JPWO2003056947A1 - 喫煙用フィルターおよび喫煙物品 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は喫煙用フィルターおよび喫煙物品に関する。
背景技術
喫煙物品の喫煙に際して、喫煙者により吸引される主流煙中には様々な化学成分が存在する。これらの化学成分のうちホルムアルデヒドに代表される低級アルデヒド類は通常の喫煙用フィルターでは吸着除去が難しいものであった。このため、主流煙中からアルデヒド類を除去することが要望されている。
従来、主流煙中のホルムアルデヒドを除去するには、吸着剤として活性炭を添加したフィルターを用いるのが一般的である。このほかにも、種々の吸着剤の使用が試みられている。
しかし、従来使用されている吸着剤は、ホルムアルデヒドだけでなく他の成分も吸着するため、喫煙物品の香喫味へ悪影響を及ぼす可能性があった。
本発明の目的は、主流煙中のホルムアルデヒドを選択的に除去できる喫煙用フィルターを提供することにある。
発明の開示
本発明に係る喫煙用フィルターは、金属水酸化物の八面体層が多数積層された層状構造を呈するハイドロタルサイト類化合物を添加したものである。
本発明において用いられる前記ハイドロタルサイト類化合物は、下記一般式
M2+ 1−xM3+ x(OH)2(An−)x/n・mH2O
(ここで、M2+はMg、Zn、NiおよびCaからなる群より選択される2価の金属イオン、M3+はAlイオン、An−はCO3、SO4、OOC−COO、Cl、Br、F、NO3、Fe(CN)63−、Fe(CN)64−、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、アルケニル酸およびその誘導体、リンゴ酸、サリチル酸、アクリル酸、アジピン酸、コハク酸、クエン酸ならびにスルホン酸からなる群より選択されるn価のアニオンであり、0.1<x<0.4、0<m<2である)
で表される。
本発明の喫煙用フィルターは、たとえば繊維のトウまたは不織布シートに平均粒子径が200〜800μmのハイドロタルサイト類化合物を分散させたものである。繊維は、セルロースアセテートからなるものが代表的である。
本発明の喫煙用フィルターは、平均粒子径が10μm以下のハイドロタルサイ
ト類化合物を加えて抄紙したペーパーシートを成形したものでもよい。
本発明に係る喫煙用フィルターは、複数のフィルターセグメントを有し、少なくとも1つのフィルターセグメントがハイドロタルサイト類化合物を含有するものでもよい。この場合、ハイドロタルサイト類化合物を含有するフィルターセグメントに加えて、チャコールフィルターセグメントを用いてもよい。
本発明の喫煙用フィルターは、複数のフィルターセグメントと、フィルターセグメント間に設けられたスペースに充填されたハイドロタルサイト粒子とを有するものでもよい。
本発明に係る喫煙物品は、上記のような喫煙用フィルターと、たばこロッドとを接続したものである。
発明を実施するための最良の形態
本発明者は、主流煙中のホルムアルデヒド低減のための吸着剤を様々な観点で検討した結果、ハイドロタルサイト類化合物が有効であることを究明した。
ハイドロタルサイト類化合物は、2価または3価の金属水酸化物の八面体層が多数積層された層状構造を呈し、アニオンがインターカレーションされている。八面体層はホストと呼ばれ塩基性を示す。ハイドロタルサイト類化合物によるホルムアルデヒド除去は、ホストの塩基性の寄与およびインターカレーションアニオンによるイオン交換作用などの結果として生じるものと考えられる。
ハイドロタルサイト類化合物は天然のものでも合成品でもよい。ハイドロタルサイト類化合物は、一般式
M2+ 1−xM3+ x(OH)2(An−)x/n・mH2O
で表される。2価の金属イオンM2+がMgイオン、3価の金属イオンM3+がAlイオン、アニオンAn−がCO3 2−またはSO4 2−であるものが最も一般的である。2価の金属イオンM2+は、Mg以外に、Zn、NiまたはCaであってもよい。アニオンは、CO3 2−またはSO4 2−以外にも、OOC−COO、Cl、Br、F、NO3、Fe(CN)6 3−、Fe(CN)6 4−、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、アルケニル酸およびその誘導体、リンゴ酸、サリチル酸、アクリル酸、アジピン酸、コハク酸、クエン酸ならびにスルホン酸からなる群より選択することができる。xは0.1<x<0.4、mは0<m<2の範囲である。Mg−Al系ハイドロタルサイト類化合物はxが0.20〜0.33の範囲で安定である。
ハイドロタルサイトを製造するには、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウムおよび明ばんから選ばれる水溶性のアルミニウム塩またはアルミン酸と水溶性マグネシウム塩との水溶液に、炭酸アルカリまたは炭酸アルカリと苛性アルカリを添加し、反応混合物のpHを8.0以上に保って反応させる。
ハイドロタルサイト類化合物は、例えばインターカレーションされるアニオンのサイズによりマイクロポアサイズの制御が可能となる。また、アニオンの性質および層間水の状態により多様な機能化が可能となる。
ハイドロタルサイト類化合物を添加した喫煙用フィルターとしては以下のような種々の形態が考えられる。
(1)ハイドロタルサイト類化合物をセルロースアセテートなどの繊維のトウまたは不織布に分散させたフィルター。
(2)ハイドロタルサイト類化合物を添加して抄紙したペーパーシートを成形したフィルター。
(3)2セグメント以上からなるフィルターであって、少なくとも1セグメントは(1)または(2)のフィルターからなり、他のセグメントは従来のセルロースアセテートフィルターまたはチャコールフィルターからなるもの。
(4)プラグ−スペース−プラグ構造のスペースにハイドロタルサイト類化合物を充填したフィルター。この場合、プラグは、従来のセルロースアセテートフィルターもしくはチャコールフィルター、または(1)もしくは(2)のフィルターから選択される。また、2つ以上のスペースがある場合には、少なくとも1つのスペースにハイドロタルサイト類化合物を充填すればよく、他のスペースにはチャコールを充填することもできる。
ハイドロタルサイト類化合物の粒子径は以下のように調整することが好ましい。ハイドロタルサイト類化合物を、セルロースアセテート繊維のトウもしくは不織布に分散させるか、またはプラグ−スペース−プラグ構造のスペースに充填したフィルターを用いる場合、その粒子径は200〜800μmが好ましく、400〜600μmがさらに好ましい。また、ハイドロタルサイト類化合物を添加して抄紙したペーパーシートを成形したフィルターを用いる場合、その粒子径は10μm以下とすることが好ましい。
(実施例)
実施例1
Mg6Al2(OH)16CO3・4H2Oで表されるハイドロタルサイトを用いた。このハイドロタルサイトを粉砕して分級することにより、粒子径を250〜500μmに調整した。このハイドロタルサイトを用いて図1に示すフィルター1を作製した。すなわち、それぞれ巻取紙を巻いた2つのアセテートフィルターセグメント2,2の間に設けたスペースにハイドロタルサイト3を充填した状態で成形紙4を巻いて、プラグ−スペース−プラグ構造のフィルター1を作製した。
他の吸着剤と比較するために、活性炭、高比表面積炭、アルカリ金属塩添着活性炭、アミン添着活性炭、活性アルミナ、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、酸化亜鉛、シリカゲル、ゼオライト、ホルマリン用建材パルプ、ガスクロマトグラフィー(GC)用カラム充填剤、または吸水性樹脂を用い、図1と同様なプラグ−スペース−プラグ構造のフィルター1を作製した。
吸着剤の充填量はいずれの例でも同一とした。また、各フィルターにタール12mgのたばこ部を接続して試験用のシガレットを作製した。
シガレット主流煙中のホルムアルデヒドの量をカナダ公定法(2,4−DNPH−HPLC法)により測定し、ホルムアルデヒドの除去率を求めた。
まず、2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)9.51gをアセトニトリル1Lに加温して溶解した後、60%過塩素酸5.6mLを加え、超純水を加えて2Lの捕集液を調製した。
図2を参照して測定装置の概要を説明する。図2に示すように、捕集用洗気瓶11にDNPH捕集液12を入れる。洗気瓶11の容量は100mLであり、DNPH捕集液12の量を80mLとした。この洗気瓶11を氷水バス13に入れて氷冷する。洗気瓶11内の捕集液12に、シガレット10が取り付けられるガラス管14の下端を浸漬する。洗気瓶11のデッドボリュームに連通するように、ガラス管15およびケンブリッジパッド(Cambridge pad)16を取り付け、ケンブリッジパッド16と自動喫煙器17とを接続する。
ガラス管14にシガレット10を取り付け、ISO準拠の標準喫煙条件でシガレット10を自動喫煙させる。すなわち、シガレット1本につき、空パフ1回で2秒間35mL吸煙する動作を58秒間隔で繰り返す。主流煙がバブリングしている間に、ホルムアルデヒドはDNPHによって誘導体化される。測定用シガレットは2本とした。このときいずれの吸着剤を用いたシガレットでも圧力損失が同一になるように調整した。
上記のようにして生成した誘導体を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定する。まず、捕集液を濾過した後、Trizma Base液で希釈する(捕集液4mL:Trizma Base液6mL)。この液をHPLCで測定する。HPLC測定条件は以下の通りである。
カラム:HP LiChrospher 100RP−18(5μ)250×4mm
ガードカラム:HP LiChrospher 100RP−18(5μ)4×4mm
カラム温度:30℃
検出波長:DAD356nm
注入量:20μL
移動相:3相によるグラジエント(A液:アセトニトリル30%、テトラヒドロフラン10%およびイソプロパノール1%を含有する超純水水溶液、B液:アセトニトリル65%、テトラヒドロフラン1%およびイソプロパノール1%を含有する超純水水溶液、C液:アセトニトリル100%)。
ホルムアルデヒドの除去率Eは、吸着剤なしのシガレットを用いて測定されたホルムアルデヒド量をW、吸着剤を充填したシガレットを用いて測定されたホルムアルデヒド量をW’としたとき、
E=(W−W’)/W
で表される。
図3に各種吸着剤によるホルムアルデヒドの除去率を示す。図3からわかるように、吸着剤としてハイドロタルサイトを用いた場合に、ホルムアルデヒドを最もよく低減できることがわかる。
実施例2
吸着剤としてハイドロタルサイトまたは最も一般的なシガレット用吸着剤である活性炭を用い、シガレット主流煙中の蒸気相成分の除去率を求めた。
実施例1と同様に、粒子径250〜500μmのハイドロタルサイトまたは活性炭を用意し、それぞれ充填量50mgで充填して、図1と同様なフィルターを作製した。このフィルターに、タール12mgのたばこ部を接続して試験用のシガレットを作製した。
図4および図5を参照して、シガレット主流煙中の蒸気相成分の除去率測定方法を説明する。
図4は蒸気相成分の捕集方法を示す図である。図4に示すように、自動喫煙器17にシガレット10を取り付け、ISO準拠の標準喫煙条件でシガレット10を自動喫煙させ、主流煙中の粒子相をケンブリッジフィルターで除去し、蒸気相をガスバッグ20に捕集する。このとき、シガレット1本につき、空パフ1回で2秒間35mL吸煙する動作を58秒間隔で繰り返す。また、調和シガレット(調和条件:22℃、湿度60%)10本を自動喫煙させる。
図5はガスクロマトグラフィーを示す図である。図5に示すように、ガスバッグ20内の蒸気相成分の一定量をサンプルループ21に溜め、標準ガスを注入した後、ガスクロマトグラフ22に注入する。カラム(DB−WAX)で成分を分離し、検出器で成分を検出し、パーソナルコンピュータ23のプログラムを用いて成分量を解析する。各蒸気相成分のピーク面積を標準ガスのピーク面積で割って解析値を求めた。
各蒸気相成分の除去率Eは、吸着剤なしのシガレットを用いて測定された成分解析値をA、吸着剤を充填したシガレットを用いて測定された成分解析値をA’としたとき、
E=(A−A’)/A
で表される。
図6に蒸気相成分の蒸気圧と成分除去率との関係を示す。図6から、吸着剤として活性炭を用いた場合には蒸気相成分の蒸気圧が上昇するにつれて除去率が高くなる。一方、吸着剤としてハイドロタルサイトを用いた場合にはホルムアルデヒドに対してのみ特異的に除去率が高く、選択的な除去性能を示すことがわかる。
実施例3
たとえば図1の形態のシガレットフィルターにおいてハイドロタルサイトを使用する場合、通気抵抗およびタール/ニコチン流出量を制御するために、ハイドロタルサイトのサイズを適正に調整する必要がある。
ハイドロタルサイトを造粒すると、粒度分布の異なる試料を調製することができる。この場合、試料を平均粒子径で区別する。図7Aには、平均粒子径が250μm、500μm、および800μmである3種の試料を示している。
次に、平均粒子径が異なるハイドロタルサイト粒子を用い、種々の充填量で図1の形態を有するフィルターを作製した。参考のために、チャコールを用い、種々の充填量で図1の形態を有する製品相当のフィルターも作製した。
これらのフィルターについて、吸引流速1050mL/min時の通気抵抗を調べた。ここでは、図1の2つのアセテートフィルターセグメント2,2で生じる通気抵抗を除いて計算している。
図7Bに平均粒子径と通気抵抗との関係を示す。図7Bから、平均粒子径250μmの粒子を用いた場合には通気抵抗が高く、平均粒子径800μmの粒子を用いた場合には通気抵抗が低いことがわかる。そして、製品を設計する上では、平均粒子径が400〜600μmの範囲であるハイドロタルサイト粒子を用いることが妥当であることがわかる。
なお、造粒粒子を用いる場合、転動造粒、圧縮成形、コーティング造粒、押出成形など、いかなる造粒方法を用いても目的粒径のハイドロタルサイト粒子を得ることができる。ただし、フィルター製造時のハイドロタルサイト粒子の破砕を避けるために、適度な硬度を有する造粒ハイドロタルサイト粒子が得られる造粒方法を用いることが好ましい。ハイドロタルサイト粒子の硬度が300〜3000g/mm2の範囲であれば、フィルター製造時に破砕を防ぐことができることがわかっている。
実施例4
本実施例では、ハイドロタルサイトによる主流煙中のホルムアルデヒドの低減率が、ハイドロタルサイト粒子の表面積に依存することを示す。
造粒方法として、転動造粒(A)、圧縮成形(B)、または押出成形(C)を用いて、種々の造粒ハイドロタルサイト粒子を調製した。レーザー散乱式粒度分布測定装置を用いて、ハイドロタルサイト粒子の単位重量当りの平均表面積を算出した。
種々の表面積を有するハイドロタルサイト粒子を用い、図1の形態を有するフィルターを作製した。このとき、充填量を調整することにより、充填したハイドロタルサイト粒子の全表面積を調整した。そして、ハイドロタルサイト粒子の全表面積と、主流煙中のホルムアルデヒドの低減率との関係を調べた。その結果を図8に示す。
図8から、ハイドロタルサイト粒子の全表面積が大きいほど、主流煙中からホルムアルデヒドを低減できることがわかる。この傾向は、ハイドロタルサイト粒子の造粒方法によらない。
実施例5
本実施例では、ハイドロタルサイト添加ペーパーフィルターおよび造粒ハイドロタルサイト添加セルロースアセテートフィルターによる主流煙中のホルムアルデヒドの低減率を調べた。
平均粒子径10μm以下のハイドロタルサイト粒子を添加しながらペーパーシートを抄紙し、このペーパーシートを成形して図9に示すペーパーフィルター7を作製した。比較のために、ハイドロタルサイト粒子を添加していないペーパーシートを成形してフィルターに作製した。
また、セルロースアセテート繊維のトウに造粒ハイドロタルサイト粒子を分散させてフィルターを作製した。比較のために、ハイドロタルサイト粒子を添加していないセルロースアセテートフィルターに作製した。
なお、フィルターの長さは25mmであり、通気抵抗をできるだけ揃えるようにした。
これらのフィルターを用いて、主流煙中のホルムアルデヒドの低減率を調べた。その結果を表1に示す。
表1に示されるように、ハイドロタルサイト粒子を含むペーパーフィルターでは、タール当りのホルムアルデヒド流出量が、ハイドロタルサイト粒子を含むアセテートフィルターの場合と比較して、低くなっている。これは、平均粒子径10μm以下のハイドロタルサイト粒子を高分散でペーパーシートに添加した結果、接触表面積が向上したことによると考えられる。
実施例6
本実施例では、ハイドロタルサイトフィルターとチャコールフィルターとの組み合わせにより、有機蒸気成分低減率を高めることができることを示す。
表2のI、II、IIIに示すトリプルセグメントのフィルターを作製した。使用した各セグメントについて説明する。アセテートフィルターセグメントは、セルロールアセテートの繊維のトウを束ね、7mmの長さにしたものである。ハイドロタルサイト(HT)フィルターセグメントは、セルロールアセテートの繊維のトウに70mgのハイドロタルサイト粒子を分散させて束ね、10mmの長さにしたものである。チャコールフィルターセグメントは、セルロールアセテートの繊維のトウに70mgのチャコール粒子を分散させて束ね、10mmの長さにしたものである。
図10に、表2のIIIのフィルターを示す。この図に示されるように、刻側にチャコールフィルターセグメント5、中間にHTフィルターセグメント6、吸口側にアセテートフィルターセグメント2が配置されている。
これらのフィルターを用いて、主流煙中の全有機蒸気(TOV)の低減率およびホルムアルデヒド(FA)の低減率を調べた。その結果を表2に示す。
表2に示されるように、IIIのフィルターは、チャコールフィルターの作用によって全有機蒸気を低減でき、しかもハイドロタルサイト(HT)フィルターの作用によってホルムアルデヒドを低減できる。
添加物重量:70mg/10mm
フィルター長さ:刻側10mm、中間10mm、吸口側7mm
フィルターチップ通気抵抗:72mmWG/27mm
ベンチレーション孔:なし
本発明に係るフィルターについては以下のような種々の変形例が考えられる。
たとえば図1のような構造を有するフィルターにおいて、少なくとも一方のアセテートフィルターセグメント2の代わりに、他のフィルターセグメントを用いてもよい。他のフィルターセグメントは、ハイドロタルサイトフィルターセグメントでもよいし、チャコールフィルターセグメントでもよい。また、チャコールフィルターセグメントを用いる場合には、図10と同様に、刻側に配置することが好ましい。
図10では、ハイドロタルサイトフィルターセグメントとして、セルロースアセテート繊維のトウにハイドロタルサイト類化合物を分散させたものを用いたが、ハイドロタルサイト類化合物を加えて抄紙したペーパーシートを成形したものを用いてもよい。
図10の構造のフィルターに、さらに他のフィルターセグメントを加えて4セグメントのフィルターを作製してもよい。
また、図11に示すように、チャコールフィルターセグメント5、ハイドロタルサイト粒子3を充填したスペース、ハイドロタルサイト(HT)フィルターセグメント6、アセテートフィルターセグメント2からなるフィルターを用いてもよい。
この場合にも、ハイドロタルサイトフィルターセグメント6は、アセテートフィルターベースでもペーパーフィルターベースでもよい。HT粒子3を充填したスペースと、HTフィルターセグメント6との配置は図11と逆でもよい。図11ではスペースにHT粒子を充填しているが、チャコール粒子を充填してもよい。
産業上の利用可能性
本発明によれば、主流煙中のホルムアルデヒドを効果的に低減できる喫煙用フィルターおよび喫煙物品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の実施例において作製されたフィルターの分解斜視図。
図2は、本発明の実施例において用いたシガレット主流煙中のホルムアルデヒドの測定装置を示す図。
図3は、各種吸着剤によるホルムアルデヒドの除去率を示す図。
図4は、本発明の実施例における、シガレット主流煙中の蒸気相成分の捕集方法を示す図。
図5は、本発明の実施例における、シガレット主流煙中の蒸気相成分のガスクロマトグラフィーを示す図。
図6は、吸着剤としてハイドロタルサイトまたは活性炭を用いた場合の、蒸気相成分の蒸気圧と成分除去率との関係を示す図である。
図7Aは、ハイドロタルサイト粒子の粒度分布を示す図。
図7Bは、ハイドロタルサイト粒子の平均粒子径と通気抵抗との関係を示す図。
図8は、ハイドロタルサイト粒子の表面積とホルムアルデヒド低減率との関係を示す図。
図9は、実施例6のトリプルセグメントタイプのフィルターを示す図。
図10は、実施例6のトリプルセグメントタイプのフィルターを示す図。
図11は、本発明の他の実施例におけるフィルターを示す図。
Claims (9)
- 金属水酸化物の八面体層が多数積層された層状構造を呈するハイドロタルサイト類化合物を添加したことを特徴とする喫煙用フィルター。
- 前記ハイドロタルサイト類化合物は、下記一般式
M2+ 1−xM3+ x(OH)2(An−)x/n・mH2O
(ここで、M2+はMg、Zn、NiおよびCaからなる群より選択される2価の金属イオン、M3+はAlイオン、An−はCO3、SO4、OOC−COO、Cl、Br、F、NO3、Fe(CN)6 3−、Fe(CN)6 4−、フタル酸基、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、アルケニル酸およびその誘導体、リンゴ酸、サリチル酸、アクリル酸、アジピン酸、コハク酸、クエン酸ならびにスルホン酸からなる群より選択されるn価のアニオンであり、0.1<x<0.4、0<m<2である)
で表されることを特徴とする請求項1記載の喫煙用フィルター。 - 繊維のトウまたは不織布シートに平均粒子径が200〜800μmであるハイドロタルサイト類化合物を分散させたことを特徴とする請求項1記載の喫煙用フィルター。
- 前記繊維がセルロースアセテートからなることを特徴とする請求項3記載の喫煙用フィルター。
- 平均粒子径が10μm以下のハイドロタルサイト類化合物を加えて抄紙したペーパーシートを成形したことを特徴とする請求項1記載の喫煙用フィルター。
- 複数のフィルターセグメントを有し、少なくとも1つのフィルターセグメントがハイドロタルサイト類化合物を含有することを特徴とする請求項1記載の喫煙用フィルター。
- ハイドロタルサイト類化合物を含有するフィルターセグメントに加えて、チャコールフィルターセグメントを有することを特徴とする請求項6記載の喫煙用フィルター。
- 複数のフィルターセグメントと、フィルターセグメント間に設けられたスペースに充填されたハイドロタルサイト粒子とを有することを特徴とする請求項1記載の喫煙用フィルター。
- 請求項1乃至8のいずれかに記載の喫煙用フィルターと、たばこロッドとを接続したことを特徴とする喫煙物品。
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