JPWO2002092912A1 - 喫煙物品用巻紙 - Google Patents

Abstract

喫煙物品用巻紙は、巻紙中に燃焼調節剤を１ｇ／ｍ２ないし１５ｇ／ｍ２、リン酸カルシウム系化合物を１ｇ／ｍ２ないし３０ｇ／ｍ２担持する。

Description

技術分野
本発明は、シガレットのような喫煙物品用の巻紙に係り、特に、副流煙を減少させ得る喫煙物品用巻紙に関する。
背景技術
シガレット等の喫煙物品の喫煙に際して、たばこからは、たばこ本体を通じて喫煙者により吸引される主流煙、および、特に自然燃焼時に火が付いた喫煙物品の先端部から立ち昇る副流煙が発生する。
副流煙の測定は、特開平１０−８１号公報に開示されているフィッシュテール法で行われている。そして、副流煙発生量の少ない喫煙物品を提供するために、従来多くの提案がなされている。その一例として、喫煙物品用巻紙に燃焼抑制効果を示す化合物を充填剤として添加することが行われている。例えば、特公昭６３−３７６２１号公報では、水酸化マグネシウムゲルを添加すること、特許第２７３０８９４号明細書では、炭酸カルシウム等からなる高比表面積の充填剤を添加することが開示されている。
しかしながら、従来のタバコ副流煙を低減させる巻紙は、高価な添加物を用いていたり、製造方法により品質が安定しなかったりし、いずれもなお満足し得る程度に実用化されておらず、より簡易に、より一層効果的にタバコ副流煙を低減させる手段が求められている。
そこで、本発明は、従来の巻紙よりも簡易で、一層効果的にタバコ副流煙を低減させ得る喫煙物品用巻紙を提供することを目的とする。
発明の開示
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、リン酸三カルシウム等のリン酸カルシウム系化合物は、巻紙の自然燃焼速度をやや促進する傾向を示すが、燃焼調節剤の含有量が通常の巻紙に含有される量以下の範囲で用いても副流煙の発生量を有意に減少させる傾向を示さないことを確認した。しかし、所定量のリン酸カルシウム系化合物と所定量のクエン酸ナトリウム等の有機酸塩燃焼調節剤と組み合わせて使用することにより、意外にも、従来公知の方法では達成し得ない有意な副流煙量低減効果を示すことを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明は、巻紙中に燃焼調節剤を１ｇ／ｍ^２〜１５ｇ／ｍ^２、リン酸カルシウム系化合物を１ｇ／ｍ^２〜３０ｇ／ｍ^２担持する喫煙物品用巻紙を提供する。
燃焼調節剤は、好ましくは、有機酸塩を含む。
本発明において、リン酸カルシウム系化合物が、リン酸三カルシウムであり、燃焼調節剤が、クエン酸塩を含むことが好ましい。
また、本発明において、巻紙の坪量は、４０ｇ／ｍ^２以上、７０ｇ／ｍ^２以下であることが好ましい。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明をより詳しく説明する。
本発明に係る喫煙物品用巻紙は、従来から巻紙の製造に用いられているパルプ繊維を叩解した後、リン酸カルシウム系化合物を所定の含有量になるように添加して調製した紙料を抄紙し、抄紙中に燃焼調節剤を所定の含有量になるように塗布して製造することができる。パルプ繊維としては、亜麻パルプが好ましい。巻紙の坪量に特に制限はなく、通常、２０ｇ／ｍ^２以上８０ｇ／ｍ^２以下で使用され、４０ｇ／ｍ^２以上７０ｇ／ｍ^２以下がより好ましい。
本発明に使用される燃焼調節剤は、巻紙の自然燃焼速度に影響を及ぼし得るものとして通常巻紙に使用されているものを用いることができる。燃焼調節剤の例を挙げると、有機酸塩として、クエン酸ナトリウム以外に、クエン酸カリウム、コハク酸塩、酒石酸塩、酢酸塩等がよく知られており、これらを用いることができるが、クエン酸ナトリウムが特に好ましい。本発明において、燃焼調節剤は、巻紙中に１ｇ／ｍ^２〜１５ｇ／ｍ^２担持される。燃焼調節剤の含有量が１ｇ／ｍ^２未満であると、副流煙量低減効果が十分でなく、１５ｇ／ｍ^２を超えると、巻紙の製造上の安定性が損なわれるおそれがある。燃焼調節剤の好ましい量は、１ｇ／ｍ^２〜１０ｇ／ｍ^２であるが、タバコの喫味を考慮すると２ｇ／ｍ^２〜５ｇ／ｍ^２がより好ましい。
本発明の巻紙は、上記量的割合の燃焼調節剤とともにリン酸カルシウム系化合物を担持する。リン酸カルシウム系化合物としては、Ｃａ／Ｐモル比が１．０〜２．０であるリン酸カルシウム系化合物、好ましくは、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、非晶質リン酸カルシウムを用いることができる。リン酸カルシウム系化合物としては、食品添加物であり、安価で市販されているリン酸三カルシウムが特に好ましい。本発明において、このリン酸カルシウム系化合物は、１ｇ／ｍ^２〜３０ｇ／ｍ^２の範囲で巻紙に担持される。リン酸カルシウム系化合物の量が１ｇ／ｍ^２未満であると、上記量の燃焼調節剤と組み合わせても十分な副流煙量低減効果が得られず、他方その量が３０ｇ／ｍ^２を超えると、巻紙の強度が下がることから現在の高速シガレット製造機ではシガレットの製造が困難となる。
本発明の喫煙物品用巻紙は、上記燃焼調節剤およびリン酸カルシウム系化合物に加えて、巻紙に通常使用されている炭酸カルシウム等の填料を含有することができる。本発明の喫煙物品用巻紙を製造する際に炭酸カルシウムを１０ｇ／ｍ^２程度担持させておくことは、巻紙の不透明性を高めるという観点から好ましい。
以下本発明を実施例により説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例
１ｇ法ショッパーろ水度（スラリー状パルプの濃度を０．１％とした以外はＪＩＳ Ｐ ８１２１に準じたショッパーろ水度）で８０°ＳＲに叩解された亜麻パルプに、内添填料として紡錘形炭酸カルシウム（白石工業（株）製ＰＣＸ−８５０、平均粒度３．５μｍ）および和光純薬工業（株）製リン酸三カルシウム（化学用試薬、型番０３２−１０８５５）を所定の紙中含有量となるように添加した抄紙用紙料でＴＡＰＰＩ標準型手すき機を用いて巻紙を製造した。紡錘形炭酸カルシウムおよびリン酸三カルシウムは、表１に示す含有量になるように添加した。燃焼調節剤を塗布する巻紙については、さらにクエン酸ナトリウムの水溶液を所定量となるように塗布し、乾燥して製造した。
なお、用いた和光純薬工業（株）製リン酸三カルシウムは、粉末状リン酸三カルシウムであり、「本品は、概ねヒドロキシアパタイト、［Ｃａ_３（ＰＯ_４）_２］_３・Ｃａ（ＯＨ）_２の組成を有します」と記載のあるものであった。
得られた巻紙を用いてシガレットを作製した。シガレットのサイズは、通常ＦＫサイズといわれる円周２４．９ｍｍ、巻き長さ５９ｍｍ、フィルター長さ２５ｍｍ、チップペーパー長さ３２ｍｍであった。使用した刻みは通常の市販品で用いられているアメリカン・ブレンドタイプで、充填量は０．５８０ｇ／本であった。これらのシガレットは、２２℃、６０％相対湿度で調和後、１本当たり質量で０．８８５±０．０１ｇで質量選別した後に試験に供した。それぞれの填料（リン酸三カルシウムおよび炭酸カルシウム）の含有量、燃焼調節剤（クエン酸ナトリウム）の含有量、坪量、シガレット４９ｍｍ長を自然燃焼させたときのフィッシュテール法による副流煙量を表１に示す。
巻紙Ａ〜Ｆにおいて、添加する炭酸カルシウムとクエン酸ナトリウムの量を変動させた巻紙を用いたシガレットの副流煙量を測定した。
巻紙Ｇ〜Ｉにおいて燃焼調節剤を添加せずに填料である炭酸カルシウムとリン酸三カルシウムの量を変化させた巻紙を用いたシガレットの副流煙量を測定した。
巻紙Ｊ〜Ｐに通常のタバコ巻紙に用いられている炭酸カルシウム（１０ｇ／ｍ^２）を加え、リン酸三カルシウムとクエン酸ナトリウムの添加量を変化させた巻紙を用いたシガレットの副流煙量を測定した。
表１に示す結果から、本発明品であるＬ〜Ｐの巻紙を用いたシガレットは、従来の填料と燃焼調節剤の組み合わせで製造された巻紙を用いたシガレットでは達成し得ない低い副流煙量を達成したことがわかる。

以上述べたように、本発明によれば、従来の巻紙よりもより一層効果的にタバコ副流煙を低減させ得る喫煙物品用巻紙が提供される。

Claims (5)

1. 巻紙中に燃焼調節剤を１ｇ／ｍ^２〜１５ｇ／ｍ^２、リン酸カルシウム系化合物を１ｇ／ｍ^２〜３０ｇ／ｍ^２担持する喫煙物品用巻紙。
2. 燃焼調節剤が１ｇ／ｍ^２〜１０ｇ／ｍ^２担持される請求項１に記載の巻紙。
3. 燃焼調節剤が、有機酸塩を含む請求項１に記載の巻紙。
4. リン酸カルシウム系化合物が、リン酸三カルシウムであり、燃焼調節剤が、クエン酸塩を含む請求項１に記載の巻紙。
5. 巻紙の坪量が、４０ｇ／ｍ^２以上、７０ｇ／ｍ^２以下の坪量を有する請求項１に記載の巻紙。