JP6866980B2 - 接合用キャップおよび杭頭接合構造 - Google Patents

接合用キャップおよび杭頭接合構造 Download PDF

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本願発明は、杭基礎におけるコンクリート基礎と基礎杭との接合を強固にすべく用いられる、外周面と上端面に孔あき鋼板による翼板が取り付けられている接合用キャップおよび前記接合用キャップを被せた中空既製杭を用いた杭基礎におけるコンクリート基礎と基礎杭との杭頭接合構造に関する。
ビルディング等の建築構造物を支える基礎として一般的なのが杭基礎である。この杭基礎を構築する工法には、既製杭工法、場所打ち杭工法などがあるが、既製杭工法においては、地盤中に埋設したSC杭やPHC杭等の基礎杭と該基礎杭の上に造成されるフーチング等のコンクリート基礎とを接合することにより杭基礎を構築することが行われている。
基礎杭とコンクリート基礎との接合方法は種々あるが、その一つとして、図14に示すように、既製杭(基礎杭)の杭頭部をフーチング等のコンクリート基礎の内部に嵌入・埋設して接合する方法がある。
図14(a)は、単に中空既製杭(基礎杭)4の杭頭部をフーチング(コンクリート基礎)3の内部に嵌入・埋設して接合した場合を示す図である。中空既製杭(基礎杭)4とフーチング(コンクリート基礎)3との接合を強固にするために、必要に応じて、中空既製杭(基礎杭)4の杭頭部の外周面に突起を設けておくこともある。
図14(b)は、図に示すように、中空既製杭(基礎杭)4の杭頭部の外周面に杭頭補強鉄筋12を設けた場合を示す図である。杭頭補強鉄筋12を設けておくことによりフーチング(コンクリート基礎)3に作用する鉛直荷重、引抜荷重、曲げモーメントおよびせん断力を中空既製杭(基礎杭)4に伝達することができるため、図14(a)の場合に比べ、中空既製杭(基礎杭)4とフーチング(コンクリート基礎)3との接合がより強固になる。
しかし、図14(a)に示す杭頭接合構造1では、強固な接合にするために前記杭頭部の前記フーチング(コンクリート基礎)3内への嵌入長さLを少なくとも杭頭部径以上にしなければならず、これによりフーチング(コンクリート基礎)3が厚くなって施工や施工コストに問題が生じる場合がある。
また、前記杭頭部と前記フーチング(コンクリート基礎)3のコンクリートとの摩擦力が小さいため、前記杭頭部は前記フーチング(コンクリート基礎)3に作用する引き抜き力や水平力に抵抗できず前記フーチング(コンクリート基礎)3に対して前記杭頭部の位置ズレが生じ、上部構造物からの鉛直荷重や引抜荷重を杭に効率よく伝達できなくなってしまう。
図14(b)に示す杭頭接合構造1では、上記図14(a)の場合に比べ前記摩擦力が高くなるため前記杭頭部と前記フーチング(コンクリート基礎)3との接合が少し強固になるものの前記引き抜き力や前記水平力に対する抵抗力は十分ではなく、特に前記水平力に対して前記位置ズレが生じ易い虞がある。
上記問題に鑑み、コンクリート基礎を介して上部構造物からの鉛直荷重や引抜荷重を杭に効率よく伝達できる杭頭接合構造、コンクリート基礎に対する杭の相対位置がずれにくい杭頭接合構造、杭の引張耐力を効果的に発揮できる杭頭接合構造などが提案されている。
例えば、特許文献1には、「地盤に打設された杭の上端外周に嵌めるための管体と、地盤から横方向への反力を得るために管体の外面に軸方向に延びるように固定された反力板としての複数の板体とを備えた杭用反力体」が記載されている。
また、特許文献2には、「鋼管杭の杭頭部がコンクリート基礎内部に埋設される鋼管杭とコンクリート基礎との接合構造において、前記鋼管杭の杭頭部に、該鋼管杭の外周径よりも大きな外径で、且つ前記コンクリート基礎に伝達される上部構造物からの鉛直荷重及び引抜き荷重を受けて該鋼管杭に伝達し得る所定の受圧面積を有する荷重伝達部材を設け、該荷重伝達部材を含む該鋼管杭の杭頭部を前記コンクリート基礎内部に埋設したことを特徴とする鋼管杭とコンクリート基礎との接合構造」が記載されている。
また、特許文献3には、「形鋼または鋼管によるバーを鋼管杭の外周に沿って該鋼管杭に重なるように取り付け、このバーを鋼管上端から上方に延設したことを特徴とする高断面性能杭」が記載されている。
また、特許文献4には、「円筒状の杭を地中に埋設し、前記杭の上端部に、仕切り板を介して、パイルキャップを設置してある杭基礎構造であって、前記仕切り板で前記杭の上端部を略全面に亘って覆ってあるとともに、その仕切り板の上面側に補強リブを一体に設けて、その補強リブを前記パイルキャップに埋設固定してある杭基礎構造」が記載されている。
特開2001−152449号公報 特開2003−74071号公報 特開2004−244844号公報 特開2007−46303号公報
しかし、特許文献1〜3に記載される杭頭接合構造では、杭頭部とコンクリート基礎(フーチング)との付着力は増し前記引抜力や前記水平力に対する抵抗力(耐力)は高められるものの、コンクリート基礎に対する杭頭部の位置ズレの観点からは検討されていない。
また、特許文献4に記載される杭頭接合構造では位置ズレが検討されているものの、仕切り板が必須要件となっており、位置ズレは水平方向の外力が作用した時のパイルキャップに対する仕切り板の水平方向での相対位置に対してだけであり、杭頭部全体のコンクリートとの付着力(摩擦力)や引抜力に対する抵抗力までは考慮されていない。
以上の通りであり、杭基礎を構築する際の基礎杭の杭頭部とコンクリート基礎との接合において、コンクリート基礎に対する杭頭部の位置ズレ防止の観点から前記引抜力及び前記水平力に対する抵抗力(耐力)向上を図り、前記杭頭部と前記コンクリート基礎との接合を強固にする技術は十分検討されているとは言えない。
本願発明は、上述のような課題の解決を図ったものであり、杭基礎を構築する際の基礎杭の杭頭部とコンクリート基礎との接合において、前記コンクリート基礎に対する前記杭頭部の位置ズレを防止し、それによって前記杭頭部の前記コンクリート基礎に作用する引抜力や水平力に対する抵抗力を高めることにより強固な杭頭接合構造とすることができる中空既製杭、中空既製杭の杭頭部に被せて用いることにより前述の強固な杭頭接合構造が得られる接合用キャップおよび前記接合用キャップを被せた中空既製杭を用いた杭基礎におけるコンクリート基礎と杭との杭頭接合構造を提供することを目的とする。
本願の中空既製杭、杭接合用キャップおよび杭頭接合構造の発明は、上述の通り、杭基礎を構築する際の基礎杭の杭頭部とコンクリート基礎との接合において、「コンクリート基礎に対する杭頭部の位置ズレ防止」の観点を主として、基礎杭とコンクリート基礎との接合を強化するためになされたものである。
本願の中空既製杭の発明は、基礎杭の杭頭部をコンクリート基礎のコンクリート内に嵌入・埋設して、前記基礎杭とコンクリート基礎とを接合することにより杭基礎を構築する際に用いられる中空既製杭の発明であって、該中空既製杭の杭頭部となる部分の外周面に前記コンクリート基礎のコンクリート内に突出する複数の翼板が取り付けられ、当該複数の翼板は孔あき鋼板から形成されていることを特徴とするものである。
本願発明が対象とする杭頭接合構造は、地盤中に埋設した中空既製杭の基礎杭における上杭の杭頭部を上部構造のコンクリート基礎の内部に嵌入・埋設して基礎杭とコンクリート基礎とを接合する構造のものである。このような構造のものは、図14に示すように、従来から行われている。
本願発明での「コンクリート基礎」とは、フーチング(パイルキャップ)、上部構造体のコンクリート製床版、マッドスラブ(耐圧盤)などである。また、「中空既製杭」は従来から用いられているものであれば特に限定されない。例えば鋼管杭、SC杭、PC杭やPHC杭やPRC杭等のコンクリート製杭、その他の節杭、複合杭、合成杭などである。
孔あき鋼板は、従来から橋梁関係で用いられているジベルと同様のものであり、鋼板の板形状は、通常、直板状(平板状)であるが、必要に応じて、曲板状や波板状やジグザグ板状のものであってもよい。また、鋼板の表面は必ずしも平滑でなくてもよく、ザラザラしていたり、表面に突起や溝や条が設けられていてもよい。
これら鋼板の板厚は特に限定されないが、12mm以上、好ましくは12〜30mmであることが好ましく、12mm以上であればフーチング(コンクリート基礎)のコンクリート打設による変形を防止できる。
また、鋼板がコンクリート基礎のコンクリート内に嵌入・埋設されていることで、基礎杭とコンクリート基礎との間に作用する引抜き力(鉛直方向のせん断力)に対しては、翼板とコンクリートとの間に作用するせん断抵抗力によって抵抗し、基礎杭とコンクリート基礎との間に作用する水平力(水平方向のせん断力)に対しては、翼板とコンクリートとの間に作用するせん断抵抗力と、基礎杭とコンクリート基礎との間の支圧抵抗力によって抵抗する。
前記鋼板には複数の孔(貫通孔)が設けられている。本願発明で言う「孔」とはスリットを含むものであり、該孔は、通常、円孔であるが、楕円孔、長孔、スリット孔、四角孔、三角孔などであってもよい。
これら孔にコンクリート基礎のコンクリートが入り込むことにより、該コンクリートがせん断に抵抗し、杭頭部にズレ止め機能が生まれる。また、前記孔の少なくとも一部に鉄筋等の線状材や長ネジ等の棒状材を挿通しておくことにより、杭頭部とコンクリーシ基礎との更なる接合強化が図れる。
前記孔は、鉄筋等の線状材や長ネジ等の棒状材を挿通する挿通孔を兼ねることもできるが、前記孔とは別に、鉄筋等の線状材や長ネジ等の棒状材を挿通するための専用の挿通孔を設けておいてもよい。
したがって、前記鋼板に設けられる本願発明の孔には、前記ズレ止め機能を生み出すための孔、鉄筋等の線状材や長ネジ等の棒状材を挿通するための専用の挿通孔、前記両者を兼ねた孔の孔径の異なる3種類があり、これらの孔が適宜組み合わせて前記鋼板に設けられる。
上記3種類の孔の各孔径は特に限定されないが、前記ズレ止め機能を生み出すための孔の孔径は、前記コンクリート基礎に用いられるコンクリートの最大骨材寸法を超える径であるのが好ましい。このようにすることによって、孔に前記コンクリートがしっかりと入り込み易くなるので確かなズレ止め機能が生まれる。
また、鉄筋等の線状材や長ネジ等の棒状材を挿通するための専用の前記挿通孔の孔径は、前記線状材や棒状材の挿通材がスムーズに挿通できればよく、例えば線状材としてD13の鉄筋を用いる場合の孔径は16mmであればよい。
また、前記両者を兼ねた孔の孔径は、前記線状材や棒状材の挿通材の最大外径と前記コンクリートの最大骨材寸法の合計寸法を超える径としておくのが好ましい。このようにすることによって、孔に前記挿通材を挿通しても前記ズレ止め機能が低下することは無い。
上記の通りであるからして、鋼板に設けられる孔の種類や孔径は全て同一でなくてもよく、例えば、一枚の鋼板に、前記ズレ止め機能を生み出すための孔と前記挿通材の挿通孔の異なる種類と径の孔が混在していてもよい。但し、本願発明の目的を効果的に達成するには、少なくとも前記コンクリート基礎に用いられるコンクリートの最大骨材寸法以上の孔径の孔が多数含まれているのが好ましい。
上記各孔の配置形態は特に限定されないが、一般的には、縦方向又は横方向に所定の間隔で一列以上、あるいは、縦及び横方向に所定の間隔で一行列以上配置される。場合によっては、千鳥状に配置してもよい。
ズレ止め機能を発揮するために設けられる上記孔の主方向での中心間隔は、最大孔径の2倍以上であって500mm以下とするのが好ましい。該中心間隔をこの範囲にすれば、円滑にせん断力を導入できる。
本願発明の前記翼板は、上述の孔あき鋼板からなり、該翼板の側面が中空既製杭の杭頭部外周面に当接するようにして溶接やボルトなどにより取り付けられる。PHC杭やPRC杭等のコンクリート製杭に前記翼板を取り付ける場合は、翼板を取り付ける部分の杭外周面を鋼板で巻き、該鋼板の外周面に当接させて前記翼板を取り付ける。本願発明では、「杭頭部外周面への当接」は、このような場合も含む。前記鋼板の前記杭外周面への巻き付けは、前記コンクリート製杭を製造する際に、従来の方法で行えばよい。
このように、上杭となる中空既製杭の杭頭部に孔あき鋼板からなる前記翼板を取り付けることによって、前述の通り、杭頭部にズレ止め機能を生みだすことができる。また、前記翼板がない場合に比べ、杭頭部の摩擦力や支圧力も高くなる。
したがって、杭頭部をコンクリート基礎のコンクリート内に嵌入・埋設して基礎杭とコンクリート基礎とを接合する杭頭接合構造において、摩擦力や支圧力を向上させることができるとともに、杭頭部がズレ難くなるため、これら両力の性能維持が可能となる。
上記翼板に用いる前記孔あき鋼板の板形状は、通常、直板状(平板状)であるが、曲板状や波板状などの異形状のものを用いてもよい。これらのような異形状のものを用いればコンクリートとの接触面積が増えるので摩擦力の向上が図れる。
更に、これら孔あき鋼板の表面は、通常、ほぼ平滑であるが、コンクリートとの接触面積を増やし摩擦力の向上を図るべく、表面がザラザラしていたり表面に突起や溝や条が設けられた前記孔あき鋼板を使用することもできる。
また、上記翼板の外形状は、通常、長方形であるが、後述の図2に示すように、台形状、L字状、コ字状など、必要に応じて異形状であってもよい。
上記翼板には、杭頭部のズレ防止のための孔が複数設けられているが、前記翼板は、これら孔の配列において杭軸方向が主列(孔数の最も多い列)となるように、後述の図3に示すような形態で前記杭頭部に設置される。前記孔の配列を杭軸方向が主列となるようにすることによって、杭頭部における前記ズレ止め機能が効果的に発揮される。
前記翼板の寸法は、縦方向(杭軸方向)は、前記コンクリート基礎に嵌入される前記杭頭部の嵌入長さと同程度か若干短い長さである。また、横方向(張り出し方向)の長さは、前記翼板の板形状や外形状や前記孔の設け方によって変わってくるので特に限定されない。前記翼板の肉厚は、用いる孔あき鋼板の肉厚である。
前記翼板の前記杭頭部の外周面への取り付けは、中空既製杭の工場での製造後に行ってもよいが、杭基礎を構築する際に施工現場で行ってもよい。
工場で行う場合は、例えば、従来通りの方法で中空既製杭を製造した後に、杭体を台木の上に横置きにした状態で、前記翼板を溶接などで取り付ける。また、施工現場で行う場合は、例えば、杭体を台木の上に横置きにした状態で、前記翼板を溶接などで取り付ける。
あるいは、地中に埋設した杭の杭頭付近を根切りした後に溶接する。
これらのいずれかで得られた中空既製杭により前記コンクリート基礎との杭頭接合を行えば、耐震性のある強固な杭基礎を構築できる。
前述の通り、本願発明では中空既製杭は従来から杭基礎の構築に用いられているものであればよく、その種類は特に限定されないが、中でも上杭としてよく用いられるSC杭や汎用的なコンクリート製杭は好ましい。
SC杭は従来から用いられているものであり、SC杭であれば外殻鋼管があるので杭頭部が強固になるとともに前記翼板が杭頭部の外周面に溶接で取り付け易くなる。
コンクリート製杭は、PC杭、RC杭、PHC杭、PRC杭などであるが、中でも、高強度のPHC杭やPRC杭は好ましい。コンクリート製杭を用いる場合は、前記翼板を取り付ける部分の杭頭部の外周面を鋼板で巻き被覆する。
被覆する前記鋼板は従来から用いられている補強バンドと同等のものでよく、例えば、厚さ2.3〜12.0mmのものである。該鋼板の表面は前記翼板の板側面と当接するので、前記翼板が取り付け易い程度に平滑であるのが好ましい。前記翼板を取り付ける部分の杭頭部の外周面を鋼板で巻き被覆した高強度のコンクリート製杭を用いれば、前記SC杭を用いた場合と同様、杭頭部が強固になるとともに前記翼板が杭頭部の外周面に溶接で取り付け易くなる。
また、前記翼板は杭頭部のズレ止め及び補強のため設けるが、その機能は四方に発揮することが好ましいので、取り付ける翼板の枚数は4枚以上であるのが好ましい。また、前記機能の強化を図るべく、前記翼板を八方に取り付け、後述の図7(b),(d)の例のように、特定の方向に対して、前記翼板を2枚ずつ平行に取り付けることも考えられる。
翼板の枚数は設置目的や杭径によって異なるので枚数の上限は特に限定されないが、翼板の間隔が100mm以下になるまで枚数を増やすと取り付け施工やコンクリート施工が難しくなったりコスト高になったりするので好ましくない。
前記翼板に設けられている孔の孔径は均一ではなく、少なくとも2つの孔径の孔が混在していてもよい。前述の通り、前記翼板に用いられる前記孔あき鋼板の孔には、大別して、(1)ズレ止め機能を生み出すための孔、(2)鉄筋等の線状材や長ネジ等の棒状材を挿通するための専用の挿通孔、(3)前記両者を兼ねた孔の3種類があり各々孔径が異なる。
杭頭部をコンクリート基礎の内部に嵌入・埋設して杭とコンクリート基礎とを接合する際、大別して、(A)鉄筋等の線状材や長ネジ等の棒状材を用いない場合と(B)鉄筋等の線状材や長ネジ等の棒状材を用いる場合の2通りがある。
前者(A)の場合の孔は、前記(1)ズレ止め機能を生み出すための孔だけを設ければよいので、必ずしも孔径の異なる孔を混在させる必要はなく、前記孔の孔径は均一でよい。
後者(B)の場合の孔は、すべて前記(3)前記両者を兼ねた孔とすることもできるが全ての孔に鉄筋等の線状材や長ネジ等の棒状材による挿通材を挿通する必要はないので、前記(1)ズレ止め機能を生み出すための孔と(2)鉄筋等の線状材や長ネジ等の棒状材を挿通するための専用の挿通孔、前記(1)ズレ止め機能を生み出すための孔と(3)前記両者を兼ねた孔といった、少なくとも2つの孔径の孔が前記翼板に混在しているのが好ましい。
また、前記SC杭もしくは前記コンクリート製杭の杭頭部に、前記翼板とともに杭頭補強鉄筋を配筋することにより、前記翼板と従来から用いられている杭頭補強鉄筋とを併用することができる。前記杭頭補強鉄筋は従来から用いられているものでよく、特に限定されない。
前記翼板とその設置については前述の通りである。併用される前記杭頭補強鉄筋の設置構造や設置方法は従来と同様であり、特に限定されない。前記杭頭補強鉄筋は、杭頭部の外周面や天端に、上方に延びて設置される。
但し、前記杭頭補強鉄筋を杭頭部の外周面に取り付ける場合は、前記翼板の機能(作用効果)を阻害しないよう、前記杭頭補強鉄筋の太さ、本数、取付位置等を考慮する必要がある。
この発明のように、本願発明の前記翼板と前記杭頭補強鉄筋とを併用すれば、ズレ止め機能、摩擦力、支圧力等がより高められるため、コンクリート基礎と杭とをより強固に杭頭接合できる。
本願発明の接合用キャップは、中空既製杭と当該中空既製杭の上部に設置されるコンクリート基礎とを接合する接合用キャップであって、前記中空既製杭の杭頭部の外側に同心円状に設置され、かつ外周面に孔あき鋼板からなる複数の翼板が前記コンクリート基礎のコンクリート内に突出して取り付けられていることを特徴とするものである。
当該接合用キャップは、鋼製、プレキャストコンクリート製のいずれであってもよく、また、孔明き鋼板からなる翼板は、接合用キャップの外周面に少なくとも4枚程度を放射状に突設する。
このような接合用キャップを予め工場で作製しておいて、これを施工現場で地盤に埋設した中空既製杭の杭頭部に被せて装着するだけで良い。したがって、前記翼板を取り付けた中空既製杭を工場から施工現場まで運搬したり施工現場で中空既製杭の杭頭部の外周面に直接前記翼板を取り付ける作業がなくなり、省力化できる。
また、中空既製杭としてコンクリート製杭を用い前記翼板を前記中空既製杭の杭頭部の外周面に直接取り付ける場合は、前記翼板を取り付ける部分の杭頭部の外周面を鋼板で巻き被覆する必要があったが、上記接合用キャップを用いれば、このような被覆はしなくても済み、種々の杭への対応が容易となる。
この接合用キャップは、中空既製杭の杭頭部に被せられるよう筒状になっている。筒の形は円筒、角筒のいずれでもよい。筒の高さ(杭軸方向の長さ)は、前記コンクリート基礎に嵌入される前記杭頭部の嵌入長さと同程度である。筒は鋼製でありその肉厚は6〜20mmが好ましい。
筒の内寸は、接合用キャップが前記杭頭部にスムーズに被せられれば特に限定されないが、前記筒の内面と前記杭頭部外面との間に最小隙間が30mm以上となる若干の隙間ができる寸法にしておくことは好ましい。上記隙間があれば、この隙間に高強度モルタル等のセメント系充填材を充填することによって、前記接合用キャップの前記中空既製杭への固定が容易となる。
上記接合用キャップの上面(筒の上面)には開口部のある天井が設けられており、例えば、格子状や十字状の天枠となっている。
本願発明の接合用キャップは、その外周面に、孔あき鋼板による翼板の板側面が前記外周面に当接するようにして4枚以上の該翼板が取り付けられている。この翼板は、前記中空既製杭の前記杭頭部に取り付けた前述の翼板と同様のものである。なお、この翼板の縦方向(筒の高さ方向)の長さは、前記筒の高さと同程度か若干短い。また、横方向(張り出し方向)の長さは、前記翼板の板形状や外形状や前記孔の設け方によって変わってくるので特に限定されない。前記翼板の肉厚は、用いる孔あき鋼板の肉厚である
翼板の設置形態や取り付け方法は、前記中空既製杭の前記杭頭部に直接取り付ける場合と同じであり、前述の通りである。また、接合用キャップの外周面に取り付ける翼板の枚数は4枚以上であるが、このような枚数にするのは前述の通りである。
また、接合用キャップに取り付けられる翼板においても、前述の中空既製杭に取り付ける場合と同様、必ずしも孔の孔径を均一にする必要はなく、少なくとも2つの孔径の孔が混在している孔あき鋼板を用いて前記翼板を作製してもよい。詳細は、前述した通りである。さらに、前記接合用キャップ外周面に翼板とともに杭頭補強鉄筋が取り付けられていてもよい。
杭頭補強鉄筋は、杭頭部の外周面や天端に設置されたり杭頭部のハツリ出しによる鉄筋を用いたりするが、上記接合用キャップでは、その外周面や上面にキャップ上方に向けて溶接やボルトなどにより取り付けられる。
また、杭頭補強鉄筋は従来から用いられているものでよく、特に限定されない。前記翼板とその設置については前述の通りである。
上記接合用キャップにおいても、前記杭頭補強鉄筋をキャップの外周面に取り付ける場合は、前記翼板の機能(作用効果)を阻害しないよう、前記杭頭補強鉄筋の太さ、本数、取付位置等を考慮する必要がある。
この発明のように、本願発明の前記翼板と前記杭頭補強鉄筋とを併用した接合用キャップを用いても、ズレ止め機能、摩擦力、支圧力等がより高められるため、コンクリート基礎と杭とをより強固に杭頭接合できる。
本願の杭頭接合構造の発明は、中空既製杭と当該中空既製杭の上部に設置されるコンクリート基礎との接合構造であって、前記中空既製杭の杭頭部の外周に孔明き鋼板からなる複数の翼板が突設され、かつ前記杭頭部および翼板が前記コンクリート基礎のコンクリート内に嵌入・埋設されていることを特徴とするものである。
中空既製杭の杭頭部の外側に、外周に複数の翼板を備えた接合用キャップを同心円状に設置し、当該接合用キャップと杭頭部をコンクリート基礎のコンクリート内に嵌入・埋設することにより、中空既製杭の杭頭部とコンクリート基礎と接合することもできる。
コンクリート基礎は、通常、鉄筋コンクリートからなり、コンクリートの種類は特に限定されない。例えば、普通コンクリート、早強コンクリート、繊維補強コンクリート、ポリマーコンクリート、高強度コンクリートなどである。
本願の杭頭接合構造の発明は、前記翼板を備えた前記中空既製杭の杭頭部が前記コンクリート基礎の内部に嵌入・埋設されて接合された構造となっており、前記翼板に設けられた少なくとも一部の孔はコンクリートで充填されている。前記翼板の軸方向(縦方向)の長さは、嵌入した杭頭部の長さとほぼ同じか若干短い。また、前記翼板の張り出し方向(横方向)の長さは、板形状や孔の設け方によって変わってくるので、特に限定されない。
このような構造とすることにより、杭頭部に設けられた前記翼板による杭頭部のズレ止め機能が発揮され、摩擦力や支圧力等の耐力向上により杭頭接合が強固なものとなる。
本願発明の上記杭頭接合構造は、例えば、次のようにして構築される。
(1)上杭と下杭あるいは上杭と中杭と下杭からなる中空既製杭による基礎杭を従来の埋設方法で地盤に埋設する。
(2)翼板を取り付ける杭頭部付近の土砂を根切りし、露出させる。
(3)翼板を杭の側面に溶接で取り付ける。
(4)杭周辺にフーチング(コンクリート基礎)用の鉄筋を配置する。
(5)フーチング(コンクリート基礎)用のコンクリートを打設する。
前記コンクリート基礎のコンクリート内に嵌入・埋設されている前記中空既製杭の杭頭部の嵌入長さは、前記杭頭部の杭径以下でもよい。本願発明のような前記翼板が備わっていない従来の中空既製杭では、強固な杭頭接合とするために、前記嵌入長さをなるべく長く、少なくとも杭頭部の杭径を超えて長くする必要があった。
本願発明では、前述の通り、前記翼板により強固な杭頭接合が図れるので、前記嵌入長さを従来ほど長くする必要はなく、杭頭部の杭径以下、好ましくは該杭径の4/5〜杭径と同じ長さでよい。前記嵌入長さが短くなることによってフーチング(コンクリート基礎)の高さを小さくできるのでコンパクトなフーチング(コンクリート基礎)が得られる。
また、前記翼板は、少なくともその一部が前記杭頭部の天端より上方に延長することにより杭頭補強鉄筋の役割を兼ねさせることができる。本願発明では、前記中空既製杭の杭頭部の外周面に設けられる前記翼板や前記接合キャップの外周面に設けられる前記翼板は、前記杭頭部の天端より上方に突出しないようにして、これら外周面に取り付けられるのが一般的であるが、これに限定されるものではない。
前記中空既製杭の杭頭部の外周面に設けられる前記翼板や前記接合キャップの外周面に設けられる前記翼板の少なくとも一部を前記杭頭部の天端より上方に突出させて、突出した部分を杭頭補強鉄筋の代替とすることもできる。このような形態にすれば、前述のように杭頭補強鉄筋を併用しなくても強固な杭頭接合が図れる。
前記突出した部分の設け方は特に限定されない。例えば、単にズレ止めのための孔のある前記翼板を細長くし前記杭頭部の天端より上方にまで延設してもよい。このようにすれば、翼板によるズレ止め機能の拡張が図れるとともに、前記突出した部分で杭頭補強鉄筋と同様の効果を得ることができる。
また、前記突出した部分の孔を無孔あるいは小孔にするとともに、その部分を杭頭補強鉄筋のようにより細長くし、翼板の機能と杭頭補強鉄筋の機能が縦方向(杭軸方向)に合体したような形態としてもよい。
また、前記翼板の外形状をL字状にしてもよい。前述の通り、前記中空既製杭や前記接合用キャップの外周面に設ける前記翼板の外形状は、通常、長方形であるが、後述の図2に示すように、台形状、L字状、コ字状など、必要に応じて異形状とすることもできる。
中でも、L字状とするのは好ましい。L字状にすれば、翼板はコンクリートとの接触面積が増え、縦方向や横方向などの各方向に対してズレ止め機能が発揮できるので、地震等の大きな揺れに対しても強い強固な杭頭接合構造となる。また、複雑な形状ではないので簡便かつ安価に製造できる。
また、前記翼板に設けられている孔の少なくとも一つ以上に、線状材又は棒状材を挿通してもよい。前述の通り、前記翼板に設ける孔(孔あき鋼板の孔)には、前記ズレ止めのための孔だけでなく、線状材又は棒状材からなる挿通材を挿通するための専用孔や前記ズレ止め機能を兼ねた兼用孔があり、適宜これらの孔が混在した前記翼板を使用することができる。
線状材としては鉄筋、PC鋼線、炭素繊維等の強靭な繊維による繊維束(フィラメント)、グラスファイバーなどである。また、棒状材としては鋼棒、PC鋼棒、長ネジ棒、樹脂棒などである。
本願発明の杭頭接合構造において、これら挿通材の挿通位置や挿通形態は特に限定されない。例えば、前記挿通材として鉄筋を用いる場合、鉄筋は前記杭頭部の外周面に四方に設けた前記翼板の前記専用孔や前記兼用孔に挿通され四方に配筋される。この鉄筋の端部は前記コンクリート基礎に配筋される配鉄筋に接続され固定される。このように、杭頭接合部に前記翼板を設けるだけでなく上記配筋を行えば高耐力の杭頭接合構造が得られる。
また、鉄筋に替えて長ネジ棒を用いる場合も、前記杭頭部の外周面に四方に設けた前記翼板の前記専用孔や前記兼用孔に挿通される。前記専用孔を用いる場合は孔にネジ溝を設けておけば挿通した長ネジ棒が強固に固定できるので好ましい。
前記兼用孔を用いる場合は挿通した長ネジ棒は孔の部分で溶接等により固定される。長ネジ棒の端部は、前記鉄筋による場合と同様、接続材により前記コンクリート基礎に配筋される配鉄筋に接続してもよいがしなくてもよい。なお、長ネジ棒の太さや長さは特に限定されない。長ネジ棒を用いれば、ネジ溝があることによりコンクリートとの付着力が向上するので好ましい。
また、前記線状材として鉄筋を配筋することができ、また、該鉄筋は前記コンクリート基礎に配筋された鉄筋に接続すればよい。この発明は、前記線状材を鉄筋に限定したものである。
鉄筋の種類や径は特に限定されないが、一般市場からの入手容易性の観点からして径はD13以上であるのが好ましい。より好ましくはD13〜D38である。また、鉄筋の種類は、従来から鉄筋コンクリートに使われているものでよい。
前記線状材が鉄筋であれば、汎用性があり取り扱い易く入手が用意であり、大幅なコスト高にもならないので好ましい。
前記翼板の孔に挿通された鉄筋は、前記杭頭部の周辺を中心に配筋される。配筋構造は特に限定されない。この配筋はコンクリート基礎に用いられる鉄筋コンクリートの配筋と別であってもよいが、両方の配筋が結束鉄筋等により接続されているのが好ましい。接続形態は特に限定されない。
前記翼板の孔に挿通された鉄筋が前記コンクリート基礎の内部に配された配鉄筋に接続され、両方の前記配筋が一体化した杭頭接合構造になっていれば、前記翼板によるズレ止め機能に加えて杭頭接合における鉄筋補強が強固なものとなるため、高耐力の杭基礎ができ、地震等による大きな揺れへの対応もより万全となる。
杭頭部の外周面に孔あき鋼板による翼板を取り付けた本願発明の中空既製杭を用い、該中空既製杭の前記杭頭部をコンクリート基礎の内部に嵌入・埋設して杭とコンクリート基礎とを接合することにより、前記コンクリート基礎に対する前記杭頭部の位置ズレが防止され、それによって前記杭頭部の前記コンクリート基礎に作用する引抜力や水平力に対する抵抗力が高められるので強固な杭頭接合構造の杭基礎が構築できる。
また、外周面に孔あき鋼板による翼板を取り付けた本願発明の接合用キャップを従来の中空既製杭の杭頭部に被せ固定した中空既製杭を用いても、上記と同様の効果が得られる。
この接合用キャップを予め作製しておき必要に応じて中空既製杭とは別に施工現場に搬入し、施工現場で中空既製杭の杭頭部に被せて用いれば、施工現場で中空既製杭の杭頭部の外周面に孔あき鋼板による翼板を取り付けたり、工場で杭頭部の外周面に孔あき鋼板による翼板を取り付けた重く嵩張った中空既製杭を施工現場まで運んだりしなくて済むので、施工もしくは輸送の省力化が図れる。
また、本願発明の杭頭接合構造では、コンクリート基礎の内部に嵌入・埋設された中空既製杭の杭頭部に孔あき鋼板による翼板が設けられているので、それによって前記杭頭部は位置ズレが起き難くなり、前記杭頭部の前記コンクリート基礎に作用する引抜力や水平力に対する抵抗力(耐力)の高い構造となる。したがって、強固な杭頭接合構造の杭基礎が構築できる。
本願発明の鉄筋等による挿通材を用いない場合の杭頭接合構造を示す図であり、(a)は立面図、(b)は平面図である。 本願発明の鉄筋(線状材、挿通材)による挿通材を用いた場合の杭頭接合構造を示す図であり、(a)は立面図、(b)は平面図である。 (a)〜(e)は、本願発明で用いる翼板の外形状の例を示す図である。 (a)〜(d)は、本願発明で用いる翼板の外形状の例を示す図である。 (a)〜(c)は、本願発明で用いる翼板の外形状の例を示す図である。 (a),(b)は、本願発明で用いる翼板の外形状の例を示す図である。 翼板の中空既製杭(基礎杭)の杭頭部への設置形態例を示す図であり、(a)、(b)は平面が長方形の一般形状の翼板の設置例、(c)〜(f)は平面がL字状などの異形状の翼板の設置例である。 翼板の中空既製杭(基礎杭)の杭頭部への設置形態例を示す図であり、(a)〜(e)は平面が十字状、コ字状などの異形状の翼板の設置例である。 翼板の中空既製杭(基礎杭)の杭頭部への設置形態例を示す図であり、(a)〜(f)は平面がL字状、F字状などの異形状の翼板の設置例である。 翼板の中空既製杭(基礎杭)の杭頭部への設置形態例を示す図であり、(a)〜(e)は平面がL字状、台形状などの異形状の翼板の設置例である。 杭基礎における本願発明の翼板と鉄筋(線状材、挿通材)を併用した場合の杭頭接合構造を示す図であり、(a)は立面図、(b)は平面図ある。 杭基礎における本願発明の翼板と杭頭補強鉄筋を併用した場合の杭頭接合構造を示す図であり、(a)は立面図、(b)は平面図ある。 杭基礎における本願発明の翼板、鉄筋(線状材、挿通材)および杭頭補強鉄筋を併用した場合の杭頭接合構造を示す図であり、(a)は立面図、(b)は平面図ある。 鉄筋(線状材、挿通材)による挿通材を翼板の孔に挿通して中空既製杭(基礎杭)の周囲に配した場合における翼板の設置形態例を示す平面図である。(a)は翼板が4枚の場合、(b)と(c)は翼板が8枚の場合、(d)は翼板が12枚の場合である。 翼板の中空既製杭(基礎杭;SC杭)の杭頭部への設置形態例を示す斜視図である。 本願発明の接合用キャップの一例を示す図であり、(a)は立面図、(b)は平面図である。 図9に示す本願発明の接合用キャップを中空既製杭(基礎杭)の杭頭部に取り付けた状態を示す図であり、(a)は立面図、(b)は平面図である。 杭頭接合構造における縦方向の主たる力学的関係の概要を示す図であり、(a)は従来の一般的な杭頭接合構造を示す立面図、(b)は本願発明の杭頭接合構造の一例を示す立面図である。 杭頭接合構造における横方向(水平方向)の主たる力学的関係の概要を示す図であり、(a)は従来の一般的な杭頭接合構造を示す立面図、(b)は本願発明の杭頭接合構造の一例を示す立面図である。 本願発明の杭頭接合構造の構築方法の工程を示す図であり、(a)はSC杭の埋設工程、(b)はSC杭の杭頭部の堀出し工程、(c)は翼板のSC杭の杭頭部への設置工程、(d)はフーチング(コンクリート基礎)の造成工程を示す図である。 本願発明の杭頭接合構造の構築方法例の概略を示す図であり、(a)は予め翼板を杭頭部に備えたSC杭の埋設工程、(b)は杭頭接合構造の完成状態を示す図である。 杭基礎における従来の一般的な杭頭接合構造を示し、(a)は、単に中空既製杭(基礎杭)の杭頭部をフーチング(コンクリート基礎)の内部に嵌入・埋設して接合した場合を示す立面図、(b)は、(a)と同様の接合において、中空既製杭(基礎杭)の杭頭部の外周面に杭頭補強鉄筋を設けた場合を示す立面図である。
以下、本願発明の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面に記載したものは説明のための一例にすぎず、本願発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
図1A、図1Bは、杭基礎における本願発明の杭頭接合構造1を示す図である。 図1A(a),(b)は、鉄筋等による挿通材を用いない場合の例、図1B(a),(b)は鉄筋(線状材、挿通材)9による挿通材を用いた場合の例であり、図1A(a),図1B(a)は立面図、図1B(b),図1B(b)は平面図である。
杭基礎における本願発明の杭頭接合構造1は、図1A(a)と図1B(a)からわかるように、地盤2に埋設された中空既製杭(基礎杭)4の杭頭部をフーチング(コンクリート基礎)3の内部に嵌入・埋設して中空既製杭(基礎杭)4とフーチング(コンクリート基礎)3とを接合した構造となっている。
フーチング(コンクリート基礎)3は、図1A(a)に示すように、無筋コンクリートからなるものでも良いが、一般的には鉄筋コンクリートからなり、図1B(a)に示すように、フーチング(コンクリート基礎)3の内部には配鉄筋10が配筋されている。
本願発明では、フーチング(コンクリート基礎)3の内部に嵌入・埋設された中空既製杭(基礎杭)4の杭頭部の外周面には、図に示すように、孔あき鋼板による翼板5が四方に4枚、溶接7によって取り付けられている。
図に示すように、この例では翼板5は杭軸方向に長い長方形で、複数の孔が杭軸方向に並んで設けられている。図1A(a),(b)に示す例では、前記孔は、ズレ止め機能を生み出すための孔6からなり、図1B(a),(b)に示す例では、前記孔は、ズレ止め機能と線状材や棒状材の挿通機能を兼ねた孔8からなる。
図1A、図1Bに示す例では、翼板5は4枚取り付けられているが、必要に応じて、枚数は適宜選択できる。好ましい枚数は4枚以上である。4枚未満ではズレ防止機能が十分発揮できず、また、翼板の間隔が100mm以下になる枚数まで増やすと取り付け施工やコンクリート施工が難しくなったりコスト高になったりする。
これらの例のように、フーチング(コンクリート基礎)3の内部に嵌入・埋設する中空既製杭(基礎杭)4の杭頭部に孔あき鋼板による翼板5を設けておけば、フーチング(コンクリート基礎)3に対する中空既製杭(基礎杭)4の杭頭部の位置ズレが防止され、それによって前記杭頭部のフーチング(コンクリート基礎)3に作用する引抜力や水平力に対する抵抗力が高められるので強固な杭頭接合構造1の杭基礎が構築できる。
中空既製杭(基礎杭)4の杭頭部のフーチング(コンクリート基礎)3の内部への嵌入長さLは、前記杭頭部の杭径長さ以下である。
本願発明のような翼板5が備わっていない従来の中空既製杭では、強固な杭頭接合とするために、嵌入長さLをなるべく長く、少なくとも中空既製杭の杭頭部の杭径を超えて長くする必要があったが、本願発明では、図に示すような形態で翼板5を設けることにより強固な杭頭接合が図れるので、前記嵌入長さを従来ほど長くする必要はなく、杭頭部の杭径以下、好ましくは該杭径の4/5〜杭径と同じ長さでよい。前記嵌入長さが短くなることによってフーチング(コンクリート基礎)の高さを小さくできるのでコンパクトなフーチング(コンクリート基礎)が得られる。
図1B(a),(b)に示す例では、図に示すように、ズレ止め機能と線状材や棒状材の挿通機能を兼ねた孔8に鉄筋(線状材、挿通材)9が挿通され、鉄筋(線状材、挿通材)9の端部は、フーチング(コンクリート基礎)3内に配筋されている配鉄筋10に接続されている。
この例のように、ズレ止め機能と線状材や棒状材の挿通機能を兼ねた孔8に鉄筋(線状材、挿通材)9を挿通し配鉄筋10に接続することによって、フーチング(コンクリート基礎)内に鉄筋籠が形成され、かつ、ズレ止め機能も発揮できるので、両者の相乗効果によって、より強固な杭頭接合構造1となる。
なお、図の例では、翼板5に設けられている孔は、すべてズレ止め機能と線状材や棒状材の挿通機能を兼ねた孔8であり、この孔の全てに鉄筋(線状材、挿通材)9が挿通されているが、ズレ止め機能と線状材や棒状材の挿通機能を兼ねた孔8の一部をズレ止め機能を生み出すための孔6に替え、鉄筋(線状材、挿通材)9が挿通されている孔と挿通されていない孔を組み合わせて杭頭接合構造1を構築することもできる。
図2A(a)〜(e)、図2B(a)〜(d)と図3A(a)〜(c)、図3B(a),(b)は、本願発明で用いる翼板5の外形状の例を示す図である。図の矢印に示すように、杭頭部の外周に取り付ける場合は、縦方向が杭軸方向になるようにして取り付ける。
翼板5は、前述の通り、所定の板厚を有する孔あき鋼板からなる。前記板厚は特に限定されないが、12mm以上にするのが好ましい。12mm以上であればフーチング(コンクリート基礎)のコンクリート打設による変形を防止でき、コンクリートにせん断力を伝達することができる。より好ましくは、12〜30mmである。
翼板5における孔あき鋼板の板形状は、通常、直板状(平板状)であり、図2A、図2Bと図3A、図3Bの例でも直板状のものを記載しているが、これに限定されるものではなく、必要に応じて、曲板状や波板状やジグザグ板状のものであってもよい。また、孔あき鋼板の表面は必ずしも平滑でなくてもよく、ザラザラしていたり、表面に突起や溝や条が設けられていてもよい。
図2A(a)〜(e)は平面が長方形の一般形状のものである。翼板5には、図に示すように、複数の孔が設けられている。該孔は、ここではズレ止め機能を生み出すための孔6を主体としたものを例示しているが、ズレ止め機能を生み出すための孔6に替えて、その一部または全部をズレ止め機能と線状材や棒状材の挿通機能を兼ねた孔8としてもよい。また、図2A(d),(e)の例のように、ズレ止め機能を生み出すための孔6と線状材や棒状材の専用挿通孔11とを混在させたものにしてもよい。
図2B(a)〜(d),図3A(a)〜(c)および図3B(a),(b)は平面が台形状、L字状、コ字状などの異形状のものである。これらの例では、ズレ止め機能を生み出すための孔6を縦方向だけでなく横方向にも単列もしくは複数列設けてある。このようにすることによって、ズレ止め機能を水平方向と垂直方向のいずれにも発揮させることができるので、より強固な杭頭接合構造にすることができる。
図4A、図4Bと図5A、図5Bは、図2A、図2Bや図3A、図3Bなどに示した翼板5の中空既製杭(基礎杭)4の杭頭部への設置形態例を示す図である。図4A(a),(b)は平面が長方形の一般形状の翼板5の設置例であり、図4A(c)〜(f)、図4B(a)〜(e),図5A(a)〜(f)および図5B(a)〜(e)は平面が台形状、L字状、コ字状などの異形状の翼板5の設置例である。なお、中空既製杭(基礎杭)4の上端部にある端板の図示は省略してある。
ここでは、すべて4枚の翼板5による設置例を示しているが、これに限定されるものではない。また、翼板5に設けられている孔は、すべてズレ止め機能を生み出すための孔6にしてあるが、前述の通り、該孔の一部または全部をズレ止め機能と線状材や棒状材の挿通機能を兼ねた孔8にしたり、該孔の一部を線状材や棒状材の専用挿通孔11にしてもよい。
翼板5の中空既製杭(基礎杭)4への取付方法は特に限定されない。溶接、ボルトなど、従来の方法で行えばよい。図4A(e),(f)と図4B(a)および図5B(c)に示すように、端板5の一部を中空既製杭(基礎杭)4の上端(図示していない端板の上面)に引っ掛ける形で翼板5を設置すれば、翼板5の中空既製杭(基礎杭)4への固定がしっかりしたものとなる。
翼板5は、図4A(a)、図4B(b)、(d)、図5A(a)、(c)、(e)、図5B(d)、(e)などのように、中空既製杭(基礎杭)4の上端面(杭頭部の天端)から上方に突出しないようにして、杭頭部の外周面に設置してもよいが、図4A(b)、(d)、(f)、図4B(a)、(c)、(e)、図5A(b)、(d)、(f)、図5B(a)、(b)などのように、少なくともその一部が前記上端面より上方にまで延設して設置することは好ましい。
このような形態にすれば、前記上端面より突出した部分が杭頭補強鉄筋の代替となるので、別途、杭頭補強鉄筋を設けなくても強固な杭頭接合が図れる。
また、翼板5は、図に示すように、基本、縦方向(杭軸方向)に長くして設置されるが、
図4A(c)や図4B(b)などに示すように、横方向(水平方向、杭軸方向と直角方向)に張り出し部を設けたものであれば、縦方向や横方向などの各方向に対してズレ止め機能が発揮できるので好ましい。
図6Aと図6Bは、杭基礎における本願発明の杭頭接合構造1を示す図であって、翼板5と鉄筋(線状材、挿通材)9および/又は杭頭補強鉄筋12とを併用した場合の例である。図6A(a),図6B(a),図6C(a)は立面図、図6A(b)、図6B(b),図6C(b)は平面図である。
図6A(a),(b)は翼板5と鉄筋(線状材、挿通材)9との併用例、図6B(a),(b)図は翼板5と杭頭補強鉄筋12との併用例、図6C(a),(b)は翼板5と鉄筋(線状材、挿通材)9と杭頭補強鉄筋12との併用例である。
なお、図1B(a),(b)に示すように、通常、フーチング(コンクリート基礎)3には配鉄筋10が設けられており、前述の通り、ズレ止め機能と線状材や棒状材の挿通機能を兼ねた孔8や線状材や棒状材の専用挿通孔11に挿通される鉄筋(線状材、挿通材)9は配鉄筋10に接続されるが、図6に示す例では、配鉄筋10および鉄筋(線状材、挿通材)9の配鉄筋10への接続の記載は省略してある。また、翼板5は4枚用いた場合の例を示している。
図6A,図6Bにおいて、図6A(a)は図1B(a)に、図6B(b)は図1B(b)に対応するものである。前述の通り、ズレ止め機能と線状材や棒状材の挿通機能を兼ねた孔8に鉄筋(線状材、挿通材)9を挿通し配鉄筋10に接続することによって、フーチング(コンクリート基礎)内に鉄筋籠が形成され、かつ、ズレ止め機能も発揮できるので、両者の相乗効果によって、強固な杭頭接合構造1が得られる。
また、図6B(a),(b)に示すように、翼板5と杭頭補強鉄筋12とを併用することによっても、翼板5による嵌入長さLの埋設部の耐力(ズレ止め効果)と杭頭補強鉄筋12による耐力の両方による抵抗により、強固な杭頭接合構造1が得られる。なお、杭頭補強鉄筋12は従来から用いられているものでよく、図に示すように、杭頭部外周面の翼板5,5間に設けられる。
これらより強固な杭頭接合構造1を得たい場合は、図6C(a),(b)に示すように、翼板5と鉄筋(線状材、挿通材)9と杭頭補強鉄筋12とを併用することもできる。このような構造にすれば、翼板5による嵌入長さLの埋設部の耐力(ズレ止め効果)と鉄筋(線状材、挿通材)9等による鉄筋籠の耐力と杭頭補強鉄筋12による耐力の三者よる抵抗により、極めて強固な杭頭接合構造1が得られる。
図7は、鉄筋(線状材、挿通材)9による挿通材を翼板5の孔に挿通して中空既製杭(基礎杭)4の周囲に配した場合における翼板5の設置形態例を示す平面図である。(a)は翼板5が4枚の場合、(b)と(c)は翼板5が8枚の場合、(d)は翼板5が12枚の場合である。
翼板5が多く、また、鉄筋(線状材、挿通材)9を翼板5の孔に数多く挿通した方が強固な杭頭接合構造を得易いが、翼板5の数が多いとコンクリート基礎を構築する際のコンクリート打設施工が難しくなる虞が生じる。翼板5の枚数が多い場合は、前記コンクリートは高流動コンクリートを用いるのが好ましい。
なお、図7の例では、鉄筋(線状材、挿通材)9は全て直線状に配したが、一部を曲線状にし、直線状のものと曲線状のものとを組み合わせて中空既製杭(基礎杭)4の周囲に配筋することもできる。
図8は、翼板の中空既製杭(基礎杭)の杭頭部への設置形態例を示す斜視図であり、この例では、ズレ止め機能を生み出すための孔6を備えた4枚のL字状の翼板5を、上端に端板13を有するSC杭14の杭頭部外周面に溶接7により取り付けている。
図に示すように、L字状の翼板5を用い鉤部を端板13に引っ掛けるようにして翼板5を取り付ければ、取り付けが強固となるので好ましい。
図9は、本願発明の接合用キャップの一例を示す図である。(a)は立面図、(b)は平面図である。
この例の接合用キャップ15は、筒体19とズレ止め機能を生み出すための孔6が設けられた翼板5とからなり、一般的には、工場で製作される。
筒体19は、下面は開放されており上面は十字枠17となっており4つの開口18を有する。筒体19の材質は、丈夫なものであれば特に限定されないが、孔あき鋼板からなる翼板5を溶接により取り付ける場合は、鋼製であるのが好ましい。
筒体19の高さ(縦方向の長さ)は、コンクリート基礎に嵌入される中空既製杭(基礎杭)の杭頭部の嵌入長さと同程度である。
筒体19の内寸は、接合用キャップ15が前記杭頭部にスムーズに被せられれば特に限定されないが、筒体19の内面と前記杭頭部外面との間に最小隙間が30mm以上となる若干の隙間ができる寸法にしておくことは好ましい。前記隙間があれば、この隙間に高強度モルタル等のセメント系充填材を充填することによって、接合用キャップ15の前記中空既製杭への固定が容易となる。
なお、筒体19の上面が十字枠17となっており4つの開口18が設けられているのは、前記隙間に前記セメント系充填材を充填し易くするためである。
筒体19の外周面に取り付けられる翼板5は、図2A、図2Bや図3A、図3Bに示す翼板5と同様のものであり、その設置形態は図4A、図4Bや図5A、図5Bに示すものと同様である。
この翼板5の縦方向(筒体19の高さ方向)の長さは、筒体19の高さと同程度か若干短い。また、横方向(張り出し方向)の長さは、翼板5の板形状や外形状や孔の設け方によって変わってくるので特に限定されない。翼板5の肉厚は、用いる孔あき鋼板の肉厚である。また、接合用キャップ15の外周面に取り付ける翼板5の枚数は、この例では4枚であるが、これに限定されるものではなく、図7などに示すように、8枚や12枚にすることもできる。
また、図6B(a),(b)に示す翼板の設置形態と同様に、図9に示す筒体19の外周面における翼板5,5間に杭頭補強鉄筋を溶接等により取り付け、翼板と杭頭補強鉄筋とを併用した接合用キャップとすることもできる(図示省略)。
また、図6A(a),(b)に示す翼板の設置形態と同様に、図9に示すズレ止め機能を生み出すための孔6の一部または全部をズレ止め機能と線状材や棒状材の挿通機能を兼ねた孔8に置き換えるか、ズレ止め機能を生み出すための孔6の一部を線状材や棒状材の専用挿通孔11に置き換えるかして、翼板と鉄筋(線状材、挿通材)との併用が可能となる接合用キャップとすることもできる(図示省略)。
図10は、図9に示す本願発明の接合用キャップ15を中空既製杭(基礎杭)4の杭頭部に取り付けた状態を示す図である。(a)は立面図、(b)は平面図である。
図に示すように、接合用キャップ15の中空既製杭(基礎杭)4の杭頭部への取り付けは、接合用キャップ15を前記杭頭部に上から被せて固定することによりなされる。固定方法は特に限定されないが、この例では、筒体19の内面と前記杭頭部外面との間にセメント系充填材20を十字枠17の開口(図9に示す開口18)から充填することによって固定される。セメント系充填材20としては、普通モルタル、高強度モルタル、高流動モルタル、普通コンクリート、高強度コンクリート、高流動コンクリート、ポリマーセメント系材、セメント系グラウト材などが挙げられる。
接合用キャップ15の中空既製杭(基礎杭)4の杭頭部への取り付けを強固にするために、十字枠17と端板13とを溶接しておくことは好ましい。また、前記取り付けは、工場で行ってもよいが、一般的には、施工現場でフーチング(コンクリート基礎)施工を行う際になされる。
上記のような本願発明の接合用キャップを用いれば、前記翼板を取り付けた中空既製杭を工場から施工現場まで運搬したり施工現場で中空既製杭の杭頭部の外周面に直接前記翼板を取り付ける作業がなくなり、省力化できる。
また、中空既製杭としてコンクリート製杭を用い前記翼板を前記中空既製杭の杭頭部の外周面に直接取り付ける場合は、前記翼板を取り付ける部分の杭頭部の外周面を鋼板で巻き被覆する必要があったが、上記のような本願発明の接合用キャップを用いれば、このような被覆はしなくても済み、種々の杭への対応が容易となる。
図11は、杭頭接合構造1における縦方向の主たる力学的関係の概要を示す図である。(a)は従来の一般的な杭頭接合構造1を示す立面図、(b)は本願発明の杭頭接合構造1の一例を示す立面図である。なお、前記力学的関係を単純化すべく、通常、フーチング(コンクリート基礎)3内に設けられる配鉄筋等は省略している。
(a)に示すように、従来の杭頭接合構造1では、中空既製杭(基礎杭)4とフーチング(コンクリート基礎)3との間に働く引抜耐力22(主として摩擦力)は小さくフーチング(コンクリート基礎)3に作用する引き抜き力に対してはほとんど抵抗できず、嵌入長さLを長くする必要があったが、(b)に示すように、翼板5を有する本願発明の杭頭接合構造1では、中空既製杭(基礎杭)4とフーチング(コンクリート基礎)3との間に働く引抜耐力22(ズレ抵抗力、摩擦力など)が大きいため、フーチング(コンクリート基礎)3に作用する引き抜き力に対して十分でき、嵌入長さLを従来より短くできる。短くできればフーチング(コンクリート基礎)の高さを小さくできコンパクトなフーチング(コンクリート基礎)にすることができるといったメリットが生まれる。
図12は、杭頭接合構造1における横方向(水平方向)の主たる力学的関係の概要を示す図である。(a)は従来の一般的な杭頭接合構造1を示す立面図、(b)は本願発明の杭頭接合構造1の一例を示す立面図である。なお、前記力学的関係を単純化すべく、通常、フーチング(コンクリート基礎)3内に設けられる配鉄筋等は省略している。
(a)に示すように、従来の杭頭接合構造1では、中空既製杭(基礎杭)4とフーチング(コンクリート基礎)3との間に働く支圧力23は小さくフーチング(コンクリート基礎)3に作用する水平力に対してはほとんど抵抗できず、嵌入長さLを長くする必要があったが、(b)に示すように、翼板5を有する本願発明の杭頭接合構造1では、翼板5によるズレ防止機能により中空既製杭(基礎杭)4とフーチング(コンクリート基礎)3との間に働く支圧力23が大きいため、フーチング(コンクリート基礎)3に作用する水平力に対して十分でき、嵌入長さLを従来より短くできる。
次に、本願発明の杭頭接合構造1の構築方法例の概略を図13A、図13Bに示す。この例では、中空既製杭(基礎杭)としてSC杭を用いている。
図13A(a)はSC杭14の埋設工程、図13A(b)はSC杭14の杭頭部の堀出し工程、図13A(c)は翼板5のSC杭14の杭頭部への設置工程、図13A(d)はフーチング(コンクリート基礎)3の造成工程、図13B(a)は予め翼板5を杭頭部に備えたSC杭14の埋設工程、図13B(b)は杭頭接合構造1の完成状態を示す。
[構築方法1]
杭頭接合構造1の構築は、図13A(a)→図13A(b)→図13A(c)→図13A(d)→図13B(b)で行う。
(a)まず、従来の方法で上杭としてのSC杭14を杭穴24内に埋設する。
(b)杭穴24内に埋設したSC杭14の杭頭部を従来の方法で堀出し、該杭頭部を地上に露出させる。
(c)露出した前記杭頭部の外周面に所定枚数(この例では4枚)の翼板5を溶接7により設置する。この例では、翼板5を設置しているが、図10に示すように、翼板に替えて本願発明の接合用キャップを取り付けることもできる。
(d)フーチング(コンクリート基礎)造成用の型枠26を設置し、型枠26内に配鉄筋10を配筋し、その後、型枠26内にコンクリート27を打設する。この例では翼板5の孔に鉄筋(線状材、挿通材)を挿通していないが、必要に応じて、鉄筋(線状材、挿通材)を翼板5の孔に挿通し配鉄筋10に接続することにより、型枠26内に鉄筋(線状材、挿通材)と配鉄筋10による鉄筋籠を形成することもできる。このようにすれば、より強固な杭頭接合構造1が得られる。
(e)コンクリート27が硬化後、型枠26を脱型することにより本願発明の杭基礎構造1が得られる。
[構築方法2]
上記方法のような施工現場での翼板のSC杭頭部への設置が困難な場合は、予め工場等で杭頭部に翼板5を設置したSC杭14を施工現場に搬入し、これを用いて本願発明の杭頭接合構造1を構築することもできる。この場合は、図13B(a)→図13A(d)→図13B(b)で行う。
図13B(a)杭頭部に翼板5を備えたSC杭14を杭頭回転金具(補助治具)29を備えた回転キャップ28に連結し、拡頭部のある杭穴に従来の方法でSC杭14を埋設する。埋設後、回転キャップ28を取り外し、その後、前記拡頭部の周りの地盤を掘削・除去して杭頭部を図13A(c)の完了状態にする。
図13A(d)と図13B(b)については、上述の通りである。以上のように、本願発明の杭頭接合構造1は、従来の構築方法の工程を大きく変えることなく得られる。そして、従来の同様の杭頭接合構造に比べ強固なものとなる。
L…嵌入長さ、1…杭頭接合構造、2…地盤、3…フーチング(コンクリート基礎)、4…中空既製杭(基礎杭)、5…翼板、6…ズレ止め機能を生み出すための孔、7…溶接、8…ズレ止め機能と線状材や棒状材の挿通機能を兼ねた孔、9…鉄筋(線状材、挿通材)、10…配鉄筋、11…線状材や棒状材の専用挿通孔、12…杭頭補強鉄筋、13…端板、
14…SC杭、15…接合用キャップ、16…空洞、17…十字枠、18…開口、19…筒体、20…セメント系充填材、21…中空部、22…引抜耐力、23…支圧力、
24…杭穴、25…杭周固定液、26…型枠、27…コンクリート、28…回転キャップ、29…杭頭回転金具(補助治具)、30…拡頭部

Claims (10)

  1. コンクリート基礎の内部に嵌入・埋設される基礎杭としての中空既製杭に設置される接合用キャップであって、前記中空既製杭の外側に同心円状に設置され、外周面および上端面に前記コンクリート基礎のコンクリート内に突出する孔あき鋼板からなる複数の翼板が取り付けられていることを特徴とする接合用キャップ。
  2. 請求項1記載の接合用キャップにおいて、前記中空既製杭の外周面と前記接合用キャップの内周面との間にセメント系充填材が充填されていることを特徴とする接合用キャップ。
  3. 請求項1または2に記載の接合用キャップにおいて、前記翼板としての孔あき鋼板に設けられている孔の孔径は均一ではなく、少なくとも2つの孔径の孔が混在していることを特徴とする接合用キャップ。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の接合用キャップにおいて、外周面に前記翼板としての孔あき鋼板とともに杭頭補強鉄筋が取り付けられていることを特徴とする接合用キャップ。
  5. コンクリート基礎と、前記コンクリート基礎の内部に嵌入・埋設される基礎杭としての中空既製杭と、前記中空既製杭に設置される接合用キャップからなる杭頭接合構造であって、前記接合用キャップは、前記中空既製杭の杭頭部の外側に同心円状に設置され、外周面および上端面に前記コンクリート基礎のコンクリート内に突出する孔あき鋼板からなる複数の翼板が取り付けられていることを特徴とする杭頭接合構造。
  6. 請求項5に記載の杭頭接合構造において、前記コンクリート基礎のコンクリート内に嵌入・埋設されている前記中空既製杭の杭頭部の嵌入長さは、前記杭頭部の杭径以下であることを特徴とする杭頭接合構造。
  7. 請求項5又は6に記載の杭頭接合構造において、前記翼板としての孔あき鋼板は、少なくともその一部が前記杭頭部の上端より上方にまで延設されており、前記翼板が杭頭補強鉄筋の役割を兼ねていることを特徴とする杭頭接合構造。
  8. 請求項5〜7のいずれかに記載の杭頭接合構造において、前記翼板としての孔あき鋼板の外形状が前記接合用キャップの外周面および上端面に沿ってL字状であることを特徴とする杭頭接合構造。
  9. 請求項5〜8のいずれかに記載の杭頭接合構造において、前記翼板としての孔あき鋼板に設けられている孔の少なくとも一つ以上には、線状材又は棒状材が挿通されていることを特徴とする杭頭接合構造。
  10. 請求項9に記載の杭頭接合構造において、前記線状材が鉄筋であり、該鉄筋は前記コンクリート基礎の内部に配された配鉄筋に接続されていることを特徴とする杭頭接合構造。
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