JPWO2001085394A1 - フェノール樹脂多孔質砥石およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
研削性能の高いフェノール樹脂多孔質砥石を提供する。フェノール樹脂多孔質砥石(10)は、砥粒(12)を相互に結合させるフェノール樹脂結合剤(14)が三次元網目構造を有することから、その気孔率が高く、加えて、砥石(10)の研削面において砥粒(12)の突出しが得られ易いので、高い研削性が得られる。さらに、砥粒(12)がその砥粒(12)よりも小径の微小連通孔(16)を無数に構成する三次元網目構造のフェノール樹脂結合剤(14)により砥石(10)中に保持されていることから、砥粒(12)は比較的弱い力で脱落するので、被研削材の表面を傷つけにくい。
Description
技術分野
本発明は、樹脂結合剤としてフェノール樹脂を用いた多孔質レジノイド砥石すなわちフェノール樹脂多孔質砥石およびその製造方法に関し、特に、組織中の気孔率を増加させたフェノール樹脂多孔質砥石に関するものである。
技術背景
従来、砥粒を相互に結合させる結合剤としてフェノール樹脂を用いた砥石は、粉末状のフェノール樹脂を砥粒にコーティングし、それを乾粉状態で所定の型に装填しプレス成形する方法により製造されている。
一方、より研削時の切れ味すなわち研削性を向上させるため、砥石の多孔質化が求められている。研削加工中に発生した切り粉は砥石の気孔内に捕捉されることから、気孔の割合が大きくされていると接触面積が大きい場合や難削材の研削加工のように目詰まりが生じ易い研削加工においてもその目詰まりが好適に防止されるため、研削性が向上するのである。しかしながら、上記のようにプレス成形により製造できるフェノール樹脂多孔質砥石は気孔率50%程度が限界であり、それ以上の気孔率を有するフェノール樹脂多孔質砥石を製造しようとすると、熟成変形が大きく形状を維持できないなどの問題があった。
また、気孔率を高くする目的で、研削の邪魔をしにくい軟質のフィラー(たとえば合成マイカなど)を砥石中に混入することがある。そのようにフィラーを混入した砥石では、フィラーが研削ポイントにおいて後退性を持つことによりその部分が気孔の機能を果たすため、高い研削性が得られるが、軟質のフィラーであっても若干の抵抗があり、そのフィラーがワーク表面に傷をつけてしまうことがあるという問題があった。
発明の開示
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的とするところは、フィラーを混入しないで高い気孔率とすることで、研削性能の高いフェノール樹脂多孔質砥石を提供すること、およびその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するための第1発明の要旨とするところは、砥粒がフェノール樹脂結合剤によって相互に結合させられたフェノール樹脂多孔質砥石であって、前記フェノール樹脂結合剤が三次元網目構造を有することにより、前記砥粒よりも小径の微小連通気孔が無数に構成されていることを特徴とする。
このように構成されたフェノール樹脂多孔質砥石は、砥粒を相互に結合させるフェノール樹脂結合剤が三次元網目構造を有することから、その気孔率が高く、加えて、砥石の研削面において砥粒の突出しが得られ易いので、高い研削性が得られる。さらに、砥粒がその砥粒よりも小径の微小連通気孔を無数に構成する三次元網目構造のフェノール樹脂結合剤により砥石中に保持されていることから、砥粒は比較的弱い力で脱落するので、被研削材の表面を傷つけにくい。
ここで、好適には、前記フェノール樹脂多孔質砥石は、前記微小連通気孔よりも十分に大径の独立気孔を多数有するものである。このように構成されたフェノール樹脂多孔質砥石は、微小連通気孔よりも十分に大径の独立気孔を多数有することから一層高い気孔率を有し、研削加工中に発生した切り粉がその独立気孔内にも捕捉されることから、一層高い研削性が得られる。
また、前記目的を達成するための第2発明は、前記第1発明のフェノール樹脂多孔質砥石を製造する方法の発明であり、その要旨とするところは、砥粒がフェノール樹脂結合剤によって相互に結合されてなる組織中に多数の気孔を有するフェノール樹脂多孔質砥石の製造方法であって、(a−1)砥粒、フェノール樹脂水溶液、および硬化剤を均一に混合・攪拌して流動性混合物とする混合攪拌工程と、(b)その流動性混合物を所定の型内に流し込む流し込み工程と、(c)その所定の型内で前記流動性混合物を硬化させる硬化工程と、(d)その硬化工程で硬化させて得られた硬化成形体を乾燥させて、その硬化成形体から水分を除去する乾燥工程とを、含むことにある。
このようにすれば、硬化工程では、流し込み工程において所定の型内に流し込まれた流動性混合物中の水に溶解しているフェノール樹脂が三次元的に架橋することにより硬化成形体となって水から相分離するとともに、その硬化させられたフェノール樹脂が結合剤として砥粒を相互に結合するが、上記流動性混合物は、混合攪拌工程において砥粒およびフェノール樹脂水溶液が均一に混合させられているので、硬化成形体には、硬化させられたフェノール樹脂結合剤中に砥粒および水が均一に分散している。そして、乾燥工程において、その硬化成形体から水分が除去されて、その部分が微小連通気孔となるので、このようにして製造されたフェノール樹脂多孔質砥石は、フェノール樹脂結合剤が三次元網目構造を有することにより、砥粒よりも小径の微小連通気孔が無数に構成された構造を有する。
ここで、好適には、前記フェノール樹脂多孔質砥石の製造方法は、前記第1発明において前記微小連通気孔よりも十分に大径の独立気孔を多数有するフェノール樹脂多孔質砥石を製造する方法の発明であり、その要旨とするところは、砥粒がフェノール樹脂結合剤によって相互に結合されてなる組織中に多数の気孔を有するフェノール樹脂多孔質砥石の製造方法であって、(a−2)砥粒、フェノール樹脂水溶液、硬化剤、および界面活性剤を混合した流動性混合物を攪拌することにより、その砥粒、そのフェノール樹脂水溶液、その硬化剤およびその界面活性剤を均一に混合するとともに、その流動性混合物中に多数の気泡を創成させる混合攪拌工程と、(b)その流動性混合物を所定の型内に流し込む流し込み工程と、(c)その所定の型内で前記流動性混合物に硬化剤を混合することによりその流動性混合物を硬化させる硬化工程と、(d)その硬化工程で硬化させて得られた硬化成形体を乾燥させて、その硬化成形体から水分を除去する乾燥工程とを、含むことにある。このようにすれば、混合攪拌工程において、砥粒、フェノール樹脂水溶液、硬化剤、および界面活性剤が混合された流動性混合物が攪拌されることによって、砥粒、フェノール樹脂水溶液、硬化剤、および界面活性剤が均一に混合されるとともに、流動性混合物の内部に多数の気泡が巻き込まれ、流動性混合物に含まれる界面活性剤の起泡作用および整泡作用によって、均一な気泡が発生し且つその状態が長時間に亘って維持されるため、流し込み工程において型内に流し込まれ、更に硬化工程において硬化させられる過程においても、その創成された気泡の殆どが維持される。そのため、硬化工程においてフェノール樹脂が硬化させられ、更に、乾燥工程において硬化成形体中の水分が除去されて得られたフェノール樹脂多孔質砥石には、前記微小連通気孔に加えて、その微小連通気孔よりも十分に大径の多数の独立気孔を有する。
また、好適には、前記フェノール樹脂水溶液はアルカリ性水溶液であり、且つ、前記硬化剤は有機エステル硬化剤である。このようにすれば、有機エステル硬化剤により、流動性混合物中のフェノール樹脂が常温程度の比較的低い温度で迅速に硬化させられる利点がある。
また、好適には、前記界面活性剤はアニオン性或いは非イオン性界面活性剤である。このようにアニオン性或いは非イオン性界面活性剤を用いると、それらアニオン性或いは非イオン性界面活性剤は起泡効果が高いので、一層気孔率の高い砥石が得られる利点がある。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明のフェノール樹脂多孔質砥石10の表面を拡大して示す図である。図1に示すように、砥粒12が、網目構造のフェノール樹脂結合剤14により相互に結合させられている。なお、フェノール樹脂多孔質砥石10の内部においてもフェノール樹脂結合剤14は網目構造であるので、三次元網目構造となっている。そのフェノール樹脂結合剤14の網と網との間に形成される空間が微小連通気孔16であり、フェノール樹脂結合剤14の網目構造が三次元的に広がっていることから、この微小連通気孔16も三次元的に相互に連通させられている。また、独立気孔18は、上記微小連通気孔16よりも十分に大きく、且つ相互に互いに独立して組織中に略均一に分散して存在している。
上記フェノール樹脂多孔質砥石10は、たとえば、図2に示す工程に従って製造される。工程1で用いるフェノール樹脂水溶液は、水酸化カリウムや水酸化ナトリウム等のアルカリ性触媒の存在下で、フェノール類とアルデヒド類とを常圧において水中で縮合させて得られるものであり、必要な場合には更に上記アルカリ性触媒が追加される。このようにして得られたフェノール樹脂水溶液中に含まれるフェノール樹脂は水溶性であり、その重量平均分子量Mwは500〜8000である。
上記フェノール類には、フェノールの他、たとえば、クレゾール、3,5−キシレノール、ノニルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、イソプロペニルフェノール、フェニルフェノール等のアルキルフェノールや、レゾルシノール、カテコール、ハイドロキノン、フロログリシン等の多価フェノールでもよい。また、カシューナッツ殻液、リグニン、タンニンのようなフェノール系化合物の混合物よりなるものも、フェノール類として使用することができる。これら各種のフェノール類を単独で、または2種以上を混合して使用することもできる。 上記アルデヒド類としては、たとえば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール、グリオキザール等が用いられ、それらを単独で、または2種以上混合して使用することもできる。このアルデヒド類は、フェノール類に対して1.0〜5倍モルの範囲であれば良く、特に1.0〜3.0倍の範囲が良く、さらに、1.5〜2.5倍モルがより好ましい。アルデヒド類がフェノール類に対して1.0倍モル未満では架橋後に十分な強度を発現せず、逆に5.0倍モルを越えると未反応アルデヒドによる作業環境の悪化などが懸念されるからである。
上記アルカリ性触媒としては、たとえば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が単独で、または2種以上混合して使用される。このアルカリ性触媒はフェノール類に対して0.01〜2倍モルの範囲が良く、特に0.02〜1.2倍の範囲が良く、さらに、0.5〜1.0倍モルの範囲が好ましい。アルカリ性触媒がフェノール類に対して0.01倍モル未満では樹脂の製造に多大な時間がかかるため不十分であり、逆に2.0倍モルを越えると硬化剤が大量に必要となり、また、作業環境上好ましくないからである。
上記フェノール樹脂水溶液は、フェノール樹脂成分が30〜75質量%に調製される。なお、このフェノール樹脂水溶液には、その他の添加剤として、砥粒の接着性向上のために、従来より公知であるシランカップリング剤を添加してもよい。このシランカップリング剤としては、たとえば、エポキシ系シランやアミノシランなどが好ましい。また、このシランカップリング剤は、工程1の混合攪拌工程において添加してもよい。
工程1で用いる硬化剤には、有機エステル硬化剤、酸硬化剤等を用いることができる。有機エステル硬化剤としては、従来よりアルカリ性フェノール樹脂水溶液の硬化剤として用いられているものを使用することができ、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸エチル、乳酸エチル、セバシン酸メチル、エチレングリコールジアセテート、ジアセチン、トリアセチン等の炭素数1〜10の一価もしくは多価アルコールと炭素数1〜10の有機カルボン酸とから誘導されるカルボン酸エステル類、又はγ−ブチロラクトン、γ−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン類、又はエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、4−エチルジオキソロン、4−ブチルジオキソロン、4,4−ジメチルジオキソロン、4,5−ジメチルジオキソロン等の環状アルキレンカーボネート類等が挙げられる。中でも、臭気や引火性の問題を解決する目的で γ−ブチロラクトン、γ−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン類を特に好ましく使用することができる。また、酸硬化剤としては、たとえば、硫酸、リン酸などの無機酸、フェノールスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸などの有機酸、および、これらの混合物が挙げられる。
工程1の混合攪拌工程では、上記フェノール樹脂水溶液、砥粒および硬化剤を攪拌混合機中に投入し、必要な場合には界面活性剤もその攪拌混合機中に投入し、所定時間攪拌・混合する。界面活性剤も混合する場合には、フェノール樹脂水溶液に対して、砥粒、硬化剤および界面活性剤を順次或いは同時に混合するが、それらを順次混合する場合は、その混合順序は何れが先でもよい。ただし、硬化剤は、反応を制御する上で混合攪拌工程の最後に添加し、その後、所定時間攪拌することが望ましい。また、この混合攪拌工程により、フェノール樹脂水溶液、砥粒、硬化剤および必要な場合には界面活性剤が混合された流動性混合物が得られればよいので、フェノール樹脂水溶液を予め調製せず、この混合攪拌工程において、水溶性フェノール樹脂、水、アルカリ金属水酸化物、砥粒、硬化剤、および必要な場合は界面活性剤を任意の順番で混合することにより流動性混合物を調製してもよい。さらに、ヘキサミン等の樹脂強度向上剤、アジピン酸ジヒドラジド(AADH)等の安定化剤、アエロジル等の粘度調節剤等を適宜混合してもよい。
上記攪拌は、流動性混合物中に界面活性剤が混合されていない場合には、フェノール樹脂水溶液中に砥粒12を均一に分散させるのに十分な攪拌強度および時間であればよいが、界面活性剤は流動性混合物内に均一な気泡を一様に発生させるために混合されているので、流動性混合物中に界面活性剤が混合されている場合には、砥粒12が均一に分散し、且つ所望量の気泡を発生させるのに十分な攪拌強度および時間に設定される。なお、ここで発生させられる気泡の平均気孔径は50μm以上となる。
上記界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤(ノニオン界面活性剤)等が使用できるが、好ましくはアニオン或いは非イオン界面活性剤を用いる。アニオン界面活性剤としては、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩、高級アルコールリン酸モノエステルジナトリウム塩、アルキルリン酸ナトリウム塩、ジアルキルジチオリン酸亜鉛等のリン酸エステル塩が使用できる。
カチオン界面活性剤としては、ラウリルアミンクロライド、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等の高級アルキルアミン塩、トリエタノールアミンモノステアレートの蛾酸塩、ステアラミドエチルジエチルアミンの酢酸塩、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリンなどの高級脂肪酸のアミン塩、セチルピリジニウムクロライドなどの高級アルキルハライドのアミン塩、ステアラミドメチルピリジニウムクロライドなどの高級脂肪族アミドのアミン塩といったアンモニウム塩や、これらに類するスルホニウム塩又はホスホニウム塩等が使用できる。
両性界面活性剤としては、N−アルキルトリグリシン、ジメチルアルキルベタイン、N−アルキルオキシメチル−N,N−ジエチルベタイン、アルキルベタイン、N−アルキル−β−アミノプロピオン酸塩、アルキルジ(アミノエチル)グリシン塩酸塩、N−アルキルタウリン塩、アミノエチルイミダゾリン有機酸塩等が使用できる。
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル、ポリオキシエチレン化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアビエチルアルコール、ポリオキシエチレンアルキルチオエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコオール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコオールエチレンジアミン、ポリオキシエチレンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンジ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリ脂肪酸エステル等のポリオキシエチレン型界面活性剤、エチレングリコールモノ脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノ脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステル、ペンタエリスリット脂肪酸エステル、ソルビタンモノ脂肪酸エステル、ソルビタンセスキ脂肪酸エステル、ソルビタントリ脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸モノイソプロパノールアミド等の多価アルコール型及びアルキロールアミド型界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルアミン、N−アルキルプロピレンジアミン、N−アルキルポリエチレンポリアミン、N−アルキルポリエチレンポリアミンジメチル硫酸塩、アルキルビグアニド、長鎖アミンオキシド等のアミン型界面活性剤が使用できる。
続く工程2の流し込み工程においては、前記フェノール樹脂多孔質砥石10の形状に対応する内面形状を備えた型内に、前記工程1で十分に混合・攪拌された流動性混合物を流し込む。
続く工程3の硬化工程においては、型内に流し込んだ流動性混合物を所定時間放置することにより、或いは、型内に流し込んだ流動性混合物を所定の温度に加熱することにより、流動性混合物中のフェノール樹脂を硬化すなわち架橋させる。
流動性混合物中のフェノール樹脂が硬化させられると、流動性混合物は上記型の内形を有する硬化成形体となる。このとき、フェノール樹脂は三次元網目形状に硬化し、この硬化したフェノール樹脂が結合剤14として働き、砥粒12を相互に結合する。このようにフェノール樹脂が三次元網目形状に架橋していくメカニズムは必ずしも明らかではないが、以下のように考察できる。なお、本発明はこのメカニズムに拘束されるものではない。
すなわち、硬化剤の添加等によりフェノール樹脂が硬化していく過程において、水に溶けている水溶性フェノール樹脂は、まず、水と相分離しない状態で流動性が消失する(ゲル化)。なお、この状態では外観上は透明である。さらに反応が進行すると、分子鎖の凝集力が働き、樹脂相(固相)と水相(溶媒相)に分離するため、三次元網目形状となると考えられる。なお、この状態では外観が不透明になる。また、この三次元網目形状の網目(この部分は水分が除去されることにより微小連通気孔16となる)の大きさは、水溶性フェノール樹脂と水との比を変えることにより変化し、水溶性フェノール樹脂に対して水が多いほど網目の大きさが大きくなる。このようにして水溶性フェノール樹脂と水との比を変えることにより、微小連通気孔16の大きさを5μm以下の範囲で変化させることができるが、微小連通気孔16の大きさは砥粒12よりも小径である必要がある。砥粒12よりも微小連通気孔16が大径の場合にはフェノール樹脂結合剤14は砥粒12を支持することができないからである。また、界面活性剤が配合されている場合は、その界面活性剤の働きにより、微小連通気孔の気孔径が均一化されると考えられる。
また、前記流動性混合物中に界面活性剤が混合されている場合には、混合攪拌工程において起泡させられた流動性混合物は、界面活性剤を含んでいることから、流し込みおよび硬化の過程においても気泡が消失せず、攪拌終了時の発泡状態を保っている。そのため、硬化終了時において、その硬化成形体中には、図1に示す、気泡に由来する互いに独立した多数の独立気孔18が形成されるので、多孔質成形体が得られる。これら多数の独立気孔18は、流動性混合物およびそれが硬化させられた硬化成形体に何ら圧力が加えられていないことから、上記の混合攪拌工程において発生させられた気泡そのままの形状に形成されている。なお、これら独立気孔18のないフェノール樹脂多孔質砥石を製造するため、前記流動性混合物中に界面活性剤を混合しない場合でも、攪拌の機械的作用によりに若干の気泡が混入するが、それら若干の独立気孔18は研削性能に悪影響を与えない限りあえて除去する必要はない。
続く工程4の乾燥工程では、上記硬化成形体を乾燥させ、その硬化成形体中の水分を除去する。硬化成形体から水分が除去されると、三次元網目構造間を満たしていた水が空気に置換されて無数の微小連通気孔16が形成され、この微小連通気孔16によっても多孔質化される。上記乾燥工程によりフェノール樹脂多孔質砥石10が製造されるが、強度を向上させるため、熱処理工程を設け、そのフェノール樹脂多孔質砥石10をさらに加熱処理してもよい。
次に、フェノール樹脂多孔質砥石10の製造方法の一実施例を説明する。なお、フェノール樹脂多孔質砥石10の寸法は、φ300×20×φ127とした。
まず、工程1では、アルカリ性フェノール樹脂水溶液(旭有機材工業株式会社製HP8300L(固形分48質量%、平均分子量2000))を40質量%、アニオン界面活性剤を5質量%、砥粒として炭化ケイ素#3000を45質量%、ラクトン系エステル硬化剤を10質量%使用し、それらを混合器に以下の順で順次投入して混合・攪拌した。混合器には、特殊機械化工業株式会社製 TKホモミキサーを使用し、攪拌羽根には、同社のエッジタービンを使用し、攪拌の回転速度は500〜1500r.p.m.とした。投入順序は、まず前記アルカリ性フェノール樹脂水溶液と界面活性剤との混合物を5分間攪拌して気泡を発生させ、続いて、ヘキサミンを所定量添加して2分間混合攪拌し、続いて安定化剤(AADH)を所定量添加して1分間混合攪拌し、続いてアエロジルを所定量添加して1分間混合攪拌し、続いて、砥粒を投入して4分間混合攪拌し、最後に上記ラクトン系エステル硬化剤を所定量投入してさらに1.5分間混合攪拌した。これにより、気泡が均一に分散した流動性混合物を得た。
続く工程2では、工程1で得た流動性混合物を、φ300×20×φ127のフェノール樹脂多孔質砥石10を得るための所定の形状のポリプロピレン製の容器に流し込み、続く工程3では、その容器内に流し込んだ流動性混合物を常温にて12時間放置して硬化成形体を得た。
続く工程4の乾燥工程では、上記工程3で得た硬化成形体を60℃で48時間、次いで、6時間後に150℃となるように60℃から連続的に昇温し、150℃を1〜2時間保持して気孔率73%のフェノール樹脂多孔質砥石10を得た。
比較例1として、従来からのプレス成形方法によって、砥粒、粉末フェノール樹脂(樹脂ボンド)のみで砥石を製造しようとしたが、気孔率50%が限界であり、それを越えると150℃での熱処理時に収縮率が大きくなってしまい、結局、気孔率が50%以下となり、また、形状の維持もできなかった。
比較例2として、上記実施例のフェノール樹脂多孔質砥石10と同様の砥粒を使用し、且つ、フィラーを使用することにより比較的気孔率を高くした砥石を製造した。なお、フィラー材には研削の邪魔をしにくいとされる合成マイカを使用した。
前述の実施例のフェノール樹脂多孔質砥石10と比較例2の砥石との研削試験結果を比較した。結果を以下に示す。
上述のように、本実施例によれば、硬化工程(工程3)では、流し込み工程(工程2)において所定の型内に流し込まれた流動性混合物中の水に溶解しているフェノール樹脂が三次元的に架橋することにより硬化成形体となって水から相分離するとともに、その硬化させられたフェノール樹脂が結合剤14として砥粒12を相互に結合するが、上記流動性混合物は、混合攪拌工程(工程1)において砥粒12およびアルカリ性フェノール樹脂水溶液が均一に混合させられているので、硬化成形体には、硬化させられたフェノール樹脂結合剤14中に砥粒12および水が均一に分散している。そして、乾燥工程(工程4)において、その硬化成形体から水分が除去されて、その部分が微小連通気孔16となるので、このようにして製造されたフェノール樹脂多孔質砥石10は、フェノール樹脂結合剤14が三次元網目構造を有することにより、砥粒12よりも小径の微小連通気孔16が無数に構成された構造を有する。
すなわち、本実施例のフェノール樹脂多孔質砥石10は、砥粒12を相互に結合させるフェノール樹脂結合剤14が三次元網目構造を有することから、その気孔率が高く、加えて、砥石10の研削面において砥粒12の突出しが得られ易いので、高い研削性が得られる。さらに、砥粒12がその砥粒12よりも小径の微小連通気孔16を無数に構成する三次元網目構造のフェノール樹脂結合剤14により砥石10中に保持されていることから、砥粒12は比較的弱い力で脱落するので、アルミハードディスク板の表面を傷つけにくい。
また、本実施例によれば、混合攪拌工程(工程1)において、砥粒12、アルカリ性フェノール樹脂水溶液、ラクトン系エステル硬化剤、およびアニオン界面活性剤が混合された流動性混合物が攪拌されることによって、砥粒12、アルカリ性フェノール樹脂水溶液、ラクトン系エステル硬化剤およびアニオン界面活性剤が均一に混合されるとともに、流動性混合物の内部に多数の気泡が巻き込まれ、流動性混合物に含まれるアニオン界面活性剤の起泡作用および整泡作用によって、均一な気泡が発生し且つその状態が長時間に亘って維持されるため、流し込み工程(工程2)において型内に流し込まれ、更に硬化工程(工程3)において硬化させられる過程においても、その創成された気泡の殆どが維持される。そのため、硬化工程(工程3)においてフェノール樹脂が硬化させられ、更に、乾燥工程(工程4)において硬化成形体中の水分が除去されて得られたフェノール樹脂多孔質砥石10には、微小連通気孔16に加えて、その微小連通気孔16よりも十分に大径の多数の独立気孔18を有する。
すなわち、本実施例のフェノール樹脂多孔質砥石10は、微小連通気孔16よりも十分に大径の独立気孔18を多数有することから一層高い気孔率を有し、研削加工中に発生した切り粉がその独立気孔18内にも捕捉されることから、一層高い研削性が得られる。
また、本実施例によれば、フェノール樹脂水溶液はアルカリ性水溶液であり、硬化剤はラクトン系エステル硬化剤であることから、そのラクトン系エステル硬化剤により、流動性混合物中のフェノール樹脂が常温で迅速に硬化させられる利点がある。
また、本実施例では界面活性剤としてアニオン性界面活性剤を用いていることから、そのアニオン性界面活性剤の高い起泡作用により一層気孔率の高い砥石が得られる利点がある。
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は上記実施例とは別の態様においても実施できる。
たとえば、前述の実施例では硬化時間を12時間としたが、硬化時間は常温で20分程度でもよい。前記流動性混合物が一定の形態を維持する程度の硬さまで硬化させるには、その程度でも十分なのである。また、短時間でより確実に硬化させるために前記流動性混合物を加温してもよい。たとえば、60℃で1時間加温することにより硬化させてもよい。
以上に説明したものはあくまでも本発明の一実施例であり、本発明はその主旨を逸脱しない範囲において種々変更が加えられ得るものである。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の本発明のフェノール樹脂多孔質砥石の表面を拡大して示す図である。
図2は、図1のフェノール樹脂多孔質砥石の製造工程を示す工程図である。
本発明は、樹脂結合剤としてフェノール樹脂を用いた多孔質レジノイド砥石すなわちフェノール樹脂多孔質砥石およびその製造方法に関し、特に、組織中の気孔率を増加させたフェノール樹脂多孔質砥石に関するものである。
技術背景
従来、砥粒を相互に結合させる結合剤としてフェノール樹脂を用いた砥石は、粉末状のフェノール樹脂を砥粒にコーティングし、それを乾粉状態で所定の型に装填しプレス成形する方法により製造されている。
一方、より研削時の切れ味すなわち研削性を向上させるため、砥石の多孔質化が求められている。研削加工中に発生した切り粉は砥石の気孔内に捕捉されることから、気孔の割合が大きくされていると接触面積が大きい場合や難削材の研削加工のように目詰まりが生じ易い研削加工においてもその目詰まりが好適に防止されるため、研削性が向上するのである。しかしながら、上記のようにプレス成形により製造できるフェノール樹脂多孔質砥石は気孔率50%程度が限界であり、それ以上の気孔率を有するフェノール樹脂多孔質砥石を製造しようとすると、熟成変形が大きく形状を維持できないなどの問題があった。
また、気孔率を高くする目的で、研削の邪魔をしにくい軟質のフィラー(たとえば合成マイカなど)を砥石中に混入することがある。そのようにフィラーを混入した砥石では、フィラーが研削ポイントにおいて後退性を持つことによりその部分が気孔の機能を果たすため、高い研削性が得られるが、軟質のフィラーであっても若干の抵抗があり、そのフィラーがワーク表面に傷をつけてしまうことがあるという問題があった。
発明の開示
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的とするところは、フィラーを混入しないで高い気孔率とすることで、研削性能の高いフェノール樹脂多孔質砥石を提供すること、およびその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するための第1発明の要旨とするところは、砥粒がフェノール樹脂結合剤によって相互に結合させられたフェノール樹脂多孔質砥石であって、前記フェノール樹脂結合剤が三次元網目構造を有することにより、前記砥粒よりも小径の微小連通気孔が無数に構成されていることを特徴とする。
このように構成されたフェノール樹脂多孔質砥石は、砥粒を相互に結合させるフェノール樹脂結合剤が三次元網目構造を有することから、その気孔率が高く、加えて、砥石の研削面において砥粒の突出しが得られ易いので、高い研削性が得られる。さらに、砥粒がその砥粒よりも小径の微小連通気孔を無数に構成する三次元網目構造のフェノール樹脂結合剤により砥石中に保持されていることから、砥粒は比較的弱い力で脱落するので、被研削材の表面を傷つけにくい。
ここで、好適には、前記フェノール樹脂多孔質砥石は、前記微小連通気孔よりも十分に大径の独立気孔を多数有するものである。このように構成されたフェノール樹脂多孔質砥石は、微小連通気孔よりも十分に大径の独立気孔を多数有することから一層高い気孔率を有し、研削加工中に発生した切り粉がその独立気孔内にも捕捉されることから、一層高い研削性が得られる。
また、前記目的を達成するための第2発明は、前記第1発明のフェノール樹脂多孔質砥石を製造する方法の発明であり、その要旨とするところは、砥粒がフェノール樹脂結合剤によって相互に結合されてなる組織中に多数の気孔を有するフェノール樹脂多孔質砥石の製造方法であって、(a−1)砥粒、フェノール樹脂水溶液、および硬化剤を均一に混合・攪拌して流動性混合物とする混合攪拌工程と、(b)その流動性混合物を所定の型内に流し込む流し込み工程と、(c)その所定の型内で前記流動性混合物を硬化させる硬化工程と、(d)その硬化工程で硬化させて得られた硬化成形体を乾燥させて、その硬化成形体から水分を除去する乾燥工程とを、含むことにある。
このようにすれば、硬化工程では、流し込み工程において所定の型内に流し込まれた流動性混合物中の水に溶解しているフェノール樹脂が三次元的に架橋することにより硬化成形体となって水から相分離するとともに、その硬化させられたフェノール樹脂が結合剤として砥粒を相互に結合するが、上記流動性混合物は、混合攪拌工程において砥粒およびフェノール樹脂水溶液が均一に混合させられているので、硬化成形体には、硬化させられたフェノール樹脂結合剤中に砥粒および水が均一に分散している。そして、乾燥工程において、その硬化成形体から水分が除去されて、その部分が微小連通気孔となるので、このようにして製造されたフェノール樹脂多孔質砥石は、フェノール樹脂結合剤が三次元網目構造を有することにより、砥粒よりも小径の微小連通気孔が無数に構成された構造を有する。
ここで、好適には、前記フェノール樹脂多孔質砥石の製造方法は、前記第1発明において前記微小連通気孔よりも十分に大径の独立気孔を多数有するフェノール樹脂多孔質砥石を製造する方法の発明であり、その要旨とするところは、砥粒がフェノール樹脂結合剤によって相互に結合されてなる組織中に多数の気孔を有するフェノール樹脂多孔質砥石の製造方法であって、(a−2)砥粒、フェノール樹脂水溶液、硬化剤、および界面活性剤を混合した流動性混合物を攪拌することにより、その砥粒、そのフェノール樹脂水溶液、その硬化剤およびその界面活性剤を均一に混合するとともに、その流動性混合物中に多数の気泡を創成させる混合攪拌工程と、(b)その流動性混合物を所定の型内に流し込む流し込み工程と、(c)その所定の型内で前記流動性混合物に硬化剤を混合することによりその流動性混合物を硬化させる硬化工程と、(d)その硬化工程で硬化させて得られた硬化成形体を乾燥させて、その硬化成形体から水分を除去する乾燥工程とを、含むことにある。このようにすれば、混合攪拌工程において、砥粒、フェノール樹脂水溶液、硬化剤、および界面活性剤が混合された流動性混合物が攪拌されることによって、砥粒、フェノール樹脂水溶液、硬化剤、および界面活性剤が均一に混合されるとともに、流動性混合物の内部に多数の気泡が巻き込まれ、流動性混合物に含まれる界面活性剤の起泡作用および整泡作用によって、均一な気泡が発生し且つその状態が長時間に亘って維持されるため、流し込み工程において型内に流し込まれ、更に硬化工程において硬化させられる過程においても、その創成された気泡の殆どが維持される。そのため、硬化工程においてフェノール樹脂が硬化させられ、更に、乾燥工程において硬化成形体中の水分が除去されて得られたフェノール樹脂多孔質砥石には、前記微小連通気孔に加えて、その微小連通気孔よりも十分に大径の多数の独立気孔を有する。
また、好適には、前記フェノール樹脂水溶液はアルカリ性水溶液であり、且つ、前記硬化剤は有機エステル硬化剤である。このようにすれば、有機エステル硬化剤により、流動性混合物中のフェノール樹脂が常温程度の比較的低い温度で迅速に硬化させられる利点がある。
また、好適には、前記界面活性剤はアニオン性或いは非イオン性界面活性剤である。このようにアニオン性或いは非イオン性界面活性剤を用いると、それらアニオン性或いは非イオン性界面活性剤は起泡効果が高いので、一層気孔率の高い砥石が得られる利点がある。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明のフェノール樹脂多孔質砥石10の表面を拡大して示す図である。図1に示すように、砥粒12が、網目構造のフェノール樹脂結合剤14により相互に結合させられている。なお、フェノール樹脂多孔質砥石10の内部においてもフェノール樹脂結合剤14は網目構造であるので、三次元網目構造となっている。そのフェノール樹脂結合剤14の網と網との間に形成される空間が微小連通気孔16であり、フェノール樹脂結合剤14の網目構造が三次元的に広がっていることから、この微小連通気孔16も三次元的に相互に連通させられている。また、独立気孔18は、上記微小連通気孔16よりも十分に大きく、且つ相互に互いに独立して組織中に略均一に分散して存在している。
上記フェノール樹脂多孔質砥石10は、たとえば、図2に示す工程に従って製造される。工程1で用いるフェノール樹脂水溶液は、水酸化カリウムや水酸化ナトリウム等のアルカリ性触媒の存在下で、フェノール類とアルデヒド類とを常圧において水中で縮合させて得られるものであり、必要な場合には更に上記アルカリ性触媒が追加される。このようにして得られたフェノール樹脂水溶液中に含まれるフェノール樹脂は水溶性であり、その重量平均分子量Mwは500〜8000である。
上記フェノール類には、フェノールの他、たとえば、クレゾール、3,5−キシレノール、ノニルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、イソプロペニルフェノール、フェニルフェノール等のアルキルフェノールや、レゾルシノール、カテコール、ハイドロキノン、フロログリシン等の多価フェノールでもよい。また、カシューナッツ殻液、リグニン、タンニンのようなフェノール系化合物の混合物よりなるものも、フェノール類として使用することができる。これら各種のフェノール類を単独で、または2種以上を混合して使用することもできる。 上記アルデヒド類としては、たとえば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール、グリオキザール等が用いられ、それらを単独で、または2種以上混合して使用することもできる。このアルデヒド類は、フェノール類に対して1.0〜5倍モルの範囲であれば良く、特に1.0〜3.0倍の範囲が良く、さらに、1.5〜2.5倍モルがより好ましい。アルデヒド類がフェノール類に対して1.0倍モル未満では架橋後に十分な強度を発現せず、逆に5.0倍モルを越えると未反応アルデヒドによる作業環境の悪化などが懸念されるからである。
上記アルカリ性触媒としては、たとえば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が単独で、または2種以上混合して使用される。このアルカリ性触媒はフェノール類に対して0.01〜2倍モルの範囲が良く、特に0.02〜1.2倍の範囲が良く、さらに、0.5〜1.0倍モルの範囲が好ましい。アルカリ性触媒がフェノール類に対して0.01倍モル未満では樹脂の製造に多大な時間がかかるため不十分であり、逆に2.0倍モルを越えると硬化剤が大量に必要となり、また、作業環境上好ましくないからである。
上記フェノール樹脂水溶液は、フェノール樹脂成分が30〜75質量%に調製される。なお、このフェノール樹脂水溶液には、その他の添加剤として、砥粒の接着性向上のために、従来より公知であるシランカップリング剤を添加してもよい。このシランカップリング剤としては、たとえば、エポキシ系シランやアミノシランなどが好ましい。また、このシランカップリング剤は、工程1の混合攪拌工程において添加してもよい。
工程1で用いる硬化剤には、有機エステル硬化剤、酸硬化剤等を用いることができる。有機エステル硬化剤としては、従来よりアルカリ性フェノール樹脂水溶液の硬化剤として用いられているものを使用することができ、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸エチル、乳酸エチル、セバシン酸メチル、エチレングリコールジアセテート、ジアセチン、トリアセチン等の炭素数1〜10の一価もしくは多価アルコールと炭素数1〜10の有機カルボン酸とから誘導されるカルボン酸エステル類、又はγ−ブチロラクトン、γ−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン類、又はエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、4−エチルジオキソロン、4−ブチルジオキソロン、4,4−ジメチルジオキソロン、4,5−ジメチルジオキソロン等の環状アルキレンカーボネート類等が挙げられる。中でも、臭気や引火性の問題を解決する目的で γ−ブチロラクトン、γ−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン類を特に好ましく使用することができる。また、酸硬化剤としては、たとえば、硫酸、リン酸などの無機酸、フェノールスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸などの有機酸、および、これらの混合物が挙げられる。
工程1の混合攪拌工程では、上記フェノール樹脂水溶液、砥粒および硬化剤を攪拌混合機中に投入し、必要な場合には界面活性剤もその攪拌混合機中に投入し、所定時間攪拌・混合する。界面活性剤も混合する場合には、フェノール樹脂水溶液に対して、砥粒、硬化剤および界面活性剤を順次或いは同時に混合するが、それらを順次混合する場合は、その混合順序は何れが先でもよい。ただし、硬化剤は、反応を制御する上で混合攪拌工程の最後に添加し、その後、所定時間攪拌することが望ましい。また、この混合攪拌工程により、フェノール樹脂水溶液、砥粒、硬化剤および必要な場合には界面活性剤が混合された流動性混合物が得られればよいので、フェノール樹脂水溶液を予め調製せず、この混合攪拌工程において、水溶性フェノール樹脂、水、アルカリ金属水酸化物、砥粒、硬化剤、および必要な場合は界面活性剤を任意の順番で混合することにより流動性混合物を調製してもよい。さらに、ヘキサミン等の樹脂強度向上剤、アジピン酸ジヒドラジド(AADH)等の安定化剤、アエロジル等の粘度調節剤等を適宜混合してもよい。
上記攪拌は、流動性混合物中に界面活性剤が混合されていない場合には、フェノール樹脂水溶液中に砥粒12を均一に分散させるのに十分な攪拌強度および時間であればよいが、界面活性剤は流動性混合物内に均一な気泡を一様に発生させるために混合されているので、流動性混合物中に界面活性剤が混合されている場合には、砥粒12が均一に分散し、且つ所望量の気泡を発生させるのに十分な攪拌強度および時間に設定される。なお、ここで発生させられる気泡の平均気孔径は50μm以上となる。
上記界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤(ノニオン界面活性剤)等が使用できるが、好ましくはアニオン或いは非イオン界面活性剤を用いる。アニオン界面活性剤としては、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩、高級アルコールリン酸モノエステルジナトリウム塩、アルキルリン酸ナトリウム塩、ジアルキルジチオリン酸亜鉛等のリン酸エステル塩が使用できる。
カチオン界面活性剤としては、ラウリルアミンクロライド、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等の高級アルキルアミン塩、トリエタノールアミンモノステアレートの蛾酸塩、ステアラミドエチルジエチルアミンの酢酸塩、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリンなどの高級脂肪酸のアミン塩、セチルピリジニウムクロライドなどの高級アルキルハライドのアミン塩、ステアラミドメチルピリジニウムクロライドなどの高級脂肪族アミドのアミン塩といったアンモニウム塩や、これらに類するスルホニウム塩又はホスホニウム塩等が使用できる。
両性界面活性剤としては、N−アルキルトリグリシン、ジメチルアルキルベタイン、N−アルキルオキシメチル−N,N−ジエチルベタイン、アルキルベタイン、N−アルキル−β−アミノプロピオン酸塩、アルキルジ(アミノエチル)グリシン塩酸塩、N−アルキルタウリン塩、アミノエチルイミダゾリン有機酸塩等が使用できる。
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル、ポリオキシエチレン化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアビエチルアルコール、ポリオキシエチレンアルキルチオエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコオール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコオールエチレンジアミン、ポリオキシエチレンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンジ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリ脂肪酸エステル等のポリオキシエチレン型界面活性剤、エチレングリコールモノ脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノ脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステル、ペンタエリスリット脂肪酸エステル、ソルビタンモノ脂肪酸エステル、ソルビタンセスキ脂肪酸エステル、ソルビタントリ脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸モノイソプロパノールアミド等の多価アルコール型及びアルキロールアミド型界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルアミン、N−アルキルプロピレンジアミン、N−アルキルポリエチレンポリアミン、N−アルキルポリエチレンポリアミンジメチル硫酸塩、アルキルビグアニド、長鎖アミンオキシド等のアミン型界面活性剤が使用できる。
続く工程2の流し込み工程においては、前記フェノール樹脂多孔質砥石10の形状に対応する内面形状を備えた型内に、前記工程1で十分に混合・攪拌された流動性混合物を流し込む。
続く工程3の硬化工程においては、型内に流し込んだ流動性混合物を所定時間放置することにより、或いは、型内に流し込んだ流動性混合物を所定の温度に加熱することにより、流動性混合物中のフェノール樹脂を硬化すなわち架橋させる。
流動性混合物中のフェノール樹脂が硬化させられると、流動性混合物は上記型の内形を有する硬化成形体となる。このとき、フェノール樹脂は三次元網目形状に硬化し、この硬化したフェノール樹脂が結合剤14として働き、砥粒12を相互に結合する。このようにフェノール樹脂が三次元網目形状に架橋していくメカニズムは必ずしも明らかではないが、以下のように考察できる。なお、本発明はこのメカニズムに拘束されるものではない。
すなわち、硬化剤の添加等によりフェノール樹脂が硬化していく過程において、水に溶けている水溶性フェノール樹脂は、まず、水と相分離しない状態で流動性が消失する(ゲル化)。なお、この状態では外観上は透明である。さらに反応が進行すると、分子鎖の凝集力が働き、樹脂相(固相)と水相(溶媒相)に分離するため、三次元網目形状となると考えられる。なお、この状態では外観が不透明になる。また、この三次元網目形状の網目(この部分は水分が除去されることにより微小連通気孔16となる)の大きさは、水溶性フェノール樹脂と水との比を変えることにより変化し、水溶性フェノール樹脂に対して水が多いほど網目の大きさが大きくなる。このようにして水溶性フェノール樹脂と水との比を変えることにより、微小連通気孔16の大きさを5μm以下の範囲で変化させることができるが、微小連通気孔16の大きさは砥粒12よりも小径である必要がある。砥粒12よりも微小連通気孔16が大径の場合にはフェノール樹脂結合剤14は砥粒12を支持することができないからである。また、界面活性剤が配合されている場合は、その界面活性剤の働きにより、微小連通気孔の気孔径が均一化されると考えられる。
また、前記流動性混合物中に界面活性剤が混合されている場合には、混合攪拌工程において起泡させられた流動性混合物は、界面活性剤を含んでいることから、流し込みおよび硬化の過程においても気泡が消失せず、攪拌終了時の発泡状態を保っている。そのため、硬化終了時において、その硬化成形体中には、図1に示す、気泡に由来する互いに独立した多数の独立気孔18が形成されるので、多孔質成形体が得られる。これら多数の独立気孔18は、流動性混合物およびそれが硬化させられた硬化成形体に何ら圧力が加えられていないことから、上記の混合攪拌工程において発生させられた気泡そのままの形状に形成されている。なお、これら独立気孔18のないフェノール樹脂多孔質砥石を製造するため、前記流動性混合物中に界面活性剤を混合しない場合でも、攪拌の機械的作用によりに若干の気泡が混入するが、それら若干の独立気孔18は研削性能に悪影響を与えない限りあえて除去する必要はない。
続く工程4の乾燥工程では、上記硬化成形体を乾燥させ、その硬化成形体中の水分を除去する。硬化成形体から水分が除去されると、三次元網目構造間を満たしていた水が空気に置換されて無数の微小連通気孔16が形成され、この微小連通気孔16によっても多孔質化される。上記乾燥工程によりフェノール樹脂多孔質砥石10が製造されるが、強度を向上させるため、熱処理工程を設け、そのフェノール樹脂多孔質砥石10をさらに加熱処理してもよい。
次に、フェノール樹脂多孔質砥石10の製造方法の一実施例を説明する。なお、フェノール樹脂多孔質砥石10の寸法は、φ300×20×φ127とした。
まず、工程1では、アルカリ性フェノール樹脂水溶液(旭有機材工業株式会社製HP8300L(固形分48質量%、平均分子量2000))を40質量%、アニオン界面活性剤を5質量%、砥粒として炭化ケイ素#3000を45質量%、ラクトン系エステル硬化剤を10質量%使用し、それらを混合器に以下の順で順次投入して混合・攪拌した。混合器には、特殊機械化工業株式会社製 TKホモミキサーを使用し、攪拌羽根には、同社のエッジタービンを使用し、攪拌の回転速度は500〜1500r.p.m.とした。投入順序は、まず前記アルカリ性フェノール樹脂水溶液と界面活性剤との混合物を5分間攪拌して気泡を発生させ、続いて、ヘキサミンを所定量添加して2分間混合攪拌し、続いて安定化剤(AADH)を所定量添加して1分間混合攪拌し、続いてアエロジルを所定量添加して1分間混合攪拌し、続いて、砥粒を投入して4分間混合攪拌し、最後に上記ラクトン系エステル硬化剤を所定量投入してさらに1.5分間混合攪拌した。これにより、気泡が均一に分散した流動性混合物を得た。
続く工程2では、工程1で得た流動性混合物を、φ300×20×φ127のフェノール樹脂多孔質砥石10を得るための所定の形状のポリプロピレン製の容器に流し込み、続く工程3では、その容器内に流し込んだ流動性混合物を常温にて12時間放置して硬化成形体を得た。
続く工程4の乾燥工程では、上記工程3で得た硬化成形体を60℃で48時間、次いで、6時間後に150℃となるように60℃から連続的に昇温し、150℃を1〜2時間保持して気孔率73%のフェノール樹脂多孔質砥石10を得た。
比較例1として、従来からのプレス成形方法によって、砥粒、粉末フェノール樹脂(樹脂ボンド)のみで砥石を製造しようとしたが、気孔率50%が限界であり、それを越えると150℃での熱処理時に収縮率が大きくなってしまい、結局、気孔率が50%以下となり、また、形状の維持もできなかった。
比較例2として、上記実施例のフェノール樹脂多孔質砥石10と同様の砥粒を使用し、且つ、フィラーを使用することにより比較的気孔率を高くした砥石を製造した。なお、フィラー材には研削の邪魔をしにくいとされる合成マイカを使用した。
前述の実施例のフェノール樹脂多孔質砥石10と比較例2の砥石との研削試験結果を比較した。結果を以下に示す。
上述のように、本実施例によれば、硬化工程(工程3)では、流し込み工程(工程2)において所定の型内に流し込まれた流動性混合物中の水に溶解しているフェノール樹脂が三次元的に架橋することにより硬化成形体となって水から相分離するとともに、その硬化させられたフェノール樹脂が結合剤14として砥粒12を相互に結合するが、上記流動性混合物は、混合攪拌工程(工程1)において砥粒12およびアルカリ性フェノール樹脂水溶液が均一に混合させられているので、硬化成形体には、硬化させられたフェノール樹脂結合剤14中に砥粒12および水が均一に分散している。そして、乾燥工程(工程4)において、その硬化成形体から水分が除去されて、その部分が微小連通気孔16となるので、このようにして製造されたフェノール樹脂多孔質砥石10は、フェノール樹脂結合剤14が三次元網目構造を有することにより、砥粒12よりも小径の微小連通気孔16が無数に構成された構造を有する。
すなわち、本実施例のフェノール樹脂多孔質砥石10は、砥粒12を相互に結合させるフェノール樹脂結合剤14が三次元網目構造を有することから、その気孔率が高く、加えて、砥石10の研削面において砥粒12の突出しが得られ易いので、高い研削性が得られる。さらに、砥粒12がその砥粒12よりも小径の微小連通気孔16を無数に構成する三次元網目構造のフェノール樹脂結合剤14により砥石10中に保持されていることから、砥粒12は比較的弱い力で脱落するので、アルミハードディスク板の表面を傷つけにくい。
また、本実施例によれば、混合攪拌工程(工程1)において、砥粒12、アルカリ性フェノール樹脂水溶液、ラクトン系エステル硬化剤、およびアニオン界面活性剤が混合された流動性混合物が攪拌されることによって、砥粒12、アルカリ性フェノール樹脂水溶液、ラクトン系エステル硬化剤およびアニオン界面活性剤が均一に混合されるとともに、流動性混合物の内部に多数の気泡が巻き込まれ、流動性混合物に含まれるアニオン界面活性剤の起泡作用および整泡作用によって、均一な気泡が発生し且つその状態が長時間に亘って維持されるため、流し込み工程(工程2)において型内に流し込まれ、更に硬化工程(工程3)において硬化させられる過程においても、その創成された気泡の殆どが維持される。そのため、硬化工程(工程3)においてフェノール樹脂が硬化させられ、更に、乾燥工程(工程4)において硬化成形体中の水分が除去されて得られたフェノール樹脂多孔質砥石10には、微小連通気孔16に加えて、その微小連通気孔16よりも十分に大径の多数の独立気孔18を有する。
すなわち、本実施例のフェノール樹脂多孔質砥石10は、微小連通気孔16よりも十分に大径の独立気孔18を多数有することから一層高い気孔率を有し、研削加工中に発生した切り粉がその独立気孔18内にも捕捉されることから、一層高い研削性が得られる。
また、本実施例によれば、フェノール樹脂水溶液はアルカリ性水溶液であり、硬化剤はラクトン系エステル硬化剤であることから、そのラクトン系エステル硬化剤により、流動性混合物中のフェノール樹脂が常温で迅速に硬化させられる利点がある。
また、本実施例では界面活性剤としてアニオン性界面活性剤を用いていることから、そのアニオン性界面活性剤の高い起泡作用により一層気孔率の高い砥石が得られる利点がある。
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は上記実施例とは別の態様においても実施できる。
たとえば、前述の実施例では硬化時間を12時間としたが、硬化時間は常温で20分程度でもよい。前記流動性混合物が一定の形態を維持する程度の硬さまで硬化させるには、その程度でも十分なのである。また、短時間でより確実に硬化させるために前記流動性混合物を加温してもよい。たとえば、60℃で1時間加温することにより硬化させてもよい。
以上に説明したものはあくまでも本発明の一実施例であり、本発明はその主旨を逸脱しない範囲において種々変更が加えられ得るものである。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の本発明のフェノール樹脂多孔質砥石の表面を拡大して示す図である。
図2は、図1のフェノール樹脂多孔質砥石の製造工程を示す工程図である。
Claims (6)
- 砥粒がフェノール樹脂結合剤によって相互に結合させられたフェノール樹脂多孔質砥石であって、
前記フェノール樹脂結合剤が三次元網目構造を有することにより、前記砥粒よりも小径の微小連通気孔が無数に構成されていることを特徴とするフェノール樹脂多孔質砥石。 - 前記微小連通気孔よりも十分に大径の独立気孔を多数有することを特徴とする請求項1記載のフェノール樹脂多孔質砥石。
- 砥粒がフェノール樹脂結合剤によって相互に結合されてなる組織中に多数の気孔を有するフェノール樹脂多孔質砥石の製造方法であって、
砥粒、フェノール樹脂水溶液及び硬化剤を均一に混合・攪拌して流動性混合物とする混合攪拌工程と、
該流動性混合物を所定の型内に流し込む流し込み工程と、
該所定の型内で前記流動性混合物を硬化させる硬化工程と、
該硬化工程で硬化させて得られた硬化成形体を乾燥させて、該硬化成形体から水分を除去する乾燥工程と
を、含むことを特徴とするフェノール樹脂多孔質砥石の製造方法。 - 砥粒がフェノール樹脂結合剤によって相互に結合されてなる組織中に多数の気孔を有するフェノール樹脂多孔質砥石の製造方法であって、
砥粒、フェノール樹脂水溶液、硬化剤、および界面活性剤を混合した流動性混合物を攪拌することにより、該砥粒、該フェノール樹脂水溶液、該硬化剤および該界面活性剤を均一に混合するとともに、該流動性混合物中に多数の気泡を創成させる混合攪拌工程と、
該流動性混合物を所定の型内に流し込む流し込み工程と、
該所定の型内で前記流動性混合物を硬化させる硬化工程と、
該硬化工程で硬化させて得られた硬化成形体を乾燥させて、該硬化成形体から水分を除去する乾燥工程と
を、含むことを特徴とするフェノール樹脂多孔質砥石の製造方法。 - 前記フェノール樹脂水溶液がアルカリ性水溶液であり、且つ、前記硬化剤が有機エステル硬化剤である請求項3または4記載のフェノール樹脂多孔質砥石の製造方法。
- 前記界面活性剤がアニオン性或いは非イオン性界面活性剤である請求項4記載のフェノール樹脂多孔質砥石の製造方法。
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