JPWO2002103430A1 - 光学ピックアップ用対物レンズ、光学ピックアップ及びディスクドライブ装置 - Google Patents
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Abstract
本発明は、光ディスクに対し情報信号の記録又は再生するために用いられる光学ピックアップ用の対物レンズであり、物体側より順に、非球面からなる第1面S1と非球面からなる第2面S2とを有し、少なくともいずれか一方の面に回折面を含む樹脂層(21)と、非球面からなる第2面S2と非球面からなる第3面S3とを有するガラス製のレンズ(22)とによって構成され、基準波長が420nm以下で、且つ、基準波長の数nm以内の波長範囲に対して、光軸上の像面における色収差が補正されていると共に、0.8以上の開口数(NA)を有する。この対物レンズは、像面においてレーザ光を回折限界近くまで集光させることができる。
Description
技術分野
本発明は、光記録媒体に対しレーザ光を照射して、情報の記録及び/又は再生を行うディスクドライブ装置に用いられる光学ピックアップ用の対物レンズ、この対物レンズを用いた光学ピックアップ、さらにはこの光学ピックアップを用いたディスクドライブ装置に関し、レーザ光を光記録媒体の記録面に回折限界まで集光させることができる対物レンズ、この対物レンズを用いた光学ピックアップ、この光学ピックアップを用いたディスクドライブ装置に関する。
背景技術
情報信号の記録媒体として、レーザ光を記録面に照射することによって情報の記録及び再生を行うようにされた非接触型で記録密度も高い光記録媒体が広く用いられている。光記録媒体は、記録された情報信号の検索のし易さ等の点から、ディスク状をした光記録媒体(以下、「光ディスク」という。)が広く用いられている。
光ディスクは、同心円状又は螺旋状をした記録トラックを有し、互いに隣接する記録トラック間の間隔、即ち、トラックピッチは、例えば、CD(Compact Disc)の場合では約1.6μmであったが、近年のDVD(Digital Video Disc/Digital Versatile Disc)では0.74μmと狭くされることによって、情報信号の記録密度が大幅に向上している。
DVD等のトラックピッチを狭くして情報の記録密度向上させた光ディスクに対しレーザ光を照射して情報信号の記録や再生を行うためには、トラックピッチの大きい光ディスクに対する場合よりも更に小さいビームスポットをその記録面上に形成する必要がある。
ところで、対物レンズによって集光されるレーザ光のビームスポットの径は、レーザ光の設計波長に比例し、対物レンズの開口数(NA)に反比例する。従って、光ディスクに照射されるビームスポットの径を小さくするためには、対物レンズの高開口数化とレーザ光の短波長化が必要となる。
一方、光ディスクに相変化方式又は他の方式で情報を記録するためには高エネルギーのレーザ光が必要であるために、また、反射されたレーザ光によるレーザノイズを低減するために、レーザ発光素子の駆動電流や電圧に高周波を重ねるなどの方法によって駆動パワーを変動させて、レーザ光の波長を短い周期で変動させるようにしている。従って、可干渉性(Coherent)のレーザ光を光ディスクに照射する光学ピックアップにおいては、数nm程度の波長の変動に起因する色収差が発生して、光ディスク上のビームスポットが大きくなってしまう。
ところで、光学ピックアップは、図1に示すように、レーザ光200を光ディスクの記録面に集光するための対物レンズ201を備えている。従来用いられている対物レンズ201は、図1に示すように、ガラスをモールド成形した1枚のレンズで構成されたものであって、集光性の高い非球面201aを有する。
この対物レンズ201は、図2Aに示す球面収差の特性図、図2Bに示す非点収差の特性図、図2Cに示す歪曲収差の特性図に示すように、非球面201aを用いても±2nmの波長の変動に対し±0.6μm/nm程度の色収差が発生していることが分かる。なお、図2A、図2B及び図2Cに示す各収差図において、実線は405nm、破線は403nm及び一点鎖線は407nmにおける値を示すものであり、非点収差を示す図2Bにおいて、太線はサジタル像面、細線はタンジェンシャル像面における値を示すものである。
上述したように、記録トラックのトラックピッチを狭くすることによって高記録密度化が図られた光ディスクに情報を記録するには、対物レンズによって回折限界までレーザ光を集光して、より小さなビームスポットを形成することが望ましい。従来用いられている非球面201aを有するガラスをモールド成形した1枚構成の対物レンズ201は、上述したような色収差の発生によって回折限界までのレーザ光を集光することが困難である。
発明の開示
本発明は、本発明は、上述したような従来の実情に鑑みて提案されるものであって、記録トラックのトラックピッチを狭くすることによって高記録密度化された光記録媒体に対し情報を記録し、光記録媒体に記録された情報の再生に用いられる光学ピックアップに用いて有用な新規な対物レンズを提供することを目的とするものであり、更に具体的には、小型で、色収差の補正を効果的に行うことでき、回折限界まで光ビームを集光することができる対物レンズを提供することを目的とする。
更に、本発明は、色収差の補正を効果的に行うことができ、回折限界まで光ビームを集光することができる対物レンズを用いた光学ピックアップ、この光学ピックアップを用いた光ディスクを提供をすることを目的とする。
上述のような目的を達成するために提案される本発明に係る光学ピックアップ用対物レンズは、物体側より順に、非球面からなる第1面と非球面からなる第2面とを有し、少なくともいずれか一方の面に回折面を含む樹脂層と、非球面からなる第2面と非球面からなる第3面とを有するガラス製のレンズとによって構成され、基準波長が420nm以下で、且つ、基準波長の数nm以内の波長範囲に対して、光軸上の像面における色収差が補正されていると共に、0.8以上の開口数を有する。この対物レンズは、像面において光を回折限界近くまで集光させることができる
本発明において、回折型レンズが定義されるベース面は、必ず、非球面係数の値を持つようにしたので、回折型レンズを光学的にバランス良く安定した状態で構成することができる。
本発明に係る対物レンズは、第1面の非球面と第2面の非球面とが同一のベース曲率及び非球面係数を有するようにしたので、樹脂層の膜厚が一定になって、温度変化等に対しての安定性を増すことができるようになる。
本発明に係る対物レンズは、第1面又は第2面が回折面とされた樹脂層は、透過位相型であると共に、第1面又は第2面がブレーズ形状で構成されているので、レンズのベース面の曲率半径を小さくすることなく、レンズの開口数を高めることができる。回折面とされる第1面又は第2面がブレーズ形状とされることにより、回折面の成形時に加工不能部分等の回折効率の低下要因及び引き目等の透過率の低下要因を排除することができる。
本発明に係る対物レンズは、第1面の外周側にアパーチャを設けることにより、レンズ周縁部を使用しないようにし、光学特性の良好な部分のみを使用するように制限でき、レンズ組み立て時における製造誤差を抑制し、性能を安定化させることができる。
本発明に係る対物レンズは、回折面を、設計次数が2次以上としているので、色収差を一層効果的に補正することによって、回折限界までレーザ光のスポット径を絞り込むことを可能となし、トラックピッチを狭くすることによって情報の記録密度を高めた規格の光記録媒体に対応することを可能とする。
本発明に係る対物レンズを構成するガラス製単レンズは、420nm以下の波長の光に対する屈折率が1.65以上の硝材により形成したので、必然的にガラス製単レンズの形状がメニスカス形状になるため、3次の収差を最小にすることができる。
本発明に係る対物レンズは、回折面が形成された第1面又は第2面の表面に、周期が基準波長のほぼ1/2で振幅が基準波長のほぼ1/2の周期構造を有し、上記回折面の凹凸形状よりも微細な同心円状の凹凸形状が形成されたので、研磨することが不可能な複合面であっても透過率を90%以上にすることができる。
本発明に係る対物レンズは、像面との間に0.3mm以下の厚みを有する保護カバーを配置すると共に、保護カバーに起因する球面収差を補正するようにしたので、保護カバーから発生する球面収差による影響を排除することができる。
上述したような目的を達成するために提案される本発明に係る光学ピックアップは、レーザ光を出射するレーザ発光素子と、レーザ光を光記録媒体の記録層に集光させる対物レンズと、レーザ光を受光する受光素子と、レーザ発光素子から出射されたレーザ光を対物レンズに入射させると共に光記録媒体の記録層で反射され対物レンズを透過したレーザ光を受光素子に入射させる光学素子とを有する光学ピックアップであり、この光学ピックアップに用いられる対物レンズは、物体側より順に、非球面からなる第1面と非球面からなる第2面とを有し、少なくともいずれか一方の面に回折面を含む樹脂層と、上記非球面からなる第2面と非球面からなる第3面とを有するガラス製のレンズとによって構成され、基準波長が420nm以下で、且つ、上記基準波長の数nm以内の波長範囲に対して、光軸上の像面における色収差が補正されていると共に、0.8以上の開口数を有する。
この光学ピックアップは、420nm以下を基準とする数nm以内の波長範囲に対して色収差を効果的に補正することによって、回折限界までレーザ光のスポット径を絞り込むことが可能になるので、トラックピッチを狭くすることによって情報の記録密度を高めた規格の光記録媒体に対応することができる。
この光学ピックアップにおいて、対物レンズの第3面から像点までの作動距離を0.5mm以上とすることにより、対物レンズが光記録媒体に干渉する等の問題を回避することができると共に、光記録媒体の記録層において光を回折限界近くまで集光させることができる。
本発明に係る光学ピックアップは、対物レンズの第3面と像面との間に0.3mm以下の厚みを有する保護カバーが配置すると共に、対物レンズに保護カバーに起因する球面収差を補正する機能を持たせることにより、保護カバーから発生する球面収差による影響を排除することができる。
上述したような目的を達成するために提案される本発明に係るディスクドライブ装置は、回転するディスク状をなす光記録媒体に対し、この光記録媒体の半径方向に移動自在とされた光学ピックアップによって情報の記録及び再生を行うディスクドライブ装置であり、この装置に用いられる光学ピックアップは、420nm以下の波長のレーザ光を出射するレーザ発光素子と、レーザ光を光記録媒体の記録層に集光させる対物レンズと、レーザ光を受光する受光素子と、上記レーザ発光素子から出射されたレーザ光を対物レンズに入射させると共に光記録媒体の記録層で反射され上記対物レンズを透過したレーザ光を受光素子に入射させる光学素子とを備える。ここで用いる対物レンズは、物体側より順に、非球面からなる第1面と非球面からなる第2面とを有し、少なくともいずれか一方の面に回折面を含む樹脂層と、非球面からなる第2面と非球面からなる第3面とを有するガラス製のレンズとによって構成され、基準波長が420nm以下で、且つ、基準波長の数nm以内の波長範囲に対して、光軸上の像面における色収差が補正されていると共に、0.8以上の開口数を有する。
このディスクドライブ装置は、光学ピックアップが、420nm以下を基準とする数nm以内の波長範囲に対して色収差を効果的に補正することによって、回折限界までレーザ光のスポット径を絞り込むことが可能とするので、トラックピッチを狭くすることによって情報の記録密度を高めた規格の光記録媒体に対応することができる。
光学ピックアップに用いられる対物レンズの第3面から像点までの作動距離を0.5mm以上とすることにより、対物レンズが光記録媒体に干渉する等の問題を回避することができると共に、光記録媒体の記録層において光を回折限界近くまで集光させることができる。
本発明の更に他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下において図面を参照して説明される実施の形態の説明から一層明らかにされるであろう。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明に係る光学ピックアップ装置に用いられる対物レンズ、この対物レンズを用いた光学ピックアップ装置及び光ディスク装置を図面を参照して説明する。
以下に示す本発明の実施の形態は、本発明をディスク状の光記録媒体であるCD(Compact Disc)に設けられる記録トラックのトラックピッチよりも狭い0.6μm程度のトラックピッチを有するディスク状の光記録媒体、例えば、DVD(Digital Video Disc/Digital Versatile Disc)等、記録トラックのトラックピッチを狭くすることによって情報の記録密度を高めた規格のディスク状の光記録媒体に対して、情報の記録を行い、この記録媒体に記録された情報の再生を行う光ディスク装置に適用したものである。
まず、本発明に係る対物レンズを用いた光学ピックアップを用いる光ディスク装置を説明する。
本発明が適用される光ディスク装置1は、回転数を高くして記録された記録信号の読み込み及び情報信号の書き込みが高速化されたものであり、トラックピッチが非常に細かくされて記録容量が高められた、例えば、DVD(Digital Video/Versatile Disc)等の光記録媒体として用いるものであって、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置の外部記憶装置として用いられる。
ディスクドライブ装置1は、図3及び図4に示すように、各種機構が配置されたメカフレーム2を有し、メカフレーム2の上方、左右及び前後が、ネジ止め等の適宜な手段によって取り付けられたカバー体3及び前面パネル4によって覆われている。
カバー体3は、天板部3aと該天板部3aの両側縁からそれぞれ垂設された側面部3b,3bと図示しない後面部とが一体に形成されている。前面パネル4には、横長の開口4aが形成され、該開口4aを開閉する扉体5が、その上端部を支点として前面パネル4に回動自在に支持されている。前面パネル4には、各種操作を行う複数の操作ボタン6が配設されている。
メカフレーム2は各種機構が配置される機構配置面部7aと、機構配置面部7aの両側縁から立設された側部7b,7bとを有し、機構配置面部7aの前端部にカム板や各種ギアを有するローディング機構8が配置されている。
メカフレーム2には、図4に示すように、ディスクトレイ9が図4中矢印A1方向及び矢印A2方向の前後方向に移動可能に支持されている。ディスクトレイ9には、前後方向に長い挿通孔9aとディスク状の光記録媒体(以下、単に「光ディスク」という。)100が載置されるディスク載置凹部9bとが形成されている。ディスク載置凹部9bに光ディスク100を載置するとき、ディスクトレイ9はローディング機構8によって移動操作され、前面パネル4の開口4aから装置本体の外部に突出され、光ディスク100へ情報の記録又は再生を行うときには、ディスク載置凹部9bに光ディスク100を載置した状態で装置本体の内部に引き込まれる。
メカフレーム2の機構配置面部7aには、図4に示すように、移動フレーム10がその後端部を回動支点として回動自在な状態で支持されている。
移動フレーム10には、光ディスク100を回転させるためのモータユニット11が配置されている。モータユニット11は、ディスクテーブル11aと駆動モータ11bを含んでいる。移動フレーム10には、光学ピックアップ12が、図示しないガイド軸及びリードスクリューによってディスクテーブル11aに装着された光ディスク100の半径方向に移動可能な状態で支持されている。
移動フレーム10には、リードスクリューを回転させる送りモータ13が取着されている。従って、リードスクリューが送りモータ13によって回転されると、その回転方向に応じた方向へ光学ピックアップ12がガイド軸に案内されて移動される。
本発明に係るディスクドライブ装置1は、光ディスク100が、ディスクトレイ9のディスク載置凹部9bに載置さた状態で装置内部に引き込まれ、ディスクテーブル11a上に適宜な手段によって保持され、モータユニット11の駆動モータ11bによる駆動によってディスクテーブル11aと共に回転されると、光学ピックアップ12が光ディスク100の半径方向に移動しながら、光ディスク100に対する情報の記録又は再生が行われる。
次に、光ディスク100に対する情報の記録又は再生を行う光学ピックアップ12の構成について説明する。
光学ピックアップ12は、図5に示すように、光ディスク100の半径方向に移動自在に支持され、例えば、ハウジング16上に支持された図示しない2軸アクチュエータを有する。ハウジング16内には、レーザ光を発生させるレーザ発光素子17と、このレーザ発光素子17から出射されたレーザ光18を平行光束にするコリメータレンズ19等が配設され、更に、光ディスク100の記録層にレーザ光18を集光する、色収差補正機構を有する対物レンズ20が図示しない2軸アクチュエータに保持されている。
光ディスク100は、0.6μm程度の狭いトラックピッチを有し、基板が薄い高密度記録対応規格のものであり、光学ピックアップ12は、このような光ディスク100に対して情報の記録及び再生をするのに適したものである。従って、レーザ発光素子17は、従来のCD規格の波長を780nmとするレーザ光よりも波長の短い400nm乃至410nm程度の波長のレーザ光18を発生させるものであり、レーザノイズを低減するために高周波電流を駆動電流に重ねることでレーザ光18の波長が短い周期で変動する。
光ディスク100の記録層に記録を行う際には、レーザ発光素子17から高エネルギーのレーザ光18が出射される。レーザ光18は、コリメータレンズ19によって平行光束にされ、対物レンズ20によって光ディスク100の記録層に集光され、相変化等によって情報を記録したピットが形成される。
一方、記録された情報を読みとる場合には、情報に記録を行う時よりも低エネルギーのレーザ光18が光ディスク100の記録層に照射され、光ディスク100から反射されたレーザ光18が光学ピックアップ12内の図示しないビームスプリッタ等を含む受光系によって検出されることによって為される。
光学ピックアップ12は、レーザノイズを低減するために光ディスク100に照射するレーザ光18の波長が変動するようにされている。このため、対物レンズ20によって、光ディスク100に集光する際の色収差を改善し、回折限界近くまで小さなビームスポットを作ることができる。
次に、色収差補正機能を有するようにされた対物レンズ20の詳細について説明する。
対物レンズ20は、図5及び図6に示すように、レーザ発光素子17から出射されたレーザ光18が入射する表面である第1面が所謂ブレーズ形状をした位相型回折光学レンズとなっている樹脂層21と、パワーの大きいガラス製の非球面単玉レンズ22から構成される。詳述すると、対物レンズ20は、物体側より順に、回折型レンズを含む非球面からなる第1面r1と非球面からなる第2面r2とを有する樹脂層21と、非球面からなる第2面r2と非球面からなる第3面r3とを有するガラス製の非球面単玉レンズ22とによって構成されている。
ブレーズ形状をなす第1面r1は、例えば、ノコギリ型の断面形状をした所謂ブレーズドホログラムとして、金型成形による樹脂層を形成する方法等の適宜な方法によって構成されたものである。
対物レンズ20は、レンズ最終面r3から像点までの作動距離を0.5mm以上、回折型レンズが定義されるベース面(=r2)は、必ず、非球面係数の値を持ち、第1面r1の非球面と第2面r2の非球面とは同一のベース曲率及び非球面係数を有する用にすることが望ましい。
一般に、波長λ(nm)に対して±δ(nm)の範囲で波長が変化する光源に対して、屈折型レンズと回折型レンズとを組みあわせたレンズの色消し条件は次のように導かれる。
波長λ、λ+δ及びλ−δのときの硝材の屈折率をそれぞれ、N、N+δ、N−δとすると、波長λ±δの範囲における部分的なアッベ数(以下、「部分アッベ数」という。)は次のように定義することができる。
即ち、屈折型レンズの部分アッベ数νrは、以下の式1のようになる。
回折型レンズの部分アッベ数νdは、以下の式2のようになる。
そして、屈折型レンズ及び回折型レンズの焦点距離をそれぞれ、fr、fdとすると、これらの合成による合成レンズの焦点距離fは、以下の式3の関係を有し、軸上像点の色消し条件は、式4で表される。
従って、式3及び式4から、式5が得られる。
樹脂層21によって構成される回折型レンズは、位相透過型のタイプで、表面形状が、断面形状でノコギリ型をしたブレーズドホログラム形状をなすものである。そして、回折型レンズのブレーズの幅は、中心の光軸から周縁部に行くに従って狭くなっている。ブレーズの最も狭い部分の幅である最小線幅をwとすると、レーザ光18のビーム半径Rと、回折型レンズの焦点距離fdと、レーザ光18の波長λとの関係は、近似的に、以下の式6のように表すことができる。
なお、光学ピックアップ12は、波長λ=405nm、波長の変動δ=2nm以内のレーザ発光素子17を光源とするものであり、レーザビーム径φ=3mm、開口数(NA)0.85のものである。
図7は、式6を用いて、ブレーズドホログラムの最小線幅wと回折型レンズL1の焦点距離fdとの関係を表したグラフである。また、図8は、式5を用いて、屈折型レンズL2の硝材の部分アッベ数νrと屈折型レンズL2の焦点距離fr及び回折型レンズL1の焦点距離fdとの関係を表すグラフである。
即ち、図7において、ブレーズの最小線幅wを2μmとすると回折レンズL1の焦点距離fdは7.40mmとなり、ブレーズの最小線幅wが3μmのときにはfdは11.1mm、ブレーズの最小線幅wが4μmの時にはfdは14.8mmとなる。ここで、レンズのパワーは焦点距離の逆数であるから、これらの値が回折型レンズL1が採ることのできるパワーの最大の目安となる。
図8において、回折型レンズL1の焦点距離fdの最小値が7.40mmであるとすると、屈折型レンズの硝材の部分アッベ数νrは325以上の範囲で許容されることになる。同様に、回折型レンズL1の焦点距離fdが11.1mm及び14.8m時の屈折型レンズL2の硝材の部分アッベ数νrの有効範囲はそれぞれ、540以上及び750以上となる。
従って、対物レンズ20のガラスレンズ22を構成するレンズの硝材は、ブレーズの最小線幅wに対する上記条件を満たし、ガラスモールド成形が可能なものを選択すればよいことになる。例えば、オハラ社製のLAH53(商品名)によってガラスレンズ22を構成すれば、部分アッベ数が630程度となり、最小線幅wが3μm程度の回折レンズと組みあわせることによって像点の色消しが可能となる。
このように開口数(NA)と、レーザビーム径φ(=2R)と使用する光源とが決定すると、合成レンズとして構成された本発明に係る対物レンズ20の焦点距離fと回折型レンズのアッベ数νdが決定し、ブレーズの最小線幅wを規定すると、回折型レンズL1の焦点距離fdの有効範囲を決定することができる。更に、前述した式から、屈折型レンズL2の焦点距離frと部分アッベ数νrの有効範囲を決定することができるようになる。
一般的に、回折レンズの位相分布Φ(r)は、
と表記されるが、焦点距離f2と係数C1との間には、以下に示す式7の関係が成り立つ。
なお、係数C1は回折レンズのパワーを決定する係数であり、屈折型レンズにおけるベース面の曲率に相当する量である。従って、式7によって係数C1を選定するようにする。
回折型レンズを構成する樹脂層21のレーザ発光素子17側、すなわち光源側の面の曲率半径r1は、3次の球面収差を最小にするよう、以下の数式8に従って選定する。
また、回折型レンズとして機能する樹脂層21の光ディスク100側の面の曲率半径r2は、必要なレンズの厚みを考慮して、その焦点距離f1を一定に保つように決定される。
本発明に係る色収差機能を有する対物レンズ20は、以上に述べた各条件を、各構成レンズの初期設定として、ベンディング及び非球面係数の最適化によって設計することが可能である。
以下に、対物レンズ20の具体例である数値実施例について説明する。
なお、以下の説明において、「ri」はレーザ発光素子17側から数えてi番目の面及びその曲率半径、「di」はレーザ発光素子17側から数えてi番目とi+1番目の面との間の面間隔を示すものとする。
また、非球面形状は、「x」を光軸からの高さが「h」の非球面上の点の非球面頂点の接平面からの距離、「c」を非球面頂点の曲率(=1/R)、「k」は円錐定数、「A」、「B」、「C」、「D」、「E」、「F」、「G」、「H」及び「J」をそれぞれ第4次乃至第20次の非球面係数とするとき、以下の式9によって定義されるものとする。
回折型レンズは、振幅型と位相型とに分けられるが、本発明において樹脂層21として構成された回折型レンズは位相型、特に、効率の点からブレーズドホログラム形状のものである。これは、一般のホログラムと同様に、製造時の2つの点光源を無限遠にあるとした時の各面上での非球面的位相のずれ係数として、基板上の曲座標多項式を使用して指定する。ここで、多項式の係数は、回折基準波長での光路差(OPD)をmm単位で与える。
即ち、回折型レンズ面上で、光軸からの高さRの点における回折による光路差は、
のように定義される。実際の形状は回折を生じさせるために、断続的に変化させる。つまり、屈折率Nの媒質中の光路と空気中の光路との間に生じる光路差はt(N−1)で与えられるので、回折レンズの各輪帯(エレメント)の段差dは、設計波長をλnmとするとき、
若しくは、その整数倍となる。回折型レンズには、光路差OPDを波長λで割った余りを光路差として生じる深さを表面形状に与えることになる。
図6は、本発明に係る対物レンズ20のレンズ構成を示すものであり、ガラスレンズ12の硝材に前述したLAH53を用いた例を示すものである。なお、対物レンズ20と像面である光ディスク100の信号記録面との間には、光ディスク100表面に配されるポリカーボネート製の保護層23が位置している。下記の表1に上記数値実施例の各数値を示す。
表2に樹脂層21の第1面r1の回折面及び非球面、非球面とされた第2面r2及び非球面とされた第3面r3の4次乃至20次の非球面係数A(C2)乃至J(C10)を示す。なお、表2中の「E」は、10を底とする指数表現を表すものとする。
上記表2に示すように、第1面r1の非球面と第2面r2の非球面とが同一のベース曲率及び非球面係数を有するようにしたことによって、樹脂層21の膜厚が一定になって温度変化等に対しての安定性を増すことが可能になる。
また、表2に示すように、回折型レンズが定義されるベース面は、必ず、非球面係数の値を持つようにすることによって、回折型レンズである樹脂層21を光学的にバランス良く安定した状態で構成することがかのうになる。
図9Aに対物レンズ20の球面収差を示し、図9Bに対物レンズ20の非点収差を示し、図9Cに歪曲収差を示す。なお、図9A乃至図9Cに示す各収差図において、実線は405nm、破線は403nm及び一点鎖線は407nmにおける値を示すものであり、非点収差図において、太線はサジタル像面、細線はタンジェンシャル像面における値を示すものである。なお、回折基準波長は、405nm、設計波長は405nm(403nm乃至407nm)、開口数は0.85である。
以上に説明したように、本発明に係る対物レンズ20は、色収差補正機能を有するものであり、回折レンズを構成する樹脂層21と、屈折型レンズとして集光性能の高い非球面単玉レンズであるガラスレンズ12とを組みあわせてなるものである。従って、対物レンズ20を用いた光学ピックアップ12によって高記録密度の光ディスクへの情報の記録及び再生を行う場合、レーザ発光素子の波長が変化しても、光軸上で、ビームスポットの焦点位置の移動を0.05μm/nm程度以内に抑えることが可能になり、光ディスクドライブ装置1における情報の記録及び再生動作を安定して行うことが可能となる。
本発明に係る対物レンズ20は、前述した図1に示す従来の1枚構成の対物レンズaではレーザ光の±2nmの波長の変動に対し±0.6μm/nm程度の色収差が発生するのに対し、同様の±2nm波長の変動に対し色収差が0.01μm/nm程度に収まるものである。一般に、光学ピックアップのような光学系においては色収差を0.05μm/nm以下にすることが要求されるが、本発明に係わる対物レンズ10を用いることによって、十分な性能を得ることができるようになる。従って、対物レンズ20によって、高密度記録の光ディスクに対応した、小径のスポット形成可能な光学ピックアップ及び光ディスクドライブ装置を提供するとが可能になる。
なお、対物レンズ20のレンズ最終面r3から像点までの作動距離は、0.5mm以上であることが望ましい。これは、作動距離が短いと、光ディスク表面に付着した埃等のゴミに対物レンズ20のレンズ最終面r3が接触又は衝突する可能性があり、更に、最悪の場合は、レンズ最終面r3と光ディスクとが衝突し、互いに損傷を受ける可能性もある。
本発明に係る対物レンズ20においては、色収差を効果的に補正することができるので、今後の光ディスクの主流となる書き込み可能な光ディスクに対応するレーザパワーの大きな、即ち、レーザパワーを変動させてレーザノイズを低減する手段を備えた光学ピックアップに採用することにより、高密度記録情報の再生及び記録性能に優れたものとすることが可能になる。
本発明に係る対物レンズ20は、必要なパワーを回折型レンズと屈折型レンズに分散させることが可能であるので、同一の硝材を用いた場合、従来の対物レンズの単玉レンズに比べ、屈折型レンズであるガラスレンズ12のパワーを小さく設計することできるので、回折型レンズを構成する樹脂層21のベース面となる面の曲率を抑えた設計が可能となる。
更に、本発明に係る対物レンズ20は、回折型レンズと屈折型レンズとが一体化した単玉タイプのものであるので、光学ピックアップ及び光ディスクドライブ装置において、部品点数の削減、小型化及び組み立て工程の簡素化が可能となる。
上述した対物レンズ20は、図5及び図6に示すように、物体側より順に、回折型レンズを含む非球面からなる第1面r1と非球面からなる第2面r2とを有する樹脂層21と、非球面からなる第2面r2と非球面からなる第3面r3とを有するガラス製の非球面単玉レンズ22とによって構成されている。本発明に係る対物レンズ20は、この例に限らず、物体側より順に、第2面r2を回折型レンズを含む非球面としてもよい。すなわち、物体側より順に、非球面からなる第1面r1と回折型レンズを含む非球面からなる第2面r2とを有する樹脂層21と、回折型レンズを含む非球面からなる第2面r2と非球面からなる第3面r3とを有するガラス製の非球面単玉レンズ22とによって構成するようにしてもよい。
回折型レンズを含むブレーズ形状をなす第2面r2は、例えば、ノコギリ型の断面形状をした所謂ブレーズドホログラムとして、金型成形による樹脂層を形成する方法、ガラス製のレンズの表面を切削する等する適宜な方法によって形成することができる。
次に、本発明に係る光学ピックアップ及びこの光学ピックアップに用いられる対物レンズの他の例を図面を参照して説明する。
この光学ピックアップ32も前述した光学ピックアップと同様に、図示しないガイド軸及びリードスクリューによってシャーシ11に支持された移動ベース14上に、レーザ光を出射する発光素子や受光素子等を含む所要の光学素子と、対物レンズ35を支持した図示しない2軸アクチュエータ等が搭載されている。
光学ピックアップ32は、図10に示すように、光ディスク100の半径方向に移動自在に支持され、例えば、ハウジング33上に支持された図示しない2軸アクチュエータを有する。ハウジング33内には、レーザ光を発生させるレーザ発光素子37と、このレーザ発光素子37から出射されたレーザ光38を平行光束にするコリメータレンズ39等が配設されている。レーザ発光素子37から出射したレーザ光38は、コリメータレンズ39によって平行光束にされ、対物レンズ35によって光ディスク100の記録層に集光される。
ところで、光学ピックアップ32は、情報の記録密度が高い光ディスク100に情報の記録及び情報の再生を行うことができるようにされたものである。従って、レーザ発光素子37は、780nmの波長のレーザ光を発生する従来のCD規格のレーザ発光素子よりも短い波長、例えば、400nm乃至410nm程度のレーザ光を発生するものであり、レーザノイズを低減するために高周波電流を駆動電流に重ねることでレーザ光の波長が短い周期で変動する。
光ディスク100に記録を行う際には、レーザ発光素子37から高エネルギーのレーザ光が出射され、コリメータレンズ39によって平行光束にされ、この平行光束にされたレーザ光38が対物レンズ35に入射して光ディスク100の記録層上に集光されレーザスポットを形成する。このレーザ光のエネルギーによって記録層が、例えば、相変化し、情報信号に対応したピットを形成し、情報信号の記録が行われる。
一方、光ディスク100に記録された情報を再生する場合には、情報に記録を行う時よりも低エネルギーのレーザ光がレーザ発光素子37から出射され、コリメータレンズ39によって平行光束にされ、この平行光束にされたレーザ光38が対物レンズ35に入射して光ディスク100の記録層上に集光されレーザスポットを形成する。光ディスク100の記録層で反射されたレーザ光が入射時とはとは逆の光路を経て、光学ピックアップ32内の受光素子等を含む図示しない受光系によって検出される。
対物レンズ35の作動距離、即ち、対物レンズ35を構成するレンズの最も光ディスク100寄りの面から像点、すなわち、光ディスク100のレーザ光が集光する記録層までの距離が0.5mm以上とされている。
次に、本発明に係る他の対物レンズ35について具体的に説明する。
対物レンズ35は、図11に示すように、第1面としての屈折及び回折複合面S1を有するものであり、屈折型レンズ35rと、複合型レンズ35dとによって構成される。
屈折型レンズ35rは、屈折力の大きいメニスカス形状のガラス製の両面非球面単玉レンズからなる。また、複合型レンズ35dは、屈折型レンズ35rの光源側の面である第2面S2上に適宜な樹脂材料を積層して形成した樹脂層40より構成されている。
第1面としての屈折及び回折複合面(以下、単に「複合面」という。)S1は、樹脂層40の表面である屈折面S1rが屈折型レンズ35rの面S2、即ち第2面と同じ非球面形状の曲率を有するようにされると共に、屈折面S1rをベース面、即ち、回折面が定義される基準面としてブレーズ形状又は該ブレーズ形状の一形状である所謂階段形状の位相型回折面S1dであるホログラムを屈折面S1rに付加することによって形成されている。
従って、対物レンズ35は、樹脂層40により構成された複合型レンズ35dとガラス製の屈折型レンズ35rとの接合レンズによって構成されているとみることができる。
本発明に係る対物レンズ35を構成する複合型レンズ35dは、色収差を補正する役割を果たすものであり、屈折型レンズ35rは、レーザ光のビームスポットを所定の大きさに集光する役割を果たすものである。
以下の説明において、レンズ及び他の構成要素の面番号は、光源としてのレーザ発光素子側から、1、2、3、…と順に数えるものとし、「Si」は光源側から数えてi番目の面、「ri」は光源側から数えてi番目の面Siの曲率半径、「di」は光源側から数えてi番目とi+1番目の面との間の光軸上における面間隔を示すものとする。非球面形状は、「x」を光軸からの高さが「h」の非球面上の点の、非球面頂点の接平面からの距離、「c」を非球面頂点の曲率(=1/R)、「k」を円錐定数、「A」、「B」、「C」、「D」、「E」、「F」、「G」、「H」及び「J」をそれぞれ第4次乃至第20次の非球面係数とするとき、以下の式10によって定義されるものとする。
一般的に、回折面に使用される回折光学素子は、振幅型と位相型とに分けられるが、対物レンズ35の回折面S2dに用いられるものは位相型、特に、効率の点から所謂ブレーズ形状をしたブレーズドホログラムである。このブレーズドホログラムは、一般のホログラムと同様に、製造時に2つの点光源を無限遠にあるとした時の各面上での非球面的位相のずれ係数として、基板上の曲座標を多項式を使用して指定してなるものである。ここで、式10に示す多項式の係数は、回折基準波長での光路差(OPD)をmm単位で与える。即ち、回折面上で光軸からの高さRの点における回折による光路差は、
のように定義される。実際の回折面の形状は、回折を生じさせるために断続的に変化させることになる。つまり、屈折率Nの媒質中の光路と空気中の光路との間に生じる光路差はt(N−1)で与えられるので、回折面の各輪帯(エレメント)の段差dは、設計波長をλ(nm)とする時、
または、その整数倍となる。回折面のブレーズ形状は、光路差OPDを波長λで割った余りを光路差として生じる深さを表面形状に与えることになる。
上述したように、屈折型レンズ35rの光源側の面S2である第2面に積層された樹脂層40の表面に第1面としての複合面S1を形成するようにしたのは、屈折型レンズ35rに金型成形を行うことができない材質(硝材)を使用する場合であっても、金型の回折面形状が転写された樹脂層40を積層することによって屈折及び回折複合面を形成することを可能にするためである。従って、屈折型レンズ35rに使用する材質の選択範囲を大幅に広げることが可能である。
本発明に係る対物レンズは、図12に示すように構成されたものであってもよい。図12に示す対物レンズ35Aは、屈折型レンズ35rと複合型レンズ35dからなる対物レンズ35の像側に、更に複合型レンズ35d1を付加したものである。
屈折型レンズ35rは、屈折力の大きいメニスカス形状のガラス製両面非球面単玉レンズからなる。複合型レンズ35dは、屈折型レンズ35rの光源側の面である第2面S2に適宜な樹脂材料を積層して形成された樹脂層40によって構成されている。複合型レンズ35d1は、屈折型レンズ35rの像側の面である第3面S3に適宜な樹脂材料からなる樹脂層41を積層して形成される。
第1面としての複合面S1は、複合型レンズ35を構成する樹脂層40の表面である屈折面S1rが屈折型レンズ35rの面S2、即ち第2面と同じ曲率の非球面形状を有すると共に、屈折面S1rをベース面、即ち、回折面が定義される基準面としてブレーズ形状又はブレーズ形状の一形状である所謂階段形状の位相型回折面S1dであるホログラムを屈折面S1rに付加することによって形成されている。
第4面としての複合面S4は、樹脂層41の表面である屈折面S4rが屈折型レンズ35rの面S3と同じ曲率の非球面形状を有するようにされると共に、屈折面S4rをベース面、即ち回折面が定義される基準面としてブレーズ形状又はブレーズ形状の一形状である所謂階段形状の位相型回折面S4dであるホログラムを屈折面S4rに付加することによって形成されている。
従って、本発明に係る対物レンズ35Aは、樹脂層40により構成された複合型レンズ35dとガラス製の屈折型レンズ35rと、樹脂層41により構成された複合型レンズ35d1との3枚接合レンズによって構成されていると見ることができる。
本発明に係る対物レンズ35Aにおいては、複合型レンズ35dは、色収差を補正する役割を果たすものであり、屈折型レンズ35rは、レーザ光のビームスポットを所定の大きさに集光する役割を果たすものであり、複合型レンズ35d1は対物レンズの像高特性を向上させる役割を果たすものである。
ところで、本発明に係る対物レンズ35及び35Aは、複合型レンズ35d、35d1の表面、即ち、第1面としての複合面S1又は第4面としての復号面S4には、後述するように、金型の転写面に形成されたタイヤモンドバイトの移動軌跡である引き目構造が転写される。対物レンズ35及び35Aにおいては、金型作成時にダイヤモンドバイトの移動をコントロールすることによって、引き目構造をブレーズ形状の等位相線と一致するように、基準波長の1/2程度の周期を有する同心円形状に形成するようにしたものである。この凹凸形状の振幅の高低差は、基準波長の1/2程度の位相差を与える厚みを有するように構成されている。
従って、本発明に係る対物レンズ35及び35Aの複合型レンズ35d又は35d、35d1の複合面S1又はS4の表面にはブレーズ形状の等位相線と一致するように、基準波長の1/2程度の周期を有する凹凸形状が同心円状に形成されている。
なお、図12に示す本発明に係る対物レンズ35Aでは、樹脂層41のガラス製の屈折型レンズ35rの面と接触する屈折面としての第3面S3にブレーズ形状又はブレーズ形状の一形状である所謂階段形状の位相型回折面であるホログラムを付加するようにしてもよい。
この場合にも、樹脂層40の屈折型レンズ35rの第2面S2と接触する屈折面を構成する第2面S2に更にブレーズ形状又はブレーズ形状の一形状である所謂階段形状の位相型回折面であるホログラムを付加するようにしてもよい。
本発明に係る対物レンズ35及び35Aのように、複合型レンズ35d又は35d、35d1を使用すると、レンズの径を大きくすることなく開口数(NA)を高めることが可能となる。
本発明に係る対物レンズ35及び35Aは、図10に示すように、合成樹脂等の適宜な材質によって両端が開口した略円筒形状に形成されたレンズホルダ45に芯出し等の光学的調整を行って保持されている。このように、対物レンズ35及び35Aを、予め、レンズホルダ45内に配置しておけば、対物レンズ35を光学ピックアップ32に組み込む際の作業性を向上させることが可能になる。
本発明に係る対物レンズ35及び35Aは、420nm以下を基準とする数nm以内の波長範囲の光に対して光軸上の像点における色収差の補正を行うようにされ、屈折型レンズ35rに420nm以下の波長の光に対する屈折率が1.65以上の硝材が使用され、1.9mm以下の有効焦点距離を有するようにされると共に、屈折型レンズ35rに積層される樹脂層40及び41の厚みは0.1mm以下とされる。
また、本発明に係る対物レンズ35及び35Aは、屈折力の大きい最も光源側の複合面S1上にアパーチャ46が設けられ、また、像面との間に0.3mm以下(実際には0.1mm程度)の厚みを有する保護カバー42が配置されると共に、保護カバー42に起因する球面収差を補正するようにされる。なお、アパーチャ46は、対物レンズ35及び35Aの最も光源側に位置する第1面S1(複合面)、即ち物体側の外周部分の全周に亘って適宜な金属を蒸着することによって帯状に形成された金属薄膜により構成されている。
本発明に係る対物レンズ35及び35Aにおいては、複合面S1を構成する屈折面S1rの非球面形状と屈折型レンズ35rの樹脂層40が積層される第2面S2の非球面係数とを同一にした。更に、対物レンズ35Aにおいては、複合面S4を構成する屈折面S4rの非球面形状と屈折型レンズ35rの樹脂層41が積層される第3面S3の非球面形状とを同一にした。
即ち、樹脂層40及び41の厚みは、後述するように例えば0.1mm及び0.01mm程度の極めて薄いものであるので、屈折面S1rの非球面形状と第2面S2の非球面形状とを同一にすること及び屈折面S4rの非球面形状と第3面S3の非球面形状とを同一にすることによって、樹脂層40及び41は、厚みが略均一であると見なすことができる。これは、樹脂層40及び41の厚みを略均一にすると、例えば、紫外線硬化樹脂を用いてエッチングによって複合面S1、S4を形成する場合、樹脂層上における露光時の紫外線照射条件の位置的なバラツキを最小限に抑えることが可能になるからである。
本発明に係る対物レンズ35及び35Aの最も光源側の面S1にアパーチャ46を設ける構成にしたのは、アパーチャ46に対する対物レンズ35及び35Aの組み立て誤差を0にすると共に、レンズの周縁部を使用しないで、光学特性の良好な部分のみを使用するように制限することによって性能を安定化させることを目的としたものである。
本発明に係る対物レンズ35及び35Aにおいて、複合型レンズ35d及び35d1は、設計次数が2次以上の高次回折光を使用するように構成することが望ましい。詳しくは後述するが、回折面S1dは断面形状で階段状をなす形状にすることが望ましい。
更に、対物レンズ35及び35Aは、0.5mm以上のレンズ最終面(最も像側の面)から像点までの距離、即ち、作動距離を有するようにされている。従来、開口数の大きな2群構成のレンズ、例えば、Solid Immersion Lens(SIL)においては、作動距離が0.1mm程度の場合があった。このように作動距離が短いと、対物レンズと光ディスクとの衝突を避け得ない等の問題があった。従って、本発明では、上述のように、レンズ最終面から像点までの作動距離を0.5mm以上に規定した。
次に、本発明に係る対物レンズ35及び35Aにおいて、レーザ光を回折限界まで集光するために必要な色消し(色収差の補正)の条件について説明する。
一般に、波長λ(nm)に対して±δ(nm)の範囲で波長が変化する光源に対して、屈折型レンズと回折型レンズとを組み合わせたレンズの色消し条件は次のように導かれる。
即ち、波長λ、λ+δ及びλ−δの時の硝材の屈折率をそれぞれ、N、N+δ、N−δとすると、波長λ±δの範囲における部分的なアッベ数(以下、「部分アッベ数」という。)νrは次の式11のように表わすことができる。
また、回折型レンズの部分アッベ数νdは、次の式12のようになる。
屈折型レンズ及び回折型レンズの焦点距離をそれぞれ、fr、fdとすると、これらの合成による合成レンズの焦点距離fは、次の式13の関係を有し、光軸上における像点の色消し条件は、数式14で表される。
従って、上記式13及び式14から、次の式15に示す、屈折型レンズの焦点距離frと回折型レンズの焦点距離fdがそれぞれ得られる。
なお、屈折型レンズの部分アッベ数νrはレンズ材質の屈折率によって決定され、回折型レンズの部分アッベ数νdはレーザ光の使用波長によって決定される。ここで、レンズ材質の屈折率が波長によって変化することを考慮すると、屈折型レンズの部分アッベ数νrは、レンズ材質とレーザ光の使用波長によって決定されるということができ、回折型レンズの部分アッベ数νdはレーザ光の使用波長のみによって決定されるということができる。
本発明に係る対物レンズ35のような屈折型レンズと回折型レンズとの複合レンズにおける軸上色消し条件は、レーザ光の使用波長λ、レーザ光の揺らぎ量、即ち波長の変動量δ、レンズの材質、入射レーザ光のビーム径及び開口数(NA)を決定することによって、一意に決定される。
従って、光学ピックアップ用の対物レンズの場合、レーザ光の設計波長、レーザ光のビーム径、対物レンズの開口数は固定されたパラメータとなるため、レンズの材質が決定されると、屈折及び回折複合レンズにおける軸上色消し条件が決定されることになる。例えば、NA=0.8、レーザ光のビーム径3mm、λ=410nm、δ=±10nmとし、屈折型レンズ35rの材質としてLAH53(株式会社オハラの商品名)を使用した場合、屈折型レンズ35rの焦点距離frは2.18mm、回折型レンズ35dの焦点距離fdは13.31mmとなる。
次に、本発明に係る対物レンズ35及び35Aの両面非球面単レンズである屈折型レンズ35rの形状について説明する。
単レンズの形状を定量的に表現する量として、一般的に、シェイプファクタqとポジションファクタpとがあり、これらの定義は、次の式16に示すとおりである。
上記式16において、r2、r3は単レンズ35rの第1面及び第2面の曲率半径をそれぞれ示し、s、s’は物点間距離及び像点間距離をそれぞれ示すものである。
ところで、本発明に係る対物レンズ35を構成する単レンズ35rは、シェイプファクタqの値が、±1の時は平凹レンズとなり、−1乃至1の時は両凸レンズ、そしてこれら以外の時はメニスカス形状となり、ポジションファクタpは、無限系のレンズの時はs=∞で、s’は焦点距離fと等しいためs’=−1となる。このため、3次の球面収差及びコマ収差はそれぞれ、シェイプファクタqの2次関数及び1次関数として表記することができる。3次の球面収差を極小にするシェイプファクタqをq_SA、3次のコマ収差を0にするシェイプファクタqをq_CMとすると、これらは次の式17に示すように表わすことができる。なお、nは硝材の屈折率である。
上記式17のq_SAを表す式をnに関する2次方程式として考えると、屈折率nが1.686以上の硝材を選択すると、常にq_SA>1となり、3次の球面収差を極小とするレンズ形状がメニスカス形状であることが導かれる。また、式17のq_CMを表わす式をnに関する2次方程式として考えると、屈折率nが1.618以上の硝材を選択すると、常にq_CM>1となり、3次のコマ収差を0にするレンズ形状がメニスカス形状であることが導かれる。
屈折率nを1.686以上の硝材を用いる場合、レンズ形状をメニスカス形状にすると3次の収差を最小にすることが可能になる。例として、高屈折率硝材である前出のLAH53(n=1.83)を使用すると、q_SAは1.237、q_CMは1.378となる。
従って、シェイプファクタqの値が1以上になって、レンズ形状は、上記のように3次の球面収差を極小にすることが可能で、コマ収差を0にすることも可能なメニスカス形状となる。
算出したそれぞれのシェイプファクタq_SA及びq_CMとレンズメーカの公式を用いて、レンズの第1面及び第2面の曲率半径r2及びr3は、シェイプファクタq、焦点距離f及び硝材の屈折率nを用いて次の式18のように表わすことができる。
従って、対物レンズ35に用いる屈折型レンズ35rは、上記式18を用いて各面の曲率半径を求め、ベンディングにより各値を決定することになる。
次に、金型52の転写面にダイヤモンドバイトを用いた旋盤での切削加工によって屈折面に回折面が付加されてなる複合面の転写形状を作成し、この転写形状を樹脂層40に転写することによって形成される対物レンズ35の複合面S1及び35Aの複合面S1、S4の形状について説明する。なお、以下の説明は、本発明に係る対物レンズ35及び35Aの複合面S1の形成過程についての説明であるが、対物レンズ35Aの複合面S4の形成過程も複合面S1の転写形状の形成過程と基本的には同一であるので、対物レンズ35Aの複合面S4の転写形状の形成過程についての説明は省略する。
図13に複合面S1の転写形状の作成の様子を示すように、金型材料であるブランク23を旋盤の回転軸24を中心として矢印Sの方向に回転させ、ダイヤモンドバイト(以下、単に「バイト」という。)56を上下させながら矢印T方向に移動させると、転写面52aに屈折面に回折面形状(回折格子形状)が付加された複合面が形成された金型52が作成される。
図14A乃至図14Eは、バイト56の先端部56aの形状と、バイト56によってそれぞれ曲率半径の異なる正の屈折力を有する非球面のベース面上に回折面を作成した複合面を有する金型の転写形状を拡大して示すものである。
即ち、図14Aは、金型52Aの転写面52Aa上に、正の屈折力を有する屈折面59rをベース面として正の屈折力を有する回折面59dを付加してなる複合面(転写形状)59をバイト56によって切削加工する際の断面形状を示すものである。この複合面59においては、屈折面59rの傾きの方向と回折面59dの傾きの方向とが同一であり、複合面59のブレーズ角度θが鋭角となるため、厳密には尖った形状にすることが不可能なバイト56の先端部56aによって切削不能部分60ができてしまう。
図14Bは、金型52Bの転写面52Ba上に、屈折力が0の平面である屈折面61rをベース面として正の屈折力を有する回折面61dを付加してなる複合面(転写形状)61をバイト56によって切削加工する際の断面形状を示すものである。この複合面61においても、ブレーズ角度θが鋭角となるため、バイト56の先端部56aによって切削不能部分60ができてしまう。
また、図14Cは、金型52Cの転写面52Ca上に、負の屈折力を有する屈折面62rをベース面として正の屈折力を有する回折面62dを付加してなる複合面(転写形状)62をバイト56によって切削加工する際の断面形状を示すものである。この複合面62においては、屈折面62rの傾きの方向と回折面62dの傾きの方向とは逆向きとなるが、回折面62dの傾きの方がより大きいため、複合面62のブレーズ角度θが鋭角となって、バイト56の先端部56aによって切削不能部分60ができてしまう。
図14Dは、金型52Dの転写面52Da上に、負の屈折力を有する屈折面63rをベース面として正の屈折力を有する回折面63dを付加してなる複合面(転写形状)63をバイト56によって切削加工する際の断面形状を示すものである。この複合面63においては、屈折面63rの傾きの方向と回折面63dの傾きの方向とが逆向きであり、複合面63のブレーズ角度θが直角となるため、ブレーズ形状を全て切削することが可能になって、バイト56の先端部56aによる切削不能部分ができることがない。
更に、図14Eは、金型52Eの転写面52Ea上に、負の屈折力を有する屈折面64rをベース面として正の屈折力を有する回折面64dを付加してなる複合面(転写形状)64をバイト56によって切削加工する際の断面形状を示すものである。この複合面64においても、屈折面64rの傾きの方向と回折面64dの傾きの方向とが逆向きとなり、回折面64dの傾きの方が屈折面64rの傾きよりも小さく、複合面64のブレーズ角度θが鈍角となるため、ブレーズ形状を全て切削することが可能になって、バイト56の先端部56aによる切削不能部分ができることがない。
図15は、回折面の回折角が一定の時の設計次数と、図16に示す一定の周期Lを有するブレーズ形状65のバイト56による切削不能部分60の削り残しの量(幅)bと、回折効率(b=0の時を100とした時の比率で表す)との関係を示す図である。なお、図16は、レーザ光の波長は405μm、ブレーズの最小幅を2μmとした時の1次回折光の回折角である11.7°を目安として回折効率を計算した結果である。
即ち、図15において、削り残し幅が0μmの場合では次数に関係なく回折効率は100%であるが、例えば、削り残し幅が1μmの場合は1次光の回折効率Aが40%以下となる。従って、このような状況下で回折効率を90%以上とするためには、設計次数を10次以上にする必要があることが分かる。
なお、図15中Bは、2次光の回折効率であり、図15中Cは、5次光の回折効率であり、図15中Dは、10次光の回折効率である。
このため、図14A乃至14Cに示した複合面59、61及び62のように切削不能部分60が発生する複合面の場合では、必要となる回折角と、金型52の転写面22aの加工に使用するバイト56の先端部56aの形状に伴う切削不能部分60の削り残し幅に応じた次数の高次の回折光を使用する設計が必要となる。
一方、図14D及び14Eに示した複合面63及び64のように切削不能部分が発生しない形状の回折面を有する場合では、必要となる回折角に対し、バイト56の先端部56aの形状や回折光の次数に対する制約が無くなる。特に、図14Dに示すように、複合面64がブレーズ角度θが直角の階段形状の回折面64dを有する場合には、複合面64の中心付近から最外周部分に至るまで各ブレーズの同じ部分の面同士が平行となるため、加工及び形状の評価が容易になるという利点を有する。
次に、本発明に係る対物レンズ35、35Aの、複合型レンズ35d、35d1の表面である複合面S1、S4に形成された、周期が基準波長(405nm)の1/2程度で振幅が基準波長の1/2程度の周期構造を有する同心円状の微細な凹凸形状について説明する。
前述した図13に示すように、金型52は、ブランク53を旋盤の回転軸54を中心として矢印S方向に回転させ、ブランク53に対してバイト56を上下させながら矢印T方向に移動させて転写面52aを切削することによって作成される。
そして、図17に金型52の転写面52aに作成される対物レンズ35及び35Aの複合面S1又はS4のブレーズ転写形状を拡大して示すように、破線で示す理想的ブレーズ形状(転写形状)65Aに沿ってバイト56を連続的に移動させて転写面52aの切削を行うと、理想的ブレーズ形状65Aとの加工誤差として切削不能部分66及び引き目構造67が形成されたブレーズ転写形状が作成される。
図18Aは、バイト56がブレーズの最下点を削っている様子を示すものである。即ち、回転するブランク53に対しバイト56は理想的ブレーズ形状65Aに沿って移動し、そして、バイト56による加工途中の断面形状68では、バイト56の下部に切削不能部分66が残ることになる。
図18Bは、図18Aに示す状態からブランク53が一回転した後に、バイト56がブレーズ最下点付近を削っている様子を示すものである。バイト56は理想的ブレーズ形状65Aに沿って移動し、ブランク53は一定速度で回転しているため、1回転毎のバイト56の切削跡は微視的に見ると連続とはならず、引き目構造67が形成される。従って、金型成形によって引き目構造67が対物レンズに転写されることによって、図17に二点鎖線で金型の転写形状による対物レンズのブレーズ形状を拡大して示すように、対物レンズの複合面の表面には微細な凹凸形状69が形成される。
ところで、図19は、引き目構造37が転写されて凹凸形状69が形成された対物レンズの複合面の透過及び反射の様子を拡大して示すものである。レーザ光70は一部が表面で乱反射されて反射光70a,70a,・・・なって透過率を減少させると共に、透過光71も凹凸形状69の面形状によって予想外の方向に屈折されて迷光71a,71a,・・・等を生じてしまい、凹凸形状69が形成された面の透過率を更に悪化させることになる。対物レンズ35及び35Aの複合面S1、S4は、金型52の引き目構造67が転写されて凹凸形状69が形成されてしまうにも関わらず、ブレーズ形状(回折光学素子)が形成されているため研磨することが不可能である。
従って、本発明に係る対物レンズ35及び35Aにおいては、金型52の転写面52aの加工時において、金型52の材料であるブランク53に対するバイト56の移動を最適にコントロールすることによって、引き目構造67を、周期が基準波長の1/2程度で振幅が基準波長の1/2程度の周期構造を有する同心円状に形成し、引き目構造67が複合面S1又はS4の表面に転写されることによって形成される凹凸形状69が上記周期及び振幅を有するようにしたものである。なお、凹凸形状69の向きは、ブレーズ転写形状の向きと一致、即ち、各ブレーズの形状と凹凸形状の斜面の向きを略一致させて相似形にすることが望ましい。
図20及び図21は、凹凸形状69を上述したような周期と振幅とを有するようにした経緯を説明するためのものである。
図20は、引き目構造の転写形状である凹凸形状の周期を使用波長と同程度の構造である0.5μmにした時において、凹凸形状の振幅(高さ)と透過率との関係を示す図である。比較のため、本発明に使用する青色レーザBu(波長405nm)入射する場合と、従来から用いられている赤色レーザRe(波長650nm)を入射する場合の計算結果を併記してある。
図21は、引き目構造の転写形状である凹凸形状の周期を使用波長の1/2程度の構造である0.2μmにしたときにおいて、凹凸形状の振幅(高さ)と透過率との関係を示す図である。比較のため、本発明に使用する青色レーザBu(波長405nm)を入射する場合と、従来から用いられている赤色レーザRe(波長650nm)を入射する場合の計算結果を併記してある。
凹凸形状の周期0.5μmは、赤色レーザRe(波長650nm)を基準に換算すると、波長以下の構造を取るが、青色レーザBu(波長405nm)を基準に換算すると、波長程度又はそれ以上の構造を取ることになる。
一方、凹凸形状の周期0.2μmは、赤色レーザRe(波長650nm)を基準に換算しても、青色レーザBu(波長405nm)を基準に換算しても波長の1/2以下または同程度の構造を取ることになる。
即ち、図20に示す凹凸形状の周期0.5μmの表面に対し、青色レーザBu(波長405nm)を入射した場合、振幅(高さ)が大きくなるとこれに伴い透過率が低下する。使用波長と同程度である0.5μmの振幅(高さ)になると透過率が30%以下になる。
同様の面に対し、赤色レーザRe(波長650nm)を入射した場合、振幅(高さ)が0から波長程度の範囲であれば、高さに関係なく透過率は85%程度以上となる。
また、図21に示す凹凸形状の周期0.2μmの表面に対し、青色レーザBu(波長405nm)を入射した場合と、同様の面に対し、赤色レーザRe(波長650nm)を入射した場合、振幅(高さ)が0から各波長程度の範囲にあれば、高さに関係なく透過率は95%程度以上となる。
更に、振幅(高さ)を波長の1/2から波長と同程度の範囲に制御すれば、反射防止効果を持った表面となる。
なお、金型52の転写面52aへ屈折面に回折面を組み合わせてなる複合面の転写形状を形成する方法は、上述した旋盤とバイト56を用いて切削によって形成する方法の他に、所謂エッチングによる方法、薄膜堆積法等の半導体の製造時に用いられるプロセスを用いることが可能である。
ところで、前述のように、対物レンズ35及び35Aの屈折型レンズである非球面単玉レンズ35rの形状は、高い屈折率を有する硝材を使用するため、メニスカス形状となる。このため、レーザ光の入射側の面に回折・屈折複合面を設ける場合、該複合面の形状は、ベース面が、曲率が大きく、正の屈折力を有するので、図14Aに示す複合面59の形状が転写された形状となる。また、対物レンズ35Aのように、レーザ光の出射側の面に回折・屈折複合面を設ける場合では、ベース面の曲率が比較的緩い負の屈折力を有する面であるため、図14C乃至14Eのうちのいずれかの複合面62,63,64の形状が転写された面となる。
以下に図14D及び図14Eに示す階段形状位相型回折格子の設計について説明する。
回折面のサグ量ASP(r)は、光学設計用ソフトウェア“CODEV”によって式19のように定義される。
上記式19において、k=−1とすると、2次の係数がc/2となり式20に示す偶数次のみの多項式となる。
一方、複合面S2の回折面S2dの位相分布Φ(r)は式21に示すような偶数次のみの多項式で定義される。
従って、光学設計までは式21のように、位相を連続的に変化する関数として取り扱う。
そして、回折面の表面形状設計では、位相の周期性を利用して、位相周期から整数倍の周期を差し引いた残りの位相を新たな位相分布とするため、回折面の形状が離散的なブレーズ形状となる。このブレーズ型の離散的な位相を、実際の材質の厚みとして換算するため、回折面の表面は離散的なブレーズ形状で、その高さは波長の整数倍の位相差を与える厚み量となる。
図22は、非球面の断面形状と、回折面の断面形状を説明するための図である。非球面の断面形状ASP_Sagは、上記式20によるものであり、回折面の断面形状DOE_Sagは式21によるものである。回折面の位相を、屈折面のサグ量と同じ次元にするには、屈折率差で位相を割り算する。
図23は、屈折・回折複合面の形状を説明するための図である。屈折及び回折複合面のサグ量をSag(r)とすると、次の式22のように表記することができる。
上記式22において、Sag(r)=0となれば、位相は完全な平面となるため、入射した光に対し何の影響も及ぼすことなく、光を出射させることになる。この場合の回折面の形状は、波長の整数倍の位相を与える厚み量を1段とする垂直な階段形状になる。即ち、Sag(r)=0の解は、次の式23に示すように、各次数の係数を相殺して0にするように選べばよいことになる。
なお、2次の係数は、近軸領域で屈折面と回折面のそれぞれの屈折力が相殺されて0となっていることを意味する。
以上に説明したように、本発明に係る対物レンズ35及び35Aは、以上に記載した各条件をレンズの初期設定としてベンディング及び非球面係数の最適化によって設計することが可能である。
最後に、本発明に係る対物レンズ35及び35Aを具体化した数値例を示す。
図24は、対物レンズ35の数値例のレンズ構成を示すものである。
本数値例においては、屈折型レンズ35rの硝材には、LAH53が用いられている。なお、対物レンズ35と像面(光ディスク100の記録層)との間には、ポリカーボネート製の保護カバー42が配設されている。
ところで、保護カバー42の厚みは、0.3mm以下であることが望ましい。この対物レンズ35の数値例と後述する対物レンズ35Aの数値例は、保護カバー42の厚みを0.1mmとして設計したものである。これは、保護カバー42の厚みが0.3mm以上であると、補正が困難になるほどの球面収差が発生してしまうが、保護カバー42が0.3mm以下の場合には球面収差の発生を抑えることができるからである。
以下の表3に対物レンズ35の数値例の各数値を示す。なお、前述のように、「ri」は光源側から数えてi番目の面Siの曲率半径、「di」は光源側から数えてi番目とi+1番目の面との間の光軸上における面間隔を示すものである(以下の表5においても同様)。
表4に対物レンズ35の数値例の複合面である第1面S1(回折面S1d及び屈折面S1r)、第2面S2及び第3面S3の円錐定数k及び4次乃至20次の非球面係数A乃至Jを示す。なお、表2中の「E」は、10を底とする指数表現を表わすものとする(後述する同種の表においても同様)。
図25Aに記数値例における球面収差を示し、図25Bに非点収差を示し、図25Cに歪曲収差を示す。なお、各収差図において、実線は405nm、破線は403nm、一点鎖線は407nmにおける値をそれぞれ示すものであり、非点収差図において、太線はサジタル像面、細線はタンジェンシャル像面における値を示すものである(後述する同種の図おいても同様)。また、上記数値例における回折基準波長は405nm、設計次数Nは10次であり、設計波長は405nm(403nm乃至407nm)、開口数は0.85である。図25A乃至図25Cの各収差図に示すように、上記数値例においては、対物レンズ35の色収差が効果的に補正されていることが判る。
図26は、本発明に係る他の例の対物レンズ35Aの数値例のレンズ構成を示すものである。
本数値例においては、屈折型レンズ35rの硝材には、上述した対物レンズ35の場合と同様に、前出のLAH53が用いられている。また、第2レンズL2と像面(光ディスク100の記録層)との間には、ポリカーボネート製の保護カバー42が配設されている。
以下の表5に対物レンズ35Aの数値例の各数値を示す。
表6に対物レンズ35Aの数値例の複合面である第1面S1(回折面S1d及び屈折面S1r)、第2面S2、第3面S3及び複合面である第4面S4(回折面S4d及び屈折面S4r)の円錐定数k及び4次乃至10次の非球面係数A乃至Dを示す。
図27Aに上記数値例における対物レンズ35Aの球面収差を示し、図27Bに非点収差を示し、図27Cに歪曲収差を示す。回折基準波長は405nm、第1面回折面S1dの設計次数Nは10次、第4面回折面S4dの設計次数Nは1次であり、設計波長は405nm(403nm乃至407nm)、開口数(NA)は0.85である。図27A乃至図27Cの各収差図に示すように、上記数値例における対物レンズ35Aにおいても、色収差が効果的に補正されていることが判る。
本発明に係る対物レンズ35は、前述のような構成とすることによって、レーザ発光素子37からのレーザ光の波長が変化しても軸上色収差を略ゼロにすることが可能となり、必要な開口数を維持したまま、作動距離を大きく取ることも可能となると共に、ベース面の曲率を小さく抑えることができるため、ブレーズ形状の加工が容易になる。
また、本発明に係る他の例の対物レンズ35Aも前述のような構成とすることによって、上述の対物レンズ35における効果に加えて、像高特性を更に向上させることが可能になる。他の例の対物レンズ35Aにおいては、複合面S4の回折面S4dは、断面形状で階段形状となるようにされているので、複合面S4の外周部分においても回折効率が低下しないという利点を有する。
本発明に係る対物レンズ35及び35Aは、±2nm波長の変動に対し色収差を0.01μm/nm程度に収めることができるため、光学ピックアップ及びディスクドライブ装置において、情報の記録及び再生を安定して行うことが可能になると共に、回折限界までレーザ光のスポット径を絞り込むことができるので、トラックピッチを狭くすることによって情報の記録密度を高めた規格の光ディスクに対応した十分な性能を持つことが可能となる。
本発明に係る対物レンズ35及び35Aにおいては、屈折型レンズ35rにガラス製の単玉レンズを使用したので、部品点数の削減及び小型及び軽量化が可能になり、光学ピックアップへの組付時においては組み立てを容易することが可能になる。
本発明に係る対物レンズ35、35Aは、最も光源側に位置する面に金属等の薄膜からなるアパーチャを設けることによって、レンズ周縁部を使用しないで光学特性の良好な部分のみを使用するように制限して、レンズ組み立て時における製造誤差を抑制し、性能を安定させることが可能になる。
今後の光ディスクの主流となる書き込み可能な光ディスクに対応したレーザパワーの大きな、即ち、レーザパワーを変動させてレーザノイズを低減する手段を備えた光学ピックアップに本発明対物レンズ35及び35Aを採用することにより、高密度記録情報の再生及び記録性能を向上させることも可能になる。
更に、本発明に係る対物レンズ35及び35Aにおいては、金型52の転写面22aの加工時において、金型52の材料であるブランク23に対するバイト56の移動を最適にコントロールすることによって、上記引き目構造37を、周期が基準波長の1/2程度で振幅が基準波長の1/2程度の周期構造を有する同心円状に形成し、引き目構造67が複合面S1又はS4の形状と共に転写されることによって、複合面S1又はS4の表面にブレーズ形状よりも更に微細な凹凸形状に形成したので、金型52の引き目構造67が転写されてしまうにも関わらず、研磨することが不可能な複合面S1又はS4における透過率を90%以上にすることが可能になる。
本発明に係る対物レンズを採用した光学ピックアップを用いることによって、高密度記録情報の再生及び記録性能が向上したディスクドライブ装置を提供することが可能になる。
なお、上述した各実施の形態において示した各部の具体的な形状及び構造は、いずれも本発明を実施するに際して行う具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明が限定的に解釈されるものではない。
産業上の利用可能性
上述したように、本発明に係る対物レンズ、この対物レンズを用いた光学ピックアップ及びディスクドライブ装置は、420nm以下を基準とする数nm以内の波長範囲に対して色収差を効果的に補正することによって、回折限界までレーザ光のスポット径を絞り込むことが可能になるので、トラックピッチを狭くすることによって情報の記録密度を高めた規格の光記録媒体に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
図1は、従来の光学ピックアップに用いられる対物レンズを示す側面図である。
図2Aは、図1に示す対物レンズの球面収差を示す特性図であり、図2Bは、非点収差を示す特性図、図2Cは、歪曲収差を示す特性図である。
図3は、本発明が適用される光ディスク装置の外観を概略的に示す斜視図であり、図4は、光ディスク装置の内部構成を示す分解斜視図である。
図5は、本発明に係る光学ピックアップを示す側面図である。
図6は、本発明に係る対物レンズを示す縦断面図である。
図7は、回折型レンズにおけるブレーズの最小線幅wと焦点距離fdとの関係を示す特性図である。
図8は、屈折型レンズを構成する硝材の部分アッベ数と焦点距離及び回折型レンズの焦点距離との関係を表すグラフである。
図9Aは本発明に係る対物レンズの球面収差を示し、図9Bは非点収差を示し、図9Cは歪曲収差を示す特性図である。
図10は、本発明に係る光学ピックアップの他の例を示す側面図である。
図11は、本発明に係る対物レンズの他の例を示す縦断面図である。
図12は、本発明に係る対物レンズの更に他の例を示す縦断面図である。
図13は、ダイヤモンドバイトを使用した機械切削加工によるブレーズ型回折面の作成を説明する概略斜視図である。
図14A乃至図14Eは、ダイヤモンドバイトを使用した機械切削加工によるブレーズ型回折面の作成を説明するための概略縦断面図である。
図15は、ダイヤモンドバイトを使用した機械切削加工によるブレーズ型回折面の作成時における削り残し部分の幅と回折効率との関係を示す図である。
図16は、図15に示す数値を計算する際に使用したブレーズ型回折面を示す概略縦断面図である。
図17は、ダイヤモンドバイトを使用した機械切削加工によるブレーズ型回折面の作成時における引き目構造を示す概略縦断面図である。
図18A及び図18Bは、ダイヤモンドバイトを使用した機械切削加工によるブレーズ型回折面の作成途中の様子を示す概略縦断面図である。
図19は、引き目構造を有する面における入射光及び出射光の様子を説明するための概略図である。
図20は、波長程度の一定周期を持つ凹凸形状の表面に対する、構造の振幅(高さ)と透過率の関係を示す図である。
図21は、波長の1/2程度の一定周期を持つ凹凸形状の表面に対する、構造の振幅(高さ)と透過率の関係を示す図である。
図22は、回折面及び屈折面におけるそれぞれのレンズの半径方向とサグ量との関係を示す図である。
図23は、回折面と屈折面とを組み合わせた複合面におけるレンズの半径方向とサグ量との関係を示す図である。
図24は、本発明光学ピックアップ用対物レンズの数値例のレンズ構成を示す図である。
図25Aは本発明に係る他の例の対物レンズの球面収差を示し、図25Bは非点収差を示し、図25Cは歪曲収差を示す特性図である。
図26は、本発明に係る光学ピックアップ用対物レンズの更に他の例の数値例のレンズ構成を示す図である。
図27Aは本発明に係る更に他の例の対物レンズの球面収差を示し、図27Bは非点収差を示し、図27Cは歪曲収差を示す特性図である。
本発明は、光記録媒体に対しレーザ光を照射して、情報の記録及び/又は再生を行うディスクドライブ装置に用いられる光学ピックアップ用の対物レンズ、この対物レンズを用いた光学ピックアップ、さらにはこの光学ピックアップを用いたディスクドライブ装置に関し、レーザ光を光記録媒体の記録面に回折限界まで集光させることができる対物レンズ、この対物レンズを用いた光学ピックアップ、この光学ピックアップを用いたディスクドライブ装置に関する。
背景技術
情報信号の記録媒体として、レーザ光を記録面に照射することによって情報の記録及び再生を行うようにされた非接触型で記録密度も高い光記録媒体が広く用いられている。光記録媒体は、記録された情報信号の検索のし易さ等の点から、ディスク状をした光記録媒体(以下、「光ディスク」という。)が広く用いられている。
光ディスクは、同心円状又は螺旋状をした記録トラックを有し、互いに隣接する記録トラック間の間隔、即ち、トラックピッチは、例えば、CD(Compact Disc)の場合では約1.6μmであったが、近年のDVD(Digital Video Disc/Digital Versatile Disc)では0.74μmと狭くされることによって、情報信号の記録密度が大幅に向上している。
DVD等のトラックピッチを狭くして情報の記録密度向上させた光ディスクに対しレーザ光を照射して情報信号の記録や再生を行うためには、トラックピッチの大きい光ディスクに対する場合よりも更に小さいビームスポットをその記録面上に形成する必要がある。
ところで、対物レンズによって集光されるレーザ光のビームスポットの径は、レーザ光の設計波長に比例し、対物レンズの開口数(NA)に反比例する。従って、光ディスクに照射されるビームスポットの径を小さくするためには、対物レンズの高開口数化とレーザ光の短波長化が必要となる。
一方、光ディスクに相変化方式又は他の方式で情報を記録するためには高エネルギーのレーザ光が必要であるために、また、反射されたレーザ光によるレーザノイズを低減するために、レーザ発光素子の駆動電流や電圧に高周波を重ねるなどの方法によって駆動パワーを変動させて、レーザ光の波長を短い周期で変動させるようにしている。従って、可干渉性(Coherent)のレーザ光を光ディスクに照射する光学ピックアップにおいては、数nm程度の波長の変動に起因する色収差が発生して、光ディスク上のビームスポットが大きくなってしまう。
ところで、光学ピックアップは、図1に示すように、レーザ光200を光ディスクの記録面に集光するための対物レンズ201を備えている。従来用いられている対物レンズ201は、図1に示すように、ガラスをモールド成形した1枚のレンズで構成されたものであって、集光性の高い非球面201aを有する。
この対物レンズ201は、図2Aに示す球面収差の特性図、図2Bに示す非点収差の特性図、図2Cに示す歪曲収差の特性図に示すように、非球面201aを用いても±2nmの波長の変動に対し±0.6μm/nm程度の色収差が発生していることが分かる。なお、図2A、図2B及び図2Cに示す各収差図において、実線は405nm、破線は403nm及び一点鎖線は407nmにおける値を示すものであり、非点収差を示す図2Bにおいて、太線はサジタル像面、細線はタンジェンシャル像面における値を示すものである。
上述したように、記録トラックのトラックピッチを狭くすることによって高記録密度化が図られた光ディスクに情報を記録するには、対物レンズによって回折限界までレーザ光を集光して、より小さなビームスポットを形成することが望ましい。従来用いられている非球面201aを有するガラスをモールド成形した1枚構成の対物レンズ201は、上述したような色収差の発生によって回折限界までのレーザ光を集光することが困難である。
発明の開示
本発明は、本発明は、上述したような従来の実情に鑑みて提案されるものであって、記録トラックのトラックピッチを狭くすることによって高記録密度化された光記録媒体に対し情報を記録し、光記録媒体に記録された情報の再生に用いられる光学ピックアップに用いて有用な新規な対物レンズを提供することを目的とするものであり、更に具体的には、小型で、色収差の補正を効果的に行うことでき、回折限界まで光ビームを集光することができる対物レンズを提供することを目的とする。
更に、本発明は、色収差の補正を効果的に行うことができ、回折限界まで光ビームを集光することができる対物レンズを用いた光学ピックアップ、この光学ピックアップを用いた光ディスクを提供をすることを目的とする。
上述のような目的を達成するために提案される本発明に係る光学ピックアップ用対物レンズは、物体側より順に、非球面からなる第1面と非球面からなる第2面とを有し、少なくともいずれか一方の面に回折面を含む樹脂層と、非球面からなる第2面と非球面からなる第3面とを有するガラス製のレンズとによって構成され、基準波長が420nm以下で、且つ、基準波長の数nm以内の波長範囲に対して、光軸上の像面における色収差が補正されていると共に、0.8以上の開口数を有する。この対物レンズは、像面において光を回折限界近くまで集光させることができる
本発明において、回折型レンズが定義されるベース面は、必ず、非球面係数の値を持つようにしたので、回折型レンズを光学的にバランス良く安定した状態で構成することができる。
本発明に係る対物レンズは、第1面の非球面と第2面の非球面とが同一のベース曲率及び非球面係数を有するようにしたので、樹脂層の膜厚が一定になって、温度変化等に対しての安定性を増すことができるようになる。
本発明に係る対物レンズは、第1面又は第2面が回折面とされた樹脂層は、透過位相型であると共に、第1面又は第2面がブレーズ形状で構成されているので、レンズのベース面の曲率半径を小さくすることなく、レンズの開口数を高めることができる。回折面とされる第1面又は第2面がブレーズ形状とされることにより、回折面の成形時に加工不能部分等の回折効率の低下要因及び引き目等の透過率の低下要因を排除することができる。
本発明に係る対物レンズは、第1面の外周側にアパーチャを設けることにより、レンズ周縁部を使用しないようにし、光学特性の良好な部分のみを使用するように制限でき、レンズ組み立て時における製造誤差を抑制し、性能を安定化させることができる。
本発明に係る対物レンズは、回折面を、設計次数が2次以上としているので、色収差を一層効果的に補正することによって、回折限界までレーザ光のスポット径を絞り込むことを可能となし、トラックピッチを狭くすることによって情報の記録密度を高めた規格の光記録媒体に対応することを可能とする。
本発明に係る対物レンズを構成するガラス製単レンズは、420nm以下の波長の光に対する屈折率が1.65以上の硝材により形成したので、必然的にガラス製単レンズの形状がメニスカス形状になるため、3次の収差を最小にすることができる。
本発明に係る対物レンズは、回折面が形成された第1面又は第2面の表面に、周期が基準波長のほぼ1/2で振幅が基準波長のほぼ1/2の周期構造を有し、上記回折面の凹凸形状よりも微細な同心円状の凹凸形状が形成されたので、研磨することが不可能な複合面であっても透過率を90%以上にすることができる。
本発明に係る対物レンズは、像面との間に0.3mm以下の厚みを有する保護カバーを配置すると共に、保護カバーに起因する球面収差を補正するようにしたので、保護カバーから発生する球面収差による影響を排除することができる。
上述したような目的を達成するために提案される本発明に係る光学ピックアップは、レーザ光を出射するレーザ発光素子と、レーザ光を光記録媒体の記録層に集光させる対物レンズと、レーザ光を受光する受光素子と、レーザ発光素子から出射されたレーザ光を対物レンズに入射させると共に光記録媒体の記録層で反射され対物レンズを透過したレーザ光を受光素子に入射させる光学素子とを有する光学ピックアップであり、この光学ピックアップに用いられる対物レンズは、物体側より順に、非球面からなる第1面と非球面からなる第2面とを有し、少なくともいずれか一方の面に回折面を含む樹脂層と、上記非球面からなる第2面と非球面からなる第3面とを有するガラス製のレンズとによって構成され、基準波長が420nm以下で、且つ、上記基準波長の数nm以内の波長範囲に対して、光軸上の像面における色収差が補正されていると共に、0.8以上の開口数を有する。
この光学ピックアップは、420nm以下を基準とする数nm以内の波長範囲に対して色収差を効果的に補正することによって、回折限界までレーザ光のスポット径を絞り込むことが可能になるので、トラックピッチを狭くすることによって情報の記録密度を高めた規格の光記録媒体に対応することができる。
この光学ピックアップにおいて、対物レンズの第3面から像点までの作動距離を0.5mm以上とすることにより、対物レンズが光記録媒体に干渉する等の問題を回避することができると共に、光記録媒体の記録層において光を回折限界近くまで集光させることができる。
本発明に係る光学ピックアップは、対物レンズの第3面と像面との間に0.3mm以下の厚みを有する保護カバーが配置すると共に、対物レンズに保護カバーに起因する球面収差を補正する機能を持たせることにより、保護カバーから発生する球面収差による影響を排除することができる。
上述したような目的を達成するために提案される本発明に係るディスクドライブ装置は、回転するディスク状をなす光記録媒体に対し、この光記録媒体の半径方向に移動自在とされた光学ピックアップによって情報の記録及び再生を行うディスクドライブ装置であり、この装置に用いられる光学ピックアップは、420nm以下の波長のレーザ光を出射するレーザ発光素子と、レーザ光を光記録媒体の記録層に集光させる対物レンズと、レーザ光を受光する受光素子と、上記レーザ発光素子から出射されたレーザ光を対物レンズに入射させると共に光記録媒体の記録層で反射され上記対物レンズを透過したレーザ光を受光素子に入射させる光学素子とを備える。ここで用いる対物レンズは、物体側より順に、非球面からなる第1面と非球面からなる第2面とを有し、少なくともいずれか一方の面に回折面を含む樹脂層と、非球面からなる第2面と非球面からなる第3面とを有するガラス製のレンズとによって構成され、基準波長が420nm以下で、且つ、基準波長の数nm以内の波長範囲に対して、光軸上の像面における色収差が補正されていると共に、0.8以上の開口数を有する。
このディスクドライブ装置は、光学ピックアップが、420nm以下を基準とする数nm以内の波長範囲に対して色収差を効果的に補正することによって、回折限界までレーザ光のスポット径を絞り込むことが可能とするので、トラックピッチを狭くすることによって情報の記録密度を高めた規格の光記録媒体に対応することができる。
光学ピックアップに用いられる対物レンズの第3面から像点までの作動距離を0.5mm以上とすることにより、対物レンズが光記録媒体に干渉する等の問題を回避することができると共に、光記録媒体の記録層において光を回折限界近くまで集光させることができる。
本発明の更に他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下において図面を参照して説明される実施の形態の説明から一層明らかにされるであろう。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明に係る光学ピックアップ装置に用いられる対物レンズ、この対物レンズを用いた光学ピックアップ装置及び光ディスク装置を図面を参照して説明する。
以下に示す本発明の実施の形態は、本発明をディスク状の光記録媒体であるCD(Compact Disc)に設けられる記録トラックのトラックピッチよりも狭い0.6μm程度のトラックピッチを有するディスク状の光記録媒体、例えば、DVD(Digital Video Disc/Digital Versatile Disc)等、記録トラックのトラックピッチを狭くすることによって情報の記録密度を高めた規格のディスク状の光記録媒体に対して、情報の記録を行い、この記録媒体に記録された情報の再生を行う光ディスク装置に適用したものである。
まず、本発明に係る対物レンズを用いた光学ピックアップを用いる光ディスク装置を説明する。
本発明が適用される光ディスク装置1は、回転数を高くして記録された記録信号の読み込み及び情報信号の書き込みが高速化されたものであり、トラックピッチが非常に細かくされて記録容量が高められた、例えば、DVD(Digital Video/Versatile Disc)等の光記録媒体として用いるものであって、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置の外部記憶装置として用いられる。
ディスクドライブ装置1は、図3及び図4に示すように、各種機構が配置されたメカフレーム2を有し、メカフレーム2の上方、左右及び前後が、ネジ止め等の適宜な手段によって取り付けられたカバー体3及び前面パネル4によって覆われている。
カバー体3は、天板部3aと該天板部3aの両側縁からそれぞれ垂設された側面部3b,3bと図示しない後面部とが一体に形成されている。前面パネル4には、横長の開口4aが形成され、該開口4aを開閉する扉体5が、その上端部を支点として前面パネル4に回動自在に支持されている。前面パネル4には、各種操作を行う複数の操作ボタン6が配設されている。
メカフレーム2は各種機構が配置される機構配置面部7aと、機構配置面部7aの両側縁から立設された側部7b,7bとを有し、機構配置面部7aの前端部にカム板や各種ギアを有するローディング機構8が配置されている。
メカフレーム2には、図4に示すように、ディスクトレイ9が図4中矢印A1方向及び矢印A2方向の前後方向に移動可能に支持されている。ディスクトレイ9には、前後方向に長い挿通孔9aとディスク状の光記録媒体(以下、単に「光ディスク」という。)100が載置されるディスク載置凹部9bとが形成されている。ディスク載置凹部9bに光ディスク100を載置するとき、ディスクトレイ9はローディング機構8によって移動操作され、前面パネル4の開口4aから装置本体の外部に突出され、光ディスク100へ情報の記録又は再生を行うときには、ディスク載置凹部9bに光ディスク100を載置した状態で装置本体の内部に引き込まれる。
メカフレーム2の機構配置面部7aには、図4に示すように、移動フレーム10がその後端部を回動支点として回動自在な状態で支持されている。
移動フレーム10には、光ディスク100を回転させるためのモータユニット11が配置されている。モータユニット11は、ディスクテーブル11aと駆動モータ11bを含んでいる。移動フレーム10には、光学ピックアップ12が、図示しないガイド軸及びリードスクリューによってディスクテーブル11aに装着された光ディスク100の半径方向に移動可能な状態で支持されている。
移動フレーム10には、リードスクリューを回転させる送りモータ13が取着されている。従って、リードスクリューが送りモータ13によって回転されると、その回転方向に応じた方向へ光学ピックアップ12がガイド軸に案内されて移動される。
本発明に係るディスクドライブ装置1は、光ディスク100が、ディスクトレイ9のディスク載置凹部9bに載置さた状態で装置内部に引き込まれ、ディスクテーブル11a上に適宜な手段によって保持され、モータユニット11の駆動モータ11bによる駆動によってディスクテーブル11aと共に回転されると、光学ピックアップ12が光ディスク100の半径方向に移動しながら、光ディスク100に対する情報の記録又は再生が行われる。
次に、光ディスク100に対する情報の記録又は再生を行う光学ピックアップ12の構成について説明する。
光学ピックアップ12は、図5に示すように、光ディスク100の半径方向に移動自在に支持され、例えば、ハウジング16上に支持された図示しない2軸アクチュエータを有する。ハウジング16内には、レーザ光を発生させるレーザ発光素子17と、このレーザ発光素子17から出射されたレーザ光18を平行光束にするコリメータレンズ19等が配設され、更に、光ディスク100の記録層にレーザ光18を集光する、色収差補正機構を有する対物レンズ20が図示しない2軸アクチュエータに保持されている。
光ディスク100は、0.6μm程度の狭いトラックピッチを有し、基板が薄い高密度記録対応規格のものであり、光学ピックアップ12は、このような光ディスク100に対して情報の記録及び再生をするのに適したものである。従って、レーザ発光素子17は、従来のCD規格の波長を780nmとするレーザ光よりも波長の短い400nm乃至410nm程度の波長のレーザ光18を発生させるものであり、レーザノイズを低減するために高周波電流を駆動電流に重ねることでレーザ光18の波長が短い周期で変動する。
光ディスク100の記録層に記録を行う際には、レーザ発光素子17から高エネルギーのレーザ光18が出射される。レーザ光18は、コリメータレンズ19によって平行光束にされ、対物レンズ20によって光ディスク100の記録層に集光され、相変化等によって情報を記録したピットが形成される。
一方、記録された情報を読みとる場合には、情報に記録を行う時よりも低エネルギーのレーザ光18が光ディスク100の記録層に照射され、光ディスク100から反射されたレーザ光18が光学ピックアップ12内の図示しないビームスプリッタ等を含む受光系によって検出されることによって為される。
光学ピックアップ12は、レーザノイズを低減するために光ディスク100に照射するレーザ光18の波長が変動するようにされている。このため、対物レンズ20によって、光ディスク100に集光する際の色収差を改善し、回折限界近くまで小さなビームスポットを作ることができる。
次に、色収差補正機能を有するようにされた対物レンズ20の詳細について説明する。
対物レンズ20は、図5及び図6に示すように、レーザ発光素子17から出射されたレーザ光18が入射する表面である第1面が所謂ブレーズ形状をした位相型回折光学レンズとなっている樹脂層21と、パワーの大きいガラス製の非球面単玉レンズ22から構成される。詳述すると、対物レンズ20は、物体側より順に、回折型レンズを含む非球面からなる第1面r1と非球面からなる第2面r2とを有する樹脂層21と、非球面からなる第2面r2と非球面からなる第3面r3とを有するガラス製の非球面単玉レンズ22とによって構成されている。
ブレーズ形状をなす第1面r1は、例えば、ノコギリ型の断面形状をした所謂ブレーズドホログラムとして、金型成形による樹脂層を形成する方法等の適宜な方法によって構成されたものである。
対物レンズ20は、レンズ最終面r3から像点までの作動距離を0.5mm以上、回折型レンズが定義されるベース面(=r2)は、必ず、非球面係数の値を持ち、第1面r1の非球面と第2面r2の非球面とは同一のベース曲率及び非球面係数を有する用にすることが望ましい。
一般に、波長λ(nm)に対して±δ(nm)の範囲で波長が変化する光源に対して、屈折型レンズと回折型レンズとを組みあわせたレンズの色消し条件は次のように導かれる。
波長λ、λ+δ及びλ−δのときの硝材の屈折率をそれぞれ、N、N+δ、N−δとすると、波長λ±δの範囲における部分的なアッベ数(以下、「部分アッベ数」という。)は次のように定義することができる。
即ち、屈折型レンズの部分アッベ数νrは、以下の式1のようになる。
回折型レンズの部分アッベ数νdは、以下の式2のようになる。
そして、屈折型レンズ及び回折型レンズの焦点距離をそれぞれ、fr、fdとすると、これらの合成による合成レンズの焦点距離fは、以下の式3の関係を有し、軸上像点の色消し条件は、式4で表される。
従って、式3及び式4から、式5が得られる。
樹脂層21によって構成される回折型レンズは、位相透過型のタイプで、表面形状が、断面形状でノコギリ型をしたブレーズドホログラム形状をなすものである。そして、回折型レンズのブレーズの幅は、中心の光軸から周縁部に行くに従って狭くなっている。ブレーズの最も狭い部分の幅である最小線幅をwとすると、レーザ光18のビーム半径Rと、回折型レンズの焦点距離fdと、レーザ光18の波長λとの関係は、近似的に、以下の式6のように表すことができる。
なお、光学ピックアップ12は、波長λ=405nm、波長の変動δ=2nm以内のレーザ発光素子17を光源とするものであり、レーザビーム径φ=3mm、開口数(NA)0.85のものである。
図7は、式6を用いて、ブレーズドホログラムの最小線幅wと回折型レンズL1の焦点距離fdとの関係を表したグラフである。また、図8は、式5を用いて、屈折型レンズL2の硝材の部分アッベ数νrと屈折型レンズL2の焦点距離fr及び回折型レンズL1の焦点距離fdとの関係を表すグラフである。
即ち、図7において、ブレーズの最小線幅wを2μmとすると回折レンズL1の焦点距離fdは7.40mmとなり、ブレーズの最小線幅wが3μmのときにはfdは11.1mm、ブレーズの最小線幅wが4μmの時にはfdは14.8mmとなる。ここで、レンズのパワーは焦点距離の逆数であるから、これらの値が回折型レンズL1が採ることのできるパワーの最大の目安となる。
図8において、回折型レンズL1の焦点距離fdの最小値が7.40mmであるとすると、屈折型レンズの硝材の部分アッベ数νrは325以上の範囲で許容されることになる。同様に、回折型レンズL1の焦点距離fdが11.1mm及び14.8m時の屈折型レンズL2の硝材の部分アッベ数νrの有効範囲はそれぞれ、540以上及び750以上となる。
従って、対物レンズ20のガラスレンズ22を構成するレンズの硝材は、ブレーズの最小線幅wに対する上記条件を満たし、ガラスモールド成形が可能なものを選択すればよいことになる。例えば、オハラ社製のLAH53(商品名)によってガラスレンズ22を構成すれば、部分アッベ数が630程度となり、最小線幅wが3μm程度の回折レンズと組みあわせることによって像点の色消しが可能となる。
このように開口数(NA)と、レーザビーム径φ(=2R)と使用する光源とが決定すると、合成レンズとして構成された本発明に係る対物レンズ20の焦点距離fと回折型レンズのアッベ数νdが決定し、ブレーズの最小線幅wを規定すると、回折型レンズL1の焦点距離fdの有効範囲を決定することができる。更に、前述した式から、屈折型レンズL2の焦点距離frと部分アッベ数νrの有効範囲を決定することができるようになる。
一般的に、回折レンズの位相分布Φ(r)は、
と表記されるが、焦点距離f2と係数C1との間には、以下に示す式7の関係が成り立つ。
なお、係数C1は回折レンズのパワーを決定する係数であり、屈折型レンズにおけるベース面の曲率に相当する量である。従って、式7によって係数C1を選定するようにする。
回折型レンズを構成する樹脂層21のレーザ発光素子17側、すなわち光源側の面の曲率半径r1は、3次の球面収差を最小にするよう、以下の数式8に従って選定する。
また、回折型レンズとして機能する樹脂層21の光ディスク100側の面の曲率半径r2は、必要なレンズの厚みを考慮して、その焦点距離f1を一定に保つように決定される。
本発明に係る色収差機能を有する対物レンズ20は、以上に述べた各条件を、各構成レンズの初期設定として、ベンディング及び非球面係数の最適化によって設計することが可能である。
以下に、対物レンズ20の具体例である数値実施例について説明する。
なお、以下の説明において、「ri」はレーザ発光素子17側から数えてi番目の面及びその曲率半径、「di」はレーザ発光素子17側から数えてi番目とi+1番目の面との間の面間隔を示すものとする。
また、非球面形状は、「x」を光軸からの高さが「h」の非球面上の点の非球面頂点の接平面からの距離、「c」を非球面頂点の曲率(=1/R)、「k」は円錐定数、「A」、「B」、「C」、「D」、「E」、「F」、「G」、「H」及び「J」をそれぞれ第4次乃至第20次の非球面係数とするとき、以下の式9によって定義されるものとする。
回折型レンズは、振幅型と位相型とに分けられるが、本発明において樹脂層21として構成された回折型レンズは位相型、特に、効率の点からブレーズドホログラム形状のものである。これは、一般のホログラムと同様に、製造時の2つの点光源を無限遠にあるとした時の各面上での非球面的位相のずれ係数として、基板上の曲座標多項式を使用して指定する。ここで、多項式の係数は、回折基準波長での光路差(OPD)をmm単位で与える。
即ち、回折型レンズ面上で、光軸からの高さRの点における回折による光路差は、
のように定義される。実際の形状は回折を生じさせるために、断続的に変化させる。つまり、屈折率Nの媒質中の光路と空気中の光路との間に生じる光路差はt(N−1)で与えられるので、回折レンズの各輪帯(エレメント)の段差dは、設計波長をλnmとするとき、
若しくは、その整数倍となる。回折型レンズには、光路差OPDを波長λで割った余りを光路差として生じる深さを表面形状に与えることになる。
図6は、本発明に係る対物レンズ20のレンズ構成を示すものであり、ガラスレンズ12の硝材に前述したLAH53を用いた例を示すものである。なお、対物レンズ20と像面である光ディスク100の信号記録面との間には、光ディスク100表面に配されるポリカーボネート製の保護層23が位置している。下記の表1に上記数値実施例の各数値を示す。
表2に樹脂層21の第1面r1の回折面及び非球面、非球面とされた第2面r2及び非球面とされた第3面r3の4次乃至20次の非球面係数A(C2)乃至J(C10)を示す。なお、表2中の「E」は、10を底とする指数表現を表すものとする。
上記表2に示すように、第1面r1の非球面と第2面r2の非球面とが同一のベース曲率及び非球面係数を有するようにしたことによって、樹脂層21の膜厚が一定になって温度変化等に対しての安定性を増すことが可能になる。
また、表2に示すように、回折型レンズが定義されるベース面は、必ず、非球面係数の値を持つようにすることによって、回折型レンズである樹脂層21を光学的にバランス良く安定した状態で構成することがかのうになる。
図9Aに対物レンズ20の球面収差を示し、図9Bに対物レンズ20の非点収差を示し、図9Cに歪曲収差を示す。なお、図9A乃至図9Cに示す各収差図において、実線は405nm、破線は403nm及び一点鎖線は407nmにおける値を示すものであり、非点収差図において、太線はサジタル像面、細線はタンジェンシャル像面における値を示すものである。なお、回折基準波長は、405nm、設計波長は405nm(403nm乃至407nm)、開口数は0.85である。
以上に説明したように、本発明に係る対物レンズ20は、色収差補正機能を有するものであり、回折レンズを構成する樹脂層21と、屈折型レンズとして集光性能の高い非球面単玉レンズであるガラスレンズ12とを組みあわせてなるものである。従って、対物レンズ20を用いた光学ピックアップ12によって高記録密度の光ディスクへの情報の記録及び再生を行う場合、レーザ発光素子の波長が変化しても、光軸上で、ビームスポットの焦点位置の移動を0.05μm/nm程度以内に抑えることが可能になり、光ディスクドライブ装置1における情報の記録及び再生動作を安定して行うことが可能となる。
本発明に係る対物レンズ20は、前述した図1に示す従来の1枚構成の対物レンズaではレーザ光の±2nmの波長の変動に対し±0.6μm/nm程度の色収差が発生するのに対し、同様の±2nm波長の変動に対し色収差が0.01μm/nm程度に収まるものである。一般に、光学ピックアップのような光学系においては色収差を0.05μm/nm以下にすることが要求されるが、本発明に係わる対物レンズ10を用いることによって、十分な性能を得ることができるようになる。従って、対物レンズ20によって、高密度記録の光ディスクに対応した、小径のスポット形成可能な光学ピックアップ及び光ディスクドライブ装置を提供するとが可能になる。
なお、対物レンズ20のレンズ最終面r3から像点までの作動距離は、0.5mm以上であることが望ましい。これは、作動距離が短いと、光ディスク表面に付着した埃等のゴミに対物レンズ20のレンズ最終面r3が接触又は衝突する可能性があり、更に、最悪の場合は、レンズ最終面r3と光ディスクとが衝突し、互いに損傷を受ける可能性もある。
本発明に係る対物レンズ20においては、色収差を効果的に補正することができるので、今後の光ディスクの主流となる書き込み可能な光ディスクに対応するレーザパワーの大きな、即ち、レーザパワーを変動させてレーザノイズを低減する手段を備えた光学ピックアップに採用することにより、高密度記録情報の再生及び記録性能に優れたものとすることが可能になる。
本発明に係る対物レンズ20は、必要なパワーを回折型レンズと屈折型レンズに分散させることが可能であるので、同一の硝材を用いた場合、従来の対物レンズの単玉レンズに比べ、屈折型レンズであるガラスレンズ12のパワーを小さく設計することできるので、回折型レンズを構成する樹脂層21のベース面となる面の曲率を抑えた設計が可能となる。
更に、本発明に係る対物レンズ20は、回折型レンズと屈折型レンズとが一体化した単玉タイプのものであるので、光学ピックアップ及び光ディスクドライブ装置において、部品点数の削減、小型化及び組み立て工程の簡素化が可能となる。
上述した対物レンズ20は、図5及び図6に示すように、物体側より順に、回折型レンズを含む非球面からなる第1面r1と非球面からなる第2面r2とを有する樹脂層21と、非球面からなる第2面r2と非球面からなる第3面r3とを有するガラス製の非球面単玉レンズ22とによって構成されている。本発明に係る対物レンズ20は、この例に限らず、物体側より順に、第2面r2を回折型レンズを含む非球面としてもよい。すなわち、物体側より順に、非球面からなる第1面r1と回折型レンズを含む非球面からなる第2面r2とを有する樹脂層21と、回折型レンズを含む非球面からなる第2面r2と非球面からなる第3面r3とを有するガラス製の非球面単玉レンズ22とによって構成するようにしてもよい。
回折型レンズを含むブレーズ形状をなす第2面r2は、例えば、ノコギリ型の断面形状をした所謂ブレーズドホログラムとして、金型成形による樹脂層を形成する方法、ガラス製のレンズの表面を切削する等する適宜な方法によって形成することができる。
次に、本発明に係る光学ピックアップ及びこの光学ピックアップに用いられる対物レンズの他の例を図面を参照して説明する。
この光学ピックアップ32も前述した光学ピックアップと同様に、図示しないガイド軸及びリードスクリューによってシャーシ11に支持された移動ベース14上に、レーザ光を出射する発光素子や受光素子等を含む所要の光学素子と、対物レンズ35を支持した図示しない2軸アクチュエータ等が搭載されている。
光学ピックアップ32は、図10に示すように、光ディスク100の半径方向に移動自在に支持され、例えば、ハウジング33上に支持された図示しない2軸アクチュエータを有する。ハウジング33内には、レーザ光を発生させるレーザ発光素子37と、このレーザ発光素子37から出射されたレーザ光38を平行光束にするコリメータレンズ39等が配設されている。レーザ発光素子37から出射したレーザ光38は、コリメータレンズ39によって平行光束にされ、対物レンズ35によって光ディスク100の記録層に集光される。
ところで、光学ピックアップ32は、情報の記録密度が高い光ディスク100に情報の記録及び情報の再生を行うことができるようにされたものである。従って、レーザ発光素子37は、780nmの波長のレーザ光を発生する従来のCD規格のレーザ発光素子よりも短い波長、例えば、400nm乃至410nm程度のレーザ光を発生するものであり、レーザノイズを低減するために高周波電流を駆動電流に重ねることでレーザ光の波長が短い周期で変動する。
光ディスク100に記録を行う際には、レーザ発光素子37から高エネルギーのレーザ光が出射され、コリメータレンズ39によって平行光束にされ、この平行光束にされたレーザ光38が対物レンズ35に入射して光ディスク100の記録層上に集光されレーザスポットを形成する。このレーザ光のエネルギーによって記録層が、例えば、相変化し、情報信号に対応したピットを形成し、情報信号の記録が行われる。
一方、光ディスク100に記録された情報を再生する場合には、情報に記録を行う時よりも低エネルギーのレーザ光がレーザ発光素子37から出射され、コリメータレンズ39によって平行光束にされ、この平行光束にされたレーザ光38が対物レンズ35に入射して光ディスク100の記録層上に集光されレーザスポットを形成する。光ディスク100の記録層で反射されたレーザ光が入射時とはとは逆の光路を経て、光学ピックアップ32内の受光素子等を含む図示しない受光系によって検出される。
対物レンズ35の作動距離、即ち、対物レンズ35を構成するレンズの最も光ディスク100寄りの面から像点、すなわち、光ディスク100のレーザ光が集光する記録層までの距離が0.5mm以上とされている。
次に、本発明に係る他の対物レンズ35について具体的に説明する。
対物レンズ35は、図11に示すように、第1面としての屈折及び回折複合面S1を有するものであり、屈折型レンズ35rと、複合型レンズ35dとによって構成される。
屈折型レンズ35rは、屈折力の大きいメニスカス形状のガラス製の両面非球面単玉レンズからなる。また、複合型レンズ35dは、屈折型レンズ35rの光源側の面である第2面S2上に適宜な樹脂材料を積層して形成した樹脂層40より構成されている。
第1面としての屈折及び回折複合面(以下、単に「複合面」という。)S1は、樹脂層40の表面である屈折面S1rが屈折型レンズ35rの面S2、即ち第2面と同じ非球面形状の曲率を有するようにされると共に、屈折面S1rをベース面、即ち、回折面が定義される基準面としてブレーズ形状又は該ブレーズ形状の一形状である所謂階段形状の位相型回折面S1dであるホログラムを屈折面S1rに付加することによって形成されている。
従って、対物レンズ35は、樹脂層40により構成された複合型レンズ35dとガラス製の屈折型レンズ35rとの接合レンズによって構成されているとみることができる。
本発明に係る対物レンズ35を構成する複合型レンズ35dは、色収差を補正する役割を果たすものであり、屈折型レンズ35rは、レーザ光のビームスポットを所定の大きさに集光する役割を果たすものである。
以下の説明において、レンズ及び他の構成要素の面番号は、光源としてのレーザ発光素子側から、1、2、3、…と順に数えるものとし、「Si」は光源側から数えてi番目の面、「ri」は光源側から数えてi番目の面Siの曲率半径、「di」は光源側から数えてi番目とi+1番目の面との間の光軸上における面間隔を示すものとする。非球面形状は、「x」を光軸からの高さが「h」の非球面上の点の、非球面頂点の接平面からの距離、「c」を非球面頂点の曲率(=1/R)、「k」を円錐定数、「A」、「B」、「C」、「D」、「E」、「F」、「G」、「H」及び「J」をそれぞれ第4次乃至第20次の非球面係数とするとき、以下の式10によって定義されるものとする。
一般的に、回折面に使用される回折光学素子は、振幅型と位相型とに分けられるが、対物レンズ35の回折面S2dに用いられるものは位相型、特に、効率の点から所謂ブレーズ形状をしたブレーズドホログラムである。このブレーズドホログラムは、一般のホログラムと同様に、製造時に2つの点光源を無限遠にあるとした時の各面上での非球面的位相のずれ係数として、基板上の曲座標を多項式を使用して指定してなるものである。ここで、式10に示す多項式の係数は、回折基準波長での光路差(OPD)をmm単位で与える。即ち、回折面上で光軸からの高さRの点における回折による光路差は、
のように定義される。実際の回折面の形状は、回折を生じさせるために断続的に変化させることになる。つまり、屈折率Nの媒質中の光路と空気中の光路との間に生じる光路差はt(N−1)で与えられるので、回折面の各輪帯(エレメント)の段差dは、設計波長をλ(nm)とする時、
または、その整数倍となる。回折面のブレーズ形状は、光路差OPDを波長λで割った余りを光路差として生じる深さを表面形状に与えることになる。
上述したように、屈折型レンズ35rの光源側の面S2である第2面に積層された樹脂層40の表面に第1面としての複合面S1を形成するようにしたのは、屈折型レンズ35rに金型成形を行うことができない材質(硝材)を使用する場合であっても、金型の回折面形状が転写された樹脂層40を積層することによって屈折及び回折複合面を形成することを可能にするためである。従って、屈折型レンズ35rに使用する材質の選択範囲を大幅に広げることが可能である。
本発明に係る対物レンズは、図12に示すように構成されたものであってもよい。図12に示す対物レンズ35Aは、屈折型レンズ35rと複合型レンズ35dからなる対物レンズ35の像側に、更に複合型レンズ35d1を付加したものである。
屈折型レンズ35rは、屈折力の大きいメニスカス形状のガラス製両面非球面単玉レンズからなる。複合型レンズ35dは、屈折型レンズ35rの光源側の面である第2面S2に適宜な樹脂材料を積層して形成された樹脂層40によって構成されている。複合型レンズ35d1は、屈折型レンズ35rの像側の面である第3面S3に適宜な樹脂材料からなる樹脂層41を積層して形成される。
第1面としての複合面S1は、複合型レンズ35を構成する樹脂層40の表面である屈折面S1rが屈折型レンズ35rの面S2、即ち第2面と同じ曲率の非球面形状を有すると共に、屈折面S1rをベース面、即ち、回折面が定義される基準面としてブレーズ形状又はブレーズ形状の一形状である所謂階段形状の位相型回折面S1dであるホログラムを屈折面S1rに付加することによって形成されている。
第4面としての複合面S4は、樹脂層41の表面である屈折面S4rが屈折型レンズ35rの面S3と同じ曲率の非球面形状を有するようにされると共に、屈折面S4rをベース面、即ち回折面が定義される基準面としてブレーズ形状又はブレーズ形状の一形状である所謂階段形状の位相型回折面S4dであるホログラムを屈折面S4rに付加することによって形成されている。
従って、本発明に係る対物レンズ35Aは、樹脂層40により構成された複合型レンズ35dとガラス製の屈折型レンズ35rと、樹脂層41により構成された複合型レンズ35d1との3枚接合レンズによって構成されていると見ることができる。
本発明に係る対物レンズ35Aにおいては、複合型レンズ35dは、色収差を補正する役割を果たすものであり、屈折型レンズ35rは、レーザ光のビームスポットを所定の大きさに集光する役割を果たすものであり、複合型レンズ35d1は対物レンズの像高特性を向上させる役割を果たすものである。
ところで、本発明に係る対物レンズ35及び35Aは、複合型レンズ35d、35d1の表面、即ち、第1面としての複合面S1又は第4面としての復号面S4には、後述するように、金型の転写面に形成されたタイヤモンドバイトの移動軌跡である引き目構造が転写される。対物レンズ35及び35Aにおいては、金型作成時にダイヤモンドバイトの移動をコントロールすることによって、引き目構造をブレーズ形状の等位相線と一致するように、基準波長の1/2程度の周期を有する同心円形状に形成するようにしたものである。この凹凸形状の振幅の高低差は、基準波長の1/2程度の位相差を与える厚みを有するように構成されている。
従って、本発明に係る対物レンズ35及び35Aの複合型レンズ35d又は35d、35d1の複合面S1又はS4の表面にはブレーズ形状の等位相線と一致するように、基準波長の1/2程度の周期を有する凹凸形状が同心円状に形成されている。
なお、図12に示す本発明に係る対物レンズ35Aでは、樹脂層41のガラス製の屈折型レンズ35rの面と接触する屈折面としての第3面S3にブレーズ形状又はブレーズ形状の一形状である所謂階段形状の位相型回折面であるホログラムを付加するようにしてもよい。
この場合にも、樹脂層40の屈折型レンズ35rの第2面S2と接触する屈折面を構成する第2面S2に更にブレーズ形状又はブレーズ形状の一形状である所謂階段形状の位相型回折面であるホログラムを付加するようにしてもよい。
本発明に係る対物レンズ35及び35Aのように、複合型レンズ35d又は35d、35d1を使用すると、レンズの径を大きくすることなく開口数(NA)を高めることが可能となる。
本発明に係る対物レンズ35及び35Aは、図10に示すように、合成樹脂等の適宜な材質によって両端が開口した略円筒形状に形成されたレンズホルダ45に芯出し等の光学的調整を行って保持されている。このように、対物レンズ35及び35Aを、予め、レンズホルダ45内に配置しておけば、対物レンズ35を光学ピックアップ32に組み込む際の作業性を向上させることが可能になる。
本発明に係る対物レンズ35及び35Aは、420nm以下を基準とする数nm以内の波長範囲の光に対して光軸上の像点における色収差の補正を行うようにされ、屈折型レンズ35rに420nm以下の波長の光に対する屈折率が1.65以上の硝材が使用され、1.9mm以下の有効焦点距離を有するようにされると共に、屈折型レンズ35rに積層される樹脂層40及び41の厚みは0.1mm以下とされる。
また、本発明に係る対物レンズ35及び35Aは、屈折力の大きい最も光源側の複合面S1上にアパーチャ46が設けられ、また、像面との間に0.3mm以下(実際には0.1mm程度)の厚みを有する保護カバー42が配置されると共に、保護カバー42に起因する球面収差を補正するようにされる。なお、アパーチャ46は、対物レンズ35及び35Aの最も光源側に位置する第1面S1(複合面)、即ち物体側の外周部分の全周に亘って適宜な金属を蒸着することによって帯状に形成された金属薄膜により構成されている。
本発明に係る対物レンズ35及び35Aにおいては、複合面S1を構成する屈折面S1rの非球面形状と屈折型レンズ35rの樹脂層40が積層される第2面S2の非球面係数とを同一にした。更に、対物レンズ35Aにおいては、複合面S4を構成する屈折面S4rの非球面形状と屈折型レンズ35rの樹脂層41が積層される第3面S3の非球面形状とを同一にした。
即ち、樹脂層40及び41の厚みは、後述するように例えば0.1mm及び0.01mm程度の極めて薄いものであるので、屈折面S1rの非球面形状と第2面S2の非球面形状とを同一にすること及び屈折面S4rの非球面形状と第3面S3の非球面形状とを同一にすることによって、樹脂層40及び41は、厚みが略均一であると見なすことができる。これは、樹脂層40及び41の厚みを略均一にすると、例えば、紫外線硬化樹脂を用いてエッチングによって複合面S1、S4を形成する場合、樹脂層上における露光時の紫外線照射条件の位置的なバラツキを最小限に抑えることが可能になるからである。
本発明に係る対物レンズ35及び35Aの最も光源側の面S1にアパーチャ46を設ける構成にしたのは、アパーチャ46に対する対物レンズ35及び35Aの組み立て誤差を0にすると共に、レンズの周縁部を使用しないで、光学特性の良好な部分のみを使用するように制限することによって性能を安定化させることを目的としたものである。
本発明に係る対物レンズ35及び35Aにおいて、複合型レンズ35d及び35d1は、設計次数が2次以上の高次回折光を使用するように構成することが望ましい。詳しくは後述するが、回折面S1dは断面形状で階段状をなす形状にすることが望ましい。
更に、対物レンズ35及び35Aは、0.5mm以上のレンズ最終面(最も像側の面)から像点までの距離、即ち、作動距離を有するようにされている。従来、開口数の大きな2群構成のレンズ、例えば、Solid Immersion Lens(SIL)においては、作動距離が0.1mm程度の場合があった。このように作動距離が短いと、対物レンズと光ディスクとの衝突を避け得ない等の問題があった。従って、本発明では、上述のように、レンズ最終面から像点までの作動距離を0.5mm以上に規定した。
次に、本発明に係る対物レンズ35及び35Aにおいて、レーザ光を回折限界まで集光するために必要な色消し(色収差の補正)の条件について説明する。
一般に、波長λ(nm)に対して±δ(nm)の範囲で波長が変化する光源に対して、屈折型レンズと回折型レンズとを組み合わせたレンズの色消し条件は次のように導かれる。
即ち、波長λ、λ+δ及びλ−δの時の硝材の屈折率をそれぞれ、N、N+δ、N−δとすると、波長λ±δの範囲における部分的なアッベ数(以下、「部分アッベ数」という。)νrは次の式11のように表わすことができる。
また、回折型レンズの部分アッベ数νdは、次の式12のようになる。
屈折型レンズ及び回折型レンズの焦点距離をそれぞれ、fr、fdとすると、これらの合成による合成レンズの焦点距離fは、次の式13の関係を有し、光軸上における像点の色消し条件は、数式14で表される。
従って、上記式13及び式14から、次の式15に示す、屈折型レンズの焦点距離frと回折型レンズの焦点距離fdがそれぞれ得られる。
なお、屈折型レンズの部分アッベ数νrはレンズ材質の屈折率によって決定され、回折型レンズの部分アッベ数νdはレーザ光の使用波長によって決定される。ここで、レンズ材質の屈折率が波長によって変化することを考慮すると、屈折型レンズの部分アッベ数νrは、レンズ材質とレーザ光の使用波長によって決定されるということができ、回折型レンズの部分アッベ数νdはレーザ光の使用波長のみによって決定されるということができる。
本発明に係る対物レンズ35のような屈折型レンズと回折型レンズとの複合レンズにおける軸上色消し条件は、レーザ光の使用波長λ、レーザ光の揺らぎ量、即ち波長の変動量δ、レンズの材質、入射レーザ光のビーム径及び開口数(NA)を決定することによって、一意に決定される。
従って、光学ピックアップ用の対物レンズの場合、レーザ光の設計波長、レーザ光のビーム径、対物レンズの開口数は固定されたパラメータとなるため、レンズの材質が決定されると、屈折及び回折複合レンズにおける軸上色消し条件が決定されることになる。例えば、NA=0.8、レーザ光のビーム径3mm、λ=410nm、δ=±10nmとし、屈折型レンズ35rの材質としてLAH53(株式会社オハラの商品名)を使用した場合、屈折型レンズ35rの焦点距離frは2.18mm、回折型レンズ35dの焦点距離fdは13.31mmとなる。
次に、本発明に係る対物レンズ35及び35Aの両面非球面単レンズである屈折型レンズ35rの形状について説明する。
単レンズの形状を定量的に表現する量として、一般的に、シェイプファクタqとポジションファクタpとがあり、これらの定義は、次の式16に示すとおりである。
上記式16において、r2、r3は単レンズ35rの第1面及び第2面の曲率半径をそれぞれ示し、s、s’は物点間距離及び像点間距離をそれぞれ示すものである。
ところで、本発明に係る対物レンズ35を構成する単レンズ35rは、シェイプファクタqの値が、±1の時は平凹レンズとなり、−1乃至1の時は両凸レンズ、そしてこれら以外の時はメニスカス形状となり、ポジションファクタpは、無限系のレンズの時はs=∞で、s’は焦点距離fと等しいためs’=−1となる。このため、3次の球面収差及びコマ収差はそれぞれ、シェイプファクタqの2次関数及び1次関数として表記することができる。3次の球面収差を極小にするシェイプファクタqをq_SA、3次のコマ収差を0にするシェイプファクタqをq_CMとすると、これらは次の式17に示すように表わすことができる。なお、nは硝材の屈折率である。
上記式17のq_SAを表す式をnに関する2次方程式として考えると、屈折率nが1.686以上の硝材を選択すると、常にq_SA>1となり、3次の球面収差を極小とするレンズ形状がメニスカス形状であることが導かれる。また、式17のq_CMを表わす式をnに関する2次方程式として考えると、屈折率nが1.618以上の硝材を選択すると、常にq_CM>1となり、3次のコマ収差を0にするレンズ形状がメニスカス形状であることが導かれる。
屈折率nを1.686以上の硝材を用いる場合、レンズ形状をメニスカス形状にすると3次の収差を最小にすることが可能になる。例として、高屈折率硝材である前出のLAH53(n=1.83)を使用すると、q_SAは1.237、q_CMは1.378となる。
従って、シェイプファクタqの値が1以上になって、レンズ形状は、上記のように3次の球面収差を極小にすることが可能で、コマ収差を0にすることも可能なメニスカス形状となる。
算出したそれぞれのシェイプファクタq_SA及びq_CMとレンズメーカの公式を用いて、レンズの第1面及び第2面の曲率半径r2及びr3は、シェイプファクタq、焦点距離f及び硝材の屈折率nを用いて次の式18のように表わすことができる。
従って、対物レンズ35に用いる屈折型レンズ35rは、上記式18を用いて各面の曲率半径を求め、ベンディングにより各値を決定することになる。
次に、金型52の転写面にダイヤモンドバイトを用いた旋盤での切削加工によって屈折面に回折面が付加されてなる複合面の転写形状を作成し、この転写形状を樹脂層40に転写することによって形成される対物レンズ35の複合面S1及び35Aの複合面S1、S4の形状について説明する。なお、以下の説明は、本発明に係る対物レンズ35及び35Aの複合面S1の形成過程についての説明であるが、対物レンズ35Aの複合面S4の形成過程も複合面S1の転写形状の形成過程と基本的には同一であるので、対物レンズ35Aの複合面S4の転写形状の形成過程についての説明は省略する。
図13に複合面S1の転写形状の作成の様子を示すように、金型材料であるブランク23を旋盤の回転軸24を中心として矢印Sの方向に回転させ、ダイヤモンドバイト(以下、単に「バイト」という。)56を上下させながら矢印T方向に移動させると、転写面52aに屈折面に回折面形状(回折格子形状)が付加された複合面が形成された金型52が作成される。
図14A乃至図14Eは、バイト56の先端部56aの形状と、バイト56によってそれぞれ曲率半径の異なる正の屈折力を有する非球面のベース面上に回折面を作成した複合面を有する金型の転写形状を拡大して示すものである。
即ち、図14Aは、金型52Aの転写面52Aa上に、正の屈折力を有する屈折面59rをベース面として正の屈折力を有する回折面59dを付加してなる複合面(転写形状)59をバイト56によって切削加工する際の断面形状を示すものである。この複合面59においては、屈折面59rの傾きの方向と回折面59dの傾きの方向とが同一であり、複合面59のブレーズ角度θが鋭角となるため、厳密には尖った形状にすることが不可能なバイト56の先端部56aによって切削不能部分60ができてしまう。
図14Bは、金型52Bの転写面52Ba上に、屈折力が0の平面である屈折面61rをベース面として正の屈折力を有する回折面61dを付加してなる複合面(転写形状)61をバイト56によって切削加工する際の断面形状を示すものである。この複合面61においても、ブレーズ角度θが鋭角となるため、バイト56の先端部56aによって切削不能部分60ができてしまう。
また、図14Cは、金型52Cの転写面52Ca上に、負の屈折力を有する屈折面62rをベース面として正の屈折力を有する回折面62dを付加してなる複合面(転写形状)62をバイト56によって切削加工する際の断面形状を示すものである。この複合面62においては、屈折面62rの傾きの方向と回折面62dの傾きの方向とは逆向きとなるが、回折面62dの傾きの方がより大きいため、複合面62のブレーズ角度θが鋭角となって、バイト56の先端部56aによって切削不能部分60ができてしまう。
図14Dは、金型52Dの転写面52Da上に、負の屈折力を有する屈折面63rをベース面として正の屈折力を有する回折面63dを付加してなる複合面(転写形状)63をバイト56によって切削加工する際の断面形状を示すものである。この複合面63においては、屈折面63rの傾きの方向と回折面63dの傾きの方向とが逆向きであり、複合面63のブレーズ角度θが直角となるため、ブレーズ形状を全て切削することが可能になって、バイト56の先端部56aによる切削不能部分ができることがない。
更に、図14Eは、金型52Eの転写面52Ea上に、負の屈折力を有する屈折面64rをベース面として正の屈折力を有する回折面64dを付加してなる複合面(転写形状)64をバイト56によって切削加工する際の断面形状を示すものである。この複合面64においても、屈折面64rの傾きの方向と回折面64dの傾きの方向とが逆向きとなり、回折面64dの傾きの方が屈折面64rの傾きよりも小さく、複合面64のブレーズ角度θが鈍角となるため、ブレーズ形状を全て切削することが可能になって、バイト56の先端部56aによる切削不能部分ができることがない。
図15は、回折面の回折角が一定の時の設計次数と、図16に示す一定の周期Lを有するブレーズ形状65のバイト56による切削不能部分60の削り残しの量(幅)bと、回折効率(b=0の時を100とした時の比率で表す)との関係を示す図である。なお、図16は、レーザ光の波長は405μm、ブレーズの最小幅を2μmとした時の1次回折光の回折角である11.7°を目安として回折効率を計算した結果である。
即ち、図15において、削り残し幅が0μmの場合では次数に関係なく回折効率は100%であるが、例えば、削り残し幅が1μmの場合は1次光の回折効率Aが40%以下となる。従って、このような状況下で回折効率を90%以上とするためには、設計次数を10次以上にする必要があることが分かる。
なお、図15中Bは、2次光の回折効率であり、図15中Cは、5次光の回折効率であり、図15中Dは、10次光の回折効率である。
このため、図14A乃至14Cに示した複合面59、61及び62のように切削不能部分60が発生する複合面の場合では、必要となる回折角と、金型52の転写面22aの加工に使用するバイト56の先端部56aの形状に伴う切削不能部分60の削り残し幅に応じた次数の高次の回折光を使用する設計が必要となる。
一方、図14D及び14Eに示した複合面63及び64のように切削不能部分が発生しない形状の回折面を有する場合では、必要となる回折角に対し、バイト56の先端部56aの形状や回折光の次数に対する制約が無くなる。特に、図14Dに示すように、複合面64がブレーズ角度θが直角の階段形状の回折面64dを有する場合には、複合面64の中心付近から最外周部分に至るまで各ブレーズの同じ部分の面同士が平行となるため、加工及び形状の評価が容易になるという利点を有する。
次に、本発明に係る対物レンズ35、35Aの、複合型レンズ35d、35d1の表面である複合面S1、S4に形成された、周期が基準波長(405nm)の1/2程度で振幅が基準波長の1/2程度の周期構造を有する同心円状の微細な凹凸形状について説明する。
前述した図13に示すように、金型52は、ブランク53を旋盤の回転軸54を中心として矢印S方向に回転させ、ブランク53に対してバイト56を上下させながら矢印T方向に移動させて転写面52aを切削することによって作成される。
そして、図17に金型52の転写面52aに作成される対物レンズ35及び35Aの複合面S1又はS4のブレーズ転写形状を拡大して示すように、破線で示す理想的ブレーズ形状(転写形状)65Aに沿ってバイト56を連続的に移動させて転写面52aの切削を行うと、理想的ブレーズ形状65Aとの加工誤差として切削不能部分66及び引き目構造67が形成されたブレーズ転写形状が作成される。
図18Aは、バイト56がブレーズの最下点を削っている様子を示すものである。即ち、回転するブランク53に対しバイト56は理想的ブレーズ形状65Aに沿って移動し、そして、バイト56による加工途中の断面形状68では、バイト56の下部に切削不能部分66が残ることになる。
図18Bは、図18Aに示す状態からブランク53が一回転した後に、バイト56がブレーズ最下点付近を削っている様子を示すものである。バイト56は理想的ブレーズ形状65Aに沿って移動し、ブランク53は一定速度で回転しているため、1回転毎のバイト56の切削跡は微視的に見ると連続とはならず、引き目構造67が形成される。従って、金型成形によって引き目構造67が対物レンズに転写されることによって、図17に二点鎖線で金型の転写形状による対物レンズのブレーズ形状を拡大して示すように、対物レンズの複合面の表面には微細な凹凸形状69が形成される。
ところで、図19は、引き目構造37が転写されて凹凸形状69が形成された対物レンズの複合面の透過及び反射の様子を拡大して示すものである。レーザ光70は一部が表面で乱反射されて反射光70a,70a,・・・なって透過率を減少させると共に、透過光71も凹凸形状69の面形状によって予想外の方向に屈折されて迷光71a,71a,・・・等を生じてしまい、凹凸形状69が形成された面の透過率を更に悪化させることになる。対物レンズ35及び35Aの複合面S1、S4は、金型52の引き目構造67が転写されて凹凸形状69が形成されてしまうにも関わらず、ブレーズ形状(回折光学素子)が形成されているため研磨することが不可能である。
従って、本発明に係る対物レンズ35及び35Aにおいては、金型52の転写面52aの加工時において、金型52の材料であるブランク53に対するバイト56の移動を最適にコントロールすることによって、引き目構造67を、周期が基準波長の1/2程度で振幅が基準波長の1/2程度の周期構造を有する同心円状に形成し、引き目構造67が複合面S1又はS4の表面に転写されることによって形成される凹凸形状69が上記周期及び振幅を有するようにしたものである。なお、凹凸形状69の向きは、ブレーズ転写形状の向きと一致、即ち、各ブレーズの形状と凹凸形状の斜面の向きを略一致させて相似形にすることが望ましい。
図20及び図21は、凹凸形状69を上述したような周期と振幅とを有するようにした経緯を説明するためのものである。
図20は、引き目構造の転写形状である凹凸形状の周期を使用波長と同程度の構造である0.5μmにした時において、凹凸形状の振幅(高さ)と透過率との関係を示す図である。比較のため、本発明に使用する青色レーザBu(波長405nm)入射する場合と、従来から用いられている赤色レーザRe(波長650nm)を入射する場合の計算結果を併記してある。
図21は、引き目構造の転写形状である凹凸形状の周期を使用波長の1/2程度の構造である0.2μmにしたときにおいて、凹凸形状の振幅(高さ)と透過率との関係を示す図である。比較のため、本発明に使用する青色レーザBu(波長405nm)を入射する場合と、従来から用いられている赤色レーザRe(波長650nm)を入射する場合の計算結果を併記してある。
凹凸形状の周期0.5μmは、赤色レーザRe(波長650nm)を基準に換算すると、波長以下の構造を取るが、青色レーザBu(波長405nm)を基準に換算すると、波長程度又はそれ以上の構造を取ることになる。
一方、凹凸形状の周期0.2μmは、赤色レーザRe(波長650nm)を基準に換算しても、青色レーザBu(波長405nm)を基準に換算しても波長の1/2以下または同程度の構造を取ることになる。
即ち、図20に示す凹凸形状の周期0.5μmの表面に対し、青色レーザBu(波長405nm)を入射した場合、振幅(高さ)が大きくなるとこれに伴い透過率が低下する。使用波長と同程度である0.5μmの振幅(高さ)になると透過率が30%以下になる。
同様の面に対し、赤色レーザRe(波長650nm)を入射した場合、振幅(高さ)が0から波長程度の範囲であれば、高さに関係なく透過率は85%程度以上となる。
また、図21に示す凹凸形状の周期0.2μmの表面に対し、青色レーザBu(波長405nm)を入射した場合と、同様の面に対し、赤色レーザRe(波長650nm)を入射した場合、振幅(高さ)が0から各波長程度の範囲にあれば、高さに関係なく透過率は95%程度以上となる。
更に、振幅(高さ)を波長の1/2から波長と同程度の範囲に制御すれば、反射防止効果を持った表面となる。
なお、金型52の転写面52aへ屈折面に回折面を組み合わせてなる複合面の転写形状を形成する方法は、上述した旋盤とバイト56を用いて切削によって形成する方法の他に、所謂エッチングによる方法、薄膜堆積法等の半導体の製造時に用いられるプロセスを用いることが可能である。
ところで、前述のように、対物レンズ35及び35Aの屈折型レンズである非球面単玉レンズ35rの形状は、高い屈折率を有する硝材を使用するため、メニスカス形状となる。このため、レーザ光の入射側の面に回折・屈折複合面を設ける場合、該複合面の形状は、ベース面が、曲率が大きく、正の屈折力を有するので、図14Aに示す複合面59の形状が転写された形状となる。また、対物レンズ35Aのように、レーザ光の出射側の面に回折・屈折複合面を設ける場合では、ベース面の曲率が比較的緩い負の屈折力を有する面であるため、図14C乃至14Eのうちのいずれかの複合面62,63,64の形状が転写された面となる。
以下に図14D及び図14Eに示す階段形状位相型回折格子の設計について説明する。
回折面のサグ量ASP(r)は、光学設計用ソフトウェア“CODEV”によって式19のように定義される。
上記式19において、k=−1とすると、2次の係数がc/2となり式20に示す偶数次のみの多項式となる。
一方、複合面S2の回折面S2dの位相分布Φ(r)は式21に示すような偶数次のみの多項式で定義される。
従って、光学設計までは式21のように、位相を連続的に変化する関数として取り扱う。
そして、回折面の表面形状設計では、位相の周期性を利用して、位相周期から整数倍の周期を差し引いた残りの位相を新たな位相分布とするため、回折面の形状が離散的なブレーズ形状となる。このブレーズ型の離散的な位相を、実際の材質の厚みとして換算するため、回折面の表面は離散的なブレーズ形状で、その高さは波長の整数倍の位相差を与える厚み量となる。
図22は、非球面の断面形状と、回折面の断面形状を説明するための図である。非球面の断面形状ASP_Sagは、上記式20によるものであり、回折面の断面形状DOE_Sagは式21によるものである。回折面の位相を、屈折面のサグ量と同じ次元にするには、屈折率差で位相を割り算する。
図23は、屈折・回折複合面の形状を説明するための図である。屈折及び回折複合面のサグ量をSag(r)とすると、次の式22のように表記することができる。
上記式22において、Sag(r)=0となれば、位相は完全な平面となるため、入射した光に対し何の影響も及ぼすことなく、光を出射させることになる。この場合の回折面の形状は、波長の整数倍の位相を与える厚み量を1段とする垂直な階段形状になる。即ち、Sag(r)=0の解は、次の式23に示すように、各次数の係数を相殺して0にするように選べばよいことになる。
なお、2次の係数は、近軸領域で屈折面と回折面のそれぞれの屈折力が相殺されて0となっていることを意味する。
以上に説明したように、本発明に係る対物レンズ35及び35Aは、以上に記載した各条件をレンズの初期設定としてベンディング及び非球面係数の最適化によって設計することが可能である。
最後に、本発明に係る対物レンズ35及び35Aを具体化した数値例を示す。
図24は、対物レンズ35の数値例のレンズ構成を示すものである。
本数値例においては、屈折型レンズ35rの硝材には、LAH53が用いられている。なお、対物レンズ35と像面(光ディスク100の記録層)との間には、ポリカーボネート製の保護カバー42が配設されている。
ところで、保護カバー42の厚みは、0.3mm以下であることが望ましい。この対物レンズ35の数値例と後述する対物レンズ35Aの数値例は、保護カバー42の厚みを0.1mmとして設計したものである。これは、保護カバー42の厚みが0.3mm以上であると、補正が困難になるほどの球面収差が発生してしまうが、保護カバー42が0.3mm以下の場合には球面収差の発生を抑えることができるからである。
以下の表3に対物レンズ35の数値例の各数値を示す。なお、前述のように、「ri」は光源側から数えてi番目の面Siの曲率半径、「di」は光源側から数えてi番目とi+1番目の面との間の光軸上における面間隔を示すものである(以下の表5においても同様)。
表4に対物レンズ35の数値例の複合面である第1面S1(回折面S1d及び屈折面S1r)、第2面S2及び第3面S3の円錐定数k及び4次乃至20次の非球面係数A乃至Jを示す。なお、表2中の「E」は、10を底とする指数表現を表わすものとする(後述する同種の表においても同様)。
図25Aに記数値例における球面収差を示し、図25Bに非点収差を示し、図25Cに歪曲収差を示す。なお、各収差図において、実線は405nm、破線は403nm、一点鎖線は407nmにおける値をそれぞれ示すものであり、非点収差図において、太線はサジタル像面、細線はタンジェンシャル像面における値を示すものである(後述する同種の図おいても同様)。また、上記数値例における回折基準波長は405nm、設計次数Nは10次であり、設計波長は405nm(403nm乃至407nm)、開口数は0.85である。図25A乃至図25Cの各収差図に示すように、上記数値例においては、対物レンズ35の色収差が効果的に補正されていることが判る。
図26は、本発明に係る他の例の対物レンズ35Aの数値例のレンズ構成を示すものである。
本数値例においては、屈折型レンズ35rの硝材には、上述した対物レンズ35の場合と同様に、前出のLAH53が用いられている。また、第2レンズL2と像面(光ディスク100の記録層)との間には、ポリカーボネート製の保護カバー42が配設されている。
以下の表5に対物レンズ35Aの数値例の各数値を示す。
表6に対物レンズ35Aの数値例の複合面である第1面S1(回折面S1d及び屈折面S1r)、第2面S2、第3面S3及び複合面である第4面S4(回折面S4d及び屈折面S4r)の円錐定数k及び4次乃至10次の非球面係数A乃至Dを示す。
図27Aに上記数値例における対物レンズ35Aの球面収差を示し、図27Bに非点収差を示し、図27Cに歪曲収差を示す。回折基準波長は405nm、第1面回折面S1dの設計次数Nは10次、第4面回折面S4dの設計次数Nは1次であり、設計波長は405nm(403nm乃至407nm)、開口数(NA)は0.85である。図27A乃至図27Cの各収差図に示すように、上記数値例における対物レンズ35Aにおいても、色収差が効果的に補正されていることが判る。
本発明に係る対物レンズ35は、前述のような構成とすることによって、レーザ発光素子37からのレーザ光の波長が変化しても軸上色収差を略ゼロにすることが可能となり、必要な開口数を維持したまま、作動距離を大きく取ることも可能となると共に、ベース面の曲率を小さく抑えることができるため、ブレーズ形状の加工が容易になる。
また、本発明に係る他の例の対物レンズ35Aも前述のような構成とすることによって、上述の対物レンズ35における効果に加えて、像高特性を更に向上させることが可能になる。他の例の対物レンズ35Aにおいては、複合面S4の回折面S4dは、断面形状で階段形状となるようにされているので、複合面S4の外周部分においても回折効率が低下しないという利点を有する。
本発明に係る対物レンズ35及び35Aは、±2nm波長の変動に対し色収差を0.01μm/nm程度に収めることができるため、光学ピックアップ及びディスクドライブ装置において、情報の記録及び再生を安定して行うことが可能になると共に、回折限界までレーザ光のスポット径を絞り込むことができるので、トラックピッチを狭くすることによって情報の記録密度を高めた規格の光ディスクに対応した十分な性能を持つことが可能となる。
本発明に係る対物レンズ35及び35Aにおいては、屈折型レンズ35rにガラス製の単玉レンズを使用したので、部品点数の削減及び小型及び軽量化が可能になり、光学ピックアップへの組付時においては組み立てを容易することが可能になる。
本発明に係る対物レンズ35、35Aは、最も光源側に位置する面に金属等の薄膜からなるアパーチャを設けることによって、レンズ周縁部を使用しないで光学特性の良好な部分のみを使用するように制限して、レンズ組み立て時における製造誤差を抑制し、性能を安定させることが可能になる。
今後の光ディスクの主流となる書き込み可能な光ディスクに対応したレーザパワーの大きな、即ち、レーザパワーを変動させてレーザノイズを低減する手段を備えた光学ピックアップに本発明対物レンズ35及び35Aを採用することにより、高密度記録情報の再生及び記録性能を向上させることも可能になる。
更に、本発明に係る対物レンズ35及び35Aにおいては、金型52の転写面22aの加工時において、金型52の材料であるブランク23に対するバイト56の移動を最適にコントロールすることによって、上記引き目構造37を、周期が基準波長の1/2程度で振幅が基準波長の1/2程度の周期構造を有する同心円状に形成し、引き目構造67が複合面S1又はS4の形状と共に転写されることによって、複合面S1又はS4の表面にブレーズ形状よりも更に微細な凹凸形状に形成したので、金型52の引き目構造67が転写されてしまうにも関わらず、研磨することが不可能な複合面S1又はS4における透過率を90%以上にすることが可能になる。
本発明に係る対物レンズを採用した光学ピックアップを用いることによって、高密度記録情報の再生及び記録性能が向上したディスクドライブ装置を提供することが可能になる。
なお、上述した各実施の形態において示した各部の具体的な形状及び構造は、いずれも本発明を実施するに際して行う具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明が限定的に解釈されるものではない。
産業上の利用可能性
上述したように、本発明に係る対物レンズ、この対物レンズを用いた光学ピックアップ及びディスクドライブ装置は、420nm以下を基準とする数nm以内の波長範囲に対して色収差を効果的に補正することによって、回折限界までレーザ光のスポット径を絞り込むことが可能になるので、トラックピッチを狭くすることによって情報の記録密度を高めた規格の光記録媒体に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
図1は、従来の光学ピックアップに用いられる対物レンズを示す側面図である。
図2Aは、図1に示す対物レンズの球面収差を示す特性図であり、図2Bは、非点収差を示す特性図、図2Cは、歪曲収差を示す特性図である。
図3は、本発明が適用される光ディスク装置の外観を概略的に示す斜視図であり、図4は、光ディスク装置の内部構成を示す分解斜視図である。
図5は、本発明に係る光学ピックアップを示す側面図である。
図6は、本発明に係る対物レンズを示す縦断面図である。
図7は、回折型レンズにおけるブレーズの最小線幅wと焦点距離fdとの関係を示す特性図である。
図8は、屈折型レンズを構成する硝材の部分アッベ数と焦点距離及び回折型レンズの焦点距離との関係を表すグラフである。
図9Aは本発明に係る対物レンズの球面収差を示し、図9Bは非点収差を示し、図9Cは歪曲収差を示す特性図である。
図10は、本発明に係る光学ピックアップの他の例を示す側面図である。
図11は、本発明に係る対物レンズの他の例を示す縦断面図である。
図12は、本発明に係る対物レンズの更に他の例を示す縦断面図である。
図13は、ダイヤモンドバイトを使用した機械切削加工によるブレーズ型回折面の作成を説明する概略斜視図である。
図14A乃至図14Eは、ダイヤモンドバイトを使用した機械切削加工によるブレーズ型回折面の作成を説明するための概略縦断面図である。
図15は、ダイヤモンドバイトを使用した機械切削加工によるブレーズ型回折面の作成時における削り残し部分の幅と回折効率との関係を示す図である。
図16は、図15に示す数値を計算する際に使用したブレーズ型回折面を示す概略縦断面図である。
図17は、ダイヤモンドバイトを使用した機械切削加工によるブレーズ型回折面の作成時における引き目構造を示す概略縦断面図である。
図18A及び図18Bは、ダイヤモンドバイトを使用した機械切削加工によるブレーズ型回折面の作成途中の様子を示す概略縦断面図である。
図19は、引き目構造を有する面における入射光及び出射光の様子を説明するための概略図である。
図20は、波長程度の一定周期を持つ凹凸形状の表面に対する、構造の振幅(高さ)と透過率の関係を示す図である。
図21は、波長の1/2程度の一定周期を持つ凹凸形状の表面に対する、構造の振幅(高さ)と透過率の関係を示す図である。
図22は、回折面及び屈折面におけるそれぞれのレンズの半径方向とサグ量との関係を示す図である。
図23は、回折面と屈折面とを組み合わせた複合面におけるレンズの半径方向とサグ量との関係を示す図である。
図24は、本発明光学ピックアップ用対物レンズの数値例のレンズ構成を示す図である。
図25Aは本発明に係る他の例の対物レンズの球面収差を示し、図25Bは非点収差を示し、図25Cは歪曲収差を示す特性図である。
図26は、本発明に係る光学ピックアップ用対物レンズの更に他の例の数値例のレンズ構成を示す図である。
図27Aは本発明に係る更に他の例の対物レンズの球面収差を示し、図27Bは非点収差を示し、図27Cは歪曲収差を示す特性図である。
Claims (27)
- 物体側より順に、非球面からなる第1面と非球面からなる第2面とを有し、少なくともいずれか一方の面に回折面を含む樹脂層と、
上記非球面からなる第2面と非球面からなる第3面とを有するガラス製のレンズとによって構成され、
基準波長が420nm以下で、且つ、上記基準波長の数nm以内の波長範囲に対して、光軸上の像面における色収差が補正されていると共に、0.8以上の開口数を有することを特徴とする光学ピックアップ用対物レンズ。 - 上記第1面が回折面を含むことを特徴とする請求の範囲第1項記載の光学ピックアップ用対物レンズ。
- 上記第2面が回折面を含むことを特徴とする請求の範囲第1項記載の光学ピックアップ用対物レンズ。
- 上記第3面から像点までの作動距離が0.5mm以上であることを特徴とする請求の範囲第1項記載の光学ピックアップ用対物レンズ。
- 上記回折面を含む第1面又は第2面のいずれか一方は、非球面係数の値を有する請求の範囲第4項記載の光学ピックアップ用対物レンズ。
- 第1面及び第2面は、同一のベース曲率及び非球面係数を有する非球面であることを特徴とする請求の範囲第5項記載の光学ピックアップ用対物レンズ。
- 上記第1面又は上記第2面が回折面とされた樹脂層は、透過位相型であると共に、上記第1面又は上記第2面がブレーズ形状で構成されていることを特徴とする請求の範囲第6項記載の光学ピックアップ用対物レンズ。
- 上記第1面の外周側にアパーチャが設けられていることを特徴とする請求の範囲第1項記載の光学ピックアップ用対物レンズ。
- 上記回折面は、設計次数が2次以上とされたことを特徴とする請求の範囲第1項記載の光学ピックアップ用対物レンズ。
- 上記樹脂層は、0.1mm以下の厚みを有することを特徴とする請求の範囲第1項記載の光学ピックアップ用対物レンズ。
- 上記ガラス製のレンズは、420nm以下の波長の光に対する屈折率が1.65以上の硝材により形成されていることを特徴とする請求の範囲第1項記載の光学ピックアップ用対物レンズ。
- 上記ガラス製のレンズは、メニスカス形状であることを特徴とする請求の範囲第1項記載の光学ピックアップ用対物レンズ。
- 上記回折面が形成された第1面又は第2面の表面に、周期が基準波長のほぼ1/2で振幅が基準波長のほぼ1/2の周期構造を有し、上記回折面の凹凸形状よりも微細な同心円状の凹凸形状が形成されたことを特徴とする請求の範囲第1項記載の光学ピックアップ用対物レンズ。
- 上記第3面と像面との間に0.3mm以下の厚みを有する保護カバーが配置されると共に、上記保護カバーに起因する球面収差を補正するようにされていることを特徴とする請求の範囲第1項記載の光学ピックアップ用対物レンズ。
- 上記対物レンズは、更に、上記非球面から成る第3面と非球面から成る第4面とを有し、少なくともいずれか一方の面に回折面を含む樹脂層を備えることを特徴とする請求の範囲第1項記載の光学ピックアップ用対物レンズ。
- 上記第3面が回折面を含むことを特徴とする請求の範囲第15項記載の光学ピックアップ用対物レンズ。
- 上記第4面が回折面を含むことを特徴とする請求の範囲第15項記載の光学ピックアップ用対物レンズ。
- 上記第3面又は上記第4面が回折面とされた樹脂層は、透過位相型であると共に、上記第3面又は上記第4面がブレーズ形状で構成されていることを特徴とする請求の範囲第15項記載の光学ピックアップ用対物レンズ。
- レーザ光を出射するレーザ発光素子と、レーザ光を光記録媒体の記録層に集光させる対物レンズと、レーザ光を受光する受光素子と、上記レーザ発光素子から出射されたレーザ光を対物レンズに入射させると共に光記録媒体の記録層で反射され上記対物レンズを透過したレーザ光を受光素子に入射させる光学素子とを有する光学ピックアップであって、
上記対物レンズは、物体側より順に、非球面からなる第1面と非球面からなる第2面とを有し、少なくともいずれか一方の面に回折面を含む樹脂層と、上記非球面からなる第2面と非球面からなる第3面とを有するガラス製のレンズとによって構成され、基準波長が420nm以下で、且つ、上記基準波長の数nm以内の波長範囲に対して、光軸上の像面における色収差が補正されていると共に、0.8以上の開口数を有することを特徴とする光学ピックアップ。 - 上記第3面から像点までの作動距離が0.5mm以上であることを特徴とする請求の範囲第19項記載の光学ピックアップ。
- 上記第3面と像面との間に0.3mm以下の厚みを有する保護カバーが配置されると共に、上記対物レンズは、上記保護カバーに起因する球面収差を補正するようにされていることを特徴とする請求の範囲第19記載の光学ピックアップ。
- 上記レーザ発光素子は、波長を420nm以下とするレーザ光を出射することを特徴とする請求の範囲第19項記載の光学ピックアップ。
- 上記対物レンズは、更に、上記非球面から成る第3面と非球面から成る第4面とを有し、少なくともいずれか一方の面に回折面を含む樹脂層を備えることを特徴とする請求の範囲第19記載の光学ピックアップ。
- 回転するディスク状をなす光記録媒体に対し、上記光記録媒体の半径方向に移動自在とされた光学ピックアップによって情報の記録及び再生を行うディスクドライブ装置であって、
上記光学ピックアップは、420nm以下の波長のレーザ光を出射するレーザ発光素子と、レーザ光を光記録媒体の記録層に集光させる対物レンズと、レーザ光を受光する受光素子と、上記レーザ発光素子から出射されたレーザ光を対物レンズに入射させると共に光記録媒体の記録層で反射され上記対物レンズを透過したレーザ光を受光素子に入射させる光学素子とを有し、
上記対物レンズは、物体側より順に、非球面からなる第1面と非球面からなる第2面とを有し、少なくともいずれか一方の面に回折面を含む樹脂層と、上記非球面からなる第2面と非球面からなる第3面とを有するガラス製のレンズとによって構成され、基準波長が420nm以下で、且つ、上記基準波長の数nm以内の波長範囲に対して、光軸上の像面における色収差が補正されていると共に、0.8以上の開口数を有することを特徴とするディスクドライブ装置。 - 上記第3面から像点までの作動距離が0.5mm以上であることを特徴とする請求の範囲第24項記載のディスクドライブ装置。
- 上記第3面と像面との間に0.3mm以下の厚みを有する保護カバーが配置されると共に、上記対物レンズは、上記保護カバーに起因する球面収差を補正するようにされていることを特徴とする請求の範囲第24記載のディスクドライブ装置。
- 上記対物レンズは、更に、上記非球面から成る第3面と非球面から成る第4面とを有し、少なくともいずれか一方の面に回折面を含む樹脂層を備えることを特徴とする請求の範囲第24項記載のディスクドライブ装置。
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