JPWO2002090685A1 - 柱及び柱用被覆材、柱の構築方法及び擁壁の構築方法 - Google Patents
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Abstract
簡易に構築することができるとともに、十分な強度が得られ、しかも経年変化にも強い柱を提供する。まず図1(A)に示すように、柱を建てる位置に、根入れ部1となる穴を掘削する。穴を掘削したら、図1(B)に示すように、掘削した穴に骨材2を挿入して建てる。そして、穴に例えばコンクリートなどを流し込み、根入れ部1を固定する。さらに図1(C)に示すように、根入れ部1から突出している骨材2が、被覆材3の中心部に貫通する挿入孔に挿入されるように、被覆材3を骨材2にかぶせる。この後、骨材2と被覆材3の内壁との間を、例えばコンクリートなどで充填し、骨材2と被覆材3とを一体とした柱を形成する。被覆材3には結合機構4が設けられており、壁や梁などと柱を結合することができる。
Description
技術分野
本発明は、基礎から立ち上がる柱、及び、該柱に用いて好適な柱用被覆材に関するものである。
従来技術
最近は、土地の有効活用のため、傾斜地に構造物を建造したり、あるいは傾斜地に擁壁を構築し、その下あるいは上に建造したりするといったことが行われる。また、地下構造物を建設する場合も多い。このような地下部分の建造や擁壁の構築は、一般には大規模な工事が必要となる。
図13は、従来の建造物の構築方法の一例の説明図である。図中、21は地中梁、22は柱、23は地中杭、24はフーチングである。従来、上述のような地下部分を有するような建造物を構築する際には、例えば図13(A)に示すように、利用部分よりも数十cm〜1m以上の深さに全体を掘削し、地中梁21を構築した後、柱22を建てる。そして、壁など、他の部材を構築してゆくことになる。このような工法では、掘削量が多く、また、壁材を設けるまでは掘削して露出した面に矢板などを仮設しておく必要がある。
建造物が大きい場合には、例えば図13(B)に示すように、例えばPC杭などの地中杭23を打設し、その上部を壊して内部の鉄筋を取り出し、地中梁21及び柱22との接続を図るフーチング24を設け、地中梁21、柱22などを構築し、さらに他の部材を構築してゆくことになる。この工法では、大きなフーチング24を設ける必要がある。またこの場合も、壁材を設けるまでは掘削して露出した面に矢板などを仮設しておく必要がある。
さらに、上述の2つの従来の工法では、基礎(例えば地中梁21や地中杭23など)と柱22とは、鉄筋などで連結されるとは言っても、別々に建造されるため、十分な結合強度を保つ必要があった。また、このように基礎部分と柱とは別々に構築しているため、工期も長く、建設コストも高くなっていた。
図14は、従来の擁壁の構築方法の一例の説明図である。図中、31は底版、32は垂直版、33は埋め戻し部である。傾斜地に擁壁を構築する場合、まず、図14に埋め戻し部33として示す部分をすべて削り取る。その後、底版31および垂直版32からなるL字型の擁壁を構築し、埋め戻し部33を埋め戻す。このようにして構築した擁壁は、底版31で埋め戻し部33の土砂の重さを受けて安定する。その後、埋め戻し部33の上部あるいは垂直版32の下部に構築物を構築することになる。
しかしこのような擁壁を構築するには、大規模な工事となってしまう。また、埋め戻し部33は元の安定した地盤とは異なり、不安定な地盤として改変してしまうため、埋め戻し部33が不同沈下を起こして上部の構築物が傾いたり、擁壁自体が傾いたりしてしまう等の不具合あった。
図15は、従来の擁壁の構築方法の別の例の説明図である。図中、41はH型鋼、42は根入れ部、43はPC版、44はタイバー、45はアンカーウェイトである。上述のような擁壁の構築方法の欠点を克服し、容易かつ安価に、しかも十分荷重に耐えうる擁壁の構築方法として、図15に示すような擁壁が考えられている。すなわち、擁壁の設置位置に、所定の間隔で根入れ部42の部分に穴を掘り、H型鋼41を建てて根入れ部42に例えばコンクリートを流し込むなどして根入れをする。そして、擁壁と直角方向に山側に溝を掘削してタイバー44を設けるとともに、タイバー44の端部にアンカーウェイト45を設ける。また、H型鋼41の凹部を利用し、各H型鋼41の間にPC版43を挿入する。これによって、擁壁を構築することができる。
このような構成では、図14に示した工法に比べて掘削量が非常に少なく、安価にしかも短い工期で擁壁を構築することができる。また、地盤を改変しないので安定した地盤を利用することができ、不同沈下などの影響を防ぐことができる。特にこのような工法では、根入れ部42から柱部分までがH型鋼41によって一体として構成されるので、図13に示した構造物の構築方法のように、基礎と柱を別々に構築しなくてよく、工期を短縮できるとともに、十分な強度が確保できる。
なお、簡易な擁壁では、タイバー44及びアンカーウェイト45を設けないで構築することもできる。また、このタイバー44及びアンカーウェイト45を設けない構成を利用して、塀などの自立した構造物を構築することもできる。
しかし、図15に示した擁壁の構築方法では、H型鋼41はほぼむき出しの状態で使用される。そのため、例えば山側の埋められた部分などでは、常に濡れた土などと接触している。そのため腐食しやすく、寿命に問題があった。H型鋼41に予め塗装を施しておくことも考えられるが、非常に高価であり、また工事中の取り扱いにより塗装が削られてしまうなどの問題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、簡易に構築することができるとともに、十分な強度が得られ、しかも経年変化にも強い柱と、その柱に使用する柱用被覆材、および、柱の構築方法と擁壁の構築方法を提供することを目的とするものである。
発明の開示
本発明は、柱において、基礎部分及び柱部分を貫通する骨材と、該骨材の前記柱部分の少なくとも一部を覆う被覆材を具備したことを特徴とするものである。また、このような柱の構築方法であって、根入れ部分を掘削し、柱部分まで一体となった骨材を掘削した根入れ部分に挿入して建て、根込めを行い、中心部に骨材が貫通する挿入孔を有する被覆材を前記骨材の柱部分が前記挿入孔に挿入されるように前記骨材に装着することを特徴とするものである。あるいは、柱部分に被覆材が一体となった骨材を利用し、掘削した根入れ部分に骨材を挿入して建て、根込めを行ってもよい。あるいは、柱部分の一部に被覆材が一体となった骨材を利用し、掘削した根入れ部分に骨材を挿入して建て、根込めを行い、骨材の柱部分の残りの部分に被覆材を装着するようにしてもよい。
このような構成によって、基礎部分と柱部分を別々に構築することなく、骨材を根入れ部分に挿入して建てることによって、基礎部分及び柱部分を一体として建造することができる。このとき、根入れ部分の掘削だけで柱を建てることができるため、簡易に、しかも低コストで建設することができ、また、地盤を改変する量を非常に少なくすることができる。
また、骨材の柱部分には例えばプレキャストコンクリート(PC)等で構成された被覆材がかぶせられる。あるいは、骨材の柱部分に被覆材を一体化して柱として建て、あるいは被覆材の一部を一体化して柱として建てた後に残りの被覆材を装着する。このような被覆材によって、例えば擁壁や地下構築物に利用したときに骨材を土中の水分などから遮断し、腐食を防止して経年変化を抑えることができる。
このような柱に用いられる被覆材として、中心部に骨材が貫通する挿入孔を有し、柱に接続される部材との結合を図るための結合機構を配置しておくことができる。結合機構としては、例えば鉄筋等を挿入可能な貫通孔や、板材等を固着するためのボルト等を螺着可能なようにねじを切った貫通孔などの結合機構を設けておく。例えば壁や梁などを構築する際に、鉄筋を被覆材の貫通孔から挿入し、被覆材と骨材の間において例えばコンクリートなどで埋めて固定してしまえば、鉄筋コンクリートによる壁や梁と、柱とを連結することができる。また、例えばPC版などによって壁を構築する場合にも、ボルトによる締結により、壁と柱とを連結することができる。もちろん、他の部材と結合可能な結合機構を設けておくこともできる。
さらに柱用被覆材として壁部を有するものを使用することができる。即ち、中心部に骨材が貫通する挿入孔を有し、前記骨材を被覆する柱部と該柱部に接合する壁部が一体になった柱用被覆材である。この壁部を有する柱用被覆材を使用する場合は、骨材に柱用被覆材を挿入した後に壁部が回転しないように、前記挿入孔の形状を円筒形とし、前記骨材の断面形状を該挿入孔の直径と略同じ長さの対角線を有する多角形にするのが好ましい。但し、その端部同士を一致させるための微調整程度の回転は許す構造にする。
また、横方向に間隔をおいて複数設置した骨材に、この壁部を有する柱用被覆材を挿入し、壁部の横方向の端部を隣接する柱用被覆材の柱部の端部に連結することで擁壁を構築することができる。柱用被覆材の高さより長い柱部分を有する骨材を使用すれば、その骨材の軸方向に柱用被覆材を積み上げることによって高い擁壁を構築することもできる。
発明を実施するための最良の形態
図1は、本発明の柱の構築方法の第1の実施の形態を示す工程図である。また、図1(C)は、本発明の柱の実施の一形態を示している。図中、1は根入れ部、2は骨材、3は被覆材、4は結合機構である。
まず図1(A)において、柱を建てる位置に、根入れ部1となる穴を掘削する。所定の深さの穴を掘削したら、図1(B)に示すように、掘削した穴に骨材2を挿入して建てる。骨材2は、例えばH型鋼、ボックスコラム、鋼管など、従来より骨材として利用している種々の材料を用いることができる。また金属に限らず、例えば高剛性のプラスチックなども利用可能である。そして、穴に例えばコンクリートなどを流し込み、根入れ部1を固定する。なお、地中梁などを構築する場合には、この時点で構築しておくことができる。
さらに図1(C)において、根入れ部1から突出している骨材2が、被覆材3の中心部に貫通する挿入孔に挿入されるように、被覆材3を骨材2にかぶせる。被覆材3としては、例えばプレキャストコンクリート(PC)や、アラミド繊維、炭素繊維、高剛性のプラスチックなども利用可能である。この後、骨材2と被覆材3の内壁との間を、例えばコンクリートなどで充填する。これによって、骨材2と被覆材3とを一体とした柱を形成することができる。
被覆材3には、壁や梁などといった柱に結合される他の部材との結合を図るための結合機構4を設けておくことができる。被覆材3を骨材2にかぶせた後、後述するように用途に応じ、壁や梁などを構築する。このとき、結合機構4を利用することができる。
また被覆材3を骨材2にかぶせた後に被覆材3の頭部から骨材2が突出する場合は、さらに被覆材3を骨材2にかぶせることができる。即ち、柱部分が長い骨材2を使用した場合、被覆材3は取り扱いのし易い長さのものを使用し、複数の被覆材3を積み上げることで柱を被覆することができる。もちろん、骨材2を継ぎ足すこともできる。
図2、図3は、本発明の柱用被覆材の実施の一形態における結合機構の態様の一例の説明図である。図中、11は貫通孔、12,13は鉄筋、14はナット、15は金具、16は凹部である。被覆材3には、図2(A)に示すように、多数の結合機構4が設けられている。結合機構4は、柱に結合する部材に応じて種々の形状とすることができる。また、配置位置についても、結合する部材に応じて設定したり、あるいは汎用に使用できる位置に設けておくことができる。
結合機構4の一例として、例えば図2(A)に示すように、被覆材3の表面から内部の骨材2の挿入孔まで貫通する貫通孔11として構成することができる。例えば壁や梁などを構築する際には、図2(B)に示すように、この貫通孔11から鉄筋12を挿入し、被覆材3の内部で折り曲げておく。このように鉄筋12を挿入した状態で、あるいは鉄筋12を用いて壁や梁などを構築した後、上述のように骨材2と被覆材3の内壁との間を、例えばコンクリートなどで充填することにより、貫通孔11から挿入した鉄筋12も固定され、壁や梁などを柱に結合することができる。
図2(C)に示す例においても、結合機構4を貫通孔11で構成した例を示しているが、この例では貫通孔11から挿入する鉄筋12の端部を環状あるいは鈎状に折り曲げておき、別の鉄筋13を骨材2と被覆材3の内壁との間に挿入するとともに、鉄筋12の端部の環状あるいは鈎状部を貫通させている。この例では、柱と他の部材との結合力を図2(B)に示す例よりも高めることができる。
図2(D)に示す例では、結合機構4としてナット14を埋め込んだ構造を有している。例えば壁としてPC版を利用する場合、金具をPC版に装着しておき、ボルト締めによりPC版と柱とを結合することができる。あるいは、例えば鉄筋にねじを切っておき、ナット14に螺着することも可能である。このような結合機構4は、例えば崩地擁壁などにおいては、足場インサートとして利用することも可能である。
図2に示した例では、貫通孔11やナット14など、結合機構4として孔を設けておく例を示した。図3(A)では、固着のための金具15を、被覆材3から突出するように予め埋め込んだ例を示している。この場合も、例えばPC版などを固定する際に、PC版をはめ込んだり、あるいはボルト締めする等、各種の固着手段により、金具15を用いて柱に結合させることができる。
さらに図3(B)に示す例では、結合機構4として、被覆材3の表面に凹部16を設けた例を示している。このような構成では、例えばPC版などを被覆材3の凹部16に嵌合させ、例えば落とし込むことによって柱とPC版とを結合することができる。この構成において、例えば図3(C)に示すように、凹部16の開口部と奥部とで幅を異ならせておき、同形状の端部を有するPC版などを上部から挿入して嵌合させるように構成してもよい。
結合機構4は、これらの方式に限らず、種々の公知の方法を適用することが可能である。例えば接着材による接着や、溶接を行うなどの方法を用いることも可能である。また、各種の結合機構4は、適宜組み合わせて用いることができる。例えば柱に複数の部材を結合する場合、その結合される部材に応じた構造を、それぞれの結合部分に適用することができる。
なお、上述のように被覆材3は骨材2にかぶせるように装着するが、例えば骨材2を根入れ部1に挿入して固定する際に、多少の回転方向のずれが生じる場合がある。しかし、被覆材3をかぶせる際に、結合機構4の配置されている向きに応じて設置すれば、内部の骨材2が回転方向にずれていても、何ら支障なく他の部材を柱に結合することができる。そのため、柱の構築には熟練した施工者でなくても施工することができる。
また、被覆材3は、そのまま仕上げ材として利用することができる。あるいは、被覆材3の表面に、コンクリート、石、タイル、木材など、通常、仕上げ材として利用される材料を装着してもよい。さらに、図示した例では、被覆材3の形状は略円筒形状として示しているが、もちろんこれに限られるものではなく、断面の外形形状が略矩形であったり、その他、各種の形状であってもよい。
図4は、本発明の柱の構築方法の第2の実施の形態を示す工程図である。図中の符号は、図1と同様である。この例では、骨材2の柱部分に予め被覆材3を設けておく例を示している。まず図4(A)において、柱を建てる位置に、根入れ部1となる穴を掘削する。所定の深さの穴を掘削したら、図4(B)に示すように、掘削した穴に、被覆材3が設けられた骨材2を挿入して建てる。そして、穴に例えばコンクリートなどを流し込み、根入れ部1を固定する。なお、地中梁などを構築する場合には、その部分だけ被覆材3に覆われていない部分を残しておくとよい。あるいは、地中梁も被覆材3に接合してもよい。
この構築方法によれば、予め骨材2に被覆材3が設けられているので、現場での施工量を減らすことができ、上述の第1の実施の形態に比べて、さらに工期の短縮及びコストの低減を図ることができる。なお、この構築方法で用いる骨材2や被覆材3は、上述の第1の実施の形態と同様のものを用いることができる。
図5は、本発明の柱の構築方法の第3の実施の形態を示す工程図である。図中の符号は、図1と同様である。この例では、骨材2の柱部分に予め被覆材3の一部を設けておく例を示している。まず図5(A)において、柱を建てる位置に、根入れ部1となる穴を掘削する。所定の深さの穴を掘削したら、図5(B)に示すように、掘削した穴に、被覆材3の一部が設けられた骨材2を挿入して建てる。そして、穴に例えばコンクリートなどを流し込み、根入れ部1を固定する。なお、地中梁などを構築する場合には、その部分だけ被覆材3に覆われていない部分を残しておくとよい。あるいは、地中梁も被覆材3に接合してもよい。その後、図5(C)に示すように、被覆材3の残りの部分を装着し、完成する。
図6は、本発明の柱の構築方法の第3の実施の形態において利用可能な被覆材が設けられた骨材の一例を示す断面図である。3’,3”は被覆材である。この例では、図6(A)に示すように、骨材2に被覆材3’が予め設けられている。このような被覆材3’が設けられた骨材2を柱として建て、壁などを構築した後、図6(B)に示すように、残りの被覆材3”を装着することができる。その後、骨材2と、被覆材3”や壁材等との隙間などに、例えばコンクリートなどの充填材を充填し、柱が完成する。もちろん、被覆材3”を接着して工事を終了してもよい。
このような構成では、例えば地下構築物などで見えない部分については被覆材3’として予め骨材2に設けておいて柱として建て、その後、見える部分について外装材として残りの被覆材3”の部分を装着する等といった用途が考えられる。この場合、被覆材3’の部分は共通化し、また被覆材3”の部分は用途に応じて選択することができ、広範囲の用途への適用が可能になる。
なお、図6に示した骨材2及び被覆材3’,3”の構成は一例であって、種々の変形が可能である。また、結合機構4として、上述の第1の実施の形態と同様の機構を適用することができる。
次に、いくつかの施工例について示す。なお、以下の施工例では、上述の柱の構築方法の第1の実施の形態を利用した場合について示している。しかしこれに限らず、柱の構築方法の第2,第3の実施の形態を利用して施工することもできる。
図7は、本発明の柱を地下構造物に利用する場合の施工方法の一例の説明図である。図7(A)において、柱を設置する位置に、柱部分及び根入れ部1となる穴を掘削する。通常は、柱を所定の間隔で設置するため、穴の掘削も所定の間隔で複数掘削することになる。そして、掘削した穴に骨材2を挿入し、例えばコンクリートなどを流し込んで根入れ部1を形成する。この場合、地下構造物の床面あるいは床面から所定深さまでが根入れ部1となる。なお、骨材2の上端は、この例では穴の口までしか図示していないが、もちろん地上部に長く突出して、地上部の柱として利用することもできる。
このようにして骨材2が掘削した穴の中に建ったら、図7(B)に示すように骨材2の柱部分に被覆材3をかぶせる。これで、地下構造物の柱が完成する。この時点で、図7(B)において破線で示すように、地上部あるいは地面付近において梁などを構築し、各柱を連結しておくとよい。なお、骨材2を地上部にまで突出させている場合、その突出した部分については被覆材3で覆わなくてもよいし、もちろん、地上部分まで被覆材で覆ってもよい。
その後、地下部分の掘削を行う。掘削を行いながら、例えばPC版を柱の間に設けて壁を構築してゆくことができる。このとき、被覆材3に結合機構4を設けておけば、その結合機構4を用いて柱と壁を結合してゆくことができる。最終的に床部分まで掘削し、地中梁や床などを構築すればよい。この場合も、被覆材3の結合機構4を用いて柱と梁や床などを結合してもよい。もちろん最終的に、骨材2と被覆材3との間に例えばコンクリートなどを充填し、骨材2と被覆材3とを一体化させることになる。壁材はPC版でなくても、例えば鉄筋コンクリートなど、他の材料でもよい。また、ここでは図示していないが、このようにして構築した柱の上に地上部分の構築を行うことも可能である。
このような工法では、従来のように最初に大きく地下部分を掘り進む必要がないため、例えば掘削した法面を例えば矢板等で仮に土留めを行う等の工程が不要であり、工期を短縮できるとともに、安全に施工することができる。これは、本発明の柱が基礎部分と柱部分が一体であるので、基礎のために掘削する必要がなくなったことによる。
もちろん、従来と同様にして、最初に地下部分をすべて掘削し、本発明の柱を建てて地下構造物を構築することも可能である。この場合でも、根入れ部1が構造物よりもさらに深く埋設されるので、地中梁のための掘削量を軽減することができる。また、例えば従来の杭を用いた施工に比べ、杭と地中梁と柱を結合するためのフーチングを設ける必要がなく、施工を簡略化することができる。
また、本発明の柱は、上述のように被覆材3で覆われている。そのため、例えば骨材2としてH型鋼などを用いた場合でも周囲の土と骨材2が接触せず、腐食などの心配がなく、経年変化を抑えて長寿命の地下構造物を構築することができる。
このようにして構築する地下構造物は、平坦地を掘削して構築するほか、例えば傾斜地において一部が地下になるような場合についても適用することができる。もちろん本発明の柱は、地下構造物だけでなく、地上部のみの構造物についても同様にして適用することが可能である。例えば従来の地中梁で荷重を持たせる構造に比べて、掘削量を減少させることができ、地盤の改変を最小限にとどめることができるとともに、工期の短縮を図ることができる。
図8は、本発明の柱を擁壁に利用する場合の施工方法の一例の説明図である。図8(A)において、擁壁を構築する位置に、等間隔に根入れ部1となる穴を掘削する。そして、掘削した穴に骨材2を挿入し、例えばコンクリートなどを流し込んで根入れ部1を形成する。この場合、擁壁の高さだけ、骨材2の上部が根入れ部1から突出するようにする。骨材2が掘削した穴の中に建ったら、図8(B)に示すように骨材2の柱部分に被覆材3をかぶせる。
ここでは、図15に示したように、タイバー44及びアンカーウェイト45を用いる例を示している。被覆材3の結合機構4を利用してタイバー44を柱に結合させ、アンカーウェイト45と柱とを連結する。そして、各柱の間に壁を構築する。例えば壁をPC版43などの板材で構成する場合には、柱と板材とを例えばボルトなどで結合すればよい。このようにして、図8(C)に示すような擁壁が完成する。
図9は、本発明の柱を擁壁に利用し、壁を鉄筋コンクリートで構成する場合の施工方法の一例の説明図である。上述の図8(A)、(B)に示した工程と同様にして、骨材2を掘削した穴に挿入し、根入れを行った後、被覆材3をかぶせる。被覆材3には例えば図2(A)に示すように結合機構4が設けられている。これを利用して、例えば図2(B)、(C)に示すような結合方法を用いて鉄筋を柱に固着し、図9(A)に示すように鉄筋を組む。そしてコンクリートを打設することによって、図9(B)に示すような擁壁が完成する。
このような図8,図9に示した本発明の柱を用いた工法によれば、骨材2が被覆材3で覆われるので、従来のようにH型鋼が土に接触するために発生する腐食などの心配がなく、経年変化を抑えた長寿命の擁壁を構築することができる。また、図14に示したような従来のL型の擁壁などに比べて、施工が容易であり、工期も大幅に短縮することができる。
もちろん、タイバー44及びアンカーウェイト45を設けない、簡易な擁壁についても、本発明の柱を利用することができる。さらに、本発明の柱を所定の間隔で配置し、柱の間に壁材を配置して塀として構築することもできる。壁材の代わりにネットなどを柱に係止し、野球場やゴルフ練習場などに応用することも可能である。
図10は、本発明の柱に設けた結合機構の利用方法の一例の説明図である。図中、17はブラケットである。例えば図8や図9に示したように、本発明の柱を用いて擁壁を構築すると、その工事の期間中あるいは施工完了後も、壁や梁などの擁壁以外の部材の装着に利用することが可能である。例えば被覆材3に図2(D)に示すようなナットを谷側に設けておくことにより、足場のインサートとして利用することが可能である。すなわち、図10に示すように結合機構4にブラケット17を装着することによって、足場とすることができる。ブラケット17は、例えば少なくとも下部においては取り外し可能にしておくことによって、関係者以外の者が擁壁を登ろうとする事態を回避することができる。なお、結合機構4としてはナットによるねじ込み式以外にも、荷重に耐える方向のひっかけ式の構成、あるいは図3(A)に示すように予め足場が装着されている構成など、種々の構成が可能である。
図11は、本発明の骨材に挿入する壁部を備えた柱用被覆材の利用方法の一例の説明図である。
壁付き被覆材5は、上記した被覆材に壁部52を取り付けたものである。即ち、骨材2が貫通する挿入孔を形成する柱部51と、柱部51と一体に接合された壁部52からなる。この壁部52は設置後に擁壁の役割を果たす。
柱部51の挿入孔は円筒形に形成するのは好ましい。そして骨材2は、壁付き被覆材5を挿入した後に骨材2を中心に壁付き被覆材5がほとんど回転しない断面形状のものを使用する。例えば、挿入孔の直径と対角線の長さがほぼ等しい矩形断面の骨材2が使用できる。このような構成にすることによって、壁部52を任意の方向に向けて壁付き被覆材5を設置することができ、設置後にも壁付き被覆材5が回転しないため回転防止の仮止め等を必要としない。なお、壁付き被覆材5を横方向に連続して設置した場合に、その端部同士を一致させるための微調整程度の回転を許す構造にすることが好ましい。
図12は、本発明の壁付き被覆材5を使用して擁壁を構築する方法の一例の説明図である。
まず、骨材2を横方向に間隔をおいて設置する。各骨材2の設置場所に根入れ部1となる穴を掘削し、骨材2を挿入した後に根入れ部1を固定するのは上述したものと同じである。
そして、各骨材2に壁付き被覆材5をかぶせる。隣接する壁付き被覆材5a,5bの横方向の端部同士は必要に応じて連結する。ここで連結は、公知の連結方法、連結構造及び連結材料でおこなうことができる。
本発明では壁付き被覆材5は上記したように任意の方向で設置できるため、隣り合う壁付き被覆材5a,5bの端部同士を容易に一致させることができる。
壁付き被覆材5の一段目の配置が終了した後に2段目の壁付き被覆材5の設置をおこなう。ここで、例えば1段目に設置した壁付き被覆材5の壁部52の上端に凹部を形成し、2段目に設置する壁付き被覆材5の壁部52の下端に凸部を形成し、凹部と凸部を嵌合することによって上下の壁付き被覆材5を連結することができる。この上下の壁付き被覆材5の連結に使用する継手構造、継手材料には公知のものが使用できる。
そして、所定の高さまで壁付き被覆材5を積み上げて擁壁を完成させる。
なお、本発明の被覆材3,3’,3”及び壁付き被覆材5は単位長さに加工したものを使用できるため、部分的に壊れた場合などに壊れた部分のみを取り替えることができる。
このため、メンテナンスを容易におこなうことができる。
産業上の利用可能性
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、基礎部分から柱部分まで骨材が貫通しており、その骨材の柱部分を被覆材で覆った構造であるので、従来のように基礎部分と柱部分を別々に構築する必要はなく、簡易に、しかも低コストで、短い工期で柱を構築することができる。しかも、十分な強度が得られ、例えば地下のように常に濡れた状態の場所に施工しても経年変化にも強く、長寿命の柱を提供することができる。さらに、基礎となる根入れ部分は穴を掘削するだけであるため、地盤を改変する量を非常に少なくすることができる。
また、被覆材には他の部材、例えば壁や梁などと結合するための結合機構を設けておくことができる。これによって、骨材を被覆材で被覆してしまっても、柱と他の部材とを良好に、しかも簡単に結合することができる。
さらに、上述のように各種の建造物に対して適用することができ、工期を短縮し、施工が容易であり、低コストで施工することが可能になる。さらに、施工時の安全性も確保することができるなど、本発明によれば従来の土木技術にはない種々の効果がある。
また、壁付き被覆材を使用することで、柱部分の被覆と擁壁の構築が一度におこなえるため、工期を短縮でき、経済的である。この壁付き被覆材は、任意の方向に向けて設置できるため、骨材の向きを予め揃えておく必要がなく施工が簡単である。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の柱の構築方法の実施の一形態を示す工程図である。
図2は、本発明の柱用被覆材の実施の一形態における結合機構の態様の一例の説明図である。
図3は、本発明の柱用被覆材の実施の一形態における結合機構の態様の別の例の説明図である。
図4は、本発明の柱の構築方法の第2の実施の形態を示す工程図である。
図5は、本発明の柱の構築方法の第3の実施の形態を示す工程図である。
図6は、本発明の柱の構築方法の第3の実施の形態において利用可能な被覆材が設けられた骨材の一例を示す断面図である。
図7は、本発明の柱を地下構造物に利用する場合の施工方法の一例の説明図である。
図8は、本発明の柱を擁壁に利用する場合の施工方法の一例の説明図である。
図9は、本発明の柱を擁壁に利用し、壁を鉄筋コンクリートで構成する場合の施工方法の一例の説明図である。
図10は、本発明の柱に設けた結合機構の利用方法の一例の説明図である。
図11は、本発明の骨材に挿入する壁部を備えた柱用被覆材の利用方法の一例の説明図である。
図12は、本発明の壁付き被覆材5を使用して擁壁を構築する方法の一例の説明図である。
図13は、従来の建造物の構築方法の一例の説明図である。
図14は、従来の擁壁の構築方法の一例の説明図である。
図15は、従来の擁壁の構築方法の別の例の説明図である。
本発明は、基礎から立ち上がる柱、及び、該柱に用いて好適な柱用被覆材に関するものである。
従来技術
最近は、土地の有効活用のため、傾斜地に構造物を建造したり、あるいは傾斜地に擁壁を構築し、その下あるいは上に建造したりするといったことが行われる。また、地下構造物を建設する場合も多い。このような地下部分の建造や擁壁の構築は、一般には大規模な工事が必要となる。
図13は、従来の建造物の構築方法の一例の説明図である。図中、21は地中梁、22は柱、23は地中杭、24はフーチングである。従来、上述のような地下部分を有するような建造物を構築する際には、例えば図13(A)に示すように、利用部分よりも数十cm〜1m以上の深さに全体を掘削し、地中梁21を構築した後、柱22を建てる。そして、壁など、他の部材を構築してゆくことになる。このような工法では、掘削量が多く、また、壁材を設けるまでは掘削して露出した面に矢板などを仮設しておく必要がある。
建造物が大きい場合には、例えば図13(B)に示すように、例えばPC杭などの地中杭23を打設し、その上部を壊して内部の鉄筋を取り出し、地中梁21及び柱22との接続を図るフーチング24を設け、地中梁21、柱22などを構築し、さらに他の部材を構築してゆくことになる。この工法では、大きなフーチング24を設ける必要がある。またこの場合も、壁材を設けるまでは掘削して露出した面に矢板などを仮設しておく必要がある。
さらに、上述の2つの従来の工法では、基礎(例えば地中梁21や地中杭23など)と柱22とは、鉄筋などで連結されるとは言っても、別々に建造されるため、十分な結合強度を保つ必要があった。また、このように基礎部分と柱とは別々に構築しているため、工期も長く、建設コストも高くなっていた。
図14は、従来の擁壁の構築方法の一例の説明図である。図中、31は底版、32は垂直版、33は埋め戻し部である。傾斜地に擁壁を構築する場合、まず、図14に埋め戻し部33として示す部分をすべて削り取る。その後、底版31および垂直版32からなるL字型の擁壁を構築し、埋め戻し部33を埋め戻す。このようにして構築した擁壁は、底版31で埋め戻し部33の土砂の重さを受けて安定する。その後、埋め戻し部33の上部あるいは垂直版32の下部に構築物を構築することになる。
しかしこのような擁壁を構築するには、大規模な工事となってしまう。また、埋め戻し部33は元の安定した地盤とは異なり、不安定な地盤として改変してしまうため、埋め戻し部33が不同沈下を起こして上部の構築物が傾いたり、擁壁自体が傾いたりしてしまう等の不具合あった。
図15は、従来の擁壁の構築方法の別の例の説明図である。図中、41はH型鋼、42は根入れ部、43はPC版、44はタイバー、45はアンカーウェイトである。上述のような擁壁の構築方法の欠点を克服し、容易かつ安価に、しかも十分荷重に耐えうる擁壁の構築方法として、図15に示すような擁壁が考えられている。すなわち、擁壁の設置位置に、所定の間隔で根入れ部42の部分に穴を掘り、H型鋼41を建てて根入れ部42に例えばコンクリートを流し込むなどして根入れをする。そして、擁壁と直角方向に山側に溝を掘削してタイバー44を設けるとともに、タイバー44の端部にアンカーウェイト45を設ける。また、H型鋼41の凹部を利用し、各H型鋼41の間にPC版43を挿入する。これによって、擁壁を構築することができる。
このような構成では、図14に示した工法に比べて掘削量が非常に少なく、安価にしかも短い工期で擁壁を構築することができる。また、地盤を改変しないので安定した地盤を利用することができ、不同沈下などの影響を防ぐことができる。特にこのような工法では、根入れ部42から柱部分までがH型鋼41によって一体として構成されるので、図13に示した構造物の構築方法のように、基礎と柱を別々に構築しなくてよく、工期を短縮できるとともに、十分な強度が確保できる。
なお、簡易な擁壁では、タイバー44及びアンカーウェイト45を設けないで構築することもできる。また、このタイバー44及びアンカーウェイト45を設けない構成を利用して、塀などの自立した構造物を構築することもできる。
しかし、図15に示した擁壁の構築方法では、H型鋼41はほぼむき出しの状態で使用される。そのため、例えば山側の埋められた部分などでは、常に濡れた土などと接触している。そのため腐食しやすく、寿命に問題があった。H型鋼41に予め塗装を施しておくことも考えられるが、非常に高価であり、また工事中の取り扱いにより塗装が削られてしまうなどの問題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、簡易に構築することができるとともに、十分な強度が得られ、しかも経年変化にも強い柱と、その柱に使用する柱用被覆材、および、柱の構築方法と擁壁の構築方法を提供することを目的とするものである。
発明の開示
本発明は、柱において、基礎部分及び柱部分を貫通する骨材と、該骨材の前記柱部分の少なくとも一部を覆う被覆材を具備したことを特徴とするものである。また、このような柱の構築方法であって、根入れ部分を掘削し、柱部分まで一体となった骨材を掘削した根入れ部分に挿入して建て、根込めを行い、中心部に骨材が貫通する挿入孔を有する被覆材を前記骨材の柱部分が前記挿入孔に挿入されるように前記骨材に装着することを特徴とするものである。あるいは、柱部分に被覆材が一体となった骨材を利用し、掘削した根入れ部分に骨材を挿入して建て、根込めを行ってもよい。あるいは、柱部分の一部に被覆材が一体となった骨材を利用し、掘削した根入れ部分に骨材を挿入して建て、根込めを行い、骨材の柱部分の残りの部分に被覆材を装着するようにしてもよい。
このような構成によって、基礎部分と柱部分を別々に構築することなく、骨材を根入れ部分に挿入して建てることによって、基礎部分及び柱部分を一体として建造することができる。このとき、根入れ部分の掘削だけで柱を建てることができるため、簡易に、しかも低コストで建設することができ、また、地盤を改変する量を非常に少なくすることができる。
また、骨材の柱部分には例えばプレキャストコンクリート(PC)等で構成された被覆材がかぶせられる。あるいは、骨材の柱部分に被覆材を一体化して柱として建て、あるいは被覆材の一部を一体化して柱として建てた後に残りの被覆材を装着する。このような被覆材によって、例えば擁壁や地下構築物に利用したときに骨材を土中の水分などから遮断し、腐食を防止して経年変化を抑えることができる。
このような柱に用いられる被覆材として、中心部に骨材が貫通する挿入孔を有し、柱に接続される部材との結合を図るための結合機構を配置しておくことができる。結合機構としては、例えば鉄筋等を挿入可能な貫通孔や、板材等を固着するためのボルト等を螺着可能なようにねじを切った貫通孔などの結合機構を設けておく。例えば壁や梁などを構築する際に、鉄筋を被覆材の貫通孔から挿入し、被覆材と骨材の間において例えばコンクリートなどで埋めて固定してしまえば、鉄筋コンクリートによる壁や梁と、柱とを連結することができる。また、例えばPC版などによって壁を構築する場合にも、ボルトによる締結により、壁と柱とを連結することができる。もちろん、他の部材と結合可能な結合機構を設けておくこともできる。
さらに柱用被覆材として壁部を有するものを使用することができる。即ち、中心部に骨材が貫通する挿入孔を有し、前記骨材を被覆する柱部と該柱部に接合する壁部が一体になった柱用被覆材である。この壁部を有する柱用被覆材を使用する場合は、骨材に柱用被覆材を挿入した後に壁部が回転しないように、前記挿入孔の形状を円筒形とし、前記骨材の断面形状を該挿入孔の直径と略同じ長さの対角線を有する多角形にするのが好ましい。但し、その端部同士を一致させるための微調整程度の回転は許す構造にする。
また、横方向に間隔をおいて複数設置した骨材に、この壁部を有する柱用被覆材を挿入し、壁部の横方向の端部を隣接する柱用被覆材の柱部の端部に連結することで擁壁を構築することができる。柱用被覆材の高さより長い柱部分を有する骨材を使用すれば、その骨材の軸方向に柱用被覆材を積み上げることによって高い擁壁を構築することもできる。
発明を実施するための最良の形態
図1は、本発明の柱の構築方法の第1の実施の形態を示す工程図である。また、図1(C)は、本発明の柱の実施の一形態を示している。図中、1は根入れ部、2は骨材、3は被覆材、4は結合機構である。
まず図1(A)において、柱を建てる位置に、根入れ部1となる穴を掘削する。所定の深さの穴を掘削したら、図1(B)に示すように、掘削した穴に骨材2を挿入して建てる。骨材2は、例えばH型鋼、ボックスコラム、鋼管など、従来より骨材として利用している種々の材料を用いることができる。また金属に限らず、例えば高剛性のプラスチックなども利用可能である。そして、穴に例えばコンクリートなどを流し込み、根入れ部1を固定する。なお、地中梁などを構築する場合には、この時点で構築しておくことができる。
さらに図1(C)において、根入れ部1から突出している骨材2が、被覆材3の中心部に貫通する挿入孔に挿入されるように、被覆材3を骨材2にかぶせる。被覆材3としては、例えばプレキャストコンクリート(PC)や、アラミド繊維、炭素繊維、高剛性のプラスチックなども利用可能である。この後、骨材2と被覆材3の内壁との間を、例えばコンクリートなどで充填する。これによって、骨材2と被覆材3とを一体とした柱を形成することができる。
被覆材3には、壁や梁などといった柱に結合される他の部材との結合を図るための結合機構4を設けておくことができる。被覆材3を骨材2にかぶせた後、後述するように用途に応じ、壁や梁などを構築する。このとき、結合機構4を利用することができる。
また被覆材3を骨材2にかぶせた後に被覆材3の頭部から骨材2が突出する場合は、さらに被覆材3を骨材2にかぶせることができる。即ち、柱部分が長い骨材2を使用した場合、被覆材3は取り扱いのし易い長さのものを使用し、複数の被覆材3を積み上げることで柱を被覆することができる。もちろん、骨材2を継ぎ足すこともできる。
図2、図3は、本発明の柱用被覆材の実施の一形態における結合機構の態様の一例の説明図である。図中、11は貫通孔、12,13は鉄筋、14はナット、15は金具、16は凹部である。被覆材3には、図2(A)に示すように、多数の結合機構4が設けられている。結合機構4は、柱に結合する部材に応じて種々の形状とすることができる。また、配置位置についても、結合する部材に応じて設定したり、あるいは汎用に使用できる位置に設けておくことができる。
結合機構4の一例として、例えば図2(A)に示すように、被覆材3の表面から内部の骨材2の挿入孔まで貫通する貫通孔11として構成することができる。例えば壁や梁などを構築する際には、図2(B)に示すように、この貫通孔11から鉄筋12を挿入し、被覆材3の内部で折り曲げておく。このように鉄筋12を挿入した状態で、あるいは鉄筋12を用いて壁や梁などを構築した後、上述のように骨材2と被覆材3の内壁との間を、例えばコンクリートなどで充填することにより、貫通孔11から挿入した鉄筋12も固定され、壁や梁などを柱に結合することができる。
図2(C)に示す例においても、結合機構4を貫通孔11で構成した例を示しているが、この例では貫通孔11から挿入する鉄筋12の端部を環状あるいは鈎状に折り曲げておき、別の鉄筋13を骨材2と被覆材3の内壁との間に挿入するとともに、鉄筋12の端部の環状あるいは鈎状部を貫通させている。この例では、柱と他の部材との結合力を図2(B)に示す例よりも高めることができる。
図2(D)に示す例では、結合機構4としてナット14を埋め込んだ構造を有している。例えば壁としてPC版を利用する場合、金具をPC版に装着しておき、ボルト締めによりPC版と柱とを結合することができる。あるいは、例えば鉄筋にねじを切っておき、ナット14に螺着することも可能である。このような結合機構4は、例えば崩地擁壁などにおいては、足場インサートとして利用することも可能である。
図2に示した例では、貫通孔11やナット14など、結合機構4として孔を設けておく例を示した。図3(A)では、固着のための金具15を、被覆材3から突出するように予め埋め込んだ例を示している。この場合も、例えばPC版などを固定する際に、PC版をはめ込んだり、あるいはボルト締めする等、各種の固着手段により、金具15を用いて柱に結合させることができる。
さらに図3(B)に示す例では、結合機構4として、被覆材3の表面に凹部16を設けた例を示している。このような構成では、例えばPC版などを被覆材3の凹部16に嵌合させ、例えば落とし込むことによって柱とPC版とを結合することができる。この構成において、例えば図3(C)に示すように、凹部16の開口部と奥部とで幅を異ならせておき、同形状の端部を有するPC版などを上部から挿入して嵌合させるように構成してもよい。
結合機構4は、これらの方式に限らず、種々の公知の方法を適用することが可能である。例えば接着材による接着や、溶接を行うなどの方法を用いることも可能である。また、各種の結合機構4は、適宜組み合わせて用いることができる。例えば柱に複数の部材を結合する場合、その結合される部材に応じた構造を、それぞれの結合部分に適用することができる。
なお、上述のように被覆材3は骨材2にかぶせるように装着するが、例えば骨材2を根入れ部1に挿入して固定する際に、多少の回転方向のずれが生じる場合がある。しかし、被覆材3をかぶせる際に、結合機構4の配置されている向きに応じて設置すれば、内部の骨材2が回転方向にずれていても、何ら支障なく他の部材を柱に結合することができる。そのため、柱の構築には熟練した施工者でなくても施工することができる。
また、被覆材3は、そのまま仕上げ材として利用することができる。あるいは、被覆材3の表面に、コンクリート、石、タイル、木材など、通常、仕上げ材として利用される材料を装着してもよい。さらに、図示した例では、被覆材3の形状は略円筒形状として示しているが、もちろんこれに限られるものではなく、断面の外形形状が略矩形であったり、その他、各種の形状であってもよい。
図4は、本発明の柱の構築方法の第2の実施の形態を示す工程図である。図中の符号は、図1と同様である。この例では、骨材2の柱部分に予め被覆材3を設けておく例を示している。まず図4(A)において、柱を建てる位置に、根入れ部1となる穴を掘削する。所定の深さの穴を掘削したら、図4(B)に示すように、掘削した穴に、被覆材3が設けられた骨材2を挿入して建てる。そして、穴に例えばコンクリートなどを流し込み、根入れ部1を固定する。なお、地中梁などを構築する場合には、その部分だけ被覆材3に覆われていない部分を残しておくとよい。あるいは、地中梁も被覆材3に接合してもよい。
この構築方法によれば、予め骨材2に被覆材3が設けられているので、現場での施工量を減らすことができ、上述の第1の実施の形態に比べて、さらに工期の短縮及びコストの低減を図ることができる。なお、この構築方法で用いる骨材2や被覆材3は、上述の第1の実施の形態と同様のものを用いることができる。
図5は、本発明の柱の構築方法の第3の実施の形態を示す工程図である。図中の符号は、図1と同様である。この例では、骨材2の柱部分に予め被覆材3の一部を設けておく例を示している。まず図5(A)において、柱を建てる位置に、根入れ部1となる穴を掘削する。所定の深さの穴を掘削したら、図5(B)に示すように、掘削した穴に、被覆材3の一部が設けられた骨材2を挿入して建てる。そして、穴に例えばコンクリートなどを流し込み、根入れ部1を固定する。なお、地中梁などを構築する場合には、その部分だけ被覆材3に覆われていない部分を残しておくとよい。あるいは、地中梁も被覆材3に接合してもよい。その後、図5(C)に示すように、被覆材3の残りの部分を装着し、完成する。
図6は、本発明の柱の構築方法の第3の実施の形態において利用可能な被覆材が設けられた骨材の一例を示す断面図である。3’,3”は被覆材である。この例では、図6(A)に示すように、骨材2に被覆材3’が予め設けられている。このような被覆材3’が設けられた骨材2を柱として建て、壁などを構築した後、図6(B)に示すように、残りの被覆材3”を装着することができる。その後、骨材2と、被覆材3”や壁材等との隙間などに、例えばコンクリートなどの充填材を充填し、柱が完成する。もちろん、被覆材3”を接着して工事を終了してもよい。
このような構成では、例えば地下構築物などで見えない部分については被覆材3’として予め骨材2に設けておいて柱として建て、その後、見える部分について外装材として残りの被覆材3”の部分を装着する等といった用途が考えられる。この場合、被覆材3’の部分は共通化し、また被覆材3”の部分は用途に応じて選択することができ、広範囲の用途への適用が可能になる。
なお、図6に示した骨材2及び被覆材3’,3”の構成は一例であって、種々の変形が可能である。また、結合機構4として、上述の第1の実施の形態と同様の機構を適用することができる。
次に、いくつかの施工例について示す。なお、以下の施工例では、上述の柱の構築方法の第1の実施の形態を利用した場合について示している。しかしこれに限らず、柱の構築方法の第2,第3の実施の形態を利用して施工することもできる。
図7は、本発明の柱を地下構造物に利用する場合の施工方法の一例の説明図である。図7(A)において、柱を設置する位置に、柱部分及び根入れ部1となる穴を掘削する。通常は、柱を所定の間隔で設置するため、穴の掘削も所定の間隔で複数掘削することになる。そして、掘削した穴に骨材2を挿入し、例えばコンクリートなどを流し込んで根入れ部1を形成する。この場合、地下構造物の床面あるいは床面から所定深さまでが根入れ部1となる。なお、骨材2の上端は、この例では穴の口までしか図示していないが、もちろん地上部に長く突出して、地上部の柱として利用することもできる。
このようにして骨材2が掘削した穴の中に建ったら、図7(B)に示すように骨材2の柱部分に被覆材3をかぶせる。これで、地下構造物の柱が完成する。この時点で、図7(B)において破線で示すように、地上部あるいは地面付近において梁などを構築し、各柱を連結しておくとよい。なお、骨材2を地上部にまで突出させている場合、その突出した部分については被覆材3で覆わなくてもよいし、もちろん、地上部分まで被覆材で覆ってもよい。
その後、地下部分の掘削を行う。掘削を行いながら、例えばPC版を柱の間に設けて壁を構築してゆくことができる。このとき、被覆材3に結合機構4を設けておけば、その結合機構4を用いて柱と壁を結合してゆくことができる。最終的に床部分まで掘削し、地中梁や床などを構築すればよい。この場合も、被覆材3の結合機構4を用いて柱と梁や床などを結合してもよい。もちろん最終的に、骨材2と被覆材3との間に例えばコンクリートなどを充填し、骨材2と被覆材3とを一体化させることになる。壁材はPC版でなくても、例えば鉄筋コンクリートなど、他の材料でもよい。また、ここでは図示していないが、このようにして構築した柱の上に地上部分の構築を行うことも可能である。
このような工法では、従来のように最初に大きく地下部分を掘り進む必要がないため、例えば掘削した法面を例えば矢板等で仮に土留めを行う等の工程が不要であり、工期を短縮できるとともに、安全に施工することができる。これは、本発明の柱が基礎部分と柱部分が一体であるので、基礎のために掘削する必要がなくなったことによる。
もちろん、従来と同様にして、最初に地下部分をすべて掘削し、本発明の柱を建てて地下構造物を構築することも可能である。この場合でも、根入れ部1が構造物よりもさらに深く埋設されるので、地中梁のための掘削量を軽減することができる。また、例えば従来の杭を用いた施工に比べ、杭と地中梁と柱を結合するためのフーチングを設ける必要がなく、施工を簡略化することができる。
また、本発明の柱は、上述のように被覆材3で覆われている。そのため、例えば骨材2としてH型鋼などを用いた場合でも周囲の土と骨材2が接触せず、腐食などの心配がなく、経年変化を抑えて長寿命の地下構造物を構築することができる。
このようにして構築する地下構造物は、平坦地を掘削して構築するほか、例えば傾斜地において一部が地下になるような場合についても適用することができる。もちろん本発明の柱は、地下構造物だけでなく、地上部のみの構造物についても同様にして適用することが可能である。例えば従来の地中梁で荷重を持たせる構造に比べて、掘削量を減少させることができ、地盤の改変を最小限にとどめることができるとともに、工期の短縮を図ることができる。
図8は、本発明の柱を擁壁に利用する場合の施工方法の一例の説明図である。図8(A)において、擁壁を構築する位置に、等間隔に根入れ部1となる穴を掘削する。そして、掘削した穴に骨材2を挿入し、例えばコンクリートなどを流し込んで根入れ部1を形成する。この場合、擁壁の高さだけ、骨材2の上部が根入れ部1から突出するようにする。骨材2が掘削した穴の中に建ったら、図8(B)に示すように骨材2の柱部分に被覆材3をかぶせる。
ここでは、図15に示したように、タイバー44及びアンカーウェイト45を用いる例を示している。被覆材3の結合機構4を利用してタイバー44を柱に結合させ、アンカーウェイト45と柱とを連結する。そして、各柱の間に壁を構築する。例えば壁をPC版43などの板材で構成する場合には、柱と板材とを例えばボルトなどで結合すればよい。このようにして、図8(C)に示すような擁壁が完成する。
図9は、本発明の柱を擁壁に利用し、壁を鉄筋コンクリートで構成する場合の施工方法の一例の説明図である。上述の図8(A)、(B)に示した工程と同様にして、骨材2を掘削した穴に挿入し、根入れを行った後、被覆材3をかぶせる。被覆材3には例えば図2(A)に示すように結合機構4が設けられている。これを利用して、例えば図2(B)、(C)に示すような結合方法を用いて鉄筋を柱に固着し、図9(A)に示すように鉄筋を組む。そしてコンクリートを打設することによって、図9(B)に示すような擁壁が完成する。
このような図8,図9に示した本発明の柱を用いた工法によれば、骨材2が被覆材3で覆われるので、従来のようにH型鋼が土に接触するために発生する腐食などの心配がなく、経年変化を抑えた長寿命の擁壁を構築することができる。また、図14に示したような従来のL型の擁壁などに比べて、施工が容易であり、工期も大幅に短縮することができる。
もちろん、タイバー44及びアンカーウェイト45を設けない、簡易な擁壁についても、本発明の柱を利用することができる。さらに、本発明の柱を所定の間隔で配置し、柱の間に壁材を配置して塀として構築することもできる。壁材の代わりにネットなどを柱に係止し、野球場やゴルフ練習場などに応用することも可能である。
図10は、本発明の柱に設けた結合機構の利用方法の一例の説明図である。図中、17はブラケットである。例えば図8や図9に示したように、本発明の柱を用いて擁壁を構築すると、その工事の期間中あるいは施工完了後も、壁や梁などの擁壁以外の部材の装着に利用することが可能である。例えば被覆材3に図2(D)に示すようなナットを谷側に設けておくことにより、足場のインサートとして利用することが可能である。すなわち、図10に示すように結合機構4にブラケット17を装着することによって、足場とすることができる。ブラケット17は、例えば少なくとも下部においては取り外し可能にしておくことによって、関係者以外の者が擁壁を登ろうとする事態を回避することができる。なお、結合機構4としてはナットによるねじ込み式以外にも、荷重に耐える方向のひっかけ式の構成、あるいは図3(A)に示すように予め足場が装着されている構成など、種々の構成が可能である。
図11は、本発明の骨材に挿入する壁部を備えた柱用被覆材の利用方法の一例の説明図である。
壁付き被覆材5は、上記した被覆材に壁部52を取り付けたものである。即ち、骨材2が貫通する挿入孔を形成する柱部51と、柱部51と一体に接合された壁部52からなる。この壁部52は設置後に擁壁の役割を果たす。
柱部51の挿入孔は円筒形に形成するのは好ましい。そして骨材2は、壁付き被覆材5を挿入した後に骨材2を中心に壁付き被覆材5がほとんど回転しない断面形状のものを使用する。例えば、挿入孔の直径と対角線の長さがほぼ等しい矩形断面の骨材2が使用できる。このような構成にすることによって、壁部52を任意の方向に向けて壁付き被覆材5を設置することができ、設置後にも壁付き被覆材5が回転しないため回転防止の仮止め等を必要としない。なお、壁付き被覆材5を横方向に連続して設置した場合に、その端部同士を一致させるための微調整程度の回転を許す構造にすることが好ましい。
図12は、本発明の壁付き被覆材5を使用して擁壁を構築する方法の一例の説明図である。
まず、骨材2を横方向に間隔をおいて設置する。各骨材2の設置場所に根入れ部1となる穴を掘削し、骨材2を挿入した後に根入れ部1を固定するのは上述したものと同じである。
そして、各骨材2に壁付き被覆材5をかぶせる。隣接する壁付き被覆材5a,5bの横方向の端部同士は必要に応じて連結する。ここで連結は、公知の連結方法、連結構造及び連結材料でおこなうことができる。
本発明では壁付き被覆材5は上記したように任意の方向で設置できるため、隣り合う壁付き被覆材5a,5bの端部同士を容易に一致させることができる。
壁付き被覆材5の一段目の配置が終了した後に2段目の壁付き被覆材5の設置をおこなう。ここで、例えば1段目に設置した壁付き被覆材5の壁部52の上端に凹部を形成し、2段目に設置する壁付き被覆材5の壁部52の下端に凸部を形成し、凹部と凸部を嵌合することによって上下の壁付き被覆材5を連結することができる。この上下の壁付き被覆材5の連結に使用する継手構造、継手材料には公知のものが使用できる。
そして、所定の高さまで壁付き被覆材5を積み上げて擁壁を完成させる。
なお、本発明の被覆材3,3’,3”及び壁付き被覆材5は単位長さに加工したものを使用できるため、部分的に壊れた場合などに壊れた部分のみを取り替えることができる。
このため、メンテナンスを容易におこなうことができる。
産業上の利用可能性
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、基礎部分から柱部分まで骨材が貫通しており、その骨材の柱部分を被覆材で覆った構造であるので、従来のように基礎部分と柱部分を別々に構築する必要はなく、簡易に、しかも低コストで、短い工期で柱を構築することができる。しかも、十分な強度が得られ、例えば地下のように常に濡れた状態の場所に施工しても経年変化にも強く、長寿命の柱を提供することができる。さらに、基礎となる根入れ部分は穴を掘削するだけであるため、地盤を改変する量を非常に少なくすることができる。
また、被覆材には他の部材、例えば壁や梁などと結合するための結合機構を設けておくことができる。これによって、骨材を被覆材で被覆してしまっても、柱と他の部材とを良好に、しかも簡単に結合することができる。
さらに、上述のように各種の建造物に対して適用することができ、工期を短縮し、施工が容易であり、低コストで施工することが可能になる。さらに、施工時の安全性も確保することができるなど、本発明によれば従来の土木技術にはない種々の効果がある。
また、壁付き被覆材を使用することで、柱部分の被覆と擁壁の構築が一度におこなえるため、工期を短縮でき、経済的である。この壁付き被覆材は、任意の方向に向けて設置できるため、骨材の向きを予め揃えておく必要がなく施工が簡単である。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の柱の構築方法の実施の一形態を示す工程図である。
図2は、本発明の柱用被覆材の実施の一形態における結合機構の態様の一例の説明図である。
図3は、本発明の柱用被覆材の実施の一形態における結合機構の態様の別の例の説明図である。
図4は、本発明の柱の構築方法の第2の実施の形態を示す工程図である。
図5は、本発明の柱の構築方法の第3の実施の形態を示す工程図である。
図6は、本発明の柱の構築方法の第3の実施の形態において利用可能な被覆材が設けられた骨材の一例を示す断面図である。
図7は、本発明の柱を地下構造物に利用する場合の施工方法の一例の説明図である。
図8は、本発明の柱を擁壁に利用する場合の施工方法の一例の説明図である。
図9は、本発明の柱を擁壁に利用し、壁を鉄筋コンクリートで構成する場合の施工方法の一例の説明図である。
図10は、本発明の柱に設けた結合機構の利用方法の一例の説明図である。
図11は、本発明の骨材に挿入する壁部を備えた柱用被覆材の利用方法の一例の説明図である。
図12は、本発明の壁付き被覆材5を使用して擁壁を構築する方法の一例の説明図である。
図13は、従来の建造物の構築方法の一例の説明図である。
図14は、従来の擁壁の構築方法の一例の説明図である。
図15は、従来の擁壁の構築方法の別の例の説明図である。
Claims (17)
- 基礎部分及び柱部分を貫通する骨材と、該骨材の前記柱部分の少なくとも一部を覆う被覆材を具備したことを特徴とする柱。
- 前記被覆材は、プレキャストコンクリート(PC)であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の柱。
- 前記被覆材は、柱に接続される部材との結合を図るための結合機構を有することを特徴とする請求の範囲第1項または請求の範囲第2項に記載の柱。
- 前記結合機構は、貫通孔であることを特徴とする請求の範囲第3項に記載の柱。
- 前記結合機構は、ねじが切られた貫通孔であることを特徴とする請求の範囲第3項に記載の柱。
- 中心部に骨材が貫通する挿入孔を有し、柱に接続される部材との結合を図るための結合機構が配置されていることを特徴とする柱用被覆材。
- プレキャストコンクリート(PC)で構成されていることを特徴とする請求の範囲第6項に記載の柱用被覆材。
- 前記結合機構は、外側面から前記挿入孔まで貫通する貫通孔であることを特徴とする請求の範囲第6項または請求の範囲第7項に記載の柱用被覆材。
- 前記結合機構は、ねじが切られた貫通孔であることを特徴とする請求の範囲第6項または請求の範囲第7項に記載の柱用被覆材。
- 中心部に骨材が貫通する挿入孔を有し、前記骨材を被覆する柱部と該柱部に接合する壁部が一体になったことを特徴とする柱用被覆材。
- 前記挿入孔の形状を円筒形とし、前記骨材の断面形状を該挿入孔の直径と略同じ長さの対角線を有する多角形としたことを特徴とする請求の範囲第10項に記載の柱用被覆材。
- 根入れ部分を掘削し、柱部分まで一体となった骨材を掘削した根入れ部分に挿入して建て、根込めを行い、中心部に前記骨材が貫通する挿入孔を有する被覆材を前記骨材の柱部分が前記挿入孔に挿入されるように前記骨材に装着することを特徴とする柱の構築方法。
- 根入れ部分を掘削し、柱部分に被覆材が一体となった骨材を掘削した根入れ部分に挿入して建て、根込めを行うことを特徴とする柱の構築方法。
- 根入れ部分を掘削し、柱部分に被覆材の一部が一体となった骨材を掘削した根入れ部分に挿入して建て、根込めを行い、前記骨材の前記柱部分に残りの被覆材を装着することを特徴とする柱の構築方法。
- 根入れ部分を掘削し、柱部分まで一体となった骨材を掘削した根入れ部分に挿入して建て、根込めを行い、中心部に前記骨材が貫通する挿入孔を有する請求の範囲第10項または請求の範囲第11項に記載の柱用被覆材を前記骨材の柱部分が前記挿入孔に挿入されるように前記骨材に装着することを特徴とする擁壁の構築方法。
- 根入れ部分を掘削し、柱部分まで一体となった骨材を掘削した根入れ部分に挿入して建て、根込めを行い、請求の範囲第10項または請求の範囲第11項に記載の柱用被覆材を前記骨材の柱部分が前記挿入孔に挿入されるように前記骨材に装着し、前記柱用被覆材から突出した前記骨材に所定の数に達するまで請求の範囲第10項または請求の範囲第11項に記載の柱用被覆材を挿入することを特徴とする擁壁の構築方法。
- 請求の範囲第15項または請求の範囲第16項に記載の擁壁の構築方法において、
前記骨材は横方向に間隔をおいて複数設置し、
前記骨材に挿入した前記柱用被覆材の隣接する横方向の端部同士を連結する
ことを特徴とする擁壁の構築方法。
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