JPWO2002066634A1 - 糖鎖解析用レクチン群及びその使用方法 - Google Patents

糖鎖解析用レクチン群及びその使用方法 Download PDF

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Abstract

糖鎖の多様性に適切に対応できる種類のレクチンを必要数得ることができれば、多様な糖鎖を解析するためのツールとして大いに期待できる。複数種類のレクチンを含むレクチンライブラリから、或いは、複数種類のレクチンを含むレクチンの任意の集団から、糖鎖解析に必要なレクチンを選択し、レクチンサブライブラリを形成する。また、形成したレクチンサブライブラリを用いて糖鎖を持つ細胞の同定を行う。更に、細胞同定が簡便に行える表示方法を提供する。

Description

技術分野
本発明は、レクチンを用いて細胞表面等にある糖鎖を解析する技術に関する。特に、糖鎖を解析するレクチンを使用した糖鎖解析用ライブラリ及びサブライブラリ、並びに、当該糖鎖解析用ライブラリ及びサブライブラリを使用して糖鎖を解析する方法に関する。また、本発明は、所定の細胞に対してその種類の同定を簡易かつ確実に行ない得る、レクチンを使用した細胞同定用ライブラリ及びサブライブラリ、並びに当該細胞同定用ライブラリ及びサブライブラリを使用して細胞の種類の同定を行う方法に関する。
背景技術
近年、糖鎖に書き込まれた暗号を解読することができれば、生物学に新しい地平が開かれるといわれている。多様な糖鎖を解析するためのツールとして、また生体内で暗号を読みとっている分子候補として、糖結合蛋白質(レクチン)が挙げられる。しかし、糖鎖の多様性との対応を適切にさせるため、ひとつひとつのレクチンではマクロな情報はえられない。
即ち、糖鎖の多様性に適切に対応できる多種類のレクチンを必要数得ることができれば、多様な糖鎖を解析するためのツールとして大いに期待できることになる。
発明の開示
本発明では、以上のような課題に鑑み、複数種類のレクチンを含むレクチンライブラリから、糖鎖解析に必要なレクチンを選択し、レクチンサブライブラリを形成する。また、形成したレクチンサブライブラリを用いて糖鎖を持つ細胞の同定を行う。更に、細胞同定が簡便に行える表示方法を提供する。即ち、1種類のレクチンで糖鎖を特定することは困難であるが、種類の異なるレクチンを組合わせたレクチンサブライブラリでは、糖鎖の特定も可能である。また、たとえ糖鎖の特定ができなくとも糖鎖の違いとして現れる細胞の違い(種類、正常・異常の区別等を含む)や糖蛋白質の糖修飾の違いや糖鎖をマーカーのようにぶら下げた物質の識別等の糖鎖識別ツールとして用いることができる。逆に、細胞の違いや糖蛋白の糖修飾の違いや糖鎖マーカーとの対応が明確であれば、糖鎖の構造に触れることなく、レクチンライブラリとの関係から、上述の細胞の違いや糖蛋白の糖修飾の違いや糖鎖マーカーを識別できることになる。
特に、本発明においては以下のようなものを提供する。
(1)所定の部位が予め改変されることにより作成された一連のレクチン群により構成されているか、若しくは、所定の糖鎖を有する細胞若しくは擬細胞体を使用してパニングされた複数の種類のレクチンにより構成される糖鎖解析レクチンサブライブラリ。ここで、パニングは、複数の種類のレクチンから構成されるレクチンライブラリに対して行ってよい。尚、サブライブラリの構成要素の一部が欠けていたとしても、全体としてサブライブラリの機能が保たれる場合は、サブライブラリに含むことができる。レクチンライブラリについても同様にライブラリの構成要素の一部が欠けていたとしても、全体としてライブラリの機能が保たれる場合は、ライブラリに含むことができる。
(2)所定の部位が予め改変されることにより作成された一連のレクチン群により構成されているか、若しくは、所定の糖鎖を有する細胞若しくは擬細胞体を使用してパニングされた複数の種類のレクチンにより構成される細胞同定レクチンサブライブラリを使用した糖鎖解析方法。
(3)上記(1)に記載されたレクチンサブライブラリを用いた疾病診断用ツール。
(4)糖鎖識別を行うために選別されたレクチンを含むレクチン固定部が、糖鎖識別を行うのに適切な順列で配列された固体支持体。ここで、レクチン固定部は、ウェルのようなようなものであってよく、単なるスポット(外的なものによる境界が特に設けられていない場所等)であってもよく、それ以外のレクチンを固定できる部分や場所であってよい。また、固体支持体は、チップであってもよく、プレートであってもよく、その他の固体のものであってレクチン固定部を含むことができるものであってよい。
(5)前記選別されたレクチンは、所定のレクチンを生成する遺伝子の一部を改変することによって得られたレクチンであることを特徴とする上記(4)に記載の固体支持体。
(6)前記所定のレクチンが、MAHレクチンであることを特徴とする上記(5)に記載の固体支持体。
(7)糖鎖識別を行うために選別されたレクチンを含むレクチン固定部が、糖鎖識別を行うのに適切な順列で配列された固体支持体を用いて細胞識別パターンを表示させる方法。
(8)前記選別されたレクチンは、所定のレクチンを生成する遺伝子の一部を改変することによって得られたレクチンであることを特徴とする上記(7)に記載の表示方法。
(9)前記所定のレクチンが、MAHレクチンであることを特徴とする上記(8)に記載の表示方法。
(10)細胞表面の糖鎖に対して特異的に結合し得る異なる種類のレクチンを所定の分布で固定した糖鎖解析用固体支持体。
(11)少なくとも2種類の糖鎖と結合性がわかっている複数のレクチンの内、前記2種類の糖鎖との結合性の相対差が大きいレクチンのうち少なくとも1つを用いた糖鎖識別ツール及び方法。ここで、結合性の相対差は、例えば、あるレクチンと1の種類の糖鎖との結合性をAとし、もう1つの種類の糖鎖との結合性をBとした場合であって、AがBより大きい場合に、(A−B)/((A+B)/2)で表すことができる。結合性の相対差が大きいというのは、例えば、結合性の相対差を前記複数のレクチンの全てのレクチンに対して行った場合、相対差の全平均よりも大きいとしてもよく、また、相対差を大きい順に並べた場合に大きいものから所定の順番(例えば、1、2、3、4、等)までのものをそのように表現してもよい。ここで、糖鎖識別ツールは、糖鎖識別を行うのに適切な順列(分布)で配列された固体支持体を含んでよい。
(12)前記2種類の糖鎖との結合性の相対差が小さいレクチンのうち少なくとも1つを更に用いた上記(11)に記載の糖鎖識別ツール及び方法。ここで、相対差が小さいというのは、例えば、結合性の相対差を前記複数のレクチンの全てのレクチンに対して行った場合、相対差の全平均よりも小さいとしてもよく、また、相対差を小さい順に並べた場合に小さいものから所定の順番(例えば、1、2、3、4、等)までのものをそのように表現してもよい。
一般に、レクチンは、糖鎖を特異的に認識し、結合する蛋白質の総称で、大きく動物レクチンと植物レクチンに大別される。植物レクチンのなかではマメ科のレクチンが大きなレクチンファミリーを形成している。分子量3万のサブユニットの2量体または4量体からなる。サブユニットあたり、一つの糖鎖認識部位を持つ。また、レクチンは、「酵素や抗体を除く多価の糖結合性タンパク質、もしくは糖タンパク質」と狭義に定義づけられることがあり、「糖鎖を特異的に認識して結合、架橋形成するタンパク質」とより広く定義することも可能であり、糖鎖の多くの種類を実質的に識別できる可能性を有する。特に糖鎖の多様性は、それを作った細胞の多様性に通じるものがあり、糖鎖の識別を通して細胞の識別をすることができると考える。
レクチンは、抗体と異なり特定の器官や組織に限定されずほとんどすべての生物の中に見出されている。また、抗体は類似な構造を持っているのに対して、レクチンは構造的に多様である。
本願では、このような多種多様なレクチンの一例として、マメ科のレクチンを取り上げ、本願発明を完成させた。従って、同様な手法により、マメ科以外のレクチンを用いて同様なことをすることができ、本願の発明の内容は、かかるマメ科のレクチンに限られるものでないことは言うまでもない。
例えば、ある糖鎖に対して所定の特異な結合性を有するレクチンを分離等し、それをそのままレクチンライブラリに提供してもよく、或いは分離されたレクチンの糖結合部位に関連する部分の少なくとも一部を遺伝子工学的手法でランダムに改変し、このようにランダムに改変された複数のレクチンを含むレクチンライブラリを提供してもよい。ここで、「ある糖鎖に対して」という意味は、具体的には与えられた糖鎖の少なくとも一部について、糖鎖自体が定義づけられた場合であってもよく、また、たとえ糖鎖自身の構造がわからなくても糖鎖を生成する方法によって糖鎖が特定される場合であってもよい。また、糖蛋白質の糖修飾の程度に違い(又は異常)がある場合等もレクチン又はレクチンライブラリの特異な結合性に違いが生じることもあり、これも「ある糖鎖に対して」特異な結合性を有している例としてよい。また、例えば、ある細胞が生成する糖鎖は、その細胞を特定することにより糖鎖が特定され、ひいては、細胞の種類により糖鎖が異なることから、「ある細胞に対して」と読み替えても良い場合がある。更に、同一細胞であっても、その糖鎖を生成する環境により糖鎖に差異が生じるならば、同一細胞のある時期(例えば分化前段階や分化状態)を特定するものとしてよい場合もある。疾患や加齢等によって細胞表面や糖蛋白質の糖修飾の程度に違い(又は異常)があることがあるからである。
「特異な結合性を有するレクチン」とあるのは、全てのレクチンが同一の糖鎖に特異な結合性を有するとは限らないからである。つまり、ここで親レクチンは「特異な結合性を有する」ので、改変によって得られる複数の子レクチンも同様に「特異な結合性を有する」可能性が高いと考えられる。但し、改変された複数のレクチンは、相互にその結合性が異なると考えられ、親とも結合性が異なると考えられる。即ち、同一の糖鎖に対して結合性の異なる複数のレクチンが得られることになるであろう。
「その糖結合部位に関連する部分の少なくとも一部」とあるのは、レクチンは、糖結合部位に関連して糖鎖の種類を認識するからで、また、レクチンの分子全体と限らず、レクチンのある部分で糖鎖を認識するからである。「少なくとも一部」とされるのは、全てを改変する必要が必ずしもないからである。
「遺伝子工学的手法で」とあるのは、レクチンの改変は完成したレクチンを化学的に改変するのは、困難であるばかりか効率も良くないため、レクチンの「その糖結合部位に関連する部分」を生成する遺伝子を特定し、遺伝子的に改変を加えた後に当該遺伝子を大腸菌のような適当なホストに移植し、改変されたレクチンを生成させる手法をいう。また、「ランダムに改変」とあるのは、遺伝子的にランダムに改変される場合であってもよく、結果として得られるレクチンがランダムになるように、所定の遺伝子を改変する場合であってもよい。尚、ここで改変には、遺伝子の長さが変わらず各塩基の種類が変更されることだけでなく、遺伝子の長さが長くなったり、短くなったりすることを含む。このことは、生成された改変レクチンにおいて同様である。
このようにして得られた複数のレクチンを含むレクチンの集合体をレクチンライブラリと呼んでよい。複数のレクチンを含むのは、一種類では、多様な糖鎖を識別するのに十分ではないからである。
レクチンライブラリのレクチンの改変位置を所定のところにしたのは、糖鎖を認識する部位がレクチン全体とは限らずある特定の部位であり、そのような効果的な部位を改変することにより、好ましいレクチンライブラリを得ることができると考えられるからである。但し、レクチンライブラリの効果は、実験結果から判断できる場合もあると考えられ、改変部位をそのような位置に限定しなければならないとは限らない。
レクチンライブラリを用いて糖鎖を同定(又はある糖鎖を持つ細胞を同定)する方法とは、上述のようなレクチンライブラリから、所定の糖鎖と複数種のレクチンとの結合性(くっつきやすさ)を調べ、結合性有り(くっつく)と無し(くっつかない)の2種類又はその中間を足した3種類、或いは、より程度を増やした多段階評価(若しくはアナログ評価)で分類し、糖鎖の種類を複数種のレクチンとの結合性で識別する方法のことをいう。また。結合性の識別をパターンで解析することを含んでよい。
結合性の判定法は種々考えられるが、例えば、標準サンプルを作っておき、それとの比較により、判断してよい。
ここで、「所定の糖鎖を有する細胞若しくは擬細胞体」は、基本的には細胞表面に発現されている糖鎖若しくはこれの擬似体を含むことができる。例えば、Aという細胞についてレクチンサブライブラリを作成する場合は、通常A若しくはA擬似体が含まれうる。また、「糖鎖解析」とは、糖鎖を有する細胞の同定、血清蛋白質の糖修飾(グライコフォーム)の診断、疾病診断、その他の解析を含み、「糖鎖解析方法」は、これらのことを行う方法を含む。所定の部位が予め改変されることにより作成された一連のレクチン群により構成されているか、若しくは、所定の糖鎖を有する細胞若しくは擬細胞体を使用してパニングされることにより選別された複数種類の複数レクチンにより構成される糖鎖解析レクチンサブライブラリを用いた疾病診断用ツールとは、疾病(又は健康)状態により細胞の糖鎖の構造(又は状態)や糖蛋白質の糖修飾等に違いが現れる場合であって、このような違いに対して該レクチンサブライブラリとの結合性の違いの対応がとれている場合に、該糖鎖等と該レクチンサブライブラリとの結合性の変化を調べることができ、疾病(又は健康)状態を判別することができるツール(診断薬、診断装置、等)のことであってよい。このとき、糖鎖の構造(又は状態)を認定することは、必ずしも必要としない。
また、「糖鎖識別を行うために選別されたレクチンを含むレクチン固定部が、糖鎖識別を行うのに適切な順列で配列された」というのは、「細胞識別を行うために選別されたレクチンを含むウェル又はスポットが、細胞識別を行うのに適切な順列で配列された」を含む広い概念であり、「細胞識別を行うために選別されたレクチンを含むウェル又はスポットが、細胞識別を行うのに適切な順列で配列された」とあるのは、視覚的にパターンを認識しやすくなるように、予め決められた位置に選別されたレクチンを含むウェル(well)又はスポットを配列することを含み、標準パターンを作成した場合は、その標準パターンに準じた位置に上記ウェル又はスポットを配列することを含む。ここで、「表示させる」は、直接・間接のいずれであってもよい。また、同チップを用い視覚的にいうなれば、パターン情報に該当する情報を得、それを基に細胞同定をすることができる。但し、視覚的にいうなればパターン情報であっても、その数が膨大である場合は、肉眼その他の方法での目視では不十分なことが多く、コンピュータを用いて、クラスター解析等により、細胞同定を行ってもよい。クラスター解析では、どの部分に比較したいもの(例えば、標準と検討対象物、又は、コントロールと比較物)の違いが大きく出ているかをコンピュータを利用して調べることであってよく、一般のクラスター解析ソフトを用いることもできる。
「異なる種類のレクチンを所定の分布で固定した糖鎖解析用固体支持体」の「所定の分布で固定」とは、異なる種類のレクチンを固定する位置が目的の細胞若しくは疾病診断により決めてよいことを意味する。また、異なる細胞若しくは疾病診断を対象とする時は、これらの所定の分布は異なっていてよい。同様に、上記「細胞識別を行うために選別されたレクチンを含むウェルが、細胞識別を行うのに適切な順列で配列されたチップ」では、目的の細胞若しくは疾病診断により適切な配列が種々存在していてもよく、逆に、目的の目的の細胞若しくは疾病診断に合わせて配列を最適化すると好ましい。固体支持体は、チップであってもよく、プレートであってもよく、その他の固体のものであってレクチン固定部を含むことができるものであってよい。即ち、「糖鎖解析用固体支持体」は、「糖鎖解析用試験プレート」を含んでよい。「糖鎖解析用試験プレート」は、ろ紙のような紙を使った試験紙を含み、ガラス板やその他の材質の基材の上に所定のレクチンを固定したものも含んでよい。ここで、その他の材質の基材は、合成樹脂(プラスチックを含む)、金属(白金、銀、銅、金、シリコン、等を含む)、雲母、及び、これらの混合物を含んでよい。このような「糖鎖解析用試験プレート」は、診断薬としても用いることが可能である。
発明の詳細な説明
以下具体的な例を基に、より詳しく本願の発明を説明する。
シアル酸を含む糖鎖に特異的なマメ科レクチンであるMaackia amurensis hemagglutinin(MAH)の糖結合部位に関連すると思われる部分の少なくとも一部を遺伝子工学的手法でランダムに改変し、ランダムに改変したレクチンから複数の種類の異なる糖鎖のバリエーションを見分けられる人工のレクチンのライブラリを作製した。また、2)得られた人工レクチンライブラリを利用して、種類の異なる細胞への結合パターンから細胞の種類の違いを見分けることを試みた。そして、3)人工レクチンライブラリから、生物学的に重要な糖鎖に特異的なレクチンを選別するための、スクリーニング系を確立することができた。
ここで、哺乳類の細胞には、わずかな構造上の差異を有する多様な複合糖質が存在していることが知られている。また、このように多様な構造を識別できるレクチンを生成することは非常に有用である。
これらのレクチンは、Maackia amurensis hemagglutinin(MAH)から遺伝子工学的手法により得ることができる。
このレクチンは、糖鎖がシアル酸残基、即ち、Neu5Ac α 2−3Gal β 1−4GlcNAc(5)からなる炭化水素配列を認識することができる。また、別のイソレクチンエンジニアリングであるMaackia amurensis leukoagglutinin(MAL)は、Neu5Ac α 2−3Gal β 1−3(Neu5Ac α 2−6)GalNAc(4)配列を特異的に認識することができ、この両者のレクチンは、マメ科植物(legume)や他のレクチンの間でも独特なものである。
MAHは、相対分子量(relative molecular mass)29,000であり、サブユニットのダイマーからなる。
MAHにエンコードされたcDNAのヌクレオチド配列及びそれから導き出されたアミノ酸配列では、MAHは287のアミノ酸からなり、30のアミノ酸シングルペプチドを含んでいることを示している。
推定されているMAHの糖鎖認識ドメインは、そのアミノ酸シーケンスを他のマメ科植物(legume)のレクチン(7)のアミノ酸シーケンスと比較すること、及び、MAHにその結合特性を賦与するこれらのアミノ酸により定義されるこのドメインの遺伝的変異の古くからの研究により同定された。
また、Neu5Ac α 2−3Gal β 1−3(Neu5Ac α 2−6)GalNAc(8)を含むMAHの3次元構造のコンピューターモデルから、これらの観察が確認された。
第1図のA〜Cは、MAH糖鎖認識ドメインの変異の生成を示す図である。Aは、変異を導入する部分的重複延長法(overlap extension method)を示す概略図である。Bは、MAHの糖鎖認識ドメインの変異の生成を示す図である。Cは、アガロースゲル電気泳動による変異MAHのDNAの同定を示す図である。Cにおいて、レーン1は生成物AB(〜400bp)、レーン2は生成物CD(〜400bp)、レーン3は生成物AD(〜800bp)、レーン4は野生種のMAHのDNA(〜800bp)、MはDNAマーカー(100bp DNA Ladder,ライフテクノロジーズ インク MD USA(Life Technologies,Inc.,MD,USA))である。
第2図は、イソプロピルチオガラクトシド(isopropyl hiogalactoside)により誘発された形質転換大腸菌(transformed E.coli)での組換えMAH変異レクチンの発現を示す図である。Aは、組換え変異MAHレクチンのポリアクリルアミドゲル電気泳動分析の結果を示す図である。Bは、組換え変異MAHレクチンとアンチ−MAHポリクローナル抗体とのウエスタン−ブロッティング分析の結果を示す図である。第2図において、レーンNはpGEX−2Tプラスミドを含む大腸菌(E.coli)、レーンPはpGEX−2T−野生種MAHプラスミドを含む大腸菌(E.coli)、レーン1〜16はpGEX−2T−変異MAHプラスミド(それぞれクローン1〜16に対応する)を含む大腸菌(E.coli)である。また、相対分子量(relative molecular masses)を左側に示し、矢じり状のものは組換えMAH変異レクチンを示している。
第3図は、16個の変異MAHクローンの糖鎖認識ドメインのアミノ酸配列を導出した結果を示す図である。
第4図は、16個の変異レクチンの異種動物の赤血球に対する赤血球凝集活性を示す図である。活性は、最大赤血球凝集活性を1として、それぞれの変異レクチンの最小赤血球凝集濃度(minimum hemagglutination concentration)の相対値により示される。番号1〜16はクローン1〜16を示し、番号17はネガティブコントロール(GST)を示している。
<実施例1>
[人工レクチンライブラリの作製]
種々のマメ科レクチンのアミノ酸配列と糖結合部位の構造から得られた情報に基づき、MAHレクチンの285個のアミノ酸のうち、糖結合部位である127番目から137番目の部分の塩基配列を合成オリゴヌクレオチドをプライマーとして用いてオーバーラップエクステンションPCRによりランダム化した。ただし、シアル酸との相互作用に必須と考えられるアスパラギン酸135、また金属イオンとの配位に必須と考えられるアスパラギン酸127とヒスチジン132は固定した(第5図)。ダイターミネーター法でDNA配列を決定したところ、変異MAHの場合、最初に固定した3つのアミノ酸を除いてすべて異なり、ランダム化が達成されていることがわかった。
[レクチンライブラリを用いた細胞の分別同定]
作製したレクチンライブラリをpGEXベクターに組み込んで大腸菌にGST融合蛋白質として発現させた。ランダムに50個のクローンをとり、そのうち、タンパクを発現していると思われる16個のクローンを得た。抗MAHポリクローナル抗体でウエスタンブロッティング(Western blotting)を行ったところ、すべてのクローンが反応性を示した。これらのクローンのDNA配列を決定したところ、糖結合部位のアミノ酸配列は、固定したアミノ酸を除いてすべてのクローンで異なることがわかった。
得られた16クローンの糖結合特異性の違いを利用して、シアル酸を含むが、構造の異なる糖鎖をその表面に発現していると思われる、異種動物の赤血球の分別同定を試みた。第4図は、各々の赤血球に対する最大凝集力価をフルスケール1とし、16クローンの異なるレクチンによる凝集力価を比較しグラフで表わした結果である。各々の赤血球が16種の変異レクチンによる凝集力価の相対強度に関して固有な特性を示すことがわかった。
この実験から、複数のレクチンを利用することによって結合パターンにより細胞の種類の違いを見分けることができることが示唆された。
[ファージライブラリの作製]
人工レクチンライブラリの応用のひとつとして、生物学的に有用な糖鎖に特異的なレクチンを選別することが考えられる。選別を行うためには発現クローニングができ、多数のライブラリを扱うことのできる系を用いる必要がある。そこで、ファージディスプレイシステムを導入した。発現ベクターであるλfoo、次にT7ファージディスプレイシステムを試みた。しかし、レクチンを発現させたファージが遺伝子をもたないファージに比べ増殖が遅くなり、パニングによる目的ファージの濃縮は困難であることが判明した。(但し、このことは、発現ベクターであるλfoo又はT7ファージディスプレイシステムが本発明から排除されることを意味するとは限らない。)
ここで、パニングとは、ファージ上に発現した蛋白質を、その蛋白質が結合する物質(例えば抗原と抗体、レクチンと糖鎖、レセプターとリガント、等)との結合能を利用してファージを回収する手法のことをいい、例えば、ファージに発現させた蛋白質との結合する相手物質をプレートに固定し、ファージ溶液を加えて、発現した蛋白質、ファージ、その他の物質を結合させ、前記ファージ溶液を流し出した後に、結合した発現した蛋白質、ファージ、その他の物質を回収する方法である。この回収したファージを大腸菌に感染させて増幅し、再びパニング(上述)を行って結合性の高いファージを回収していくことができる。
そこでファージミド系であるpComb3とpComb8を試みることにした。まず野生型MAHを発現することにより、ファージの表面に発現させたレクチンが活性を有するかを調べた。野生型MAHを発現していると思われる両ファージの抗MAH抗体に対する活性を調べたところ、両者とも抗MAH抗体に特異的に結合した。複数のMAH蛋白質を表面に発現したpComb8の方が単一のMAH蛋白質を表面に発現したpComb3より強い結合性を示した(第6図)。
次に、ファージ上に発現された野生型MAHが糖鎖結合活性を保っているかを赤血球凝集能を指標に検討した。野生型MAHを発現していると思われる両ファージは無処理の赤血球を凝集したが、シアリダーゼ処理した赤血球は凝集しなかった。赤血球凝集に必要なファージの最低Titerは両者とも約1×1010cfuであった。このことにより、MAHの活性が保たれ、pCombファージミド系ファージに糖鎖結合性をもつMAHが発現したことが明らかになった。
両ファージの活性をシアル酸を含む糖蛋白質であるヒトグライコフォリンに対する結合性でさらに詳しく調べたところ、予想に反し、ファージ1個あたり単一のMAH蛋白質を発現しているpComb3の方がより強い活性を持つことがわかった(第7図)。ELISAを用いたヒトグライコフォリンに対する結合性により検出できるpComb3ファージの最低Titerは約1×10cfuであった。
[ファージライブラリから特定レクチンの選別]
以上の結果に基づき、1次構造を改変したレクチンライブラリの作製はpComb3のファージミドを用いて行うことにした。実現可能な範囲のライブラリの作製のため、MAHの糖結合部位のアミノ酸の内、シアル酸との相互作用と金属イオンとの配位に必須と考えられる3つのアミノ酸以外に、他のマメ科レクチンで保存性が高い2個のアミノ酸をさらに固定し、6つのアミノ酸だけをランダムに改変した。その結果、理論的に予想される6.25×10をカバーしていると思われる約1×10のライブラリを作製できた。
次に、pComb3ファージのレクチンライブラリを用いたパニング系を確立することを目標として、野生型MAHが強い結合性をもっているヒト赤血球に対するパニングを試みた。1回目のパニングに比べ3回目においてはその回収率が約10倍に増加し、ヒト赤血球に対する結合性を持つファージが濃縮されていることが判明した。3回目のパニングによって得られたファージから、ヒト赤血球を特異的に凝集するが、異なる糖結合特異性を持つ、いくつかのクローンが得られた(第8図)。以上より、1次構造に変異を導入したレクチンライブラリから生物学的に重要な糖鎖に特異的なレクチンを選別するための、スクリーニング系が確立できた。
[MAHの糖鎖認識部位の変異誘発]
重複延伸による部位指定突然変異誘発(9、10)を実施してMAHの糖鎖認識部位をランダム化した。重複延伸には四種類のプライマーを使用した。
Figure 2002066634
MAHcDNAの断片はプライマーa及びb或いはc及びdとAmpliTaq Gold DNA ポリメラーゼ(パーキンエルマー社)を用いてPCRにより増殖した。標準のPCR条件を用いた。即ち、最初に95℃で9分間と94℃で1分間インキュベートした後、94℃で1分間、54℃で1分間、及び72℃で1分間のサイクルを30回繰り返し、次いで72℃で10分間のサイクルを1回おこなって、確実にすべての増幅された断片が完全に3‘−末端まで延長されているようにした。PCR生成物の3‘−末端はpfu DNAポリメラーゼ(Stratagene La Jolla カリフォルニア)によってポリッシュした。PCR生成物は調製用アガロースゲル電気泳動により精製して定量した。等モル量の二つのPCR断片を、94℃で1分間および63℃で4分間のサイクルを7回繰り返して結合した。生成物は、プライマーa及びdを用いる第二の反応における鋳型DNAとして使用し完全長の突然変異MAH cDNAを作成した。
[GST融合蛋白質の発現と精製]
完全長の突然変異MAHcDNAを含むPCR生成物をBamHI及びEcoRIで消化してBamHI及びEcoRIで消化されたpGEX−2Tに連結した。適当な発現プラスミドを含むE.coli BL21株を2x酵母−トリプトン培地にて、この培地にはアンピシリン50μg/mlが補充されており、37℃で660nmにおける吸光度が0.8に達するまで培養した。GST融合蛋白質の発現はイソプロピルβ−D−チオガラクトシド(最終濃度 1mM)を添加して誘導し、37℃におけるインキュベーションを3〜4時間継続した。細菌細胞のペレットをトリス緩衝生理的食塩水(TBS)に再懸濁し次いで懸濁液を超音波により破砕した。不溶性画分をTBSで2回洗浄してTBS中8Mの尿素に溶解した。可溶化された封入体をTBS/1mM MnCl/1mM CaClで50倍に希釈して再生した。上清をグルタチオン−セファロース4Bカラム(アマーシャム ファルマシア バイオテック UK Ltd.,イングランド)に載せGST融合タンパク質を製造業者の指示に従って精製した。
[GSTタンパク質のウエスターンブロット分析による検出]
細菌の溶解物(0.5μgタンパク質/ml)をドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離し、ニトロセルロース膜に移し、ポリクローナルの抗MAH抗体で探索し次いでアルカリホスファターゼに結合した抗ウサギIgG抗体(ZYMED、サンフランシスコ、カリフォルニア)とインキュベートした。結合した抗体は、製造業者の指示書に従い、アルカリホスファターゼの基質キットSK−5200(ベクター ラボラトリーズ社、バーリンガム、カリフォルニア)により可視化した。
[組換えMAH突然変異体のDNA配列決定]
無差別に選ばれた16のクローンのDNA配列をセンスプライマー 5’−ttcttgcaccacctgattctc−3’及びアンチセンスプライマー 5’−ccgccgttaatccaatcccat−3’を用い、ABI PRISMTM Dye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit(Applied Biosystems,カルフォルニア、米国)を使用して決定した。
[赤血球の調製]
ヒトのO型静脈血を血液提供者から予めヘパリン処理でした注射器に採取した。ヘパリン処理した血液をガラスシリンダーに移し、赤血球が重力で沈殿する間、放置した。白血球に富む血しょう及びバッフィコートを除去した後、赤血球層をりん酸バッファ食塩水(140mM NaCl,2.7mM KCl,10mM NaHPO,1.8mM KHPO(pH7.3))で遠心により3回洗浄し、そのたびに注意深く細胞の最上層を除去した。このようにして得られた赤血球は白血球及び細胞残渣は含まれていないことが判明した。ウシ、ウマ、ブタおよびニワトリの赤血球は同様に調製された。
[赤血球凝集アッセイ]
16種の突然変異体のレクチンから精製した組換えタンパク質をU型底のプレート(Nunc,NY,USA)に2倍に希釈して入れ、各希釈溶液(0.05ml)に同容量の2%の赤血球懸濁液を加えた。混合物を1時間室温に放置し,次いで血球凝集を検査した。
上記実験結果を基にして、以下のような結果が得られた。
[MAHの糖鎖認識部位の突然変異誘発]
重畳延伸法(9,10)を用いてMAHの糖鎖認識部位に突然変異を導入した。この方法の要領(作戦)は第1図に示されている。
pGEX−2TにクローンされたMAH cDNAをPCR増幅の鋳型として用い二つの別個のDNA断片(AB及びCD)を生成した。断片ABはプライマーaとbで増幅した。Asp135,Asp127及びHis132はすべてMAHのシアル酸への結合に関与しているように思われるので、プライマーbはAsp127,His132及びAsp135残基はそのままにしてMAHの糖鎖認識部位に配列の変化を導入するように設計された(第1図B)。
断片CDはプライマーc及びdを用いて増幅された。プライマーcの5‘末端は断片ABの3’末端に見出された12bpの配列を持っている。この共通の12bpの配列により断片ABとCDが重畳延伸法により連結されて突然変異体であるMAHcDNAを含むAD生成物となることを可能にしている。突然変異体であるMAHcDNAの長さ(−800bp)はアガロースゲル電気泳動により確認された(第1図C)。
[MAH突然変異レクチンの発現と特性解明]
突然変異のMAHcDNAを、挿入部位の上流にグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)の遺伝子を含む大腸菌の発現ベクターpGEX−2TのBamHI及びEcoRI部位(サイト)に挿入した。GSTを含む突然変異のレクチンの融合タンパク質は大腸菌BL21を宿主株に用いて生成された。50種の無差別に選択されたクローンをその組換え突然変異レクチン合成能についてポリアクリルアミドゲル電気泳動により解析した。16クローンのGST突然変異レクチンの融合タンパク質はみかけの分子量55,600に相当する位置まで泳動し、これはGST−突然変異レクチンの融合生成物に予想される分子量に一致した(第1図A)。
16クローンのプラスミドDNAはダイデオキシチェインターミネーター法(11)により配列決定された。第3図はこれらクローンの糖鎖認識部位の推定アミノ酸配列を示す。16種すべてのクローンの部位はAsp127,His132及びAsp135残基の部位を除き、予想通りに、一つ一つ異なっている。これらの差異にも拘わらず、MAHに特異的な抗体を用いたウエスターンブロット解析は16すべての突然変異レクチンを検出した(第1図B)。
16種の突然変異レクチンの融合タンパク質はグルタチオン−セファロースカラム上のアフィニティクロマトグラフィーで精製された。濃度はウシ血清アルブミンを標準物質としてBCAタンパク質アッセイキットにより決定した。SDS存在下のポリアクリルアミドゲル電気泳動後の精製融合タンパク質のプロフィールは16すべての融合タンパク質が分子量55,600を有することを示唆している。このタンパク質は赤血球凝集アッセイに使用された。
[突然変異体レクチンの赤血球凝集活性]
16種の突然変異体レクチンと野生タイプのMAH間の糖鎖特異性に相当な差異のあることが、ヒト、ウシ、ウマ、ブタ及びニワトリの赤血球を用いた赤血球凝集アッセイにより明らかとなった(表1)。これら赤血球の表面上の糖鎖は、突然変異体レクチンによる認識の個別なパターンを互いに比較すると明確に示されているように、その構造,量、及びその表現パターンに違いがある(第4図)。これらのレクチンを使用すると、各タイプの赤血球の同定がこのように容易となる。
第4図の自転車のスポークのような放射状のグラフは、16種類の異なるレクチン及びブランクを同じ長さの直線で表し、これらの直線が一点を中心に等角度で360度並べたものである。第4図では、1つの種類の動物の赤血球に対して1つの放射状のグラフを構成し、このグラフは当該赤血球のレクチンによる識別(又は特徴)を視覚的に表したものである。即ち、最大凝集力価がフルスケール1で表されており、グラフでは一番外側にプロットされる。各種のレクチンに対して同様にプロットされ、各プロットは、両隣のプロットと直線で結びつけられている。このような表現をとれば、単なるプロットに比べ、プロット位置がわかりやすく、かつ、結果として得られる水かきのような図形では、視覚的な当該赤血球のレクチンによる識別(又は特徴)の認識が容易に行える。16種類のレクチンの並べ方は、「似たものをなるべく隣同士にする」、「対照的なものを180度離れたところに置く」、等、色々考えられるが、把握すべき糖鎖に合わせて適宜選択することが好ましい。また、今回は16全てを表示したが、判別にあまり有用でないものを除いて16より少ない数、若しくは、追加して16より多い数だけ表示することも可能である。このようなレクチンの更なる選別には、例えば、目的とする糖鎖との結合性の観点を用いることができる。第4図について言えば、ウシの赤血球(Bovine Erythrocyte)と人の赤血球(Human Erythrocyte)を判別したい場合には、クローン15を選別することができる。クローン15はヒトの赤血球との結合性が高いがウシの赤血球との結合性が低く、相対差が大きいからである。更に、クローン13を選別してもよい。クローン13はヒトの赤血球との結合性とウシの赤血球との結合性が同程度で相対差が小さいからである。相対差の大きいものと小さいものに対応するレクチンを選別して用いれば、未知の赤血球試料に対する判別がより容易にかつ確実に行われると考えられるからである。
多細胞生物における細胞の生命周期は細胞外環境からの刺激によって制御されており、このような刺激は部分的には少なくとも糖とその認識分子によって仲介されている。細胞表面の糖鎖の構造の種類は、適応免疫系における抗原に特異的な受容体の種類と同様に広範にわたると考えられてはいるが、これらの糖鎖を認識できるレクチンの多様性には限りがある。
本研究においては、我々は多様な特異性を持つ多数の新規なレクチン(新規なレクチンライブラリ)の調製を可能にする方法を記述している。我々は16種類の突然変異体であるMAHレクチンを生成し、我々はそれらの糖鎖特異性の特徴を完全には解明していないが、突然変異体がヒト及び家畜動物の赤血球を高度に特異的なパターンで凝集出来ることは注目に値する。このような異種動物からの赤血球を区別する特異性は、特異的的抗体の使用を例外としてこれまでには得られなかったことである。本研究は、多様な特異性を持つ遺伝子操作されたレクチンのパネルが異なった細胞のタイプを区別するのに有用であることを証明するものである。
過去数年間に新しい技術が遺伝子発現をプロフィールすることを通じて異なった細胞のタイプを区別するためのDNAアレイを確立した(15)。しかしながら、細胞の表現形は遺伝子発現によってのみ決定されるものではない。糖鎖付加による翻訳後の修正及びタンパク質の局在化の調節は特定の細胞タイプのある分化の段階の実体の決定に必須であると考えられている。従って、異なった細胞は細胞表面のグリカンの様子を描き出すことによって区別されるべきである。多様な特異性を持つレクチンのパネルの使用はこれを達成するための最も便利で効果的な手段である。新規のレクチンのライブラリの開発はレクチンの利用度をおおいに拡大し、究極的には細胞の同定を正確で信頼性のあるもににすることを可能にするものである。糖鎖発現は微量であり、構造も複雑であるが、本発明にかかるレクチンライブラリ及び/又はレクチンサブライブラリを用いると臨床現場でも使用できる簡便な識別(又は同定)方法を提供できる。
<実施例2>
[Caco−2細胞を標的細胞とする細胞分別同定]
MAH改変レクチンからなるレクチンライブラリ(ループDをランダマイズしたレクチンライブラリ)について標準細胞である分化型Caco−2細胞に対してパニング(panning)操作を行い、Caco−2細胞を標的細胞とする細胞分別同定用のプローブに用いるクローンを回収した。2回目のパニングの後に、結合性クローンの濃縮が不十分と考えられたため、3回目のパニングでは、細胞をグルタルアルデヒド(glutaraldehyde)で固定して、パニング操作で反応させる時間をo/nに変更した。
[回収クローンのDNA配列決定]
3回目のパニングの後に64個のクーロンをランダムに拾い、シークエンス解析を行った。64クローンの内訳は、改変(mutation)が正しく入ったもの35個、stop codonが入ったもの7個、frame−shiftを起こしたもの17個、そして、解析できなかったもの5個である。改変が正しく入った35個のクローンの中には、野生型(wild−type)と同じ配列を持つものは存在せず、また互いに共通する配列を持つものも存在しなかった(表2)。
Figure 2002066634
野生型と異なるクローンが多数回収されたことから、これら35個のクローンが細胞分別同定用のプローブとして利用可能である。一方で、各クローン間に共通配列が検出されなかったこと、およびstop codonが入ったものや、frame−shiftを起こしたものが回収されていることから、パニング操作の濃縮効率が低いとも考えられる。
[回収クローンの活性測定]
各クローンのライセート(lysate)を用いて、Caco−2細胞への結合活性を通常のcell−ELISA法で測定した(第9図、第10図)。35個のクローンは全て分化型、未分化型を問わずCaco−2細胞に結合活性を有していた。各クローンの結合活性に基づく分化型、未分化型Caco−2細胞への結合パターンを作成したところ、Caco−2細胞特異的と思われるパターンがそれぞれ得られ、分化型と未分化型でもわずかではあるがパターンの違いがみられた(第11図)。このように、同種の細胞であっても、本発明のレクチンライブラリを用いると、分化型と未分化型の差異をみることができる。このグラフでは、2つの細胞の結果を1つにまとめており、微妙な差を判別するのに優れている。
<実施例3>
市販の精製レクチン(PNA、ABA、VVA−B4、SNA、UEA−I、WGA、PHA−L4)を用い、これらを直接ウェル(well)に固定し、サンプル細胞を結合させてその結合を検出する方法(Reverse Cell−ELISA法)により、各種細胞のプロファイリングを行った(第12図)。各細胞特有の結合パターンが得られ、市販の既知のレクチンを用いて自転車のスポークのような放射状のグラフで表現することにより細胞の特徴が把握できることがわかる。尚、このグラフのプロットの仕方は、上述の第4図、第11図の場合と同様である。
[IgAグライコフォームの識別]
上述のレクチンライブラリをIgAグライコフォーム識別法に適用する場合の1例を以下に順序をおって説明する。
1)MAHレクチン(イヌエンジュマメレクチン)糖認識部位のアミノ酸配列を改変した遺伝子改変レクチンライブラリーを作成する。
2)IgA腎症患者IgAに親和性の高いレクチンをパニング法により選択し、レクチンサブライブラリーを作製する。
3)上記の2)で得られたレクチンサブライブラリーの中から必要に応じIgA腎症患者と健常人のIgAの違いをよく反映するレクチンを選び、マイクロタイタープレートに固定したレクチンプレートを作製する。
4)IgAのグライコフォームのレクチンライブラリーによる識別IgA腎症患者と健常人の血清IgAのレクチンプレートへの結合パターンの比較・解析を行う。
5)血清診断アッセイ条件の検討市販健常人IgAに糖鎖を酵素的・化学的に付加し、人工IgAを作製する。健常人血清に人工IgAを混合し、レクチンプレートを用いたパターン解析を行う。血清中に存在する他の血清蛋白質の影響を検討し、アッセイ条件の最適化を行う。
ここで、IgA腎症とは腎臓糸球体にIgAが沈着する疾患であるが、IgA分子のヒンジ部の糖鎖構造が患者と健常人で異なり、その糖鎖構造の解析には従来血清IgAを精製、トリプシン処理によってヒンジ部を含むペプチド片にして分離し、その質量を質量分析計で測定することにより構造解析が行われている。ここで、ヒンジ部とは、免疫グロブリン分子を構成する2つのH鎖定常ドメインの間にある領域のことをいい、IgA腎症患者ではIgAのこの領域のO(オウ)−結合型糖鎖に異常が起きるとされている。また、O(オウ)−結合型糖鎖とは、N−アセチルガラクトサミン(GalNAc)、ガラクトース(Gal)および最外側のシアル酸から構成された構造を基本骨格とするO(オウ)−結合型糖鎖はムチン型糖鎖ともいわれ、細胞の浸潤、接着など細胞間の相互作用や挙動に大きく影響する糖鎖構造である。
本方法のメカニズムをより詳しく説明すれば、IgA腎症患者でO(オウ)−結合型糖鎖の糖鎖異常が見られるIgAヒンジ部分のアミノ酸配列のうち、O(オウ)−結合型糖鎖を付加できるのはセリンまたはスレオニン残基のある5箇所であり、O(オウ)−結合型糖鎖のパターンは6種類あるので、ヒンジ部分O(オウ)−結合型糖鎖の位置と糖鎖構造は理論上6通り、つまり7,776通りあることになる。ひとつひとつの可能性を従来から行われている煩雑な糖鎖解析によって調べることは困難であるが、O(オウ)−結合型糖鎖を認識するレクチンへのON/OFFによってパターン解析を行うことができると考える。ひとつのレクチンに対するON/OFFでは2通りの糖鎖結合様式を調べることができ、n個のレクチンでは2通りのパターン認識が行えるはずである。したがって、計算上はヒンジ部分の糖鎖異常7,776通りを解析するために必要なレクチン数は13個である。実際には糖鎖構造および糖鎖の位置情報を顕著に示すことのできるレクチンがあっての理論上の数字ではあるが、基質にブロットできる数百個のレクチンからの情報でIgAヒンジ部分の糖鎖構造と位置を解析できる可能性が高い。有用なレクチンライブラリーを得るために、患者血清IgAと健常人血清IgAの違いをもっとも大きく反映するレクチン群をクラスター解析によって取得することができ、有効なレクチンライブラリーを構築することができる。そのレクチンライブラリーを用いて、IgA腎症患者と健常人血清IgAのグライコフォームの違いをパターンにより解析する(第13図)。第13図では、複数のO−グリカンを含む糖蛋白質であるIgA1のプロファイリングを簡単に行うようすが示してある。慢性腎不全状態になっているような重症患者との違いのほか、IgA腎症と診断されていない軽症患者予備軍の早期診断への応用可能性もある。
[骨芽細胞亜集団の識別方法]
上述のレクチンライブラリを骨芽細胞の識別や分化ステージの異なる亜集団を検出する方法に適用する場合の1例を以下に順序をおって説明する。
1)MAHレクチン(イヌエンジュマメレクチン)糖認識部位のアミノ酸配列を改変した遺伝子改変レクチンライブラリーを作成する。
2)レクチンライブラリーの作製骨芽細胞に親和性の高いレクチンをパニング法により選択し、レクチンサブライブラリーを作製する。
3)上記の2)で得られたレクチンサブライブラリーの中から必要に応じ分化のステージをよく反映するレクチンを選び、マイクロタイタープレートに固定化したレクチンプレートを作製する。
4)骨芽細胞の分化誘導とレクチンライブラリーによる識別培養した間葉系幹細胞を培養・分離する。より具体的には、間葉系幹細胞を培養後、骨芽細胞に分化させ、分化開始から5日目、10日目、15日目、20日目の細胞を分離する。
5)分化過程の各時点で分離した細胞をレクチンプレートにて分析し、細胞表面糖鎖構造と骨形成能との相関を検討する。骨形性能の測定には骨型アルカリフォスファターゼ活性の測定およびオステオカルシン含有量の測定を行う(標準の作成)。即ち、分離した細胞を骨芽細胞を足場となるb−TCPブロックとの複合体の形でラット背部皮下に移植し、移植後4週、8週において摘出後、(i)オステオカルシン含有量と(ii)骨型アルカリファスファターゼ活性を測定する。
6)分化過程が不明の細胞をレクチンプレートで分析し、標準と比較する(第14図参照)。第14図では、骨芽細胞の分化度のプロファイリングを簡単に行うようすが示してある。
ここで、間葉系幹細胞とは、組織や臓器に成長する元となる細胞である幹細胞のうち、骨髄の中に存在するものをいい、間葉系幹細胞は骨、軟骨、脂肪、心臓、神経、肝臓などの細胞に分化することが確認されており、ほとんどすべての組織にも分化することのできる胚性幹細胞(ES細胞)に近い能力を秘めている。間葉系幹細胞は、b−TCP(b−tricalcium phosphate)というリン酸カルシウムを主成分として生体内に優れた親和性、吸収性および骨伝導性を有する人工材料を培養する足場として用いる。
本発明により、レクチンライブラリが細胞の分別同定に有用であることがわかった。
そして、この新しい方法で細胞表面の糖鎖を分析することにより、遺伝子発現だけに依存していた細胞の同定が正確に行えることを意味し、細胞移植や細胞治療の開発に役立つと考える。また、本研究では人工レクチンライブラリをファージミド系ファージの表面に発現させることに成功した。改変レクチンライブラリから特異性の異なるものを選別する方法が確立したので、この系を用いて既存のレクチンやモノクローナル抗体にはない、新規な糖鎖特異性を有するものを得ることができると期待される。
更に、本発明のレクチンライブラリを用いるとIgAのグライコフォームの検出や骨芽細胞亜集団の分別・同定するツールを提供することができる。即ち、IgAを含む各種血清蛋白質のグライコフォームの解析を簡便・迅速に診断する対外診断薬を提供することも可能であり、再生医療や細胞医療を実用化段階に移行させるために必要な細胞の品質保証を行う規格設計ツールを提供することも可能である。例えば、リウマチや自己免疫疾患時の免疫グロブリンのグライコシレーション、癌患者のある特定のホルモン(卵巣癌における絨毛性性腺刺激ホルモンの糖鎖変化)や蛋白質のグライコシレーション(肝炎から肝癌に至る際のアルファ−フェトプロテインの糖鎖変化)など、疾病の早期発見、病態の正確な把握、治療薬・予防薬への適用できる。
種差に由来して産生されるのが抗体の特徴であるので、線維芽細胞に対する特異的抗体を作製することが困難なため、骨髄由来の線維芽細胞にはいわゆる細胞表面マーカーが存在せず、骨芽細胞を直接アッセイする方法はなく、現在のところ動物を用いたバイオアッセイもしくは骨芽細胞の活性度を反映する間接的なアッセイ法が主として用いられている分野においても、本発明のレクチンライブラリを用いたレクチンチップで、骨芽細胞の識別・同定、とくに分化ステージの異なる亜集団を識別・同定することができると考えられる。同様のアプローチで骨髄由来樹状細胞および骨髄由来血管内皮細胞へ応用できる可能性がきわめて高く、再生医療で用いる細胞の品質確保のスタンダードツールとなりえる。
現在の癌遠隔診断ネットワークにおいては病理診断が主体であるが、遺伝子発現情報を追加することが検討されており、O(オウ)−結合型糖鎖が細胞間相互作用、細胞の浸潤、接着などに深く関与している知見も鑑み、糖鎖情報を追加することによって、より詳細な癌遠隔診断についての検討が可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、MAH糖鎖認識ドメインの変異の生成を示す図である。
第2図は、イソプロピルチオガラクトシドにより誘発された形質転換大腸菌での組換えMAH変異レクチンの発現を示す図である。
第3図は、16個の変異MAHクローンの糖鎖認識ドメインのアミノシークエンスを導出した結果を示す図である。
第4図は、16個の変異レクチン(変異MAHレクチン)の異種動物の赤血球に対する赤血球凝集活性を示す図である。
第5図は、MAH糖結合部位の変異状態を示す図である。
第6図は、野生型MAHを発現しているファージの抗MAH抗体に対する結合性を示す図である。
第7図は、野生型MAHを発現しているファージのヒトグライコフォリンに対する結合性を示す図である。
第8図は、パニングにより得られたヒト赤血球に特異的なクローンの糖鎖特異性を示す図である。
第9図は、各クローン(1〜18)のCaco−2細胞への結合活性を通常のcell−ELISA法で測定した結果を示す図である。
第10図は、各クローン(19〜35)のCaco−2細胞への結合活性を通常のcell−ELISA法で測定した結果を示す図である。
第11図は、分化型および未分化型Caco−2細胞のレクチンライブラリにおける結合パターンを示す図である。
第12図は、異なる細胞の市販レクチンに対する結合パターンを示す図である。
第13図は、レクチンチップの一例およびその使用方法(IgAについて)を示す図である。
第14図は、レクチンチップの一例およびその使用方法(骨芽細胞の分化度プロファイリングについて)を示す図である。

Claims (12)

  1. 所定の部位が予め改変されることにより作成された一連のレクチン群により構成されているか、若しくは、所定の糖鎖を有する細胞若しくは擬細胞体を使用してパニングされることにより選別された複数種類の複数レクチンにより構成される糖鎖解析レクチンサブライブラリ。
  2. 請求の範囲第1項に記載のレクチンサブライブラリを使用した糖鎖解析方法。
  3. 請求の範囲第1項に記載されたレクチンサブライブラリを用いた疾病診断用ツール。
  4. 請求の範囲第1項に記載されたレクチンサブライブラリから糖鎖識別のために選別された異なる種類のレクチンを所定の分布で固定した糖鎖解析用固体支持体。
  5. 糖鎖識別を行うために選別されたレクチンを含むレクチン固定部が、糖鎖識別を行うのに適切な順列で配列された固体支持体。
  6. 前記選別されたレクチンは、所定のレクチンを生成する遺伝子の一部を改変することによって得られたレクチンであることを特徴とする請求の範囲第5項に記載の固体支持体。
  7. 前記所定のレクチンが、MAHレクチンであることを特徴とする請求の範囲第6項に記載の固体支持体。
  8. 糖鎖識別を行うために選別されたレクチンを含むレクチン固定部が、糖鎖識別を行うのに適切な順列で配列された固体支持体を用いて細胞識別パターンを表示させる方法。
  9. 前記選別されたレクチンは、所定のレクチンを生成する遺伝子の一部を改変することによって得られたレクチンであることを特徴とする請求の範囲第8項に記載の表示方法。
  10. 前記所定のレクチンが、MAHレクチンであることを特徴とする請求の範囲第9項に記載の表示方法。
  11. 少なくとも2種類の糖鎖と結合性がわかっている複数のレクチンの内、前記2種類の糖鎖との結合性の相対差が大きいレクチンのうち少なくとも1つを用いた糖鎖識別ツール及び方法。
  12. 前記2種類の糖鎖との結合性の相対差が小さいレクチンのうち少なくとも1つを更に用いた請求の範囲第11項に記載の糖鎖識別ツール及び方法。
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