JPWO2003040367A1 - 遺伝子増幅反応で合成されたオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法、自己集合体及び遺伝子の検出方法 - Google Patents
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Abstract
特殊な機械や煩雑な操作を用いずに、オリゴヌクレオチドによる自己集合体を形成させる方法、及びその自己集合体の形成方法によって形成された自己集合体、並びにその自己集合体の形成方法を利用して、低コストで簡便に増幅された特定の遺伝子を検出する方法を提供する。オリゴヌクレオチドの自己集合反応による自己集合体の形成方法において、該オリゴヌクレオチドとして遺伝子増幅反応により合成されたオリゴヌクレオチドを含有する。上記オリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法を用いて自己集合体を形成させ、形成された自己集合体を検出することにより、上記遺伝子増幅反応で合成されたオリゴヌクレオチドを検出する。
Description
技術分野
本発明は、遺伝子増幅反応で合成されたオリゴヌクレオチドを用いた自己集合体の形成方法、形成された自己集合体、及びそれを利用した遺伝子の検出方法に関する。
背景技術
近年、微量のターゲット遺伝子の検出を目的に遺伝子を増幅する各種遺伝子増幅法が開発されている。中でも耐熱性核酸合成酵素を使用するPolymerase chainreaction法(United States Patent No.4,683,195、USP 4,683,202、以下、PCR法と称する)や耐熱性核酸連結酵素を使用するLigase chain reaction法(USP 5,792,607、以下、LCR法と称する)、及び、鎖置換型核酸合成酵素を使用する Strand Displacement Amplification法(日本特許第2076096号、以下、SDA法と称する)やIsothermal and Chimeric primer−initiated Amplification of Nucleic acids法(WO 00/56877、以下、ICAN法と称する)はそれぞれ核酸を合成する酵素の特徴を利用して開発された遺伝子の増幅法である。
これらの遺伝子増幅法は、遺伝子の特定部位のみを繰り返し複製する反応であり、その特定部位からなる遺伝子断片が増幅されるものである。そのため遺伝子増幅法による増幅産物は直鎖状の遺伝子の断片であるため、簡便に検出することが困難であり、現在市販されている遺伝子診断キットにおける遺伝子の検出法においては、主にEIA(エンザイム・イムノ・アッセイ)との組み合わせによる検出、又は、あらかじめ蛍光物質を遺伝子に標識して標的遺伝子を検出している。
しかし、EIAや蛍光物質を遺伝子に標識した測定では、特殊な機械と試薬が必要であり、操作も煩雑で判定するまでに1時間以上の時間を要しており、既存の遺伝子増幅法により増幅された遺伝子を簡便かつ安価で検出可能な方法が望まれていた。
一方、本出願人は、酵素を使用しない新規な等温核酸増幅法(プローブ自己集合体の作製方法)を既に提案した(USP 6,261,846、日本特許第3267576号及びEP1,002,877A)。この方法は、3個所の領域から構成される一対のプローブ(HoneyComb Probe、以下HCPと称する)を用いる方法であり、第1プローブと第2プローブの各々の3個所の領域はお互いに相補的な塩基配列を有し、両者を反応させた場合、領域の1個所のみとハイブリダイズする様に各領域の塩基配列を工夫したものである。この工夫により、複数の一対のプローブを反応させた場合、お互いにハイブリダイズしてプローブの自己集合体を形成させることができる(Probe alternation link self−assembly reaction、以下、PALSAR法と称する)。
発明の開示
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、EIAによる測定のように特殊な機械や試薬を用いずに、オリゴヌクレオチドによる自己集合体を形成させる方法、及びその自己集合体の形成方法によって形成された自己集合体、並びにその自己集合体の形成方法を利用して、低コストで簡便に増幅された特定の遺伝子を検出する方法を提供することを目的とする。
上記問題を解決するため、本発明者らは、さまざまなオリゴヌクレオチドの自己集合体の形成方法について研究を重ねてきた。その結果、遺伝子増幅反応により増幅されたオリゴヌクレオチドを自己集合体の形成のためのオリゴヌクレオチドとして利用することを見出した。増幅されたオリゴヌクレオチドは、自己集合反応によって容易に集合体を形成できるために、特別な機器を用いることなく遺伝子を検出することが可能になった。
本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法は、オリゴヌクレオチドの自己集合反応による自己集合体の形成方法であって、該オリゴヌクレオチドとして遺伝子増幅反応により合成されたオリゴヌクレオチドを含有することを特徴とする。
上記自己集合体の形成方法の一例として、お互いに相補的な塩基配列領域がn(n≧3)カ所の数から構成される一対のオリゴヌクレオチド・プローブ(以下、HCPと称す場合がある)の複数対を用いて、互い違いに交差するようにハイブリダイゼーションさせることにより、オリゴヌクレオチドが自己集合して自己集合体を形成させることができる。
上記一対のオリゴヌクレオチド・プローブの少なくとも一方を、前記n(n≧3)カ所の領域を含有する遺伝子増幅反応により合成されたオリゴヌクレオチドを用いることができる。
上記一対のオリゴヌクレオチド・プローブの構成は、1対1でハイブリダイゼーションする時に必ずn(n≧3)カ所の相補的な部分の中で、1カ所ずつが特異的にハイブリダイゼーションするように構成される。
また、上記一対のオリゴヌクレオチド・プローブの複数対は、該塩基配列領域が少なくとも1カ所異なるm(m≧2)種の一対のプローブを用いることができる。
上記自己集合体の形成方法の別の例として、No.1及びNo.2の一対のオリゴヌクレオチドの各オリゴヌクレオチドを3’側領域、中央領域、及び5’側領域の3つの領域に分け、各オリゴヌクレオチドの中央領域を互いに相補的な塩基配列とし、3’側領域及び5’側領域を互いに非相補的な塩基配列とした複数対のダイマー形成用プローブを含む第1番目の系から第(2n−1)番目(n≧1)の系まで順番にn個形成されたダイマー形成用プローブ含有系と、
No.1及びNo.2の一対のオリゴヌクレオチドの各オリゴヌクレオチドを3’側領域及び5’側領域の2つの領域に分け、各オリゴヌクレオチドの3’側領域及び5’側領域を互いに非相補的な塩基配列とした複数対の架橋プローブをそれぞれ含む第2番目の系から第2n番目の系まで順番にn個形成された架橋プローブ含有系とを有し、
該架橋プローブを、該ダイマー形成用プローブより形成されるダイマーを架橋することが可能な塩基配列とし、
該プローブをハイブリダイゼーションさせることにより、オリゴヌクレオチドが自己集合し、自己集合体を形成させることができる。
上記複数対のダイマー形成用プローブ及び複数対の架橋プローブの少なくとも一つを、遺伝子増幅反応により合成されたオリゴヌクレオチドを用いることができる。
上記自己集合体の形成方法の別の例において、n=1の場合、第1の系のダイマープローブと第2の系の架橋プローブの相補的な塩基配列の組み合わせは、2通り存在する。n=1の場合の1例として、上記プローブの塩基配列を、
第1の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第2の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
第1の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第2の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
第2の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第1の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
第2の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第1の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
をそれぞれ相補的な塩基配列としたものを用いることができる。
n=1の場合の別の例として、上記プローブの塩基配列を、
第1の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第2の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
第1の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第2の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
第1の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第2の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
第1の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第2の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
をそれぞれ相補的な塩基配列としたものを用いることができる。
上記自己集合体の形成方法の別の例において、n≧2の場合、第1、第3、・・、第(2n−1)の系のダイマー形成用プローブと第2、第4、・・、第2nの系の架橋プローブの相補的な塩基配列の組み合わせは、2通り存在する。n≧2の場合の1例として、上記プローブの塩基配列を、
第(2n−3)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第(2n−2)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
第(2n−3)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第(2n−2)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
第(2n−2)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第(2n−1)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
第(2n−2)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第(2n−1)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
ダイマー形成用プローブの最後の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域と架橋プローブの最後の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
ダイマー形成用プローブの最後の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域と架橋プローブの最後の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
架橋プローブの最後の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第1番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
架橋プローブの最後の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第1番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
をそれぞれ相補的な塩基配列としたものを用いることができる。
n≧2の場合の別の例として、上記プローブの塩基配列を、第(2n−3)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第(2n−2)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
第(2n−3)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第(2n−2)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
第(2n−2)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第(2n−1)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
第(2n−2)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第(2n−1)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
ダイマー形成用プローブの最後の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域と架橋プローブの最後の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
ダイマー形成用プローブの最後の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域と架橋プローブの最後の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
架橋プローブの最後の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第1番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
架橋プローブの最後の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第1番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
をそれぞれ相補的な塩基配列としたものを用いることができる。
上記プローブのハイブリダイゼーションを、あらかじめ上記ダイマー形成用プローブからダイマーを形成させた後、上記架橋プローブと該ダイマーをハイブリダイゼーションさせることが好ましい。
上記複数対のダイマー形成用プローブは、前記中央領域の異なるm(m≧2)種のダイマー形成用プローブを用いることができる。
上記一対のダイマー形成用プローブの3’側領域及び/又は5’側領域を互いに同一な塩基配列とすることができる。
上記架橋プローブの少なくとも一つを、上記架橋プローブの2つの領域を含有する遺伝子増幅反応により合成されたオリゴヌクレオチドを用いることができる。
上記遺伝子増幅反応により合成されたオリゴヌクレオチドとして、それぞれ第(2n−1)の系のオリゴヌクレオチドの5’領域及び3’領域と相補的な領域を2箇所ずつ有する、少なくとも4箇所の領域からなるお互いに相補的な遺伝子断片を用いることができる。
上記HCP、ダイマー形成用プローブ及び架橋プローブのような自己集合体形成に用いられるオリゴヌクレオチド・プローブ(以下、単にプローブと称す場合がある)は、DNA、RNA、PNAまたはLNAのいずれかから選ばれる塩基から構成される。
上記プローブの相補的塩基配列領域の端部に、少なくとも1つのG(グアニン)またはC(シトシン)を配置させ、上記プローブがハイブリダイズした際に少なくとも1つのG−C結合を相補的塩基配列領域の端部に形成させることにより、塩基の積み重ね(stacking of base)により塩基のπ電子の特殊な相互作用を生じさせ、より安定したオリゴヌクレオチドによる自己集合体を形成させることができる。
上記遺伝子増幅反応により増幅されたオリゴヌクレオチドとして、第1に、耐熱性核酸合成酵素を用いた遺伝子増幅反応により増幅されたものが用いられる。
上記遺伝子増幅反応により増幅されたオリゴヌクレオチドとして、第2に、耐熱性核酸連結酵素を用いた遺伝子増幅反応により増幅されたものが用いられる。
上記遺伝子増幅反応により増幅されたオリゴヌクレオチドとして、第3に、鎖置換型核酸合成酵素を用いた遺伝子増幅反応により増幅されたものが用いられる。
上記遺伝子増幅反応で合成されたオリゴヌクレオチドとして、二本鎖のDNA及び/又はRNAからなるオリゴヌクレオチド断片を用いることができる。
また、上記遺伝子増幅反応で合成されたオリゴヌクレオチドとして、一本鎖のDNA及び/又はRNAのからなるオリゴヌクレオチド断片を用いることができる。
前記遺伝子増幅反応に用いられる増幅用のプローブ(以下、増幅用プローブと称すこともある)として、DNA、RNA、又はDNAとRNAから構成されるキメラ型プローブが挙げられる。
上記遺伝子増幅反応に用いる増幅用プローブは、一対の増幅用プローブの少なくとも一方にメチル化された塩基を有する増幅用プローブを用いることが好ましい。メチル化された塩基の位置は、増幅用プローブの5’末端〜5’末端周辺や3’末端〜3’末端周辺が好ましく、さらに好ましくは各末端から5塩基以内である。本発明において、5’末端及び5’末端周辺を5’末端側、3’末端及び3’末端周辺を3’末端側と称す。一対の増幅用プローブは、一方のプローブのみがメチル化されたものを用いてもよく、両方のプローブがメチル化されたものを用いてもよい。また、5’末端側及び3’末端側を共にメチル化してもよく、いずれかの末端側のみをメチル化したものを用いてもよい。また、DNAとRNAからなるキメラプローブを増幅用プローブとして用いる場合DNA領域及び/又はRNA領域の末端側をメチル化したものを用いることも可能であり、本発明に含まれるものである。
上記遺伝子増幅反応で合成されたオリゴヌクレオチドに、ターゲット遺伝子と相補的な領域を有するオリゴヌクレオチドを予め該相補的領域で切断し、ライゲーション反応により連結されたものを用いることが好ましい。
上記遺伝子増幅反応で合成されたオリゴヌクレオチドを核酸分解酵素で分解することが好適である。
上記核酸分解酵素として、エキソヌクレアーゼ、RNase H、制限酵素等を用いることが好ましい。
本発明の自己集合体は、上記オリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法を用いて形成されるものである。
本発明の遺伝子の検出方法は、上記オリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法を用いて自己集合体を形成させ、形成された上記自己集合体を検出することにより、前記遺伝子増幅反応で合成されたオリゴヌクレオチドを検出することを特徴とする。
上記遺伝子増幅反応において増幅されるターゲット遺伝子に二本鎖のDNA及び/またはRNAを用いることが可能である。
上記遺伝子増幅反応において増幅されるターゲット遺伝子に一本鎖のDNA及び/またはRNAを用いることが可能である。
上記遺伝子増幅反応において増幅されるターゲット遺伝に一塩基多形を用いることができる。
発明を実施するための最良の形態
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明するが、これらの実施の形態は例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
本発明は、遺伝子増幅方法で合成されたオリゴヌクレオチドを用いて等温で酵素不在の条件下で自己集合反応をさせることにより二本鎖の自己集合体を形成させるものである。
使用するプローブの本数は、特に限定されないが、102〜1015本の範囲で用いられる。反応緩衝液の組成、濃度は特に限定されず、核酸増幅に常用される通常の緩衝液が好適に使用できる。pHも常用の範囲で好適であり、好ましくはpH7.0〜pH9.0の範囲のものが使用できる。反応温度は40〜90℃、好ましくは55〜70℃である。これら条件は特に限定されない。
プローブを構成する核酸は、通常DNA又はRNAで構成されるが、核酸類似体でも構わない。核酸類似体として、たとえば、ペプチド核酸(PNA、WO 92/20702)やLocked Nucleic Acid(LNA、Koshkin AA et al.Tetrahedron 1998.54,3607−3630.,Koshkin AA et al.J.Am.Chem.Soc.1998.120,13252−13253.,Wahlestedt C et al.PNAS.2000.97,5633−5638.)が挙げられる。また、プローブは、通常、同じ種類の核酸で構成されるが、たとえばDNAプローブとRNAプローブが一対になっても差し支えない。即ち、プローブの核酸の種類はDNA、RNAまたは核酸類似体(たとえばPNAやLNA等)から選択することができる。また、一つのプローブ内での核酸組成は一種類、たとえばDNAのみから構成される必要はなく、必要に応じて、例えば、DNAとRNAとなら構成されるプローブ(キメラプローブ)を使用することも可能であり、本発明に含まれる。
また、プローブの各領域の長さは、塩基数にして、少なくとも5塩基であり、好ましくは少なくとも8塩基、さらに好ましくは10塩基〜100塩基、さらに好ましくは10〜40塩基である。
上記遺伝子増幅方法は特に限定されず、例えば、PCR法、SDA法、ICAN法、NASBA法、TMA法、3SR法、LCR法等の既存の遺伝子増幅法により増幅された2本鎖もしくは1本鎖のDNA及び/又はRNAを自己集合反応用のオリゴヌクレオチドとして用いることができる。
図1は、PALSAR法による一対のHCP(No.1プローブ及びNo.2プローブ)を用いた自己集合体の形成方法の一例を示す模式図である。同図において、No.1プローブは、X1領域、X2領域及びX3領域を有し、No.2プローブは、X’1領域、X’2領域及びX’3領域を有している[図1(a)]。このNo.1プローブとNo.2プローブは、両者をハイブリダイゼーションさせたとき、X1領域はX’1領域とだけ結合し、X2領城はX’2領域とだけ結合し、X3領域はX’3領域とだけ結合するような構成とされており、3つの結合パターンで一対のプローブが互い違いにハイブリダイゼーションする。[図1(b)]。
3つの結合パターンで互い違いにハイブリダイゼーションした一対のHCPの複数対は、図1(c)に模式的な一例を示したように、PALSAR法の原理に従い、オリゴヌクレオチドの自己集合により、二本鎖の自己集合体を形成させることができる。
図1は、相補的な塩基配列領域が3箇所からなるHCPについて説明したが、相補的な塩基配列領域を4箇所以上有するHCPを用いた場合についても同様に自己集合体を形成させることができる。
上記HCPを用いた自己集合体の形成方法において、異なる相補的領域を有する2種以上のHCPを用いることもできる。図2は、相補的な領域が3箇所からなる2種の一対のHCP(No.3及びNo.4プローブ、No.5及びNo.6プローブ)より形成された自己集合体の検出方法の一例を示す。同図において、No.3プローブは、X領域、α領域及びZ領域を有し、No.4プローブは、X’領域、α’領域及びZ’領域を有している[図2(a)]。また、No.5プローブは、X領域、β領域及びZ領域を有し、No.6プローブは、X’領域、β’領域及びZ’領域を有している[図2(b)]。図2に示すように、2組のHCPは、相補領域が1箇所異なるHCPである。各プローブは、両者をハイブリダイゼーションさせたとき、X領域はX’領域とだけ結合し、Z領域はX’領域とだけ結合し、α領域はα’領域とだけ結合し、β領域はβ’領域とだけ結合するような構成とされている。2組のHCPはそれぞれ、α領域とα’領域もしくはβ領域とβ’領域がハイブリダイズし、ダイマーを形成することができ、これらダイマー[図2(c)]よりPALSAR法の原理に従い、オリゴヌクレオチドの自己集合により、二本鎖の自己集合体を形成させることができる[図2(d)]。
図3は、PALSAR法によるダイマー形成用プローブ及び架橋プローブを用いた自己集合体の形成方法の一例を示す模式図である。図3に示した如く、第1の系の一対のダイマー形成用プローブは、一対のオリゴヌクレオチドを3つの領域に分け、中央領域を互いに相補的な領域とするとともに、3’側領域及び5’側領域を互いに非相補的な塩基配列とし、ダイマープローブを形成する[図3(a)]。第2の系の一対の架橋プローブは、一対のオリゴヌクレオチドを3’側領域及び5’側領域の2つの領域に分け、各領域を互いに非相補的な塩基配列とし、3’側領域は、ダイマー形成用プローブの3’側領域と、5’側領域はダイマー形成用プローブの5’側領域と、それぞれ相補的な塩基配列とする[図3(b)]。第1の系のダイマープローブに対して、第2の系の架橋プローブが架橋するようにハイブリダイゼーションさせることにより、オリゴヌクレオチドが自己集合し、二本鎖の自己集合体を形成する[図3(c)]。
図4は、PALSAR法によるダイマー形成用プローブと架橋プローブを用いた自己集合体の形成方法の別の例を示す模式図である。ダイマー形成用プローブと架橋プローブの5’側領域及び3’側領域の相補的領域の組み合わせとしては、図3の組み合わせを図4に示した如く変更することも可能である。
図3及び図4において、第1の系からなるダイマー形成用プローブと第2の系からなる架橋プローブを用いた自己集合体の形成方法について説明したが、図5及び図6に示した如く、第1、3、・・(2n−1)の系からなるダイマー形成用プローブと第2、4、・・2nの系からなる架橋プローブを用いて自己集合体を形成させることもできる。図5は、n≧2の場合の自己集合体の形成方法の一例を示した図であり、図6は、n≧2の場合の自己集合体の形成方法の別の例を示した図である。
上記ダイマー形成用プローブ及び架橋プローブを用いた自己集合体の形成方法において、非相補的な塩基配列とは、お互いにハイブリダイズしない塩基配列であれば、いかなるものでもよく、同一な塩基配列も非相補的な塩基配列に含まれるものである。
上記ダイマー形成用プローブの構成は、各系のダイマー形成用プローブが1種類のものでもよく、1つの系に中央領域の異なる数種類のダイマー形成用プローブを含んでいてもよく、特に限定されない。更にはお互いに完全に相補性のないダイマー形成用プローブ及び架橋プローブのセットを、2組以上同時におこなってもよい。
上記ダイマー形成用プローブ及び架橋プローブを用いた自己集合体の形成方法において、ダイマー形成用プローブからダイマーを形成させる時期は、ダイマー形成前のダイマー形成用プローブと架橋プローブを同時に反応させても良く、あらかじめダイマー形成用プローブによりダイマーを形成させた後に架橋プローブと反応させても良く、特に限定されないが、あらかじめダイマーを形成させた後、架橋プローブと反応させ、自己集合体を形成させる方がより好適である。
本発明のオリゴヌクレオチドにより自己集合体の形成方法は、上記自己集合体の形成方法において、遺伝子増幅反応により合成されたオリゴヌクレオチドを少なくとも一つ、プローブとして用いるものである。
本発明の遺伝子増幅方法で合成されたオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第1の例は、上記PALSAR法において、耐熱性核酸合成酵素又は鎖置換型核酸合成酵素等の既存の遺伝子増幅法により増幅された遺伝子をプローブとして用いるものである。以下、増幅された遺伝子を架橋プローブとして用いる場合について述べる。
図7は、上記オリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第1の例の第1の実施の形態を原理的に示す模式図である。図7に示した如く、既存の遺伝子増幅法により増幅されたお互いに相補的な一対の遺伝子断片を用いて、自己集合体を形成させることができる。まず、図7(a)に示すように、お互いに相補的な遺伝子断片を、4つの領域(A〜D領域及びA’〜D’領域)にわける。更に、一対のオリゴヌクレオチドの各5’側の2領域(A領域及びB領域、C’領域及びD’領域)を選択し、選択した2領域のうち5’側に位置する領域(A領域、D’領域)を架橋プローブの5’側領域に、3’側に位置する領域(B領域、C’領域)を架橋プローブの3’側領域として、それに対応する一対のダイマー形成用プローブを、図7(b)に示す如く作製する。遺伝子断片にはそれぞれ、3’側領域にダイマー形成用プローブの各領域とハイブリダイズしない余分な配列(C領域及びD領域、A’領域及びB’領域、以下タグと称することもある)が存在するが、一対の遺伝子断片は、一対のダイマー形成用プローブから成るダイマープローブに架橋するようにハイブリダイズし、PALSAR法の原理に従い、オリゴヌクレオチドが自己集合し、二本鎖の自己集合体が形成される[図7(c)]。
図8は、上記オリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第1の例の第2の実施の形態を原理的に示す模式図である。図8(a)及び(b)に示した如く、一対の遺伝子断片に対し、各3’側の2領域(C領域及びD領域、A’領域及びB’領域)を一対の架橋プローブの5’側領域及び3’側領域として用いることができる。この場合、遺伝子断片にはそれぞれ、5’側領域にダイマー形成用プローブの各領域とハイブリダイズしない余分な配列(A領域及びB領域、C’領域及びD’領域)が存在する。この一対の遺伝子断片は、一対のダイマー形成用プローブから成るダイマープローブに架橋するようにハイブリダイズし、PALSAR法の原理に従い、オリゴヌクレオチドが自己集合し、二本鎖の自己集合体が形成される[図8(c)]。
図9は、上記オリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第1の例の第3の実施の形態を原理的に示す模式図である。図9(a)及び(b)に示した如く、一対の遺伝子断片に対し、隣接しない2領域(A領域及びB領域、D’領域及びC’領域)を一対の架橋プローブの5’側領域及び3’側領域として用いることができる。この場合も、図9(c)に示した如く、一対の遺伝子断片が、一対のダイマー形成用プローブから成るダイマープローブに架橋するようにハイブリダイズし、PALSAR法の原理に従い、オリゴヌクレオチドが自己集合し、二本鎖の自己集合体が形成される。
また、既存の遺伝子増幅法により増幅された一対の遺伝予断片を5領域以上に分け、そのうちの2領域ずつをダイマープローブと架橋する2領域として用いることも可能である。
図10は、上記オリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第1の例の第4の実施の形態を原理的に示す模式図である。図10(a)に示すように、お互いに相補的な遺伝子断片を、5つの領域(A〜E領域及びA’〜E’領域)にわける。更に、一対のオリゴヌクレオチドの各5’側の2領域(A領域及びB領域、C’領域及びD’領域)を選択し、選択した2領域のうち5’側に位置する領域(A領域、D’領域)を架橋プローブの5’側領域に、3’側に位置する領域(B領域、C’領域)を架橋プローブの3’側領域として、それに対応する一対のダイマー形成用プローブを、図10(b)に示す如く作製する。遺伝子断片にはそれぞれ、3’側領域にダイマー形成用プローブの各領域とハイブリダイズしない余分な配列(E、C及びD領域、A’、B’及びE’領域)が存在するが、一対の遺伝子断片は、一対のダイマー形成用プローブから成るダイマープローブに架橋するようにハイブリダイズし、PALSAR法の原理に従い、オリゴヌクレオチドが自己集合し、二本鎖の自己集合体が形成される[図10(c)]。
上記した如く、お互いに相補的な一対の遺伝子断片をPALSAR法の架橋プローブとして用いることが可能である。遺伝子断片の各領域のうち、どの2領域をダイマープローブとハイブリダイズする領域とするかは、特に限定されず、2領域が隣接していて良く、隣接していなくても良い。また、遺伝子断片の末端に必ずしも存在しなくても良い。
本発明に係るオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法において、既存の遺伝子増幅反応により増幅された遺伝子断片を、あらかじめ酵素等を用いてダイマー形成用プローブと非相補的な領域を切断しておき、切断された一対の遺伝子断片を架橋プローブとして用いて、PALSAR法の原理に従い、自己集合体を形成させることが好ましい。
切断された遺伝子断片による自己集合体の形成方法を、図11〜図13に示す。図11及び図12は、それぞれ図7及び図10の一対の遺伝子断片を切断した場合の自己集合体の形成方法を示す。図13は、ダイマー形成用プローブと架橋プローブの相補的領域を図4に示す組み合わせとした場合での、一対の遺伝子断片を切断した場合の自己集合体の形成方法を示す。ダイマープローブに架橋しない余分な領域を切断することにより、自己集合体の形成効率を高めることができる。
遺伝子断片の切断方法は、特に限定されないが、制限酵素やRNase Hなどの酵素を用いることが好ましい。
本発明に係るオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法において、ダイマー形成用プローブからダイマープローブを形成させる時期は、ダイマー形成前のダイマー形成用プローブと遺伝子断片を同時に反応させても良く、あらかじめダイマー形成用プローブによりダイマープローブを形成させた後に遺伝子断片と反応させても良く、特に限定されないが、あらかじめダイマープローブを形成させた後、自己集合体を形成させる方がより好適である。
本発明に係るオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法は、上記ダイマー形成用プローブから形成されるダイマープローブと同様なダイマープローブと、架橋プローブを架橋するようにハイブリダイゼーションさせ、自己集合体を形成させる自己集合体の形成方法を含むものである。
本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法に用いる一対の遺伝子断片は、2本共に遺伝子増幅反応により増幅された遺伝子断片である必要はなく、例えば、図14に示す如く、架橋プローブとして用いる一対の遺伝子断片のうち、一方を既存の遺伝子増幅法により増幅された遺伝子断片[図14(a)]を用い、もう一方をあらかじめ作製しておいた遺伝子断片[図14(c)]を用いることも可能である。これら一対の遺伝子断片とそれに対応する一対のダイマー形成用プローブ[図14(b)]をハイブリダイゼーションさせることにより、自己集合体が形成する[図14(d)]。用いる遺伝子断片は、上記した如く、それぞれダイマープローブと架橋するようにハイブリダイズする2領域を含むものであれば特に限定されない。図14(a)において、好適な例として、ダイマープローブとそれぞれ架橋するA領域とB領域、さらにいずれともハイブリダイズしないY領域からなる一本鎖の遺伝子断片を示したが、Y領域は、いかなる配列でも良く、特に限定されないものである。上記したように、余分なタグを含む遺伝子断片の場合は、そのまま用いてもよいが、その領域を切断後、自己集合体を形成させることがより好ましい。
既存の遺伝子増幅法では、大過剰のプライマー等の増幅用プローブを用いて遺伝子増幅を行うため、増幅後の溶液には増幅された遺伝子断片と共に、過剰の増幅用プローブが存在する。この過剰の増幅用プローブ存在下では、自己集合体形成の効率が低下するなど、問題が生じやすい。この増幅用プローブを除去し、自己集合体形成の効率を高める方法として、エキソヌクレアーゼ(例えば、Exonuclease IやExonuclease VII等)もしくはRNAからなる増幅用プローブ及びRNase Hを用いることが好ましい。増幅用RNAプローブ及びRNase Hを用いた場合、自己集合体形成反応のプローブとして用いられるターゲット遺伝子として、耐熱性DNA合成酵素で増幅された遺伝子断片や、鎖置換型DNA合成酵素で増幅された遺伝子断片を好適に用いることができる。耐熱性DNA合成酵素としては、KOD Dash(TOYOBO社製)などが好適に用いられる。図15及び図16に、耐熱性DNA合成酵素、増幅用RNAプローブ及びRNase Hを用いた自己集合体の形成方法の模式図を示す。
図15(a)に示した如く、一対の増幅用RNAプローブを用いてDNAを増幅すると、DNA(A’、B’領域、C、D領域)とRNA(X領域、Y領域)よりなる一対の遺伝子断片が増幅される[図15(a)及び図16(b)]。この増幅後の溶液にRNase Hを加えて反応させることにより、遺伝子断片のRNA領域部分と増幅用RNAプローブが加水分解される。図16(c)に示した如く、RNase H処理後の一対の遺伝子断片を2領域に分けることにより、お互いに非相補的な2領域からなる一対の架橋プローブが形成される。RNase H処理後の一対の遺伝子断片に相補的領域が残らないように増幅用RNAプローブを構成することが好ましいが、特に限定されるものではなく、お互いに相補的な領域を含む場合も本発明に含まれる。上記一対の架橋プローブが、あらかじめ作製しておいた、架橋プローブに対応するダイマープローブ[図16(d)]に架橋するようにハイブリダイズし、自己集合体を形成する[図16(e)]。上記方法により、増幅用プローブを除去し、且つ、ダイマープローブに架橋しない余分な配列を削除し、自己集合体形成の効率を高めることができる。
本発明の遺伝子増幅反応で合成されたオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第2の例は、上記PALSAR法において、耐熱性核酸連結酵素により連結された、末端側の塩基がメチル化されているオリゴヌクレオチド(以下、メチル化プローブと称すことがある)をプローブとして用いるものである。ターゲット遺伝子と相補的な領域を有するメチル化プローブを用いて、ターゲット遺伝子と相補的な領域をあらかじめ切断しておき、ターゲット遺伝子の存在下で耐熱性リガーゼ酵素により切断された遺伝子を連結反応させる。連結反応後はエキソヌクレアーゼを用いて自己集合反応の競合物質となる未反応のメチル化プローブを分解することを特徴とする。遺伝子増幅反応に用いるオリゴヌクレオチドのメチル化した塩基を図17に示す。以下、増幅された遺伝子をダイマー形成用プローブとして用いる場合について一例を述べる。
図18〜図21は、上記オリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第2の例の実施の形態を原理的に示す模式図である。図18に示した如く、第1の系のダイマー形成用プローブと、第2の系の架橋プローブを用いた自己集合体の形成方法において、図18(a)(b)に示すように、ターゲット遺伝子[図18(a)]から、ターゲット遺伝子と相補的な領域(α’及びβ’領域、α及びβ領域)を中央領域に有するダイマー形成用プローブを作製し、5’末端側と3’末端側の塩基をメチル化し、さらにターゲット遺伝子と相補的な中央領域をあらかじめ切断しておく[図18(b)]。図19(c)に示した如く、切断されたダイマー形成用プローブは、ターゲット遺伝子とハイブリダイゼーションした後、図19(d)に示すように、耐熱性リガーゼ酵素により、ダイマー形成用プローブが連結される。この一連の反応をサーマルサイクラーにより繰り返し、連結されたダイマー形成用プローブを増やす。その後、核酸分解酵素、例えばExonuclease VII等のエキソヌクレアーゼ、を加えると、ターゲット遺伝子が存在し、ダイマー形成用プローブが連結されている場合、図20(e)に示したように、連結されたダイマー形成用プローブの両端の塩基はメチル化されているために分解されないが、ターゲット遺伝子が存在せず、ダイマー形成用プローブが切断されたまま存在する場合、連結されていないダイマー形成用プローブ[図20(f)]は切断されている部分がメチル化されていないために完全に分解されてしまい、自己集合体も形成されない[図21(h)]。連結されたダイマー形成用プローブは、別に用意した架橋プローブを加えることにより自己集合体を形成することができる[図21(g)]。従って、自己集合体の形成を確認することにより、自己集合体の存在を確認することができる。
本発明の遺伝子増幅反応で合成されたオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第3の例は、上記PALSAR法において、末端側の塩基がメチル化された増幅用プローブ及び耐熱性核酸合成酵素を用いて増幅されたオリゴヌクレオチドをプローブとして用いるものである。少なくとも一方の増幅用プローブの3’末端側の塩基をメチル化し、5’末端側の塩基をリン酸化して、耐熱性DNA合成酵素による遺伝子増幅用のプローブとして使用する。遺伝子増幅後はエキソヌクレアーゼを用いて自己集合反応の競合物質となる過剰に存在する増幅用プローブを分解することを特徴とする。以下に、増幅された遺伝子(以下、合成プローブと称すこともある)を架橋プローブもしくはHCPとして用いる場合について説明する。
図22〜図27は、上記オリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第3の例の第1の実施の形態を原理的に示す模式図である。図22(a)に示したターゲット遺伝子の実線部分と相補的で3’末端側の塩基がメチル化されたプローブ[図22(b)]を用意する。次にターゲット遺伝子にメチル化した増幅用プローブをアニーリング[図23(c)]させ、耐熱性DNA合成酵素によりDNAを合成させる[図23(d)]。この一連の反応をサーマルサイクラーにより繰り返し[図24(e),(f)]、増幅された合成プローブを増やし[図25(g)]、核酸分解酵素、例えばT7 Gene 6 Exonuclease等のエキソヌクレアーゼ、を加えることにより、図25(h)に示したように増幅された合成プローブは5’側からメチル化されている塩基の前まで分解される。分解された合成プローブ[図26(i)]は、一対の架橋プローブ[図26(j)]もしくは2種の一対のHCPの一方[図26(k)]として用いることが可能であり、別に用意したダイマー形成用プローブ、又はもう一方のHCPを加えることにより自己集合体を形成することができる。
また、図27(l),(m)に示したように、分解された合成プローブはさらに未反応プローブとハイブリダイゼーションさせた後、酵素処理をすることにより、より完全に5’側からメチル化されている塩基の前まで分解することができる[図27(n)]。
図28〜図33は、上記オリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第3の例の第2の実施の形態を原理的に示す模式図である。図28はメチル化された増幅用プローブを用いた耐熱性DNA合成酵素による遺伝子増幅と自己集合体の形成である。図28(a)に示したターゲット遺伝子の実線部分と相補的であり、かつ一方の3’末端側の塩基のみがメチル化された増幅用プローブ[図28(b)]を用意する。次にターゲット遺伝子に増幅用プローブをアニーリング[図29(c)]させ、耐熱性DNA合成酵素によりDNAを合成させる[図29(d)]。この一連の反応をサーマルサイクラーにより繰り返し[図30(e),(f)]、増幅された合成プローブを増やし[図31(g)]、核酸分解酵素、例えばT7 Gene 6 Exonuclease等のエキソヌクレアーゼ、を加えることにより、図31(h)に示したように増幅されたプローブは5’側からメチル化されている塩基の前まで分解される。分解された合成プローブ[図32(i)]は、一対の架橋プローブの一方[図32(j)]もしくは一対のHCPの一方[図32(k)]として用いることが可能であり、別に用意したもう一方の架橋プローブ及び一対のダイマー形成用プローブ、又はもう一方のHCPを加えることにより自己集合体を形成することができる。
また、図33(l)に示したように、分解された合成プローブはさらに未反応プローブとハイブリダイゼーションさせた後、酵素処理をすることにより、未反応プローブをより完全に分解することができる[図33(m)]。
本発明の遺伝子増幅反応で合成されたオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第4の例は、上記PALSAR法において、DNAとRNAから構成されるキメラ型プローブであり、かつ、RNAと隣接するDNAの3’末端側の塩基がメチル化されたプローブを増幅用プローブとして用いて、鎖置換型DNA合成酵素により増幅された遺伝子(合成プローブ)をプローブとして用いるものである。少なくとも一方の増幅用プローブの3’側の塩基をRNA、5’側の塩基をDNAとし、かつ3’末端側の塩基をメチル化して鎖置換型DNA合成酵素による遺伝子増幅用のプローブとして使用し、遺伝子増幅後はエキソヌクレアーゼを用いて自己集合反応の競合物質となる過剰に存在する増幅用プローブを分解することを特徴とする。以下に、増幅された遺伝子を架橋プローブもしくはHCPとして用いる場合について説明する。
図34〜図39は、上記オリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第4の例の実施の形態の一例を原理的に示す模式図である。ターゲット遺伝子[図34(a)]の実線部分と相補的であり、DNAとRNAから構成され、RNAと隣接するDNAの3’末端側の塩基のみがメチル化された増幅用プローブ[図34(b)]を用意する。次にターゲット遺伝子に上記増幅用プローブをアニーリング[図35(c)]させ、RNase HによりRNA部分を切断し[図35(d)]、鎖置換型DNA合成酵素によりDNAを合成させる[図36(e)]。この一連の反応を等温で繰り返し、増幅された合成プローブを増やし[図36(f),図37(h)]、核酸分解酵素、例えばT7 Gene 6 Exonuclease等のエキソヌクレアーゼ、を加えることにより、図37(i)に示したように増幅された合成プローブは5’側からメチル化されている塩基の前まで分解される。分解された合成プローブ[図38(j)]は、一対の架橋プローブ[図38(k)]もしくは2種の一対のHCPの一方[図38(l)]として用いることが可能であり、別に用意した一対のダイマー形成用プローブ、又はもう一方のHCPを加えることにより自己集合体を形成することができる。
また、図39(m),(n)に示したように、分解された合成プローブはさらに未反応プローブとハイブリダイゼーションした後、酵素処理をすることにより、未反応プローブをより完全に分解することができる[図39(o)]。
本発明の遺伝子増幅反応で合成されたオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第5の例は、上記PALSAR法において、DNAとRNAから構成されるキメラ型プローブを増幅用プローブとして用いて、鎖置換型DNA合成酵素により増幅された遺伝子をプローブとして用いるものである。少なくとも一方の増幅用プローブの3’側の塩基をRNA、5’側の塩基をDNAとして鎖置換型DNA合成酵素による遺伝子増幅用のプローブとして使用する。遺伝子増幅後はエキソヌクレアーゼを用いて自己集合反応の競合物質となる過剰に存在する増幅用プローブを分解することを特徴とする。以下に、増幅された遺伝子(合成プローブ)を架橋プローブもしくはHCPとして用いる場合について説明する。
図40〜図45は、上記オリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第5の例の実施の形態の一例を原理的に示す模式図である。図40(a)に示したターゲット遺伝子の実線部分と相補的であり、DNAとRNAから構成された増幅用プローブ[図40(b)]を用意する。次にターゲット遺伝子に上記増幅用プローブをアニーリング[図41(c)]させ、RNase HによりRNA部分を切断し[図41(d)]、鎖置換型DNA合成酵素によりDNAを合成させる[図42(e)]。この一連の反応を等温で繰り返し、増幅された合成プローブを増やし[図42(f),図43(h)]、核酸分解酵素、例えばT7 Gene 6 Exonuclease等のエキソヌクレアーゼ、を加えることにより、図43(i)に示したように増幅された合成プローブは5’側からRNAの部分まで分解される。分解された合成プローブ[図44(j)]は、一対の架橋プローブ[図44(k)]もしくは2種の一対のHCPの一方[図44(l)]として用いることが可能であり、別に用意した一対のダイマー形成用プローブ、又はもう一方のHCPを加えることにより自己集合体を形成することができる。
また、図45(m),(n)に示したように、分解された合成プローブはさらに未反応プローブとハイブリダイゼーションした後、酵素処理することにより、未反応プローブをより完全に分解することができる[図45(o)]。
上記方法により形成された自己集合体は、一般的なアガロースゲル電気泳動法等によって、簡単に確認することができる。
また、本発明において形成される自己集合体の塩基の積み重ねが規則的な高次構造をとることから、260nmにおける紫外部の吸収帯の強度が減じる「ハイポクロミズム」という淡色効果を発現させて自己集合体の状態を確認することも可能である。
さらには、核酸と結合する性質を持った蛍光物質を加え、その蛍光強度の変化から自己集合体の状態を確認することも可能である。例えば、自己集合体は、オリゴヌクレオチドの二本鎖に挿入して蛍光を発する色素を添加し、セフェイド社のI−CORETM(Smart CyclerTM)等を用いて蛍光の発光状態を観察することにより検出可能である。
上記した如く、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法は、ターゲット遺伝子が存在する場合にのみ自己集合体が形成されるため、形成された自己集合体を検出することにより、ターゲット遺伝子を検出することが可能である。
実施例
以下に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されるものでないことは勿論である。
(実施例1〜16)
以下に実施例1〜16において用いたオリゴヌクレオチド・プローブを示す。
[1]架橋プローブ−1(下線部;余分な配列(タグ)]
[2]架橋プローブ−2(下線部;余分な配列(タグ)]
[3]架橋プローブ−3
[4]架橋プローブ−4
[5]ダイマー形成用プローブ−1
[6]ダイマー形成用プローブ−2
(実施例1〜14)
(1)目的
既存の遺伝子増幅法にて増幅されると予想されるダイマープローブとハイブリダイズしない余分な配列(タグ)をもつ遺伝子断片を架橋プローブとして用いた場合において、ダイマープローブとの自己集合体形成が可能であるか調べた。
(2)材料
(a)架橋プローブとして、既存の遺伝子増幅法にて増幅されると仮定した、互いに相補的な配列をもつ80塩基の合成オリゴヌクレオチド2本(架橋プローブ−1及び架橋プローブ−2)、及びこれらに対応するダイマー形成用プローブ(ダイマー形成用プローブ−1及びダイマー形成用プローブ−2)を作成した。各プローブはそれぞれ100pmol/μLに調製した。
(b)実施例1〜7は、緩衝液として2M−CaCl2溶液を用いた。実施例8〜14は、緩衝液として20×SSC溶液(3M−NaCl、0.3M−C6H5O7Na3・2H2O、実施例8〜14において20×SSC溶液は、3M−NaClとして扱った)を用いた。
(3)方法
(a)反応液の調製
架橋プローブ−1、架橋プローブ−2、ダイマー形成用プローブ−1及びダイマー形成用プローブをそれぞれ0.5μL加えて、緩衝液(2M−CaCl2溶液又は3M−NaCl溶液)及び滅菌再蒸留水を加えて計20μLの反応液を調製した。緩衝液及び滅菌再蒸留水は、反応液中の緩衝液の濃度がそれぞれ1.2M(実施例1、8)、1.0M(実施例2、9)、0.8M(実施例3、10)、0.6M(実施例4、11)、0.4M(実施例5、12)、0.2M(実施例6、13)、0.05M(実施例7、14)となるように添加した。
(b)自己集合体形成反応
サーマルサイクラー(パーキンエルマー社製)を用いて、上記の各反応液をまず94℃/30秒で反応させ、その後70℃/1時間にて反応させることにより自己集合体形成反応を行った。
(c)アガロースゲル電気泳動法による自己集合体の確認
自己集合体形成反応後の反応液8μlに2μlのloading bufferを添加し、2%Nusieve3:1 agarose gel(Bio Whittaker Molecular Applications社製)にて100V、30分間電気泳動を行った。分子サイズマーカーとしてDNA Molwxule Weight Marker XV(ベーリンガー・マンハイム(株)製)を用いた。
(実施例15及び16)
(1)目的
既存の遺伝子増幅法にて増幅し、酵素等にてダイマープローブとハイブリダイズしない余分な配列(タグ)を削除した遺伝子断片を架橋プローブとして用いた場合において、PALSAR法に従い、自己集合体が形成されるか調べた。
(2)材料
(a)架橋プローブとして、実施例1〜14において用いた合成オリゴヌクレオチドからタグを除去した、互いに非相補的な一対のオリゴヌクレオチド(架橋プローブ−3及び架橋プローブ−4)を合成し、架橋プローブとして用いた。ダイマー形成用プローブとして、実施例1〜14において用いたダイマー形成用プローブ−1及びダイマー形成用プローブ−2を用いた。各プローブはそれぞれ100pmol/μLに調製した。
(b)緩衝液は、実施例15では2M−CaCl2溶液を、実施例16では3M−NaCl溶液をそれぞれ用いた。
(3)方法
(a)反応液の調製
架橋プローブ−3、架橋プローブ−4、ダイマー形成用プローブ−1及びダイマー形成用プローブをそれぞれ0.5μL加えて、緩衝液及び滅菌再蒸留水を加えて計20μLの反応液を調製した。緩衝液及び滅菌再蒸留水は、反応液中の緩衝液の濃度が1.2Mとなるように添加した。
(b)自己集合体形成反応
実施例1〜14と同様の手順及び条件にて、自己集合体の形成反応を行った。
(c)アガロースゲル電気泳動法による自己集合体の確認
実施例1〜14と同様の手順及び条件にて、自己集合体の確認を行った。
(4)結果
実施例1〜16の結果を図46に示す。余分な配列(タグ)をもつ架橋プローブの場合、実施例1〜7のCacl2溶液中での反応(レーン1〜7)と、実施例8〜14の20×SSC溶液中での反応(レーン9〜15)を比較してみると、CaCl2溶液中でのみ自己集合体形成がみられた。特に自己集合体形成が顕著であるCaCl2溶液濃度は、0.8M(レーン3)近辺であることがわかった。余分な配列(タグ)を削除した実施例15(レーン8)及び実施例16(レーン16)では、緩衝液によらず、共に自己集合体形成が観察された。これらの結果より、余分な配列(タグ)を削除した架橋プローブの方が自己集合体形成の効率は良いが、お互いに相補的な配列であり、余分な配列(タグ)をもつ架橋プローブにおいてもダイマープローブとの自己集合体形成が可能であることを確認できた。これより、既存の遺伝子増幅法と自己集合体形成反応を組み合わせた系に応用が可能であることが示される。
(実施例17及び比較例1)
以下に実施例17及び比較例1において用いたオリゴヌクレオチド・
[7]ターゲット遺伝子−A(下線部:相補的な領域)
[8]ターゲット遺伝子−B(下線部:相補的な領域)
[9]メチル化プローブ−1(下線部:中央領域)
[10]メチル化プローブ−2(下線部:中央領域)
[11]メチル化プローブ−3(下線部:中央領域)
[12]メチル化プローブ−4(下線部:中央領域)
[13]架橋プローブ−5
[14]架橋プローブ−6
(1)目的
ターゲット遺伝子とのハイブリダイゼーションに依存して連結されるダイマー形成用プローブと、その連結されたダイマー形成用プローブと架橋プローブを用いた自己集合体の形成によるターゲット遺伝子の確認を行った。
(2)材料
(a)ターゲット遺伝子として、MRSAのPBPgene由来の合成オリゴヌクレオチドであるターゲット遺伝子−A及びターゲット遺伝子−Bを用いた。ターゲット遺伝子はそれぞれ1pmol/μLに調製した。
(b)中央領域にターゲット遺伝子−A及びBと相補的な領域を有する一対のダイマー形成用プローブ及び対応する一対の架橋プローブ(架橋プローブ−5,6)を作製し、上記一対のダイマー形成用プローブの5’末端及び3’末端をそれぞれメチル化し、中央領域をそれぞれ切断し、切断部位の5’末端をリン酸化したプローブ(メチル化プローブ−1〜4)を作製した。プローブはそれぞれ50pmol/μLに調製した。
(c)緩衝液として20×SSC(3M−NaCl,0.3M−C6H5O7Na3・2H2O,pH7.0)を用いた。
(3)方法
(a)反応液の調製
0.2mLチューブに、ターゲット遺伝子A及びBを各1μL、メチル化プローブ−1〜4を各1μL、耐熱性リガーゼ酵素(Tsc−Ligase、日本ロシュ社製)を1μL、リガーゼに添付された10×incubation bufferを2μL加え、滅菌蒸留水で20μLの反応液とした(実施例37)。また、対照として、上記反応液に対し、ターゲット遺伝子を添加していない反応液も作製した(比較例1)。
(b)メチル化プローブの耐熱性リガーゼ酵素による遺伝子増幅方法
サーマルサイクラー(パーキンエルマー社製)を用いて、上記の各反応液を95℃で3分間反応させた後、94℃15秒間→63℃4分間を40サイクル行い、ライゲーション反応によるダイマー形成用プローブの増幅を行った。次に、99℃10分間反応させてリガーゼを失活させた後、氷冷を行い形成させたダイマー形成用プローブを1本鎖にした。
(c)エキソヌクレアーゼによる処理
上記反応後の反応液にエキソヌクレアーゼ(Exonuclease VII、usb社製)を1μL添加し、37℃で60分間反応させた。対照として、エキソヌクレアーゼの代わりに滅菌蒸留水を添加した場合についても同様に行った。反応後の反応液を6%変性ポリアクリルアミド(7M Urea)を用いて変性PAGE電気泳動法を行った。
(d)自己集合体の形成方法。
サーマルサイクラー(パーキンエルマー社製)を用いて、上記反応後の各反応液に20×SSC(最終濃度:10×SSC)を加え、94℃/30秒で反応させた後、70℃/1時間にて反応させることにより自己集合体の形成反応を行った。
(e)アガロースゲル電気泳動法による自己集合体の確認
自己集合体形成反応後の反応液8μLに2μLのloading bufferを添加し、2%Nusieve3:1 agarose gel(Bio Whittaker Molecular Applications社製)にて100V、30分間電気泳動を行った。分子サイズマーカーとして、DNAマーカー(λ Hind III digest)を用いた。
(4)結果
実施例17及び比較例1の変性PAGE電気泳動法の結果を図47に示す。図47のレーン1(実施例17、酵素未処理)に示した如く、ターゲット遺伝子が存在する場合、切断されたダイマー形成用プローブが連結され、矢印(a)の位置のバンドが検出された。図47のレーン3(実施例17、酵素処理)に示したように、連結されたダイマー形成用プローブはエキソヌクレアーゼ処理でも分解されないため、レーン1と同じ(a)の位置にバンドが検出された。一方、図47のレーン2(比較例1、酵素未処理)とレーン4(比較例1、酵素処理)に示したように、ターゲット遺伝子が存在しない場合には、切断されたダイマー形成用プローブは連結されず、(a)の位置にバンドは検出されなかった。また、レーン1及び2において、矢印(b)の位置に検出された連結されなかったメチル化プローブは、エキソヌクレアーゼ処理により分解されるため、レーン3及び4においてそのバンドは検出されなかった。
実施例17及び比較例1のアガロースゲル電気泳動法の結果を図48に示す。連結されたダイマープローブは架橋プローブを反応させることにより自己集合体を形成した(図48、レーン1、実施例17)。また、連結されなかった未反応プローブのダイマープローブでは架橋プローブと反応させても自己集合体は形成されなかった(図48、レーン2、比較例1)。
(実施例18及び比較例2)
以下に、実施例18及び比較例2において用いたオリゴヌクレオチ
[15]増幅用プローブ−1(メチル化プローブ)
[16]増幅用プローブ−2(メチル化プローブ)
[17]増幅用プローブ−3(非メチル化プローブ)
[18]増幅用プローブ−4(非メチル化プローブ)
[19]ダイマー形成用プローブ−3
[20]ダイマー形成用プローブ−4
(1)目的
メチル化された増幅用プローブを用いた耐熱性DNA合成酵素による遺伝子増幅と自己集合体の形成による増幅された遺伝子の確認を行った。
(2)材料
(a)テンペレートDNAとして用いたMycobacterium tuberculosisのIS6110領域の塩基配列の一部をターゲット遺伝子として用いた。
(b)ターゲット遺伝子を増幅させる増幅用プローブとして、それぞれ3’末端をメチル化した一対の増幅用プローブ−1及び2(実施例18)、並びにメチル化されていない一対の増幅用プローブ−3及び4(比較例2)を作製した。ダイマー形成用プローブとして、増幅される合成プローブを架橋プローブとして用いるように構成された一対のダイマー形成用プローブ−3及び4を作製した。プローブはそれぞれ50pmol/μLに調製した。
(c)緩衝液として20×SSC(3M−NaCl,0.3M−C6H5O7Na3・2H2O,pH7.0)を用いた。
(3)方法
(a)反応液の調製
0.2mLチューブに、テンペレートDNAを1μL、増幅用プローブ−1及び2をそれぞれ0.5μL、10×PCRバッファー(10×Ex Taq Buffer:宝酒造社製)を5μL、dNTPミックス(dNTP Mixture(2.5mM each):宝酒造社製)を4μL、Taqポリメラーゼ(TaKaRa Ex Taq(5units/μ):宝酒造社製)を0.1μL加え、滅菌蒸留水で50μLのPCR反応液とした(実施例18)。対照として、上記反応溶液において、増幅用プローブ−1及び2の代わりに増幅用プローブ−3及び4を添加したPCR反応液も作製した(比較例2)。
(b)PCR反応
サーマルサイクラー(パーキンエルマー社製)を用いて、上記各PCR反応液を94℃にて1分間処理した後、94℃30秒間→60℃2分間を35サイクル行った。
(c−1)エキソヌクレアーゼによる処理(1)
別の0.2mLチューブに上記PCR反応後の反応液を10μL移し、エキソヌクレアーゼ(T7 Gene 6 Exonuclease、アマシャム ファルマシア バイオテク社製)を0.1μL、5×T7 Gene 6 Exonuclease Buffer(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)を2μL加え、滅菌蒸留水を加えて計13μLの反応液とした。この反応液を37℃で30分間反応させた後、85℃で15分加熱を行い、エキソヌクレアーゼを失活させた。対照として、エキソヌクレアーゼの代わりに滅菌蒸留水を添加した場合についても同様に行った。エキソヌクレアーゼによる処理後、反応液10μLを、16%ポリアクリルアミドゲル(29:1、バイオラッド社製)を用いて電気泳動を行った。電気泳動後、ゲルを臭化エチジウムで染色した。
(c−2)エキソヌクレアーゼによる処理(2)
上記PCR反応後の実施例18の反応液に対し、上記エキソヌクレアーゼ処理(1)の反応条件を37℃/30分間→85℃/15分間の反応から37℃/30分間→57℃/30分間→37℃/30分間→85℃/15分間の反応に変更した以外は同様の条件及び手順にてエキソヌクレアーゼ処理を行った。
(d)自己集合体の形成反応
上記エキソヌクレアーゼ処理(1)及び(2)後の実施例18の各反応液に、ダイマー形成用プローブ−3及び4を各1μL添加し、20×SSCを最終濃度が10×SSCとなるように加え、94℃にて30秒間処理した後、60℃1時間の自己集合体形成反応を行った。
(e)アガロースゲル電気泳動法による自己集合体の確認
実施例17と同様の手順及び条件にて、自己集合体の確認を行った。
(4)結果
実施例18及び比較例2のPAGE電気泳動法の結果を図49に示す。図49において、レーン1は10bp DNA Ladder marker、レーン2は対照に用いた40merの一本鎖オリゴヌクレオチド、レーン3は対照に用いた60merの一本鎖オリゴヌクレオチド、レーン4は比較例2(酵素未処理)、レーン5は実施例18(酵素未処理)、レーン6は比較例2(酵素処理)、レーン7は実施例18(酵素処理)をそれぞれ示した。
図49のレーン5及びレーン7に示した如く、メチル化された増幅用プローブを用いた実施例18では、PCR反応により目的の増幅産物である合成プローブのバンドが40bpの位置に検出され、更にエキソヌクレアーゼ処理を行うことにより40bpのバンドが分解され新たに20bpの位置にバンドが検出された。この20bpのバンドはエキソヌクレアーゼ処理により20merに分解された合成プローブと20merの未反応の増幅用プローブとのハイブリッドである。これによって、メチル化された増幅用プローブを用いた増幅産物をエキソヌクレアーゼ処理することによって相補鎖が分解され、目的の20merの一対の架橋プローブが得られることがわかる。
一方、図49のレーン4及びレーン6に示した如く、対照である非メチル化プローブを増幅用プローブとして用いた比較例2では、PCR反応により目的の増幅産物のバンドが40bpの位置に検出されたが、エキソヌクレアーゼ処理を行うと40bpのバンドが分解されるのみで、新たに別の大きさのバンドは検出されなかった。
実施例18のアガロースゲル電気泳動の結果を図50に示す。レーン1[エキソヌクレアーゼ処理(2)]において、合成プローブの相補鎖となる未反応の増幅用プローブが除去された為、合成プローブとダイマー形成用プローブによる自己集合体の形成が確認された。
一方、合成プローブと未反応の増幅用プローブがハイブリッドを形成した状態でダイマー形成用プローブを添加したレーン2[エキソヌクレアーゼ処理(1)]においては、自己集合体の形成は確認されなかった。
(実施例19及び比較例3〜5)
以下に実施例19において用いたDNA及びRNAからなるオリゴヌ
[21]増幅用キメラプローブ−1(3’側3塩基をRNAとする)
[22]増幅用キメラプローブ−2(3’側3塩基をRNAとする)
(1)目的
キメラ化された増幅用プローブ(DNA及びRNAからなるプローブ)を用いた鎖置換型核酸合成酵素による遺伝子増幅と自己集合体の形成による増幅された遺伝子の確認を行った。
(2)材料
(a)テンペレートDNAとして用いたMycobacterium tuberculosisのIS6110領域の塩基配列の一部をターゲット遺伝子として用いた。
(b)ターゲット遺伝子を増幅させる増幅用プローブとして、それぞれ3’側の3塩基をRNAにした一対の増幅用キメラプローブ−1及び2(実施例19)を作製した。ダイマー形成用プローブとして、実施例18と同様、ダイマー形成用プローブ−3及び4を用いた。プローブはそれぞれ50pmol/μLに調製した。
(c)緩衝液として20×SSC(3M−NaCl、0.3M−C6H5O7Na3・2H2O、pH7.0)を用いた。
(3)方法
(a)反応液の調製
0.2mLチューブに、テンペレートDNAを1μL、増幅用キメラプローブ−1及び2をそれぞれ0.25μL、トリス系バッファー(0.1Mトリス塩酸バッファー、pH7.5)を7.5μL、dNTPミックス(dNTP Mixture(2.5mM each):宝酒造社製)を1μL、Bcapolymerase(22U/μL:宝酒造社製)を0.15μL、BSA(20mg/mL:宝酒造社製)を0.2μL、10%グリセロールを6.5μL、DMSOを1μL、MgCl2(50mM)を5μL、RNaseH(60U/μL:宝酒造社製)を0.5μL加え、滅菌蒸留水で25μLの反応液とした。
対照として、テンペレートDNAのかわりに滅菌蒸留水を1μL加えた反応液も作製した(比較例3)。
(b)増幅反応
サーマルサイクラー(パーキンエルマー社製)を用いて、上記の反応液を60℃で60分間反応させた後、95℃で5分加熱を行い、酵素を失活させた。この反応溶液を「合成プローブ」溶液とした。
(c)アクリルアミドゲル電気泳動法による増幅産物の検出
上記合成プローブ溶液8μLを、16%ポリアクリルアミドゲル(29:1、バイオラッド社製)を用いて電気泳動を行った。電気泳動後、ゲルを臭化エチジウムで染色した。
(d)自己集合体の形成反応
0.2mLチューブに、ダイマー形成用プローブ−3及び4を各1μL、20×SSCを12μL加え、滅菌蒸留水で20μLとした。
この反応溶液を94℃にて30秒間処理した後、60℃で18時間反応させ、これを「ダイマープローブ」溶液とした。
次に、自己集合体の形成反応として、別の0.2mLチューブに合成プローブ溶液を5μL、ダイマープローブ溶液を10μL、20×SSCを5μL加え、60℃で18時間反応させた。
対照として、合成プローブ溶液のみ(比較例4)、及びダイマープローブ溶液のみ(比較例5)の反応も行った。
(e)蛍光顕微鏡による確認
上記(d)自己集合体の形成反応溶液5μLに、臭化エチジウム(10mg/mL)を1/1000に希釈し5μLを加え、30分間放置した。これをスライドグラス上に3μL滴下し、蛍光顕微鏡にて観察した。
(4)結果
1:アクリルアミドゲル電気泳動法による増幅産物の検出
図51に実施例19及び比較例3のアクリルアミドゲル電気泳動法の結果を示す。レーンMは10bp DNA Ladder marker、レーン1は比較例3、レーン2及び3は実施例19をそれぞれ示した。その結果、実施例19のターゲットDNAを添加した場合のみ、40bpと20bpの増幅産物のバンドが検出された。この20bpのバンドは増幅された40bpの合成プローブが、共存するRNaseHによりRNA部分が分解され切り出された20merの合成プローブと20merの未反応プローブとのハイブリッドである。
2:蛍光顕微鏡による確認
図52〜54に実施例19及び比較例4,5の蛍光顕微鏡による結果をそれぞれ示す。ダイマープローブと合成プローブの混合溶液を反応させた場合(実施例19)のみ、スライドグラス上に粒子状の自己集合体が確認できた。
産業上の利用可能性
以上述べた如く、本発明の遺伝子増幅反応により得られる合成プローブによる自己集合体の形成方法によれば、EIAによる特殊な機械や試薬を用いずに、オリゴヌクレオチドによる自己集合体を形成させることができ、本発明の遺伝子の検出方法により、特殊な機械や煩雑な操作を用いずに、低コストで簡便に特定の遺伝子を検出することができる。本発明の自己集合体は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法により効率的に形成されるものである。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明において利用したPALSAR法による一対のHCPを用いた自己集合体の形成方法の一例を示す模式図であり、(a)は一対のHCP、(b)はHCPの結合態様の一例、(c)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
図2は、本発明において利用したPALSAR法による一対のHCPを用いた自己集合体の形成方法の別の例を示す模式図であり、(a)(b)はそれぞれ相補領域の1箇所異なる一対のHCP、(c)は上記HCPより形成されるダイマー、(d)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
図3は、本発明において利用したPALSAR法によるn=1の場合のダイマー形成用プローブ及び架橋プローブを用いた自己集合体の形成方法の一例を示す模式図であり、(a)は一対のダイマー形成用プローブ、(b)は一対の架橋プローブ、(c)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
図4は、本発明において利用したPALSAR法によるn=1の場合のダイマー形成用プローブ及び架橋プローブを用いた自己集合体の形成方法の別の例を示す模式図であり、(a)は一対のダイマー形成用プローブ、(b)は一対の架橋プローブ、(c)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
図5は、本発明において利用したPALSAR法によるn≧2の場合のダイマー形成用プローブ及び架橋プローブを用いた自己集合体の形成方法の一例を示す模式図であり、(a)は一対のダイマー形成用プローブより形成された4組のダイマープローブ、及び4組の一対の架橋プローブ、(b)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
図6は、本発明において利用したPALSAR法によるn≧2の場合のダイマー形成用プローブ及び架橋プローブを用いた自己集合体の形成方法の別の例を示す模式図であり、(a)は一対のダイマー形成用プローブより形成された4組のダイマープローブ、及び4組の一対の架橋プローブ、(b)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
図7は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第1の例の第1の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(a)は一対の遺伝子断片、(b)は一対のダイマー形成用プローブ、(c)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
図8は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第1の例の第2の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(a)は一対の遺伝子断片、(b)は一対のダイマー形成用プローブ、(c)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
図9は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第1の例の第3の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(a)は一対の遺伝子断片、(b)は一対のダイマー形成用プローブ、(c)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
図10は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第1の例の第4の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(a)は一対の遺伝子断片、(b)は一対のダイマー形成用プローブ、(c)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
図11は、酵素により切断された一対の遺伝子断片を用いた自己集合体の形成方法の第1の例を示す模式図であり、(a)は一対の遺伝子断片、(b)は一対のダイマー形成用プローブ、(c)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
図12は、酵素により切断された一対の遺伝子断片を用いた自己集合体の形成方法の第2の例を示す模式図であり、(a)は一対の遺伝子断片、(b)は一対のダイマー形成用プローブ、(c)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
図13は、酵素により切断された一対の遺伝子断片を用いた自己集合体の形成方法の第3の例を示す模式図であり、(a)は一対の遺伝子断片、(b)は一対のダイマー形成用プローブ、(c)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
図14は、遺伝子断片とあらかじめ作製しておいた架橋プローブによる自己集合体の形成方法を示す模式図であり、(a)は一本鎖の遺伝子断片、(b)は一対のダイマー形成用プローブ、(c)は、あらかじめ作製しておいた架橋プローブ、(d)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
図15は、増幅用RNAプローブを用いた遺伝子増幅により増幅された遺伝子断片及びRNase Hを用いた自己集合体の形成方法の例を示す模式図であり、(a)は増幅用RNAプローブを用いたDNAの増幅を示す。
図16は、増幅用RNAプローブを用いた遺伝子増幅により増幅された遺伝子断片及びRNase Hを用いた自己集合体の形成方法の例を示す模式図であり、(b)は増幅用RNAプローブを用いて増幅された一対の遺伝子断片、(c)はRNase H処理後の一対の遺伝子断片、(d)は一対のダイマー形成用プローブ、(e)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
図17は、本発明で用いたオリゴヌクレオチドのメチル化した塩基を示す。
図18は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第2の例の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(a)はターゲット遺伝子、(b)は切断されているメチル化したダイマー形成用プローブをそれぞれ示す。
図19は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第2の例の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(c)はターゲット遺伝子と切断されたダイマー形成用プローブのハイブリダイゼーション、(d)は切断されたダイマー形成用プローブの連結反応をそれぞれ示す。
図20は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第2の例の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(e)は連結されたダイマー形成用プローブに対する核酸分解酵素による処理、(f)は未反応のダイマー形成用プローブに対する核酸分解酵素による処理をそれぞれ示す。
図21は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第2の例の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(g)は連結されたダイマー形成用プローブにおける自己集合体の形成、(h)は分解されたダイマー形成用プローブにおける自己集合体の未形成をそれぞれ示す。
図22は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第3の例の第1の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(a)はターゲット遺伝子、(b)はメチル化した増幅用プローブをそれぞれ示す。
図23は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第3の例の第1の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(c)はターゲット遺伝子とメチル化した増幅用プローブのハイブリダイゼーション、(d)はDNA合成をそれぞれ示す。
図24は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第3の例の第1の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(e)は合成されたDNAと増幅用プローブのハイブリダイゼーション、(f)はDNA合成をそれぞれ示す。
図25は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第3の例の第1の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(g)は合成プローブ、(h)は核酸分解酵素による分解をそれぞれ示す。
図26は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第3の例の第1の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(i)は核酸分解酵素により分解された合成プローブ、(j)は合成プローブの架橋プローブとしての使用、(k)は合成プローブのHCPとしての使用をそれぞれ示す。
図27は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第3の例の第1の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(l)及び(m)は分解された合成プローブと未反応プローブのハイブリダイゼーション、(n)は核酸分解酵素による処理をそれぞれ示す。
図28は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第3の例の第2の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(a)はターゲット遺伝子、(b)は一方のみメチル化した増幅用プローブをそれぞれ示す。
図29は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第3の例の第2の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(c)はターゲット遺伝子と増幅用プローブのハイブリダイゼーション、(d)はDNA合成をそれぞれ示す。
図30は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第3の例の第2の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(e)は合成されたDNAと増幅用プローブのハイブリダイゼーション、(f)はDNA合成をそれぞれ示す。
図31は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第3の例の第2の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(g)は合成プローブ、(h)は核酸分解酵素による分解をそれぞれ示す。
図32は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第3の例の第2の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(i)は核酸分解酵素により分解された合成プローブ、(j)は合成プローブの架橋プローブとしての使用、(k)は合成プローブのHCPとしての使用をそれぞれ示す。
図33は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第3の例の第1の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(l)は分解された合成プローブと未反応プローブのハイブリダイゼーション、(m)は核酸分解酵素による処理をそれぞれ示す。
図34は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第4の例の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(a)はターゲット遺伝子、(b)はメチル化したキメラ型増幅用プローブをそれぞれ示す。
図35は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第4の例の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(c)はターゲット遺伝子とメチル化したキメラ型増幅用プローブのハイブリダイゼーション、(d)はRNaseHによる処理をそれぞれ示す。
図36は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第4の例の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(e)は鎖置換型酵素によるDNAの合成、(f)は合成プローブ、(g)は未反応のプローブをそれぞれ示す。
図37は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第4の例の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(h)は合成プローブ、(i)は核酸分解酵素による分解をそれぞれ示す。
図38は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第4の例の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(j)は核酸分解酵素により分解された合成プローブ、(k)は合成プローブの架橋プローブとしての利用、(l)は合成プローブのHCPとしての利用をそれぞれ示す。
図39は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第4の例の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(m)及び(n)は分解された合成プローブと未反応プローブのハイブリダイゼーション、(o)は核酸分解酵素による処理をそれぞれ示す。
図40は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第5の例の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(a)はターゲット遺伝子、(b)はキメラ型増幅用プローブをそれぞれ示す。
図41は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第5の例の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(c)はターゲット遺伝子とキメラ型増幅用プローブのハイブリダイゼーション、(d)はRNaseHによる処理をそれぞれ示す。
図42は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第5の例の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(e)は鎖置換型酵素によるDNAの合成、(f)は合成プローブ、(g)は未反応プローブをそれぞれ示す。
図43は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第5の例の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(h)は合成プローブ、(i)は核酸分解酵素による分解をそれぞれ示す。
図44は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第5の例の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(j)は核酸分解酵素により分解された合成プローブ、(k)は合成プローブの架橋プローブとしての利用、(l)は合成プローブのHCPとしての利用をそれぞれ示す。
図45は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第5の例の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(m)及び(n)は分解された合成プローブと未反応プローブのハイブリダイゼーション、(o)は核酸分解酵素による処理をそれぞれ示す。
図46は、実施例1〜16の結果を示す写真である。
図47は、実施例17及び比較例1の変性PAGE電気泳動法の結果を示す写真である。
図48は、実施例17及び比較例1のアガロースゲル電気泳動法の結果を示す写真である。
図49は、実施例18及び比較例2のPAGE電気泳動法の結果を示す写真である。
図50は、実施例18のアガロースゲル電気泳動法の結果を示す写真である。
図51は、実施例19及び比較例3のPAGE電気泳動法の結果を示す写真である。
図52は、実施例19の蛍光顕微鏡による結果を示す写真である。
図53は、比較例4の蛍光顕微鏡による結果を示す写真である。
図54は、比較例5の蛍光顕微鏡による結果を示す写真である。
本発明は、遺伝子増幅反応で合成されたオリゴヌクレオチドを用いた自己集合体の形成方法、形成された自己集合体、及びそれを利用した遺伝子の検出方法に関する。
背景技術
近年、微量のターゲット遺伝子の検出を目的に遺伝子を増幅する各種遺伝子増幅法が開発されている。中でも耐熱性核酸合成酵素を使用するPolymerase chainreaction法(United States Patent No.4,683,195、USP 4,683,202、以下、PCR法と称する)や耐熱性核酸連結酵素を使用するLigase chain reaction法(USP 5,792,607、以下、LCR法と称する)、及び、鎖置換型核酸合成酵素を使用する Strand Displacement Amplification法(日本特許第2076096号、以下、SDA法と称する)やIsothermal and Chimeric primer−initiated Amplification of Nucleic acids法(WO 00/56877、以下、ICAN法と称する)はそれぞれ核酸を合成する酵素の特徴を利用して開発された遺伝子の増幅法である。
これらの遺伝子増幅法は、遺伝子の特定部位のみを繰り返し複製する反応であり、その特定部位からなる遺伝子断片が増幅されるものである。そのため遺伝子増幅法による増幅産物は直鎖状の遺伝子の断片であるため、簡便に検出することが困難であり、現在市販されている遺伝子診断キットにおける遺伝子の検出法においては、主にEIA(エンザイム・イムノ・アッセイ)との組み合わせによる検出、又は、あらかじめ蛍光物質を遺伝子に標識して標的遺伝子を検出している。
しかし、EIAや蛍光物質を遺伝子に標識した測定では、特殊な機械と試薬が必要であり、操作も煩雑で判定するまでに1時間以上の時間を要しており、既存の遺伝子増幅法により増幅された遺伝子を簡便かつ安価で検出可能な方法が望まれていた。
一方、本出願人は、酵素を使用しない新規な等温核酸増幅法(プローブ自己集合体の作製方法)を既に提案した(USP 6,261,846、日本特許第3267576号及びEP1,002,877A)。この方法は、3個所の領域から構成される一対のプローブ(HoneyComb Probe、以下HCPと称する)を用いる方法であり、第1プローブと第2プローブの各々の3個所の領域はお互いに相補的な塩基配列を有し、両者を反応させた場合、領域の1個所のみとハイブリダイズする様に各領域の塩基配列を工夫したものである。この工夫により、複数の一対のプローブを反応させた場合、お互いにハイブリダイズしてプローブの自己集合体を形成させることができる(Probe alternation link self−assembly reaction、以下、PALSAR法と称する)。
発明の開示
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、EIAによる測定のように特殊な機械や試薬を用いずに、オリゴヌクレオチドによる自己集合体を形成させる方法、及びその自己集合体の形成方法によって形成された自己集合体、並びにその自己集合体の形成方法を利用して、低コストで簡便に増幅された特定の遺伝子を検出する方法を提供することを目的とする。
上記問題を解決するため、本発明者らは、さまざまなオリゴヌクレオチドの自己集合体の形成方法について研究を重ねてきた。その結果、遺伝子増幅反応により増幅されたオリゴヌクレオチドを自己集合体の形成のためのオリゴヌクレオチドとして利用することを見出した。増幅されたオリゴヌクレオチドは、自己集合反応によって容易に集合体を形成できるために、特別な機器を用いることなく遺伝子を検出することが可能になった。
本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法は、オリゴヌクレオチドの自己集合反応による自己集合体の形成方法であって、該オリゴヌクレオチドとして遺伝子増幅反応により合成されたオリゴヌクレオチドを含有することを特徴とする。
上記自己集合体の形成方法の一例として、お互いに相補的な塩基配列領域がn(n≧3)カ所の数から構成される一対のオリゴヌクレオチド・プローブ(以下、HCPと称す場合がある)の複数対を用いて、互い違いに交差するようにハイブリダイゼーションさせることにより、オリゴヌクレオチドが自己集合して自己集合体を形成させることができる。
上記一対のオリゴヌクレオチド・プローブの少なくとも一方を、前記n(n≧3)カ所の領域を含有する遺伝子増幅反応により合成されたオリゴヌクレオチドを用いることができる。
上記一対のオリゴヌクレオチド・プローブの構成は、1対1でハイブリダイゼーションする時に必ずn(n≧3)カ所の相補的な部分の中で、1カ所ずつが特異的にハイブリダイゼーションするように構成される。
また、上記一対のオリゴヌクレオチド・プローブの複数対は、該塩基配列領域が少なくとも1カ所異なるm(m≧2)種の一対のプローブを用いることができる。
上記自己集合体の形成方法の別の例として、No.1及びNo.2の一対のオリゴヌクレオチドの各オリゴヌクレオチドを3’側領域、中央領域、及び5’側領域の3つの領域に分け、各オリゴヌクレオチドの中央領域を互いに相補的な塩基配列とし、3’側領域及び5’側領域を互いに非相補的な塩基配列とした複数対のダイマー形成用プローブを含む第1番目の系から第(2n−1)番目(n≧1)の系まで順番にn個形成されたダイマー形成用プローブ含有系と、
No.1及びNo.2の一対のオリゴヌクレオチドの各オリゴヌクレオチドを3’側領域及び5’側領域の2つの領域に分け、各オリゴヌクレオチドの3’側領域及び5’側領域を互いに非相補的な塩基配列とした複数対の架橋プローブをそれぞれ含む第2番目の系から第2n番目の系まで順番にn個形成された架橋プローブ含有系とを有し、
該架橋プローブを、該ダイマー形成用プローブより形成されるダイマーを架橋することが可能な塩基配列とし、
該プローブをハイブリダイゼーションさせることにより、オリゴヌクレオチドが自己集合し、自己集合体を形成させることができる。
上記複数対のダイマー形成用プローブ及び複数対の架橋プローブの少なくとも一つを、遺伝子増幅反応により合成されたオリゴヌクレオチドを用いることができる。
上記自己集合体の形成方法の別の例において、n=1の場合、第1の系のダイマープローブと第2の系の架橋プローブの相補的な塩基配列の組み合わせは、2通り存在する。n=1の場合の1例として、上記プローブの塩基配列を、
第1の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第2の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
第1の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第2の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
第2の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第1の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
第2の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第1の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
をそれぞれ相補的な塩基配列としたものを用いることができる。
n=1の場合の別の例として、上記プローブの塩基配列を、
第1の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第2の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
第1の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第2の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
第1の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第2の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
第1の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第2の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
をそれぞれ相補的な塩基配列としたものを用いることができる。
上記自己集合体の形成方法の別の例において、n≧2の場合、第1、第3、・・、第(2n−1)の系のダイマー形成用プローブと第2、第4、・・、第2nの系の架橋プローブの相補的な塩基配列の組み合わせは、2通り存在する。n≧2の場合の1例として、上記プローブの塩基配列を、
第(2n−3)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第(2n−2)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
第(2n−3)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第(2n−2)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
第(2n−2)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第(2n−1)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
第(2n−2)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第(2n−1)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
ダイマー形成用プローブの最後の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域と架橋プローブの最後の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
ダイマー形成用プローブの最後の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域と架橋プローブの最後の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
架橋プローブの最後の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第1番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
架橋プローブの最後の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第1番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
をそれぞれ相補的な塩基配列としたものを用いることができる。
n≧2の場合の別の例として、上記プローブの塩基配列を、第(2n−3)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第(2n−2)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
第(2n−3)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第(2n−2)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
第(2n−2)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第(2n−1)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
第(2n−2)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第(2n−1)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
ダイマー形成用プローブの最後の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域と架橋プローブの最後の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
ダイマー形成用プローブの最後の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域と架橋プローブの最後の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
架橋プローブの最後の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第1番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
架橋プローブの最後の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第1番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
をそれぞれ相補的な塩基配列としたものを用いることができる。
上記プローブのハイブリダイゼーションを、あらかじめ上記ダイマー形成用プローブからダイマーを形成させた後、上記架橋プローブと該ダイマーをハイブリダイゼーションさせることが好ましい。
上記複数対のダイマー形成用プローブは、前記中央領域の異なるm(m≧2)種のダイマー形成用プローブを用いることができる。
上記一対のダイマー形成用プローブの3’側領域及び/又は5’側領域を互いに同一な塩基配列とすることができる。
上記架橋プローブの少なくとも一つを、上記架橋プローブの2つの領域を含有する遺伝子増幅反応により合成されたオリゴヌクレオチドを用いることができる。
上記遺伝子増幅反応により合成されたオリゴヌクレオチドとして、それぞれ第(2n−1)の系のオリゴヌクレオチドの5’領域及び3’領域と相補的な領域を2箇所ずつ有する、少なくとも4箇所の領域からなるお互いに相補的な遺伝子断片を用いることができる。
上記HCP、ダイマー形成用プローブ及び架橋プローブのような自己集合体形成に用いられるオリゴヌクレオチド・プローブ(以下、単にプローブと称す場合がある)は、DNA、RNA、PNAまたはLNAのいずれかから選ばれる塩基から構成される。
上記プローブの相補的塩基配列領域の端部に、少なくとも1つのG(グアニン)またはC(シトシン)を配置させ、上記プローブがハイブリダイズした際に少なくとも1つのG−C結合を相補的塩基配列領域の端部に形成させることにより、塩基の積み重ね(stacking of base)により塩基のπ電子の特殊な相互作用を生じさせ、より安定したオリゴヌクレオチドによる自己集合体を形成させることができる。
上記遺伝子増幅反応により増幅されたオリゴヌクレオチドとして、第1に、耐熱性核酸合成酵素を用いた遺伝子増幅反応により増幅されたものが用いられる。
上記遺伝子増幅反応により増幅されたオリゴヌクレオチドとして、第2に、耐熱性核酸連結酵素を用いた遺伝子増幅反応により増幅されたものが用いられる。
上記遺伝子増幅反応により増幅されたオリゴヌクレオチドとして、第3に、鎖置換型核酸合成酵素を用いた遺伝子増幅反応により増幅されたものが用いられる。
上記遺伝子増幅反応で合成されたオリゴヌクレオチドとして、二本鎖のDNA及び/又はRNAからなるオリゴヌクレオチド断片を用いることができる。
また、上記遺伝子増幅反応で合成されたオリゴヌクレオチドとして、一本鎖のDNA及び/又はRNAのからなるオリゴヌクレオチド断片を用いることができる。
前記遺伝子増幅反応に用いられる増幅用のプローブ(以下、増幅用プローブと称すこともある)として、DNA、RNA、又はDNAとRNAから構成されるキメラ型プローブが挙げられる。
上記遺伝子増幅反応に用いる増幅用プローブは、一対の増幅用プローブの少なくとも一方にメチル化された塩基を有する増幅用プローブを用いることが好ましい。メチル化された塩基の位置は、増幅用プローブの5’末端〜5’末端周辺や3’末端〜3’末端周辺が好ましく、さらに好ましくは各末端から5塩基以内である。本発明において、5’末端及び5’末端周辺を5’末端側、3’末端及び3’末端周辺を3’末端側と称す。一対の増幅用プローブは、一方のプローブのみがメチル化されたものを用いてもよく、両方のプローブがメチル化されたものを用いてもよい。また、5’末端側及び3’末端側を共にメチル化してもよく、いずれかの末端側のみをメチル化したものを用いてもよい。また、DNAとRNAからなるキメラプローブを増幅用プローブとして用いる場合DNA領域及び/又はRNA領域の末端側をメチル化したものを用いることも可能であり、本発明に含まれるものである。
上記遺伝子増幅反応で合成されたオリゴヌクレオチドに、ターゲット遺伝子と相補的な領域を有するオリゴヌクレオチドを予め該相補的領域で切断し、ライゲーション反応により連結されたものを用いることが好ましい。
上記遺伝子増幅反応で合成されたオリゴヌクレオチドを核酸分解酵素で分解することが好適である。
上記核酸分解酵素として、エキソヌクレアーゼ、RNase H、制限酵素等を用いることが好ましい。
本発明の自己集合体は、上記オリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法を用いて形成されるものである。
本発明の遺伝子の検出方法は、上記オリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法を用いて自己集合体を形成させ、形成された上記自己集合体を検出することにより、前記遺伝子増幅反応で合成されたオリゴヌクレオチドを検出することを特徴とする。
上記遺伝子増幅反応において増幅されるターゲット遺伝子に二本鎖のDNA及び/またはRNAを用いることが可能である。
上記遺伝子増幅反応において増幅されるターゲット遺伝子に一本鎖のDNA及び/またはRNAを用いることが可能である。
上記遺伝子増幅反応において増幅されるターゲット遺伝に一塩基多形を用いることができる。
発明を実施するための最良の形態
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明するが、これらの実施の形態は例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
本発明は、遺伝子増幅方法で合成されたオリゴヌクレオチドを用いて等温で酵素不在の条件下で自己集合反応をさせることにより二本鎖の自己集合体を形成させるものである。
使用するプローブの本数は、特に限定されないが、102〜1015本の範囲で用いられる。反応緩衝液の組成、濃度は特に限定されず、核酸増幅に常用される通常の緩衝液が好適に使用できる。pHも常用の範囲で好適であり、好ましくはpH7.0〜pH9.0の範囲のものが使用できる。反応温度は40〜90℃、好ましくは55〜70℃である。これら条件は特に限定されない。
プローブを構成する核酸は、通常DNA又はRNAで構成されるが、核酸類似体でも構わない。核酸類似体として、たとえば、ペプチド核酸(PNA、WO 92/20702)やLocked Nucleic Acid(LNA、Koshkin AA et al.Tetrahedron 1998.54,3607−3630.,Koshkin AA et al.J.Am.Chem.Soc.1998.120,13252−13253.,Wahlestedt C et al.PNAS.2000.97,5633−5638.)が挙げられる。また、プローブは、通常、同じ種類の核酸で構成されるが、たとえばDNAプローブとRNAプローブが一対になっても差し支えない。即ち、プローブの核酸の種類はDNA、RNAまたは核酸類似体(たとえばPNAやLNA等)から選択することができる。また、一つのプローブ内での核酸組成は一種類、たとえばDNAのみから構成される必要はなく、必要に応じて、例えば、DNAとRNAとなら構成されるプローブ(キメラプローブ)を使用することも可能であり、本発明に含まれる。
また、プローブの各領域の長さは、塩基数にして、少なくとも5塩基であり、好ましくは少なくとも8塩基、さらに好ましくは10塩基〜100塩基、さらに好ましくは10〜40塩基である。
上記遺伝子増幅方法は特に限定されず、例えば、PCR法、SDA法、ICAN法、NASBA法、TMA法、3SR法、LCR法等の既存の遺伝子増幅法により増幅された2本鎖もしくは1本鎖のDNA及び/又はRNAを自己集合反応用のオリゴヌクレオチドとして用いることができる。
図1は、PALSAR法による一対のHCP(No.1プローブ及びNo.2プローブ)を用いた自己集合体の形成方法の一例を示す模式図である。同図において、No.1プローブは、X1領域、X2領域及びX3領域を有し、No.2プローブは、X’1領域、X’2領域及びX’3領域を有している[図1(a)]。このNo.1プローブとNo.2プローブは、両者をハイブリダイゼーションさせたとき、X1領域はX’1領域とだけ結合し、X2領城はX’2領域とだけ結合し、X3領域はX’3領域とだけ結合するような構成とされており、3つの結合パターンで一対のプローブが互い違いにハイブリダイゼーションする。[図1(b)]。
3つの結合パターンで互い違いにハイブリダイゼーションした一対のHCPの複数対は、図1(c)に模式的な一例を示したように、PALSAR法の原理に従い、オリゴヌクレオチドの自己集合により、二本鎖の自己集合体を形成させることができる。
図1は、相補的な塩基配列領域が3箇所からなるHCPについて説明したが、相補的な塩基配列領域を4箇所以上有するHCPを用いた場合についても同様に自己集合体を形成させることができる。
上記HCPを用いた自己集合体の形成方法において、異なる相補的領域を有する2種以上のHCPを用いることもできる。図2は、相補的な領域が3箇所からなる2種の一対のHCP(No.3及びNo.4プローブ、No.5及びNo.6プローブ)より形成された自己集合体の検出方法の一例を示す。同図において、No.3プローブは、X領域、α領域及びZ領域を有し、No.4プローブは、X’領域、α’領域及びZ’領域を有している[図2(a)]。また、No.5プローブは、X領域、β領域及びZ領域を有し、No.6プローブは、X’領域、β’領域及びZ’領域を有している[図2(b)]。図2に示すように、2組のHCPは、相補領域が1箇所異なるHCPである。各プローブは、両者をハイブリダイゼーションさせたとき、X領域はX’領域とだけ結合し、Z領域はX’領域とだけ結合し、α領域はα’領域とだけ結合し、β領域はβ’領域とだけ結合するような構成とされている。2組のHCPはそれぞれ、α領域とα’領域もしくはβ領域とβ’領域がハイブリダイズし、ダイマーを形成することができ、これらダイマー[図2(c)]よりPALSAR法の原理に従い、オリゴヌクレオチドの自己集合により、二本鎖の自己集合体を形成させることができる[図2(d)]。
図3は、PALSAR法によるダイマー形成用プローブ及び架橋プローブを用いた自己集合体の形成方法の一例を示す模式図である。図3に示した如く、第1の系の一対のダイマー形成用プローブは、一対のオリゴヌクレオチドを3つの領域に分け、中央領域を互いに相補的な領域とするとともに、3’側領域及び5’側領域を互いに非相補的な塩基配列とし、ダイマープローブを形成する[図3(a)]。第2の系の一対の架橋プローブは、一対のオリゴヌクレオチドを3’側領域及び5’側領域の2つの領域に分け、各領域を互いに非相補的な塩基配列とし、3’側領域は、ダイマー形成用プローブの3’側領域と、5’側領域はダイマー形成用プローブの5’側領域と、それぞれ相補的な塩基配列とする[図3(b)]。第1の系のダイマープローブに対して、第2の系の架橋プローブが架橋するようにハイブリダイゼーションさせることにより、オリゴヌクレオチドが自己集合し、二本鎖の自己集合体を形成する[図3(c)]。
図4は、PALSAR法によるダイマー形成用プローブと架橋プローブを用いた自己集合体の形成方法の別の例を示す模式図である。ダイマー形成用プローブと架橋プローブの5’側領域及び3’側領域の相補的領域の組み合わせとしては、図3の組み合わせを図4に示した如く変更することも可能である。
図3及び図4において、第1の系からなるダイマー形成用プローブと第2の系からなる架橋プローブを用いた自己集合体の形成方法について説明したが、図5及び図6に示した如く、第1、3、・・(2n−1)の系からなるダイマー形成用プローブと第2、4、・・2nの系からなる架橋プローブを用いて自己集合体を形成させることもできる。図5は、n≧2の場合の自己集合体の形成方法の一例を示した図であり、図6は、n≧2の場合の自己集合体の形成方法の別の例を示した図である。
上記ダイマー形成用プローブ及び架橋プローブを用いた自己集合体の形成方法において、非相補的な塩基配列とは、お互いにハイブリダイズしない塩基配列であれば、いかなるものでもよく、同一な塩基配列も非相補的な塩基配列に含まれるものである。
上記ダイマー形成用プローブの構成は、各系のダイマー形成用プローブが1種類のものでもよく、1つの系に中央領域の異なる数種類のダイマー形成用プローブを含んでいてもよく、特に限定されない。更にはお互いに完全に相補性のないダイマー形成用プローブ及び架橋プローブのセットを、2組以上同時におこなってもよい。
上記ダイマー形成用プローブ及び架橋プローブを用いた自己集合体の形成方法において、ダイマー形成用プローブからダイマーを形成させる時期は、ダイマー形成前のダイマー形成用プローブと架橋プローブを同時に反応させても良く、あらかじめダイマー形成用プローブによりダイマーを形成させた後に架橋プローブと反応させても良く、特に限定されないが、あらかじめダイマーを形成させた後、架橋プローブと反応させ、自己集合体を形成させる方がより好適である。
本発明のオリゴヌクレオチドにより自己集合体の形成方法は、上記自己集合体の形成方法において、遺伝子増幅反応により合成されたオリゴヌクレオチドを少なくとも一つ、プローブとして用いるものである。
本発明の遺伝子増幅方法で合成されたオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第1の例は、上記PALSAR法において、耐熱性核酸合成酵素又は鎖置換型核酸合成酵素等の既存の遺伝子増幅法により増幅された遺伝子をプローブとして用いるものである。以下、増幅された遺伝子を架橋プローブとして用いる場合について述べる。
図7は、上記オリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第1の例の第1の実施の形態を原理的に示す模式図である。図7に示した如く、既存の遺伝子増幅法により増幅されたお互いに相補的な一対の遺伝子断片を用いて、自己集合体を形成させることができる。まず、図7(a)に示すように、お互いに相補的な遺伝子断片を、4つの領域(A〜D領域及びA’〜D’領域)にわける。更に、一対のオリゴヌクレオチドの各5’側の2領域(A領域及びB領域、C’領域及びD’領域)を選択し、選択した2領域のうち5’側に位置する領域(A領域、D’領域)を架橋プローブの5’側領域に、3’側に位置する領域(B領域、C’領域)を架橋プローブの3’側領域として、それに対応する一対のダイマー形成用プローブを、図7(b)に示す如く作製する。遺伝子断片にはそれぞれ、3’側領域にダイマー形成用プローブの各領域とハイブリダイズしない余分な配列(C領域及びD領域、A’領域及びB’領域、以下タグと称することもある)が存在するが、一対の遺伝子断片は、一対のダイマー形成用プローブから成るダイマープローブに架橋するようにハイブリダイズし、PALSAR法の原理に従い、オリゴヌクレオチドが自己集合し、二本鎖の自己集合体が形成される[図7(c)]。
図8は、上記オリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第1の例の第2の実施の形態を原理的に示す模式図である。図8(a)及び(b)に示した如く、一対の遺伝子断片に対し、各3’側の2領域(C領域及びD領域、A’領域及びB’領域)を一対の架橋プローブの5’側領域及び3’側領域として用いることができる。この場合、遺伝子断片にはそれぞれ、5’側領域にダイマー形成用プローブの各領域とハイブリダイズしない余分な配列(A領域及びB領域、C’領域及びD’領域)が存在する。この一対の遺伝子断片は、一対のダイマー形成用プローブから成るダイマープローブに架橋するようにハイブリダイズし、PALSAR法の原理に従い、オリゴヌクレオチドが自己集合し、二本鎖の自己集合体が形成される[図8(c)]。
図9は、上記オリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第1の例の第3の実施の形態を原理的に示す模式図である。図9(a)及び(b)に示した如く、一対の遺伝子断片に対し、隣接しない2領域(A領域及びB領域、D’領域及びC’領域)を一対の架橋プローブの5’側領域及び3’側領域として用いることができる。この場合も、図9(c)に示した如く、一対の遺伝子断片が、一対のダイマー形成用プローブから成るダイマープローブに架橋するようにハイブリダイズし、PALSAR法の原理に従い、オリゴヌクレオチドが自己集合し、二本鎖の自己集合体が形成される。
また、既存の遺伝子増幅法により増幅された一対の遺伝予断片を5領域以上に分け、そのうちの2領域ずつをダイマープローブと架橋する2領域として用いることも可能である。
図10は、上記オリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第1の例の第4の実施の形態を原理的に示す模式図である。図10(a)に示すように、お互いに相補的な遺伝子断片を、5つの領域(A〜E領域及びA’〜E’領域)にわける。更に、一対のオリゴヌクレオチドの各5’側の2領域(A領域及びB領域、C’領域及びD’領域)を選択し、選択した2領域のうち5’側に位置する領域(A領域、D’領域)を架橋プローブの5’側領域に、3’側に位置する領域(B領域、C’領域)を架橋プローブの3’側領域として、それに対応する一対のダイマー形成用プローブを、図10(b)に示す如く作製する。遺伝子断片にはそれぞれ、3’側領域にダイマー形成用プローブの各領域とハイブリダイズしない余分な配列(E、C及びD領域、A’、B’及びE’領域)が存在するが、一対の遺伝子断片は、一対のダイマー形成用プローブから成るダイマープローブに架橋するようにハイブリダイズし、PALSAR法の原理に従い、オリゴヌクレオチドが自己集合し、二本鎖の自己集合体が形成される[図10(c)]。
上記した如く、お互いに相補的な一対の遺伝子断片をPALSAR法の架橋プローブとして用いることが可能である。遺伝子断片の各領域のうち、どの2領域をダイマープローブとハイブリダイズする領域とするかは、特に限定されず、2領域が隣接していて良く、隣接していなくても良い。また、遺伝子断片の末端に必ずしも存在しなくても良い。
本発明に係るオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法において、既存の遺伝子増幅反応により増幅された遺伝子断片を、あらかじめ酵素等を用いてダイマー形成用プローブと非相補的な領域を切断しておき、切断された一対の遺伝子断片を架橋プローブとして用いて、PALSAR法の原理に従い、自己集合体を形成させることが好ましい。
切断された遺伝子断片による自己集合体の形成方法を、図11〜図13に示す。図11及び図12は、それぞれ図7及び図10の一対の遺伝子断片を切断した場合の自己集合体の形成方法を示す。図13は、ダイマー形成用プローブと架橋プローブの相補的領域を図4に示す組み合わせとした場合での、一対の遺伝子断片を切断した場合の自己集合体の形成方法を示す。ダイマープローブに架橋しない余分な領域を切断することにより、自己集合体の形成効率を高めることができる。
遺伝子断片の切断方法は、特に限定されないが、制限酵素やRNase Hなどの酵素を用いることが好ましい。
本発明に係るオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法において、ダイマー形成用プローブからダイマープローブを形成させる時期は、ダイマー形成前のダイマー形成用プローブと遺伝子断片を同時に反応させても良く、あらかじめダイマー形成用プローブによりダイマープローブを形成させた後に遺伝子断片と反応させても良く、特に限定されないが、あらかじめダイマープローブを形成させた後、自己集合体を形成させる方がより好適である。
本発明に係るオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法は、上記ダイマー形成用プローブから形成されるダイマープローブと同様なダイマープローブと、架橋プローブを架橋するようにハイブリダイゼーションさせ、自己集合体を形成させる自己集合体の形成方法を含むものである。
本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法に用いる一対の遺伝子断片は、2本共に遺伝子増幅反応により増幅された遺伝子断片である必要はなく、例えば、図14に示す如く、架橋プローブとして用いる一対の遺伝子断片のうち、一方を既存の遺伝子増幅法により増幅された遺伝子断片[図14(a)]を用い、もう一方をあらかじめ作製しておいた遺伝子断片[図14(c)]を用いることも可能である。これら一対の遺伝子断片とそれに対応する一対のダイマー形成用プローブ[図14(b)]をハイブリダイゼーションさせることにより、自己集合体が形成する[図14(d)]。用いる遺伝子断片は、上記した如く、それぞれダイマープローブと架橋するようにハイブリダイズする2領域を含むものであれば特に限定されない。図14(a)において、好適な例として、ダイマープローブとそれぞれ架橋するA領域とB領域、さらにいずれともハイブリダイズしないY領域からなる一本鎖の遺伝子断片を示したが、Y領域は、いかなる配列でも良く、特に限定されないものである。上記したように、余分なタグを含む遺伝子断片の場合は、そのまま用いてもよいが、その領域を切断後、自己集合体を形成させることがより好ましい。
既存の遺伝子増幅法では、大過剰のプライマー等の増幅用プローブを用いて遺伝子増幅を行うため、増幅後の溶液には増幅された遺伝子断片と共に、過剰の増幅用プローブが存在する。この過剰の増幅用プローブ存在下では、自己集合体形成の効率が低下するなど、問題が生じやすい。この増幅用プローブを除去し、自己集合体形成の効率を高める方法として、エキソヌクレアーゼ(例えば、Exonuclease IやExonuclease VII等)もしくはRNAからなる増幅用プローブ及びRNase Hを用いることが好ましい。増幅用RNAプローブ及びRNase Hを用いた場合、自己集合体形成反応のプローブとして用いられるターゲット遺伝子として、耐熱性DNA合成酵素で増幅された遺伝子断片や、鎖置換型DNA合成酵素で増幅された遺伝子断片を好適に用いることができる。耐熱性DNA合成酵素としては、KOD Dash(TOYOBO社製)などが好適に用いられる。図15及び図16に、耐熱性DNA合成酵素、増幅用RNAプローブ及びRNase Hを用いた自己集合体の形成方法の模式図を示す。
図15(a)に示した如く、一対の増幅用RNAプローブを用いてDNAを増幅すると、DNA(A’、B’領域、C、D領域)とRNA(X領域、Y領域)よりなる一対の遺伝子断片が増幅される[図15(a)及び図16(b)]。この増幅後の溶液にRNase Hを加えて反応させることにより、遺伝子断片のRNA領域部分と増幅用RNAプローブが加水分解される。図16(c)に示した如く、RNase H処理後の一対の遺伝子断片を2領域に分けることにより、お互いに非相補的な2領域からなる一対の架橋プローブが形成される。RNase H処理後の一対の遺伝子断片に相補的領域が残らないように増幅用RNAプローブを構成することが好ましいが、特に限定されるものではなく、お互いに相補的な領域を含む場合も本発明に含まれる。上記一対の架橋プローブが、あらかじめ作製しておいた、架橋プローブに対応するダイマープローブ[図16(d)]に架橋するようにハイブリダイズし、自己集合体を形成する[図16(e)]。上記方法により、増幅用プローブを除去し、且つ、ダイマープローブに架橋しない余分な配列を削除し、自己集合体形成の効率を高めることができる。
本発明の遺伝子増幅反応で合成されたオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第2の例は、上記PALSAR法において、耐熱性核酸連結酵素により連結された、末端側の塩基がメチル化されているオリゴヌクレオチド(以下、メチル化プローブと称すことがある)をプローブとして用いるものである。ターゲット遺伝子と相補的な領域を有するメチル化プローブを用いて、ターゲット遺伝子と相補的な領域をあらかじめ切断しておき、ターゲット遺伝子の存在下で耐熱性リガーゼ酵素により切断された遺伝子を連結反応させる。連結反応後はエキソヌクレアーゼを用いて自己集合反応の競合物質となる未反応のメチル化プローブを分解することを特徴とする。遺伝子増幅反応に用いるオリゴヌクレオチドのメチル化した塩基を図17に示す。以下、増幅された遺伝子をダイマー形成用プローブとして用いる場合について一例を述べる。
図18〜図21は、上記オリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第2の例の実施の形態を原理的に示す模式図である。図18に示した如く、第1の系のダイマー形成用プローブと、第2の系の架橋プローブを用いた自己集合体の形成方法において、図18(a)(b)に示すように、ターゲット遺伝子[図18(a)]から、ターゲット遺伝子と相補的な領域(α’及びβ’領域、α及びβ領域)を中央領域に有するダイマー形成用プローブを作製し、5’末端側と3’末端側の塩基をメチル化し、さらにターゲット遺伝子と相補的な中央領域をあらかじめ切断しておく[図18(b)]。図19(c)に示した如く、切断されたダイマー形成用プローブは、ターゲット遺伝子とハイブリダイゼーションした後、図19(d)に示すように、耐熱性リガーゼ酵素により、ダイマー形成用プローブが連結される。この一連の反応をサーマルサイクラーにより繰り返し、連結されたダイマー形成用プローブを増やす。その後、核酸分解酵素、例えばExonuclease VII等のエキソヌクレアーゼ、を加えると、ターゲット遺伝子が存在し、ダイマー形成用プローブが連結されている場合、図20(e)に示したように、連結されたダイマー形成用プローブの両端の塩基はメチル化されているために分解されないが、ターゲット遺伝子が存在せず、ダイマー形成用プローブが切断されたまま存在する場合、連結されていないダイマー形成用プローブ[図20(f)]は切断されている部分がメチル化されていないために完全に分解されてしまい、自己集合体も形成されない[図21(h)]。連結されたダイマー形成用プローブは、別に用意した架橋プローブを加えることにより自己集合体を形成することができる[図21(g)]。従って、自己集合体の形成を確認することにより、自己集合体の存在を確認することができる。
本発明の遺伝子増幅反応で合成されたオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第3の例は、上記PALSAR法において、末端側の塩基がメチル化された増幅用プローブ及び耐熱性核酸合成酵素を用いて増幅されたオリゴヌクレオチドをプローブとして用いるものである。少なくとも一方の増幅用プローブの3’末端側の塩基をメチル化し、5’末端側の塩基をリン酸化して、耐熱性DNA合成酵素による遺伝子増幅用のプローブとして使用する。遺伝子増幅後はエキソヌクレアーゼを用いて自己集合反応の競合物質となる過剰に存在する増幅用プローブを分解することを特徴とする。以下に、増幅された遺伝子(以下、合成プローブと称すこともある)を架橋プローブもしくはHCPとして用いる場合について説明する。
図22〜図27は、上記オリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第3の例の第1の実施の形態を原理的に示す模式図である。図22(a)に示したターゲット遺伝子の実線部分と相補的で3’末端側の塩基がメチル化されたプローブ[図22(b)]を用意する。次にターゲット遺伝子にメチル化した増幅用プローブをアニーリング[図23(c)]させ、耐熱性DNA合成酵素によりDNAを合成させる[図23(d)]。この一連の反応をサーマルサイクラーにより繰り返し[図24(e),(f)]、増幅された合成プローブを増やし[図25(g)]、核酸分解酵素、例えばT7 Gene 6 Exonuclease等のエキソヌクレアーゼ、を加えることにより、図25(h)に示したように増幅された合成プローブは5’側からメチル化されている塩基の前まで分解される。分解された合成プローブ[図26(i)]は、一対の架橋プローブ[図26(j)]もしくは2種の一対のHCPの一方[図26(k)]として用いることが可能であり、別に用意したダイマー形成用プローブ、又はもう一方のHCPを加えることにより自己集合体を形成することができる。
また、図27(l),(m)に示したように、分解された合成プローブはさらに未反応プローブとハイブリダイゼーションさせた後、酵素処理をすることにより、より完全に5’側からメチル化されている塩基の前まで分解することができる[図27(n)]。
図28〜図33は、上記オリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第3の例の第2の実施の形態を原理的に示す模式図である。図28はメチル化された増幅用プローブを用いた耐熱性DNA合成酵素による遺伝子増幅と自己集合体の形成である。図28(a)に示したターゲット遺伝子の実線部分と相補的であり、かつ一方の3’末端側の塩基のみがメチル化された増幅用プローブ[図28(b)]を用意する。次にターゲット遺伝子に増幅用プローブをアニーリング[図29(c)]させ、耐熱性DNA合成酵素によりDNAを合成させる[図29(d)]。この一連の反応をサーマルサイクラーにより繰り返し[図30(e),(f)]、増幅された合成プローブを増やし[図31(g)]、核酸分解酵素、例えばT7 Gene 6 Exonuclease等のエキソヌクレアーゼ、を加えることにより、図31(h)に示したように増幅されたプローブは5’側からメチル化されている塩基の前まで分解される。分解された合成プローブ[図32(i)]は、一対の架橋プローブの一方[図32(j)]もしくは一対のHCPの一方[図32(k)]として用いることが可能であり、別に用意したもう一方の架橋プローブ及び一対のダイマー形成用プローブ、又はもう一方のHCPを加えることにより自己集合体を形成することができる。
また、図33(l)に示したように、分解された合成プローブはさらに未反応プローブとハイブリダイゼーションさせた後、酵素処理をすることにより、未反応プローブをより完全に分解することができる[図33(m)]。
本発明の遺伝子増幅反応で合成されたオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第4の例は、上記PALSAR法において、DNAとRNAから構成されるキメラ型プローブであり、かつ、RNAと隣接するDNAの3’末端側の塩基がメチル化されたプローブを増幅用プローブとして用いて、鎖置換型DNA合成酵素により増幅された遺伝子(合成プローブ)をプローブとして用いるものである。少なくとも一方の増幅用プローブの3’側の塩基をRNA、5’側の塩基をDNAとし、かつ3’末端側の塩基をメチル化して鎖置換型DNA合成酵素による遺伝子増幅用のプローブとして使用し、遺伝子増幅後はエキソヌクレアーゼを用いて自己集合反応の競合物質となる過剰に存在する増幅用プローブを分解することを特徴とする。以下に、増幅された遺伝子を架橋プローブもしくはHCPとして用いる場合について説明する。
図34〜図39は、上記オリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第4の例の実施の形態の一例を原理的に示す模式図である。ターゲット遺伝子[図34(a)]の実線部分と相補的であり、DNAとRNAから構成され、RNAと隣接するDNAの3’末端側の塩基のみがメチル化された増幅用プローブ[図34(b)]を用意する。次にターゲット遺伝子に上記増幅用プローブをアニーリング[図35(c)]させ、RNase HによりRNA部分を切断し[図35(d)]、鎖置換型DNA合成酵素によりDNAを合成させる[図36(e)]。この一連の反応を等温で繰り返し、増幅された合成プローブを増やし[図36(f),図37(h)]、核酸分解酵素、例えばT7 Gene 6 Exonuclease等のエキソヌクレアーゼ、を加えることにより、図37(i)に示したように増幅された合成プローブは5’側からメチル化されている塩基の前まで分解される。分解された合成プローブ[図38(j)]は、一対の架橋プローブ[図38(k)]もしくは2種の一対のHCPの一方[図38(l)]として用いることが可能であり、別に用意した一対のダイマー形成用プローブ、又はもう一方のHCPを加えることにより自己集合体を形成することができる。
また、図39(m),(n)に示したように、分解された合成プローブはさらに未反応プローブとハイブリダイゼーションした後、酵素処理をすることにより、未反応プローブをより完全に分解することができる[図39(o)]。
本発明の遺伝子増幅反応で合成されたオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第5の例は、上記PALSAR法において、DNAとRNAから構成されるキメラ型プローブを増幅用プローブとして用いて、鎖置換型DNA合成酵素により増幅された遺伝子をプローブとして用いるものである。少なくとも一方の増幅用プローブの3’側の塩基をRNA、5’側の塩基をDNAとして鎖置換型DNA合成酵素による遺伝子増幅用のプローブとして使用する。遺伝子増幅後はエキソヌクレアーゼを用いて自己集合反応の競合物質となる過剰に存在する増幅用プローブを分解することを特徴とする。以下に、増幅された遺伝子(合成プローブ)を架橋プローブもしくはHCPとして用いる場合について説明する。
図40〜図45は、上記オリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第5の例の実施の形態の一例を原理的に示す模式図である。図40(a)に示したターゲット遺伝子の実線部分と相補的であり、DNAとRNAから構成された増幅用プローブ[図40(b)]を用意する。次にターゲット遺伝子に上記増幅用プローブをアニーリング[図41(c)]させ、RNase HによりRNA部分を切断し[図41(d)]、鎖置換型DNA合成酵素によりDNAを合成させる[図42(e)]。この一連の反応を等温で繰り返し、増幅された合成プローブを増やし[図42(f),図43(h)]、核酸分解酵素、例えばT7 Gene 6 Exonuclease等のエキソヌクレアーゼ、を加えることにより、図43(i)に示したように増幅された合成プローブは5’側からRNAの部分まで分解される。分解された合成プローブ[図44(j)]は、一対の架橋プローブ[図44(k)]もしくは2種の一対のHCPの一方[図44(l)]として用いることが可能であり、別に用意した一対のダイマー形成用プローブ、又はもう一方のHCPを加えることにより自己集合体を形成することができる。
また、図45(m),(n)に示したように、分解された合成プローブはさらに未反応プローブとハイブリダイゼーションした後、酵素処理することにより、未反応プローブをより完全に分解することができる[図45(o)]。
上記方法により形成された自己集合体は、一般的なアガロースゲル電気泳動法等によって、簡単に確認することができる。
また、本発明において形成される自己集合体の塩基の積み重ねが規則的な高次構造をとることから、260nmにおける紫外部の吸収帯の強度が減じる「ハイポクロミズム」という淡色効果を発現させて自己集合体の状態を確認することも可能である。
さらには、核酸と結合する性質を持った蛍光物質を加え、その蛍光強度の変化から自己集合体の状態を確認することも可能である。例えば、自己集合体は、オリゴヌクレオチドの二本鎖に挿入して蛍光を発する色素を添加し、セフェイド社のI−CORETM(Smart CyclerTM)等を用いて蛍光の発光状態を観察することにより検出可能である。
上記した如く、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法は、ターゲット遺伝子が存在する場合にのみ自己集合体が形成されるため、形成された自己集合体を検出することにより、ターゲット遺伝子を検出することが可能である。
実施例
以下に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されるものでないことは勿論である。
(実施例1〜16)
以下に実施例1〜16において用いたオリゴヌクレオチド・プローブを示す。
[1]架橋プローブ−1(下線部;余分な配列(タグ)]
[2]架橋プローブ−2(下線部;余分な配列(タグ)]
[3]架橋プローブ−3
[4]架橋プローブ−4
[5]ダイマー形成用プローブ−1
[6]ダイマー形成用プローブ−2
(実施例1〜14)
(1)目的
既存の遺伝子増幅法にて増幅されると予想されるダイマープローブとハイブリダイズしない余分な配列(タグ)をもつ遺伝子断片を架橋プローブとして用いた場合において、ダイマープローブとの自己集合体形成が可能であるか調べた。
(2)材料
(a)架橋プローブとして、既存の遺伝子増幅法にて増幅されると仮定した、互いに相補的な配列をもつ80塩基の合成オリゴヌクレオチド2本(架橋プローブ−1及び架橋プローブ−2)、及びこれらに対応するダイマー形成用プローブ(ダイマー形成用プローブ−1及びダイマー形成用プローブ−2)を作成した。各プローブはそれぞれ100pmol/μLに調製した。
(b)実施例1〜7は、緩衝液として2M−CaCl2溶液を用いた。実施例8〜14は、緩衝液として20×SSC溶液(3M−NaCl、0.3M−C6H5O7Na3・2H2O、実施例8〜14において20×SSC溶液は、3M−NaClとして扱った)を用いた。
(3)方法
(a)反応液の調製
架橋プローブ−1、架橋プローブ−2、ダイマー形成用プローブ−1及びダイマー形成用プローブをそれぞれ0.5μL加えて、緩衝液(2M−CaCl2溶液又は3M−NaCl溶液)及び滅菌再蒸留水を加えて計20μLの反応液を調製した。緩衝液及び滅菌再蒸留水は、反応液中の緩衝液の濃度がそれぞれ1.2M(実施例1、8)、1.0M(実施例2、9)、0.8M(実施例3、10)、0.6M(実施例4、11)、0.4M(実施例5、12)、0.2M(実施例6、13)、0.05M(実施例7、14)となるように添加した。
(b)自己集合体形成反応
サーマルサイクラー(パーキンエルマー社製)を用いて、上記の各反応液をまず94℃/30秒で反応させ、その後70℃/1時間にて反応させることにより自己集合体形成反応を行った。
(c)アガロースゲル電気泳動法による自己集合体の確認
自己集合体形成反応後の反応液8μlに2μlのloading bufferを添加し、2%Nusieve3:1 agarose gel(Bio Whittaker Molecular Applications社製)にて100V、30分間電気泳動を行った。分子サイズマーカーとしてDNA Molwxule Weight Marker XV(ベーリンガー・マンハイム(株)製)を用いた。
(実施例15及び16)
(1)目的
既存の遺伝子増幅法にて増幅し、酵素等にてダイマープローブとハイブリダイズしない余分な配列(タグ)を削除した遺伝子断片を架橋プローブとして用いた場合において、PALSAR法に従い、自己集合体が形成されるか調べた。
(2)材料
(a)架橋プローブとして、実施例1〜14において用いた合成オリゴヌクレオチドからタグを除去した、互いに非相補的な一対のオリゴヌクレオチド(架橋プローブ−3及び架橋プローブ−4)を合成し、架橋プローブとして用いた。ダイマー形成用プローブとして、実施例1〜14において用いたダイマー形成用プローブ−1及びダイマー形成用プローブ−2を用いた。各プローブはそれぞれ100pmol/μLに調製した。
(b)緩衝液は、実施例15では2M−CaCl2溶液を、実施例16では3M−NaCl溶液をそれぞれ用いた。
(3)方法
(a)反応液の調製
架橋プローブ−3、架橋プローブ−4、ダイマー形成用プローブ−1及びダイマー形成用プローブをそれぞれ0.5μL加えて、緩衝液及び滅菌再蒸留水を加えて計20μLの反応液を調製した。緩衝液及び滅菌再蒸留水は、反応液中の緩衝液の濃度が1.2Mとなるように添加した。
(b)自己集合体形成反応
実施例1〜14と同様の手順及び条件にて、自己集合体の形成反応を行った。
(c)アガロースゲル電気泳動法による自己集合体の確認
実施例1〜14と同様の手順及び条件にて、自己集合体の確認を行った。
(4)結果
実施例1〜16の結果を図46に示す。余分な配列(タグ)をもつ架橋プローブの場合、実施例1〜7のCacl2溶液中での反応(レーン1〜7)と、実施例8〜14の20×SSC溶液中での反応(レーン9〜15)を比較してみると、CaCl2溶液中でのみ自己集合体形成がみられた。特に自己集合体形成が顕著であるCaCl2溶液濃度は、0.8M(レーン3)近辺であることがわかった。余分な配列(タグ)を削除した実施例15(レーン8)及び実施例16(レーン16)では、緩衝液によらず、共に自己集合体形成が観察された。これらの結果より、余分な配列(タグ)を削除した架橋プローブの方が自己集合体形成の効率は良いが、お互いに相補的な配列であり、余分な配列(タグ)をもつ架橋プローブにおいてもダイマープローブとの自己集合体形成が可能であることを確認できた。これより、既存の遺伝子増幅法と自己集合体形成反応を組み合わせた系に応用が可能であることが示される。
(実施例17及び比較例1)
以下に実施例17及び比較例1において用いたオリゴヌクレオチド・
[7]ターゲット遺伝子−A(下線部:相補的な領域)
[8]ターゲット遺伝子−B(下線部:相補的な領域)
[9]メチル化プローブ−1(下線部:中央領域)
[10]メチル化プローブ−2(下線部:中央領域)
[11]メチル化プローブ−3(下線部:中央領域)
[12]メチル化プローブ−4(下線部:中央領域)
[13]架橋プローブ−5
[14]架橋プローブ−6
(1)目的
ターゲット遺伝子とのハイブリダイゼーションに依存して連結されるダイマー形成用プローブと、その連結されたダイマー形成用プローブと架橋プローブを用いた自己集合体の形成によるターゲット遺伝子の確認を行った。
(2)材料
(a)ターゲット遺伝子として、MRSAのPBPgene由来の合成オリゴヌクレオチドであるターゲット遺伝子−A及びターゲット遺伝子−Bを用いた。ターゲット遺伝子はそれぞれ1pmol/μLに調製した。
(b)中央領域にターゲット遺伝子−A及びBと相補的な領域を有する一対のダイマー形成用プローブ及び対応する一対の架橋プローブ(架橋プローブ−5,6)を作製し、上記一対のダイマー形成用プローブの5’末端及び3’末端をそれぞれメチル化し、中央領域をそれぞれ切断し、切断部位の5’末端をリン酸化したプローブ(メチル化プローブ−1〜4)を作製した。プローブはそれぞれ50pmol/μLに調製した。
(c)緩衝液として20×SSC(3M−NaCl,0.3M−C6H5O7Na3・2H2O,pH7.0)を用いた。
(3)方法
(a)反応液の調製
0.2mLチューブに、ターゲット遺伝子A及びBを各1μL、メチル化プローブ−1〜4を各1μL、耐熱性リガーゼ酵素(Tsc−Ligase、日本ロシュ社製)を1μL、リガーゼに添付された10×incubation bufferを2μL加え、滅菌蒸留水で20μLの反応液とした(実施例37)。また、対照として、上記反応液に対し、ターゲット遺伝子を添加していない反応液も作製した(比較例1)。
(b)メチル化プローブの耐熱性リガーゼ酵素による遺伝子増幅方法
サーマルサイクラー(パーキンエルマー社製)を用いて、上記の各反応液を95℃で3分間反応させた後、94℃15秒間→63℃4分間を40サイクル行い、ライゲーション反応によるダイマー形成用プローブの増幅を行った。次に、99℃10分間反応させてリガーゼを失活させた後、氷冷を行い形成させたダイマー形成用プローブを1本鎖にした。
(c)エキソヌクレアーゼによる処理
上記反応後の反応液にエキソヌクレアーゼ(Exonuclease VII、usb社製)を1μL添加し、37℃で60分間反応させた。対照として、エキソヌクレアーゼの代わりに滅菌蒸留水を添加した場合についても同様に行った。反応後の反応液を6%変性ポリアクリルアミド(7M Urea)を用いて変性PAGE電気泳動法を行った。
(d)自己集合体の形成方法。
サーマルサイクラー(パーキンエルマー社製)を用いて、上記反応後の各反応液に20×SSC(最終濃度:10×SSC)を加え、94℃/30秒で反応させた後、70℃/1時間にて反応させることにより自己集合体の形成反応を行った。
(e)アガロースゲル電気泳動法による自己集合体の確認
自己集合体形成反応後の反応液8μLに2μLのloading bufferを添加し、2%Nusieve3:1 agarose gel(Bio Whittaker Molecular Applications社製)にて100V、30分間電気泳動を行った。分子サイズマーカーとして、DNAマーカー(λ Hind III digest)を用いた。
(4)結果
実施例17及び比較例1の変性PAGE電気泳動法の結果を図47に示す。図47のレーン1(実施例17、酵素未処理)に示した如く、ターゲット遺伝子が存在する場合、切断されたダイマー形成用プローブが連結され、矢印(a)の位置のバンドが検出された。図47のレーン3(実施例17、酵素処理)に示したように、連結されたダイマー形成用プローブはエキソヌクレアーゼ処理でも分解されないため、レーン1と同じ(a)の位置にバンドが検出された。一方、図47のレーン2(比較例1、酵素未処理)とレーン4(比較例1、酵素処理)に示したように、ターゲット遺伝子が存在しない場合には、切断されたダイマー形成用プローブは連結されず、(a)の位置にバンドは検出されなかった。また、レーン1及び2において、矢印(b)の位置に検出された連結されなかったメチル化プローブは、エキソヌクレアーゼ処理により分解されるため、レーン3及び4においてそのバンドは検出されなかった。
実施例17及び比較例1のアガロースゲル電気泳動法の結果を図48に示す。連結されたダイマープローブは架橋プローブを反応させることにより自己集合体を形成した(図48、レーン1、実施例17)。また、連結されなかった未反応プローブのダイマープローブでは架橋プローブと反応させても自己集合体は形成されなかった(図48、レーン2、比較例1)。
(実施例18及び比較例2)
以下に、実施例18及び比較例2において用いたオリゴヌクレオチ
[15]増幅用プローブ−1(メチル化プローブ)
[16]増幅用プローブ−2(メチル化プローブ)
[17]増幅用プローブ−3(非メチル化プローブ)
[18]増幅用プローブ−4(非メチル化プローブ)
[19]ダイマー形成用プローブ−3
[20]ダイマー形成用プローブ−4
(1)目的
メチル化された増幅用プローブを用いた耐熱性DNA合成酵素による遺伝子増幅と自己集合体の形成による増幅された遺伝子の確認を行った。
(2)材料
(a)テンペレートDNAとして用いたMycobacterium tuberculosisのIS6110領域の塩基配列の一部をターゲット遺伝子として用いた。
(b)ターゲット遺伝子を増幅させる増幅用プローブとして、それぞれ3’末端をメチル化した一対の増幅用プローブ−1及び2(実施例18)、並びにメチル化されていない一対の増幅用プローブ−3及び4(比較例2)を作製した。ダイマー形成用プローブとして、増幅される合成プローブを架橋プローブとして用いるように構成された一対のダイマー形成用プローブ−3及び4を作製した。プローブはそれぞれ50pmol/μLに調製した。
(c)緩衝液として20×SSC(3M−NaCl,0.3M−C6H5O7Na3・2H2O,pH7.0)を用いた。
(3)方法
(a)反応液の調製
0.2mLチューブに、テンペレートDNAを1μL、増幅用プローブ−1及び2をそれぞれ0.5μL、10×PCRバッファー(10×Ex Taq Buffer:宝酒造社製)を5μL、dNTPミックス(dNTP Mixture(2.5mM each):宝酒造社製)を4μL、Taqポリメラーゼ(TaKaRa Ex Taq(5units/μ):宝酒造社製)を0.1μL加え、滅菌蒸留水で50μLのPCR反応液とした(実施例18)。対照として、上記反応溶液において、増幅用プローブ−1及び2の代わりに増幅用プローブ−3及び4を添加したPCR反応液も作製した(比較例2)。
(b)PCR反応
サーマルサイクラー(パーキンエルマー社製)を用いて、上記各PCR反応液を94℃にて1分間処理した後、94℃30秒間→60℃2分間を35サイクル行った。
(c−1)エキソヌクレアーゼによる処理(1)
別の0.2mLチューブに上記PCR反応後の反応液を10μL移し、エキソヌクレアーゼ(T7 Gene 6 Exonuclease、アマシャム ファルマシア バイオテク社製)を0.1μL、5×T7 Gene 6 Exonuclease Buffer(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)を2μL加え、滅菌蒸留水を加えて計13μLの反応液とした。この反応液を37℃で30分間反応させた後、85℃で15分加熱を行い、エキソヌクレアーゼを失活させた。対照として、エキソヌクレアーゼの代わりに滅菌蒸留水を添加した場合についても同様に行った。エキソヌクレアーゼによる処理後、反応液10μLを、16%ポリアクリルアミドゲル(29:1、バイオラッド社製)を用いて電気泳動を行った。電気泳動後、ゲルを臭化エチジウムで染色した。
(c−2)エキソヌクレアーゼによる処理(2)
上記PCR反応後の実施例18の反応液に対し、上記エキソヌクレアーゼ処理(1)の反応条件を37℃/30分間→85℃/15分間の反応から37℃/30分間→57℃/30分間→37℃/30分間→85℃/15分間の反応に変更した以外は同様の条件及び手順にてエキソヌクレアーゼ処理を行った。
(d)自己集合体の形成反応
上記エキソヌクレアーゼ処理(1)及び(2)後の実施例18の各反応液に、ダイマー形成用プローブ−3及び4を各1μL添加し、20×SSCを最終濃度が10×SSCとなるように加え、94℃にて30秒間処理した後、60℃1時間の自己集合体形成反応を行った。
(e)アガロースゲル電気泳動法による自己集合体の確認
実施例17と同様の手順及び条件にて、自己集合体の確認を行った。
(4)結果
実施例18及び比較例2のPAGE電気泳動法の結果を図49に示す。図49において、レーン1は10bp DNA Ladder marker、レーン2は対照に用いた40merの一本鎖オリゴヌクレオチド、レーン3は対照に用いた60merの一本鎖オリゴヌクレオチド、レーン4は比較例2(酵素未処理)、レーン5は実施例18(酵素未処理)、レーン6は比較例2(酵素処理)、レーン7は実施例18(酵素処理)をそれぞれ示した。
図49のレーン5及びレーン7に示した如く、メチル化された増幅用プローブを用いた実施例18では、PCR反応により目的の増幅産物である合成プローブのバンドが40bpの位置に検出され、更にエキソヌクレアーゼ処理を行うことにより40bpのバンドが分解され新たに20bpの位置にバンドが検出された。この20bpのバンドはエキソヌクレアーゼ処理により20merに分解された合成プローブと20merの未反応の増幅用プローブとのハイブリッドである。これによって、メチル化された増幅用プローブを用いた増幅産物をエキソヌクレアーゼ処理することによって相補鎖が分解され、目的の20merの一対の架橋プローブが得られることがわかる。
一方、図49のレーン4及びレーン6に示した如く、対照である非メチル化プローブを増幅用プローブとして用いた比較例2では、PCR反応により目的の増幅産物のバンドが40bpの位置に検出されたが、エキソヌクレアーゼ処理を行うと40bpのバンドが分解されるのみで、新たに別の大きさのバンドは検出されなかった。
実施例18のアガロースゲル電気泳動の結果を図50に示す。レーン1[エキソヌクレアーゼ処理(2)]において、合成プローブの相補鎖となる未反応の増幅用プローブが除去された為、合成プローブとダイマー形成用プローブによる自己集合体の形成が確認された。
一方、合成プローブと未反応の増幅用プローブがハイブリッドを形成した状態でダイマー形成用プローブを添加したレーン2[エキソヌクレアーゼ処理(1)]においては、自己集合体の形成は確認されなかった。
(実施例19及び比較例3〜5)
以下に実施例19において用いたDNA及びRNAからなるオリゴヌ
[21]増幅用キメラプローブ−1(3’側3塩基をRNAとする)
[22]増幅用キメラプローブ−2(3’側3塩基をRNAとする)
(1)目的
キメラ化された増幅用プローブ(DNA及びRNAからなるプローブ)を用いた鎖置換型核酸合成酵素による遺伝子増幅と自己集合体の形成による増幅された遺伝子の確認を行った。
(2)材料
(a)テンペレートDNAとして用いたMycobacterium tuberculosisのIS6110領域の塩基配列の一部をターゲット遺伝子として用いた。
(b)ターゲット遺伝子を増幅させる増幅用プローブとして、それぞれ3’側の3塩基をRNAにした一対の増幅用キメラプローブ−1及び2(実施例19)を作製した。ダイマー形成用プローブとして、実施例18と同様、ダイマー形成用プローブ−3及び4を用いた。プローブはそれぞれ50pmol/μLに調製した。
(c)緩衝液として20×SSC(3M−NaCl、0.3M−C6H5O7Na3・2H2O、pH7.0)を用いた。
(3)方法
(a)反応液の調製
0.2mLチューブに、テンペレートDNAを1μL、増幅用キメラプローブ−1及び2をそれぞれ0.25μL、トリス系バッファー(0.1Mトリス塩酸バッファー、pH7.5)を7.5μL、dNTPミックス(dNTP Mixture(2.5mM each):宝酒造社製)を1μL、Bcapolymerase(22U/μL:宝酒造社製)を0.15μL、BSA(20mg/mL:宝酒造社製)を0.2μL、10%グリセロールを6.5μL、DMSOを1μL、MgCl2(50mM)を5μL、RNaseH(60U/μL:宝酒造社製)を0.5μL加え、滅菌蒸留水で25μLの反応液とした。
対照として、テンペレートDNAのかわりに滅菌蒸留水を1μL加えた反応液も作製した(比較例3)。
(b)増幅反応
サーマルサイクラー(パーキンエルマー社製)を用いて、上記の反応液を60℃で60分間反応させた後、95℃で5分加熱を行い、酵素を失活させた。この反応溶液を「合成プローブ」溶液とした。
(c)アクリルアミドゲル電気泳動法による増幅産物の検出
上記合成プローブ溶液8μLを、16%ポリアクリルアミドゲル(29:1、バイオラッド社製)を用いて電気泳動を行った。電気泳動後、ゲルを臭化エチジウムで染色した。
(d)自己集合体の形成反応
0.2mLチューブに、ダイマー形成用プローブ−3及び4を各1μL、20×SSCを12μL加え、滅菌蒸留水で20μLとした。
この反応溶液を94℃にて30秒間処理した後、60℃で18時間反応させ、これを「ダイマープローブ」溶液とした。
次に、自己集合体の形成反応として、別の0.2mLチューブに合成プローブ溶液を5μL、ダイマープローブ溶液を10μL、20×SSCを5μL加え、60℃で18時間反応させた。
対照として、合成プローブ溶液のみ(比較例4)、及びダイマープローブ溶液のみ(比較例5)の反応も行った。
(e)蛍光顕微鏡による確認
上記(d)自己集合体の形成反応溶液5μLに、臭化エチジウム(10mg/mL)を1/1000に希釈し5μLを加え、30分間放置した。これをスライドグラス上に3μL滴下し、蛍光顕微鏡にて観察した。
(4)結果
1:アクリルアミドゲル電気泳動法による増幅産物の検出
図51に実施例19及び比較例3のアクリルアミドゲル電気泳動法の結果を示す。レーンMは10bp DNA Ladder marker、レーン1は比較例3、レーン2及び3は実施例19をそれぞれ示した。その結果、実施例19のターゲットDNAを添加した場合のみ、40bpと20bpの増幅産物のバンドが検出された。この20bpのバンドは増幅された40bpの合成プローブが、共存するRNaseHによりRNA部分が分解され切り出された20merの合成プローブと20merの未反応プローブとのハイブリッドである。
2:蛍光顕微鏡による確認
図52〜54に実施例19及び比較例4,5の蛍光顕微鏡による結果をそれぞれ示す。ダイマープローブと合成プローブの混合溶液を反応させた場合(実施例19)のみ、スライドグラス上に粒子状の自己集合体が確認できた。
産業上の利用可能性
以上述べた如く、本発明の遺伝子増幅反応により得られる合成プローブによる自己集合体の形成方法によれば、EIAによる特殊な機械や試薬を用いずに、オリゴヌクレオチドによる自己集合体を形成させることができ、本発明の遺伝子の検出方法により、特殊な機械や煩雑な操作を用いずに、低コストで簡便に特定の遺伝子を検出することができる。本発明の自己集合体は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法により効率的に形成されるものである。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明において利用したPALSAR法による一対のHCPを用いた自己集合体の形成方法の一例を示す模式図であり、(a)は一対のHCP、(b)はHCPの結合態様の一例、(c)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
図2は、本発明において利用したPALSAR法による一対のHCPを用いた自己集合体の形成方法の別の例を示す模式図であり、(a)(b)はそれぞれ相補領域の1箇所異なる一対のHCP、(c)は上記HCPより形成されるダイマー、(d)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
図3は、本発明において利用したPALSAR法によるn=1の場合のダイマー形成用プローブ及び架橋プローブを用いた自己集合体の形成方法の一例を示す模式図であり、(a)は一対のダイマー形成用プローブ、(b)は一対の架橋プローブ、(c)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
図4は、本発明において利用したPALSAR法によるn=1の場合のダイマー形成用プローブ及び架橋プローブを用いた自己集合体の形成方法の別の例を示す模式図であり、(a)は一対のダイマー形成用プローブ、(b)は一対の架橋プローブ、(c)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
図5は、本発明において利用したPALSAR法によるn≧2の場合のダイマー形成用プローブ及び架橋プローブを用いた自己集合体の形成方法の一例を示す模式図であり、(a)は一対のダイマー形成用プローブより形成された4組のダイマープローブ、及び4組の一対の架橋プローブ、(b)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
図6は、本発明において利用したPALSAR法によるn≧2の場合のダイマー形成用プローブ及び架橋プローブを用いた自己集合体の形成方法の別の例を示す模式図であり、(a)は一対のダイマー形成用プローブより形成された4組のダイマープローブ、及び4組の一対の架橋プローブ、(b)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
図7は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第1の例の第1の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(a)は一対の遺伝子断片、(b)は一対のダイマー形成用プローブ、(c)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
図8は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第1の例の第2の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(a)は一対の遺伝子断片、(b)は一対のダイマー形成用プローブ、(c)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
図9は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第1の例の第3の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(a)は一対の遺伝子断片、(b)は一対のダイマー形成用プローブ、(c)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
図10は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第1の例の第4の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(a)は一対の遺伝子断片、(b)は一対のダイマー形成用プローブ、(c)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
図11は、酵素により切断された一対の遺伝子断片を用いた自己集合体の形成方法の第1の例を示す模式図であり、(a)は一対の遺伝子断片、(b)は一対のダイマー形成用プローブ、(c)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
図12は、酵素により切断された一対の遺伝子断片を用いた自己集合体の形成方法の第2の例を示す模式図であり、(a)は一対の遺伝子断片、(b)は一対のダイマー形成用プローブ、(c)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
図13は、酵素により切断された一対の遺伝子断片を用いた自己集合体の形成方法の第3の例を示す模式図であり、(a)は一対の遺伝子断片、(b)は一対のダイマー形成用プローブ、(c)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
図14は、遺伝子断片とあらかじめ作製しておいた架橋プローブによる自己集合体の形成方法を示す模式図であり、(a)は一本鎖の遺伝子断片、(b)は一対のダイマー形成用プローブ、(c)は、あらかじめ作製しておいた架橋プローブ、(d)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
図15は、増幅用RNAプローブを用いた遺伝子増幅により増幅された遺伝子断片及びRNase Hを用いた自己集合体の形成方法の例を示す模式図であり、(a)は増幅用RNAプローブを用いたDNAの増幅を示す。
図16は、増幅用RNAプローブを用いた遺伝子増幅により増幅された遺伝子断片及びRNase Hを用いた自己集合体の形成方法の例を示す模式図であり、(b)は増幅用RNAプローブを用いて増幅された一対の遺伝子断片、(c)はRNase H処理後の一対の遺伝子断片、(d)は一対のダイマー形成用プローブ、(e)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
図17は、本発明で用いたオリゴヌクレオチドのメチル化した塩基を示す。
図18は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第2の例の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(a)はターゲット遺伝子、(b)は切断されているメチル化したダイマー形成用プローブをそれぞれ示す。
図19は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第2の例の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(c)はターゲット遺伝子と切断されたダイマー形成用プローブのハイブリダイゼーション、(d)は切断されたダイマー形成用プローブの連結反応をそれぞれ示す。
図20は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第2の例の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(e)は連結されたダイマー形成用プローブに対する核酸分解酵素による処理、(f)は未反応のダイマー形成用プローブに対する核酸分解酵素による処理をそれぞれ示す。
図21は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第2の例の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(g)は連結されたダイマー形成用プローブにおける自己集合体の形成、(h)は分解されたダイマー形成用プローブにおける自己集合体の未形成をそれぞれ示す。
図22は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第3の例の第1の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(a)はターゲット遺伝子、(b)はメチル化した増幅用プローブをそれぞれ示す。
図23は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第3の例の第1の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(c)はターゲット遺伝子とメチル化した増幅用プローブのハイブリダイゼーション、(d)はDNA合成をそれぞれ示す。
図24は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第3の例の第1の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(e)は合成されたDNAと増幅用プローブのハイブリダイゼーション、(f)はDNA合成をそれぞれ示す。
図25は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第3の例の第1の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(g)は合成プローブ、(h)は核酸分解酵素による分解をそれぞれ示す。
図26は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第3の例の第1の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(i)は核酸分解酵素により分解された合成プローブ、(j)は合成プローブの架橋プローブとしての使用、(k)は合成プローブのHCPとしての使用をそれぞれ示す。
図27は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第3の例の第1の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(l)及び(m)は分解された合成プローブと未反応プローブのハイブリダイゼーション、(n)は核酸分解酵素による処理をそれぞれ示す。
図28は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第3の例の第2の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(a)はターゲット遺伝子、(b)は一方のみメチル化した増幅用プローブをそれぞれ示す。
図29は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第3の例の第2の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(c)はターゲット遺伝子と増幅用プローブのハイブリダイゼーション、(d)はDNA合成をそれぞれ示す。
図30は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第3の例の第2の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(e)は合成されたDNAと増幅用プローブのハイブリダイゼーション、(f)はDNA合成をそれぞれ示す。
図31は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第3の例の第2の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(g)は合成プローブ、(h)は核酸分解酵素による分解をそれぞれ示す。
図32は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第3の例の第2の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(i)は核酸分解酵素により分解された合成プローブ、(j)は合成プローブの架橋プローブとしての使用、(k)は合成プローブのHCPとしての使用をそれぞれ示す。
図33は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第3の例の第1の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(l)は分解された合成プローブと未反応プローブのハイブリダイゼーション、(m)は核酸分解酵素による処理をそれぞれ示す。
図34は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第4の例の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(a)はターゲット遺伝子、(b)はメチル化したキメラ型増幅用プローブをそれぞれ示す。
図35は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第4の例の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(c)はターゲット遺伝子とメチル化したキメラ型増幅用プローブのハイブリダイゼーション、(d)はRNaseHによる処理をそれぞれ示す。
図36は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第4の例の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(e)は鎖置換型酵素によるDNAの合成、(f)は合成プローブ、(g)は未反応のプローブをそれぞれ示す。
図37は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第4の例の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(h)は合成プローブ、(i)は核酸分解酵素による分解をそれぞれ示す。
図38は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第4の例の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(j)は核酸分解酵素により分解された合成プローブ、(k)は合成プローブの架橋プローブとしての利用、(l)は合成プローブのHCPとしての利用をそれぞれ示す。
図39は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第4の例の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(m)及び(n)は分解された合成プローブと未反応プローブのハイブリダイゼーション、(o)は核酸分解酵素による処理をそれぞれ示す。
図40は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第5の例の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(a)はターゲット遺伝子、(b)はキメラ型増幅用プローブをそれぞれ示す。
図41は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第5の例の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(c)はターゲット遺伝子とキメラ型増幅用プローブのハイブリダイゼーション、(d)はRNaseHによる処理をそれぞれ示す。
図42は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第5の例の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(e)は鎖置換型酵素によるDNAの合成、(f)は合成プローブ、(g)は未反応プローブをそれぞれ示す。
図43は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第5の例の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(h)は合成プローブ、(i)は核酸分解酵素による分解をそれぞれ示す。
図44は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第5の例の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(j)は核酸分解酵素により分解された合成プローブ、(k)は合成プローブの架橋プローブとしての利用、(l)は合成プローブのHCPとしての利用をそれぞれ示す。
図45は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第5の例の実施の形態を原理的に示す模式図であり、(m)及び(n)は分解された合成プローブと未反応プローブのハイブリダイゼーション、(o)は核酸分解酵素による処理をそれぞれ示す。
図46は、実施例1〜16の結果を示す写真である。
図47は、実施例17及び比較例1の変性PAGE電気泳動法の結果を示す写真である。
図48は、実施例17及び比較例1のアガロースゲル電気泳動法の結果を示す写真である。
図49は、実施例18及び比較例2のPAGE電気泳動法の結果を示す写真である。
図50は、実施例18のアガロースゲル電気泳動法の結果を示す写真である。
図51は、実施例19及び比較例3のPAGE電気泳動法の結果を示す写真である。
図52は、実施例19の蛍光顕微鏡による結果を示す写真である。
図53は、比較例4の蛍光顕微鏡による結果を示す写真である。
図54は、比較例5の蛍光顕微鏡による結果を示す写真である。
Claims (39)
- オリゴヌクレオチドの自己集合反応による自己集合体の形成方法であって、該オリゴヌクレオチドとして遺伝子増幅反応により合成されたオリゴヌクレオチドを含有することを特徴とするオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記自己集合体の形成方法が、お互いに相補的な塩基配列領域がn(n≧3)カ所の数から構成される一対のオリゴヌクレオチド・プローブの複数対を用いて、互い違いに交差するようにハイブリダイゼーションさせることにより、オリゴヌクレオチドが自己集合して自己集合体を形成させることを特徴とする請求項1記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記一対のオリゴヌクレオチド・プローブの少なくとも一方が、前記n(n≧3)カ所の領域を含有する遺伝子増幅反応により合成されたオリゴヌクレオチドであることを特徴とする請求項2記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記一対のオリゴヌクレオチド・プローブの構成が、1対1でハイブリダイゼーションする時に必ずn(n≧3)カ所の相補的な部分の中で、1カ所ずつが特異的にハイブリダイゼーションするように構成されることを特徴とする請求項2又は3記載の一対のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記一対のオリゴヌクレオチド・プローブの複数対の構成が、該塩基配列領域が少なくとも1カ所異なるm(m≧2)種の一対のプローブからなることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記オリゴヌクレオチド・プローブが、DNA、RNA、PNAまたはLNAのいずれかから選ばれる塩基から構成されることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記オリゴヌクレオチド・プローブの相補的塩基配列領域の端部に、少なくとも1つのG(グアニン)またはC(シトシン)を配置させ、前記プローブがハイブリダイズした際に少なくとも1つのG−C結合を相補的塩基配列領域の端部に形成させることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記自己集合体の形成方法が、No.1及びNo.2の一対のオリゴヌクレオチドの各オリゴヌクレオチドを3’側領域、中央領域、及び5’側領域の3つの領域に分け、各オリゴヌクレオチドの中央領域を互いに相補的な塩基配列とし、3’側領域及び5’側領域を互いに非相補的な塩基配列とした複数対のダイマー形成用プローブを含む第1番目の系から第(2n−1)番目(n≧1)の系まで順番にn個形成されたダイマー形成用プローブ含有系と、
No.1及びNo.2の一対のオリゴヌクレオチドの各オリゴヌクレオチドを3’側領域及び5’側領域の2つの領域に分け、各オリゴヌクレオチドの3’側領域及び5’側領域を互いに非相補的な塩基配列とした複数対の架橋プローブをそれぞれ含む第2番目の系から第2n番目の系まで順番にn個形成された架橋プローブ含有系とを有し、
該架橋プローブを、該ダイマー形成用プローブより形成されるダイマーを架橋することが可能な塩基配列とし、
該プローブをハイブリダイゼーションさせることにより、オリゴヌクレオチドが自己集合し、自己集合体を形成させることを特徴とする請求項1記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。 - 前記プローブの少なくとも一つが、遺伝子増幅反応により合成されたオリゴヌクレオチドであることを特徴とする請求項8記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記n=1であり、前記プローブの塩基配列を、
第1の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第2の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
第1の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第2の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
第2の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第1の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
第2の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第1の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
をそれぞれ相補的な塩基配列とすることを特徴とする請求項8記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。 - 前記n=1であり、前記プローブの塩基配列を、
第1の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第2の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
第1の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第2の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
第1の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第2の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
第1の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第2の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
をそれぞれ相補的な塩基配列とすることを特徴とする請求項8記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。 - 前記n≧2であり、前記プローブの塩基配列を、
第(2n−3)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第(2n−2)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
第(2n−3)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第(2n−2)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
第(2n−2)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第(2n−1)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
第(2n−2)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第(2n−1)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
ダイマー形成用プローブの最後の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域と架橋プローブの最後の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
ダイマー形成用プローブの最後の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域と架橋プローブの最後の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
架橋プローブの最後の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第1番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
架橋プローブの最後の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第1番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
をそれぞれ相補的な塩基配列とすることを特徴とする請求項8記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。 - 前記n≧2であり、前記プローブの塩基配列を、
第(2n−3)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第(2n−2)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
第(2n−3)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第(2n−2)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
第(2n−2)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第(2n−1)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
第(2n−2)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第(2n−1)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
ダイマー形成用プローブの最後の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域と架橋プローブの最後の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
ダイマー形成用プローブの最後の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域と架橋プローブの最後の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
架橋プローブの最後の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第1番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域、
架橋プローブの最後の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第1番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域、
をそれぞれ相補的な塩基配列とすることを特徴とする請求項8記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。 - 前記プローブのハイブリダイゼーションが、あらかじめ前記ダイマー形成用プローブからダイマーを形成させた後、前記架橋プローブと該ダイマーをハイブリダイゼーションさせることを特徴とする請求項8〜13のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記複数対のダイマー形成用プローブが、前記中央領域の異なるm(m≧2)種のダイマー形成用プローブからなることを特徴とする請求項8〜14のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記一対のダイマー形成用プローブの3’側領域及び/又は5’側領域を互いに同一な塩基配列とすることを特徴とする請求項8〜15のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記架橋プローブの少なくとも一つが、前記架橋プローブの2つの領域を含有する遺伝子増幅反応により合成されたオリゴヌクレオチドであることを特徴とする請求項8〜16のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記遺伝子増幅反応により合成されたオリゴヌクレオチドが、それぞれ第(2n−1)の系のオリゴヌクレオチドの5’領域及び3’領域と相補的な領域を2箇所ずつ有する、少なくとも4箇所の領域からなるお互いに相補的な遺伝子断片であることを特徴とする請求項17記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記ダイマー形成用プローブ及び架橋プローブが、DNA、RNA、PNAまたはLNAのいずれかから選ばれる塩基から構成されることを特徴とする請求項8〜18のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記ダイマー形成用プローブ及び架橋プローブの相補的塩基配列領域の端部に、少なくとも1つのG(グアニン)またはC(シトシン)を配置させ、前記プローブがハイブリダイズした際に少なくとも1つのG−C結合を相補的塩基配列領域の端部に形成させることを特徴とする請求項8〜19のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記遺伝子増幅反応に耐熱性核酸合成酵素を使用することを特徴とする請求項1〜20のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記遺伝子増幅反応に耐熱性核酸連結酵素を使用することを特徴とする請求項1〜20のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記遺伝子増幅反応に鎖置換型核酸合成酵素を使用することを特徴とする請求項1〜20のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記遺伝子増幅反応で合成されたオリゴヌクレオチドが、二本鎖のDNA及び/又はRNAからなるオリゴヌクレオチド断片であることを特徴とする請求項1〜23のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記遺伝子増幅反応で合成されたオリゴヌクレオチドが、一本鎖のDNA及び/又はRNAからなるオリゴヌクレオチド断片であることを特徴とする請求項1〜23のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記遺伝子増幅反応に用いられる増幅用プローブがDNAであることを特徴とする請求項1〜25のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記遺伝子増幅反応に用いる増幅用プローブがRNAであることを特徴とする請求項1〜25のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記遺伝子増幅反応に用いる増幅用プローブがDNAとRNAから構成されるキメラ型であることを特徴とする請求項1〜25のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記遺伝子増幅反応に用いる一対の増幅用プローブの少なくとも一方の5’末端側及び/又は3’末端側の塩基をメチル化することを特徴とする請求項26〜28のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記遺伝子増幅反応で合成されたオリゴヌクレオチドが、ターゲット遺伝子と相補的な領域を有するオリゴヌクレオチドを予め該相補的領域で切断し、ライゲーション反応により連結されたものであることを特徴とする請求項1〜29のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記遺伝子増幅反応で合成されたオリゴヌクレオチドを核酸分解酵素で分解することを特徴とする請求項1〜30のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記核酸分解酵素にエキソヌクレアーゼを使用することを特徴とする請求項31記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記核酸分解酵素にRNase Hを用いることを特徴とする請求項31記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記核酸分解酵素に制限酵素を用いることを特徴とする請求項31記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記遺伝子増幅反応において増幅されるターゲット遺伝子に二本鎖のDNA及び/またはRNAを用いることを特徴とする請求項1〜34のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記遺伝子増幅反応において増幅されるターゲット遺伝子に一本鎖のDNA及び/またはRNAを用いることを特徴とする請求項1〜34のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記遺伝子増幅反応において増幅されるターゲット遺伝が一塩基多形であることを特徴とする請求項1〜34のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 請求項1〜37のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法を用いて形成されることを特徴とする自己集合体。
- 請求項1〜37のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法を用いて自己集合体を形成させ、形成された前記自己集合体を検出することにより、前記遺伝子増幅反応で合成されたオリゴヌクレオチドを検出することを特徴とする遺伝子の検出方法。
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