10の可動部分などを真空容器2、更には、処理対象よりも下側に配置する構成とされるので、移動手段10等は、その配置の自由度が高まり、熱処理装置1の任意の位置に設定することができ、小型化を図ることが可能となる。従って、熱処理装置全体の設置面積を少なくすることができ、装置配置の自由度もまた向上する。
更に、冷却時間を短縮し、1バッチの処理時間を大幅に短縮するためには、無塵室50内の雰囲気ガスを無塵室50内で循環させることも可能である。更には、雰囲気ガスを、ダクトを介して無塵室50外へと導出し、冷却した後、塵の混入を避けるためにフィルターを介して、再度無塵室50内へと還流することも可能である。いずれの場合にも、雰囲気ガスを処理対象に直接吹き付けるようにすると、冷却速度を更に速めることができる。
上記実施例によれば、真空容器2を囲包して配置された電磁石21、加熱手段30、水冷ジャケット33等は、無塵室50を囲包して設置された基台構造体5に取り付けられた構造とされるので、少なくとも電磁石21、好ましくは、加熱手段30及び流体冷却部33等を分割可能の構造とすることによって、図15に一点鎖線にて示すように、熱処理工程後に、これら電磁石21、加熱手段30、水冷ジャケット33等を分割移動して、熱処理容器2より離隔することにより熱処理容器2をも空冷することが極めて容易に達成できる。熱処理容器冷却後には、上記装置21、30、33等を熱処理容器2に対する所定位置へと復帰移動する。
産業上の利用可能性
以上説明したように、本発明の一態様によれば、熱処理装置が、熱処理容器に隣接して配置され、内部空間を所定の雰囲気に設定できる処理室と、処理対象を熱処理容器と処理室との間にて移動させる移動手段と、を有し、熱処理済みの処理対象を所定の雰囲気に設定されている処理室へ移動して、急冷することができるので、1バッチの処理時間を短くし、処理対象の処理量を増大することができる。
本発明の他の態様によれば、熱処理装置が、熱処理容器の下方に配置され、熱処理容器の下端に形成した開口部が開口する無塵室と、無塵室に配置され、処理対象を保持する保持手段に作用して処理対象を熱処理容器と無塵室との間にて移動させる移動手段と、を有し、処理対象を熱処理容器へと下方より装入して、磁場中で熱処理を行い、又、熱処理済みの処理対象を無塵室へと下方に移動して熱処理容器から取り出すことができるので、
(1)処理対象に塵が付き難い。
(2)装置設置面積を少なくすることができ、装置配置の自由度を向上することができる。
といった効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明に係る熱処理装置の一実施例の概略構成断面正面図である。
図2は、本発明に係る熱処理装置の一実施例の概略構成断面平面図である。
図3は、本発明に係る熱処理装置の一実施例の概略構成断面側面図である。
図4は、図1の線4−4に取った概略成断面側面図である。
図5は、真空容器、加熱手段及び電磁石の配置関係を示す一部断面図である。
図6は、加熱手段の一部拡大断面図である。
図7は、水冷ジャケットの一実施例の全体図を示す斜視図である。
図8は、電気ヒータの断面図である。
図9は、電気ヒータの設置方法を説明する斜視図である。
図10は、本発明に係る熱処理装置の他の実施例の概略構成図である。
図11は、本発明に係る熱処理装置の他の実施例の概略構成図である。
図12は、本発明に係る熱処理装置の他の実施例の概略構成断面正面図である。
図13は、本発明に係る熱処理装置の他の実施例の概略構成断面平面図である。
図14は、本発明に係る熱処理装置の他の実施例の概略構成断面側面図である。
図15は、真空容器、加熱手段及び電磁石の配置関係を示す一部断面図である。
図16は、従来の熱処理装置の概略構成断面図である。
本発明は、磁場中で熱処理を行う熱処理装置及び熱処理方法に関し、微細にパターニングされた材料、磁性体などに対して、特にMR膜、GMR膜、TMR膜などの磁性体材料に対して強磁場内で熱処理を行う熱処装置及び熱処理方法に関するものである。
背景技術
磁性体膜、例えば、磁気ヘッドや不揮発性メモリの一つであるMRAM(Magnetic Random Access Memory)などに用いられる磁性体材料である、スパッタリング法などで基板上に形成されたFe−Ni、Pt−Mn、或いは、Co−Fe合金などの薄膜は、強磁場中で熱処理を行うことでその磁気特性を発現することができる。
そこで、従来、電磁石又は永久磁石で形成された磁場中に電気炉、誘導加熱炉などを設置し、その中で熱処理を行う熱処理装置が提案されている。従来の熱処理装置の一例の概略構成を図16に示す。
図16に示すように、熱処理装置1Aは、熱処理容器である円筒形状とされる真空容器2と、真空容器2内に処理対象を保持する保持手段3と、真空容器2の外側に配置された磁界発生手段20とを有する。保持手段3は、処理対象を保持するホルダー3Aと、このホルダー3Aを支持し且つ真空容器2の上部開口を開閉するための蓋部材4を備えたホルダー支持装置3Bとを有する。
真空容器2の上部にホルダー支持装置3Bが配置されており、磁性体材料などの熱処理される対象物(以下「処理対象」という。)を保持したホルダー3Aがこの支持装置3Bにより内部へと装入される。
磁界発生手段20は、真空容器2の外側で対向配置された一対の電磁石21を備え、電磁石24は磁心22とコイル23とを有する。
真空容器2の外面と、電磁石21の磁心22の端面との間に、加熱手段100が設けられている。通常、加熱手段100は、真空容器2の外面から所定の距離離間して、且つ、真空容器2の外周面を囲包して電気ヒータ101を配置することにより構成されている。電気ヒータ101は、例えば、図16に示すように、真空容器2を囲包して配置された煉瓦或はセラミック製とされるヒータ支持体102の、真空容器外周面に対面した内周面に、例えば螺旋状の溝103を設け、この溝103にニクロム線104などの発熱線を設置することにより構成されている。又、ヒータ支持体102の外周面には、アルミナフェルト、煉瓦などとされる断熱材105が配置され、加熱手段100の温度が電磁石21へと伝達しないようにされる。
熱処理された処理対象は、真空容器2から取り出され、次いで、ホルダー3Aには、新たに処理対象を保持して、支持装置3Bにより真空容器2内へと装入、保持して、上記熱処理が行われる。以後同様の手順にて、処理対象の熱処理がバッチ処理により継続して行われる。
従来、処理対象は、熱処理装置1Aにて、通常、150℃〜500℃にて熱処理されるが、場合によっては、500℃〜800℃程度での高温熱処理が行われることもあり、このような熱処理後の処理対象を高温度の状態にて真空容器2内から大気雰囲気へと取り出した場合には、酸化するなどにより変質することがある。
従って、従来、熱処理後の処理対象は、その温度が室温程度に下がるまで、真空容器2内に納めて置く必要があった。そのために、1バッチの処理時間が必然的に長いものとなった。水冷ジャケットを設けて冷却することも行われているが、熱処理後の処理対象の温度を室温程度にまで下げるには、一般には3〜4時間といった長時間を要した。
更に、従来の熱処理装置1Aでは、図16に示すように、熱処理された処理対象は、真空容器2から上方へと取り出され、次いで、ホルダー3Aには、新たに処理対象を保持して、支持装置3Bにより真空容器2内へと上方から装入して、上記熱処理が行われる。以後同様の手順にて、処理対象の熱処理がバッチ処理により継続して行われる。
このように、従来の熱処理装置1Aでは、処理対象とされる磁性体材料などは、重量が大であり、そのために、真空容器2の上端部を開口部とし、この開口部を介して処理対象の真空容器2内に対する出し入れを行う構成とされている。
本発明者らの研究実験の結果によると、上記構成の熱処理装置1Aは無塵環境下に熱処理を行う構成とされているにも拘わらず、処理対象に塵が付着することが観察された。
この問題を解決するべく、更に検討を行ったところ、従来の熱処理装置1Aは、支持装置3B、更には、図16には示していないが、この支持装置3Bを上下動するための駆動モータを備えた昇降機構等の移動手段が、ホルダー3Aに保持された処理対象及び真空容器2の上方に配置されているために、運転に際して、支持装置3B及び移動手段などから発生した塵が直接処理対象に付着したり、更には、真空容器2内へと侵入し、熱処理時に処理対象に付着することが分かった。
このように、ホルダー支持装置3B及び移動手段からの塵の発生を防止するには、装置全体の無塵化を大幅に増大することが必要となり、そのために装置構造が複雑、大型化する。その結果、装置の設置面積が大となり、装置配置の自由度が少なくなる。
そこで、本発明の主たる目的は、1バッチの処理時間を短くし、処理対象の処理量を増大することのできる熱処理装置及び熱処理方法を提供することである。
本発明の他の目的は、処理対象に塵が付き難い熱処理装置及び熱処理方法を提供することである。
本発明の更に他の目的は、装置設置面積を少なくすることができ、装置配置の自由度を向上することのできる熱処理装置及び熱処理方法を提供することである。
発明の開示
上記目的は本発明に係る熱処理装置及び熱処理方法にて達成される。要約すれば、第1の本発明によれば、処理対象を保持する保持手段と、保持手段に保持された処理対象を収納する熱処理容器と、処理対象を加熱する加熱手段と、処理対象に磁場を印加する磁界発生手段と、を有する熱処理装置において、
前記熱処理容器に隣接して配置され、内部空間を所定の雰囲気に設定できる処理室と、
前記保持手段に作用して、処理対象を前記熱処理容器と前記処理室との間にて移動させる移動手段と、
を有することを特徴とする熱処理装置が提供される。本発明の一実施態様によれば、前記加熱手段及び前記磁界発生手段は、前記熱処理容器を囲包して配置される。
第2の本発明によれば、上記熱処理装置を使用して処理対象を磁場中にて熱処理する方法において、
(a)処理対象を前記熱処理容器に収納する工程、
(b)前記熱処理容器内を所定の雰囲気として、磁場中で熱処理を行う工程、
(c)熱処理済みの処理対象を所定の雰囲気に設定されている前記処理室へ移動する工程、
を有することを特徴とする熱処理方法が提供される。
上記第1及び第2の本発明の一実施態様によれば、前記処理対象は、熱処理温度の大気雰囲気で変質するものであり、前記処理室は、非酸化雰囲気に設定する。
上記第1及び第2の本発明の他の実施態様によれば、前記処理室の非酸化雰囲気は、窒素ガス又はアルゴンガス雰囲気とされる。また、前記処理室の雰囲気を真空としてもよい。
上記第1及び第2の本発明の他の実施態様によれば、前記処理室は、所定温度に設定する。このとき、前記処理室の所定温度は、室温とし得る。
上記第1及び第2の本発明の他の実施態様によれば、前記処理室は、前記熱処理容器の上方に、下方に、又は、側方に配置することができる。
第3の本発明によれば、処理対象を保持する保持手段と、保持手段に保持された処理対象を収納する熱処理容器と、処理対象を加熱する加熱手段と、処理対象に磁場を印加する磁界発生手段と、を有する熱処理装置において、
前記熱処理容器の下方に配置され、前記熱処理容器の下端に形成した開口部が開口する無塵室と、
前記無塵室に配置され、前記保持手段に作用して処理対象を前記熱処理容器と前記無塵室との間にて移動させる移動手段と、
を有することを特徴とする熱処理装置が提供される。
上記第3の本発明の一実施態様によると、前記熱処理容器は開口部を閉鎖することによって真空とされる真空容器であって、前記移動手段は、前記真空容器の開口部より下方に位置して配置される。
第3の本発明の他の実施態様によると、前記移動手段は、その可動部分が前記無塵室に配置された処理対象より下方に位置している。
第3の本発明の他の実施態様によると、前記加熱手段及び前記磁界発生手段は、前記熱処理容器を囲包して配置される。
第3の本発明の他の実施態様によると、少なくとも前記磁界発生手段は、前記熱処理容器に対して離接可能とされる。
第4の本発明によれば、上記構成の熱処理装置を使用して処理対象を磁場中にて熱処理する方法において、
(a)処理対象を前記保持手段に収納する工程、
(b)処理対象を前記熱処理容器へと下方より装入して、磁場中で熱処理を行う工程、
(c)熱処理済みの処理対象を前記無塵室へと下方に移動して前記熱処理容器から取り出す工程、
を有することを特徴とする熱処理方法が提供される。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明に係る熱処理装置及び熱処理方法を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
図1〜図4に本発明に係る熱処理装置1の一実施例の概略全体構成を示す。
本実施例によると、熱処理装置1は、従来の熱処理装置1Aと同様に、熱処理容器としての真空容器2と、真空容器2内に処理対象を保持する保持手段3と、真空容器2の外側に配置された磁界発生手段20とを有する。保持手段3は、処理対象を保持するホルダー3Aと、このホルダー3Aを支持するホルダー支持装置3Bとを有する。
図5をも併せて参照するとより良く理解されるように、本実施例にて、真空容器2は、小径とされる容器本体部2Aと、容器本体部2Aの上部に一体に形成された大径の容器取付部2Bとを有する段付の円筒状容器とされる。容器本体部2Aの下端部は、本実施例では非酸化性ガスを導入するための導管がバルブ2aを介して接続されているが、実質的には閉鎖端とされ、容器取付部2Bの上端部は開放されている。
本実施例にて、容器上端部は、ホルダー支持装置3Bの蓋部材4が容器上端開口部に取付けられることにより密封される。真空容器2の容器本体部2Aと容器取付部2Bとの間に形成される環状肩部2Cが下部構造体5の容器設置部5aに載置され、真空容器2はその場に保持される。
真空容器2は、急冷却時において安定であることから、石英ガラスなどのセラミックスにて作製するのが好ましい。又、本実施例では、詳しくは後述するが、加熱手段30による真空中の加熱が主として輻射熱により行われるために、石英ガラスは、光学的に透明なものが良い。真空容器2の厚さは、2〜6mmとすることができ、本実施例では、3mmである。
ホルダー3Aは、例えばスパッタリングなどで形成されたFe−Ni合金膜を有する直径100〜200mm程度の基板を載置するためのトレー6が30枚程度、支持軸7にて保持されたものであり、その支持軸7の上端がホルダー支持装置3Bに懸垂支持されている。
ホルダー支持装置3Bには、ホルダー3Aに保持された処理対象を磁場方向に対してその方向を変えられるように、ホルダー3Aを回転自在に保持するのが好ましい。従って、本実施例では、ホルダー支持装置3Bに駆動モータ8を取付け、ホルダー3Aの支持軸7を回転駆動可能に構成されている。
真空容器2は、真空容器上端部にホルダー支持装置3Bを取付けた後、真空容器上端部に連通した真空ポンプ(図示せず)により真空容器2内を真空引きすることにより所定の真空状態に維持することができる。例えば、処理対象が磁性金属薄膜などとされる場合には、金属薄膜の酸化を防ぐために、処理対象は、真空中、具体的には1Pa以下の真空状態において熱処理するのが好ましい。又、好ましくは、窒素ガス、アルゴンガスなどの非酸化性ガスを真空容器2内に充填し、真空容器2内を非酸化性ガス雰囲気とする。
又、ホルダー支持装置3Bは容器上端部に配置されており、ホルダー3Aは、移動手段としての昇降機構10(図4参照)により、ホルダー支持装置3Bと共に容器2外へと上方に吊り上げることができる。従って、この状態にて磁性体材料などとされる熱処理される対象物をホルダー3Aに装着したり、或はホルダー3Aから取り出すことができる。移動手段としての昇降機構10については、後で詳述する。
磁界発生手段20は、対向配置された一対の電磁石21を備えており、各電磁石21は、図5に示すように、磁心22とコイル23とを有する。本実施例によると、詳しくは後述するが、真空容器2と磁心22との間に配置される加熱手段30の厚さを薄くすることができ、そのために、対をなす電磁石21の磁心22、22間の距離を短くすることが可能となり、従って、電磁石21自体を小型化することができる。又、本実施例によれば、磁心22は加熱されないので、耐熱性の低い材料を用いることができる。そのために、本実施例では、磁界発生手段20にて発生する磁界密度は、0.05テスラ以上、特には、0.1テスラ〜5テスラ程度とし得る。本実施例での磁心22間の距離(L0)(図5参照)は、300mmである。
図6をも参照すると理解されるように、真空容器2の容器本体2Aの外面と、電磁石21の磁心22の端面との間に、薄形の加熱手段30が設けられる。加熱手段30としては、これに限定されるものではないが、電気抵抗加熱による電気ヒータ31を有する。このような加熱手段30は、電源が高価とされる誘導加熱手段に比較すると、コスト的にも低廉であり好ましい。
更に説明すると、加熱手段30は、真空容器本体2Aの外周面を囲包して配置された電気的に絶縁性の内筒管32と、内筒管32とは所定の距離を置いて配置された流体冷却部33を構成する水冷ジャケットとを有する。内筒管32は、厚さ2〜6mmの石英ガラスチューブにて作製することができる。内筒管32と真空容器本体2Aの外周面との間には、2〜4mmの空隙(G1)を設ける。本実施例では、真空容器本体2Aの外径(D1)が240mmとされたので、内筒管32の内径(D2)は245mmとした。又、内筒管32の軸線方向長さ(L1)は450mmとした。
水冷ジャケット33は、内壁34と外壁35とを備えた二重管構造の円筒体とされ、上端と下端とは上壁36及び下壁37にてそれぞれ閉鎖されている。本実施例では、図5に示すように、外壁35が下壁37より軸線方向に長くされているが、下方の延長部には、円環状の支持板38が一体に固定され、上記内筒管32を支持している。水冷ジャケット33には、図示されてはいないが、下方部に水供給口が形成され、上方部に水排出口が形成されており、通常、水とされる冷却用流体Rが流動される。冷却用流体Rは、循環させても良い。
尚、水冷ジャケット33は、図7に示すように、円周方向に連続した円筒形状とするのではなく、軸線方向に沿って延在した切れ目39を有するように形成することもできる。この場合には、この切れ目39を利用して、水冷ジャケット33の内部に設置されるヒータ31の端子を取り出すことが可能となる。
水冷ジャケット33は、金属などの熱伝導性の良い材料で作製され、本実施例では、内壁34、外壁35、上壁36、下壁37などを厚さ3mmのステンレススチール板にて作製した。内筒管32を囲包して配置された水冷ジャケット33の内壁34の内面と、内筒管32との間には、ヒータ31を配置するために8〜13mmの空隙(G2)を設ける。本実施例では、内筒管32の外径(D3)が253mmとされたので、水冷ジャケット33の内径(D4)は272mmとした。又、水冷ジャケット33の内壁34の軸線方向長さは、加熱手段30を完全に覆う大きさとした。
次に加熱手段30について更に説明する。本発明によると、加熱手段30は、上述のように、電気ヒータ31を有し、内筒管32の外周回りに螺旋状に巻回して配置される。
本発明によれば、電気ヒータ31は、図8に示すように、抵抗加熱発熱線31Aを電気絶縁チューブ31Bで被覆した形状とされる。抵抗加熱発熱線31Aは、ニクロム線、或は、白金などの貴金属非磁性金属発熱体なども好適に使用し得る。電気絶縁チューブ31Bは、繊維状とされるアルミナファイバーを編んだチューブとされるか、又は、石英或はアルミナなどで形成された管状体を複数個つないで用いることもできる。本実施例では、抵抗加熱発熱線31Aは、直径2.0〜2.6mmのニクロム線を、アルミナファイバーを編んだチューブ31Bで被覆した、外径3.5mmのものを使用した。
抵抗加熱発熱線31Aは、上述のように磁界発生手段20による磁界内に置かれるために、加熱のための電流による磁界との相互作用により、力を受けることになり、抵抗線間が接触したりすることとなる。従って、抵抗加熱発熱線31Aは、絶縁チューブ31Bで電気的絶縁を取るのが好ましい。
又、相互作用による力を少なくするために、抵抗加熱発熱線31Aの電流の流れる方向を、それにより生じる磁界がキャンセルされるように配置する、所謂、無誘導巻きとすることが好ましい。
つまり、ヒータ31は、図9に示すように、一端で接続された、即ち、U字状とされた二重線状態で内筒管32に単層巻きにて巻き付けられる。従って、軸線方向に隣接した上下の抵抗加熱発熱線31Aに流れる電流の方向が逆方向とされ、それによって、抵抗加熱発熱線31Aを流れることによって生じる磁場が互いに打ち消しあってキャンセルされる。もし、単に1本のヒータ31を巻き付けただけでは、上述のように、抵抗加熱発熱線31Aに電流を流したとき、磁界発生手段20からの磁界により、抵抗加熱発熱線31Aが力を受け、ヒータ31が移動したり、振動したりする。
更に、加熱用電流は、このような力のキャンセルを安定なものとできるので、直流電流とすることが好ましい。又、加熱手段30には、通常、温度制御のための制御手段が設けられ、ヒータ31への通電を制御する。
通常の熱処理の温度範囲は、150℃〜500℃程度であるが、磁性膜の構造の秩序化温度が高い膜の熱処理を行う場合には、特に500℃〜800℃程度とされる。又、冷却速度は、MR素子用磁性膜の熱処理の場合には、冷却速度を5℃/分以上、特には、15℃/分〜200℃/分とすることが好ましい。
ヒータ31の回りに断熱材は設けないのが好ましいが、水冷ジャケット33とヒータ31との間には、本実施例では、水冷ジャケット33をステンレススチールにて作製したために、シート状電気絶縁材としてのアルミナシート40(図6)を配置するのが良い。アルミナシート40としては、厚さ1〜3mm程度のもので良い。ヒータ31と水冷ジャケット33との間の電気絶縁材の厚さは、4mm以下とすることが好ましい。内筒管32を設けることなく、ヒータ31をアルミナシート40の内周面に巻回して配置することもできる。
上記熱処理装置1は、更に、磁界発生手段20のための電源、磁界の測定制御装置、真空容器2を真空にするための真空ポンプ制御部、装置全体の作動シーケンスを制御する機構などを備えているが、これら各要素は、当業者には周知のものを使用し得るので、詳しい説明は省略する。
尚、上記説明では磁界発生手段20は電磁石21であるとしたが、超伝導電磁石でも良い。また、加熱手段30は、真空容器2の外側に配置するものとしたが、所望に応じて、真空容器2の内部に設置しても構わない。
次に、本発明の重要な特徴ある構成について説明する。
本発明によれば、図1〜図4にて解されるように、熱処理装置1には、真空容器2に連通する空間を画成する密閉可能の処理室50が設けられる。
本実施例では、処理室50は、立方形の箱形とされ、真空容器2、加熱手段30、磁界発生手段20等を収納した下部構造体5の上方に設置される。従って、真空容器2の容器取付部2Bが下方より処理室50内へと突出しており、容器取付部2Bが処理室50に開口している。
又、本実施例によれば、処理室50内には、真空容器2の容器取付部2Bと、ホルダー支持装置3Bと、移動手段としての昇降機構10と、が配置される。
また、本実施例では、処理室50に隣接して中間室70が配置される。中間室70は、処理室50と外部との間で、処理対象を出し入れするための密閉可能な空間であって、外部と処理室50とを遮蔽し、好ましくは真空雰囲気にすることで外部の影響を受けることなく、処理室50内の雰囲気を一定に保つことができる。
処理室50と中間室70との仕切り壁、更には、中間室70と外部との間の仕切り壁には開閉自在のゲートバルブ71、72が配置されている。中間室70には、回転駆動されるインデックステーブル73が配置され、処理対象を納めたカセット74が、本実施例では、円周上4カ所に位置決め設置可能とされている。インデックステーブル73は、油圧シリンダとされるカセットエレベータ75にて、中間室70内にて上下動可能とされる。
また、処理室50内には、ハンドリング手段、即ち、ハンドリングロボット51が設置され、ゲートバルブ71を開とすることによって、カセットエレベータ75と協働して、インデックステーブル73にセットされたカセット74内の処理対象を1枚づつ取り出し、ホルダー支持装置3Bに支持されたホルダー3Aのトレー6へと移送する。斯かる作動をなすハンドリングロボット51は、当業者には周知であるので、詳しい説明は省略する。
本実施例によると、図1に示すように、処理室50内には、処理対象を真空容器2内へと挿入する装入位置(A)から、ハンドリングロボット51により処理対象を1枚づつ受け取る受容位置(B)まで、ホルダー支持装置3B及びホルダー3Aを移動させるために、或いは、受容位置(B)から装入位置(A)まで移動させるために、走行手段としての走行装置52が設けられる。
走行装置52は、種々の構造を採用し得るが、本実施例では、図2及び図4に最も良く図示するように、走行装置52は、処理室50の底壁基台部分に設置されたガイド条53と、このガイド条53に沿って直線走行するスライダ54を備えた台車55と、を有する。従って、台車55は、油圧シリンダのような駆動手段(図示せず)を駆動することにより、ガイド条53に沿って往復直線運動する。台車55には、移動手段としての昇降機構10が取り付けられる。
本実施例にて、昇降機構10は、台車55に固定設置され、上方へと延在したフレーム構造体61と、フレーム構造体61にホルダー支持装置3Bを支持するための支持手段62を有する。
支持手段62は、一端がホルダー支持装置3Bに固定され、他端がフレーム構造体61に設置されたガイドロッド63に支承部材64を介して上下方向に移動可能に取り付けられている。又、フレーム構造体61には、駆動手段にて回転駆動される親ねじ軸65が設置されており、支持手段61に固定したナット66と螺合している。従って、親ねじ軸65を駆動手段により駆動することにより、支持手段62はフレーム構造体61に対して上下動自在とされる。
上記構成により、台車55を駆動手段によりガイド条53に沿って駆動することによって、ホルダー支持装置3B及びホルダー3Aは、一体として処理対象装入位置(A)と処理対象受容位置(B)との間を移動可能とされる。また、処理対象装入位置(A)では、昇降機構10を駆動することによりホルダー支持装置3B及びホルダー3Aを真空容器内へと挿入したり、或いは、真空容器2から外方へと取り出すことができる。
また、中間室70には、上述のように、中間室70にカセットを設置するためのカセット装入ゲートバルブ72が設けられている。従って、作業者は、このカセット装入ゲートバルブ72を開とすることによって、処理対象を所定枚数収納したカセットを中間室70のインデックステーブル73に設置することができる。
次に、本実施例に係る上記構造の熱処理装置の作動態様について説明する。
先ず、昇降機構10を駆動して、装入位置(A)に配置されたホルダー支持装置3B及びホルダー3Aを真空容器2内から上方へと取り出す。その後、駆動手段を駆動することにより台車55を走行させ、ホルダー支持装置3B及びホルダー3Aを一体として処理対象受容位置(B)に停止させる。
処理室50と中間室70との仕切り壁に設けられたゲートバルブ71を開として、ハンドリングロボット51により、インデックステーブル73にセットされたカセット74内の処理対象を1枚づつ取り出し、ホルダー3Aに移送する。
ホルダー3Aへの処理対象の移送が終わると、ゲートバルブ71を閉とすると共に、台車55を駆動してホルダー支持装置3B及びホルダー3Aを処理対象装入位置(A)へと走行させ、停止させる。
次いで、昇降機構10を駆動して、ホルダー支持装置3B及びホルダー3Aを真空容器2内へと挿入する。真空容器2の開口部は、ホルダー支持装置3Bに設けられた密閉蓋4により閉鎖される。
その後、上述した従来と同様の手順にて、真空容器2内を真空引きして減圧し、真空容器2内は非酸化性ガス雰囲気とされる。次いで、ホルダーに支持された処理対象に対して熱処理が施される。
一方、本発明によれば、処理室50は、真空容器2の開口を塞いだ状態で、密閉状態とされ、所定の雰囲気に設定される。
つまり、本実施例では、処理対象が、MR膜、GMR膜などの磁性体材料であって、室温より高温の処理温度の大気雰囲気にて変質するものであるので、処理室50内は、窒素、アルゴンなどの非酸化雰囲気状態とされる。従って、処理室50内は、1Pa以下に真空引きした後、本実施例では窒素ガスを充填し、室温、1気圧(0.1MPa)の窒素ガス雰囲気とした。または、真空のままとすることもできる。処理室50内の雰囲気条件は、必要に応じて、所望のガス、及び、所望の室温、圧力等を選択することができる。
処理室50を非酸化雰囲気状態とした後、真空容器2内にバルブ10aを介して窒素ガスを入れることで真空容器2内の真空状態を開放し、昇降機構10を駆動することにより、ホルダー支持装置3B及びホルダー3Aを真空容器の開口部より上方へと引き上げる。
処理室50内は、室温で、非酸化雰囲気状態とされており、それによって、熱処理された処理対象は、変質することなく、急冷される。
本発明者らの実験の結果によれば、500℃〜800℃程度にまで加熱された処理対象が、50℃にまで冷却されるのに略25分であった。従来の3〜4時間に比較すると、冷却時間を著しく低減することができた。また、処理対象の物性が変化することもなかった。
続いて、上述したように、台車55を駆動手段にて駆動することにより走行させ、ホルダー支持装置3B及びホルダー3Aを一体として処理対象受容位置(B)へと移動させ、ホルダー3Aに支持した処理済みの処理対象をハンドリングロボット51により中間室70へと移送すると共に、中間室70内にセットされた次に処理すべきカセット74に収納された処理対象をホルダー3A内へと移送する。
この後は、上述した手順にて、次のバッチに対する処理作業が開始される。
このように、本発明によれば、1バッチの処理時間を大幅に短縮することができる。
更に、冷却時間を短縮し、1バッチの処理時間を大幅に短縮するためには、処理室50内の雰囲気ガスを処理室50内で循環させることも可能である。更には、雰囲気ガスを、ダクト(図示せず)を介して処理室50外へと導出し、冷却した後、塵の混入を避けるためにフィルターF(図2)を介して、再度処理室50内へと還流することも可能である。いずれの場合にも、雰囲気ガスを処理対象に直接吹き付けるようにすると、冷却速度を更に速めることができる。
実施例2
実施例1では、処理室50が真空容器2の上方に位置し、処理対象は、移動手段10によりホルダー支持装置3B及びホルダー3Aを介して上下方向に移動することにより、熱処理容器2と処理室50との間を移動するものとして説明したが、本実施例では、図10に示すように、処理室50が真空容器2の下方に位置し、処理対象は、実施例1の場合と同様に、移動手段10によりホルダー支持装置3B及びホルダー3Aを介して上下方向に移動することにより、熱処理容器2と処理室50との間を移動することができる。
本実施例においても、実施例1と同様の作用効果を得ることができ、更に、本実施例では、処理対象を移動させる移動手段10などが、真空容器2の下方に配置されるために、処理対象に塵が付き難いといった利点がある。特に、処理室58を無塵室とした構成については実施例4にて更に詳しく説明する。
実施例3
実施例1及び実施例2と異なり、本実施例では、図11に示すように、真空容器2を水平方向に配置し、処理室50を真空容器2の側方に位置する構成とされる。
この実施例では、処理対象は、移動手段10によりホルダー支持装置3B及びホルダー3Aを介して水平方向に移動することにより、熱処理容器2と処理室50との間を移動することとなる。
本実施例においても、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
実施例4
本実施例では、無塵室として機能する処理室50が、実施例2において説明したと同様に、真空容器2の下方に位置する構成とされ、処理対象に塵が付き難くした熱処理装置及び熱処理方法を図面に則して更に詳しく説明する。
図12〜図14に本実施例の熱処理装置1の概略全体構成を示す。
本実施例によると、熱処理装置1は、従来の熱処理装置1Aと同様に、熱処理容器としての真空容器2と、真空容器2内に処理対象を保持する保持手段3と、真空容器2の外側に配置された磁界発生手段20とを有する。保持手段3は、処理対象を保持するホルダー3Aと、このホルダー3Aを支持するホルダー支持装置3Bとを有する。本実施例の熱処理装置1は、真空容器2の開口部が下方端に形成されており、従って、ホルダー支持装置3Bが真空容器2の下方に配置されている。
更に説明すると、本実施例にて、真空容器2は、小径とされる容器本体部2Aと、容器本体部2Aの下部に一体に形成された大径の容器取付部2Bとを有する段付の円筒状容器とされる。容器本体部2Aの上端部は、本実施例では非酸化性ガスを導入するための導管がバルブ2aを介して接続されているが、実質的に閉鎖端とされ、容器取付部2Bの下端部は開放されている。
本実施例にて、容器下端部は、ホルダー支持装置3Bの蓋部材4が容器下端開口部に取付けられることにより密封される。また、真空容器2の容器本体部2Aと容器取付部2Bとの間に形成される環状肩部2Cが、下部構造体5を形成する無塵室50の容器設置部5aに載置され、真空容器2はその場に保持される。
真空容器2は、急冷却時において安定であることから、石英ガラスなどのセラミックスにて作製するのが好ましい。又、本実施例では、詳しくは後述するが、先の実施例と同様に、加熱手段30による真空中の加熱が主として輻射熱により行われるために、石英ガラスは、光学的に透明なものが良い。真空容器2の厚さは、2〜6mmとすることができ、本実施例では、3mmである。
ホルダー3Aは、例えばスパッタリングなどで形成されたFe−Ni合金膜を有する直径100〜200mm程度の基板を載置するためのトレー6が30枚程度、支持軸体7にて保持されたものであり、その支持軸体7の下端がホルダー支持装置3Bに連結支持されている。
ホルダー支持装置3Bには、ホルダー3Aに保持された処理対象を磁場方向に対してその方向を変えられるように、ホルダー3Aを回転自在に保持するのが好ましい。従って、本実施例では、ホルダー支持装置3Bに駆動モータ8を取付け、ホルダー3Aの支持軸体7を回転駆動可能に構成されている。
真空容器2は、真空容器下端部にホルダー支持装置3Bを取付けた後、真空容器下端部に連通した真空ポンプP(図14参照)により真空容器2内を真空引きすることにより所定の真空状態に維持することができる。例えば、処理対象が磁性金属薄膜などとされる場合には、金属薄膜の酸化を防ぐために、処理対象は、真空中、具体的には1Pa以下の真空状態において熱処理するのが好ましい。又、好ましくは、所定の雰囲気とされる。本実施例では、上記バルブ2aを開として、例えば、窒素ガス、アルゴンガスなどの非酸化性ガスを真空容器2内に充填し、真空容器2内を非酸化性ガス雰囲気とする。
又、図14を参照するとより良く理解されるように、ホルダー支持装置3Bは、容器下端部に配置されており、ホルダー3Aは、移動手段としての昇降機構10により、ホルダー支持装置3Bと共に容器2外へと下方に降下して移動させることができる。従って、この状態にて磁性体材料などとされる熱処理される対象物をホルダー3Aに装着したり、或はホルダー3Aから取り出すことができる。移動手段としての昇降機構10については、後で詳述する。
磁界発生手段20は、対向配置された一対の電磁石21を備えており、各電磁石21は、図15に示すように、磁心22とコイル23とを有する。本実施例によると、詳しくは後述するが、真空容器2と磁心22との間に配置される加熱手段30の厚さを薄くすることができ、そのために、対をなす電磁石21の磁心22、22間の距離を短くすることが可能となり、従って、電磁石21自体を小型化することができる。又、本実施例によれば、磁心22は加熱されないので、耐熱性の低い材料を用いることができる。そのために、本実施例では、磁界発生手段20にて発生する磁界密度は、0.05テスラ以上、特には、0.1テスラ〜5テスラ程度とし得る。本実施例での磁心22間の距離(L0)(図15参照)は、300mmである。
本実施例においても実施例1にて説明したと同様の構成とされ、図6をも参照すると理解されるように、真空容器2の容器本体2Aの外面と、電磁石21の磁心22の端面との間に、薄形の加熱手段30が設けられる。加熱手段30としては、これに限定されるものではないが、電気抵抗加熱による電気ヒータ31を有する。このような加熱手段30は、電源が高価とされる誘導加熱手段に比較すると、コスト的にも低廉であり好ましい。
更に説明すると、加熱手段30は、真空容器本体2Aの外周面を囲包して配置された電気的に絶縁性の内筒管32と、内筒管32とは所定の距離を置いて配置された流体冷却部33を構成する水冷ジャケットとを有する。内筒管32は、厚さ2〜6mmの石英ガラスチューブにて作製することができる。内筒管32と真空容器本体2Aの外周面との間には、2〜4mmの空隙(G1)を設ける。本実施例では、真空容器本体2Aの外径(D1)が240mmとされたので、内筒管32の内径(D2)は245mmとした。又、内筒管32の軸線方向長さ(L1)は450mmとした。
水冷ジャケット33は、内壁34と外壁35とを備えた二重管構造の円筒体とされ、上端と下端とは上壁36及び下壁37にてそれぞれ閉鎖されている。本実施例では、図15に示すように、外壁35が下壁37より軸線方向に長くされているが、下方の延長部には、円環状の支持板38が一体に固定され、上記内筒管32を支持している。水冷ジャケット33には、図示されてはいないが、下方部に水供給口が形成され、上方部に水排出口が形成されており、通常、水とされる冷却用流体Rが流動される。冷却用流体Rは、循環させても良い。
尚、水冷ジャケット33は、実施例1と同様の構成の水冷ジャケットを使用することができ、図7に示すように、円周方向に連続した円筒形状とするのではなく、軸線方向に沿って延在した切れ目39を有するように形成することもできる。この場合には、この切れ目39を利用して、水冷ジャケット33の内部に設置されるヒータ31の端子を取り出すことが可能となる。
水冷ジャケット33は、金属などの熱伝導性の良い材料で作製され、本実施例では、内壁34、外壁35、上壁36、下壁37などを厚さ3mmのステンレススチール板にて作製した。内筒管32を囲包して配置された水冷ジャケット33の内壁34の内面と、内筒管32との間には、ヒータ31を配置するために8〜13mmの空隙(G2)を設ける。本実施例では、内筒管32の外径(D3)が253mmとされたので、水冷ジャケット33の内径(D4)は272mmとした。又、水冷ジャケット33の内壁34の軸線方向長さは、加熱手段30を完全に覆う大きさとした。
次に加熱手段30について更に説明する。本発明によると、加熱手段30は、上述のように、電気ヒータ31を有し、内筒管32の外周回りに螺旋状に巻回して配置される。
本発明によれば、電気ヒータ31は、図8に示すように、抵抗加熱発熱線31Aを電気絶縁チューブ31Bで被覆した形状とされる。抵抗加熱発熱線31Aは、ニクロム線、或は、白金などの貴金属非磁性金属発熱体なども好適に使用し得る。電気絶縁チューブ31Bは、繊維状とされるアルミナファイバーを編んだチューブとされるか、又は、石英或はアルミナなどで形成された管状体を複数個つないで用いることもできる。本実施例では、抵抗加熱発熱線31Aは、直径2.0〜2.6mmのニクロム線を、アルミナファイバーを編んだチューブ31Bで被覆した、外径3.5mmのものを使用した。
抵抗加熱発熱線31Aは、上述のように磁界発生手段20による磁界内に置かれるために、加熱のための電流による磁界との相互作用により、力を受けることになり、抵抗線間が接触したりすることとなる。従って、抵抗加熱発熱線31Aは、絶縁チューブ31Bで電気的絶縁を取るのが好ましい。
又、相互作用による力を少なくするために、抵抗加熱発熱線31Aの電流の流れる方向を、それにより生じる磁界がキャンセルされるように配置する、所謂、無誘導巻きとすることが好ましい。
つまり、ヒータ31は、図9に示すように、一端で接続された、即ち、U字状とされた二重線状態で内筒管32に単層巻きにて巻き付けられる。従って、軸線方向に隣接した上下の抵抗加熱発熱線31Aに流れる電流の方向が逆方向とされ、それによって、抵抗加熱発熱線31Aを流れることによって生じる磁場が互いに打ち消しあってキャンセルされる。もし、単に1本のヒータ31を巻き付けただけでは、上述のように、抵抗加熱発熱線31Aに電流を流したとき、磁界発生手段20からの磁界により、抵抗加熱発熱線31Aが力を受け、ヒータ31が移動したり、振動したりする。
更に、加熱用電流は、このような力のキャンセルを安定なものとできるので、直流電流とすることが好ましい。又、加熱手段30には、通常、温度制御のための制御手段が設けられ、ヒータ31への通電を制御する。
通常の熱処理の温度範囲は、150℃〜500℃程度であるが、磁性膜の構造の秩序化温度が高い膜の熱処理を行う場合には、特に500℃〜800℃程度とされる。又、冷却速度は、MR素子用磁性膜の熱処理の場合には、冷却速度を5℃/分以上、特には、15℃/分〜200℃/分とすることが好ましい。
ヒータ31の回りに断熱材は設けないのが好ましいが、水冷ジャケット33とヒータ31との間には、本実施例では、水冷ジャケット33をステンレススチールにて作製したために、シート状電気絶縁材としてのアルミナシート40(図6)を配置するのが良い。アルミナシート40としては、厚さ1〜3mm程度のもので良い。ヒータ31と水冷ジャケット33との間の電気絶縁材の厚さは、4mm以下とすることが好ましい。内筒管2を設けることなく、ヒータ31をアルミナシート40の内周面に巻回して配置することもできる。
上記熱処理装置1は、更に、磁界発生手段20のための電源、磁界の測定制御装置、真空容器2を真空にするための真空ポンプ制御部、装置全体の作動シーケンスを制御する機構などを備えているが、これら各要素は、当業者には周知のものを使用し得るので、詳しい説明は省略する。
尚、上記説明では磁界発生手段20は電磁石21であるとしたが、超伝導電磁石でも良い。また、加熱手段30は、真空容器2の外側に配置するものとしたが、所望に応じて、真空容器2の内部に設置しても構わない。
次に、本発明の重要な特徴ある構成について説明する。
本発明によれば、熱処理装置1には、処理室としても機能する、真空容器2の下方開口部に連通する無塵空間を画成する密閉可能の無塵室50が設けられる。本実施例では、真空容器2を囲包して配置された電磁石21等は、重量が大であり、無塵室50上に設置するのではなく、無塵室50を囲包して設置された基台構造体5に取り付けられる。
本実施例では、無塵室50は、立方形の箱形とされ、真空容器2、加熱手段30、磁界発生手段20等の下方に設置される。従って、真空容器2の容器取付部2Bが無塵室50内へと下側に突出しており、容器取付部2Bの開口部が無塵室50に開口している。
又、本実施例によれば、無塵室50内には、真空容器2の容器取付部2Bと、ホルダー支持装置3Bと、移動手段としての昇降機構10と、が配置される。
また、本実施例では、無塵室50に隣接して中間室70が配置される。中間室70は、無塵室50と外部との間で、処理対象を出し入れするための密閉可能な空間であって、外部と無塵室50とを遮蔽し、好ましくは真空雰囲気にすることで外部の影響を受けることなく、無塵室50内の雰囲気を一定に保つことができる。
無塵室50と中間室70との仕切り壁、更には、中間室70と外部との間の仕切り壁には開閉自在のゲートバルブ71、72が配置されている。中間室70には、回転駆動されるインデックステーブル73が配置され、処理対象を納めたカセット74が、本実施例では、円周上4カ所に位置決め設置可能とされている。インデックステーブル73は、油圧シリンダとされるカセットエレベータ75にて、中間室70内にて上下動可能とされる。
また、無塵室50内には、ハンドリング手段、即ち、ハンドリングロボット51が設置され、ゲートバルブ71を開とすることによって、カセットエレベータ75と協働して、インデックステーブル73にセットされたカセット74内の処理対象を1枚づつ取り出し、ホルダー支持装置3Bに支持されたホルダー3Aのトレー6へと移送する。斯かる作動をなすハンドリングロボット51は、当業者には周知であるので、詳しい説明は省略する。
本実施例にて、昇降機構10は、図12〜図14を参照するとより良く理解されるように、無塵室50の底壁に固定設置され、上方へと延在したフレーム構造体61と、フレーム構造体61にホルダー支持装置3Bを支持するための支持手段62を有する。
支持手段62は、一端がホルダー支持装置3Bに固定され、他端がフレーム構造体61に設置されたガイドロッド63に支承部材64を介して上下方向に移動可能に取り付けられている。又、フレーム構造体61には、駆動手段にて回転駆動される親ねじ軸65が設置されており、支持手段62に固定したナット66と螺合している。従って、親ねじ軸65を駆動手段により駆動することにより、支持手段62はフレーム構造体61に対して上下動自在とされる。
上記構成により、昇降機構10を駆動することによりホルダー支持装置3B及びホルダー3Aを真空容器2内へと挿入したり、或いは、真空容器2から外方へと取り出すことができる。
また、中間室70には、上述のように、中間室70にカセットを設置するためのカセット装入ゲートバルブ72が設けられている。従って、作業者は、このカセット装入ゲートバルブ72を開とすることによって、処理対象を所定枚数収納したカセットを中間室70のインデックステーブル73に設置することができる。
次に、本実施例に係る上記構造の熱処理装置の作動態様について説明する。
先ず、昇降機構10を駆動して、ホルダー支持装置3B及びホルダー3Aを真空容器2内から下方へと降下させ、真空容器2外へと露出させる。
無塵室50と中間室70との仕切り壁に設けられたゲートバルブ71を開として、ハンドリングロボット51により、インデックステーブル73にセットされたカセット74内の処理対象を1枚づつ取り出し、ホルダー3Aに移送する。
ホルダー3Aへの処理対象の移送が終わると、ゲートバルブ71を閉とする。
次いで、昇降機構10を駆動して、ホルダー支持装置3B及びホルダー3Aを下方より上方の真空容器2内へと挿入する。真空容器2の開口部は、ホルダー支持装置3Bに設けられた密閉蓋4により閉鎖される。
その後、上述した従来と同様の手順にて、真空容器2内を真空引きして減圧し、真空容器2内は非酸化性ガス雰囲気とされる。次いで、ホルダー3Aに支持された処理対象に対して熱処理が施される。
一方、本実施例によれば、無塵室50は、先の実施例で説明した処理室としても機能し、真空容器2の開口を塞いだ状態で、密閉状態とされ、真空とされる。必要に応じて、所定の雰囲気に設定される。
つまり、本実施例では、処理対象が、MR膜、GMR膜などの磁性体材料であって、室温より高温の処理温度の大気雰囲気にて変質するものであるので、無塵室50内は、窒素、アルゴンなどの非酸化雰囲気状態とされる。従って、無塵室50内は、1Pa以下に真空引きした後、本実施例では窒素ガスを充填し、室温、1気圧(0.1MPa)の窒素ガス雰囲気とした。または、真空のままとすることもできる。無塵室50内の雰囲気条件は、必要に応じて、所望のガス、及び、所望の室温、圧力等を選択することができる。
無塵室50を非酸化雰囲気状態とした後、真空容器2内にバルブ10aを介して窒素ガスを入れることで真空容器2内の真空状態を開放し、昇降機構10を駆動することにより、ホルダー支持装置3B及びホルダー3Aを真空容器の下端開口部より下方へと降下させる。
無塵室50内は、室温で、非酸化雰囲気状態とされており、それによって、熱処理された処理対象は、変質することなく、急冷することができる。
続いて、ホルダー3Aに支持した処理済みの処理対象をハンドリングロボット51により中間室70へと移送すると共に、中間室70内にセットされた次に処理すべきカセットに収納された処理対象をホルダー3A内へと移送する。
この後は、上述した手順にて、次のバッチに対する処理作業が開始される。
このように、本実施例によれば、真空容器2のような熱処理容器の下側に無塵室50を設け、更には、処理対象を移動させる移動手段10の少なくとも可動部分を真空容器2の下方に、更に好ましくは、処理対象よりも下方に位置するようにして配置されているので、塵の発生源である移動手段10の可動部分などを処理対象よりも下側に配置することができ、従来装置に比較すると、処理対象への塵の付着を大幅に減少することができる。
また、塵の発生源である移動手段10の可動部分などを真空容器2、更には、処理対象よりも下側に配置する構成とされるので、移動手段10等は、その配置の自由度が高まり、熱処理装置1の任意の位置に設定することができ、小型化を図ることが可能となる。従って、熱処理装置全体の設置面積を少なくすることができ、装置配置の自由度もまた向上する。
更に、冷却時間を短縮し、1バッチの処理時間を大幅に短縮するためには、無塵室50内の雰囲気ガスを無塵室50内で循環させることも可能である。更には、雰囲気ガスを、ダクトを介して無塵室50外へと導出し、冷却した後、塵の混入を避けるためにフィルターを介して、再度無塵室50内へと還流することも可能である。いずれの場合にも、雰囲気ガスを処理対象に直接吹き付けるようにすると、冷却速度を更に速めることができる。
上記実施例によれば、真空容器2を囲包して配置された電磁石21、加熱手段30、水冷ジャケット33等は、無塵室50を囲包して設置された基台構造体5に取り付けられた構造とされるので、少なくとも電磁石21、好ましくは、加熱手段30及び流体冷却部33等を分割可能の構造とすることによって、図15に一点鎖線にて示すように、熱処理工程後に、これら電磁石21、加熱手段30、水冷ジャケット33等を分割移動して、熱処理容器2より離隔することにより熱処理容器2をも空冷することが極めて容易に達成できる。熱処理容器冷却後には、上記装置21、30、33等を熱処理容器2に対する所定位置へと復帰移動する。
産業上の利用可能性
以上説明したように、本発明の一態様によれば、熱処理装置が、熱処理容器に隣接して配置され、内部空間を所定の雰囲気に設定できる処理室と、処理対象を熱処理容器と処理室との間にて移動させる移動手段と、を有し、熱処理済みの処理対象を所定の雰囲気に設定されている処理室へ移動して、急冷することができるので、1バッチの処理時間を短くし、処理対象の処理量を増大することができる。
本発明の他の態様によれば、熱処理装置が、熱処理容器の下方に配置され、熱処理容器の下端に形成した開口部が開口する無塵室と、無塵室に配置され、処理対象を保持する保持手段に作用して処理対象を熱処理容器と無塵室との間にて移動させる移動手段と、を有し、処理対象を熱処理容器へと下方より装入して、磁場中で熱処理を行い、又、熱処理済みの処理対象を無塵室へと下方に移動して熱処理容器から取り出すことができるので、
(1)処理対象に塵が付き難い。
(2)装置設置面積を少なくすることができ、装置配置の自由度を向上することができる。
といった効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明に係る熱処理装置の一実施例の概略構成断面正面図である。
図2は、本発明に係る熱処理装置の一実施例の概略構成断面平面図である。
図3は、本発明に係る熱処理装置の一実施例の概略構成断面側面図である。
図4は、図1の線4−4に取った概略成断面側面図である。
図5は、真空容器、加熱手段及び電磁石の配置関係を示す一部断面図である。
図6は、加熱手段の一部拡大断面図である。
図7は、水冷ジャケットの一実施例の全体図を示す斜視図である。
図8は、電気ヒータの断面図である。
図9は、電気ヒータの設置方法を説明する斜視図である。
図10は、本発明に係る熱処理装置の他の実施例の概略構成図である。
図11は、本発明に係る熱処理装置の他の実施例の概略構成図である。
図12は、本発明に係る熱処理装置の他の実施例の概略構成断面正面図である。
図13は、本発明に係る熱処理装置の他の実施例の概略構成断面平面図である。
図14は、本発明に係る熱処理装置の他の実施例の概略構成断面側面図である。
図15は、真空容器、加熱手段及び電磁石の配置関係を示す一部断面図である。
図16は、従来の熱処理装置の概略構成断面図である。
Claims (19)
- 処理対象を保持する保持手段と、保持手段に保持された処理対象を収納する熱処理容器と、処理対象を加熱する加熱手段と、処理対象に磁場を印加する磁界発生手段と、を有する熱処理装置において、
前記熱処理容器に隣接して配置され、内部空間を所定の雰囲気に設定できる処理室と、
前記保持手段に作用して、処理対象を前記熱処理容器と前記処理室との間にて移動させる移動手段と、
を有することを特徴とする熱処理装置。 - 前記処理対象は、熱処理温度の大気雰囲気で変質するものであり、前記処理室は、非酸化雰囲気に設定することを特徴とする請求項1の熱処理装置。
- 前記処理室の非酸化雰囲気は、窒素ガス又はアルゴンガス雰囲気、又は、真空とされることを特徴とする請求項2の熱処理装置。
- 前記処理室は、所定温度に設定することを特徴とする請求項2又は3の熱処理装置。
- 前記処理室の所定温度は、室温であることを特徴とする請求項4の熱処理装置。
- 前記加熱手段及び前記磁界発生手段は、前記熱処理容器を囲包して配置されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の熱処理装置。
- 前記処理室は、前記熱処理容器の上方に、下方に、又は、側方に配置されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかの項に記載の熱処理装置。
- 請求項1に記載の熱処理装置を使用して処理対象を磁場中にて熱処理する方法において、
(a)処理対象を前記熱処理容器に収納する工程、
(b)前記熱処理容器内を所定の雰囲気として、磁場中で熱処理を行う工程、
(c)熱処理済みの処理対象を所定の雰囲気に設定されている前記処理室へ移動する工程、
を有することを特徴とする熱処理方法。 - 前記処理対象は、熱処理温度の大気雰囲気で変質するものであり、前記処理室は、非酸化雰囲気に設定することを特徴とする請求項8の熱処理方法。
- 前記処理室の非酸化雰囲気は、窒素ガス又はアルゴンガス雰囲気、又は、真空とされることを特徴とする請求項9の熱処理方法。
- 前記処理室は、所定温度に設定することを特徴とする請求項9又は10の熱処理方法。
- 前記処理室の所定温度は、室温であることを特徴とする請求項11の熱処理方法。
- 前記処理室は、前記熱処理容器の上方に、下方に、又は、側方に配置されることを特徴とする請求項8〜12のいずれかの項に記載の熱処理方法。
- 処理対象を保持する保持手段と、保持手段に保持された処理対象を収納する熱処理容器と、処理対象を加熱する加熱手段と、処理対象に磁場を印加する磁界発生手段と、を有する熱処理装置において、
前記熱処理容器の下方に配置され、前記熱処理容器の下端に形成した開口部が開口する無塵室と、
前記無塵室に配置され、前記保持手段に作用して処理対象を前記熱処理容器と前記無塵室との間にて移動させる移動手段と、
を有することを特徴とする熱処理装置。 - 前記熱処理容器は開口部を閉鎖することによって真空とされる真空容器であって、前記移動手段は、前記真空容器の開口部より下方に位置して配置されることを特徴とする請求項14の熱処理装置。
- 前記移動手段は、その可動部分が前記無塵室に配置された処理対象より下方に位置していることを特徴とする請求項14の熱処理装置。
- 前記加熱手段及び前記磁界発生手段は、前記熱処理容器を囲包して配置されることを特徴とする請求項14、15又は16の熱処理装置。
- 少なくとも前記磁界発生手段は、前記熱処理容器に対して離接可能とされることを特徴とする請求項14〜17のいずれかの項に記載の熱処理装置。
- 請求項14に記載の熱処理装置を使用して処理対象を磁場中にて熱処理する方法において、
(a)処理対象を前記保持手段に収納する工程、
(b)処理対象を前記熱処理容器へと下方より装入して、磁場中で熱処理を行う工程、
(c)熱処理済みの処理対象を前記無塵室へと下方に移動して前記熱処理容器から取り出す工程、
を有することを特徴とする熱処理方法。
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