JPWO2002051763A1 - 被覆光ファイバ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、光通信の伝送路として使用される被覆光ファイバ及びその製造方法に関する。
背景技術
光ファイバの製造において、コア部分およびクラッド部分を完全な真円形で、かつ同心状とすることは困難であり、コア部分およびクラッド部分はわずかに楕円または歪んだ円形状となる。このため、光ファイバの断面構造における屈折率分布は、完全な均等ではない。これが原因となって、光ファイバ断面内の直交する2偏波間の群速度に差異が生じ、偏波モード分散(PMD)が大きくなるという問題がある。
近年、海底ケーブルを用いた光通信をはじめとして長距離・高ビットレートの光通信のために、光波長分割多重(WDM)通信システムが実用されるようになっている。WDM光通信においては、PMDの影響が大きく現れてくるので、その低減が必須となっている。このPMDを低減する方法として、光ファイバガラス母材からガラス光ファイバを線引し、このガラス光ファイバに被覆材料を被覆して強度を強めた後、回転軸が規則的に揺動するガイドローラで、光ファイバに所定のねじりを付与して線引する製造方法が知られている(例えば特開平6−171970号公報、特開平8−295528号公報、特開平9−243833号公報参照)。
発明の開示
本発明者らは、上述した従来の公報に記載の製造方法について検討した結果、これらの製造方法を用いても、ガラス光ファイバへのねじり付与状態によっては、得られる被覆光ファイバにおけるPMD値が高くなる場合があることを見出した。
従って、本発明は、ガラス光ファイバにねじりを付与する場合でもPMDを確実に低減できる被覆光ファイバの製造方法及び被覆光ファイバを提供することを目的とする。
本発明者らは、更に鋭意研究を重ねた結果、PMD値が高くなるのが、被覆光ファイバが揺動ガイドローラ上をすべってしまい、ローラが揺動しているにもかかわらず被覆光ファイバにねじりが付与されない場合であることを突き止め、更にガラス光ファイバの線引時の張力、揺動ガイドローラの胴半径と張力の比、及び揺動回動数の範囲を特定の範囲とすることにより被覆光ファイバのすべりを防止することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、光ファイバガラス母材を線引きしてガラス光ファイバを得る第1工程と、前記ガラス光ファイバに2層の被覆を形成する第2工程と、揺動ガイドローラを用いて前記ガラス光ファイバにねじりを付与する第3工程とを含む被覆光ファイバの製造方法であって、前記第1工程において、ガラス光ファイバの張力Tを2.2(N/fiber)以上とし、前記第3工程において、前記揺動ガイドローラの胴半径をR(m)としたとき、T/Rを28〜100とし、かつ前記揺動ガイドローラの揺動回動数を0.33〜3.33(s−1)とする。
前記第1工程において、前記ガラス光ファイバの張力Tを5.0(N/fiber)以下とすることが好ましい。
上記第2工程において、第1層目被覆のヤング率が0.2〜0.7(MPa)となるようにガラス光ファイバに第1層目被覆をコーティングすることが好ましい。
上記第2工程において、第2層目被覆のヤング率が150〜1500(MPa)となるように、第1層目被覆の上に第2層目被覆を形成することが好ましい。
上記第2工程において、ガラス光ファイバ上に、破断強度が4.0(MPa)以上である第1層目被覆を形成することが好ましい。
上記第2工程において、ガラス光ファイバ上に、ガラスとの密着力が0.5〜2.0(N/cm)である第1層目被覆を形成することが好ましい。
上記第2工程において、分子量が5000以上のオリゴマーと、炭素数5〜11のメチレン基を有する多官能モノマーと、複素環を有するモノマーおよび/または複員環を有するモノマーとを含有し、前記オリゴマーに対する前記多官能モノマーの重量比が0.02〜0.04である被覆樹脂材を用いて前記ガラス光ファイバに前記第1層目被覆を形成することが好ましい。
また本発明は、上記被覆光ファイバの製造方法により製造された被覆光ファイバである。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の被覆光ファイバの製造装置の一例を示す概略図であり、光ファイバガラス母材から線引したガラス光ファイバをドラムに巻き取るまでの工程を示している。この製造装置は、特開平8−295528号公報で開示されたものと同等のものである。
図1中、10は光ファイバガラス母材、11は線引炉、12はヒータ、13はガラス光ファイバ、14はレーザ外径測定器、15は線引制御部、16a、16bは被覆コーティングダイ、17a,17bは被覆樹脂材、18a,18bは紫外線照射装置、20は被覆光ファイバ、21はガイドローラ、22は揺動ガイドローラ、23a,23bは固定ガイドローラ、24はドラムを示す。
光ファイバガラス母材10は、気相軸付け法(VAD法)、外付け法(OVD法)、内付け法(MCVD法)等の各種の方法で製造されたものを用いることができる。光ファイバガラス母材10は、図2Aに示すように、ガラス光ファイバ13のコアとなるべきコア部10aと、ガラス光ファイバ13のクラッドとなるべきクラッド部10bとを備えている。光ファイバガラス母材10は、線引炉11内にセットされ、ヒータ12により光ファイバガラス母材10の一端が加熱・軟化されて、図2Bに示すガラス光ファイバ13が線引される(第1工程)。線引速度は、種々選定することができるが、例えば100m/分である。本実施形態では、ガラス光ファイバ13として、外径が125μmであり、2重コア型の屈折率プロファイルを有し実効コア断面積が85μm2である分散シフトファイバが用いられる。
線引されたガラス光ファイバ13は、レーザ外径測定器14により外径測定が行われる。ガラス光ファイバ13の外径の測定結果は、線引制御部15にフィードバックされ、所定の外径(通常125μm)になるように、ヒータ12の加熱温度やガラス光ファイバ13の線引速度が制御される。
所定の外径に線引されたガラス光ファイバ13には、低ヤング率の被覆樹脂材17aが供給される第1の被覆コーティングダイ16aにより、第1層目被覆19aをコーティングする。この第1層目被覆19aは、第1の紫外線照射装置18aにより被覆樹脂材17aを硬化し、硬化後の被覆外径が200μm位になるように形成される。
引き続いて、第1層目被覆19aがコーティングされた光ファイバには、高ヤング率の被覆樹脂材17bが供給される第2の被覆コーティングダイ16bにより、第2層目被覆19bをコーティングする。この第2層目被覆19bは、第2の紫外線照射装置18bにより被覆樹脂材17bを硬化し、硬化後の被覆外径が245μm位になるように形成される(図2C参照)。
こうしてガラス光ファイバ13上に2層の被覆が形成される(第2工程)。
なお、1つのコーティングダイでガラス光ファイバ13の上に低ヤング率の被覆樹脂材17aを、その上に高ヤング率の被覆樹脂材17bを塗布した後、紫外線照射装置により両樹脂材を同時に硬化させてもよい。
本実施形態では、被覆樹脂材17a,17bの具体例として、いずれも紫外線硬化型でポリエーテル系のウレタンアクリレート樹脂が用いられる。被覆樹脂材17a,17bは上記ウレタンアクリレート樹脂を希釈する希釈モノマーを含んでもよい。更に、被覆樹脂材17aは、極性モノマー(例えば、アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン)や複素環を有するモノマー(例えば、N−ビニルカプロラクタム)、複員環を有するモノマー(例えばイソボルニルアクリレート)を含んでも良い。
こうして得られた被覆光ファイバ20は、この後、ガイドローラ21、揺動ガイドローラ22、固定ガイドローラ23aおよび23bを通って、ドラム24に巻き取られる。ガイドローラ21は、平行に配置される対ローラ21aと、対ローラ21aに平行に配置される対ローラ21bとからなり、被覆光ファイバ20は、この対ローラ21a間の隙間(2mm程度)及び対ローラ21b間の隙間(2mm程度)を通ってガイドされる。揺動ガイドローラ22は、以下に説明するように被覆光ファイバ20に対して交互にねじりを与えPMDを低減するためのものである。
図3および図4は、揺動ガイドローラ22による被覆光ファイバ20へのねじり付与を説明する図である。図3は図1のA方向から見た揺動ガイドローラ22と固定ガイドローラ23aとの位置関係を示す図であり、図4は図1のB方向から見た揺動ガイドローラ22とガイドローラ21との位置関係を示す図である。
図3において、揺動ガイドローラ22の回転軸yが線引方向軸zを中心にして+θだけ回動すると、この回動により被覆光ファイバ20に横方向の力が加わり、揺動ガイドローラ22の表面を被覆光ファイバ20が転動する。この転動により被覆光ファイバ20にねじりが付与される。続いて、揺動ガイドローラ22を反対方向に−θまで回動させると、今度は、揺動ガイドローラ22の表面を被覆光ファイバ20が反対の方向に転動する。このように、揺動ガイドローラ22に+θから−θまでの回動を繰り返し与えることにより、被覆光ファイバ20の移動方向に対して時計回りと反時計回りのねじりを交番的に付与することができる。
揺動ガイドローラ22の真横に次段の固定ガイドローラ23aが設置され、被覆光ファイバ20は、揺動ガイドローラ22のほぼ90°の角度の円周面に接触した後、固定ガイドローラ23aに移動する。固定ガイドローラ23aには、このローラ23aの表面で被覆光ファイバ20が転動しないようにV字型の狭溝25が設けられている。固定ガイドローラ23aの表面での被覆光ファイバ20の転動を抑止することにより、揺動ガイドローラ22の回動に対して、高効率で被覆光ファイバ20にねじりが付与できる。
図4において、揺動ガイドローラ22の前段のガイドローラ21は、対ローラ21aおよび21bで構成され、これらは揺動ガイドローラ22の真上に設置される。対ローラ21aおよび21bはそれぞれ所定の間隔tをあけて平行に配されている。揺動ガイドローラ22の回転軸yが、線引方向軸zを中心に図3の場合と同様に+θから−θまで回動すると、揺動ガイドローラ22の表面を被覆光ファイバ20が転動するが、揺動ガイドローラ22の手前のガイドローラ21に位置する被覆光ファイバ20も揺動ガイドローラ22の揺動方向に変位する。被覆光ファイバ20の変位が一定以上になると、被覆光ファイバ20がガイドローラ21の一方のローラに接触して変位が抑制される。この変位の抑制により被覆光ファイバ20に付与されるねじり量の低減や第1層目被覆19a,第2層目被覆19bの偏肉発生を効果的に抑制することができる。
次に、被覆光ファイバ20にねじりを付与する別の方法について説明する。図5は、図3,4の揺動ガイドローラとは別のタイプの揺動ガイドローラ及び固定ガイドローラを示す正面図、図6は、図5のB方向から見た揺動ガイドローラ及び固定ガイドローラを示す側面図である。図5において、被覆光ファイバ20は二つの固定ガイドローラ31a、31bからなる固定ガイドローラ31に挟まれて、一定のパスラインを通って下方に走行する。固定ガイドローラ31の下方には二つの揺動ガイドローラ32a、32bからなる揺動ガイドローラ32が設けられる。被覆光ファイバ20は、揺動ガイドローラ32a、32bに挟まれて下方に走行する。そして、揺動ガイドローラ32の下方にさらにガイドローラ(図示せず)を設けて被覆光ファイバ20の走行方向を適宜変化させてドラムに巻き取る。
揺動ガイドローラ32はそれぞれ固定部材33にて図5に示した軸yを中心として回転可能に固定されている。また、固定部材33は、図6に示すx軸を中心として回転可能になっている。従って、揺動ローラ32は、図6に示した軸xを中心として固定部材33ともに回転可能となっている。二つの揺動ガイドローラ32a、32bは、一方が軸xを中心として+θ回転したときに他方が−θ回転するように同期して回転させられる。こうして揺動ガイドローラ32a,32bで被覆光ファイバ20を挟んで、該揺動ガイドローラ32a,32bを軸xを中心として回転させることにより、被覆光ファイバ20にねじれが付与される。揺動ガイドローラ32a,32bを+θの位置から−θの位置まで、−θの位置から+θの位置まで、繰り返し回転させることにより被覆光ファイバ20の移動方向に対して時計回りと反時計回りのねじりを交番的に付与することができる。
この方法では、二つの揺動ガイドローラ32a,32bで被覆光ファイバを挟むので、被覆光ファイバ20に押しつけ力が働くが、第1層目被覆19aの破断強度を4.0MPa以上とするか、またはヤング率を0.4MPa以上とすることにより、第1層目被覆19aが破壊されてボイドが発生することを防ぐことができる。
本発明は、以上のようにして被覆光ファイバ20にねじりを付与し、偏波モード分散(PMD)を小さくする光ファイバの製造方法であり、PMD値が、揺動ガイドローラ22,32の半径Rおよび線引時のガラス光ファイバの張力Tとに関係することに着目したものである。
一般に、光ファイバの線引時の張力が大きいほど、光ファイバの伝送損失を小さくすることができる。実用的には波長1.55μmで伝送損失が0.3dB/km以下であるのが望ましいことから、これを安定的に得るには、線引張力Tを2.2(N/fiber)以上、好ましくは2.7(N/fiber)とする。しかし、張力Tが大きすぎると、光ファイバの断線を引き起こす可能性もあり、光ファイバの被覆条件等も考慮に入れた張力で線引する必要がある。従って、線引張力Tは、5.0(N/fiber)以下とすることが好ましい。なお、線引張力Tは光ファイバ1本に加わる力で表示し、(N/fiber)で表すものとする。
また、被覆光ファイバ26の製造時においては、揺動ガイドローラ22,32の胴半径をR(m)としたとき、T/Rが28〜100となるようにする。T/Rが28未満では、揺動ガイドローラ上で被覆光ファイバが滑ったり、あるいは揺動ガイドローラ自体が大きくなり、スペース効率が悪くなり、T/Rが100を超えると、PMD値が大きくなってしまう。
加えて、被覆光ファイバ26の製造時においては、揺動ガイドローラ22,32の揺動回動数を0.33〜3.33(s−1)とする。揺動回動数が0.33(s−1)未満では、十分に被覆光ファイバ20をねじることができず、PMD値を低減することができない。他方、揺動回動数が3.33(s−1)を超えると、揺動ガイドローラ22の動きが速すぎるため揺動ガイドローラ22上で被覆光ファイバ20の被覆が滑りを生じ、被覆光ファイバ20のねじりが不足し、やはりPMDを低下させることができない。
また、ガラス光ファイバ13に第1層目被覆19aをコーティングする場合、第1層目被覆19aのヤング率が0.2〜0.7(MPa)となるようにすることが好ましく、0.4〜0.7MPaとなるようにすることがより好ましい。
第1層目被覆19aのヤング率が0.2MPa未満では、第1層目被覆19aの破断強度が小さくなり、揺動ガイドローラ22,32の回動時のしごきで被覆内にボイドが発生しやすくなる傾向があり、0.7MPaを超えると、側圧ロス増の低減、被覆除去が困難となる傾向がある。
またガラス光ファイバ13に第1層目被覆19aをコーティングする場合、第1層目被覆19aの破断強度が4.0(MPa)以上となるようにすることが好ましい。この場合、第1層目被覆19a内にボイドが発生しなくなる。
またガラス光ファイバ13に第2層目被覆19bをコーティングする場合、第2層目被覆19bのヤング率が150〜1500(MPa)となるようにすることが好ましい。
第2層目被覆19bのヤング率が150MPa未満では、ダスト(微少異物)により外傷を受けやすく、高張力スクリーニングで断線しやすくなる傾向がある。他方、第2層目被覆19bのヤング率が1500MPaを超えると、被覆除去が困難となる傾向がある。
第1層目被覆19a、第2層目被覆19bのヤング率は、ポリエーテル部分の分子量および希釈モノマーの種類によりヤング率を調整することができる。すなわち、ポリエーテル部分の分子量を大きくすること、および分子量の大きな直鎖状の単官能希釈モノマーを選定することで、第1層目被覆19a、第2層目被覆19bのヤング率を小さくすることができる。
またオリゴマーについては、その分子量を小さくし、ウレタン部分の剛性を上げることで、第1層目被覆19a、第2層目被覆19bのヤング率や破断強度を上げることができる。
上記希釈モノマーについては、多官能モノマーの配合量を増やし、剛性の高いモノマーを選定することによっても、ヤング率や破断強度を上げることができる。。
上記被覆樹脂材17aは、分子量が5000以上のオリゴマーと、炭素数5〜11のメチレン基を有する多官能モノマーと、複素環を有するモノマーおよび/または複員環を有するモノマーとを含有し、前記オリゴマーに対する前記多官能モノマーの重量比が0.02〜0.04であることが好ましい。
上記オリゴマーの分子量が5000未満では、第1層目被覆のヤング率が高くなる傾向がある。またオリゴマーの分子量は30,000以下であることが好ましい。分子量が30,000を超えると、得られる組成物の粘度が高くなりすぎ、取り扱いにくくなる傾向がある。上記オリゴマーとしては、例えばポリエーテルジオールを挙げることができる。
上記多官能モノマーのメチレン基の炭素数が5未満では第1層目被覆のヤング率が大きくなりすぎ、側圧ロス増の低減、被覆除去が困難となる傾向がある。一方、メチレン基の炭素数が11を超えると、第1層目被覆の破断強度が小さくなり、第1層目被覆内でボイドが発生しやすくなる傾向がある。上記多官能モノマーとしては、例えばノナンジオールジアクリレートを挙げることができる。
上記複素環としては、例えばラクタムが挙げられ、複素環を有するモノマーとしては、例えばN−ビニルカプロラクタムなどを挙げることができる。
複員環を有するモノマーとしては、例えばイソボルニルアクリレートが挙げられる。
また上記オリゴマーに対する上記多官能モノマーの重量比が0.02未満では第1層目被覆の破断強度が小さくなり、第1層目被覆内でボイドが発生しやすくなる傾向がある。一方、0.04を超えると、第1層目被覆のヤング率が大きくなりすぎ、側圧ロス増の低減、被覆除去が困難となる傾向がある。
なお、上記被覆樹脂材17aは、脂肪族系モノマーを更に含んでいてもよい。
また第1層目被覆19aは、ガラスとの密着力が0.5〜2.0(N/cm)であることが好ましい。
密着力が0.5(N/cm)未満では小さすぎて、揺動ガイドローラ22,32に被覆光ファイバ20を押しつける力が大きくなると、第1層目被覆19aがガラス光ファイバ13から剥離する傾向がある。他方、密着力が2.0(N/cm)を超えると、密着力が大きすぎて、被覆除去性が悪くなる傾向がある。
第1層目被覆19aとガラスとの密着力は、被覆樹脂材17aに使用する極性モノマー(例えば、アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン)や複素環を有するモノマーおよび/または複員環からなるモノマーの量で調整することができる。また、シランカップリング剤によっても密着力を調整することができる。
次に、実施例及び比較例を用いて、本発明の内容をより具体的に説明する。
本発明では、被覆光ファイバの被覆が、外部からの側圧や摩擦に十分耐えることができ、かつ外力に対して伝送損失を増加させないために、図1で説明したように第1層目被覆19aと第2層目被覆19bの2層で形成されている。第1層目被覆19aは、クッション効果をもたせた軟らかい材料で形成され、第2層目被覆19bは、摩擦に強い硬い材料で形成されている。なお、以下の実施例及び比較例において、被覆光ファイバの被覆に関する物性値(第1層目被覆のヤング率、第2層目被覆のヤング率、第1層目被覆とガラスとの密着力、第1層目被覆の破断強度)は、以下のようにして測定した。
1.第1層目被覆のヤング率
一般に、第1層目被覆に用いる比較的軟質の樹脂では、被覆材をフィルム状にして測定するヤング率よりも、光ファイバに被覆したものの方がヤング率が低くなる。これは、光ファイバの線引装置に使われる紫外線照射装置内で、被覆が輻射熱と硬化反応による熱とで高温となり、連鎖移動反応や停止反応が支配的になるために架橋反応が進まないためである。被覆光ファイバの第1層目被覆のヤング率は、被覆光ファイバに被覆された状態での値が重要である。
そこで、第1層目被覆のヤング率は、Push−in−modulus法(文献;43rdIWCS[1994]p.552参照)を用いて直接算出した。この具体的な測定方法は次の通りである。即ちまず、被覆した光ファイバを束にしてアクリルパイプ中に保持し、このパイプと各被覆光ファイバとの間隙にエポキシ樹脂を充填して固めたものをカッターでスライスして、一定厚さの円板状サンプルを作製した。次に微小硬度計を用いて、圧子でスライスされた円板状サンプルのガラス部分を押した。このときのガラスの変位量と押し込み力から第1層目被覆のヤング率を算出した。なお、被覆には第2層目被覆も一体に含まれているが、第2層目被覆のヤング率は第1層目被覆のヤング率よりも2桁以上大きいので、実質的には第2層目被覆は無視することができる。
2.第2層目被覆のヤング率
第2層目被覆は以下のようにして算出した。即ちまず、被覆した光ファイバを数十cmの長さに切断し、アセトンに浸漬、被覆を膨潤させてパイプ状の被覆を採取した。採取されたパイプ状の被覆は、乾燥した後に、温度23℃±2℃,相対湿度50±5%で24時間以上の状態調整をした後、標線距離25mm、引張速度1mm/minで、2.5%伸び時の引張強さを測定し、これを第2層目被覆のヤング率とした。その他は、JIS K7127に準じた。なお、採取される被覆は、第1層目被覆と第2層目被覆が一体のものであるが、第2層目被覆のヤング率は第1層目被覆のヤング率よりも2桁以上大きいので、実質的に第1層目被覆は無視することができる。
3.第1層目被覆とガラスとの密着力
被覆の剥離、被覆除去性に関係するガラスと第1層目被覆との密着力は、以下の手順で試験シートを作製して算出した。
(i)まず石英ガラス板を5分間以上、硫酸に浸漬して裏面を洗浄した。
(ii)次に洗浄済みの石英ガラス板上に第1層目被覆を構成すべき被覆樹脂材を塗布し、これに紫外線照射100mJ/cm2を行って硬化させ、試験シートを作製した。被覆樹脂材硬化後の被覆厚さを250μm、幅を50mmとした。
(iii)こうして作製された試験シートを温度25℃,相対湿度50%の雰囲気下で1週間放置した。
(iv)石英ガラス板上に形成した樹脂被覆を、180度の方向に引張速度200mm/分で50mm引き剥がすときの力の最大値を測定して単位幅あたりの数値に換算し、これを、第1層目被覆とガラスとの密着力とした。その他はJIS Z0237に準じた。
4.第1層目被覆の破断強度
被覆光ファイバにねじりを付与するための揺動操作による第1層目被覆のボイド発生に関係する第1層目被覆の破断強度は、以下の手順で算出した。
(i)先ず第1層目被覆を構成すべき被覆樹脂材に対し、窒素雰囲気下で紫外線を100mJ/cm2照射して硬化させ、膜厚約100μmの試験シートを作成した。
(ii)次に、作成された試験シートを遮光し、温度23℃±2℃,相対湿度50±5%で24時間以上の状態調整を行った。
(iii)そして、試験シートからJIS2号の試験片を切り出し、標線距離25mm、チャック間隔80±5mm、引張速度50mm/minで引張試験を行い、このとき、試験片が破断したときの強度を破断強度とした。その他はJIS K7127に準じた。
実施例1〜19及び比較例1〜3
次に、揺動ガイドローラ22(図3、図4参照)を用いた図1に示す製造装置により、試料No.1〜No.22の被覆光ファイバを製造した。こうして得られた試料No.1〜No.22の被覆光ファイバについての評価結果を以下に示す。評価項目は、PMD値、線引中の断線の有無、側圧ロス特性、スクリーニング断線、被覆除去性、被覆におけるボイド発生、被覆の剥離発生とした。試料No.1〜No.22の被覆光ファイバの作製において、線引速度は全て100m/分とした。
先ず試料No.1〜No.9について、ガラス光ファイバの線引時張力T(N/fiber)と揺動ガイドローラの半径R(m)および揺動ガイドローラの揺動回動数(s−1)をパラメータとして、PMD値および線引中の断線の有無を評価した。結果を表1に示す。また第1層目被覆および第2層目被覆の被覆樹脂材の組成を表2に示す。
なお、試料No.1〜No.9については、第1層目被覆の被覆樹脂材はP1を使用してヤング率を0.5(MPa)とし、第2層目被覆の被覆樹脂材はS1を使用してヤング率を900(MPa)とした。また揺動回動数(s−1)は、揺動ガイドローラの1秒あたりの回動数で示し、1回動は、+θから−θ、続いて−θから+θの1サイクルである。また表2において、「ウレタンアクリレート」の欄に記載された物質は、ウレタンアクリレートの原料を示すものであり、モル数比は、これら原料のモル数比を示す。更に部数は、ウレタンアクリレートの部数を示す。
表1において、PMD値の良否判定および線引中の断線の有無の評価は、以下の如くとした。
(1)偏波モード分散(PMD)特性
安定した光の送受信を行うのに、光ファイバ内を伝播する直交する2つの偏波モードにゆらぎが生じないようにすることが必要であり、PMD値を低くする必要がある。そこで、PMD値が0.2(ps・km−1/2)以下である場合を「良」と評価し、表1において「○」で示した。またPMD値が0.2を超える場合は「不良」と評価し、表1において「×」で示した。
(2)線引中の断線
光ファイバを高い張力で線引することにより、伝送損失を低減することができるが、あまり張力を増加すると断線を引き起こす。そこで、被覆形成前のガラス光ファイバについて、張力を変えて線引したときのガラス光ファイバの破断の有無を調べた。
表1に示すように、試料No.2〜No.5(実施例1〜4)によれば、PMD値は、T/Rが100以下では良好であるが、T/Rが120である試料No.1(比較例1)においては、PMD値は悪化していた。PMD値の悪化の要因としては、被覆光ファイバの揺動ガイドローラの押しつけ力が大きくなるため、被覆がつぶされ、転動抵抗が高くなって光ファイバのねじり量が不足したものと考えられる。
また、線引時張力Tが6.0(N/fiber)程度になると、線引中に断線しやすくなることが分かった。
また、試料No.6〜No.9(比較例2、実施例5,6、比較例3)のPMD値の結果より、揺動回動数が0.33(s−1)未満では、十分に被覆光ファイバをねじることができず、PMDを低下させることができないことが分かった。他方、揺動回動数が3.33(s−1)を越えると、揺動ガイドローラの動きが速すぎるためローラ上で光ファイバの被覆が滑りを生じ、光ファイバのねじりが不足し、やはりPMDを低下させることができないことが分かった。
次に、試料No.10〜No.15(実施例7〜12)について、被覆のヤング率をパラメータとして、側圧ロス増、スクリーニング断線頻度、被覆除去性について評価した。結果を表3に示す。
試料No.10〜No.14の第1層目被覆の被覆樹脂材は、表2に示したP1の組成においてオリゴマーに対する単官能モノマーの量の比を減らしたものであり、これにより第1層目被覆のヤング率を調整した。また試料No.15の第1層目被覆の被覆樹脂材としては、表2のP2を用いた。
試料No.10〜15の第2層目被覆の被覆樹脂材は、表2に示したS1の組成においてオリゴマーに対するモノマーの量の比を増減したものであり、これにより第2層目被覆のヤング率を増減した。なお、試料No.10〜No.15の作製時において、ガラス光ファイバの線引時張力Tを4.0(N/fiber)、揺動ガイドローラ半径Rを0.08(m)、T/Rを50で一定とした。揺動回数は0.83s−1とした。
側圧ロス増、スクリーニング断線頻度および被覆除去性の良否判定は、以下の通りとした。
(3)側圧ロス増
光ファイバが側圧や摩擦を受けると伝送損失が増加するが、光ファイバの被覆材による影響が大きい。胴直径が約280mmのボビン上に、JIS1000番のサンドペーパーを巻き付け、この上から張力0.98(N/fiber)で被覆光ファイバを長さ600mだけ巻いた状態での伝送損失をL1とし、被覆光ファイバを1000mの束状態(被覆光ファイバはボビンに巻かない。この状態では側圧をゼロとみなす)としたときの伝送損失をL2とし、(L1−L2)を側圧ロス増とした。そして、側圧ロス増が1(dB/km)以下である場合を「良」と評価し、表3において「○」で示した。また、側圧ロス増が1(dB/km)を超える場合には「×」で示した。なお、伝送損失L1、L2は、波長1.55μmでOTDRにより測定した。
(4)スクリーニング断線頻度
被覆光ファイバの被覆は、異物による外傷を防ぐ重要な役割を担っている。外傷を受けやすい被覆であれば、ガラスに傷がつきやすくなり、スクリーニングにおいて破断する頻度が上昇する。そこで、製造後の被覆光ファイバに高い引張張力をかけ、あらかじめ低強度の不良部分を断線させた。ここでの張力は21.6(N/fiber)とした。スクリーニング断線頻度が5回/1000km以下である場合に「良」であると評価し、表3において「○」で示した。またスクリーニング断線頻度は5回/1000kmを超えた場合には、表3において「×」で示した。
(5)被覆除去性
被覆光ファイバの被覆は、ガラス光ファイバに密着してガラス光ファイバの強度を強め保護する必要もあるが、光ファイバの接続等で、被覆光ファイバの被覆除去を行うことが必須であり、被覆除去の容易性も必要である。被覆除去具「ノーニックNN203(米Clauss社製)」を用いて被覆除去を実施し、被覆光ファイバから被覆を除去できる場合を「良」と評価して、表3において「○」で示した。また、被覆光ファイバから被覆を容易に除去できない場合は、表3において「×」で示した。
試料No.11〜No.15(実施例8〜12)のPMD値はいずれも「良」であり、線引中の断線は「無」であった。試料No.10(実施例7)については、PMD値は良好であったが、スクリーニングは不良であった。これより、第2層目被覆が軟らかいと、ダスト(微少異物)により外傷を受けやすく、高張力スクリーニングで断線しやすくなることが分かった。他方、試料No.14のように第2層目被覆のヤング率が2000(MPa)程度になると被覆除去が困難となることが分かった。従って、第2層目被覆のヤング率は、150〜1500(MPa)の範囲が望ましいことが分かった。
また、試料No.15が側圧ロス増および被覆除去性で不良となっているが、第1層目被覆のヤング率が1.2(MPa)と多少高目であった。したがって、側圧ロス増の低減、被覆除去性を高めるには、第1層目被覆はできるだけ軟らかいことが望ましく、ヤング率を0.7(MPa)以下とするのが好ましいことが分かった。また、試料No.15は、第1層目被覆の被覆樹脂材として、表2のP1とオリゴマー(ポリエーテルジオール)の分子量のみ異なる(分子量4400)被覆樹脂材を用いていることから、オリゴマーの分子量が5000以上である方が第1層目被覆を軟らかくする観点からは好ましいことが分かった。
次に、試料No.16〜No.18(実施例13〜15)について、第1層目被覆の破断強度および被覆のヤング率をパラメータとして、ボイドの発生、ガラス光ファイバと第1層目被覆の界面での剥離、被覆除去性について評価した。結果を表4に示す。
試料No.16,No.17は、表2に示したP1の組成において多官能性モノマー(ノナンジオールジアクリレート)の量を調整して第1層目被覆の破断強度を調整したものである。また、試料No.16,17の第2層目被覆の被覆樹脂材としては、表2に示すS1を用いた。No.17,18は、オリゴマーに対するノナンジオールジアクリレートの比が0.02未満なので、破断強度が小さい。
試料No.18は、表2に示すP1の組成においてオリゴマーに対する単官能モノマーの量の比を増やして第1層目被覆のヤング率を調整すると共に、表2に示したS1の組成においてオリゴマーに対する単官能モノマーの重量比を減らして第2層目被覆のヤング率を調整したものである。
なお、試料No.16〜No.18では、ガラス光ファイバの線引時張力Tを2.5(N/fiber)、揺動ガイドローラ半径Rを0.08(m)、T/Rを31.3、揺動回動数を1.67(s−1)で一定とした。
表4において、ボイドの発生、剥離発生、スクリーニング断線頻度および被覆除去性の良否判定を以下の如くとした。
(6)ボイド発生および剥離発生
伝送損失を低減するために高張力で線引したり、PMD値低減のため光ファイバにねじりを加えると、ガラス光ファイバと被覆との界面で剥離が生じたり、被覆に歪が加えられるため被覆内にボイドが生じやすい。これらの剥離やボイドによる被覆欠陥は、光ファイバのマイクロベンドに大きく影響し、信頼性を損なう原因となる。これらの観察は、屈折率調整用のマッチングオイルに被覆光ファイバを浸漬後、この被覆光ファイバの側面方向から光学顕微鏡で50倍に拡大して行った。剥離、ボイド発生が皆無である場合のみを「良」と判定し、表4において「○」で示した。またボイド発生が観察された場合には、表4において「×」で示した。
試料No.16〜No.18のいずれも、PMD値、線引中の断線、側圧ロス増、スクリーニング断線は「良」であった。試料No.17およびNo.18によれば、第1層目被覆の破断強度が4.0(MPa)未満の場合は、被覆内にボイドが発生しやすいことが分かった。したがって、第1層目被覆の破断強度は、4.0(MPa)以上とするのが好ましいことが分かった。
また、試料No.18のように第1層目被覆のヤング率を0.1(MPa)まで下げるには、架橋密度を低下させる必要があり、このため破断強度が小さくなる。破断強度が小さくなると、揺動ガイドローラの回動時のしごきで被覆内にボイドが発生しやすくなることが分かった。したがって、第1層目被覆のヤング率は0.2(MPa)以上とするのが望ましい。表3の結果と合わせて、第1層目被覆のヤング率は0.2〜0.7(MPa)とするのが好ましく、0.4〜0.7MPaとするのがより好ましいことがわかった。
次に、試料No.19〜No.22(実施例16〜19)について、ガラスと第1層目に適用する樹脂との密着力をパラメータとして、表4の試料と同様に、ボイドの発生、ガラス光ファイバと第1層目被覆の界面での剥離、被覆除去性について評価した。結果を表5に示す。
第1層目被覆のヤング率は、表2に示したP1の組成においてオリゴマーに対する単官能モノマーの量の比を増やして0.4MPaに調整した。第2層目被覆のヤング率は、表2に示したS1の組成においてオリゴマーに対する単官能モノマーの量の比を減らして1500MPaに調整した。密着力は、イソボルニルアクリレート、N−ビニルカプロラクタム、およびシランカップリング剤の含有量を増減させて調整した。なお、試料No.19〜No.22の製造時においては、ガラス光ファイバの線引時張力Tを5.0(N/fiber)、揺動ガイドローラ半径Rを0.1(m)、T/Rを50、揺動回動数を3.33(s−1)で一定とした。
試料No.19〜No.22のいずれも、PMD値、側圧ロス増、スクリーニング断線は「良」であった。試料No.22についての結果より、密着力が0.2(N/cm)では小さすぎて剥離が生じることが分かった。他方、試料No.19のように密着力が2.5(N/cm)では、大きすぎて、被覆除去性が悪くなることも分かった。
産業上の利用可能性
以上の説明から明らかなように、線引時のガラス光ファイバ張力と揺動ガイドローラの半径、および揺動ガイドローラの揺動回動数を、適正に選定することにより、ガラス光ファイバにねじりを付与しても、伝送損失を所定値以下に抑えて、偏波モード分散(PMD)を確実に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の被覆光ファイバの製造装置を示す概略図である。
図2Aは、光ファイバガラス母材を示す斜視図である。
図2Bは、第1層目被覆が形成されたガラス光ファイバの一部を示す斜視図である。
図2Cは、被覆光ファイバの一部を示す斜視図である。
図3は、揺動ガイドローラと固定ガイドローラの位置関係を説明するための図である。
図4は、揺動ガイドローラとガイドローラの位置関係を説明するための図である。
図5は、図3及び図4の揺動ガイドローラとは別のタイプの揺動ガイドローラ及び固定ガイドローラを示す正面図である。
図6は、図5のB方向から見た揺動ガイドローラ及び固定ガイドローラを示す側面図である。
Claims (8)
- 光ファイバガラス母材を線引きしてガラス光ファイバを得る第1工程と、
前記ガラス光ファイバに2層の被覆を形成する第2工程と、
揺動ガイドローラを用いて前記ガラス光ファイバにねじりを付与する第3工程と、
を含む被覆光ファイバの製造方法であって、
前記第1工程において、前記ガラス光ファイバの張力Tを2.2(N/fiber)以上とし、
前記第3工程において、前記揺動ガイドローラの胴半径をR(m)としたとき、T/Rを28〜100とし、かつ前記揺動ガイドローラの揺動回動数を0.33〜3.33(s−1)とする、
被覆光ファイバの製造方法。 - 前記第1工程において、前記ガラス光ファイバの張力Tを5.0(N/fiber)以下とする、請求の範囲第1項に記載の被覆光ファイバの製造方法。
- 前記第2工程において、第1層目被覆のヤング率が0.2〜0.7(MPa)となるように前記ガラス光ファイバに前記第1層目被覆を形成する、請求の範囲第1項に記載の被覆光ファイバの製造方法。
- 前記第2工程において、第2層目被覆のヤング率が150〜1500(MPa)となるように、第1層目被覆の上に前記第2層目被覆を形成する、請求の範囲第1項に記載の被覆光ファイバの製造方法。
- 前記第2工程において、前記ガラス光ファイバ上に、破断強度が4.0(MPa)以上である第1層目被覆を形成する、請求の範囲第1項に記載の被覆光ファイバの製造方法。
- 前記第2工程において、前記ガラス光ファイバ上に、ガラスとの密着力が0.5〜2.0(N/cm)である第1層目被覆を形成する、請求の範囲第1項に記載の被覆光ファイバの製造方法。
- 前記第2工程において、
分子量が5000以上のオリゴマーと、
炭素数5〜11のメチレン基を有する多官能モノマーと、
複素環を有するモノマーおよび/または複員環を有するモノマーと、
を含有し、
前記オリゴマーに対する前記多官能モノマーの重量比が0.02〜0.04である被覆樹脂材を用いて前記ガラス光ファイバに第1層目被覆を形成する、請求の範囲第1項に記載の被覆光ファイバの製造方法。 - 請求の範囲第1項〜第7項のいずれか一項に記載の被覆光ファイバの製造方法により製造された被覆光ファイバ。
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