JPWO2003015762A1 - 心不全治療剤 - Google Patents
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Abstract
式(I)(式中、R1はH、C1〜8アルキル、または−OR2が置換したC1〜8アルキル表わし、R2はH、C1〜8アルキル、ベンジル、またはC1〜8アルコキシが置換したC1〜8アルキルを表わす。)で示されるヒドロキサム酸化合物、またはその非毒性塩を有効成分として含有する心不全および/または心肥大治療および/または予防剤。式(I)で示される本発明化合物は、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害作用を有し、心不全および心肥大に有効である。
Description
技術分野
本発明は、心不全および心肥大の治療剤に関する。
さらに詳しく言えば、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害活性を有する式(I)
(式中、すべての記号は後記と同じ意味を表わす。)で示されるヒドロキサム酸化合物、またはその非毒性塩を有効成分として含有する心不全および/または心肥大の治療および/または予防剤に関する。
背景技術
マトリックスメタロプロテイナーゼ(以下、MMPと略記する。)は活性中心に亜鉛(以下、Zn2+と略記する。)を有する中性メタロプロテイナーゼであり、現在までに一次構造の異なる10種類以上の分子種が同定されている。具体的には、間質性コラゲナーゼ(MMP−1)、白血球コラゲナーゼ(MMP−8)、コラゲナーゼ−3(MMP−13)、ゼラチナーゼA(MMP−2)、ゼラチナーゼB(MMP−9)、ストロムライシン1(MMP−3)、ストロムライシン2(MMP−10)、マトリライシン(MMP−7)、メタロエラスターゼ(MMP−12)等が挙げられる。
MMPは、生理的状況下においてはコラーゲン、ラミニン、プロテオグリカン、フィブロネクチン、エラスチン、ゼラチン等を分解することにより関節組織、骨組織、結合組織などの成長及び組織改築などに作用している。しかし、病態における各種組織の破壊は、MMPの調節機能の破綻から、MMPの発現または活性が上昇することによると考えられる。例えば、拡張型心筋症において、左心室筋のMMP活性の増加が確認されている[Circulation,97(17),1708−15(1998)]。また、うっ血性心不全モデルにおいて、左心室MMPの酵素活性と蛋白量の変化が左心室拡張と機能不全の開始とその進行を引き起こすことが証明されている[Circ Res,82(4),482−95(1998)]。
一方、心不全は心機能障害の存在によって、正常の心拍出量が維持できない状態であり、その原因疾患は心筋梗塞、高血圧性心疾患、拡張型心筋症等さまざまである。
心臓に慢性的な機械的負荷が加わることによって起こる心拍出量の低下に対して、心臓は急性期に収縮期応力を正常に保つため形態学的に心室の拡大、肥大という変化を起こすこと、また交感神経活性の亢進等の代償機序で順応する。詳しくは、機械的負荷に対してさまざまな神経・液性因子が動員され、心筋細胞の蛋白合成が亢進する。また、種々の遺伝子の発現の変化や非心筋細胞の質的な変化、例えば細胞外マトリックスの合成亢進等も認められている。しかし、負荷に対する代償機序が長く続くと、心臓に負担をかけるというマイナス面がある。さらに、代償機序の破綻により、肥大心の心室は拡大し、心機能が低下して心不全へと移行する。このように心肥大は負荷に対する適応現象であるとともに、心不全の前段階とも見なされる。従って、心肥大から心不全への代償破綻とその細胞レベルでの因子を解明し、それを薬物学的に制御できれば、心不全の内科的治療として活用することが可能である。
現在、心不全の治療はポンプ作用の改善、負荷の軽減、浮腫の改善に分けられ、それぞれ強心薬、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、利尿薬等が用いられている。しかしこれらも、安全域や副作用の問題があることや、その効果を供受できる患者数も統計学的には一部にすぎず、まだ十分に満足できるものではない。
MMP阻害作用を有する化合物の適応疾患に心不全を挙げている特許出願として、例えば、WO99/32150号明細書がある。
また、MMP阻害剤であるPD166793が心不全動物実験モデルで有効である旨の報告がある[J Pharmacol Exp Ther,291(2),799−811(1999),Circ Res.,85(4),364−376(1999)]。しかし現在、MMP阻害作用を有する化合物からなる心不全および心肥大の治療および/または予防剤は存在しない。
発明の開示
前記したように、強力な心不全および心肥大の治療および/または予防剤の提供が切望されており、MMP阻害剤がその治療および/または予防剤となることが期待されている。
しかし、既に知られているMMP阻害剤のすべてが心不全および心肥大に有効であるとは限らないのは当然のことであり、まだその実現には至っていないのが現状である。
以上のような状況下で、本発明者らは鋭意検討を行った結果、式(I)で示されるヒドロキサム酸化合物、またはその非毒性塩が心不全および心肥大に有効であることをはじめて証明し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は式(I)
(式中、R1は水素原子、C1〜8アルキル、または−OR2が置換したC1〜8アルキル表わし、R2は水素原子、C1〜8アルキル、ベンジル、またはC1〜8アルコキシが置換したC1〜8アルキルを表わす。)で示されるヒドロキサム酸化合物、またはその非毒性塩を有効成分として含有する心不全および/または心肥大治療および/または予防剤に関する。
詳細な説明
式(I)で示されるヒドロキサム酸化合物は、MMP阻害作用を有する化合物として、WO99/19296号明細書に記載されている。
前記明細書には、式(1)で示される化合物を含むアミノブタン酸誘導体は、MMP阻害活性を有するため、リウマチ、骨関節炎、病的骨吸収、骨粗鬆症、歯周病、間質性腎炎、動脈硬化、肺気腫、肝硬変、角膜損傷、ガン細胞の転移浸潤や増殖の疾患、自己免疫疾患(クローン病、シュグレン病等)、白血球系の細胞の血管遊出や浸潤による疾患、血管新生、多発性硬化症、大動脈瘤、子宮内膜症等に有効であると記載されている。しかし、式(I)で示される化合物が、心不全および心肥大に有効である旨の記載は存在しない。
このように何らかの関わりはあるが、実際に心不全および心肥大に有効であることは知られていないMMP阻害剤のいくつかを実際の心不全モデルにかけてみたところ、本発明者らは、式(I)で示される化合物が有効であることを今回はじめて見出した。
本発明で使用するヒドロキサム酸化合物を表わす式(I)において、C1〜8アルキルとはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル基およびこれらの異性体である。
式(I)において、−OR2が置換したC1〜8アルキルとは、1個の−OR2が置換したメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル基およびこれらの異性体である。
式(I)において、C1〜8アルコキシ基が置換したC1〜8アルキルとは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ基およびこれらの異性体から選ばれる1個の基が置換したメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル基およびこれらの異性体である。
合物を表わす結合であり、具体的には紙面の手前に結合していることを表わ
らの混合物を表わす。
本発明においては、特に指示しない限り異性体はこれをすべて包含する。例えば、アルキル基、およびアルコキシ基には直鎖のものおよび分枝鎖のものが含まれる。さらに、不斉炭素の存在等による異性体(R、S体、α、β体、エナンチオマー、ジアステレオマー)、旋光性を有する光学活性体(D、L、d、1体)、クロマトグラフ分離による極性体(高極性体、低極性体)、平衡化合物、これらの任意の割合の混合物、ラセミ混合物は、すべて本発明に含まれる。
式(I)において、R1が表わす基はすべて好ましいが、より好ましくは水素原子、C1〜4アルキル、または−OR2が1個置換したC1〜4アルキルである。
式(I)において、R2が表わす基はすべて好ましいが、より好ましくは水素原子、C1〜4アルキル、ベンジル、またはC1〜4アルコキシが1個置換したC1〜4アルキルである。
本発明に用いられる具体的な化合物としては、
N−ヒドロキシ−5−ヒドロキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、
N−ヒドロキシ−5−メトキシメチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、
N−ヒドロキシ−5−エトキシメチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、
N−ヒドロキシ−5−エトキシメチルオキシ−2(R)−メチル−4(R)−[N−(4−フェノキシフェニルカルボニル)アミノ]ペンタンアミド、
N−ヒドロキシ−5−エトキシメチルオキシ−2(R)−メチル−4(S)−[N−(4−フェノキシフェニルカルボニル)アミノ]ペンタンアミド、
N−ヒドロキシ−5−ベンジルオキシメチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、または
N−ヒドロキシ−5−(2−メトキシエトキシ)メチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、またはその非毒性塩が挙げられる。
本発明に用いられる化合物は以下の非毒性塩の形で用いてもよい。塩は毒性のない、水溶性のものが好ましい。
適当な塩としては、アルカリ金属(カリウム、ナトリウム等)の塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)の塩、アンモニウム塩、薬学的に許容される有機アミン(テトラメチルアンモニウム、トリエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミン、リジン、アルギニン、N−メチル−D−グルカミン等)の塩が挙げられる。
本発明に用いられる化合物またはその非毒性塩は、公知の方法により、水和物に変換することもできる。
発明を実施するための最良の形態
本発明化合物の心不全および心肥大における有効性は、以下の実験によって証明された。
ダール食塩感受性ラットの心不全モデル:
被験薬として式(II)
で示されるN−ヒドロキシ−5−エトキシメチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド(以下、化合物(II)とする。)を用いた。
[実験方法]
(1)延命効果
高食塩食にて飼育したダール食塩感受性ラット(各群10例)に、心肥大発症11週齢および15週齢から、被験薬(100mg/kg)を1日2回投与した。投与は心肥大発症後死亡するまで続けた。投与の間およびその後の、対照群(Vehicle)(0.5%カルボキシメチルセルロース投与群)および被験薬投与群のラットの生存をそれぞれ確認し、Kaplan−Meier法により解析して累積生存率を算出した。結果を図1に示す。
(2)左心機能・形態の測定
上記ダール食塩感受性ラットの心不全モデルにおいて、経胸壁心エコー法により、11、15および17週齢のラットの左室拡張末期径(LVDD)、左室収縮末期径(LVDS)、左室後壁厚(PWT)、壁応力(Wall Stress)を測定した。結果を図2〜5に示す。
(3)P−Vカーブ
上記ダール食塩感受性ラットの心不全モデルにおいて、11、15および17週齢のラットから心臓を取り出し、ランゲンドルフ法にて冠還流下にて左室内圧および左室容積を測定した。結果を図6に示す。
[発明の効果]
本モデルにおいて、式(I)で示される化合物は対照群に比べ、ラットの生存延命に効果を示した。
また、17週齢においてLVDDおよびLVDSが低下した。これらから左室内腔の狭小化が起こっていることがわかる。さらに、LVDDの低下とともに、PWTが上昇したことより、左室内腔が狭小化するとともに、壁の肥厚したことがわかる。また、壁応力(Wall Stress)も小さくなった。これらの結果より、心不全期に見られる左室の伸展を、式(I)で示される化合物は抑制したと判断できる。
被験薬投与群のP−Vカーブは、対照群よりも左方に移動し、傾きが急峻になっている。これは左室径が小さくなり、硬化したと判断できる。また、左室容積も減少しており、これは前記のLVDDおよびLVDSの低下した結果と相関する。
従って、式(I)で示される化合物は心不全または心肥大に対して有効であると判断できる。
[毒性]
本発明化合物の毒性は非常に低いものであり、医薬として使用するために十分安全であると判断できる。例えば、マウスを用いた経口投与での化合物(II)の最低致死量は、2000mg/kgであった。
産業上の利用可能性
[医薬品への適用]
本発明に用いられる、マトリックスメタロプロテイナーゼ、例えばゼラチナーゼ、ストロムライシンまたはコラゲナーゼ等に対し阻害作用を有する式(I)で示されるヒドロキサム酸化合物、またはその非毒性塩は、ヒトを含めた動物、特にヒトにおいて、心不全または心肥大の治療および/または予防に有用である。
式(I)で示される化合物またはそれらの非毒性塩は、
1)その化合物の予防および/または治療効果の補完および/または増強、
2)その化合物の動態・吸収改善、投与量の低減、
および/または
3)その化合物の副作用の軽減のために他の薬剤と組み合わせて、併用剤として投与してもよい。
式(I)で示される化合物と他の薬剤の併用剤は、1つの製剤中に両成分を配合した配合剤の形態で投与してもよく、また別々の製剤にして投与する形態をとってもよい。別々の製剤にして投与する場合には、同時投与および時間差による投与が含まれる。また、時間差による投与は、式(I)で示される化合物を先に投与し、他の薬剤を後に投与してもよいし、他の薬剤を先に投与し、式(I)で示される化合物を後に投与してもよい。それぞれの投与方法は同じでも異なっていてもよい。
上記併用剤により、予防および/または治療効果を奏する疾患は特に限定されず、式(I)で示される化合物の予防および/または治療効果を補完および/または増強する疾患であればよい。
式(I)で示される化合物の心不全または心肥大に対する予防および/または治療効果の補完および/または増強のための他の薬剤としては、例えば、利尿薬、強心配糖体、カルシウム拮抗薬、末梢血管拡張薬、α遮断薬、亜硝酸薬、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、自立神経節遮断薬、カテコラミン類等が挙げられる。
利尿剤としては、例えば、マンニトール、フロセミド、アセタゾラミド、ジクロルフェナミド、メタゾラミド、トリクロルメチアジド、メフルシド、スピロノラクトン、アミノフィリン等が挙げられる。
強心配糖体としては、ジギトキシン、ジゴキシン、デスラノシド、メチルジゴキシン、プロスシラリジン、ストロファンチン、ラナトシドC等が挙げられる。
カルシウム拮抗剤としては、ニフェジピン、塩酸ベニジピン、塩酸ジルチアゼム、塩酸ベラパミル、ニソルジピン、ニトレンジピン、塩酸ベプリジル、ベシル酸アムロジピン、塩酸ロメリジン等が挙げられる。
アンジオテンシン変換酵素阻害剤としては、アラセプリル、塩酸イミダプリル、塩酸キナプリル、塩酸テモカプリル、塩酸デラプリル、塩酸ベナゼプリル、カプトプリル、トランドラプリル、ペリンドプリルエルブミン、マレイン酸エナラプリル、リシノプリル等が挙げられる。
カテコラミン類としては、ノルエピネフリン、イソプロテレノール、ドパミン、デノパミン、カルグートが挙げられる。
式(I)で示される化合物と他の薬剤の重量比は特に限定されない。
他の薬剤は、任意の2種以上を組み合わせて投与してもよい。
また、式(I)で示される化合物の予防および/または治療効果を補完および/または増強する他の薬剤には、上記したメカニズムに基づいて、現在までに見出されているものだけでなく今後見出されるものも含まれる。
式(I)で示される化合物、または式(I)で示される化合物と他の薬剤の併用剤を上記の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。
投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人一人当たり、一回につき、1mgから1000mgの範囲で一日一回から数回経口投与されるか、または成人一人当たり、一回につき、0.1mgから100mgの範囲で一日一回から数回非経口投与されるか、または一日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。
もちろん、前記したように投与量は種々の条件により変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて投与の必要な場合もある。
式(I)で示される化合物、または式(I)で示される化合物と他の薬剤の併用剤を投与する際には、経口投与のための内服用固形剤、内服用液剤、および非経口投与のための注射剤、外用剤、坐剤、点眼剤、吸入剤等として用いられる。
経口投与のための内服用固形剤には、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等が含まれる。カプセル剤には、ハードカプセルおよびソフトカプセルが含まれる。
このような内服用固形剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質はそのままか、または賦形剤(ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、デンプン等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸等)等と混合され、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要によりコーティング剤(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。さらにゼラチンのような吸収されうる物質のカプセルも包含される。
経口投与のための内服用液剤は、薬剤的に許容される水剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含む。このような液剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質が、一般的に用いられる希釈剤(精製水、エタノールまたはそれらの混液等)に溶解、懸濁または乳化される。さらにこの液剤は、湿潤剤、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、保存剤、緩衝剤等を含有していてもよい。
非経口投与のための外用剤の剤形には、例えば、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、湿布剤、貼付剤、リニメント剤、噴霧剤、吸入剤、スプレー剤、エアゾル剤および点鼻剤等が含まれる。これらはひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、公知の方法または通常使用されている処方により調製される。
軟膏剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に研和、または溶融させて調製される。軟膏基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高級脂肪酸または高級脂肪酸エステル(アジピン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アジピン酸エステル、ミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル等)、ロウ類(ミツロウ、鯨ロウ、セレシン等)、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等)、高級アルコール(セタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール等)、シリコン油(ジメチルポリシロキサン等)、炭化水素類(親水ワセリン、白色ワセリン、精製ラノリン、流動パラフィン等)、グリコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、マクロゴール等)、植物油(ヒマシ油、オリーブ油、ごま油、テレピン油等)、動物油(ミンク油、卵黄油、スクワラン、スクワレン等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保湿剤、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
ゲル剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融させて調製される。ゲル基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、低級アルコール(エタノール、イソプロピルアルコール等)、ゲル化剤(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース等)、中和剤(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等)、界面活性剤(モノステアリン酸ポリエチレングリコール等)、ガム類、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
クリーム剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融または乳化させて製造される。クリーム基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高級脂肪酸エステル、低級アルコール、炭化水素類、多価アルコール(プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等)、高級アルコール(2−ヘキシルデカノール、セタノール等)、乳化剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、脂肪酸エステル類等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
湿布剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融させ、練合物とし支持体上に展延塗布して製造される。湿布基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、増粘剤(ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、デンプン、ゼラチン、メチルセルロース等)、湿潤剤(尿素、グリセリン、プロピレングリコール等)、充填剤(カオリン、酸化亜鉛、タルク、カルシウム、マグネシウム等)、水、溶解補助剤、粘着付与剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
貼付剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融させ、支持体上に展延塗布して製造される。貼付剤用基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高分子基剤、油脂、高級脂肪酸、粘着付与剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
リニメント剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物を水、アルコール(エタノール、ポリエチレングリコール等)、高級脂肪酸、グリセリン、セッケン、乳化剤、懸濁化剤等から選ばれるもの単独または2種以上に溶解、懸濁または乳化させて製造される。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
噴霧剤、吸入剤、およびスプレー剤は、一般的に用いられる希釈剤以外に亜硫酸水素ナトリウムのような安定剤と等張性を与えるような緩衝剤、例えば塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウムあるいはクエン酸のような等張剤を含有していてもよい。スプレー剤の製造方法は、例えば米国特許第2,868,691号および同第3,095,355号に詳しく記載されている。
非経口投与のための注射剤としては、溶液、懸濁液、乳濁液および用時溶剤に溶解または懸濁して用いる固形の注射剤を包含する。注射剤は、ひとつまたはそれ以上の活性物質を溶剤に溶解、懸濁または乳化させて用いられる。溶剤としては、例えば注射用蒸留水、生理食塩水、植物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノールのようなアルコール類等およびそれらの組み合わせが用いられる。さらにこの注射剤は、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸、ポリソルベート80(登録商標)等)、懸濁化剤、乳化剤、無痛化剤、緩衝剤、保存剤等を含んでいてもよい。これらは最終工程において滅菌するか無菌操作法によって製造される。また無菌の固形剤、例えば凍結乾燥品を製造し、その使用前に無菌化または無菌の注射用蒸留水または他の溶剤に溶解して使用することもできる。
非経口投与のための吸入剤としては、エアロゾル剤、吸入用粉末剤又は吸入用液剤が含まれ、当該吸入用液剤は用時に水または他の適当な媒体に溶解又は懸濁させて使用する形態であってもよい。
これらの吸入剤は公知の方法に準じて製造される。
例えば、吸入用液剤の場合には、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、着色剤、緩衝化剤(リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等)、等張化剤(塩化ナトリウム、濃グリセリン等)、増粘剤(カリボキシビニルポリマー等)、吸収促進剤などを必要に応じて適宜選択して調製される。
吸入用粉末剤の場合には、滑沢剤(ステアリン酸およびその塩等)、結合剤(デンプン、デキストリン等)、賦形剤(乳糖、セルロース等)、着色剤、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、吸収促進剤などを必要に応じて適宜選択して調製される。
吸入用液剤を投与する際には通常噴霧器(アトマイザー、ネブライザー)が使用され、吸入用粉末剤を投与する際には通常粉末薬剤用吸入投与器が使用される。
非経口投与のためその他の組成物としては、ひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、常法により処方される直腸内投与のための坐剤および腟内投与のためのペッサリー等が含まれる。
製剤例1
以下の各成分を常法により混合した後打錠して、一錠中に50mgの活性成分を含有する錠剤100錠を得た。
・N−ヒドロキシ−5−エトキシメチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)
−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド ……5.0g
・カルボキシメチルセルロースカルシウム(崩壊剤) ……0.2g
・ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤) ……0.1g
・微結晶セルロース ……4.7g
製剤例2
以下の各成分を常法により混合した後、溶液を常法により滅菌し、5mlずつアンプルに充填し、常法により凍結乾燥し、1アンプル中20mgの活性成分を含有するアンプル100本を得た。
・N−ヒドロキシ−5−エトキシメチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)
−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド ……2.0g
・マンニトール ……20g
・蒸留水 ……500ml
【図面の簡単な説明】
図1は、ダール食塩感受性ラットにN−ヒドロキシ−5−エトキシメチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド(化合物(II))の投与を心肥大発症後死亡するまで続けた際のラットの累積生存率を示す。
図2〜5は、化合物(II)をダール食塩感受性ラットに心肥大発症11週齢または15週齢から死亡するまで投与した際の経胸壁心エコー法による11、15および17週齢の左室拡張末期径(LVDD)(図2)、左室収縮末期径(LVDS)(図3)、左室後壁厚(PWT)(図4)、および壁応力(Wall Stress)(図5)を示すグラフである。
図6は、化合物(II)を心肥大発症11週齢または15週齢から死亡するまで投与したダール食塩感受性ラット心臓の左室内圧(mmH2O)と左室(LV)容積を測定した結果を示す。
本発明は、心不全および心肥大の治療剤に関する。
さらに詳しく言えば、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害活性を有する式(I)
(式中、すべての記号は後記と同じ意味を表わす。)で示されるヒドロキサム酸化合物、またはその非毒性塩を有効成分として含有する心不全および/または心肥大の治療および/または予防剤に関する。
背景技術
マトリックスメタロプロテイナーゼ(以下、MMPと略記する。)は活性中心に亜鉛(以下、Zn2+と略記する。)を有する中性メタロプロテイナーゼであり、現在までに一次構造の異なる10種類以上の分子種が同定されている。具体的には、間質性コラゲナーゼ(MMP−1)、白血球コラゲナーゼ(MMP−8)、コラゲナーゼ−3(MMP−13)、ゼラチナーゼA(MMP−2)、ゼラチナーゼB(MMP−9)、ストロムライシン1(MMP−3)、ストロムライシン2(MMP−10)、マトリライシン(MMP−7)、メタロエラスターゼ(MMP−12)等が挙げられる。
MMPは、生理的状況下においてはコラーゲン、ラミニン、プロテオグリカン、フィブロネクチン、エラスチン、ゼラチン等を分解することにより関節組織、骨組織、結合組織などの成長及び組織改築などに作用している。しかし、病態における各種組織の破壊は、MMPの調節機能の破綻から、MMPの発現または活性が上昇することによると考えられる。例えば、拡張型心筋症において、左心室筋のMMP活性の増加が確認されている[Circulation,97(17),1708−15(1998)]。また、うっ血性心不全モデルにおいて、左心室MMPの酵素活性と蛋白量の変化が左心室拡張と機能不全の開始とその進行を引き起こすことが証明されている[Circ Res,82(4),482−95(1998)]。
一方、心不全は心機能障害の存在によって、正常の心拍出量が維持できない状態であり、その原因疾患は心筋梗塞、高血圧性心疾患、拡張型心筋症等さまざまである。
心臓に慢性的な機械的負荷が加わることによって起こる心拍出量の低下に対して、心臓は急性期に収縮期応力を正常に保つため形態学的に心室の拡大、肥大という変化を起こすこと、また交感神経活性の亢進等の代償機序で順応する。詳しくは、機械的負荷に対してさまざまな神経・液性因子が動員され、心筋細胞の蛋白合成が亢進する。また、種々の遺伝子の発現の変化や非心筋細胞の質的な変化、例えば細胞外マトリックスの合成亢進等も認められている。しかし、負荷に対する代償機序が長く続くと、心臓に負担をかけるというマイナス面がある。さらに、代償機序の破綻により、肥大心の心室は拡大し、心機能が低下して心不全へと移行する。このように心肥大は負荷に対する適応現象であるとともに、心不全の前段階とも見なされる。従って、心肥大から心不全への代償破綻とその細胞レベルでの因子を解明し、それを薬物学的に制御できれば、心不全の内科的治療として活用することが可能である。
現在、心不全の治療はポンプ作用の改善、負荷の軽減、浮腫の改善に分けられ、それぞれ強心薬、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、利尿薬等が用いられている。しかしこれらも、安全域や副作用の問題があることや、その効果を供受できる患者数も統計学的には一部にすぎず、まだ十分に満足できるものではない。
MMP阻害作用を有する化合物の適応疾患に心不全を挙げている特許出願として、例えば、WO99/32150号明細書がある。
また、MMP阻害剤であるPD166793が心不全動物実験モデルで有効である旨の報告がある[J Pharmacol Exp Ther,291(2),799−811(1999),Circ Res.,85(4),364−376(1999)]。しかし現在、MMP阻害作用を有する化合物からなる心不全および心肥大の治療および/または予防剤は存在しない。
発明の開示
前記したように、強力な心不全および心肥大の治療および/または予防剤の提供が切望されており、MMP阻害剤がその治療および/または予防剤となることが期待されている。
しかし、既に知られているMMP阻害剤のすべてが心不全および心肥大に有効であるとは限らないのは当然のことであり、まだその実現には至っていないのが現状である。
以上のような状況下で、本発明者らは鋭意検討を行った結果、式(I)で示されるヒドロキサム酸化合物、またはその非毒性塩が心不全および心肥大に有効であることをはじめて証明し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は式(I)
(式中、R1は水素原子、C1〜8アルキル、または−OR2が置換したC1〜8アルキル表わし、R2は水素原子、C1〜8アルキル、ベンジル、またはC1〜8アルコキシが置換したC1〜8アルキルを表わす。)で示されるヒドロキサム酸化合物、またはその非毒性塩を有効成分として含有する心不全および/または心肥大治療および/または予防剤に関する。
詳細な説明
式(I)で示されるヒドロキサム酸化合物は、MMP阻害作用を有する化合物として、WO99/19296号明細書に記載されている。
前記明細書には、式(1)で示される化合物を含むアミノブタン酸誘導体は、MMP阻害活性を有するため、リウマチ、骨関節炎、病的骨吸収、骨粗鬆症、歯周病、間質性腎炎、動脈硬化、肺気腫、肝硬変、角膜損傷、ガン細胞の転移浸潤や増殖の疾患、自己免疫疾患(クローン病、シュグレン病等)、白血球系の細胞の血管遊出や浸潤による疾患、血管新生、多発性硬化症、大動脈瘤、子宮内膜症等に有効であると記載されている。しかし、式(I)で示される化合物が、心不全および心肥大に有効である旨の記載は存在しない。
このように何らかの関わりはあるが、実際に心不全および心肥大に有効であることは知られていないMMP阻害剤のいくつかを実際の心不全モデルにかけてみたところ、本発明者らは、式(I)で示される化合物が有効であることを今回はじめて見出した。
本発明で使用するヒドロキサム酸化合物を表わす式(I)において、C1〜8アルキルとはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル基およびこれらの異性体である。
式(I)において、−OR2が置換したC1〜8アルキルとは、1個の−OR2が置換したメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル基およびこれらの異性体である。
式(I)において、C1〜8アルコキシ基が置換したC1〜8アルキルとは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ基およびこれらの異性体から選ばれる1個の基が置換したメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル基およびこれらの異性体である。
合物を表わす結合であり、具体的には紙面の手前に結合していることを表わ
らの混合物を表わす。
本発明においては、特に指示しない限り異性体はこれをすべて包含する。例えば、アルキル基、およびアルコキシ基には直鎖のものおよび分枝鎖のものが含まれる。さらに、不斉炭素の存在等による異性体(R、S体、α、β体、エナンチオマー、ジアステレオマー)、旋光性を有する光学活性体(D、L、d、1体)、クロマトグラフ分離による極性体(高極性体、低極性体)、平衡化合物、これらの任意の割合の混合物、ラセミ混合物は、すべて本発明に含まれる。
式(I)において、R1が表わす基はすべて好ましいが、より好ましくは水素原子、C1〜4アルキル、または−OR2が1個置換したC1〜4アルキルである。
式(I)において、R2が表わす基はすべて好ましいが、より好ましくは水素原子、C1〜4アルキル、ベンジル、またはC1〜4アルコキシが1個置換したC1〜4アルキルである。
本発明に用いられる具体的な化合物としては、
N−ヒドロキシ−5−ヒドロキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、
N−ヒドロキシ−5−メトキシメチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、
N−ヒドロキシ−5−エトキシメチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、
N−ヒドロキシ−5−エトキシメチルオキシ−2(R)−メチル−4(R)−[N−(4−フェノキシフェニルカルボニル)アミノ]ペンタンアミド、
N−ヒドロキシ−5−エトキシメチルオキシ−2(R)−メチル−4(S)−[N−(4−フェノキシフェニルカルボニル)アミノ]ペンタンアミド、
N−ヒドロキシ−5−ベンジルオキシメチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、または
N−ヒドロキシ−5−(2−メトキシエトキシ)メチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、またはその非毒性塩が挙げられる。
本発明に用いられる化合物は以下の非毒性塩の形で用いてもよい。塩は毒性のない、水溶性のものが好ましい。
適当な塩としては、アルカリ金属(カリウム、ナトリウム等)の塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)の塩、アンモニウム塩、薬学的に許容される有機アミン(テトラメチルアンモニウム、トリエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミン、リジン、アルギニン、N−メチル−D−グルカミン等)の塩が挙げられる。
本発明に用いられる化合物またはその非毒性塩は、公知の方法により、水和物に変換することもできる。
発明を実施するための最良の形態
本発明化合物の心不全および心肥大における有効性は、以下の実験によって証明された。
ダール食塩感受性ラットの心不全モデル:
被験薬として式(II)
で示されるN−ヒドロキシ−5−エトキシメチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド(以下、化合物(II)とする。)を用いた。
[実験方法]
(1)延命効果
高食塩食にて飼育したダール食塩感受性ラット(各群10例)に、心肥大発症11週齢および15週齢から、被験薬(100mg/kg)を1日2回投与した。投与は心肥大発症後死亡するまで続けた。投与の間およびその後の、対照群(Vehicle)(0.5%カルボキシメチルセルロース投与群)および被験薬投与群のラットの生存をそれぞれ確認し、Kaplan−Meier法により解析して累積生存率を算出した。結果を図1に示す。
(2)左心機能・形態の測定
上記ダール食塩感受性ラットの心不全モデルにおいて、経胸壁心エコー法により、11、15および17週齢のラットの左室拡張末期径(LVDD)、左室収縮末期径(LVDS)、左室後壁厚(PWT)、壁応力(Wall Stress)を測定した。結果を図2〜5に示す。
(3)P−Vカーブ
上記ダール食塩感受性ラットの心不全モデルにおいて、11、15および17週齢のラットから心臓を取り出し、ランゲンドルフ法にて冠還流下にて左室内圧および左室容積を測定した。結果を図6に示す。
[発明の効果]
本モデルにおいて、式(I)で示される化合物は対照群に比べ、ラットの生存延命に効果を示した。
また、17週齢においてLVDDおよびLVDSが低下した。これらから左室内腔の狭小化が起こっていることがわかる。さらに、LVDDの低下とともに、PWTが上昇したことより、左室内腔が狭小化するとともに、壁の肥厚したことがわかる。また、壁応力(Wall Stress)も小さくなった。これらの結果より、心不全期に見られる左室の伸展を、式(I)で示される化合物は抑制したと判断できる。
被験薬投与群のP−Vカーブは、対照群よりも左方に移動し、傾きが急峻になっている。これは左室径が小さくなり、硬化したと判断できる。また、左室容積も減少しており、これは前記のLVDDおよびLVDSの低下した結果と相関する。
従って、式(I)で示される化合物は心不全または心肥大に対して有効であると判断できる。
[毒性]
本発明化合物の毒性は非常に低いものであり、医薬として使用するために十分安全であると判断できる。例えば、マウスを用いた経口投与での化合物(II)の最低致死量は、2000mg/kgであった。
産業上の利用可能性
[医薬品への適用]
本発明に用いられる、マトリックスメタロプロテイナーゼ、例えばゼラチナーゼ、ストロムライシンまたはコラゲナーゼ等に対し阻害作用を有する式(I)で示されるヒドロキサム酸化合物、またはその非毒性塩は、ヒトを含めた動物、特にヒトにおいて、心不全または心肥大の治療および/または予防に有用である。
式(I)で示される化合物またはそれらの非毒性塩は、
1)その化合物の予防および/または治療効果の補完および/または増強、
2)その化合物の動態・吸収改善、投与量の低減、
および/または
3)その化合物の副作用の軽減のために他の薬剤と組み合わせて、併用剤として投与してもよい。
式(I)で示される化合物と他の薬剤の併用剤は、1つの製剤中に両成分を配合した配合剤の形態で投与してもよく、また別々の製剤にして投与する形態をとってもよい。別々の製剤にして投与する場合には、同時投与および時間差による投与が含まれる。また、時間差による投与は、式(I)で示される化合物を先に投与し、他の薬剤を後に投与してもよいし、他の薬剤を先に投与し、式(I)で示される化合物を後に投与してもよい。それぞれの投与方法は同じでも異なっていてもよい。
上記併用剤により、予防および/または治療効果を奏する疾患は特に限定されず、式(I)で示される化合物の予防および/または治療効果を補完および/または増強する疾患であればよい。
式(I)で示される化合物の心不全または心肥大に対する予防および/または治療効果の補完および/または増強のための他の薬剤としては、例えば、利尿薬、強心配糖体、カルシウム拮抗薬、末梢血管拡張薬、α遮断薬、亜硝酸薬、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、自立神経節遮断薬、カテコラミン類等が挙げられる。
利尿剤としては、例えば、マンニトール、フロセミド、アセタゾラミド、ジクロルフェナミド、メタゾラミド、トリクロルメチアジド、メフルシド、スピロノラクトン、アミノフィリン等が挙げられる。
強心配糖体としては、ジギトキシン、ジゴキシン、デスラノシド、メチルジゴキシン、プロスシラリジン、ストロファンチン、ラナトシドC等が挙げられる。
カルシウム拮抗剤としては、ニフェジピン、塩酸ベニジピン、塩酸ジルチアゼム、塩酸ベラパミル、ニソルジピン、ニトレンジピン、塩酸ベプリジル、ベシル酸アムロジピン、塩酸ロメリジン等が挙げられる。
アンジオテンシン変換酵素阻害剤としては、アラセプリル、塩酸イミダプリル、塩酸キナプリル、塩酸テモカプリル、塩酸デラプリル、塩酸ベナゼプリル、カプトプリル、トランドラプリル、ペリンドプリルエルブミン、マレイン酸エナラプリル、リシノプリル等が挙げられる。
カテコラミン類としては、ノルエピネフリン、イソプロテレノール、ドパミン、デノパミン、カルグートが挙げられる。
式(I)で示される化合物と他の薬剤の重量比は特に限定されない。
他の薬剤は、任意の2種以上を組み合わせて投与してもよい。
また、式(I)で示される化合物の予防および/または治療効果を補完および/または増強する他の薬剤には、上記したメカニズムに基づいて、現在までに見出されているものだけでなく今後見出されるものも含まれる。
式(I)で示される化合物、または式(I)で示される化合物と他の薬剤の併用剤を上記の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。
投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人一人当たり、一回につき、1mgから1000mgの範囲で一日一回から数回経口投与されるか、または成人一人当たり、一回につき、0.1mgから100mgの範囲で一日一回から数回非経口投与されるか、または一日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。
もちろん、前記したように投与量は種々の条件により変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて投与の必要な場合もある。
式(I)で示される化合物、または式(I)で示される化合物と他の薬剤の併用剤を投与する際には、経口投与のための内服用固形剤、内服用液剤、および非経口投与のための注射剤、外用剤、坐剤、点眼剤、吸入剤等として用いられる。
経口投与のための内服用固形剤には、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等が含まれる。カプセル剤には、ハードカプセルおよびソフトカプセルが含まれる。
このような内服用固形剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質はそのままか、または賦形剤(ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、デンプン等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸等)等と混合され、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要によりコーティング剤(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。さらにゼラチンのような吸収されうる物質のカプセルも包含される。
経口投与のための内服用液剤は、薬剤的に許容される水剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含む。このような液剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質が、一般的に用いられる希釈剤(精製水、エタノールまたはそれらの混液等)に溶解、懸濁または乳化される。さらにこの液剤は、湿潤剤、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、保存剤、緩衝剤等を含有していてもよい。
非経口投与のための外用剤の剤形には、例えば、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、湿布剤、貼付剤、リニメント剤、噴霧剤、吸入剤、スプレー剤、エアゾル剤および点鼻剤等が含まれる。これらはひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、公知の方法または通常使用されている処方により調製される。
軟膏剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に研和、または溶融させて調製される。軟膏基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高級脂肪酸または高級脂肪酸エステル(アジピン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アジピン酸エステル、ミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル等)、ロウ類(ミツロウ、鯨ロウ、セレシン等)、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等)、高級アルコール(セタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール等)、シリコン油(ジメチルポリシロキサン等)、炭化水素類(親水ワセリン、白色ワセリン、精製ラノリン、流動パラフィン等)、グリコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、マクロゴール等)、植物油(ヒマシ油、オリーブ油、ごま油、テレピン油等)、動物油(ミンク油、卵黄油、スクワラン、スクワレン等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保湿剤、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
ゲル剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融させて調製される。ゲル基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、低級アルコール(エタノール、イソプロピルアルコール等)、ゲル化剤(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース等)、中和剤(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等)、界面活性剤(モノステアリン酸ポリエチレングリコール等)、ガム類、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
クリーム剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融または乳化させて製造される。クリーム基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高級脂肪酸エステル、低級アルコール、炭化水素類、多価アルコール(プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等)、高級アルコール(2−ヘキシルデカノール、セタノール等)、乳化剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、脂肪酸エステル類等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
湿布剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融させ、練合物とし支持体上に展延塗布して製造される。湿布基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、増粘剤(ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、デンプン、ゼラチン、メチルセルロース等)、湿潤剤(尿素、グリセリン、プロピレングリコール等)、充填剤(カオリン、酸化亜鉛、タルク、カルシウム、マグネシウム等)、水、溶解補助剤、粘着付与剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
貼付剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融させ、支持体上に展延塗布して製造される。貼付剤用基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高分子基剤、油脂、高級脂肪酸、粘着付与剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
リニメント剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物を水、アルコール(エタノール、ポリエチレングリコール等)、高級脂肪酸、グリセリン、セッケン、乳化剤、懸濁化剤等から選ばれるもの単独または2種以上に溶解、懸濁または乳化させて製造される。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
噴霧剤、吸入剤、およびスプレー剤は、一般的に用いられる希釈剤以外に亜硫酸水素ナトリウムのような安定剤と等張性を与えるような緩衝剤、例えば塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウムあるいはクエン酸のような等張剤を含有していてもよい。スプレー剤の製造方法は、例えば米国特許第2,868,691号および同第3,095,355号に詳しく記載されている。
非経口投与のための注射剤としては、溶液、懸濁液、乳濁液および用時溶剤に溶解または懸濁して用いる固形の注射剤を包含する。注射剤は、ひとつまたはそれ以上の活性物質を溶剤に溶解、懸濁または乳化させて用いられる。溶剤としては、例えば注射用蒸留水、生理食塩水、植物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノールのようなアルコール類等およびそれらの組み合わせが用いられる。さらにこの注射剤は、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸、ポリソルベート80(登録商標)等)、懸濁化剤、乳化剤、無痛化剤、緩衝剤、保存剤等を含んでいてもよい。これらは最終工程において滅菌するか無菌操作法によって製造される。また無菌の固形剤、例えば凍結乾燥品を製造し、その使用前に無菌化または無菌の注射用蒸留水または他の溶剤に溶解して使用することもできる。
非経口投与のための吸入剤としては、エアロゾル剤、吸入用粉末剤又は吸入用液剤が含まれ、当該吸入用液剤は用時に水または他の適当な媒体に溶解又は懸濁させて使用する形態であってもよい。
これらの吸入剤は公知の方法に準じて製造される。
例えば、吸入用液剤の場合には、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、着色剤、緩衝化剤(リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等)、等張化剤(塩化ナトリウム、濃グリセリン等)、増粘剤(カリボキシビニルポリマー等)、吸収促進剤などを必要に応じて適宜選択して調製される。
吸入用粉末剤の場合には、滑沢剤(ステアリン酸およびその塩等)、結合剤(デンプン、デキストリン等)、賦形剤(乳糖、セルロース等)、着色剤、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、吸収促進剤などを必要に応じて適宜選択して調製される。
吸入用液剤を投与する際には通常噴霧器(アトマイザー、ネブライザー)が使用され、吸入用粉末剤を投与する際には通常粉末薬剤用吸入投与器が使用される。
非経口投与のためその他の組成物としては、ひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、常法により処方される直腸内投与のための坐剤および腟内投与のためのペッサリー等が含まれる。
製剤例1
以下の各成分を常法により混合した後打錠して、一錠中に50mgの活性成分を含有する錠剤100錠を得た。
・N−ヒドロキシ−5−エトキシメチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)
−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド ……5.0g
・カルボキシメチルセルロースカルシウム(崩壊剤) ……0.2g
・ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤) ……0.1g
・微結晶セルロース ……4.7g
製剤例2
以下の各成分を常法により混合した後、溶液を常法により滅菌し、5mlずつアンプルに充填し、常法により凍結乾燥し、1アンプル中20mgの活性成分を含有するアンプル100本を得た。
・N−ヒドロキシ−5−エトキシメチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)
−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド ……2.0g
・マンニトール ……20g
・蒸留水 ……500ml
【図面の簡単な説明】
図1は、ダール食塩感受性ラットにN−ヒドロキシ−5−エトキシメチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド(化合物(II))の投与を心肥大発症後死亡するまで続けた際のラットの累積生存率を示す。
図2〜5は、化合物(II)をダール食塩感受性ラットに心肥大発症11週齢または15週齢から死亡するまで投与した際の経胸壁心エコー法による11、15および17週齢の左室拡張末期径(LVDD)(図2)、左室収縮末期径(LVDS)(図3)、左室後壁厚(PWT)(図4)、および壁応力(Wall Stress)(図5)を示すグラフである。
図6は、化合物(II)を心肥大発症11週齢または15週齢から死亡するまで投与したダール食塩感受性ラット心臓の左室内圧(mmH2O)と左室(LV)容積を測定した結果を示す。
Claims (2)
- 化合物が、
N−ヒドロキシ−5−ヒドロキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、
N−ヒドロキシ−5−メトキシメチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、
N−ヒドロキシ−5−エトキシメチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、
N−ヒドロキシ−5−エトキシメチルオキシ−2(R)−メチル−4(R)−[N−(4−フェノキシフェニルカルボニル)アミノ]ペンタンアミド、
N−ヒドロキシ−5−エトキシメチルオキシ−2(R)−メチル−4(S)−[N−(4−フェノキシフェニルカルボニル)アミノ]ペンタンアミド、
N−ヒドロキシ−5−ベンジルオキシメチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、または
N−ヒドロキシ−5−(2−メトキシエトキシ)メチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、またはその非毒性塩である請求の範囲1記載の心不全および/または心肥大の治療および/または予防剤。
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