JPWO2001092572A1 - Hlaタイプを決定するためのキット及び方法 - Google Patents
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Abstract
ヒトゲノム上のHLAクラスI抗原またはクラスII抗原に属する遺伝子群の配列を由来とし且つその配列中にアロ抗原としての遺伝子の多型性を含む10〜24塩基長のオリゴヌクレオチドを共有結合により固定化した基板を用い、被検体に由来する核酸配列とのハイブリダイゼーションによりその被検体HLAの遺伝子型を判定する。
Description
技術分野
本発明は、HLAの遺伝子型を判定するためのタイピングキット及び判定法に関する。HLAの判定は免疫遺伝学的に違いのある個体間の移植の可否を判定するためのもので、具体的には、骨髄、腎臓、肝臓、膵臓、膵ランゲルハンス島、角膜などの臓器や組織を移植する際の移植適合性を決定するための遺伝子情報の提供を目的とする。本発明のキットは、遺伝的要因である特定の疾患に対する感受性診断や個人識別にも応用することができる。
本発明は、さらに上記キット及び方法に用いられるPCRプライマーおよびそれらの製造方法に関する。
背景技術
1.ヒト白血球抗原(HLA)のタイプと組織適合性の重要性
組織や細胞を自分自身に移植する場合や、一卵性双生児のように免疫遺伝学的に相同な個体間の移植においては、移植片は拒絶反応を誘起することなく生着する。一方、家族や他人といった免疫遺伝学的に異なる個体間の移植(同種移植)や、ヒトと他の霊長類のような異なった種属間の移植(種間移植)では、移植免疫が成立し、移植片に対して拒絶反応が起こる。この反応における標的として主要組織適合抗原と称される特に強い移植免疫を惹起する抗原があり、これらはMHC(主要組織適合遺伝子複合体)と呼ばれる遺伝子群により支配されている。MHCはクラスI,IIおよびIIIに分かれており、クラスI遺伝子とクラスII遺伝子が移植抗原であるHLA(白血球型抗原)をコードしている。HLA抗原は、免疫機構における自己・非自己の識別をつかさどる蛋白質であり、それらの遺伝子座には多数の対立遺伝子が存在して、これらをコードする遺伝子配列は多型性に富んでいることが知られている。
HLAの遺伝子型の判定(タイピング)は、免疫遺伝学的に違いのある個体間の移植の可否を決定するための情報を提供するもので、具体的には、骨髄、腎臓、肝臓、膵臓、膵ランゲルハンンス島、角膜などの臓器や組織の移植の際に用いられる。HLAの遺伝子型は特定の難治性疾患とも関係があるとされており、慢性関節リウマチ、IDDM、およびインスリン自己免疫症候群などの診断のための補助的手段としても使用できる。この他、HLAは遺伝学的多型性に富んでいることから親子鑑定や個人鑑定にも応用されている。
2.HLAタイピングに関わる遺伝子と多型性
ヒトMHCは第6染色体上の短腕に位置するHLA遺伝子複合体であり、それらによってコードされるHLA抗原には、HLA−A,B,C座により支配されるクラスI抗原と、HLA−D領域(DR,DQ,DP)により支配されるクラスII抗原がある。
クラスI抗原は、β2ミクログロブリンと呼ぶ12kDaのL鎖と分子量45kDaのH鎖よりなる2本鎖構造を有し、T細胞を介した細胞性免疫に関係して抗原特異性を決定するもので、移植免疫の標的抗原となる。クラスII抗原は、分子量34kDaと29kDaの2本鎖構造を有し、抗原認識を決定し、液性免疫における抗原提示に関係する。HLA−D領域のDP,DQ,DRの分類は、アミノ酸もしくは塩基配列に基づく多型性によりさらに詳細な分類がなされている。DRはおよそ20種類のサブタイプに、DQはおよそ10種類に、DPは数種類に分類される。サブタイプの多さは、HLA抗原が分子量の異なるα鎖とβ鎖から構成され、DQ抗原を除いてアロ抗原決定基がβ鎖のみによっていることによる。さらに抗原決定基のアミノ酸配列もしくは対応する塩基配列に基づいて、サブタイプはさらに細分化される。
3.HLAタイピングの手段
抗血清反応を利用した血清学的検査とリンパ球の幼若化反応を利用した細胞学的手法は、一般的に利用されてきた方法であるが、検査に時間と労力を要し、操作が煩雑であるばかりでなく、得られる結果の精度も高くないため、これらの欠点を克服するためにPCRを応用したDNAタイピング手法が開発され、実用化されている。例としては、PCR−SSP(2)、PCR−RFLP法(3)、PCR−SSOP法(4)、PCR−SSCP法(5)などがある。
PCR−SSPは、目的とするHLA抗原の超可変領域を増幅することにより遺伝子配列の確認を行い、それによってHLA抗原タイプを決定する。この方法では高精度タイピングを可能にするために特異的プライマーを数多く用意しなければならず、また膨大な回数のPCRを行う必要があり必ずしも実用的ではない。
PCR−RFLP(PCR−restriction fragment length polymorphisms)法は、HLA抗原のタイピングに関係する領域を含むように塩基配列をPCR増幅し、得られた増幅産物を制限酵素で切断する。HLAタイプによって切断部位が生じる制限酵素を用いて増幅産物である塩基配列を切断した後電気泳動で分離し、泳動パターンに基づいてタイプが決定される。この方法は、迅速に結果が得られることを特徴とするが、配列中に制限酵素切断部位が必ずしも存在するとは限らない。また、1つのタイピングに増幅産物を複数種の制限酵素で切断する必要があり、大量検体の処理については実用的とは言い難い。
PCR−SSOP(PCR−sequence specific oligonucleotide probes)法は、HLA遺伝子特異的なプライマーで増幅したDNAを固定化したナイロンメンブレンを作製し、各HLAタイプ特異的なオリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせてタイピングするものである。また、PCR−SSOPの変法で、各HLAタイプ特異的なオリゴヌクレオチドを固定化したメンブレンを作製し、HLA遺伝子特異的なプライマーを用いて増幅したDNAをハイブリダイズさせるものもある。増幅DNAを固定化する方法では、各タイプのプローブごとにメンブレンを用意してハイブリダイゼーションを行わなければならず、多検体のタイピングには多大な労力を必要とする。増幅DNAまたはオリゴヌクレオチドを固定化する基材がメンブレンであるため、1枚のメンブレンで高精度タイピングを実施するためには多大な面積のメンブレンを用意せねばならず、判定パターンが複雑になることが考えられる。
PCR−SSCP(PCR−single strand conformation polymorphisms)法は、PCRで増幅させたDNAを1本鎖に変性させ、塩基配列の違いによる高次構造の変化を電気泳動で検出するものである。この方法では、同一ゲル上にすべて既知タイプのDNAを泳動する必要があり、実用的な多検体処理は不可能に近い。
4.高精度HLAタイピングの重要性
理想的な移植の実現には、ドナーおよびレシピエントのHLAタイプが高精度で一致していることが重要である。従って高精度にタイピングされた組織または個人情報が事前に明らかになっている必要性が生じてくる。その点において、移植前に現在明らかになっている全タイプに照らし合わせて判定される必要がある。また完全に一致したHLAタイプのドナーが見つけられなかった場合でも、高精度HLAタイプが判明していれば移植などを類似したタイプ同士で行うことによって高い成功率が期待できる。また、移植後に生じる拒絶反応などの免疫応答においてもレシピエントの負担を軽減できることが期待できる。
また、個人鑑定においては、高精度タイピングを実施して完全一致する個人は数万人から数十万人に一人であり、高い確度で鑑定を実施できる。さらに、HLAの各遺伝子座において高精度タイピングを実施すれば、さらに個人鑑定の確度を上昇させることができる。
発明の開示
HLAタイプ情報を必要とする医療現場、または個人鑑定が必要とされる状況において、信頼性の高いHLAタイプ情報を迅速に提供することが求められている。そのためのHLAタイピング手法は、数多い検体のタイピングを容易かつ簡便に実施できることが重要である。現在様々な手法が考案され改良に取り組まれているが、操作が煩雑であったり、多検体処理ができなかったりと多くの欠点を残している。
本発明は、このような問題を解決するために、多検体処理に適し、尚かつ、1つの検体に対して一度の試験で多くの高精度タイピングが実施可能なキットおよび方法を提供することを課題とする。
本発明は、ヒトゲノム上のHLAクラスI抗原またはクラスII抗原に属する遺伝子群の配列を由来とし且つその配列中にアロ抗原としての遺伝子の多型性を含む10〜24塩基長のオリゴヌクレオチドを共有結合により固定化した基板を含み、被検体に由来する核酸配列とのハイブリダイゼーションによりその被検体HLAの遺伝子型を判定するためのタイピングキットである。
また本発明は、前記タイピングキット上の各々のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズさせ、各々のオリゴヌクレオチドについて被検体に由来する核酸配列とのハイブリダイゼーションの有無を検出することによって、被検体HLAの遺伝子型を判定する方法を提供する。
本発明はまた、前記タイピングキットにおいて、前記のクラスI抗原がHLA−A、HLA−B、HLA−C、HLA−D、HLA−E、HLA−FまたはHLA−Gをコードするいずれかの遺伝子座によって支配される抗原もしくはヌル遺伝子であり、クラスII抗原がHLA−DQ、HLA−DRまたはHLA−DPをコードするいずれかの遺伝子座により支配される抗原もしくは偽遺伝子であるキット、
HLA−DQが、DQA1、DQA2、DQB1、DQB2のうちのいずれかの遺伝子座を由来とする抗原または偽遺伝子であるキット、
HLA−DRが、DRA、DRB1、DRB3、DRB4、DRB5のうちのいずれかの遺伝子座を由来とする抗原または偽遺伝子であるタイピングキット、及び、
HLA−DPが、DPA1、DPA2、DPB1およびDPB2のうちのいずれかの遺伝子座を由来とする抗原または偽遺伝子であるタイピングキットを提供する。
本発明はさらに、前記オリゴヌクレオチドが由来する遺伝子の塩基配列の5’側もしくは3’側またはその両方において、各々の塩基配列をベースとしてヒトゲノム上のHLA遺伝子配列の各タイプに関わる固有の塩基配列を含む塩基配列からなり、10〜24塩基の長さのオリゴヌクレオチドであって、オリゴヌクレオチドを伸長させるか、または短縮させることによって得られる塩基配列であり、各HLAタイプ固有の配列は置換されないことを特徴とするオリゴヌクレオチドを提供する。
また本発明は、前記のいずれかのタイピングキットにおいて、前記オリゴヌクレオチドの少なくとも1つが、遺伝子の多型性に関わる塩基を除去もしくは変更することなく配列番号1〜397、456〜503、507〜589、594〜898、908〜1072または1080〜1298のいずれかの核酸配列に対してゲノム上の遺伝子配列を5’側もしくは3’側またはその両方に伸長させるか短縮させることにより得られ、前記ハイブリダイゼーションにおける結合親和性が最適化された8〜24塩基長の核酸配列であるオリゴヌクレオチドで代替されたタイピングキットを提供する
さらに、前記のいずれかのタイピングキットにおいて、オリゴヌクレオチドの少なくともいずれかが、遺伝子の多型性に関係しない任意の塩基をスペーサー化合物、例えばどの塩基とも水素結合を形成しない核酸骨格を有するスペーサー化合物で置換することによりハイブリダイゼーションにおける結合親和性を緩和したオリゴヌクレオチドであるタイピングキットを提供する。
さらにこれらオリゴヌクレオチドに代わってペプチド核酸(PNA)を用いることもできる。
さらに本発明は、被検体に由来する核酸配列を鋳型として低精度遺伝子型判定のためのプライマーを用いて第一段階のPCR増幅を行い、増幅産物を前記タイピングキット上の各々のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズさせ、各々のオリゴヌクレオチドについて被検体に由来する核酸配列とのハイブリダイゼーションの有無を検出することによって被検体HLAの遺伝子型の低精度判定を行うステップと、
前記判定結果に基づいて高精度遺伝子型判定のためのプライマーから適当なプライマーを選択して被検体に由来する核酸配列を鋳型とする第二段階のPCR増幅を行い、増幅産物を前記タイピングキット上の各々のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズさせ、各々のオリゴヌクレオチドについて被検体に由来する核酸配列とのハイブリダイゼーションの有無を検出することによって被検体HLAの遺伝子型を高精度判定するステップを含む、被検体HLAの遺伝子型を判定する方法を提供する。
本発明は、低精度タイプのタイピングに用いられるプローブの作製に用いられるDQB1を増幅するための配列番号398と配列番号400に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DQB1を増幅するための配列番号399と配列番号400に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB1を増幅するための配列番号401と配列番号403に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB1を増幅するための配列番号402と配列番号403に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
から選択されるいずれかまたは任意の組み合わせであることを特徴とする低精度タイピング用プライマーを提供する。
本発明はさらに、低精度タイピングの結果をもとに高精度タイピング用プローブの作製のために用いられる
DQB1を増幅するための配列番号404と配列番号405に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DQB1を増幅するための配列番号404と配列番号406に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DQB1を増幅するための配列番号407と配列番号409に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DQB1を増幅するための配列番号408と配列番号409に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DQB1を増幅するための配列番号410と配列番号412に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DQB1を増幅するための配列番号411と配列番号412に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB1を増幅するための配列番号413と配列番号417に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB1を増幅するための配列番号414と配列番号417に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB1を増幅するための配列番号415と配列番号417に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB1を増幅するための配列番号416と配列番号417に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
から選択されるいずれかまたは任意の組み合わせであることを特徴とする高精度タイピング用プライマーを提供する。
本発明はさらに、高精度タイピング用プローブの作製のために用いられる
DQA1を増幅するための配列番号418と配列番号420に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DQA1を増幅するための配列番号419と配列番号420に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DQB1を増幅するための配列番号421と配列番号422に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRA1を増幅するための配列番号423と配列番号424に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB1を増幅するための配列番号425と配列番号428に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB1を増幅するための配列番号426と配列番号428に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB1を増幅するための配列番号427と配列番号428に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB3を増幅するための配列番号429と配列番号431に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB3を増幅するための配列番号430と配列番号431に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB4を増幅するための配列番号432と配列番号433に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB4を増幅するための配列番号434と配列番号435に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB5を増幅するための配列番号436と配列番号437に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB6を増幅するための配列番号438と配列番号439に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB6を増幅するための配列番号438と配列番号440に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB7を増幅するための配列番号441と配列番号442に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DPA1を増幅するための配列番号443と配列番号444に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DPB1を増幅するための配列番号445と配列番号446に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対
DPB1を増幅するための配列番号445と配列番号447に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対
から選択されるいずれかまたは任意の組み合わせであることを特徴とする高精度タイピング用プライマーを提供する。
本願におけるHLAクラスIおよびIIという場合のクラスとは、それぞれが生体内で行う役割に基づく分類を表している。従って本願においてもこの分類手法に従った。クラスI抗原とは各HLA−A、HLA−B、HLA−C、HLA−D、HLA−E、HLA−FおよびHLA−G抗原の総称であり、クラスII抗原とは各HLA−DQ、HLA−DRおよびHLA−DP抗原の総称である。アロ抗原とは、同一の動物種に属するが遺伝的に差異のある個体について、各々の個体を特徴付けている抗原のことであり、遺伝的差異とは塩基配列の差異であることを表している。さらに、遺伝的差異により分類されたアロ抗原のそれぞれをアロ抗原型として命名される。
本願における多型性とはたんぱく質あるいはそれをコードするDNAにおいて同じ機能を有し、かつ一次構造が異なっている性質をあらわすものとする。
本願で言う遺伝子座とは多型性を有する各HLA遺伝子が染色体に占める位置を表し、DR、DQ、DP抗原の遺伝子座は、DRにはDRA、DRB1、DRB3、DRB4およびDRB5が、DQにはDQA1、DQA2、DQB1およびDQB2がDPには、DPA1、DPA2、DPB1およびDPB2がある。
本願における遺伝子座を由来とする抗原とは、各遺伝子座に存在する遺伝子から翻訳された抗原であることを意味する。
本願における遺伝子の多型性に関わる塩基とは、各アロ抗原をコードする遺伝子間において塩基の一次配列が異なっている塩基を指す。
本願における被検体とは、タイピングされる試料(サンプル)を意味し、本願では組織あるいは体細胞から抽出された染色体DNA、RNA又はこれらを鋳型として酵素によって生成される反応物を意味している。
本願で言うチミジン残基のホモポリマーとは、タイピングに関わる塩基配列部分の5’又は3’の末端にデオキシチミジンを連続して合成したものである。このオリゴヌクレオチドの合成は市販されているDNA合成機で合成することができる。
以下、本発明のキットの構成およびその製造方法、本発明のキットを用いたHLAのタイピング法、これらのキットまたは方法に用いるオリゴヌクレオチド、本発明のキットを用いたHLAのタイピングに使用する試料である被検ヒトゲノムに由来する核酸ターゲットおよびその製造方法、ならびに核酸ターゲットを作製するためのプライマーに分けて説明する。
<1>本発明に用いる合成オリゴヌクレオチド
本発明に用いる合成オリゴヌクレオチドは、HLAタイピングに関わるヒトゲノム上の遺伝子を由来として、これら遺伝子から得られる塩基配列をもとに合成されたオリゴヌクレオチドである。以下、これらのオリゴヌクレオチドをキャプチャーオリゴということがある。
キャプチャーオリゴの設計は、各タイプのHLA遺伝子に存在するタイプ固有の塩基配列領域を含むように行う。本発明は、被検ヒトゲノムがこれらの領域を有するか否かを同定し、HLAのタイピングを行うことを要旨とする。
HLAタイピングに関わる遺伝子中のタイプ特異的塩基配列の有無は、ヒト染色体DNAのHLAタイピングに関わる遺伝子の塩基配列の一部を有する核酸断片ターゲット(「核酸ターゲット」ということがある)と各タイプ特異的なキャプチャーオリゴとをハイブリダイズさせ、いずれのキャプチャーオリゴにハイブリダイズするかによって、タイピングすることができる。
キャプチャーオリゴは、HLAタイピングに関わる遺伝子の塩基配列中の、各タイプ固有の塩基配列を含む10から24塩基からなる塩基配列を有する合成オリゴヌクレオチドとして作製することができる。キャプチャーオリゴの設計に際し、キャプチャーオリゴのタイプ固有の塩基配列の位置は、通常、キャプチャーオリゴの中央部に存在することが好ましい。キャプチャーオリゴが短すぎると、ハイブリダイゼーションの検出が困難になり、長すぎるとタイプ固有の配列によるハイブリダイゼーションの阻害が起こらなくなるため、10から24塩基の範囲が好ましい。但し、このキャプチャーオリゴの長さの最適化は、主として配列の特性(特定の塩基の含有率、同一塩基のリピート)に依存するもので、結合性の良いものは短鎖でも良いことが本発明の実験で確認されている。またキャプチャーオリゴとターゲットとのハイブリッド形成過程において、ハイブリダイゼーションに負の影響を与える2次構造的障害がある場合は、オリゴヌクレオチド配列内にスペーサーまたはどの塩基とも水素結合を形成しない塩基を導入し、前記障害を回避することができる。さらに、キャプチャーオリゴの塩基配列を、各タイプ固有の配列部分を含むように、キャプチャーオリゴに対応するゲノム上の遺伝子配列を、キャプチャーオリゴの5’側または3’側またはその両方において伸長もしくは短縮させることによって、ターゲットおよびキャプチャーオリゴの2次構造的障害を回避することができる。
キャプチャーオリゴとしては、通常DNAが用いられるが、ペプチド核酸(PNA)であってもよい。ペプチド核酸が形成する被検ヒトゲノム由来の核酸とのハイブリッドはオリゴヌクレオチドを用いた場合に比べTm(融解温度)が高く、安定したハイブリダイゼーションシグナルを得ることことが期待できる。ペプチド核酸の合成は、一般的なペプチド合成機を用いて容易に合成することができる。
キャプチャーオリゴの塩基配列の例を、配列番号1〜397、456〜503、507〜589、594〜898、908〜1078および1080〜1298に示す。これらのキャプチャーオリゴは、公表文献および日本組織適合性学会ホームページ(http://square.umin.ac.jp/JSHI/frame.html)から得られる塩基配列データに基づいて設計したものであり、それぞれのHLAタイプを網羅している。
特定のHLAタイプのタイピングは、この中からキャプチャーオリゴを適宜選択して試験に供することにより可能である。
キャプチャーオリゴ長は、おおむね14から22塩基の範囲とし、ハイブリダイゼーションの観点から16から17塩基を中心的なサイズとした。尚、配列番号1から397に示す塩基配列の他、各塩基配列の5’側もしくは3’側またはその両方において、各々のHLAタイプ遺伝子配列を伸長させた塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをキャプチャーオリゴとして用いることもできる。
また、配列番号1から397、456〜503、507〜589、594〜898、908〜1078および1080〜1298のいずれかに示す塩基配列の5’側もしくは3’側の一方を伸長させ、他方を短縮させても良いが、いずれの場合もキャプチャーオリゴは10〜24塩基の範囲とする。
本発明において、設計されたキャプチャーオリゴは、出願時点までの研究・調査結果を良く反映したものであるが、新しいHLAタイプの塩基配列に関してこの後追加的な情報が得られた場合には、本出願に記載の方法に基づいて新たなキャプチャーオリゴが設計されることになり、それらは本出願の請求範囲に包含されるものである。
オリゴヌクレオチドの合成および染色体DNAの調製、ハイブリダイゼーション、PCRの技法は、当業者に良く知られた通常の方法(Maniatis,T.et al.,”Molecular Cloning A Laboratory Manual,second edition”,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)参照)に従って行うことができる。また、オリゴヌクレオチドは、市販のDNA合成機を用いて合成することができる。
<2>本発明に用いる基板の製造
オリゴヌクレオチドを固定化する基板の材質は、オリゴヌクレオチドを安定して固定化できるものであれば特に制限されないが、例えば、ガラス、ポリカーボネイトやプラスティックなどの合成樹脂が挙げられる。基板の形態は特に制限されないが、板状またはフィルム状が挙げられる。基板の表面は均質で平坦なものが適している。
基板へのオリゴヌクレオチドの固定化は、物理的吸着、電気的結合または分子共有結合など、通常のハイブリダイゼーション法に用いられる手法を用いることができるが、本発明実施例においては、表面にカルボジイミド基またはイソシアネート基をコートした基材(特開平08−023975)を使用した。表面にカルボジイミドイミド基またはイソシアネート基をコートした基材の作製には、カルボジイミド基又はイソシアネート基を含有する高分子化合物を基材表面に塗布し、紫外線照射し共有結合によりオリゴヌクレオチドを固定化する方法を採用した。これは、表面にカルボジイミド基またはイソシアネート基を有する基材に紫外線照射することで固定化効率を大幅に上げることに成功したためである。また、カルボジイミド基またはイソシアネート基とオリゴヌクレオチドとを結合させるためのリンカーは、カルボジイミド基またはイソシアネート基と高い反応性を有するアミノ基またはイミノ基を有する化合物を用いる。イミノ基の場合は、キャプチャーオリゴのどちらか一方の末端にチミンを重合させることで、カルボジイミド基またはイソシアネート基とを結合させることが可能である。
オリゴヌクレオチドをスポットする際に、オリゴヌクレオチドのスポット量が少なすぎると、オリゴヌクレオチドと核酸ターゲットとの間の充分な反応性を確保することができず、判定が困難になることがある。また、高集積度のスポッティングは、技術的な問題と同時にコストがかかり、かつ核酸ターゲットの蛍光標識や、化学発色などを用いたハイブリダイゼーションの有無の判定にも、より精密で高額な検出装置(代表的にはスキャナー)を必要とすることになる。従って、オリゴヌクレオチドは、基板の表面に径10〜1,000μmのサイズに固定することが好ましい。オリゴヌクレオチドの固定化は、例えばスポッティングマシーンを使用して基板上にオリゴヌクレオチド溶液をスポッティングすることにより行うことができる。オリゴヌクレオチド溶液は、通常ほぼ円形にスポッティングされることが好ましい。
また、各々のオリゴヌクレオチドは、単一の基板に複数スポットされるが、それぞれのスポットは格子状に配置することが好ましい。スポット数は、スポットのサイズが径1000μmであればcm2あたり総数で1600以下、正方形状にスポットする場合は縦横40×40以下にスポットすることが好ましい。また、スポットのサイズが径10μmであればcm2あたり総数で400以下、正方形状にスポットする場合は縦横20×20以下にスポットすることが好ましい。また、縦横のサイズが異なる場合には、形状に応じて縦横の数を調整すればよい。
<3>オリゴヌクレオチドの基板上への配置
各オリゴヌクレオチドの基板上への配置は、各HLAタイプのタイピングを容易にするために、各々のHLAタイプの判定に用いられるオリゴヌクレオチドを1区画にまとめる、もしくは一列に並べるなどして配置することが好ましい。オリゴヌクレオチドは、低精度遺伝子型判定と高精度遺伝子型判定とを同時に行うために、低精度遺伝子型判定に適したオリゴヌクレオチドと、高精度遺伝子型判定に適したオリゴヌクレオチドをともに同一の基板に固定しもよい。また、低精度遺伝子型判定と高精度遺伝子型判定と段階的に行うために、低精度遺伝子型判定に適したオリゴヌクレオチドを固定した基板と、高精度遺伝子型判定に適したオリゴヌクレオチドを固定した基板を作製してもよい。
または、各HLA遺伝子の塩基配列のアラインメントを取り、1〜10個の塩基からなる塩基配列内にHLAタイピングに関わる少なくとも2個以上の塩基多型または塩基配列多型が認められる塩基配列を含む領域をパッチワークと定義し、これらパッチワークを全てのHLA遺伝子配列内に見出し、パッチワークの組み合わせでタイピングすることも可能である。さらに高度なタイピングを実施するために、各HLA遺伝子の塩基配列のアラインメントに基づいて1〜10個の塩基からなる塩基配列内に少なくとも1箇所以上の塩基多型または塩基配列多型が認められる塩基配列を含む領域をサテライトと定義し、これらパッチワークを全てのHLA遺伝子配列内に見出し、サテライトの組み合わせでタイピングすることができる。それによって、上記パッチワークで分別できないタイプを分別することもできる。パッチワーク及びサテライトを用いたタイピングにより、被検体の各HLA型がホモ接合体であるかヘテロ接合体であるかを判別するのと同時にHLAのタイプを決定することができる。被検体において上記パッチワークおよびサテライトを各々明らかにしていくことでHLAタイプが決定できるようにオリゴヌクレオチドを配置して作製しても良い。
基板上のスポットの配置は通常1cm2以内とする。基板上に固定化されるオリゴヌクレオチドの好ましい配置の一例を図1〜7および図11〜17に示した。図中の四角は各オリゴヌクレオチドの点を表し、記載される数字はオリゴヌクレオチドの配列番号を表している。
<4>被検試料からの核酸の調製と核酸プローブの作製
被検試料からの核酸の調製は、通常の動物細胞からの核酸の調製法と同様にして行うことができる。例えば、DNAは、Maniatis,T.et al.,”Molecular Cloning A Laboratory Manual,second edition”Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)で紹介されている方法に従い調製することができる。また、培養により得られた細胞からのDNAの抽出も同様にして行える。この方法は、標準的な試験法であるが、多くの代替法があり、いずれを採用しても良い。
得られたDNAをもとに、HLAタイピングに用いる核酸ダーゲットを作製する。核酸ターゲットは、キャプチャーオリゴの塩基配列に対応して設計されたプライマーを使用して核酸増幅することにより作製することができる。核酸ターゲットは、通常DNAが用いられるが、RNAであっても良い。核酸増幅の方法としては、例えばPCR(ポリメラーゼ・チェイン・リアクション)によりDNAとして増幅する方法、あるいはインビトロ・トランスクリプション(in vitro transcription)法によりRNAとして増幅する方法が挙げられる。
PCRに用いるプライマーは、核酸ターゲットが、各HLAタイプ固有の配列領域を除いてキャプチャーオリゴと相補的な塩基配列を含む様に設計される。尚、ハイブリダイゼーションが可能である限りにおいて、核酸ターゲットはキャプチャーオリゴよりも長いが、短くても良い。尚、増幅反応の特異性を高めるために、目的とする核酸プローブよりも広い領域を増幅する予備的プライマーを用いて初回の増幅を行い、増幅されたDNAを鋳型として目的の核酸プローブを得るためのプライマーを用いて核酸増幅を行ってもよい。
HLAのタイプによっては、タイピングに関わる固有の塩基配列領域が複数個所存在する場合は、各固有領域に応じた核酸ターゲットを作製することができる。
さらにDQBおよびDRBのタイピングは、低精度プライマーで増幅される核酸配列を用いて得られた結果より高精度プライマーを選択し、各高精度タイピングを実施するか、全てのDQBおよびDRB用低精度プライマーを用いて増幅される核酸配列と全てのDQBおよびDRB用高精度用プライマーを用いて増幅される核酸配列を別々のキャプチャーが固定化されたブロックにハイブリダイズして得られたそれぞれの結果から低精度および高精度タイプを決定する。DQA、DRA、DPAおよびDPBのタイピングは各々の高精度プライマーを用いて増幅される核酸配列を用いて高精度タイピングを実施する。
最終的な核酸増幅に用いるプライマーをあらかじめ標識しておくと、標識化された核酸ターゲットを得ることができる。核酸増幅反応中、あるいは反応後に核酸ターゲットを標識しても良い。標識物質には、蛍光物質またはハプテンなど、通常のハイブリダイゼーションに用いるプローブと同様の標識物質を使用することができる。具体的には、例えば蛍光物質としてはフルオレセイン(FITC)、ローダミン(Rodamine)、フィコエリスリン(PE)、テキサスレッド(Texas Red)、シアニン系蛍光色素などが、ハプテンとしてはビオチン(Biotin)、ジゴキシゲニン(Dig)、ジニトロフェニル(DNP)などが挙げられる。
核酸ターゲットを作製するためのプライマーは、オリゴヌクレオチドを固定化した基板と共に、HLAタイピングキットに含めることができる。
<5>基板上のオリゴヌクレオチドと核酸ターゲットのハイブリダイゼーションハイブリダイゼーションは、通常の核酸のハイブリダイゼーションと同様にして行うことができる。以下に具体的な方法を例示する。
SSC(Standard Saline Citrate)などの塩溶液、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ウシ血清アルブミン(BSA)などのブロッキング溶液、および融合反応促進のための添加剤からなる融合液に、核酸ターゲットを加える。ターゲットが2本鎖の場合は熱などによる変性を行う。基板上に核酸ターゲット溶液を数μL添加した後、数時間加熱操作(通常37℃〜70℃)を行い、基板上に固定化されているオリゴヌクレオチドと核酸ターゲット間でハイブリッドを形成させる。
基板上に5×SSCまたは3Mテトラメチルアンモニウムクロリドを加えて加熱し(通常37℃〜50℃)、非特異的なハイブリッドを形成していないものを基板から剥離させ、特異的なハイブリッドのみを選択的に基板上に残す。
ハイブリッドの検出には、核酸ターゲットに導入されている蛍光物質またはハプテンを使用する。ハプテンを使用する場合は、ハプテンを認識するタンパクまたはそれに結合するタンパクと、アルカリフォスファターゼまたはホースラディッシュ・パーオキシダーゼなどの結合体(酵素コンジュゲート)を含む溶液を基板上に加え、室温で数10分間反応させる。なお、このハプテンと酵素コンジュゲートの結合反応を行う前に、オリゴヌクレオチドを固定した領域以外の基板の領域をカゼインなどのタンパクを用いて完全に被覆することによって、酵素コンジュゲートと基板の非特異的吸着反応を阻止することができる。この処置は、オリゴヌクレオチドを固定した後、基板上にカゼインなどのタンパクの溶液を加え、室温で数10分間放置することによって行うことができる。酵素コンジュゲートと核酸ターゲットのハプテンとの結合反応終了後、ハプテンと結合しなかった酵素コンジュゲートを界面活性剤を含む適当な緩衝液で洗浄し排除することによって、基板上には核酸ターゲット中のハプテンと結合した酵素コンジュゲートのみが残ることになる。
ハイブリッドを視覚化するには、ハプテンと酵素コンジュゲート結合体のみが存在する場合にのみ不溶化合物になるような化合物を添加し、その不溶性化合物生成が酵素反応によって増幅され可視化する。この時用いられる化合物としては、酵素コンジュゲート中の酵素がアルカリフォスファターゼの場合、ニトロブルーテトラゾリウムクロライド(NBT)とBCIP(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸−pトルイジントルイジン塩)が用いられる。酵素がホースラディッシュ・パーオキシダーゼの場合は、TMB(3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン)などを用いることができる。
得られたハイブリダイゼーションの結果をもとにしたHLAタイプのタイピングは、キャプチャーオリゴを固定化した位置における色素沈着または蛍光発色を見ることによって行う。すなわち色素沈着または蛍光発色のある位置が該当する遺伝子であり、各タイプに属するオリゴヌクレオチドの全てが発色しているときにそのタイプが決定される。例えば、実施例中の図8〜10では、配列番号141から144までのオリゴヌクレオチドのうち配列番号141と143にのみハイブリシグナルが得られ、試験に供した検体はDRA*0101とタイピングされる。さらに配列番号1から397のキャプチャーオリゴの位置に得られるハイブリダイゼーションシグナルとHLAタイプの対応表を表1から表20にまとめた。
本発明のキットは、キャプチャーオリゴを固定化した基板を含む。また、本発明のキットは、核酸ターゲットを作製するためのプライマーまたは標識化核酸ターゲット、緩衝液、ハプテンを認識する酵素コンジュゲート等のハイブリダイゼーション用の試薬などを含めることができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施例によりさらに具体的に説明する。
実施例1 オリゴヌクレオチドの合成
定法に従い、オリゴヌクレオチド合成機(Perkin−elmer Applied biosystems)を用いて、5’末端にアミノ基又は水酸基を有するオリゴヌクレオチドを合成し、脱保護を施した後、乾燥させた。このオリゴヌクレオチド乾燥体を、10mM Tris−HCl(pH7.5)、1mMEDTA緩衝液を用いて溶解し、100pmol/μLのオリゴヌクレオチド溶液を調製した。この合成法は、キャプチャーオリゴ又はプライマーとして使用するいずれのオリゴヌクレオチドに対しても同様である。合成したオリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列表の配列番号1〜447に示す。これらのうち、配列番号1〜397がキャプチャーオリゴであり、配列番号398〜447がプライマーである。
実施例2 基板へのキャプチャーオリゴのスポッティング(5’末端にアミノ基を有するオリゴヌクレオチドを用いる場合)
5’末端にアミノ基を有するオリゴヌクレオチド溶液10μLに対してマイクロスポッティング溶液(TeleChem International Inc.)を10μL混合し、マイクロタイタープレート(Greiner Laboratory Inc.)上に分注した。スポッティングマシンの所定の位置にシラン化スライドグラス(Matsunami Glass Ind.Ltd.)を配置し、スポッティングマシーンを作動させた。スポッティング終了後、スライドグラスに熱水からの蒸気を数秒間あて、その後紫外線を30mJ照射した。再度蒸気に数秒間曝露した後、ホットプレート上にスライドグラスを置いて水分を除去した。0.1%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液でスライドグラスをすすいだ後、蒸留水で濯いだ。スライドグラスを3% BSA(仔牛血清アルブミン)を含む100mM Tris−HCl(pH7.5),100mM NaCl,0.1% Triton X−100に室温で30分間浸し、ブロッキングした。その後室温で乾燥させたのち、10mM Tris−HCl(pH7.5),1mM EDTA緩衝液で洗浄した。スライドグラスを再度室温で乾燥させ、使用まで乾燥状態で冷暗所にて保存した。
実施例3 基板へのキャプチャーオリゴのスポッティング(5’末端に水酸基を有するオリゴヌクレオチドを用いる場合)
5’末端に水酸基を有するオリゴヌクレオチド溶液10μLに対してマイクロスポッティング溶液(2M 塩化ナトリウム水溶液)を10μL混合し、マイクロタイタープレート(Greiner Laboratory Inc.)上に分注した。スポッティングマシンの所定の位置にシラン化スライドグラス(Matsunami Glass Ind.Ltd.)を配置し、スポッティングマシーンを作動させた。スポッティング終了後、スライドグラスを37℃の乾燥機に30分間置いた。スライドグラスを3% BSA(仔牛血清アルブミン)を含む100mM Tris−HCl(pH7.5),100mM NaCl,0.1% Triton X−100に室温で30分間浸し、ブロッキングした。その後室温で乾燥させたのち、10mM Tris−HCl(pH7.5),1mM EDTA緩衝液で洗浄した。スライドグラスを再度室温で乾燥させ、使用まで乾燥状態で冷暗所にて保存した。
実施例4 核酸ターゲットの調製
末梢血または培養細胞などから有核細胞を採取し、マイクロチューブに入れ、生理食塩水で3回洗浄した。これに0.1M Tris−HCl pH8.0,0.2M NaCl,0.04M EDTA,2% SDSを800μl加え混和したのち、proteinase Kを120μg加え、50℃で一晩インキュベートした。1M Tris−HCl飽和フェノールを800μl加え、ローテーターで1時間以上回転させた後、フェノール抽出を3回行うことによりタンパク除去した。水層に2−プロパノール2mlと5M NaCl 60μlを加え軽く混和し、析出したDNAをマイクロピペットですばやく吸い取り、70%冷エタノールを加えて遠心洗浄を3回行った。減圧乾燥し、滅菌水70μlに溶かしたものをPCRテンプレート溶液とした。
PCR増幅の組成は、Taqポリメレースを2Unit、プライマーを各25pmol、反応用緩衝液5μl、dNTPを各10nmol、テンプレートDNA溶液を0.5μl、および滅菌水を加えて総量50μlとした。チューブに入れた溶液をサーマルサイクラーにセットして、▲1▼95℃:3分間、▲2▼95℃:30秒間、▲3▼71℃:30秒間、▲4▼72℃:3分間のサイクル中、▲2▼〜▲3▼を30回繰り返すプログラムを作動させた。
本実施例では、確認試験として、次に記載のアガロースゲルを用いた電気泳動を行ったが、実際の臨床における鑑別の際には不要である。PCR反応混合物を1μl取り、6×泳動色素(30%グリセロール、0.25%ブロモフェノールブルー、0.25%キシレンシアノール)を1μl、蒸留水4μlと混和した。2%アガロースゲル上で、100V、90分間の条件で泳動させたのち、0.5μg/mlエチジウムブロマイドを含む蒸留水に30分間浸し、紫外線照射下でゲルをCCDカメラで撮影した。
実施例5 ハイブリダイゼーション
実施例4で作製した核酸ターゲット2μl取り、ArrayIt Unihyb Hybridization Solution(TeleChem International Inc.)8μlを加えて混合し、100℃で10分間加熱処理を行った後、氷中に5分間浸した。この核酸ターゲット溶液を5μlとり、実施例2または実施例3で作製したキャプチャーオリゴを固定化した基板にのせ、その上にカバーグラスをのせた。これを保湿箱にいれ、さらに42℃に設定した恒温器に入れて60分間静置した。基板を取り出し、すばやく4℃の5×SSC(0.083M NaCl,0.083Mクエン酸ナトリウム)に浸してカバーグラスを除去した。基板を4℃の5×SSCに10分間浸す操作を2回行い、室温の3Mテトラメチルアンモニウムクロリド水溶液で2回濯いだ。45℃の3Mテトラメチルアンモニウムクロリド水溶液に20分間浸す操作を2回行い、最後に2×SSC(0.033M NaCl,0.033Mクエン酸ナトリウム)に浸した。
実施例6 化学発色検出
実施例5でハイブリダイゼーションを終えた基板を2×SSCから取り出し、ブロックエース(大日本製薬株式会社)原液(4%水溶液)を、基板の1平方センチメートル当り70μlとなる量を載せ、室温で20分間静置したのち溶液を除去した。次に、5mlのTBST(0.05M Tris−HCl(pH7.6),0.15M NaCl,0.05% Tween20)にアビジンDH(Vector Laboratories,Inc.)およびビオチン化西洋ワサビペルオキシダーゼH(Vector Laboratories,Inc.)を各2滴加えて混合した溶液を、基板の1平方センチメートル当り70μlとなる量を載せ、室温で30分間静置したのち溶液を除去した。室温のTBSTに5分間浸す操作を2回行ったのち基板を取り出し、ペーパータオルで水分を十分に取り除いた。基板上に、TMB(3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン)基質キット(Vector Laboratories,Inc.)を、基板の1平方センチメートル当り70μlとなる量を載せ、室温で10分間静置したのち溶液を除去し、基板を脱イオン水に浸して酵素反応を停止した。
以上の結果を図8〜10に示した。本発明の方法により、HLAタイピングが可能なことが明らかである。
実施例7 パッチワークを用いたタイピング
アレイ作製に用いるオリゴヌクレオチドは、実施例1に準じて作製した。アレイは実施例2または実施例3に準じて作製した。各タイプ判定用アレイ作製に用いたオリゴヌクレオチド配列と各HLAタイプの対応表は表21〜32にまとめた。ターゲット増幅には表33に示したプライマーの組み合わせを用いた。
実施例4〜実施例6に準じてタイプ判定を行った。
以上の結果を図18〜24に示した。以上のことより、パッチワークとサテライトによって設計されたオリゴヌクレオチドを用いて作製されたアレイを用いた被検体のHLA型の判定が可能であることが示された。
〔参考文献〕
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(2)O.Olerup et al:HLA−DR typing by PCR amplification with sequence−specific primers(PCR−SSP)in 2 hours:An alternative to serological DR typing in clinical practice including donor−recipient matching in cadavaric transplantation.Tissue Antigen,39:225,1992
(3)Inoko,H.et al:PCR−RFLP.In Handbook of HLA typing techniques(edited byHui,K.M.& Bidwell,J.L.),CRC press,Florida,U.S.A.,1993,P9
(4)Erlich,H.,et al:HLA−DR,DQ and DP typing using PCR amplification and immobilized probes.European Journal of Immunogenetics,18:33,1991
(5)Carrington,M.,et al:Typing of HLA−DQA1 and DQB1 using DNA single−strand conformation polymorphism.Hum.Immunol.33:208,1992
産業上の利用可能性
本発明により、多検体処理が可能であり、かつ、一度の試験で高精度なHLAタイピングが可能なキットおよび方法、ならびにそれらに用いるオリゴヌクレオチド及びプライマーが提供される。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
図1は、基板上に固定化されているキャプチャーオリゴ(HLA−DQA1用)の配置を示す図である。図中の数字は配列番号を表す(図2〜7も同様)。
図2は、基板上に固定化されているキャプチャーオリゴ(HLA−DQB1用)の配置を示す図である。
図3は、基板上に固定化されているキャプチャーオリゴ(HLA−DRA用)の配置を示す図である。
図4は、基板上に固定化されているキャプチャーオリゴ(HLA−DRB1用)の配置を示す図である。
図5は、基板上に固定化されているキャプチャーオリゴ(HLA−DRB3,DRB4,DRB5,DRB6用)の配置を示す図である。
図6は、基板上に固定化されているキャプチャーオリゴ(HLA−DPA1用)の配置を示す図である。
図7は、基板上に固定化されているキャプチャーオリゴ(HLA−DPB1用)の配置を示す図である。
図8は、本発明のキットの模式図及びそれを用いたDRAタイピングの検出結果を示す写真(DRA*0101と判定された検出結果)である。
図中の数字は配列番号を表す。Bはオリゴヌクレオチドの5’末端にビオチンを導入したものが固定化されている。□はハイブリダイゼーションシグナルが得られていないことを、■はハイブリダイゼーションシグナルが得られていることを表す(以下の図においても同様)。
図9は、本発明のキットの模式図及びそれを用いたDRB低解像度タイピングの検出結果を示す写真(DR4と判定された検出結果)である。
図10は、本発明のキットの模式図及びそれを用いたDRB1高解像度タイピングの検出結果を示す写真(DRB1*04011と判定された検出結果)である。
図11は、基板上に固定化されているキャプチャーオリゴ(HLA−DPB1用)の配置を示す図である。
図12は、基板上に固定化されているキャプチャーオリゴ(HLA−DQB1用)の配置を示す図である。
図13は、基板上に固定化されているキャプチャーオリゴ(HLA−DRB1用)の配置を示す図である。
図14は、基板上に固定化されているキャプチャーオリゴ(HLA−DRB偽遺伝子用)の配置を示す図である。
図15は、基板上に固定化されているキャプチャーオリゴ(HLA−DRB3、4、5用)の配置を示す図である。
図16は、基板上に固定化されているキャプチャーオリゴ(HLA−A用)の配置を示す図である。
図17は、基板上に固定化されているキャプチャーオリゴ(HLA−B用)の配置を示す図である。
図18は、本発明のキットの模式図(A)、及びそれを用いたDPB1タイピングの検出結果(DPB1*01011と判定された検出結果)を示す写真(B)である。
図19は、本発明のキットの模式図(A)、及びそれを用いたDQB1タイピングの検出結果(DQB1*05031と判定された検出結果)を示す写真(B)である。
図20は、本発明のキットの模式図(A)、及びそれを用いたDRB1タイピングの検出結果(DRB1*0101と判定された検出結果)を示す写真(B)である。
図21は、本発明のキットの模式図(A)、及びそれを用いたDRB9タイピングの検出結果(DRB9 0101と判定された検出結果)を示す写真(B)である。
図22は、本発明のキットの模式図(A)、及びそれを用いたDRB3タイピングの検出結果(DRB3 0301と判定された検出結果)を示す写真(B)である。
図23は、本発明のキットの模式図(A)、及びそれを用いたAタイピングの検出結果(A 01011と判定された検出結果)を示す写真(B)である。
図24は、本発明のキットの模式図(A)、及びそれを用いたBタイピングの検出結果(B 0724と判定された検出結果)を示す写真(B)である。
本発明は、HLAの遺伝子型を判定するためのタイピングキット及び判定法に関する。HLAの判定は免疫遺伝学的に違いのある個体間の移植の可否を判定するためのもので、具体的には、骨髄、腎臓、肝臓、膵臓、膵ランゲルハンス島、角膜などの臓器や組織を移植する際の移植適合性を決定するための遺伝子情報の提供を目的とする。本発明のキットは、遺伝的要因である特定の疾患に対する感受性診断や個人識別にも応用することができる。
本発明は、さらに上記キット及び方法に用いられるPCRプライマーおよびそれらの製造方法に関する。
背景技術
1.ヒト白血球抗原(HLA)のタイプと組織適合性の重要性
組織や細胞を自分自身に移植する場合や、一卵性双生児のように免疫遺伝学的に相同な個体間の移植においては、移植片は拒絶反応を誘起することなく生着する。一方、家族や他人といった免疫遺伝学的に異なる個体間の移植(同種移植)や、ヒトと他の霊長類のような異なった種属間の移植(種間移植)では、移植免疫が成立し、移植片に対して拒絶反応が起こる。この反応における標的として主要組織適合抗原と称される特に強い移植免疫を惹起する抗原があり、これらはMHC(主要組織適合遺伝子複合体)と呼ばれる遺伝子群により支配されている。MHCはクラスI,IIおよびIIIに分かれており、クラスI遺伝子とクラスII遺伝子が移植抗原であるHLA(白血球型抗原)をコードしている。HLA抗原は、免疫機構における自己・非自己の識別をつかさどる蛋白質であり、それらの遺伝子座には多数の対立遺伝子が存在して、これらをコードする遺伝子配列は多型性に富んでいることが知られている。
HLAの遺伝子型の判定(タイピング)は、免疫遺伝学的に違いのある個体間の移植の可否を決定するための情報を提供するもので、具体的には、骨髄、腎臓、肝臓、膵臓、膵ランゲルハンンス島、角膜などの臓器や組織の移植の際に用いられる。HLAの遺伝子型は特定の難治性疾患とも関係があるとされており、慢性関節リウマチ、IDDM、およびインスリン自己免疫症候群などの診断のための補助的手段としても使用できる。この他、HLAは遺伝学的多型性に富んでいることから親子鑑定や個人鑑定にも応用されている。
2.HLAタイピングに関わる遺伝子と多型性
ヒトMHCは第6染色体上の短腕に位置するHLA遺伝子複合体であり、それらによってコードされるHLA抗原には、HLA−A,B,C座により支配されるクラスI抗原と、HLA−D領域(DR,DQ,DP)により支配されるクラスII抗原がある。
クラスI抗原は、β2ミクログロブリンと呼ぶ12kDaのL鎖と分子量45kDaのH鎖よりなる2本鎖構造を有し、T細胞を介した細胞性免疫に関係して抗原特異性を決定するもので、移植免疫の標的抗原となる。クラスII抗原は、分子量34kDaと29kDaの2本鎖構造を有し、抗原認識を決定し、液性免疫における抗原提示に関係する。HLA−D領域のDP,DQ,DRの分類は、アミノ酸もしくは塩基配列に基づく多型性によりさらに詳細な分類がなされている。DRはおよそ20種類のサブタイプに、DQはおよそ10種類に、DPは数種類に分類される。サブタイプの多さは、HLA抗原が分子量の異なるα鎖とβ鎖から構成され、DQ抗原を除いてアロ抗原決定基がβ鎖のみによっていることによる。さらに抗原決定基のアミノ酸配列もしくは対応する塩基配列に基づいて、サブタイプはさらに細分化される。
3.HLAタイピングの手段
抗血清反応を利用した血清学的検査とリンパ球の幼若化反応を利用した細胞学的手法は、一般的に利用されてきた方法であるが、検査に時間と労力を要し、操作が煩雑であるばかりでなく、得られる結果の精度も高くないため、これらの欠点を克服するためにPCRを応用したDNAタイピング手法が開発され、実用化されている。例としては、PCR−SSP(2)、PCR−RFLP法(3)、PCR−SSOP法(4)、PCR−SSCP法(5)などがある。
PCR−SSPは、目的とするHLA抗原の超可変領域を増幅することにより遺伝子配列の確認を行い、それによってHLA抗原タイプを決定する。この方法では高精度タイピングを可能にするために特異的プライマーを数多く用意しなければならず、また膨大な回数のPCRを行う必要があり必ずしも実用的ではない。
PCR−RFLP(PCR−restriction fragment length polymorphisms)法は、HLA抗原のタイピングに関係する領域を含むように塩基配列をPCR増幅し、得られた増幅産物を制限酵素で切断する。HLAタイプによって切断部位が生じる制限酵素を用いて増幅産物である塩基配列を切断した後電気泳動で分離し、泳動パターンに基づいてタイプが決定される。この方法は、迅速に結果が得られることを特徴とするが、配列中に制限酵素切断部位が必ずしも存在するとは限らない。また、1つのタイピングに増幅産物を複数種の制限酵素で切断する必要があり、大量検体の処理については実用的とは言い難い。
PCR−SSOP(PCR−sequence specific oligonucleotide probes)法は、HLA遺伝子特異的なプライマーで増幅したDNAを固定化したナイロンメンブレンを作製し、各HLAタイプ特異的なオリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせてタイピングするものである。また、PCR−SSOPの変法で、各HLAタイプ特異的なオリゴヌクレオチドを固定化したメンブレンを作製し、HLA遺伝子特異的なプライマーを用いて増幅したDNAをハイブリダイズさせるものもある。増幅DNAを固定化する方法では、各タイプのプローブごとにメンブレンを用意してハイブリダイゼーションを行わなければならず、多検体のタイピングには多大な労力を必要とする。増幅DNAまたはオリゴヌクレオチドを固定化する基材がメンブレンであるため、1枚のメンブレンで高精度タイピングを実施するためには多大な面積のメンブレンを用意せねばならず、判定パターンが複雑になることが考えられる。
PCR−SSCP(PCR−single strand conformation polymorphisms)法は、PCRで増幅させたDNAを1本鎖に変性させ、塩基配列の違いによる高次構造の変化を電気泳動で検出するものである。この方法では、同一ゲル上にすべて既知タイプのDNAを泳動する必要があり、実用的な多検体処理は不可能に近い。
4.高精度HLAタイピングの重要性
理想的な移植の実現には、ドナーおよびレシピエントのHLAタイプが高精度で一致していることが重要である。従って高精度にタイピングされた組織または個人情報が事前に明らかになっている必要性が生じてくる。その点において、移植前に現在明らかになっている全タイプに照らし合わせて判定される必要がある。また完全に一致したHLAタイプのドナーが見つけられなかった場合でも、高精度HLAタイプが判明していれば移植などを類似したタイプ同士で行うことによって高い成功率が期待できる。また、移植後に生じる拒絶反応などの免疫応答においてもレシピエントの負担を軽減できることが期待できる。
また、個人鑑定においては、高精度タイピングを実施して完全一致する個人は数万人から数十万人に一人であり、高い確度で鑑定を実施できる。さらに、HLAの各遺伝子座において高精度タイピングを実施すれば、さらに個人鑑定の確度を上昇させることができる。
発明の開示
HLAタイプ情報を必要とする医療現場、または個人鑑定が必要とされる状況において、信頼性の高いHLAタイプ情報を迅速に提供することが求められている。そのためのHLAタイピング手法は、数多い検体のタイピングを容易かつ簡便に実施できることが重要である。現在様々な手法が考案され改良に取り組まれているが、操作が煩雑であったり、多検体処理ができなかったりと多くの欠点を残している。
本発明は、このような問題を解決するために、多検体処理に適し、尚かつ、1つの検体に対して一度の試験で多くの高精度タイピングが実施可能なキットおよび方法を提供することを課題とする。
本発明は、ヒトゲノム上のHLAクラスI抗原またはクラスII抗原に属する遺伝子群の配列を由来とし且つその配列中にアロ抗原としての遺伝子の多型性を含む10〜24塩基長のオリゴヌクレオチドを共有結合により固定化した基板を含み、被検体に由来する核酸配列とのハイブリダイゼーションによりその被検体HLAの遺伝子型を判定するためのタイピングキットである。
また本発明は、前記タイピングキット上の各々のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズさせ、各々のオリゴヌクレオチドについて被検体に由来する核酸配列とのハイブリダイゼーションの有無を検出することによって、被検体HLAの遺伝子型を判定する方法を提供する。
本発明はまた、前記タイピングキットにおいて、前記のクラスI抗原がHLA−A、HLA−B、HLA−C、HLA−D、HLA−E、HLA−FまたはHLA−Gをコードするいずれかの遺伝子座によって支配される抗原もしくはヌル遺伝子であり、クラスII抗原がHLA−DQ、HLA−DRまたはHLA−DPをコードするいずれかの遺伝子座により支配される抗原もしくは偽遺伝子であるキット、
HLA−DQが、DQA1、DQA2、DQB1、DQB2のうちのいずれかの遺伝子座を由来とする抗原または偽遺伝子であるキット、
HLA−DRが、DRA、DRB1、DRB3、DRB4、DRB5のうちのいずれかの遺伝子座を由来とする抗原または偽遺伝子であるタイピングキット、及び、
HLA−DPが、DPA1、DPA2、DPB1およびDPB2のうちのいずれかの遺伝子座を由来とする抗原または偽遺伝子であるタイピングキットを提供する。
本発明はさらに、前記オリゴヌクレオチドが由来する遺伝子の塩基配列の5’側もしくは3’側またはその両方において、各々の塩基配列をベースとしてヒトゲノム上のHLA遺伝子配列の各タイプに関わる固有の塩基配列を含む塩基配列からなり、10〜24塩基の長さのオリゴヌクレオチドであって、オリゴヌクレオチドを伸長させるか、または短縮させることによって得られる塩基配列であり、各HLAタイプ固有の配列は置換されないことを特徴とするオリゴヌクレオチドを提供する。
また本発明は、前記のいずれかのタイピングキットにおいて、前記オリゴヌクレオチドの少なくとも1つが、遺伝子の多型性に関わる塩基を除去もしくは変更することなく配列番号1〜397、456〜503、507〜589、594〜898、908〜1072または1080〜1298のいずれかの核酸配列に対してゲノム上の遺伝子配列を5’側もしくは3’側またはその両方に伸長させるか短縮させることにより得られ、前記ハイブリダイゼーションにおける結合親和性が最適化された8〜24塩基長の核酸配列であるオリゴヌクレオチドで代替されたタイピングキットを提供する
さらに、前記のいずれかのタイピングキットにおいて、オリゴヌクレオチドの少なくともいずれかが、遺伝子の多型性に関係しない任意の塩基をスペーサー化合物、例えばどの塩基とも水素結合を形成しない核酸骨格を有するスペーサー化合物で置換することによりハイブリダイゼーションにおける結合親和性を緩和したオリゴヌクレオチドであるタイピングキットを提供する。
さらにこれらオリゴヌクレオチドに代わってペプチド核酸(PNA)を用いることもできる。
さらに本発明は、被検体に由来する核酸配列を鋳型として低精度遺伝子型判定のためのプライマーを用いて第一段階のPCR増幅を行い、増幅産物を前記タイピングキット上の各々のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズさせ、各々のオリゴヌクレオチドについて被検体に由来する核酸配列とのハイブリダイゼーションの有無を検出することによって被検体HLAの遺伝子型の低精度判定を行うステップと、
前記判定結果に基づいて高精度遺伝子型判定のためのプライマーから適当なプライマーを選択して被検体に由来する核酸配列を鋳型とする第二段階のPCR増幅を行い、増幅産物を前記タイピングキット上の各々のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズさせ、各々のオリゴヌクレオチドについて被検体に由来する核酸配列とのハイブリダイゼーションの有無を検出することによって被検体HLAの遺伝子型を高精度判定するステップを含む、被検体HLAの遺伝子型を判定する方法を提供する。
本発明は、低精度タイプのタイピングに用いられるプローブの作製に用いられるDQB1を増幅するための配列番号398と配列番号400に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DQB1を増幅するための配列番号399と配列番号400に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB1を増幅するための配列番号401と配列番号403に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB1を増幅するための配列番号402と配列番号403に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
から選択されるいずれかまたは任意の組み合わせであることを特徴とする低精度タイピング用プライマーを提供する。
本発明はさらに、低精度タイピングの結果をもとに高精度タイピング用プローブの作製のために用いられる
DQB1を増幅するための配列番号404と配列番号405に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DQB1を増幅するための配列番号404と配列番号406に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DQB1を増幅するための配列番号407と配列番号409に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DQB1を増幅するための配列番号408と配列番号409に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DQB1を増幅するための配列番号410と配列番号412に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DQB1を増幅するための配列番号411と配列番号412に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB1を増幅するための配列番号413と配列番号417に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB1を増幅するための配列番号414と配列番号417に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB1を増幅するための配列番号415と配列番号417に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB1を増幅するための配列番号416と配列番号417に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
から選択されるいずれかまたは任意の組み合わせであることを特徴とする高精度タイピング用プライマーを提供する。
本発明はさらに、高精度タイピング用プローブの作製のために用いられる
DQA1を増幅するための配列番号418と配列番号420に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DQA1を増幅するための配列番号419と配列番号420に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DQB1を増幅するための配列番号421と配列番号422に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRA1を増幅するための配列番号423と配列番号424に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB1を増幅するための配列番号425と配列番号428に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB1を増幅するための配列番号426と配列番号428に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB1を増幅するための配列番号427と配列番号428に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB3を増幅するための配列番号429と配列番号431に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB3を増幅するための配列番号430と配列番号431に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB4を増幅するための配列番号432と配列番号433に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB4を増幅するための配列番号434と配列番号435に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB5を増幅するための配列番号436と配列番号437に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB6を増幅するための配列番号438と配列番号439に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB6を増幅するための配列番号438と配列番号440に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DRB7を増幅するための配列番号441と配列番号442に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DPA1を増幅するための配列番号443と配列番号444に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対、
DPB1を増幅するための配列番号445と配列番号446に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対
DPB1を増幅するための配列番号445と配列番号447に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド対
から選択されるいずれかまたは任意の組み合わせであることを特徴とする高精度タイピング用プライマーを提供する。
本願におけるHLAクラスIおよびIIという場合のクラスとは、それぞれが生体内で行う役割に基づく分類を表している。従って本願においてもこの分類手法に従った。クラスI抗原とは各HLA−A、HLA−B、HLA−C、HLA−D、HLA−E、HLA−FおよびHLA−G抗原の総称であり、クラスII抗原とは各HLA−DQ、HLA−DRおよびHLA−DP抗原の総称である。アロ抗原とは、同一の動物種に属するが遺伝的に差異のある個体について、各々の個体を特徴付けている抗原のことであり、遺伝的差異とは塩基配列の差異であることを表している。さらに、遺伝的差異により分類されたアロ抗原のそれぞれをアロ抗原型として命名される。
本願における多型性とはたんぱく質あるいはそれをコードするDNAにおいて同じ機能を有し、かつ一次構造が異なっている性質をあらわすものとする。
本願で言う遺伝子座とは多型性を有する各HLA遺伝子が染色体に占める位置を表し、DR、DQ、DP抗原の遺伝子座は、DRにはDRA、DRB1、DRB3、DRB4およびDRB5が、DQにはDQA1、DQA2、DQB1およびDQB2がDPには、DPA1、DPA2、DPB1およびDPB2がある。
本願における遺伝子座を由来とする抗原とは、各遺伝子座に存在する遺伝子から翻訳された抗原であることを意味する。
本願における遺伝子の多型性に関わる塩基とは、各アロ抗原をコードする遺伝子間において塩基の一次配列が異なっている塩基を指す。
本願における被検体とは、タイピングされる試料(サンプル)を意味し、本願では組織あるいは体細胞から抽出された染色体DNA、RNA又はこれらを鋳型として酵素によって生成される反応物を意味している。
本願で言うチミジン残基のホモポリマーとは、タイピングに関わる塩基配列部分の5’又は3’の末端にデオキシチミジンを連続して合成したものである。このオリゴヌクレオチドの合成は市販されているDNA合成機で合成することができる。
以下、本発明のキットの構成およびその製造方法、本発明のキットを用いたHLAのタイピング法、これらのキットまたは方法に用いるオリゴヌクレオチド、本発明のキットを用いたHLAのタイピングに使用する試料である被検ヒトゲノムに由来する核酸ターゲットおよびその製造方法、ならびに核酸ターゲットを作製するためのプライマーに分けて説明する。
<1>本発明に用いる合成オリゴヌクレオチド
本発明に用いる合成オリゴヌクレオチドは、HLAタイピングに関わるヒトゲノム上の遺伝子を由来として、これら遺伝子から得られる塩基配列をもとに合成されたオリゴヌクレオチドである。以下、これらのオリゴヌクレオチドをキャプチャーオリゴということがある。
キャプチャーオリゴの設計は、各タイプのHLA遺伝子に存在するタイプ固有の塩基配列領域を含むように行う。本発明は、被検ヒトゲノムがこれらの領域を有するか否かを同定し、HLAのタイピングを行うことを要旨とする。
HLAタイピングに関わる遺伝子中のタイプ特異的塩基配列の有無は、ヒト染色体DNAのHLAタイピングに関わる遺伝子の塩基配列の一部を有する核酸断片ターゲット(「核酸ターゲット」ということがある)と各タイプ特異的なキャプチャーオリゴとをハイブリダイズさせ、いずれのキャプチャーオリゴにハイブリダイズするかによって、タイピングすることができる。
キャプチャーオリゴは、HLAタイピングに関わる遺伝子の塩基配列中の、各タイプ固有の塩基配列を含む10から24塩基からなる塩基配列を有する合成オリゴヌクレオチドとして作製することができる。キャプチャーオリゴの設計に際し、キャプチャーオリゴのタイプ固有の塩基配列の位置は、通常、キャプチャーオリゴの中央部に存在することが好ましい。キャプチャーオリゴが短すぎると、ハイブリダイゼーションの検出が困難になり、長すぎるとタイプ固有の配列によるハイブリダイゼーションの阻害が起こらなくなるため、10から24塩基の範囲が好ましい。但し、このキャプチャーオリゴの長さの最適化は、主として配列の特性(特定の塩基の含有率、同一塩基のリピート)に依存するもので、結合性の良いものは短鎖でも良いことが本発明の実験で確認されている。またキャプチャーオリゴとターゲットとのハイブリッド形成過程において、ハイブリダイゼーションに負の影響を与える2次構造的障害がある場合は、オリゴヌクレオチド配列内にスペーサーまたはどの塩基とも水素結合を形成しない塩基を導入し、前記障害を回避することができる。さらに、キャプチャーオリゴの塩基配列を、各タイプ固有の配列部分を含むように、キャプチャーオリゴに対応するゲノム上の遺伝子配列を、キャプチャーオリゴの5’側または3’側またはその両方において伸長もしくは短縮させることによって、ターゲットおよびキャプチャーオリゴの2次構造的障害を回避することができる。
キャプチャーオリゴとしては、通常DNAが用いられるが、ペプチド核酸(PNA)であってもよい。ペプチド核酸が形成する被検ヒトゲノム由来の核酸とのハイブリッドはオリゴヌクレオチドを用いた場合に比べTm(融解温度)が高く、安定したハイブリダイゼーションシグナルを得ることことが期待できる。ペプチド核酸の合成は、一般的なペプチド合成機を用いて容易に合成することができる。
キャプチャーオリゴの塩基配列の例を、配列番号1〜397、456〜503、507〜589、594〜898、908〜1078および1080〜1298に示す。これらのキャプチャーオリゴは、公表文献および日本組織適合性学会ホームページ(http://square.umin.ac.jp/JSHI/frame.html)から得られる塩基配列データに基づいて設計したものであり、それぞれのHLAタイプを網羅している。
特定のHLAタイプのタイピングは、この中からキャプチャーオリゴを適宜選択して試験に供することにより可能である。
キャプチャーオリゴ長は、おおむね14から22塩基の範囲とし、ハイブリダイゼーションの観点から16から17塩基を中心的なサイズとした。尚、配列番号1から397に示す塩基配列の他、各塩基配列の5’側もしくは3’側またはその両方において、各々のHLAタイプ遺伝子配列を伸長させた塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをキャプチャーオリゴとして用いることもできる。
また、配列番号1から397、456〜503、507〜589、594〜898、908〜1078および1080〜1298のいずれかに示す塩基配列の5’側もしくは3’側の一方を伸長させ、他方を短縮させても良いが、いずれの場合もキャプチャーオリゴは10〜24塩基の範囲とする。
本発明において、設計されたキャプチャーオリゴは、出願時点までの研究・調査結果を良く反映したものであるが、新しいHLAタイプの塩基配列に関してこの後追加的な情報が得られた場合には、本出願に記載の方法に基づいて新たなキャプチャーオリゴが設計されることになり、それらは本出願の請求範囲に包含されるものである。
オリゴヌクレオチドの合成および染色体DNAの調製、ハイブリダイゼーション、PCRの技法は、当業者に良く知られた通常の方法(Maniatis,T.et al.,”Molecular Cloning A Laboratory Manual,second edition”,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)参照)に従って行うことができる。また、オリゴヌクレオチドは、市販のDNA合成機を用いて合成することができる。
<2>本発明に用いる基板の製造
オリゴヌクレオチドを固定化する基板の材質は、オリゴヌクレオチドを安定して固定化できるものであれば特に制限されないが、例えば、ガラス、ポリカーボネイトやプラスティックなどの合成樹脂が挙げられる。基板の形態は特に制限されないが、板状またはフィルム状が挙げられる。基板の表面は均質で平坦なものが適している。
基板へのオリゴヌクレオチドの固定化は、物理的吸着、電気的結合または分子共有結合など、通常のハイブリダイゼーション法に用いられる手法を用いることができるが、本発明実施例においては、表面にカルボジイミド基またはイソシアネート基をコートした基材(特開平08−023975)を使用した。表面にカルボジイミドイミド基またはイソシアネート基をコートした基材の作製には、カルボジイミド基又はイソシアネート基を含有する高分子化合物を基材表面に塗布し、紫外線照射し共有結合によりオリゴヌクレオチドを固定化する方法を採用した。これは、表面にカルボジイミド基またはイソシアネート基を有する基材に紫外線照射することで固定化効率を大幅に上げることに成功したためである。また、カルボジイミド基またはイソシアネート基とオリゴヌクレオチドとを結合させるためのリンカーは、カルボジイミド基またはイソシアネート基と高い反応性を有するアミノ基またはイミノ基を有する化合物を用いる。イミノ基の場合は、キャプチャーオリゴのどちらか一方の末端にチミンを重合させることで、カルボジイミド基またはイソシアネート基とを結合させることが可能である。
オリゴヌクレオチドをスポットする際に、オリゴヌクレオチドのスポット量が少なすぎると、オリゴヌクレオチドと核酸ターゲットとの間の充分な反応性を確保することができず、判定が困難になることがある。また、高集積度のスポッティングは、技術的な問題と同時にコストがかかり、かつ核酸ターゲットの蛍光標識や、化学発色などを用いたハイブリダイゼーションの有無の判定にも、より精密で高額な検出装置(代表的にはスキャナー)を必要とすることになる。従って、オリゴヌクレオチドは、基板の表面に径10〜1,000μmのサイズに固定することが好ましい。オリゴヌクレオチドの固定化は、例えばスポッティングマシーンを使用して基板上にオリゴヌクレオチド溶液をスポッティングすることにより行うことができる。オリゴヌクレオチド溶液は、通常ほぼ円形にスポッティングされることが好ましい。
また、各々のオリゴヌクレオチドは、単一の基板に複数スポットされるが、それぞれのスポットは格子状に配置することが好ましい。スポット数は、スポットのサイズが径1000μmであればcm2あたり総数で1600以下、正方形状にスポットする場合は縦横40×40以下にスポットすることが好ましい。また、スポットのサイズが径10μmであればcm2あたり総数で400以下、正方形状にスポットする場合は縦横20×20以下にスポットすることが好ましい。また、縦横のサイズが異なる場合には、形状に応じて縦横の数を調整すればよい。
<3>オリゴヌクレオチドの基板上への配置
各オリゴヌクレオチドの基板上への配置は、各HLAタイプのタイピングを容易にするために、各々のHLAタイプの判定に用いられるオリゴヌクレオチドを1区画にまとめる、もしくは一列に並べるなどして配置することが好ましい。オリゴヌクレオチドは、低精度遺伝子型判定と高精度遺伝子型判定とを同時に行うために、低精度遺伝子型判定に適したオリゴヌクレオチドと、高精度遺伝子型判定に適したオリゴヌクレオチドをともに同一の基板に固定しもよい。また、低精度遺伝子型判定と高精度遺伝子型判定と段階的に行うために、低精度遺伝子型判定に適したオリゴヌクレオチドを固定した基板と、高精度遺伝子型判定に適したオリゴヌクレオチドを固定した基板を作製してもよい。
または、各HLA遺伝子の塩基配列のアラインメントを取り、1〜10個の塩基からなる塩基配列内にHLAタイピングに関わる少なくとも2個以上の塩基多型または塩基配列多型が認められる塩基配列を含む領域をパッチワークと定義し、これらパッチワークを全てのHLA遺伝子配列内に見出し、パッチワークの組み合わせでタイピングすることも可能である。さらに高度なタイピングを実施するために、各HLA遺伝子の塩基配列のアラインメントに基づいて1〜10個の塩基からなる塩基配列内に少なくとも1箇所以上の塩基多型または塩基配列多型が認められる塩基配列を含む領域をサテライトと定義し、これらパッチワークを全てのHLA遺伝子配列内に見出し、サテライトの組み合わせでタイピングすることができる。それによって、上記パッチワークで分別できないタイプを分別することもできる。パッチワーク及びサテライトを用いたタイピングにより、被検体の各HLA型がホモ接合体であるかヘテロ接合体であるかを判別するのと同時にHLAのタイプを決定することができる。被検体において上記パッチワークおよびサテライトを各々明らかにしていくことでHLAタイプが決定できるようにオリゴヌクレオチドを配置して作製しても良い。
基板上のスポットの配置は通常1cm2以内とする。基板上に固定化されるオリゴヌクレオチドの好ましい配置の一例を図1〜7および図11〜17に示した。図中の四角は各オリゴヌクレオチドの点を表し、記載される数字はオリゴヌクレオチドの配列番号を表している。
<4>被検試料からの核酸の調製と核酸プローブの作製
被検試料からの核酸の調製は、通常の動物細胞からの核酸の調製法と同様にして行うことができる。例えば、DNAは、Maniatis,T.et al.,”Molecular Cloning A Laboratory Manual,second edition”Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)で紹介されている方法に従い調製することができる。また、培養により得られた細胞からのDNAの抽出も同様にして行える。この方法は、標準的な試験法であるが、多くの代替法があり、いずれを採用しても良い。
得られたDNAをもとに、HLAタイピングに用いる核酸ダーゲットを作製する。核酸ターゲットは、キャプチャーオリゴの塩基配列に対応して設計されたプライマーを使用して核酸増幅することにより作製することができる。核酸ターゲットは、通常DNAが用いられるが、RNAであっても良い。核酸増幅の方法としては、例えばPCR(ポリメラーゼ・チェイン・リアクション)によりDNAとして増幅する方法、あるいはインビトロ・トランスクリプション(in vitro transcription)法によりRNAとして増幅する方法が挙げられる。
PCRに用いるプライマーは、核酸ターゲットが、各HLAタイプ固有の配列領域を除いてキャプチャーオリゴと相補的な塩基配列を含む様に設計される。尚、ハイブリダイゼーションが可能である限りにおいて、核酸ターゲットはキャプチャーオリゴよりも長いが、短くても良い。尚、増幅反応の特異性を高めるために、目的とする核酸プローブよりも広い領域を増幅する予備的プライマーを用いて初回の増幅を行い、増幅されたDNAを鋳型として目的の核酸プローブを得るためのプライマーを用いて核酸増幅を行ってもよい。
HLAのタイプによっては、タイピングに関わる固有の塩基配列領域が複数個所存在する場合は、各固有領域に応じた核酸ターゲットを作製することができる。
さらにDQBおよびDRBのタイピングは、低精度プライマーで増幅される核酸配列を用いて得られた結果より高精度プライマーを選択し、各高精度タイピングを実施するか、全てのDQBおよびDRB用低精度プライマーを用いて増幅される核酸配列と全てのDQBおよびDRB用高精度用プライマーを用いて増幅される核酸配列を別々のキャプチャーが固定化されたブロックにハイブリダイズして得られたそれぞれの結果から低精度および高精度タイプを決定する。DQA、DRA、DPAおよびDPBのタイピングは各々の高精度プライマーを用いて増幅される核酸配列を用いて高精度タイピングを実施する。
最終的な核酸増幅に用いるプライマーをあらかじめ標識しておくと、標識化された核酸ターゲットを得ることができる。核酸増幅反応中、あるいは反応後に核酸ターゲットを標識しても良い。標識物質には、蛍光物質またはハプテンなど、通常のハイブリダイゼーションに用いるプローブと同様の標識物質を使用することができる。具体的には、例えば蛍光物質としてはフルオレセイン(FITC)、ローダミン(Rodamine)、フィコエリスリン(PE)、テキサスレッド(Texas Red)、シアニン系蛍光色素などが、ハプテンとしてはビオチン(Biotin)、ジゴキシゲニン(Dig)、ジニトロフェニル(DNP)などが挙げられる。
核酸ターゲットを作製するためのプライマーは、オリゴヌクレオチドを固定化した基板と共に、HLAタイピングキットに含めることができる。
<5>基板上のオリゴヌクレオチドと核酸ターゲットのハイブリダイゼーションハイブリダイゼーションは、通常の核酸のハイブリダイゼーションと同様にして行うことができる。以下に具体的な方法を例示する。
SSC(Standard Saline Citrate)などの塩溶液、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ウシ血清アルブミン(BSA)などのブロッキング溶液、および融合反応促進のための添加剤からなる融合液に、核酸ターゲットを加える。ターゲットが2本鎖の場合は熱などによる変性を行う。基板上に核酸ターゲット溶液を数μL添加した後、数時間加熱操作(通常37℃〜70℃)を行い、基板上に固定化されているオリゴヌクレオチドと核酸ターゲット間でハイブリッドを形成させる。
基板上に5×SSCまたは3Mテトラメチルアンモニウムクロリドを加えて加熱し(通常37℃〜50℃)、非特異的なハイブリッドを形成していないものを基板から剥離させ、特異的なハイブリッドのみを選択的に基板上に残す。
ハイブリッドの検出には、核酸ターゲットに導入されている蛍光物質またはハプテンを使用する。ハプテンを使用する場合は、ハプテンを認識するタンパクまたはそれに結合するタンパクと、アルカリフォスファターゼまたはホースラディッシュ・パーオキシダーゼなどの結合体(酵素コンジュゲート)を含む溶液を基板上に加え、室温で数10分間反応させる。なお、このハプテンと酵素コンジュゲートの結合反応を行う前に、オリゴヌクレオチドを固定した領域以外の基板の領域をカゼインなどのタンパクを用いて完全に被覆することによって、酵素コンジュゲートと基板の非特異的吸着反応を阻止することができる。この処置は、オリゴヌクレオチドを固定した後、基板上にカゼインなどのタンパクの溶液を加え、室温で数10分間放置することによって行うことができる。酵素コンジュゲートと核酸ターゲットのハプテンとの結合反応終了後、ハプテンと結合しなかった酵素コンジュゲートを界面活性剤を含む適当な緩衝液で洗浄し排除することによって、基板上には核酸ターゲット中のハプテンと結合した酵素コンジュゲートのみが残ることになる。
ハイブリッドを視覚化するには、ハプテンと酵素コンジュゲート結合体のみが存在する場合にのみ不溶化合物になるような化合物を添加し、その不溶性化合物生成が酵素反応によって増幅され可視化する。この時用いられる化合物としては、酵素コンジュゲート中の酵素がアルカリフォスファターゼの場合、ニトロブルーテトラゾリウムクロライド(NBT)とBCIP(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸−pトルイジントルイジン塩)が用いられる。酵素がホースラディッシュ・パーオキシダーゼの場合は、TMB(3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン)などを用いることができる。
得られたハイブリダイゼーションの結果をもとにしたHLAタイプのタイピングは、キャプチャーオリゴを固定化した位置における色素沈着または蛍光発色を見ることによって行う。すなわち色素沈着または蛍光発色のある位置が該当する遺伝子であり、各タイプに属するオリゴヌクレオチドの全てが発色しているときにそのタイプが決定される。例えば、実施例中の図8〜10では、配列番号141から144までのオリゴヌクレオチドのうち配列番号141と143にのみハイブリシグナルが得られ、試験に供した検体はDRA*0101とタイピングされる。さらに配列番号1から397のキャプチャーオリゴの位置に得られるハイブリダイゼーションシグナルとHLAタイプの対応表を表1から表20にまとめた。
本発明のキットは、キャプチャーオリゴを固定化した基板を含む。また、本発明のキットは、核酸ターゲットを作製するためのプライマーまたは標識化核酸ターゲット、緩衝液、ハプテンを認識する酵素コンジュゲート等のハイブリダイゼーション用の試薬などを含めることができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施例によりさらに具体的に説明する。
実施例1 オリゴヌクレオチドの合成
定法に従い、オリゴヌクレオチド合成機(Perkin−elmer Applied biosystems)を用いて、5’末端にアミノ基又は水酸基を有するオリゴヌクレオチドを合成し、脱保護を施した後、乾燥させた。このオリゴヌクレオチド乾燥体を、10mM Tris−HCl(pH7.5)、1mMEDTA緩衝液を用いて溶解し、100pmol/μLのオリゴヌクレオチド溶液を調製した。この合成法は、キャプチャーオリゴ又はプライマーとして使用するいずれのオリゴヌクレオチドに対しても同様である。合成したオリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列表の配列番号1〜447に示す。これらのうち、配列番号1〜397がキャプチャーオリゴであり、配列番号398〜447がプライマーである。
実施例2 基板へのキャプチャーオリゴのスポッティング(5’末端にアミノ基を有するオリゴヌクレオチドを用いる場合)
5’末端にアミノ基を有するオリゴヌクレオチド溶液10μLに対してマイクロスポッティング溶液(TeleChem International Inc.)を10μL混合し、マイクロタイタープレート(Greiner Laboratory Inc.)上に分注した。スポッティングマシンの所定の位置にシラン化スライドグラス(Matsunami Glass Ind.Ltd.)を配置し、スポッティングマシーンを作動させた。スポッティング終了後、スライドグラスに熱水からの蒸気を数秒間あて、その後紫外線を30mJ照射した。再度蒸気に数秒間曝露した後、ホットプレート上にスライドグラスを置いて水分を除去した。0.1%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液でスライドグラスをすすいだ後、蒸留水で濯いだ。スライドグラスを3% BSA(仔牛血清アルブミン)を含む100mM Tris−HCl(pH7.5),100mM NaCl,0.1% Triton X−100に室温で30分間浸し、ブロッキングした。その後室温で乾燥させたのち、10mM Tris−HCl(pH7.5),1mM EDTA緩衝液で洗浄した。スライドグラスを再度室温で乾燥させ、使用まで乾燥状態で冷暗所にて保存した。
実施例3 基板へのキャプチャーオリゴのスポッティング(5’末端に水酸基を有するオリゴヌクレオチドを用いる場合)
5’末端に水酸基を有するオリゴヌクレオチド溶液10μLに対してマイクロスポッティング溶液(2M 塩化ナトリウム水溶液)を10μL混合し、マイクロタイタープレート(Greiner Laboratory Inc.)上に分注した。スポッティングマシンの所定の位置にシラン化スライドグラス(Matsunami Glass Ind.Ltd.)を配置し、スポッティングマシーンを作動させた。スポッティング終了後、スライドグラスを37℃の乾燥機に30分間置いた。スライドグラスを3% BSA(仔牛血清アルブミン)を含む100mM Tris−HCl(pH7.5),100mM NaCl,0.1% Triton X−100に室温で30分間浸し、ブロッキングした。その後室温で乾燥させたのち、10mM Tris−HCl(pH7.5),1mM EDTA緩衝液で洗浄した。スライドグラスを再度室温で乾燥させ、使用まで乾燥状態で冷暗所にて保存した。
実施例4 核酸ターゲットの調製
末梢血または培養細胞などから有核細胞を採取し、マイクロチューブに入れ、生理食塩水で3回洗浄した。これに0.1M Tris−HCl pH8.0,0.2M NaCl,0.04M EDTA,2% SDSを800μl加え混和したのち、proteinase Kを120μg加え、50℃で一晩インキュベートした。1M Tris−HCl飽和フェノールを800μl加え、ローテーターで1時間以上回転させた後、フェノール抽出を3回行うことによりタンパク除去した。水層に2−プロパノール2mlと5M NaCl 60μlを加え軽く混和し、析出したDNAをマイクロピペットですばやく吸い取り、70%冷エタノールを加えて遠心洗浄を3回行った。減圧乾燥し、滅菌水70μlに溶かしたものをPCRテンプレート溶液とした。
PCR増幅の組成は、Taqポリメレースを2Unit、プライマーを各25pmol、反応用緩衝液5μl、dNTPを各10nmol、テンプレートDNA溶液を0.5μl、および滅菌水を加えて総量50μlとした。チューブに入れた溶液をサーマルサイクラーにセットして、▲1▼95℃:3分間、▲2▼95℃:30秒間、▲3▼71℃:30秒間、▲4▼72℃:3分間のサイクル中、▲2▼〜▲3▼を30回繰り返すプログラムを作動させた。
本実施例では、確認試験として、次に記載のアガロースゲルを用いた電気泳動を行ったが、実際の臨床における鑑別の際には不要である。PCR反応混合物を1μl取り、6×泳動色素(30%グリセロール、0.25%ブロモフェノールブルー、0.25%キシレンシアノール)を1μl、蒸留水4μlと混和した。2%アガロースゲル上で、100V、90分間の条件で泳動させたのち、0.5μg/mlエチジウムブロマイドを含む蒸留水に30分間浸し、紫外線照射下でゲルをCCDカメラで撮影した。
実施例5 ハイブリダイゼーション
実施例4で作製した核酸ターゲット2μl取り、ArrayIt Unihyb Hybridization Solution(TeleChem International Inc.)8μlを加えて混合し、100℃で10分間加熱処理を行った後、氷中に5分間浸した。この核酸ターゲット溶液を5μlとり、実施例2または実施例3で作製したキャプチャーオリゴを固定化した基板にのせ、その上にカバーグラスをのせた。これを保湿箱にいれ、さらに42℃に設定した恒温器に入れて60分間静置した。基板を取り出し、すばやく4℃の5×SSC(0.083M NaCl,0.083Mクエン酸ナトリウム)に浸してカバーグラスを除去した。基板を4℃の5×SSCに10分間浸す操作を2回行い、室温の3Mテトラメチルアンモニウムクロリド水溶液で2回濯いだ。45℃の3Mテトラメチルアンモニウムクロリド水溶液に20分間浸す操作を2回行い、最後に2×SSC(0.033M NaCl,0.033Mクエン酸ナトリウム)に浸した。
実施例6 化学発色検出
実施例5でハイブリダイゼーションを終えた基板を2×SSCから取り出し、ブロックエース(大日本製薬株式会社)原液(4%水溶液)を、基板の1平方センチメートル当り70μlとなる量を載せ、室温で20分間静置したのち溶液を除去した。次に、5mlのTBST(0.05M Tris−HCl(pH7.6),0.15M NaCl,0.05% Tween20)にアビジンDH(Vector Laboratories,Inc.)およびビオチン化西洋ワサビペルオキシダーゼH(Vector Laboratories,Inc.)を各2滴加えて混合した溶液を、基板の1平方センチメートル当り70μlとなる量を載せ、室温で30分間静置したのち溶液を除去した。室温のTBSTに5分間浸す操作を2回行ったのち基板を取り出し、ペーパータオルで水分を十分に取り除いた。基板上に、TMB(3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン)基質キット(Vector Laboratories,Inc.)を、基板の1平方センチメートル当り70μlとなる量を載せ、室温で10分間静置したのち溶液を除去し、基板を脱イオン水に浸して酵素反応を停止した。
以上の結果を図8〜10に示した。本発明の方法により、HLAタイピングが可能なことが明らかである。
実施例7 パッチワークを用いたタイピング
アレイ作製に用いるオリゴヌクレオチドは、実施例1に準じて作製した。アレイは実施例2または実施例3に準じて作製した。各タイプ判定用アレイ作製に用いたオリゴヌクレオチド配列と各HLAタイプの対応表は表21〜32にまとめた。ターゲット増幅には表33に示したプライマーの組み合わせを用いた。
実施例4〜実施例6に準じてタイプ判定を行った。
以上の結果を図18〜24に示した。以上のことより、パッチワークとサテライトによって設計されたオリゴヌクレオチドを用いて作製されたアレイを用いた被検体のHLA型の判定が可能であることが示された。
〔参考文献〕
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産業上の利用可能性
本発明により、多検体処理が可能であり、かつ、一度の試験で高精度なHLAタイピングが可能なキットおよび方法、ならびにそれらに用いるオリゴヌクレオチド及びプライマーが提供される。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
図1は、基板上に固定化されているキャプチャーオリゴ(HLA−DQA1用)の配置を示す図である。図中の数字は配列番号を表す(図2〜7も同様)。
図2は、基板上に固定化されているキャプチャーオリゴ(HLA−DQB1用)の配置を示す図である。
図3は、基板上に固定化されているキャプチャーオリゴ(HLA−DRA用)の配置を示す図である。
図4は、基板上に固定化されているキャプチャーオリゴ(HLA−DRB1用)の配置を示す図である。
図5は、基板上に固定化されているキャプチャーオリゴ(HLA−DRB3,DRB4,DRB5,DRB6用)の配置を示す図である。
図6は、基板上に固定化されているキャプチャーオリゴ(HLA−DPA1用)の配置を示す図である。
図7は、基板上に固定化されているキャプチャーオリゴ(HLA−DPB1用)の配置を示す図である。
図8は、本発明のキットの模式図及びそれを用いたDRAタイピングの検出結果を示す写真(DRA*0101と判定された検出結果)である。
図中の数字は配列番号を表す。Bはオリゴヌクレオチドの5’末端にビオチンを導入したものが固定化されている。□はハイブリダイゼーションシグナルが得られていないことを、■はハイブリダイゼーションシグナルが得られていることを表す(以下の図においても同様)。
図9は、本発明のキットの模式図及びそれを用いたDRB低解像度タイピングの検出結果を示す写真(DR4と判定された検出結果)である。
図10は、本発明のキットの模式図及びそれを用いたDRB1高解像度タイピングの検出結果を示す写真(DRB1*04011と判定された検出結果)である。
図11は、基板上に固定化されているキャプチャーオリゴ(HLA−DPB1用)の配置を示す図である。
図12は、基板上に固定化されているキャプチャーオリゴ(HLA−DQB1用)の配置を示す図である。
図13は、基板上に固定化されているキャプチャーオリゴ(HLA−DRB1用)の配置を示す図である。
図14は、基板上に固定化されているキャプチャーオリゴ(HLA−DRB偽遺伝子用)の配置を示す図である。
図15は、基板上に固定化されているキャプチャーオリゴ(HLA−DRB3、4、5用)の配置を示す図である。
図16は、基板上に固定化されているキャプチャーオリゴ(HLA−A用)の配置を示す図である。
図17は、基板上に固定化されているキャプチャーオリゴ(HLA−B用)の配置を示す図である。
図18は、本発明のキットの模式図(A)、及びそれを用いたDPB1タイピングの検出結果(DPB1*01011と判定された検出結果)を示す写真(B)である。
図19は、本発明のキットの模式図(A)、及びそれを用いたDQB1タイピングの検出結果(DQB1*05031と判定された検出結果)を示す写真(B)である。
図20は、本発明のキットの模式図(A)、及びそれを用いたDRB1タイピングの検出結果(DRB1*0101と判定された検出結果)を示す写真(B)である。
図21は、本発明のキットの模式図(A)、及びそれを用いたDRB9タイピングの検出結果(DRB9 0101と判定された検出結果)を示す写真(B)である。
図22は、本発明のキットの模式図(A)、及びそれを用いたDRB3タイピングの検出結果(DRB3 0301と判定された検出結果)を示す写真(B)である。
図23は、本発明のキットの模式図(A)、及びそれを用いたAタイピングの検出結果(A 01011と判定された検出結果)を示す写真(B)である。
図24は、本発明のキットの模式図(A)、及びそれを用いたBタイピングの検出結果(B 0724と判定された検出結果)を示す写真(B)である。
Claims (30)
- ヒトゲノム上のHLAクラスI抗原またはクラスII抗原に属する遺伝子群の配列を由来とし且つその配列中にアロ抗原としての遺伝子の多型性を含む10〜24塩基長のオリゴヌクレオチドを共有結合により固定化した基板を含み、被検体に由来する核酸配列とのハイブリダイゼーションによりその被検体HLAの遺伝子型を判定するためのタイピングキット。
- 表面にカルボジイミド基またはイソシアネート基がコートされ、このカルボジイミド基またはイソシアネート基と前記オリゴヌクレオチドの末端に付加されたリンカーとの反応により共有結合が形成された請求項1記載のタイピングキット。
- 前記リンカーがアミノ基または末端に、アミノ基、またはチミジン残基のホモポリマーを有する化合物である請求項1記載のタイピングキット。
- 前記オリゴヌクレオチドが、前記基板の表面に径10〜1,000μmのサイズで固定化された請求項1記載のタイピングキット。
- 前記オリゴヌクレオチドがDNAまたはペプチド核酸のいずれかの核酸である請求項1記載のタイピングキット。
- 前記のクラスI抗原がHLA−A、HLA−B、HLA−C、HLA−D、HLA−E、HLA−FまたはHLA−Gをコードするいずれかの遺伝子座によって支配される抗原であり、クラスII抗原がHLA−DQ、HLA−DRまたはHLA−DPをコードするいずれかの遺伝子座により支配される抗原である請求項1記載のタイピングキット。
- HLA−DQが、DQA1、DQA2、DQB1、DQB2のうちのいずれかの遺伝子座を由来とする抗原である請求項1又は6に記載のタイピングキット。
- HLA−DRが、DRA、DRB1、DRB3、DRB4、DRB5のうちのいずれかの遺伝子座を由来とする抗原である請求項1又は6に記載のタイピングキット。
- HLA−DPが、DPA1、DPA2、DPB1およびDPB2のうちのいずれかの遺伝子座を由来とする抗原である請求項1又は6に記載のタイピングキット。
- 前記オリゴヌクレオチドが配列番号1〜397、456〜503、507〜589、594〜898、908〜1072または1080〜1298に示す核酸配列のうちの少なくとも1つを含むことによりなる請求項1又は6に記載のタイピングキット。
- 前記オリゴヌクレオチドが配列番号1〜54に示す核酸配列のうちの少なくとも1つを含むことによりなるHLA−DQA1の遺伝子型を決定するための請求項1、6および7のいずれか一項に記載のタイピングキット。
- 前記オリゴヌクレオチドが配列番号55〜140または507〜589に示す核酸配列のうちの少なくとも1つを含むことによりなるHLA−DQB1の遺伝子型を決定するための請求項1、6および7のいずれか一項に記載のタイピングキット。
- 前記オリゴヌクレオチドが配列番号141〜144に示す核酸配列のうちの少なくとも1つを含むことによりなるHLA−DRAの遺伝子型を決定するための請求項1、6および8のいずれか一項に記載のタイピングキット。
- 前記オリゴヌクレオチドが配列番号145〜323または594〜853に示す核酸配列のうちの少なくとも1つを含むことによりなるHLA−DRB1、−DRB3、−DRB4、−DRB5、−DRB6または−DRB7の遺伝子型を決定するための請求項1、6および8のいずれか一項に記載のタイピングキット。
- 前記オリゴヌクレオチドが配列番号324〜348に示す核酸配列のうちの少なくとも1つを含むことによりなるHLA−DPA1の遺伝子型を決定するための請求項1、6および9のいずれか一項に記載のタイピングキット。
- 前記オリゴヌクレオチドが配列番号349〜397または456〜503に示す核酸配列のうちの少なくとも1つを含むことによりなるHLA−DPB1の遺伝子型を決定するための請求項1、6および9のいずれか一項に記載のタイピングキット。
- 請求項10記載のタイピングキットにおいて、前記オリゴヌクレオチドの少なくとも1つが、遺伝子の多型性に関わる塩基を除去もしくは変更することなく配列番号1〜397、456〜503、507〜589、594〜898、908〜1072または1080〜1298のいずれかの核酸配列に対してゲノム上の遺伝子配列を5’側もしくは3’側またはその両方に伸長させるか短縮させることにより得られ、前記ハイブリダイゼーションにおける結合親和性が最適化された8〜24塩基長の核酸配列であるオリゴヌクレオチドで代替されたタイピングキット。
- 前記オリゴヌクレオチドの少なくともいずれかが、遺伝子の多型性に関係しない任意の塩基をスペーサー化合物で置換することによりハイブリダイゼーションにおける結合親和性を緩和したオリゴヌクレオチドである請求項1〜2、4〜5および10〜17記載のいずれか一項に記載のタイピングキット。
- 前記スペーサー化合物が、いずれの種類の塩基との相補結合性を有しない核酸骨格である請求項18記載のタイピングキット。
- 前記被検体のHLAクラスI抗原またはクラスII抗原の遺伝子の多型性に関係する核酸配列を切り出して増幅するためのPCRプライマー。
- HLA−DQに対応する5’側プライマーと3’側プライマーの組み合わせが(配列番号398と400)および(配列番号399と400)のうち少なくとも1組からなり、HLA−DRに対応する5’側プライマーと3’側プライマーの組み合わせが(配列番号401と403)および(配列番号402と403)のうち少なくとも1組からなる低精度遺伝子型判定のための請求項20記載のPCRプライマー。
- HLA−DQB1に対応する5’側プライマーおよび3’側プライマーの組み合わせが(配列番号404と406)、(配列番号405と406)、(配列番号407と409)、(配列番号408と409)、(配列番号410と412)および(配列番号411と412)のうち少なくとも1組からなり、HLA−DRB1に対応する5’側プライマーおよび3’側プライマーの組み合わせが(配列番号413と417)、(配列番号414と417)、(配列番号415と417)および(配列番号416と417)のうち少なくとも1組からなる高精度遺伝子型判定のための請求項20記載のPCRプライマー。
- HLA−DQA1に対応する5’側プライマーおよび3’側プライマーの組み合わせが(配列番号418と420)および(配列番号419と420)のうち少なくとも1組からなり、HLA−DQB1に対応する5’側プライマーおよび3’側プライマーの組み合わせが(配列番号421と422)であり、HLA−DRAに対応する5’側プライマーおよび3’側プライマーの組み合わせが(配列番号423と424)であり、HLA−DRB2に対応する5’側プライマーおよび3’側プライマーの組み合わせが(配列番号425と428)、(配列番号426と428)および(配列番号427と428)のうち少なくとも1組からなり、HLA−DRB3に対応する5’側プライマーおよび3’側プライマーの組み合わせが(配列番号429と431)および(配列番号430と431)のうち少なくとも1組らなり、HLA−DRB4に対応する5’側プライマーおよび3’側プライマーの組み合わせが(配列番号432と433)および(配列番号434と435)のうち少なくとも1組からなり、HLA−DRB5に対応する5’側プライマーおよび3’側プライマーの組み合わせが(配列番号436と437)であり、HLA−DRB6に対応する5’側プライマーおよび3’側プライマーの組み合わせが(配列番号438と439)および(配列番号439と440)のうち少なくとも1組からなり、
HLA−DRB7に対応する5’側プライマーおよび3’側プライマーの組み合わせが(配列番号441と442)であり、HLA−DPA1に対応する5’側プライマーおよび3’側プライマーの組み合わせが(配列番号443と444)であり、HLA−DPB1に対応する5’側プライマーおよび3’側プライマーの組み合わせが(配列番号445と446)および(配列番号445と447)のうち少なくとも1組からなる、高精度遺伝子型判定のための請求項20記載のPCRプライマー。 - 被検体に由来する核酸配列を、請求項1〜16のいずれか一項に記載のタイピングキット上の各々のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズさせ、各々のオリゴヌクレオチドについて被検体に由来する核酸配列とのハイブリダイゼーションの有無を検出することによって、被検体HLAの遺伝子型を判定する方法。
- 被検体に由来する核酸配列を鋳型として請求項21記載の低精度遺伝子型判定のためのプライマーを用いて第一段階のPCR増幅を行い、増幅産物を請求項1〜16のいずれか一項に記載のタイピングキット上の各々のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズさせ、各々のオリゴヌクレオチドについて被検体に由来する核酸配列とのハイブリダイゼーションの有無を検出することによって被検体HLAの遺伝子型の低精度判定を行うステップと、
前記判定結果に基づいて請求項22記載の高精度遺伝子型判定のためのプライマーから適当なプライマーを選択して被検体に由来する核酸配列を鋳型とする第二段階のPCR増幅を行い、増幅産物を請求項1〜16のいずれか一項に記載のタイピングキット上の各々のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズさせ、各々のオリゴヌクレオチドについて被検体に由来する核酸配列とのハイブリダイゼーションの有無を検出することによって被検体HLAの遺伝子型を高精度判定するステップを含む、請求項24記載の被検体HLAの遺伝子型を判定する方法。 - 被検体に由来する核酸配列を鋳型として請求項24記載の高精度遺伝子型判定のためのプライマーを用いてPCR増幅を行い、増幅産物を請求項1〜16のいずれか一項に記載のタイピングキット上の各々のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズさせることを特徴とする請求項24記載の被検体HLAの遺伝子型を判定する方法。
- 各HLAの遺伝子配列のアラインメントを取り、1〜10個の塩基からなる塩基配列内に、HLAタイピングに関わる少なくとも2個以上の塩基多型または塩基配列多型が認められる塩基配列をパッチワーク領域と定め、及び/又は、少なくとも1個以上の塩基多型もしくは塩基配列多型が認められる塩基配列をサテライト領域と定め、
上記パッチワーク及び/又はサテライトを全てのHLA遺伝子配列内に見出し、パッチワークの組み合わせ及び/又はサテライトの組み合わせでタイピングを行い、被検体の各HLA型がホモ接合体であるかヘテロ接合体であるかを判別するのと同時にHLAのタイプを決定する請求項24記載の被検体HLAの遺伝子型を判定する方法。 - 判定されるHLA型の中にDRB1の偽遺伝子が含まれる請求項27記載の被検体HLAの遺伝子型を判定する方法。
- 前記オリゴヌクレオチドが配列番号908〜1071に示す核酸配列のうちの少なくとも1つを含み、HLA−Aの遺伝子型を決定するためのものである請求項1又は6のいずれか一項に記載のタイピングキット。
- 前記オリゴヌクレオチドが配列番号1080〜1298に示す核酸配列のうちの少なくとも1つを含み、HLA−DRAの遺伝子型を決定するためのものである請求項1又は6のいずれか一項に記載のタイピングキット。
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