JPWO2002096853A1 - アラルキルアミン誘導体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、アラルキルアミン誘導体の新規な製造方法に関する。本発明により得られるアラルキルアミン誘導体は、例えば医薬、農薬等の生理活性物質を製造するための中間体等として有用である。
背景技術
3,5−ビストリフルオロメチルベンジルアミンを始めとするアラルキルアミン誘導体は、医薬・農薬等の生理活性物質を製造するための中間体等として有用であることが知られている。
このような3,5−ビストリフルオロメチルベンジルアミンに代表されるアラルキルアミン(例えばベンジルアミン)誘導体の製造方法としては、3,5−ビストリフルオロメチルベンゾニトリルを接触水素添加する方法(特開2000−256281号公報)や、3,5−ビストリフルオロメチルベンズアルデヒドのオキシムを接触水素添加する方法(特開2000−273069号公報)が知られている。
これらのうち、前者(特開2000−256281号)の方法では、原料の3,5−ビストリフルオロメチルベンゾニトリルの合成において、対応するクロル体である3,5−ビストリフルオロメチル−1−クロロベンゼンのシアノ化の収率が低いため(WO98/37058号公報)、この原料を工業的規模で調達する点において難点があった。接触水添反応におけるジベンジルアミン誘導体の副生を抑えるために、この前者の方法においては、液体アンモニア中で反応させ、且つ、工業的スケールでの実施において爆発の危険のあるテトラヒドロフラン溶媒を使用している。
他方、上述した後者(特開2000−273069号)の方法においては、反応系に塩化水素ガスを共存させ、しかも水素圧1.013MPa(10気圧)の高圧条件で行うことが必要とされている。したがって、これら何れの方法も工業的スケールにおける実施に際しては、それらの反応における危険性を考慮して、特殊な設備や材質を使用することが避けがたかった。
上述したように、従来技術においては、3,5−ビストリフルオロメチルベンジルアミンに代表されるアラルキルアミン誘導体に関して、簡便なプロセスを用いる製造方法は存在しなかった。より具体的には、アラルキルアミン誘導体に関しては、工業的スケールにおける実施が容易で、且つ安全な(すなわち、工業的スケールにおいても、特殊な設備や材質を必須としない)製造方法は存在しなかった。
発明の開示
本発明の目的は、簡便なプロセスを用いるアラルキルアミン誘導体の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、工業的スケールにおける実施が可能で、且つ安全な(すなわち、工業的スケールにおいても、特殊な設備や材質を必須としない)アラルキルアミン誘導体の製造方法を提供することにある。
本発明者は鋭意研究の結果、出発原料たる芳香族アルデヒド誘導体を、カルバミド酸エステル類とトリクロロシランを用いる還元的アミノ化反応に供することにより、高選択的にアラルキルカルバミド酸エステル誘導体および/又はアラルキルアミン誘導体が得られることを見出した。本発明者は更に研究を進めた結果、必要に応じてこのアラルキルカルバミド酸エステル誘導体を脱保護することにより、アラルキルアミン誘導体を高純度に製造できることを見出した。
本発明のアラルキルアミン誘導体の製造方法は、上記知見に基づくものであり、より詳しくは、一般式(1)
Ar−CHO (1)
(式中、Arは芳香族基を示す)で表される芳香族アルデヒド誘導体に、トリクロロシラン存在下で、一般式(2)
NH2COOR (2)
(式中、Rはアルキル基、又はアラルキル基を示す)で表されるカルバミド酸エステルを反応させて、一般式(3)
Ar−CH2NH−B (3)
(式中、Arは芳香族基を示し、Bは水素原子または−COOR基を示し、Rはアルキル基、又はアラルキル基を示す)で表されるアラルキルアミン誘導体を得るものである。
本発明の好適な一態様によれば、一般式(4)
(式中、Xはアルキル基、又はハロゲン原子を示し、lは0〜5の整数を示し、mは0〜5の整数を示し、m+lは5以下であり、mが2以上の時、Xは同一でも異なっていてもよい)で表されるベンズアルデヒド誘導体に、トリクロロシラン存在下で、一般式(2)
NH2COOR (2)
(式中、Rはアルキル基、又はアラルキル基を示す)で表されるカルバミド酸エステルを反応させて、一般式(5)
(式中、Bは水素原子または−COOR基を示し、Rはアルキル基、又はアラルキル基を示し、Xはアルキル基、又はハロゲン原子を示し、lは0〜5の整数を示し、mは0〜5の整数を示し、m+lは5以下であり、mが2以上の時、Xは同一でも異なっていてもよい)で表されるベンジルアミン誘導体が得られる。
上記構成を有する本発明のアラルキルアミン誘導体の製造方法において、出発原料たる芳香族アルデヒド誘導体は一般に工業的に高収率で入手することが容易である。加えて、この芳香族アルデヒド誘導体の還元的アミノ化反応に供するための反応試薬たるカルバミド酸エステル類とトリクロロシランも、共に工業的に入手容易である。また本発明の製造方法における製造中間体の一態様であるN−ベンジルカルバミド酸エステル誘導体は、上記アラルキルアミン誘導体の製造方法において有用であるのみならず新規化合物である。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明を詳細に説明する。以下の記載において量比を表す「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準とする。
(アラルキルアミン誘導体の製造方法)
本発明のアラルキル誘導体の製造方法においては、上記した一般式(1)
Ar−CHO (1)
(式中、Arは芳香族基を示す)で表される芳香族アルデヒド誘導体に、トリクロロシラン存在下で、一般式(2)
NH2COOR (2)
(式中、Rはアルキル基、又はアラルキル基を示す)で表されるカルバミド酸エステルを反応させて、一般式(3)
Ar−CH2NH−B (3)
(式中、Arは芳香族基を示し、Bは水素原子または−COOR基を示し、Rはアルキル基、又はアラルキル基を示す)で表されるアラルキルアミン誘導体を得る。
(芳香族基)
本発明においては、トリクロロシラン存在下において、上記一般式(2)で表されるカルバミド酸エステルとの反応が可能である(好ましくは、この反応が芳香族基Arに基づく立体障害および/又は電子的効果によって実質的に妨害されない)限り、芳香族基Arの種類、大きさ、ヘテロ原子の種類および/又は数、不飽和結合の数、置換基の数、等は、特に制限されない。すなわち、この芳香族基Arは多環式芳香族基であってもよく、また単環式芳香族基であってもよい。芳香族基Arは複素環(例えば、O,S,Nから選ばれる少なくとも1以上(好ましくは1〜3)のヘテロ原子を含む複素環)であってもよい。
該芳香族基としては、アルデヒド基(すなわちAr−CHOのCHO基)が結合すべき環としてベンゼン環を有するものが好ましい。
(多環式芳香族基)
芳香族基Arが多環式芳香族基である場合、該多環式芳香族基として使用可能な基の具体例を、以下に列挙する。
例えば、ナフチル基、ビフェニル基、ピリジルフェニル基、ビピリジル基、チエニルフェニル基、フラニルフェニル基、インドリル基、キノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾオキサゾリル基、フタラジニル基、キナゾリニル基等。
この多環式芳香族基Arは、入手容易性の点からは、ベンゼン核と、該ベンゼン環に結合ないし縮合した飽和または不飽和の炭素環または複素環であることが好ましい。このベンゼン環に結合ないし縮合した飽和または不飽和の炭素環または複素環は、3〜8員環(更には4〜7員環)であることが好ましい。Ar−CHOのアルデヒド基の反応性の点からは、ベンゼン環に結合ないし縮合した飽和または不飽和の炭素環または複素環は、ベンゼン環に対して、電子吸引性の効果を与えるものであることが好ましい。
(単環式芳香族基)
芳香族基Arが単環式芳香族基である場合、該単環式芳香族基として使用可能な基の具体例を、以下に列挙する。
例えば、置換基を有しても良い、フェニル基、ピロリル基、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、チエニル基、フラニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基等。
この単環式芳香族基Arは、入手容易性の点からは、ベンゼン核を基本とする基であることが好ましい。Ar−CHOのアルデヒド基の反応性の点からは、例えばベンゼン環に結合している置換基は、ベンゼン環に対して、電子吸引性の効果を与えるものであることが好ましい。
本発明においては、医薬、農薬等の生理活性物質に好適な中間体を与える点からは、単環式芳香族基Arは、特に、下記の一般式(4)で表されるものであることが好ましい。
(ベンジルアミン誘導体の製造方法)
本発明の一態様たるベンジルアミン誘導体の製造方法においては、上記した一般式(4)
(式中、Xはアルキル基、又はハロゲン原子を示し、lは0〜5の整数を示し、mは0〜5の整数を示し、m+lは5以下であり、mが2以上の時、Xは同一でも異なっていてもよい)で表されるベンズアルデビド誘導体に、トリクロロシラン存在下で、一般式(2)
NH2COOR (2)
(式中、Rはアルキル基、又はアラルキル基を示す)で表されるカルバミド酸エステルを反応させて、上記した一般式(5)
(式中、Bは水素原子または−COOR基を示し、Rはアルキル基、又はアラルキル基を示し、Xはアルキル基、又はハロゲン原子を示し、lは0〜5の整数を示し、mは0〜5の整数を示し、m+lは5以下であり、mが2以上の時、Xは同一でも異なっていてもよい)で表されるベンジルアミン誘導体を得ることができる。
(代表的な態様)
上記ベンジルアミン誘導体を得る際の本発明の代表的な態様を、以下の〔1〕〜〔4〕に示す。
〔1〕一般式(4)
(式中、Xはアルキル基、又はハロゲン原子を示し、lは0〜5の整数を示し、mは0〜5の整数を示し、m+lは5以下であり、mが2以上の時、Xは同一でも異なっていてもよい)
で表されるベンズアルデヒド誘導体に、酸存在下、トリクロロシランと一般式(2)
NH2COOR (2)
(式中、Rはアルキル基、又はアラルキル基を示す)
で表されるカルバミド酸エステルとを反応させて、一般式(5a)
(式中、Rはアルキル基、又はアラルキル基を示し、Xはアルキル基、又はハロゲン原子を示し、lは0〜5の整数を示し、mは0〜5の整数を示し、m+lは5以下であり、mが2以上の時、Xは同一でも異なっていてもよい)
で表されるN−ベンジルカルバミド酸エステル誘導体を製造した後、脱保護反応させて、一般式(6)
(式中、Xはアルキル基、又はハロゲン原子を示し、lは0〜5の整数を示し、mは0〜5の整数を示し、m+lは5以下であり、mが2以上の時、Xは同一でも異なっていてもよい)
で表されるベンジルアミン誘導体を得る態様。
〔2〕一般式(4)
(式中、Xはアルキル基、又はハロゲン原子を示し、lは0〜5の整数を示し、mは0〜5の整数を示し、m+lは5以下であり、mが2以上の時、Xは同一でも異なっていてもよい)
で表されるベンズアルデヒド誘導体に、酸存在下、トリクロロシランと一般式(2)
NH2COOR (2)
(式中、Rはアルキル基、又はアラルキル基を示す)
で表されるカルバミド酸エステルとを反応させて、一般式(5)
(式中、Rはアルキル基、又はアラルキル基を示し、Xはアルキル基、又はハロゲン原子を示し、lは0〜5の整数を示し、mは0〜5の整数を示し、m+lは5以下であり、mが2以上の時、Xは同一でも異なっていてもよい)
で表されるN−ベンジルカルバミド酸エステル誘導体を得る態様。
〔3〕一般式(7)
(式中、nは1〜5の整数を示す)
で表されるトリフルオロメチルベンズアルデヒド誘導体に、酸存在下、トリクロロシランと一般式(2)
NH2COOR (2)
(式中、Rはアルキル基、又はアラルキル基を示す)
で表されるカルバミド酸エステルとを反応させて、一般式(8)
(式中、Rはアルキル基、又はアラルキル基を示し、nは1〜5の整数を示す)で表されるN−ベンジルカルバミド酸エステル誘導体を製造した後、脱保護反応させて、一般式(9)
(式中、nは1〜5の整数を示す)
で表されるトリフルオロメチルベンジルアミン誘導体を得る態様。
〔4〕一般式(10)
(式中、R’はアルキル基を示し、nは1〜5の整数を示す)
で表されるN−ベンジルカルバミド酸エステル誘導体。
以下、ベンジルアミン誘導体を得る本発明の態様を中心に説明する。
(第1の態様)
まず、上記第1の態様について説明する。この第1の態様においては、一般式(4)で表されるベンズアルデヒド誘導体に、酸存在下、トリクロロシランと一般式(2)で表されるカルバミド酸エステルとを反応させて、一般式(5)(B=COOR)で表されるN−ベンジルカルバミド酸エステル誘導体を製造する(以後、この反応を「還元的アミノ化反応」と記載することがある)。その後、このN−ベンジルカルバミド酸エステル誘導体をアミノ基の脱保護反応(以下、本明細書では、一般式(5)で表されるN−ベンジルカルバミド酸エステル誘導体中のウレタン構造を分解することによって1級アミノ基を生成する反応のことを単に「脱保護反応」と記載することがある)に供して、一般式(6)で表されるベンジルアミン誘導体を得る。
(ベンズアルデヒド誘導体)
本発明の一態様において原料として用いるべき、一般式(4)で表されるベンズアルデヒド誘導体について説明する。
上記した一般式(4)中、Xはアルキル基、又はハロゲン原子を示す。Xがアルキル基である場合、該アルキル基は、入手の容易性の点からは、炭素数1〜6(以下、置換基の炭素数に関しては、この場合には「C1〜C6」の様に略記する)の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であることが好ましい。より具体的には、このようなC1〜C6アルキル基として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、及びn−ヘキシル基等を例示することができる。
また、一般式(4)中、Xがハロゲン原子である場合には、該ハロゲン原子として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子を例示することができ、
上記一般式(4)中、lは0〜5の整数(より好ましくは0〜2の整数)を示し、mは0〜5の整数(より好ましくは0〜3の整数)を示し、m+lは5以下であり、mが2以上の時、Xは同一でも異なっていてもよい。
(ベンズアルデヒド誘導体の例)
上記のようなX、l、mを有する一般式(4)で表されるベンズアルデヒド誘導体としては、例えばベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、2−フルオロベンズアルデヒド、3−フルオロベンズアルデヒド、4−フルオロベンズアルデヒド、2−クロロベンズアルデヒド、3−クロロベンズアルデヒド、4−クロロベンズアルデヒド、2,4−ジクロロベンズアルデヒド、3,4−ジクロロベンズアルデヒド、2−トリフルオロメチルベンズアルデヒド、3−トリフルオロメチルベンズアルデヒド、4−トリフルオロメチルベンズアルデヒド、3−フルオロ−4−トリフルオロメチルベンズアルデヒド、2−フルオロ−5−トリフルオロメチルベンズアルデヒド、2−クロロ−3−トリフルオロメチルベンズアルデヒド、2−クロロ−5−トリフルオロメチルベンズアルデヒド、4−クロロ−3−トリフルオロメチルベンズアルデヒド、2,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、2,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、2,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、2,6−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、3,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、4−クロロ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、2,3,6−トリス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、2,3,4,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド等を挙げることができる。
これらの一般式(4)で表されるベンズアルデヒド誘導体を得る方法は特に制限されないが、例えば、ケミーシェ ベリヒテ(Chem.Ber.)129巻、233(1996)に記載の、対応するハロゲノベンゼン誘導体をグリニャール(Grignard)反応によりホルミル化する方法等により、容易に製造することができる。
(カルバミド酸エステル)
次に、一般式(2)中で示されるカルバミド酸エステルについて説明する。本発明において、このカルバミド酸エステルは、通常は、原料たるベンズアルデヒド誘導体を還元的アミノ化する際のN源として機能する。
一般式(2)中のRはアルキル基、又はアラルキル基を示す。Rのアルキル基としては、入手の容易性の点からは、C1〜C6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であることが好ましい。このようなC1〜C6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基としては、より具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、及びn−ヘキシル基等を例示することができる。
他方、Rのアラルキル基としては、ベンジル基、2−クロロフェニルメチル基、4−クロロフェニルメチル基、4−メチルフェニルメチル基等を例示することができる。
上記のようなRを有する一般式(2)で表されるカルバミド酸エステル類としては、例えばカルバミド酸メチル、カルバミド酸エチル、カルバミド酸n−プロピル、カルバミド酸n−ブチル、カルバミド酸tert−ブチル、カルバミド酸ベンジル等を挙げることができる。
一般式(2)で表されるカルバミド酸エステル類の使用量としては、一般式(1)で表される芳香族アルデヒド(例えばベンズアルデヒド)誘導体1モルに対して、一般式(2)で表されるカルバミド酸エステル類が、通常1〜3モルの範囲であることが好ましく、更には1.0〜1.5モルの範囲であることが好ましい。
(還元的アミノ化反応)
一般式(1)で表される芳香族アルデヒド(例えばベンズアルデヒド)誘導体と一般式(2)で表されるカルバミド酸エステル類、及びトリクロロシランとの反応により、一般式(3)(B=COOR)で表されるアラルキル(例えばN−ベンジル)カルバミド酸エステル誘導体を得る反応(還元的アミノ化反応)について説明する。この還元的アミノ化反応は、通常は酸存在下で行うことが好ましい。
この還元的アミノ化反応に用いる酸としては、例えば硫酸等の鉱酸;およびメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸の有機スルホン酸及びトリフルオロ酢酸等のカルボン酸を包含する、有機酸を挙げることができる。反応収率、選択性の点からは、有機酸を使用することが好ましく、中でもトリフルオロ酢酸を使用することが特に好ましい。
上記したような酸は、必要に応じて2種以上を混用(組合せないしは混合)することができる。この酸の使用量としては、一般式(1)で表される芳香族アルデヒド(例えばベンズアルデヒド)誘導体1モルに対して、通常は1.0〜10.0モルの範囲であることが好ましく、更には2.0〜7.0モルの範囲であることが好ましい。
(還元剤)
本発明における還元的アミノ化反応で用いる還元剤はトリクロロシランである。その使用量は、一般式(1)で表される芳香族アルデヒド(例えばベンズアルデヒド)誘導体1モルに対して1.0〜5.0モルの範囲であることが好ましく、更には1.2〜3.0モルの範囲であることが好ましい。
本発明においては、このトリクロロシランの使用により、副生成物(例えば、原料のアルデヒド基が単に還元されたアルコール誘導体)の生成を抑制することが容易となる。本発明においては、このようなアルコール誘導体の生成を、原料たるアルデヒド誘導体を基準とする収率で、1%以下(更には0.5%以下)に抑制することができる。このような副生成物たるアルコール誘導体の生成量をaモルとし、目的生成物たるアラルキル(例えばベンジル)アミン誘導体(一般式(3)においてB=H)および/又はカルバミド酸エステル(一般式(3)においてB=COOR)の合計生成量をbモルとした場合に、本発明の製造方法においては、粗生成物におけるこれらの比(a/b)を0.01以下(更には0.005以下)とすることが容易である。
(脱水剤)
本発明の還元的アミノ化反応では水が生成するため、反応系に脱水剤を共存させることが好ましい。還元剤たるトリクロロシラン自体を、この脱水剤として機能させる事もできる。トリクロロシランに脱水剤をも兼用させる場合には、トリクロロシランの使用量は一般式(1)で表される芳香族アルデヒド(例えばベンズアルデヒド)誘導体1モルに対して、2.0〜4.0モル(更には2.0〜3.0モル)の範囲であることが好ましい。
この還元的アミノ化反応においては、上記したように還元剤たるトリクロロシラン自体を脱水剤としても機能させる方法の他、トリクロロシランとは別の脱水剤を共存させる方法を採用することもできる。このような態様における「別の脱水剤」としては、目的とする反応を実質的に阻害しない限り特に制限されないが、アセチルクロライド等の酸クロライド類、無水酢酸、無水トリフルオロ酢酸等の酸無水物やトリメチルクロロシラン等のトリアルキルハロゲノシラン類を脱水剤として使用することが好ましい。この「別の脱水剤」の使用量としては、一般式(1)で表される芳香族アルデヒド(例えばベンズアルデヒド)誘導体1モルに対して、1.0〜5.0モルの範囲であることが好ましく、更には1.0〜2.0モルの範囲であることが好ましい。
(溶媒)
本発明における還元的アミノ化反応は無溶媒で実施することも可能であるが、必要に応じて溶媒を使用することもできる。溶媒を用いる場合、該溶媒は単独で、又は任意の混合割合の混合溶媒として用いることが出来る。使用すべき溶媒としては、還元的アミノ化反応に実質的に不活性な溶媒を、特に制限なく使用することができる。
このような溶媒としては、例えば芳香族炭化水素系溶媒、具体的にはトルエン、キシレン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン等;脂肪族炭化水素系溶媒、具体的にはn−ヘキサン、n−ヘプタン、n−デカン等、を例示することができる。回収ないし再利用が容易で、通常は工業的スケールでの実施において比較的に安全な、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒の使用が好ましい。
溶媒の使用量としては、反応系の攪拌が充分にできる量である限り特に制限されないが、一般式(1)で表される芳香族アルデヒド(例えばベンズアルデヒド)誘導体1モルに対して、1000ml以下の範囲であることが好ましく、更には500ml以下の範囲であることが好ましい。他方、容器効率、反応性、攪拌容易性の点からは、この溶媒の使用量は、100ml以上の範囲であることが好ましく、更には200ml以上であることが好ましい。
上記還元的アミノ化反応の反応温度は−10〜100℃の範囲であることが好ましく、更には0〜60℃の範囲であることが好ましい。反応時間は0.1〜8時間の範囲であることが好ましい。この還元的アミノ化反応は、通常は常圧下に行うことができ、通常は加圧する必要はない。しかしながら、必要に応じて加圧してもよい。
(反応方法)
還元的アミノ化反応の反応方法は、実質的なアミノ化が可能である限り特に制限されない。工業的規模での実施における安全性の点からは、一般式(1)で表される芳香族アルデヒド(例えばベンズアルデヒド)誘導体、一般式(2)で表されるカルバミド酸エステル、トリフルオロ酢酸等の酸(及び溶媒を使用する場合にはその溶媒)の混合溶液中に、トリクロロシランを滴下する方法;又は一般式(1)で表される芳香族アルデヒド誘導体、一般式(2)で表されるカルバミド酸エステル(及び溶媒を使用する場合にはその溶媒)の混合溶液中に、トリクロロシラン及びトリフルオロ酢酸等の酸を滴下する方法が、還元的アミノ化反応の反応方法として好ましい。
(N−ベンジルカルバミド酸エステル誘導体)
本発明の一態様の方法により製造できる一般式(3)(B=COOR)で表されるアラルキル(例えばN−ベンジル)カルバミド酸エステル誘導体としては、例えばN−ベンジルカルバミド酸メチル、N−(4−メチルベンジル)カルバミド酸メチル、N−(2−フルオロベンジル)カルバミド酸メチル、N−(3−フルオロベンジル)カルバミド酸メチル、N−(4−フルオロベンジル)カルバミド酸メチル、N−(2−クロロベンジル)カルバミド酸メチル、N−(3−クロロベンジル)カルバミド酸メチル、N−(4−クロロベンジル)カルバミド酸メチル、N−(2,4−ジクロロベンジル)カルバミド酸メチル、N−(3,4−ジクロロベンジル)カルバミド酸メチル、N−(2−トリフルオロメチルベンジル)カルバミド酸メチル、N−(3−トリフルオロメチルベンジル)カルバミド酸メチル、N−(4−トリフルオロメチルベンジル)カルバミド酸メチル、N−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチルベンジル)カルバミド酸メチル、N−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチルベンジル)カルバミド酸メチル、N−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチルベンジル)カルバミド酸メチル、N−(2−クロロ−3−トリフルオロメチルベンジル)カルバミド酸メチル、N−(2−クロロ−5−トリフルオロメチルベンジル)カルバミド酸メチル、N−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルベンジル)カルバミド酸メチル、N−[2,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸メチル、N−[2,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸エチル、N−[2,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸メチル、N−[2,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸エチル、N−[2,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸メチル、N−[2,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸エチル、N−[2,6−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸メチル、N−[2,6−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸エチル、N−[3,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸メチル、N−[3,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸エチル、N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸メチル、N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸エチル、N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸tert−ブチル、N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸ベンジル、N−[4−クロロ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸メチル、N−[4−クロロ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸エチル、N−[2,3,6−トリス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸メチル、N−[2,3,6−トリス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸エチル、N−[2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸メチル、N−[2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸エチル、N−[2,3,4,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸メチル、N−[2,3,4,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸エチル等を例示することができる。
上記還元的アミノ化反応で得られた、一般式(3)(B=COOR)で表されるアラルキル(例えばN−ベンジル)カルバミド酸エステル誘導体は、未精製のまま、次のアミノ基の脱保護反応を実施してもよく、また、必要に応じて、再結晶等の常法による精製工程を行った後に次工程に用いることもできる。
(脱保護反応)
次に、上記した一般式(3)で表されるアラルキル(例えばN−ベンジル)カルバミド酸エステル誘導体(B=COOR)のアミノ基の脱保護反応による、一般式(3)(B=H)で表されるアラルキル(例えばベンジル)アミン誘導体を得る反応について説明する。
このようなアミノ基の脱保護反応に使用すべき試薬、反応方法、反応条件等は特に制限されない。該脱保護反応としては、例えば、ペプチド合成の分野において良く知られているウレタン型保護基で保護されたアミノ基の脱保護によるアミノ化反応を含む、一般的な一級アミンのカルバミド酸エステル保護基の脱保護反応が適用可能である。ここで云う「脱保護反応」とは、一般式(3)(B=COOR)で表されるアラルキルカルバミド酸エステル誘導体中のウレタン構造を分解することによって1級アミノ基を生成する反応のことである。
このような脱保護反応に包含される反応としては、より具体的には例えば、加水分解反応、加アルコール分解反応、酸分解反応、及び接触水素添加反応等を例示できる。以下、これらの反応について説明するが、本発明における脱保護反応としては、これらの例示する反応に限定されるものではなく、公知の、ウレタン構造を分解することによる1級アミノ基の生成反応を特に制限なく適用できる。
(加水分解反応)
この脱保護反応の加水分解反応は、酸性条件、アルカリ条件のいずれの条件でも実施可能であるが、反応性や後処理の簡便さの点からは、アルカリ条件での加水分解が一般的で好ましい。
アルカリ条件での加水分解反応で使用する塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物を使用できる。塩基の使用量としては、一般式(3)(B=COOR)で表されるアラルキルカルバミド酸エステル誘導体1モルに対し、1〜20モルの範囲であることが好ましく、更には2〜10モルの範囲であることが好ましい。
他方、酸性条件での加水分解反応に用いる酸としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸等の無機酸、又は、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸が使用できる。酸の使用量は、一般式(3)(B=COOR)で表されるアラルキルカルバミド酸エステル誘導体1モルに対し1〜20モルの範囲であることが好ましく、更には2〜10モルの範囲であることが好ましい。
上記の加水分解反応において使用する水の量は特に制限されないが、例えば一般式(3)(B=COOR)で表されるアラルキルカルバミド酸エステル誘導体1モルに対し、2000ml以下の範囲であることが好ましく、更には1000ml以下であることが好ましい。他方、容器効率や反応性の点からは、水の量は、一般式(3)(B=COOR)で表されるアラルキルカルバミド酸エステル誘導体1モルに対し、100ml以上の範囲であることが好ましく、更には200ml以上であることが好ましい。
使用する溶媒は、加水分解反応の「試薬」たる水が溶媒を兼ねることができるが、必要に応じて、当該反応に不活性な溶媒を使用してもかまわない。このような「不活性な」溶媒としては、例えばアルコール系溶媒、具体的にはメタノール、エタノール、2−プロパノール、エチレングリコール等;脂肪族カルボン酸、具体的には蟻酸、酢酸、プロピオン酸等;芳香族炭化水素系溶媒、具体的にはトルエン、キシレン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン等を例示することができる。このような「不活性な」溶媒の使用量は、一般式(3)(B=COOR)で表されるアラルキルカルバミド酸エステル誘導体1モルに対し、2000ml以下の範囲であることが好ましく、更には1000ml以下の範囲であることが好ましい。他方、容器効率や反応性の点からは、「不活性な」溶媒の量は、一般式(3)(B=COOR)で表されるアラルキルカルバミド酸エステル誘導体1モルに対し、100ml以上の範囲であることが好ましく、更には200ml以上の範囲であることが好ましい。
上記の加水分解反応の反応温度としては、30〜180℃の範囲であることが好ましく、更には50〜120℃の範囲であることが好ましい。又、反応時間は1〜20時間の範囲であることが好ましい。この反応は常圧下に行うことができるが、必要に応じて、加圧して行っても良い。
(加アルコール分解反応)
次に、脱保護反応の加アルコール分解反応について説明する。脱保護反応の加アルコール分解反応は、反応性や後処理の簡便さの点からは、アルカリ条件で行うことが一般的で好ましい。
アルカリ条件での加アルコール分解反応で使用するアルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物、及びナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシドを挙げることができる。アルカリの使用量としては、一般式(3)(B=COOR)で表されるアラルキルカルバミド酸エステル誘導体1モルに対し、1〜20モルの範囲であることが好ましく、更には2〜10モルの範囲であることが好ましい。
上記の加アルコール分解反応に使用するアルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール、tert−ブタノール等の炭素数1〜6の低級アルコールが一般的であり、その使用量は、一般式(3)(B=COOR)で表されるアラルキルカルバミド酸エステル誘導体1モルに対し、2000ml以下の範囲であることが好ましく、更には1000ml以下の範囲であることが好ましい。
この加アルコール分解反応における溶媒は、通常はアルコールが溶媒を兼ねるので必ずしも必要ではない。必要に応じて、「他の溶媒」として、当該反応に不活性な溶媒を使用してもかまわない。このような「他の溶媒」としては、例えば芳香族炭化水素系溶媒、具体的にはトルエン、キシレン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン等を例示することができる。この「他の溶媒」使用量は、一般式(3)(B=COOR)で表されるアラルキルカルバミド酸エステル誘導体1モルに対し、2000ml以下の範囲であることが好ましく、更には1000ml以下の範囲であることが好ましい。
上記の加アルコール分解反応の反応温度としては、30〜180℃の範囲であることが好ましく、更には50〜120℃の範囲であることが好ましい。又、反応時間は1〜20時間の範囲で、反応は常圧下に行うことができるが、必要に応じて、加圧して行っても良い。
(酸分解反応)
続いて、脱保護反応の酸分解反応について説明する。脱保護反応の酸分解反応は、一般式(3)で表されるカルバミド酸エステルのRが例えばtert−ブチル基、ベンジル基等の、酸で容易に分解する基である場合に好適に適用できる。
この酸分解反応に用いる酸としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸等の鉱酸;蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等の脂肪族カルボン酸;或いはメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機スルホン酸を挙げることができるが、トリフルオロ酢酸を用いる方法が一般的で好ましい。この酸の使用量は、一般式(3)(B=COOR)で表されるアラルキルカルバミド酸エステル誘導体1モルに対し、1〜20モルの範囲であることが好ましく、更には2〜10モルの範囲であることが好ましい。
上記の酸分解反応に使用する溶媒は、通常は、酸分解反応に用いる酸(トリフルオロ酢酸等)が溶媒を兼ねることができるが、必要に応じて、「他の溶媒」として当該反応に不活性な溶媒を使用してもかまわない。このような「他の溶媒」としては、例えばアルコール系溶媒、具体的にはメタノール、エタノール、2−プロパノール等;脂肪族カルボン酸、具体的には蟻酸、酢酸、プロピオン酸等;芳香族炭化水素系溶媒、具体的にはトルエン、キシレン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン等を例示することができる。「他の溶媒」の使用量としては一般式(3)(B=COOR)で表されるアラルキルカルバミド酸エステル誘導体1モルに対し、2000ml以下の範囲であることが好ましく、更には1000ml以下の範囲であることが好ましい。
上記の酸分解反応の反応温度としては、30〜180℃の範囲であることが好ましく、更には50〜100℃の範囲であることが好ましい。反応時間は1〜20時間の範囲で、反応は常圧下に行うことができ、通常は加圧する必要はないが、必要に応じて加圧してもよい。
(接触水素添加反応)
最後に、脱保護反応の接触水素添加反応について説明する。脱保護反応の接触水素添加反応は、一般式(3)で表されるカルバミド酸エステルのRが例えばベンジル基のようなアラルキル基の場合に適用できる。
このような接触水素添加反応反は、通常は金属触媒を使用する。使用すべき触媒は、接触水素添加反応に使用可能な触媒であれば特に限定されることはない。例えば、活性炭担持パラジウム触媒(Pd/C)、シリカ担持パラジウム触媒等のパラジウム系触媒;活性炭担持白金触媒、シリカ担持白金触媒等の白金系触媒;ラネーニッケル、ラネーコバルト等のラネー触媒等を挙げることができる。工業的な使用においては、入手容易性の点からは、活性炭担持パラジウム(Pd/C)が一般的に好ましい。金属触媒の使用量は、一般式(3)(B=COOR)で表されるN−ベンジルカルバミド酸エステル誘導体1モルに対し0.00001〜0.05グラム原子の範囲であることが好ましく、更には0.001〜0.02グラム原子の範囲であることが好ましい。
この接触水素添加反応に使用する溶媒としては、当該反応に不活性な溶媒を特に制限なく使用することができる。このような溶媒としては、例えばアルコール系溶媒、具体的にはメタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール等;脂肪族アルキルエステル系溶媒、具体的には酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等;芳香族炭化水素系溶媒、具体的にはトルエン、キシレン等、を例示することができる。この溶媒の使用量としては、一般式(3)(B=COOR)で表されるN−ベンジルカルバミド酸エステル誘導体1モルに対し6000ml以下の範囲であることが好ましく、更には3000ml以下であることが好ましい。
接触水素添加反応に用いる水素は、通常は水素単独で使用することができるが、必要に応じて窒素、ヘリウム、アルゴン等の反応に不活性なガスで水素を希釈して用いることもできる。反応時の好ましい水素分圧としては、通常、0.01MPa〜10MPaの範囲を例示することができる。
上記の接触水素添加反応の反応温度は−10〜180℃の範囲であることが好ましく、更には0〜100℃の範囲であることが好ましい。又、反応時間は1〜60時間の範囲であることが好ましい。
(一部反応の進行)
本発明の方法においては、一般式(3)(B=COOR)で表されるアラルキル(例えばN−ベンジル)カルバミド酸エステル誘導体の構造によっては、前記還元的アミノ化反応終了時に、還元的アミノ化反応の反応条件下で、既に一部、脱保護反応が進行することにより、目的物たる一般式(3)(B=H)で表されるアラルキルアミン誘導体が生成し、これを回収できる場合がある(例えば、一般式(3)におけるRがtert−ブチル基やベンジル基の場合等)。このような場合に、一般式(3)(B=H)で表されるアラルキルアミン誘導体と共存して、なお残存する一般式(3)(B=COOR)で表されるアラルキルカルバミド酸エステル誘導体を更に上記したように脱保護反応することにより一般式(3)(R=H)で表されるベンジルアミン誘導体まで導き、還元的アミノ化反応終了時に既に生成していた一般式(3)(R=H)で表されるアラルキルアミン誘導体と合わせることによって、目的物の製造とするような方法も、本発明の方法に包含される。
(ベンジルアミン誘導体)
本発明の方法により得られる一般式(3)(R=H)で表されるアラルキルアミン(例えばベンジルアミン)誘導体としては、例えばベンジルアミン、4−メチルベンジルアミン、2−フルオロベンジルアミン、3−フルオロベンジルアミン、4−フルオロベンジルアミン、2−クロロベンジルアミン、3−クロロベンジルアミン、2,4−ジクロロベンジルアミン、3,4−ジクロロベンジルアミン、4−クロロベンジルアミン、2−トリフルオロメチルベンジルアミン、3−トリフルオロメチルベンジルアミン、4−トリフルオロメチルベンジルアミン、3−フルオロ−4−トリフルオロメチルベンジルアミン、2−フルオロ−5−トリフルオロメチルベンジルアミン、2−クロロ−3−トリフルオロメチルベンジルアミン、2−クロロ−5−トリフルオロメチルベンジルアミン、4−クロロ−3−トリフルオロメチルベンジルアミン、2,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミン、2,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミン、2,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミン、2,6−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミン、3,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミン、4−クロロ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミン、2,3,6−トリス(トリフルオロメチル)ベンジルアミン、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)ベンジルアミン、2,3,4,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジルアミン等を挙げることができる。
得られた一般式(3)(R=H)で表されるアラルキルアミン誘導体は必要に応じ、精留、再結晶等の精製工程を行っても良い。再結晶は、必要に応じて、結晶化の容易な無機酸、及び有機酸塩等に誘導して行う事も可能である。
(N−ベンジルカルバミド酸エステル誘導体)
また、本発明の方法の一態様における中間体である一般式(5)で表される化合物のうち、mが0であり、lが1〜5の整数であり、Rがアルキル基である化合物、即ち、前記一般式(10)で表されるN−ベンジルカルバミド酸エステル誘導体は、新規化合物である。一般式(10)で表されるN−ベンジルカルバミド酸エステル誘導体(本発明の化合物)としては、例えばN−(2−トリフルオロメチルベンジル)カルバミド酸メチル、N−(3−トリフルオロメチルベンジル)カルバミド酸メチル、N−(4−トリフルオロメチルベンジル)カルバミド酸メチル、N−[2,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸メチル、N−[2,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸エチル、N−[2,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸メチル、N−[2,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸エチル、N−[2,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸メチル、N−[2,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸エチル、N−[2,6−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸メチル、N−[2,6−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸エチル、N−[3,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸メチル、N−[3,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸エチル、N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸メチル、N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸エチル、N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸tert−ブチル、N−[2,3,6−トリス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸メチル、N−[2,3,6−トリス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸エチル、N−[2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸メチル、N−[2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸エチル、N−[2,3,4,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸メチル、N−[2,3,4,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸エチル等を例示することができる。
実施例
次に、実施例、比較例を挙げて本発明化合物の製造方法を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例において使用した機器分析の条件は、以下の通りである。
融点:METTLER社製、商品名 FP−62を用いて分析した。
MS:HEWLETT−PACKARD社製、商品名 HP 6890を用いて分析した。
IR:JASCO(日本分光)社製、商品名 FT/IR−420を用いて分析した。
GC(ガスクロマトグラフィー):島津社製、商品名 GC1700を用いて分析した。GC分析の詳しい条件は、以下の通りである。
<GC分析条件>
使用カラム:J&W社製、商品名 DB−17(内径0.25mm、長さ25m、膜厚0.25μm)
カラム槽温度:50℃(5min保持)→昇温(10℃/min)→280℃
注入量:1μl
注入口温度:250℃
検出器:FID(検出器温度280℃)
データ処理:島津社製、商品名 C−R8A(各々のピーク面積の比から量比を計算した)
実施例1
(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミンの製造)
反応容器(Shibata社製、容量100ミリリットル)中で、メカニカルスターラーによる攪拌下(回転数:約400rpm)に、窒素雰囲気下、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド6.10g(0.025mol)、カルバミド酸メチル1.88g(0.025mol)、トリフルオロ酢酸5.8g(0.05mol)、及びトルエン4.6mlを入れ、得られた混合物にトリクロロシラン7.11g(0.0525mol)を10℃にて20分間かけて滴下した。
トリクロロシランの滴下終了後、反応系を攪拌下(回転数:約400rpm)に20〜25℃にて3時間熟成した後、トルエン30mlを加えた。更に、得られた混合物から、トリフルオロ酢酸3.5gを減圧蒸留(35〜42℃/21.5KPa)することにより回収した。
トリフルオロ酢酸回収後に得られた残渣にトルエン30ml、水5mlを加え、23%水酸化ナトリウム水溶液22.8g(0.13mol)を30℃にて滴下した。水酸化ナトリウム水溶液の滴下終了後、攪拌下(回転数:約400rpm)に25℃にて30分間熟成した後、分液し、有機層を得た。また、分液により得られた水層をトルエン30mlで2回抽出し、得られたトルエン層を先に得た有機層と合わせた後、減圧濃縮し、N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸メチル7.1gを収率94.3%で得た[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド基準]。
(N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸メチルの物性)
融点:99.8〜100.2℃
(確認データ) MS m/z:301(M+)
300MHz 1H−NMR(CDCl3)δ値;3.74(s,3H),4.50(d,6.3Hz,2H),5.16(s,1H),7.74〜7.79(m,3H)
IR(KBr錠剤,cm−1)3331,1693,1543,1386,1358,1298,1261,1170,1127,1061,905,891,709,685
続いて、反応容器(Shibata社製、容量100ミリリットル)中で、メカニカルスターラーによる攪拌下(回転数:約400rpm)に、上記で得たN−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸メチル7.1g(0.024mol)に48%水酸化ナトリウム水溶液20.8g(0.25mol),メタノール10g、水14.2gを加え、加熱還流下、4.5時間熟成した。熟成終了後、エバポレーターによりメタノールを回収し、トルエン抽出を行った。得られたトルエン層をガスクロマトグラフィーにより分析した。
目的とする3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミンは5.1g(0.021mol)、収率84.0%[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド基準]で生成していた。
実施例2
(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミンの製造)
反応容器中で攪拌しつつ、窒素雰囲気下、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド0.61g(0.0025mol)、カルバミド酸tert−ブチル0.30g(0.0025mol)、トリフルオロ酢酸0.57g(0.005mol)、及びトルエン1.3mlを加え、更にトリクロロシラン0.71g(0.00525mol)を10℃にて10分間かけて滴下した。
滴下終了後、20〜25℃にて攪拌下1時間熟成した後、ガスクロマトグラフィーで反応液を分析したところ、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミンが69.5%、N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸tert−ブチルが23.8%の組成で生成していた。更に、反応液を20〜25℃にて12時間攪拌し、熟成した。
続いて反応系にトリフルオロ酢酸1.3g、水3gを加え、20〜25℃にて5時間熟成した後、23%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH13以上とし、トルエン抽出を行った。得られたトルエン層をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、目的とする3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミンが0.55g(0.00226mol)、収率90.4%[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド基準]で生成していた。
実施例3
(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミンの製造)
反応容器中で攪拌しつつ、窒素雰囲気下、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド1.21g(0.005mol)、カルバミド酸ベンジル0.76g(0.005mol)、トリフルオロ酢酸3.71g(0.0325mol)を加え、トリクロロシラン1.42g(0.0105mol)を10℃にて10分間かけて滴下した。滴下終了後、攪拌下に20〜25℃にて4時間熟成した後、この反応液を水にあけることによって結晶を析出させた。得られた結晶を、濾過、水洗した後、単離した。結晶を単離した後の濾液の水層に23%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH13以上としてから酢酸エチルで抽出し、得られた酢酸エチル層をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミンが収率22.1%で生成していた[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド基準]。
一方、先に濾別した結晶を酢酸エチル10mlに溶解し、23%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH13以上とし、室温にて30分間攪拌した後、分液した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去し、N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸ベンジル1gを得た。これを酢酸エチル3mlに溶解し、5%Pd/C(活性炭担持パラジウム触媒)10mgを加えて、水素を充填したバルーンをとり付けたフラスコ中で常圧、室温にて水素添加還元反応を48時間行った。
反応終了後、触媒(Pd/C)を濾去して得られた濾液から溶媒を留去し、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミンを収率53.6%で得た(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド基準)。先に結晶を濾別した際に得られた水層に含まれていた生成物と合わせて、合計75.7%の収率で3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミンを得た[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド基準]。
実施例4
(N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸メチルの製造)
反応容器中で攪拌しつつ、窒素雰囲気下、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド6.10g(0.025mol)、カルバミド酸メチル1.88g(0.025mol)、塩化アセチル1.96g(0.025mol)及びトリフルオロ酢酸18.2g(0.16mol)を加え、トリクロロシラン4.4g(0.0325mol)を10℃にて20分間かけて滴下した。滴下終了後、攪拌下に20〜25℃にて1時間熟成した後、実施例1と同様の後処理を行い、N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸メチル7.18gを収率95.4%で得た[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド基準]。このものは実施例1に準じて脱保護反応することによって、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミンに変換できる。
実施例5
(N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸メチルの製造)
反応容器中で攪拌しつつ、窒素雰囲気下、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド6.10g(0.025mol)、カルバミド酸メチル1.88g(0.025mol)、及びトリフルオロ酢酸18.2g(0.16mol)を加え、トリクロロシラン7.11g(0.0525mol)を10℃にて20分間かけて滴下した。滴下終了後、攪拌下に20〜25℃にて1時間熟成した後、実施例1と同様の後処理を行い、N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸メチル7.16gを収率95.2%で得た[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド基準]。このものは実施例1に準じて脱保護反応することによって、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミンに変換できる。
実施例6
(N−(3−フルオロベンジル)カルバミド酸メチルの製造)
反応容器中で攪拌しつつ、窒素雰囲気下、3−フルオロベンズアルデヒド3.1g(0.025mol)、カルバミド酸メチル1.88g(0.025mol)、及びトリフルオロ酢酸18.2g(0.16mol)を加え、トリクロロシラン7.11g(0.0525mol)を10℃にて20分間かけて滴下した。滴下終了後、攪拌下に20〜25℃にて1時間熟成した後、実施例1と同様の後処理を行い、N−(3−フルオロベンジル)カルバミド酸メチル4.4gを収率97.0%で得た[3−フルオロベンズアルデヒド基準]。
このようにして得られたN−(3−フルオロベンジル)カルバミド酸メチルは、実施例1に準じて脱保護反応することによって、3−フルオロベンジルアミンに変換できる。
実施例7
(N−(4−クロロベンジル)カルバミド酸メチルの製造)
反応容器中で攪拌しつつ、窒素雰囲気下、4−クロロベンズアルデヒド0.70g(0.005mol)、カルバミド酸メチル0.38g(0.005mol)、及びトリフルオロ酢酸3.7g(0.0325mol)を加え、氷浴中で冷却し、トリクロロシラン1.42g(0.0105mol)を5分間かけて滴下した。滴下終了後、攪拌下に20〜25℃にて1時間熟成した後、実施例1と同様の後処理を行い、N−(4−クロロベンジル)カルバミド酸メチル0.98gを収率98.6%で得た[4−クロロベンズアルデヒド基準]。
このようにして得られたN−(4−クロロベンジル)カルバミド酸メチルは実施例1に準じて脱保護反応することによって、4−クロロベンジルアミンに変換できる。
実施例8
(N−ベンジルカルバミド酸メチルの製造)
反応容器中で攪拌しつつ、窒素雰囲気下、ベンズアルデヒド0.53g(0.005mol)、カルバミド酸メチル0.38g(0.005mol)、及びトリフルオロ酢酸3.7g(0.0325mol)を加え、氷浴中で冷却し、トリクロロシラン1.42g(0.0105mol)を5分間かけて滴下した。滴下終了後、20〜25℃にて2.5時間熟成した後、実施例1と同様の後処理を行い、N−ベンジルカルバミド酸メチル0.80gを収率97.4%で得た[ベンズアルデヒド基準]。
このようにして得られたN−ベンジルカルバミド酸メチルは実施例1に準じて脱保護反応することによって、ベンジルアミンに変換できる。
実施例9
(N−(4−メチルベンジル)カルバミド酸メチルの製造)
反応容器中で攪拌しつつ、窒素雰囲気下、4−メチルベンズアルデヒド0.70g(0.005mol)、カルバミド酸メチル0.38g(0.005mol)、及びトリフルオロ酢酸3.7g(0.0325mol)を加え、氷浴中で冷却し、トリクロロシラン1.42g(0.0105mol)を5分間かけて滴下した。滴下終了後、攪拌下に20〜25℃にて1時間熟成した後、実施例1と同様の後処理を行い、N−(4−メチルベンジル)カルバミド酸メチル0.74gを収率82.8%で得た[4−メチルベンズアルデヒド基準]。
このようにして得られたN−(4−メチルベンジル)カルバミド酸メチルは実施例1に準じて脱保護反応することによって、4−メチルベンジルアミンに変換できる。
実施例10
(N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸メチルの製造)
反応容器中で攪拌しつつ、窒素雰囲気下、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド0.48g(0.002mol)、カルバミド酸メチル0.15g(0.002mol)、メタンスルホン酸0.77g(0.008mol)及びトルエン1mlを加え、氷浴中で冷却し、トリクロロシラン0.57g(0.0042mol)を5分間かけて滴下した。滴下終了後、攪拌下に20〜25℃にて1時間熟成した。反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸メチルが収率81.8%[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド基準]で生成していた。
このようにして得られたN−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]カルバミド酸メチルは実施例1に準じて脱保護反応することによって、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミンに変換できる。
実施例11
(3,4−ジクロロベンジルアミンの製造)
反応容器中で攪拌しつつ、窒素雰囲気下、3,4−ジクロロベンズアルデヒド1.75g(0.01mol)、カルバミド酸メチル0.75g(0.01mol)、トリフルオロ酢酸2.28g(0.02mol)、及びトルエン5mlを加え、氷浴中で冷却し、トリクロロシラン2.84g(0.021mol)を10℃にて5分間かけて滴下した。滴下終了後、攪拌下に20〜25℃にて3時間熟成した後、反応液を氷浴中で冷却し、水20mlを10分間かけて滴下した。その後、23%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH13以上とし、トルエン抽出を3回行った。得られたトルエン層を減圧濃縮し、N−(3,4−ジクロロベンジル)カルバミド酸メチル2.31gを収率98.6%で得た[3,4−ジクロロベンズアルデヒド基準]。
続いて、上記で得たN−(3,4−ジクロロベンジル)カルバミド酸メチル2.31g(0.0099mol)、23%水酸化ナトリウム水溶液17.4g(0.10mol),メタノール16gを加え、加熱還流下、攪拌下に10時間熟成した。熟成終了後、メタノールを回収し、トルエン抽出を行った。得られたトルエン層をガスクロマトグラフィーにより分析した。目的とする3,4−ジクロロベンジルアミンは1.70g(0.0097mol)、収率96.6%[3,4−ジクロロベンズアルデヒド基準]で生成していた。
産業上の利用可能性
上述したように本発明によれば、工業的スケールにおいても実施が容易なアラルキルアミン誘導体の新規な製造法が提供される。本発明の方法によれば、工業的スケールでの実施に当たっても、安全で、且つ特殊な設備を必須とせずに、簡便なプロセスでアラルキルアミン誘導体を製造できため、本発明の方法は工業的な利用価値が非常に高い。
また、本発明の方法によれば、有用な中間体であるN−ベンジルカルバミド酸エステル誘導体が提供される。
Claims (10)
- 一般式(1)
Ar−CHO (1)
(式中、Arは芳香族基を示す)で表される芳香族アルデヒド誘導体に、トリクロロシラン存在下で、一般式(2)
NH2COOR (2)
(式中、Rはアルキル基、又はアラルキル基を示す)で表されるカルバミド酸エステルを反応させて、一般式(3)
Ar−CH2NH−B (3)
(式中、Arは芳香族基を示し、Bは水素原子または−COOR基を示し、Rはアルキル基、又はアラルキル基を示す)で表されるアラルキルアミン誘導体を得るアラルキルアミン誘導体の製造方法。 - 前記Arが、多環式の芳香族基である請求項1に記載のアラルキルアミン誘導体の製造方法。
- 前記Arが、単環式の芳香族基である請求項1に記載のアラルキルアミン誘導体の製造方法。
- 一般式(4)
(式中、Xはアルキル基、又はハロゲン原子を示し、1は0〜5の整数を示し、mは0〜5の整数を示し、m+1は5以下であり、mが2以上の時、Xは同一でも異なっていてもよい)で表されるベンズアルデヒド誘導体に、トリクロロシラン存在下で、一般式(2)
NH2COOR (2)
(式中、Rはアルキル基、又はアラルキル基を示す)で表されるカルバミド酸エステルを反応させて、一般式(5)
(式中、Bは水素原子または−COOR基を示し、Rはアルキル基、又はアラルキル基を示し、Xはアルキル基、又はハロゲン原子を示し、lは0〜5の整数を示し、mは0〜5の整数を示し、m+lは5以下であり、mが2以上の時、Xは同一でも異なっていてもよい)で表されるベンジルアミン誘導体を得る請求項3に記載のアラルキルアミン誘導体の製造方法。 - 中間体として得られるカルバミド酸エステル(B=COOR)を脱保護して、アラルキルアミン誘導体(B=H)を得る請求項1〜4のいずれかに記載のアラルキルアミン誘導体の製造方法。
- 前記アミノ化反応の条件下で、前記芳香族アルデヒド誘導体が還元的アミノ化および脱保護により、少なくとも部分的にアラルキルアミン誘導体(B=H)を与える請求項1〜5のいずれかに記載のアラルキルアミン誘導体の製造方法。
- 酸の存在下で、前記アミノ化を行う請求項1〜6のいずれかに記載のアラルキルアミン誘導体の製造方法。
- 一般式(4)
(式中、Xはアルキル基、又はハロゲン原子を示し、lは0〜5の整数を示し、mは0〜5の整数を示し、m+lは5以下であり、mが2以上の時、Xは同一でも異なっていてもよい)で表されるベンズアルデヒド誘導体に、トリクロロシランと一般式(2)
NH2COOR (2)
(式中、Rはアルキル基、又はアラルキル基を示す)で表されるカルバミド酸エステルとを反応させて、一般式(5)
(式中、Rはアルキル基、又はアラルキル基を示し、Xはアルキル基、又はハロゲン原子を示し、lは0〜5の整数を示し、mは0〜5の整数を示し、m+lは5以下であり、mが2以上の時、Xは同一でも異なっていてもよい)で表されるN−ベンジルカルバミド酸エステル誘導体を得るN−ベンジルカルバミド酸エステル誘導体の製造方法。
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