JPWO2002088099A1 - チアゾリルケイ皮酸ニトリル化合物および有害生物防除剤 - Google Patents
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Abstract
本発明は、式〔1〕[式中、Rは、水素原子、C1−6アルキル基、式COR1で表される基、式CSR1で表される基等を表し、Xは、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C3−6シクロアルキル基、C1−6ハロアルキル基等を表し、Yは、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、C1−6アルキル基等を表し、Zは、炭素原子または窒素原子を表し、mは、0から7の整数を表し、nは、0から5の整数を表す。]で表される化合物、および該化合物またはその塩を有効成分として含有してなる有害生物防除剤である。
Description
技術分野:
本発明は、新規なチアゾリルケイ皮酸ニトリル化合物および有害生物防除剤に関する。
背景技術:
従来より、多数の殺虫剤、殺ダニ剤が使用されているが、その効力が不十分であったり、薬剤抵抗性問題によりその使用が制限されたり、また、植物体に薬害や汚染を生じたり、あるいは人畜魚類などに対する毒性が強かったりすることから、必ずしも満足すべき防除薬剤とは言い難いものが少なくない。従って、かかる欠点の少ない安全に使用できる薬剤の開発が要望されている。
本発明化合物と類似したアクリロニトリル化合物は、EP.189960号公報、WO97/40009号公報、WO98/42683号公報、WO98/35935号公報及びWO99/44993号公報等に記載されている。
また、WO01/21618号公報には、下記式で表される化合物が記載されている。
(Qは、特定の基で置換されたチアゾリル等を、Aは置換されても良いフェニル基等を表す。)
しかし、本発明の置換基を有するチアゾリルを有する化合物は記載されていない。
発明の開示:
本発明は、工業的に有利に合成でき効果が確実で安全に使用できる有害生物防除剤となりうる新規化合物を提供することを課題とする。
本発明は、式〔1〕
〔式中、Rは、水素原子、C1−6アルキル基、式COR1で表される基、式CSR1で表される基、またはSO2R2で表される基、C1−6アルコキシC1−6アルキル基、C1−6アルキルカルボニルオキシC1−6アルキル基、C3−6シクロアルキルカルボニルオキシC1−6アルキル基、C1−6アルコキシカルボニルオキシC1−6アルキル基、置換基を有してもよいフェニルカルボニルオキシC1−6アルキル基、C1−6アルキルチオC1−6アルキル基、C1−6アルキルカルボニルチオC1−6アルキル基、C3−6シクロアルキルカルボニルチオC1−6アルキル基、C1−6アルコキシカルボニルチオC1−6アルキル基、置換基を有してもよいフェニルカルボニルチオC1−6アルキル基、置換基を有してもよいフェニルC1−6アルキル基を表し、
R1はC1−12アルキル基、C3−6シクロアルキル基、C1−6ハロアルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキルチオ基、C1−6アルキルアミノ基、ジC1−6アルキルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルC1−6アルキル基、置換基を有してもよいフェニルC1−6アルコキシ基、置換基を有してもよいフェニル基を表し、
R2はC1−12アルキル基または置換基を有してもよいフェニル基を表し、
Xは、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C3−6シクロアルキル基、C1−6ハロアルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6ハロアルコキシ基を表し、
Yは、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6ハロアルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6ハロアルコキシ基、C1−6アルキルチオ基、C1−6アルキルスルフィニル基、C1−6アルキルスルホニル基、C1−6アルキルアミノ基、ジC1−6アルキルアミノ基、C1−6アルキルカルボニル基、C1−6アルコキシカルボニル基を表し、
Zは、炭素原子または窒素原子を表し、
mは、0または1から7の整数を表し、
nは、0または1から5の整数を表す。]
で表される化合物、および該化合物またはその塩を有効成分として含有してなる有害生物防除剤である。
発明の実施の形態:
前記式[1]において、
Rは、水素原子、
メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチルおよびその異性体、ヘキシルおよびその異性体等のC1−6アルキル基、
式COR1で表される基、式CSR1で表される基、SO2R2で表される基、
メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシエチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、ブチロキシメチル等のC1−6アルコキシC1−6アルキル基、
アセトキシメチル、ピバロイルオキシメチル、ヘプタノイルオキシメチル、アセトキシエチル、アセトキシヘキシル等のC1−6アルキルカルボニルオキシC1−6アルキル基、
シクロプロピルカルボニルオキシメチル、シクロペンチルカルボニルオキシメチル、シクロヘキシルカルボニルオキシメチル、シクロプロピルカルボニルオキシエチル、シクロプロピルカルボニルオキシヘキサン等のC3−6シクロアルキルカルボニルオキシC1−6アルキル基、
メトキシカルボニルオキシメチル、エトキシカルボニルオキシメチル、メトキシカルボニルオキシエチル、エトキシカルボニルオキシエチル、n−プロポキシカルボニルオキシメチル、イソプロポキシカルボニルオキシメチル、n−ブトキシカルボニルオキシメチル、t−ブトキシカルボニルオキシメチル等のC1−6アルコキシカルボニルオキシC1−6アルキル基
ベンゼン環に置換基を有してもよいベンゾイルオキシメチル、2−(ベンゾイルオキシ)エチル等のフェニルカルボニルオキシC1−6アルキル基、
メチルチオメチル、メチルチオエチル、エチルチオエチル、エチルチオメチル、プロピルチオメチル、ブチルチオメチル等のC1−6アルキルチオC1−6アルキル基、アセチルチオメチル、ピバロイルチオメチル、ヘプタノイルチオメチル、アセチルチオエチル、アセチルチオヘキシル等のC1−6アルキルカルボニルチオC1−6アルキル基、
シクロプロピルカルボニルチオメチル、シクロペンチルカルボニルチオメチル、シクロヘキシルカルボニルチオメチル、シクロプロピルカルボニルチオエチル、シクロプロピルカルボニルチオヘキサン等のC3−6シクロアルキルカルボニルチオC1−6アルキル基、
メトキシカルボニルチオメチル、エトキシカルボニルチオメチル、メトキシカルボニルチオエチル、エトキシカルボニルチオエチル、n−プロポキシカルボニルチオメチル、イソプロポキシカルボニルチオメチル、n−ブトキシカルボニルチオメチル、t−ブトキシカルボニルチオメチル等のC1−6アルコキシカルボニルチオC1−6アルキル基
ベンゼン環に置換基を有してもよい、ベンゾイルチオメチル、2−(ベンゾイルチオ)エチル等のフェニルカルボニルチオC1−6アルキル基、
ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、2−クロロベンジル、4−メチルベンジル、3−ニトロベンジル、4−メトキシベンジル、3,5−ジフルオロベンジル、2−(4−クロロフェニル)エチル、2−(4−メチルフェニル)エチル、2−(3,4−ジブロモフェニル)エチル等の置換基を有してもよいフェニルC1−6アルキル基を表す。
また、前記式におけるR1は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル及びその異性体,n−ヘキシル及びその異性体、n−ヘプチル及びその異性体、n−ノニル及びその異性体、n−ドデシル等のC1−12アルキル基、
シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等のC3−6シクロアルキル基、
クロロメチル、フルオロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、ジフルオロメチル、ジブロモメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、トリブロモメチル、トリクロロエチル、トルフルオロエチル、ペンタフルオロエチル等のC1−6ハロアルキル基、
メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ等のC1−6アルコキシ基、
メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、t−ブチルチオ等のC1−6アルキルチオ基、
メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、−ブチルアミノ、イソブチルアミノ、sec−ブチルアミノ、t−ブチルアミノ、1−メチルブチルアミノ、n−ペンチルアミノ等のC1−6アルキルアミノ基、
ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、エチルイソプロピルアミノ、メチルプロピルアミノ、メチルブチルアミノ等のジC1−6アルキルアミノ基、
置換基を有してもよいフェニルC1−6アルキル基、
置換基を有してもよいフェニルC1−6アルコキシ基、または、
置換基を有してもよいフェニル基を表す。
また、前記置換基を有してもよいフェニルC1−6アルキル基のフェニルC1−6アルキル基としては、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、1−フェニル−1−メチルエチル、1−フェニルプロピル、2−フェニルプロピル、3−フェニルプロピル等が挙げられ、前記置換基を有してもよいフェニルC1−6アルコキシ基のフェニルC1−6アルコキシ基としては、ベンジルオキシ、1−フェニルエトキシ、2−フェニルエトキシ、1−フェニル−1−メチルエトキシ、1−フェニルプロポキシ、2−フェニルプロポキシ、3−フェニルプロポキシ等が挙げられる。
R2は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル及びその異性体、n−ヘキシル及びその異性体、n−ヘプチル及びその異性体、n−ノニル及びその異性体、n−ドデシル等のC1−12アルキル基、または置換基を有してもよいフェニル基を表す。
前記R1,R2における置換基を有していてもよいフェニル基の置換基としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル等のC1−6アルキル基、クロロメチル、フルオロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、ジフルオロメチル、ジブロモメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、トリブロモメチル、トリクロロエチル、トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル等のC1−6ハロアルキル基、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ等のC1−6アルコキシ基等が挙げられる。
Xは、シアノ基、ニトロ基、
フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、
メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチルおよびその異性体、n−ヘキシルおよびその異性体等のC1−6アルキル基、
シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、等のC3−6シクロアルキル基、
クロロメチル、フルオロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、ジフルオロメチル、ジブロモメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、トリブロモメチル、2,2,2−トリクロロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル等のC1−6ハロアルキル基、
メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ等のC1−6アルコキシ基、
クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、トリクロロメトキシ、トリフルオロメトキシ、1−フルオロエトキシ、1,1−ジフルオロエトキシ等のC1−6ハロアルコキシ基を表す。
Yは、ニトロ基、シアノ基、
フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、
メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル等のC1−6アルキル基、
クロロメチル、フルオロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、ジフルオロメチル、ジブロモメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、トリブロモメチル、トリクロロエチル、トルフルオロエチル、ペンタフルオロエチル等のC1−6ハロアルキル基、
メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ等のC1−6アルコキシ基、
クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、トリクロロメトキシ、トリフルオロメトキシ、1−フルオロエトキシ、1,1−ジフルオロエトキシ等のC1−6ハロアルコキシ基、
メチルチオ、エチルチオエチル、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、t−ブチルチオ等のC1−6アルキルチオ基、
メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、ブチルスルフィニル等のC1−6アルキルスルフィニル基、
メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル等のC1−6アルキルスルホニル基、
メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、イソブチルアミノ、sec−ブチルアミノ、t−ブチルアミノ、1−メチルブチルアミノ、n−ペンチルアミノ等のC1−6アルキルアミノ基、
ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、エチルイソプロピルアミノ、メチルプロピルアミノ、メチルブチルアミノ等のジC1−6アルキルアミノ基、
メチルカルボニル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、ブチルカルボニル等のC1−6アルキルカルボニル基、または、
メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル等のC1−6アルコキシカルボニル基を表す。
Zは、炭素原子または窒素原子を表す。
nは0または1〜5の整数を、mは0または1〜7の整数を表わす。
本発明化合物は、例えば、以下の方法により製造することができる。
(a)Rが水素原子である化合物(2)の製造法
(式中、X、Y、Z、mおよびnは前記と同じ意味を表し、L1はハロゲン原子、C1−6アルコキシ基、フェノキシ基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、p−トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基またはトリフルオロメタンスルホニル基等の脱離基を表す。)
すなわち、式(3)で表される化合物と式(4)で表される化合物とを塩基存在下に反応させることによって、式(2)で表される化合物を得ることができる。
この反応で用いられる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩、ナトリウムメトキシド、カリウムt−ブトキシド、マグネシウムエトキシド等の金属アルコキシド、n−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)等の有機金属、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ピリジン等の有機塩基等が挙げられる。また、用いることのできる溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル、ヘキサメチルリン酸アミド(HMPA)、ベンゼン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等を用いることができる。反応温度は−78℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲が好ましい。
その他、ベンゼン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等と水の二相系溶媒中で、4級アミン塩等の相関移動触媒と水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基を用い、−78℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲で反応を行い、式(2)で示される化合物を得ることもできる。
式(2)で表される化合物は、以下の図に示すような、ケト型、エノール型の互変異性体として存在する。本発明化合物では、ケト型、エノール型互変異性において、主としてエノール型として構造決定しているが、これら2種の異性体はすべて本発明の範囲に含まれる。
なお、前記式(3)で表される2−シアノメチルチアゾール化合物のうち、4位が置換基を有するナフチル基である化合物は文献未記載の新規化合物である。
(b)Rが水素原子以外の基である化合物の製造法
(式中、R、R1、X、Y、Z、mおよびnは前記と同じ意味を表し、L2はハロゲン原子、p−トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基またはトリフルオロメタンスルホニルオキシ基等の脱離基を表す。)
式(2)で表される化合物と式(5)あるいは(5’)で表される化合物とを塩基存在下に反応させることによって、式(1)あるいは(1’)で表される化合物を得ることができる。
この反応で用いられる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩、ナトリウムメトキシド、カリウムt−ブトキシド、マグネシウムエトキシド等の金属アルコキシド、n−ブチルリチウム、LDA等の有機金属、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ピリジン等の有機塩基等が挙げられる。また、用いることのできる溶媒としては、DMF、DMSO、THF、アセトニトリル、HMPA、ベンゼン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等を用いることができる。反応温度は−78℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲が好ましい。
その他、ベンゼン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等と水の二相系溶媒中で、4級アミン塩等の相関移動触媒と水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基を用い、−78℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲で反応を行い、式(1)あるいは(1’)で示される化合物を得ることもできる。
なお、本発明の化合物である式(1)で示される化合物には、以下に示すように、立体異性体が存在し、反応条件および精製方法によって、2種のうちのいずれか1種の異性体のみが得られる場合、あるいは2種の異性体混合物として得られる場合がある。これらの異性体は全て本発明の範囲に含まれる。
反応終了後は、通常の後処理を行なうことにより目的物を得ることができる。本発明化合物の構造は、IR,NMRおよびMS等から決定した。
以上のようにして製造することのできる本発明化合物の代表例を、第1表に示す。なお、表中の略記号は以下の意味を示す。
Me:メチル、Et:エチル、Pr:プロピル、Bu:ブチル、Ph:フェニル、Hex:ヘキシル、Hep:ヘプチル、Oct:オクチル、n:ノルマル、i:イソ、t:ターシャリー、c:シクロ
以下の表に、上記式1−1から1−114で表される化合物すべてのXn、YおよびRの組み合わせを例示する。
〔有害生物防除剤〕
本発明化合物は、有害生物防除剤の有効成分として有用であり、特に、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、衛生害虫防除剤や水中付着生物防汚剤として有用である。
本発明化合物を実際に施用する際には他成分を加えることなく純粋な形で使用できるし、また農薬として使用する目的で一般の農薬のとり得る形態、例えば、水和剤、粒剤、粉剤、乳剤、水溶剤、懸濁剤、顆粒水和剤等の形態で使用することもできる。
添加剤及び担体としては固型剤を目的とする場合は、大豆粒、小麦粉等の植物性粉末、珪藻土、燐灰石、石こう、タルク、ベントナイト、パイロフィライト、クレー等の鉱物性微粉末、安息香酸ソーダ、尿素、芒硝等の有機及び無機化合物が使用される。液体の剤型を目的とする場合は、ケロシン、キシレンおよび石油系の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アルコール、アセトン、メチルイソブチルケトン、鉱物油、植物油、水等を溶剤として使用することができる。
また、これらの製剤において均一かつ安定な形態をとるために、必要ならば界面活性剤を添加することもできる。界面活性剤としては、特に限定はないが、例えば、ポリオキシエチレンが付加したアルキルエーテル、ポリオキシエチレンが付加した高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンが付加したソルビタン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンが付加したトリスチリルフェニルエーテル等の非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンが付加したアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩のホルムアルデヒド縮合物、イソブチレン−無水マレイン酸の共重合体等が挙げられる。
製剤中の有効成分量は好ましくは0.01〜90重量%であり、特に好ましくは0.05〜85重量%である。このようにして得られた水和剤、乳剤、懸濁剤、水溶剤,顆粒水和剤等は水で所定の濃度に希釈して溶液、懸濁液あるいは乳濁液として、粉剤・粒剤はそのまま植物あるいは土壌に適用される。
なお、本発明化合物は単独でも十分有効であることは言うまでもないが、各種の殺菌剤や有害生物防除剤または共力剤の1種又は2種以上と混合して使用することもできる。
本発明化合物と混合して使用することのできる殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、植物生長調節剤の代表例を以下に示す。
殺菌剤:
キャプタン、フォルペット、チウラム、ジラム、ジネブ、マンネブ、マンコゼブ、プロピネブ、ポリカーバメート、クロロタロニン、キントーゼン、キャプタホル、イプロジオン、プロサイミドン、ビンクロゾリン、フルオロイミド、サイモキサニル、メプロニル、フルトラニル、ペンシクロン、オキシカルボキシン、ホセチルアルミニウム、プロパモカーブ、トリアジメホン、トリアジメノール、プロピコナゾール、ジクロブトラゾール、ビテルタノール、ヘキサコナゾール、マイクロブタニル、フルシラゾール、エタコナゾール、フルオトリマゾール、フルトリアフェン、ペンコナゾール、ジニコナゾール、サイプロコナゾーズ、フェナリモール、トリフルミゾール、プロクロラズ、イマザリル、ペフラゾエート、トリデモルフ、フェンプロピモルフ、トリホリン、ブチオベート、ピリフェノックス、アニラジン、ポリオキシン、メタラキシル、オキサジキシル、フララキシル、イソプロチオラン、プロベナゾール、ピロールニトリン、ブラストサイジンS、カスガマイシン、バリダマイシン、硫酸ジヒドロストレプトマイシン、ベノミル、カルベンダジム、チオファネートメチル、ヒメキサゾール、塩基性塩化銅、塩基性硫酸銅、フェンチンアセテート、
水酸化トリフェニル錫、ジエトフェンカルブ、メタスルホカルブ、キノメチオナート、ビナパクリル、レシチン、重曹、ジチアノン、ジノカップ、フェナミノスルフ、ジクロメジン、グアザチン、ドジン、IBP、エディフェンホス、メパニピリム、フェルムゾン、トリクラミド、メタスルホカルブ、フルアジナム、エトキノラック、ジメトモルフ、ピロキロン、テクロフタラム、フサライド、フェナジンオキシド、チアベンダゾール、トリシクラゾール、ビンクロゾリン、シモキサニル、シクロブタニル、グアザチン、プロパモカルブ塩酸塩、オキソリニック酸。
有害生物防除剤:
有機燐及びカーバメート系殺虫剤:
フェンチオン、フェニトロチオン、ダイアジノン、クロルピリホス、ESP、バミドチオン、フェントエート、ジメトエート、ホルモチオン、マラソン、トリクロルホン、チオメトン、ホスメット、ジクロルボス、アセフェート、EPBP、メチルパラチオン、オキシジメトンメチル、エチオン、サリチオン、シアノホス、イソキサチオン、ピリダフェンチオン、ホサロン、メチダチオン、スルプロホス、クロルフェンビンホス、テトラクロルビンホス、ジメチルビンホス、プロパホス、イソフェンホス、エチルチオメトン、プロフェノホス、ピラクロホス、モノクロトホス、アジンホスメチル、アルディカルブ、メソミル、チオジカルブ、カルボフラン、カルボスルファン、ベンフラカルブ、フラチオカルブ、プロポキスル、BPMC、MTMC、MIPC、カルバリル、ピリミカーブ、エチオフェンカルブ、フェノキシカルブ等。
ピレスロイド系殺虫剤:
ペルメトリン、シペルメトリン、デルタメスリン、フェンバレレート、フェンプロパトリン、ピレトリン、アレスリン、テトラメスリン、レスメトリン、ジメスリン、プロパスリン、フェノトリン、プロトリン、フルバリネート、シフルトリン、シハロトリン、フルシトリネート、エトフェンプロクス、シクロプロトリン、トラロメトリン、シラフルオフェン、アクリナトリン等。
ベンゾイルウレア系その他の殺虫剤:
ジフルベンズロン、クロルフルアズロン、ヘキサフルムロン、トリフルムロン、テトラベンズロン、フルフェノクスロン、フルシクロクスロン、ブプロフェジン、ピリプロキシフェン、メトプレン、ベンゾエピン、ジアフェンチウロン、イミダクロプリド、ニテンピラム、アセタミプリド、カルタップ、チオシクラム、ベンスルタップ、クロルフェナピル、エマメクチンベンゾエート、テブフェノジド、フィプロニル、硫酸ニコチン、ロテノン、メタアルデヒド、機械油、BTや昆虫病原ウイルスなどの微生物農薬等。
殺線虫剤:
フェナミホス、ホスチアゼート等。
殺ダニ剤:
クロルベンジレート、フェニソブロモレート、ジコホル、アミトラズ、BPPS、ベンゾメート、ヘキシチアゾクス、酸化フェンブタスズ、ポリナクチン、キノメチオネート、CPCBS、テトラジホン、アベルメクチン、ミルベメクチン、クロフェンテジン、シヘキサチン、ピリダベン、フェンピロキシメート、テブフェンピラド、ピリミジフェン、フェノチオカルブ、ジエノクロル、エトキサゾール、ハルフェンプロックス、アセキノシル、ビフェナゼート等。
植物生長調節剤:
ジベレリン類(例えばジベレリンA3、ジベレリンA4、ジベレリンA7)、IAA、NAA等。
本発明化合物は、農業上の有害生物、衛生害虫、貯殻害虫、衣類害虫、家屋害虫等の防除に使用でき、殺成虫、殺若虫、殺幼虫、殺卵作用を有する。その代表例として、下記のものが挙げられる。
鱗翅目害虫、例えば、ハスモンヨトウ、ヨトウガ、タマナヤガ、アオムシ、タマナギンウワバ、コナガ、チャノコカクモンハマキ、チャハマキ、モモシンクイガ、ナシヒメシンクイ、ミカンハモグリガ、チャノホソガ、キンモンホソガ、マイマイガ、チャドクガ、ニカメイガ、コブノメイガ、ヨーロピアンコーンボーラー、アメリカシロヒトリ、スジマダラメイガ、ヘリオティス属、ヘリコベルパ属、アグロティス属、イガ、コドリンガ、ワタアカミムシ等、
半翅目害虫、例えば、モモアカアブラムシ、ワタアブラムシ、ニセダイコンアブラムシ、ムギクビレアブラムシ、ホソヘリカメムシ、アオクサカメムシ、ヤノネカイガラムシ、クワコナカイガラムシ、オンシツコナジラミ、タバココナジラミ、ナシキジラミ、ナシグンバイムシ、トビイロウンカ、ヒメトビウンカ、セジロウンカ、ツマグロヨコバイ等、
鞘翅目害虫、例えば、キスジノミハムシ、ウリハムシ、コロラドハムシ、イネミズゾウムシ、コクゾウムシ、アズキゾウムシ、マメコガネ、ヒメコガネ、ジアブロティカ属、タバコシバンムシ、ヒラタキクイムシ、マツノマダラカミキリ、ゴマダラカミキリ、アグリオティス属、ニジュウヤホシテントウ、コクヌスト、ワタミゾウムシ等、
双翅目害虫、例えば、イエバエ、オオクロバエ、センチニクバエ、ウリミバエ、ミカンコミバエ、タネバエ、イネハモグリバエ、キイロショウジョウバエ、サシバエ、コガタアカイエカ、ネッタイシマカ、シナハマダラカ等、
総翅目害虫、例えば、ミナミキイロアザミウマ、チャノキイロアザミウマ等、
膜翅目害虫、例えば、イエヒメアリ、キイロスズメバチ、カブラハバチ等、
直翅目害虫、例えば、トノサマバッタ、チャバネゴキブリ、ワモンゴキブリ、クロゴキブリ等
等翅目害虫、例えば、イエシロアリ、ヤマトシロアリ等、
隠翅目害虫、例えば、ヒトノミ等、シラミ目害虫、例えば、ヒトジラミ等、
ダニ類、例えば、ナミハダニ、ニセナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニ、ミカンサビダニ、リンゴサビダニ、チャノホコリダニ、ブレビパルパス属、エオテトラニカス属、ロビンネダニ、ケナガコナダニ、コナヒョウヒダニ、オウシマダニ、フタトゲチマダニ等、
植物寄生性線虫類、例えば、サツマイモネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウ、ダイズシストセンチュウ、イネシンガレセンチュウ、マツノザイセンチュウ等。
適用が好ましい有害生物としては、鱗翅目害虫、半翅目害虫、鞘翅目害虫、総翅目害虫、ハダニ類であり、特に好ましくは鱗翅目害虫、半翅目害虫、ハダニ類である。
また、近年コナガ、ウンカ、ヨコバイ、アブラムシ、ハダニ等多くの害虫およびダ二類において有機リン剤、カーバメート剤や殺ダニ剤に対する抵抗性が発達し、それら薬剤の効力不足問題を生じており、抵抗性系統の害虫やダニにも有効な薬剤が望まれている。本発明化合物は感受性系統のみならず、有機リン剤、カーバメート剤、ピレスロイド剤抵抗性系統の害虫や、殺ダニ剤抵抗性系統のダニにも優れた殺虫殺ダニ効果を有する薬剤である。
本発明化合物は薬害が少なく、魚類や温血動物への毒性が低く、安全性の高い薬剤である。
また本発明化合物は、水棲生物が船底、魚網等の水中接触物に付着するのを防止するための防汚剤として使用することもできる。
【実施例】
次に、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1
2’−クロロ−3−ヒドロキシ−2−[4−(1−ナフチル)チアゾール−2−イル]−桂皮酸ニトリル(化合物番号2−7)の製造
2−シアノメチル−4−(1−ナフチル)チアゾール0.8gをトルエン15mLに溶解、氷冷し、トリエチルアミン0.65g、4−ジメチルアミノピリジン20mgおよび塩化2−クロロベンゾイル1.3gを加えた後、3時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮、酢酸エチルおよび飽和食塩水を加え、有機層を減圧濃縮して油状物を得た。ここで得られた油状物をエタノール19mLに溶解し、氷冷下にて10%水酸化ナトリウム水溶液2.6mLを加えた後、室温で一晩放置した。反応液を減圧濃縮、得られた残渣を水に溶解、希塩酸を加え酸性とした後、酢酸エチルを加えた。有機層を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフフィー(展開溶媒;1:4酢酸エチル/nヘキサン)で精製し、目的化合物1.05gをアモルファスとして得た。収率 84.1%
実施例2
2’−クロロ−2−[4−(1−ナフチル)チアゾール−2−イル]−ピバロイルオキシ−桂皮酸ニトリル(化合物番号2−1)の製造
2’−クロロ−3−ヒドロキシ−2−[4−(1−ナフチル)チアゾール−2−イル]−桂皮酸ニトリル0.25gをTHF10mlに溶解、氷冷下し、トリエチルアミン0.1gおよび塩化ピバロイル0.1gを順次加え、室温に戻した後、一晩放置した。析出した塩を濾過、濾液を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフフィー(展開溶媒;1:8酢酸エチル/nヘキサン)で精製し、目的化合物0.24gをアモルファスとして得た。収率 79.2%
上記のようにして製造された本発明化合物の構造式と物理恒数を第2表に示す。
次に、本発明の組成物の実施例を若干示すが、添加物及び添加割合は、これら実施例に限定されるべきものではなく、広範囲に変化させることが可能である。また、製剤実施例中の部は重量部を示す。
製剤実施例1 水和剤
本発明化合物 40部
クレー 48部
ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩 4部
リグニンスルホン酸ナトリウム塩 8部
以上を均一に混合して微細に粉砕すれば、有効成分40%の水和剤を得る。
製剤実施例2 乳剤
本発明化合物 10部
ソルベッソ200 53部
シクロヘキサノン 26部
ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム塩 1部
ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル 10部
以上を混合溶解すれば、有効成分10%の乳剤を得る。
製剤実施例3 粉剤
本発明化合物 10部
クレー 90部
以上を均一に混合して微細に粉砕すれば、有効成分10%の粉剤を得る 製剤
実施例4 粒剤
本発明化合物 5部
クレー 73部
ベントナイト 20部
ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩
1部
リン酸カリウム 1部
以上をよく粉砕混合し、水を加えてよく練り合せた後、造粒乾燥して有効成分5%の粒剤を得る。
製剤実施例5 懸濁剤
本発明化合物 10部
ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル 4部
ポリカルボン酸ナトリウム塩 2部
グリセリン 10部
キサンタンガム 0.2部
水 73.8部
以上を混合し、粒度が3ミクロン以下になるまで湿式粉砕すれば、有効成分10%の懸濁剤を得る。
製剤実施例6 顆粒水和剤
本発明化合物 40部
クレー 36部
塩化カリウム 10部
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩 1部
リグニンスルホン酸ナトリウム塩 8部
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩の
ホルムアルデヒド縮合物 5部
以上を均一に混合して微細に粉砕後,適量の水を加えてから練り込んで粘土状にする.粘土状物を造粒した後乾燥すれば、有効成分40%の水和剤を得る。
産業上の利用可能性:
以上のようにして得られた本発明の組成物を有害生物防除剤として適用した例を以下に示す。
試験例1 ワタアブラムシに対する効力
3寸鉢に播種した発芽10日が経過したキュウリにワタアブラムシ成虫を接種した。1日後に成虫を除去し、産下された若虫が寄生するキュウリに、前記薬剤の製剤実施例2に示された乳剤の処方に従い、化合物濃度が125ppmになるように水で希釈した薬液を散布した。温度25℃、湿度65%の恒温室内に置き、5日後に生死を調べ、殺虫率を求めた。試験は2反復である。その結果、以下の化合物が100%の殺虫率を示した。なお、化合物番号は第2表に対応する。
2−1,2−2,2−3,2−13,2−14,2−15,2−16,2−17,2−18,2−19,2−20,2−21,2−23,2−24,2−25,2−27,2−28,2−29,2−31,2−32,2−33,2−34,2−35,2−36,2−37
対照に用いたピリミカーブの殺虫率は9%であった。
試験例2 アワヨトウに対する効力
前記の薬剤の製剤実施例1に示された水和剤の処方に従い、化合物濃度が125ppmになるように水で希釈した。その薬液中にトウモロコシ葉を30秒間浸潰し風乾後、ろ紙を敷いたシャーレに入れ、アワヨトウ2齢幼虫を10頭を接種した。ガラス蓋をして、温度25℃、湿度65%の恒温室内に置き、5日後に生死を調べ、殺虫率を求めた。試験は2反復である。
その結果、以下の化合物が100%の殺虫率を示した。なお、化合物番号は第2表に対応する。
2−1,2−2,2−3,2−13,2−14,2−15,2−16,2−17,2−18,2−19,2−22,2−23,2−25,2−27,2−28,2−29,2−31,2−32,2−33,2−34,2−35,2−36,2−37,2−38
対照に用いたクロルジメフォルムの殺虫率は40%であった。
試験例3 コナガに対する効力
前記薬剤の製剤実施例1に示された水和剤の処方に従い、化合物濃度が125ppmになるように水で希釈した。その薬液中にキャベツ葉を30秒間浸漬し、風乾後、ろ紙を敷いたシャーレに入れ、コナガ2齢幼虫10頭を小筆を用いて接種した。ガラス蓋をして温度25℃、湿度65%の恒温室内に置き、5日後に殺虫率を調査した。試験は2反復である。
その結果、以下の化合物が100%の殺虫率を示した。なお、化合物番号は第2表に対応する。
2−3,2−13,2−14,2−15,2−16,2−17,2−30,2−32,2−33,2−34,2−35,2−36
対照に用いたクロルジメフォルムの殺虫率は0%であった。
本発明は、新規なチアゾリルケイ皮酸ニトリル化合物および有害生物防除剤に関する。
背景技術:
従来より、多数の殺虫剤、殺ダニ剤が使用されているが、その効力が不十分であったり、薬剤抵抗性問題によりその使用が制限されたり、また、植物体に薬害や汚染を生じたり、あるいは人畜魚類などに対する毒性が強かったりすることから、必ずしも満足すべき防除薬剤とは言い難いものが少なくない。従って、かかる欠点の少ない安全に使用できる薬剤の開発が要望されている。
本発明化合物と類似したアクリロニトリル化合物は、EP.189960号公報、WO97/40009号公報、WO98/42683号公報、WO98/35935号公報及びWO99/44993号公報等に記載されている。
また、WO01/21618号公報には、下記式で表される化合物が記載されている。
(Qは、特定の基で置換されたチアゾリル等を、Aは置換されても良いフェニル基等を表す。)
しかし、本発明の置換基を有するチアゾリルを有する化合物は記載されていない。
発明の開示:
本発明は、工業的に有利に合成でき効果が確実で安全に使用できる有害生物防除剤となりうる新規化合物を提供することを課題とする。
本発明は、式〔1〕
〔式中、Rは、水素原子、C1−6アルキル基、式COR1で表される基、式CSR1で表される基、またはSO2R2で表される基、C1−6アルコキシC1−6アルキル基、C1−6アルキルカルボニルオキシC1−6アルキル基、C3−6シクロアルキルカルボニルオキシC1−6アルキル基、C1−6アルコキシカルボニルオキシC1−6アルキル基、置換基を有してもよいフェニルカルボニルオキシC1−6アルキル基、C1−6アルキルチオC1−6アルキル基、C1−6アルキルカルボニルチオC1−6アルキル基、C3−6シクロアルキルカルボニルチオC1−6アルキル基、C1−6アルコキシカルボニルチオC1−6アルキル基、置換基を有してもよいフェニルカルボニルチオC1−6アルキル基、置換基を有してもよいフェニルC1−6アルキル基を表し、
R1はC1−12アルキル基、C3−6シクロアルキル基、C1−6ハロアルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキルチオ基、C1−6アルキルアミノ基、ジC1−6アルキルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルC1−6アルキル基、置換基を有してもよいフェニルC1−6アルコキシ基、置換基を有してもよいフェニル基を表し、
R2はC1−12アルキル基または置換基を有してもよいフェニル基を表し、
Xは、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C3−6シクロアルキル基、C1−6ハロアルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6ハロアルコキシ基を表し、
Yは、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6ハロアルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6ハロアルコキシ基、C1−6アルキルチオ基、C1−6アルキルスルフィニル基、C1−6アルキルスルホニル基、C1−6アルキルアミノ基、ジC1−6アルキルアミノ基、C1−6アルキルカルボニル基、C1−6アルコキシカルボニル基を表し、
Zは、炭素原子または窒素原子を表し、
mは、0または1から7の整数を表し、
nは、0または1から5の整数を表す。]
で表される化合物、および該化合物またはその塩を有効成分として含有してなる有害生物防除剤である。
発明の実施の形態:
前記式[1]において、
Rは、水素原子、
メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチルおよびその異性体、ヘキシルおよびその異性体等のC1−6アルキル基、
式COR1で表される基、式CSR1で表される基、SO2R2で表される基、
メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシエチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、ブチロキシメチル等のC1−6アルコキシC1−6アルキル基、
アセトキシメチル、ピバロイルオキシメチル、ヘプタノイルオキシメチル、アセトキシエチル、アセトキシヘキシル等のC1−6アルキルカルボニルオキシC1−6アルキル基、
シクロプロピルカルボニルオキシメチル、シクロペンチルカルボニルオキシメチル、シクロヘキシルカルボニルオキシメチル、シクロプロピルカルボニルオキシエチル、シクロプロピルカルボニルオキシヘキサン等のC3−6シクロアルキルカルボニルオキシC1−6アルキル基、
メトキシカルボニルオキシメチル、エトキシカルボニルオキシメチル、メトキシカルボニルオキシエチル、エトキシカルボニルオキシエチル、n−プロポキシカルボニルオキシメチル、イソプロポキシカルボニルオキシメチル、n−ブトキシカルボニルオキシメチル、t−ブトキシカルボニルオキシメチル等のC1−6アルコキシカルボニルオキシC1−6アルキル基
ベンゼン環に置換基を有してもよいベンゾイルオキシメチル、2−(ベンゾイルオキシ)エチル等のフェニルカルボニルオキシC1−6アルキル基、
メチルチオメチル、メチルチオエチル、エチルチオエチル、エチルチオメチル、プロピルチオメチル、ブチルチオメチル等のC1−6アルキルチオC1−6アルキル基、アセチルチオメチル、ピバロイルチオメチル、ヘプタノイルチオメチル、アセチルチオエチル、アセチルチオヘキシル等のC1−6アルキルカルボニルチオC1−6アルキル基、
シクロプロピルカルボニルチオメチル、シクロペンチルカルボニルチオメチル、シクロヘキシルカルボニルチオメチル、シクロプロピルカルボニルチオエチル、シクロプロピルカルボニルチオヘキサン等のC3−6シクロアルキルカルボニルチオC1−6アルキル基、
メトキシカルボニルチオメチル、エトキシカルボニルチオメチル、メトキシカルボニルチオエチル、エトキシカルボニルチオエチル、n−プロポキシカルボニルチオメチル、イソプロポキシカルボニルチオメチル、n−ブトキシカルボニルチオメチル、t−ブトキシカルボニルチオメチル等のC1−6アルコキシカルボニルチオC1−6アルキル基
ベンゼン環に置換基を有してもよい、ベンゾイルチオメチル、2−(ベンゾイルチオ)エチル等のフェニルカルボニルチオC1−6アルキル基、
ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、2−クロロベンジル、4−メチルベンジル、3−ニトロベンジル、4−メトキシベンジル、3,5−ジフルオロベンジル、2−(4−クロロフェニル)エチル、2−(4−メチルフェニル)エチル、2−(3,4−ジブロモフェニル)エチル等の置換基を有してもよいフェニルC1−6アルキル基を表す。
また、前記式におけるR1は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル及びその異性体,n−ヘキシル及びその異性体、n−ヘプチル及びその異性体、n−ノニル及びその異性体、n−ドデシル等のC1−12アルキル基、
シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等のC3−6シクロアルキル基、
クロロメチル、フルオロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、ジフルオロメチル、ジブロモメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、トリブロモメチル、トリクロロエチル、トルフルオロエチル、ペンタフルオロエチル等のC1−6ハロアルキル基、
メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ等のC1−6アルコキシ基、
メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、t−ブチルチオ等のC1−6アルキルチオ基、
メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、−ブチルアミノ、イソブチルアミノ、sec−ブチルアミノ、t−ブチルアミノ、1−メチルブチルアミノ、n−ペンチルアミノ等のC1−6アルキルアミノ基、
ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、エチルイソプロピルアミノ、メチルプロピルアミノ、メチルブチルアミノ等のジC1−6アルキルアミノ基、
置換基を有してもよいフェニルC1−6アルキル基、
置換基を有してもよいフェニルC1−6アルコキシ基、または、
置換基を有してもよいフェニル基を表す。
また、前記置換基を有してもよいフェニルC1−6アルキル基のフェニルC1−6アルキル基としては、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、1−フェニル−1−メチルエチル、1−フェニルプロピル、2−フェニルプロピル、3−フェニルプロピル等が挙げられ、前記置換基を有してもよいフェニルC1−6アルコキシ基のフェニルC1−6アルコキシ基としては、ベンジルオキシ、1−フェニルエトキシ、2−フェニルエトキシ、1−フェニル−1−メチルエトキシ、1−フェニルプロポキシ、2−フェニルプロポキシ、3−フェニルプロポキシ等が挙げられる。
R2は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル及びその異性体、n−ヘキシル及びその異性体、n−ヘプチル及びその異性体、n−ノニル及びその異性体、n−ドデシル等のC1−12アルキル基、または置換基を有してもよいフェニル基を表す。
前記R1,R2における置換基を有していてもよいフェニル基の置換基としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル等のC1−6アルキル基、クロロメチル、フルオロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、ジフルオロメチル、ジブロモメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、トリブロモメチル、トリクロロエチル、トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル等のC1−6ハロアルキル基、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ等のC1−6アルコキシ基等が挙げられる。
Xは、シアノ基、ニトロ基、
フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、
メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチルおよびその異性体、n−ヘキシルおよびその異性体等のC1−6アルキル基、
シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、等のC3−6シクロアルキル基、
クロロメチル、フルオロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、ジフルオロメチル、ジブロモメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、トリブロモメチル、2,2,2−トリクロロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル等のC1−6ハロアルキル基、
メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ等のC1−6アルコキシ基、
クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、トリクロロメトキシ、トリフルオロメトキシ、1−フルオロエトキシ、1,1−ジフルオロエトキシ等のC1−6ハロアルコキシ基を表す。
Yは、ニトロ基、シアノ基、
フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、
メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル等のC1−6アルキル基、
クロロメチル、フルオロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、ジフルオロメチル、ジブロモメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、トリブロモメチル、トリクロロエチル、トルフルオロエチル、ペンタフルオロエチル等のC1−6ハロアルキル基、
メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ等のC1−6アルコキシ基、
クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、トリクロロメトキシ、トリフルオロメトキシ、1−フルオロエトキシ、1,1−ジフルオロエトキシ等のC1−6ハロアルコキシ基、
メチルチオ、エチルチオエチル、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、t−ブチルチオ等のC1−6アルキルチオ基、
メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、ブチルスルフィニル等のC1−6アルキルスルフィニル基、
メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル等のC1−6アルキルスルホニル基、
メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、イソブチルアミノ、sec−ブチルアミノ、t−ブチルアミノ、1−メチルブチルアミノ、n−ペンチルアミノ等のC1−6アルキルアミノ基、
ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、エチルイソプロピルアミノ、メチルプロピルアミノ、メチルブチルアミノ等のジC1−6アルキルアミノ基、
メチルカルボニル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、ブチルカルボニル等のC1−6アルキルカルボニル基、または、
メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル等のC1−6アルコキシカルボニル基を表す。
Zは、炭素原子または窒素原子を表す。
nは0または1〜5の整数を、mは0または1〜7の整数を表わす。
本発明化合物は、例えば、以下の方法により製造することができる。
(a)Rが水素原子である化合物(2)の製造法
(式中、X、Y、Z、mおよびnは前記と同じ意味を表し、L1はハロゲン原子、C1−6アルコキシ基、フェノキシ基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、p−トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基またはトリフルオロメタンスルホニル基等の脱離基を表す。)
すなわち、式(3)で表される化合物と式(4)で表される化合物とを塩基存在下に反応させることによって、式(2)で表される化合物を得ることができる。
この反応で用いられる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩、ナトリウムメトキシド、カリウムt−ブトキシド、マグネシウムエトキシド等の金属アルコキシド、n−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)等の有機金属、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ピリジン等の有機塩基等が挙げられる。また、用いることのできる溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル、ヘキサメチルリン酸アミド(HMPA)、ベンゼン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等を用いることができる。反応温度は−78℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲が好ましい。
その他、ベンゼン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等と水の二相系溶媒中で、4級アミン塩等の相関移動触媒と水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基を用い、−78℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲で反応を行い、式(2)で示される化合物を得ることもできる。
式(2)で表される化合物は、以下の図に示すような、ケト型、エノール型の互変異性体として存在する。本発明化合物では、ケト型、エノール型互変異性において、主としてエノール型として構造決定しているが、これら2種の異性体はすべて本発明の範囲に含まれる。
なお、前記式(3)で表される2−シアノメチルチアゾール化合物のうち、4位が置換基を有するナフチル基である化合物は文献未記載の新規化合物である。
(b)Rが水素原子以外の基である化合物の製造法
(式中、R、R1、X、Y、Z、mおよびnは前記と同じ意味を表し、L2はハロゲン原子、p−トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基またはトリフルオロメタンスルホニルオキシ基等の脱離基を表す。)
式(2)で表される化合物と式(5)あるいは(5’)で表される化合物とを塩基存在下に反応させることによって、式(1)あるいは(1’)で表される化合物を得ることができる。
この反応で用いられる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩、ナトリウムメトキシド、カリウムt−ブトキシド、マグネシウムエトキシド等の金属アルコキシド、n−ブチルリチウム、LDA等の有機金属、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ピリジン等の有機塩基等が挙げられる。また、用いることのできる溶媒としては、DMF、DMSO、THF、アセトニトリル、HMPA、ベンゼン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等を用いることができる。反応温度は−78℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲が好ましい。
その他、ベンゼン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等と水の二相系溶媒中で、4級アミン塩等の相関移動触媒と水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基を用い、−78℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲で反応を行い、式(1)あるいは(1’)で示される化合物を得ることもできる。
なお、本発明の化合物である式(1)で示される化合物には、以下に示すように、立体異性体が存在し、反応条件および精製方法によって、2種のうちのいずれか1種の異性体のみが得られる場合、あるいは2種の異性体混合物として得られる場合がある。これらの異性体は全て本発明の範囲に含まれる。
反応終了後は、通常の後処理を行なうことにより目的物を得ることができる。本発明化合物の構造は、IR,NMRおよびMS等から決定した。
以上のようにして製造することのできる本発明化合物の代表例を、第1表に示す。なお、表中の略記号は以下の意味を示す。
Me:メチル、Et:エチル、Pr:プロピル、Bu:ブチル、Ph:フェニル、Hex:ヘキシル、Hep:ヘプチル、Oct:オクチル、n:ノルマル、i:イソ、t:ターシャリー、c:シクロ
以下の表に、上記式1−1から1−114で表される化合物すべてのXn、YおよびRの組み合わせを例示する。
〔有害生物防除剤〕
本発明化合物は、有害生物防除剤の有効成分として有用であり、特に、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、衛生害虫防除剤や水中付着生物防汚剤として有用である。
本発明化合物を実際に施用する際には他成分を加えることなく純粋な形で使用できるし、また農薬として使用する目的で一般の農薬のとり得る形態、例えば、水和剤、粒剤、粉剤、乳剤、水溶剤、懸濁剤、顆粒水和剤等の形態で使用することもできる。
添加剤及び担体としては固型剤を目的とする場合は、大豆粒、小麦粉等の植物性粉末、珪藻土、燐灰石、石こう、タルク、ベントナイト、パイロフィライト、クレー等の鉱物性微粉末、安息香酸ソーダ、尿素、芒硝等の有機及び無機化合物が使用される。液体の剤型を目的とする場合は、ケロシン、キシレンおよび石油系の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アルコール、アセトン、メチルイソブチルケトン、鉱物油、植物油、水等を溶剤として使用することができる。
また、これらの製剤において均一かつ安定な形態をとるために、必要ならば界面活性剤を添加することもできる。界面活性剤としては、特に限定はないが、例えば、ポリオキシエチレンが付加したアルキルエーテル、ポリオキシエチレンが付加した高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンが付加したソルビタン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンが付加したトリスチリルフェニルエーテル等の非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンが付加したアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩のホルムアルデヒド縮合物、イソブチレン−無水マレイン酸の共重合体等が挙げられる。
製剤中の有効成分量は好ましくは0.01〜90重量%であり、特に好ましくは0.05〜85重量%である。このようにして得られた水和剤、乳剤、懸濁剤、水溶剤,顆粒水和剤等は水で所定の濃度に希釈して溶液、懸濁液あるいは乳濁液として、粉剤・粒剤はそのまま植物あるいは土壌に適用される。
なお、本発明化合物は単独でも十分有効であることは言うまでもないが、各種の殺菌剤や有害生物防除剤または共力剤の1種又は2種以上と混合して使用することもできる。
本発明化合物と混合して使用することのできる殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、植物生長調節剤の代表例を以下に示す。
殺菌剤:
キャプタン、フォルペット、チウラム、ジラム、ジネブ、マンネブ、マンコゼブ、プロピネブ、ポリカーバメート、クロロタロニン、キントーゼン、キャプタホル、イプロジオン、プロサイミドン、ビンクロゾリン、フルオロイミド、サイモキサニル、メプロニル、フルトラニル、ペンシクロン、オキシカルボキシン、ホセチルアルミニウム、プロパモカーブ、トリアジメホン、トリアジメノール、プロピコナゾール、ジクロブトラゾール、ビテルタノール、ヘキサコナゾール、マイクロブタニル、フルシラゾール、エタコナゾール、フルオトリマゾール、フルトリアフェン、ペンコナゾール、ジニコナゾール、サイプロコナゾーズ、フェナリモール、トリフルミゾール、プロクロラズ、イマザリル、ペフラゾエート、トリデモルフ、フェンプロピモルフ、トリホリン、ブチオベート、ピリフェノックス、アニラジン、ポリオキシン、メタラキシル、オキサジキシル、フララキシル、イソプロチオラン、プロベナゾール、ピロールニトリン、ブラストサイジンS、カスガマイシン、バリダマイシン、硫酸ジヒドロストレプトマイシン、ベノミル、カルベンダジム、チオファネートメチル、ヒメキサゾール、塩基性塩化銅、塩基性硫酸銅、フェンチンアセテート、
水酸化トリフェニル錫、ジエトフェンカルブ、メタスルホカルブ、キノメチオナート、ビナパクリル、レシチン、重曹、ジチアノン、ジノカップ、フェナミノスルフ、ジクロメジン、グアザチン、ドジン、IBP、エディフェンホス、メパニピリム、フェルムゾン、トリクラミド、メタスルホカルブ、フルアジナム、エトキノラック、ジメトモルフ、ピロキロン、テクロフタラム、フサライド、フェナジンオキシド、チアベンダゾール、トリシクラゾール、ビンクロゾリン、シモキサニル、シクロブタニル、グアザチン、プロパモカルブ塩酸塩、オキソリニック酸。
有害生物防除剤:
有機燐及びカーバメート系殺虫剤:
フェンチオン、フェニトロチオン、ダイアジノン、クロルピリホス、ESP、バミドチオン、フェントエート、ジメトエート、ホルモチオン、マラソン、トリクロルホン、チオメトン、ホスメット、ジクロルボス、アセフェート、EPBP、メチルパラチオン、オキシジメトンメチル、エチオン、サリチオン、シアノホス、イソキサチオン、ピリダフェンチオン、ホサロン、メチダチオン、スルプロホス、クロルフェンビンホス、テトラクロルビンホス、ジメチルビンホス、プロパホス、イソフェンホス、エチルチオメトン、プロフェノホス、ピラクロホス、モノクロトホス、アジンホスメチル、アルディカルブ、メソミル、チオジカルブ、カルボフラン、カルボスルファン、ベンフラカルブ、フラチオカルブ、プロポキスル、BPMC、MTMC、MIPC、カルバリル、ピリミカーブ、エチオフェンカルブ、フェノキシカルブ等。
ピレスロイド系殺虫剤:
ペルメトリン、シペルメトリン、デルタメスリン、フェンバレレート、フェンプロパトリン、ピレトリン、アレスリン、テトラメスリン、レスメトリン、ジメスリン、プロパスリン、フェノトリン、プロトリン、フルバリネート、シフルトリン、シハロトリン、フルシトリネート、エトフェンプロクス、シクロプロトリン、トラロメトリン、シラフルオフェン、アクリナトリン等。
ベンゾイルウレア系その他の殺虫剤:
ジフルベンズロン、クロルフルアズロン、ヘキサフルムロン、トリフルムロン、テトラベンズロン、フルフェノクスロン、フルシクロクスロン、ブプロフェジン、ピリプロキシフェン、メトプレン、ベンゾエピン、ジアフェンチウロン、イミダクロプリド、ニテンピラム、アセタミプリド、カルタップ、チオシクラム、ベンスルタップ、クロルフェナピル、エマメクチンベンゾエート、テブフェノジド、フィプロニル、硫酸ニコチン、ロテノン、メタアルデヒド、機械油、BTや昆虫病原ウイルスなどの微生物農薬等。
殺線虫剤:
フェナミホス、ホスチアゼート等。
殺ダニ剤:
クロルベンジレート、フェニソブロモレート、ジコホル、アミトラズ、BPPS、ベンゾメート、ヘキシチアゾクス、酸化フェンブタスズ、ポリナクチン、キノメチオネート、CPCBS、テトラジホン、アベルメクチン、ミルベメクチン、クロフェンテジン、シヘキサチン、ピリダベン、フェンピロキシメート、テブフェンピラド、ピリミジフェン、フェノチオカルブ、ジエノクロル、エトキサゾール、ハルフェンプロックス、アセキノシル、ビフェナゼート等。
植物生長調節剤:
ジベレリン類(例えばジベレリンA3、ジベレリンA4、ジベレリンA7)、IAA、NAA等。
本発明化合物は、農業上の有害生物、衛生害虫、貯殻害虫、衣類害虫、家屋害虫等の防除に使用でき、殺成虫、殺若虫、殺幼虫、殺卵作用を有する。その代表例として、下記のものが挙げられる。
鱗翅目害虫、例えば、ハスモンヨトウ、ヨトウガ、タマナヤガ、アオムシ、タマナギンウワバ、コナガ、チャノコカクモンハマキ、チャハマキ、モモシンクイガ、ナシヒメシンクイ、ミカンハモグリガ、チャノホソガ、キンモンホソガ、マイマイガ、チャドクガ、ニカメイガ、コブノメイガ、ヨーロピアンコーンボーラー、アメリカシロヒトリ、スジマダラメイガ、ヘリオティス属、ヘリコベルパ属、アグロティス属、イガ、コドリンガ、ワタアカミムシ等、
半翅目害虫、例えば、モモアカアブラムシ、ワタアブラムシ、ニセダイコンアブラムシ、ムギクビレアブラムシ、ホソヘリカメムシ、アオクサカメムシ、ヤノネカイガラムシ、クワコナカイガラムシ、オンシツコナジラミ、タバココナジラミ、ナシキジラミ、ナシグンバイムシ、トビイロウンカ、ヒメトビウンカ、セジロウンカ、ツマグロヨコバイ等、
鞘翅目害虫、例えば、キスジノミハムシ、ウリハムシ、コロラドハムシ、イネミズゾウムシ、コクゾウムシ、アズキゾウムシ、マメコガネ、ヒメコガネ、ジアブロティカ属、タバコシバンムシ、ヒラタキクイムシ、マツノマダラカミキリ、ゴマダラカミキリ、アグリオティス属、ニジュウヤホシテントウ、コクヌスト、ワタミゾウムシ等、
双翅目害虫、例えば、イエバエ、オオクロバエ、センチニクバエ、ウリミバエ、ミカンコミバエ、タネバエ、イネハモグリバエ、キイロショウジョウバエ、サシバエ、コガタアカイエカ、ネッタイシマカ、シナハマダラカ等、
総翅目害虫、例えば、ミナミキイロアザミウマ、チャノキイロアザミウマ等、
膜翅目害虫、例えば、イエヒメアリ、キイロスズメバチ、カブラハバチ等、
直翅目害虫、例えば、トノサマバッタ、チャバネゴキブリ、ワモンゴキブリ、クロゴキブリ等
等翅目害虫、例えば、イエシロアリ、ヤマトシロアリ等、
隠翅目害虫、例えば、ヒトノミ等、シラミ目害虫、例えば、ヒトジラミ等、
ダニ類、例えば、ナミハダニ、ニセナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニ、ミカンサビダニ、リンゴサビダニ、チャノホコリダニ、ブレビパルパス属、エオテトラニカス属、ロビンネダニ、ケナガコナダニ、コナヒョウヒダニ、オウシマダニ、フタトゲチマダニ等、
植物寄生性線虫類、例えば、サツマイモネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウ、ダイズシストセンチュウ、イネシンガレセンチュウ、マツノザイセンチュウ等。
適用が好ましい有害生物としては、鱗翅目害虫、半翅目害虫、鞘翅目害虫、総翅目害虫、ハダニ類であり、特に好ましくは鱗翅目害虫、半翅目害虫、ハダニ類である。
また、近年コナガ、ウンカ、ヨコバイ、アブラムシ、ハダニ等多くの害虫およびダ二類において有機リン剤、カーバメート剤や殺ダニ剤に対する抵抗性が発達し、それら薬剤の効力不足問題を生じており、抵抗性系統の害虫やダニにも有効な薬剤が望まれている。本発明化合物は感受性系統のみならず、有機リン剤、カーバメート剤、ピレスロイド剤抵抗性系統の害虫や、殺ダニ剤抵抗性系統のダニにも優れた殺虫殺ダニ効果を有する薬剤である。
本発明化合物は薬害が少なく、魚類や温血動物への毒性が低く、安全性の高い薬剤である。
また本発明化合物は、水棲生物が船底、魚網等の水中接触物に付着するのを防止するための防汚剤として使用することもできる。
【実施例】
次に、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1
2’−クロロ−3−ヒドロキシ−2−[4−(1−ナフチル)チアゾール−2−イル]−桂皮酸ニトリル(化合物番号2−7)の製造
2−シアノメチル−4−(1−ナフチル)チアゾール0.8gをトルエン15mLに溶解、氷冷し、トリエチルアミン0.65g、4−ジメチルアミノピリジン20mgおよび塩化2−クロロベンゾイル1.3gを加えた後、3時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮、酢酸エチルおよび飽和食塩水を加え、有機層を減圧濃縮して油状物を得た。ここで得られた油状物をエタノール19mLに溶解し、氷冷下にて10%水酸化ナトリウム水溶液2.6mLを加えた後、室温で一晩放置した。反応液を減圧濃縮、得られた残渣を水に溶解、希塩酸を加え酸性とした後、酢酸エチルを加えた。有機層を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフフィー(展開溶媒;1:4酢酸エチル/nヘキサン)で精製し、目的化合物1.05gをアモルファスとして得た。収率 84.1%
実施例2
2’−クロロ−2−[4−(1−ナフチル)チアゾール−2−イル]−ピバロイルオキシ−桂皮酸ニトリル(化合物番号2−1)の製造
2’−クロロ−3−ヒドロキシ−2−[4−(1−ナフチル)チアゾール−2−イル]−桂皮酸ニトリル0.25gをTHF10mlに溶解、氷冷下し、トリエチルアミン0.1gおよび塩化ピバロイル0.1gを順次加え、室温に戻した後、一晩放置した。析出した塩を濾過、濾液を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフフィー(展開溶媒;1:8酢酸エチル/nヘキサン)で精製し、目的化合物0.24gをアモルファスとして得た。収率 79.2%
上記のようにして製造された本発明化合物の構造式と物理恒数を第2表に示す。
次に、本発明の組成物の実施例を若干示すが、添加物及び添加割合は、これら実施例に限定されるべきものではなく、広範囲に変化させることが可能である。また、製剤実施例中の部は重量部を示す。
製剤実施例1 水和剤
本発明化合物 40部
クレー 48部
ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩 4部
リグニンスルホン酸ナトリウム塩 8部
以上を均一に混合して微細に粉砕すれば、有効成分40%の水和剤を得る。
製剤実施例2 乳剤
本発明化合物 10部
ソルベッソ200 53部
シクロヘキサノン 26部
ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム塩 1部
ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル 10部
以上を混合溶解すれば、有効成分10%の乳剤を得る。
製剤実施例3 粉剤
本発明化合物 10部
クレー 90部
以上を均一に混合して微細に粉砕すれば、有効成分10%の粉剤を得る 製剤
実施例4 粒剤
本発明化合物 5部
クレー 73部
ベントナイト 20部
ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩
1部
リン酸カリウム 1部
以上をよく粉砕混合し、水を加えてよく練り合せた後、造粒乾燥して有効成分5%の粒剤を得る。
製剤実施例5 懸濁剤
本発明化合物 10部
ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル 4部
ポリカルボン酸ナトリウム塩 2部
グリセリン 10部
キサンタンガム 0.2部
水 73.8部
以上を混合し、粒度が3ミクロン以下になるまで湿式粉砕すれば、有効成分10%の懸濁剤を得る。
製剤実施例6 顆粒水和剤
本発明化合物 40部
クレー 36部
塩化カリウム 10部
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩 1部
リグニンスルホン酸ナトリウム塩 8部
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩の
ホルムアルデヒド縮合物 5部
以上を均一に混合して微細に粉砕後,適量の水を加えてから練り込んで粘土状にする.粘土状物を造粒した後乾燥すれば、有効成分40%の水和剤を得る。
産業上の利用可能性:
以上のようにして得られた本発明の組成物を有害生物防除剤として適用した例を以下に示す。
試験例1 ワタアブラムシに対する効力
3寸鉢に播種した発芽10日が経過したキュウリにワタアブラムシ成虫を接種した。1日後に成虫を除去し、産下された若虫が寄生するキュウリに、前記薬剤の製剤実施例2に示された乳剤の処方に従い、化合物濃度が125ppmになるように水で希釈した薬液を散布した。温度25℃、湿度65%の恒温室内に置き、5日後に生死を調べ、殺虫率を求めた。試験は2反復である。その結果、以下の化合物が100%の殺虫率を示した。なお、化合物番号は第2表に対応する。
2−1,2−2,2−3,2−13,2−14,2−15,2−16,2−17,2−18,2−19,2−20,2−21,2−23,2−24,2−25,2−27,2−28,2−29,2−31,2−32,2−33,2−34,2−35,2−36,2−37
対照に用いたピリミカーブの殺虫率は9%であった。
試験例2 アワヨトウに対する効力
前記の薬剤の製剤実施例1に示された水和剤の処方に従い、化合物濃度が125ppmになるように水で希釈した。その薬液中にトウモロコシ葉を30秒間浸潰し風乾後、ろ紙を敷いたシャーレに入れ、アワヨトウ2齢幼虫を10頭を接種した。ガラス蓋をして、温度25℃、湿度65%の恒温室内に置き、5日後に生死を調べ、殺虫率を求めた。試験は2反復である。
その結果、以下の化合物が100%の殺虫率を示した。なお、化合物番号は第2表に対応する。
2−1,2−2,2−3,2−13,2−14,2−15,2−16,2−17,2−18,2−19,2−22,2−23,2−25,2−27,2−28,2−29,2−31,2−32,2−33,2−34,2−35,2−36,2−37,2−38
対照に用いたクロルジメフォルムの殺虫率は40%であった。
試験例3 コナガに対する効力
前記薬剤の製剤実施例1に示された水和剤の処方に従い、化合物濃度が125ppmになるように水で希釈した。その薬液中にキャベツ葉を30秒間浸漬し、風乾後、ろ紙を敷いたシャーレに入れ、コナガ2齢幼虫10頭を小筆を用いて接種した。ガラス蓋をして温度25℃、湿度65%の恒温室内に置き、5日後に殺虫率を調査した。試験は2反復である。
その結果、以下の化合物が100%の殺虫率を示した。なお、化合物番号は第2表に対応する。
2−3,2−13,2−14,2−15,2−16,2−17,2−30,2−32,2−33,2−34,2−35,2−36
対照に用いたクロルジメフォルムの殺虫率は0%であった。
Claims (2)
- 式〔1〕
〔式中、Rは、水素原子、C1−6アルキル基、式COR1で表される基、式CSR1で表される基、またはSO2R2で表される基、C1−6アルコキシC1−6アルキル基、C1−6アルキルカルボニルオキシC1−6アルキル基、C3−6シクロアルキルカルボニルオキシC1−6アルキル基、C1−6アルコキシカルボニルオキシC1−6アルキル基、置換基を有してもよいフェニルカルボニルオキシC1−6アルキル基、C1−6アルキルチオC1−6アルキル基、C1−6アルキルカルボニルチオC1−6アルキル基、C3−6シクロアルキルカルボニルチオC1−6アルキル基、C1−6アルコキシカルボニルチオC1−6アルキル基、置換基を有してもよいフェニルカルボニルチオC1−6アルキル基、置換基を有してもよいフェニルC1−6アルキル基を表し、
R1はC1−12アルキル基、C3−6シクロアルキル基、C1−6ハロアルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキルチオ基、C1−6アルキルアミノ基、ジC1−6アルキルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルC1−6アルキル基、置換基を有してもよいフェニルC1−6アルコキシ基、置換基を有してもよいフェニル基を表し、
R2はC1−12アルキル基または置換基を有してもよいフェニル基を表し、
Xは、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C3−6シクロアルキル基、C1−6ハロアルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6ハロアルコキシ基を表し、
Yは、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6ハロアルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6ハロアルコキシ基、C1−6アルキルチオ基、C1−6アルキルスルフィニル基、C1−6アルキルスルホニル基、C1−6アルキルアミノ基、ジC1−6アルキルアミノ基、C1−6アルキルカルボニル基、C1−6アルコキシカルボニル基を表し、
Zは、炭素原子または窒素原子を表し、
mは、0から7の整数を表し、
nは、0から5の整数を表す。〕で表される化合物。
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