JPS649028B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は、血液の人工透析において、ダイアラ
イザの限外濾過能を測定中であつても限外濾過圧
のコントロールが正確に行え、また、前記ダイア
ライザの血液側圧損等の影響が現われず、限外濾
過圧のコントロールが正確に行える人工透析装置
に関する。

＜従来の技術＞ 第５図は、例えば、特開昭56−84606号によつ
て示される従来の人工透析装置である。図中、１
はダイアライザ、２はダイアライザ１へ透析液を
供給し、ここからの透析液を排出する透析液回
路、３は人体４からの血液をダイアライザ１に供
給し、ここからの血液を人体４に還流する血液回
路、５はこの血液回路中に設けられた血液ポン
プ、６はダイアライザ１に対し下流側の透析液回
路２に設けられた限外濾過圧制御用の陰圧ポンプ
である。

７はダイアライザ１に対し上流側の血液回路３
に設けられた血液圧測定用の圧力計、８はダイア
ライザ１に対し上流側の透析液回路２に設けられ
た透析液圧測定用の圧力計、９は圧力計７，８か
ら、血液圧信号並びに透析液圧信号が与えられ、
血液側の圧力と透析液側の圧力との差（限外濾過
圧。TMPという）が設定値と一致するように、
制御信号を陰圧ポンフア６に与える制御回路であ
る。

１０は上流側の透析液回路２に設けられた流路
開閉用電磁弁、１１は陰圧ポンプ６からの透析液
を計量ライン１２側、または排出口１３に切換え
る流路切換用三方コツクである。計量ライン１２
はダイアライザ１の限外濾過能（UFRPという）
を測定するときに使用されるもので、空気室が外
気に開放された点滴筒型式のチヤンバー１４と、
ローラポンプ等を用いた計量ポンプ１５と、本図
では図示されていないがチヤンバー１４内の液面
を検出し、この液面が一定になるように計量ポン
プ１５に制御信号を与える液面センサとより構成
されている。

このような構成で、透析・限外濾過は、電磁弁
１０を開、三方コツク１１を排出口１３側に切換
えた状態で行われる。この間、陰圧ポンプ６は、
制御回路９からの信号によつて制御され、ダイア
ライザ１において、設定TMPに対応した限外濾
過が行われる。

ところで、ダイアライザ１の限外濾過能は、ダ
イアライザ毎に異なり、また、透析を続けると能
力は低下する。また、同一のダイアライザを使用
しても、患者が変ると異なる。この為、人工透析
装置では、ダイアライザ１の限外濾過能の測定を
定期的、或は必要に応じて行われる。

限外濾過能の測定は、電磁弁１０を閉、三方コ
ツク１１を計量ライン１２側に切換えた状態で行
われる。陰圧ポンプ６からの透析液は計量ライン
１２のチヤンバー１４に注入されるが、液面セン
サを含む制御系によつて計量ポンプ１５が駆動さ
れ、チヤンバー１４内の液面は一定に保たれる。
限外濾過量（UFという）は計量ポンプ１５の排
出量から求められ、計量ポンプ１５の動作時間か
ら限外濾過率（UFRという）を算出する。そし
て、このときの限外濾過圧（TMP）から、限外
濾過能UFRPを、 UFRP＝UFR／TMP ………(1) なる演算により求める。求められた限外濾過能を
基準に、予定の限外濾過量が得られる限外濾過圧
を設定する。

ところで、このような装置では限外濾過能測定
中であつても、制御回路９から陰圧ポンプ６に制
御信号が与えられ、限外濾過圧の制御が継続して
行われるようになつている。しかしながら、限外
濾過能測定中は、電磁弁１０を閉にして、透析液
が透析回路２に流れ込まない状態にある。この
為、陰圧ポンプ６を駆動すると、透析液回路２か
ら水を排除する量が少ない為、陰圧ポンプ６の運
転状態が不安定となり、限外濾過圧の正確なコン
トロールが行えなくなるという問題があつた。

更に、このような装置で限外濾過圧は圧力計
７，８からの血液圧P1と透析液圧P3との差とし
て求めているが、ダイアライザ１に中空糸型のも
の（この型式ものが最も一般的）を用いた場合、
血液は細い中空糸の中を通す必要があり、この部
分で圧損が生ずる。

この圧損は次式で示すようにオフセツト△Ｐと
して作用する為、 TMP＝P1−P3＋△Ｐ ………(2) 血液圧P1と透析液圧P3との差からだけでは、正
確なTMPが得られない。

そこで、これまではオフセツトの影響を除く
為、経験的に求めた固定値を前記血液圧P1と透
析液圧P3との差に加え、補償を行つていた。し
かしながら、オフセツト△Ｐは、患者毎に異なる
血液の粘性、血液の流量、透析液流量等によつて
変化する為、△Ｐを固定値として扱つたのでは、
正確なTMPを得ることが出来なかつた。

＜発明が解決しようとする問題点＞ 本発明が解決しようとする技術的課題は、前記
ダイアライザの限外濾過能を測定中であつても限
外濾過圧のコントロールが正確に行え、また、前
記ダイアライザの圧損等の影響が確実に除去出来
るようにすることにある。

＜問題点を解決するための手段＞ 本発明の構成は、ダイアライザの血液回路と患
者との間に血液流入ラインと血液流出ラインとを
接続し、前記血液流入ラインに血液ポンプを設
け、前記ダイアライザの透析液回路に透析液供給
ラインと透析液排出ラインとを接続し、前記透析
液排出ラインに陰圧ポンプを設け、前記透析液供
給ラインと、前記陰圧ポンプより上流側の前記透
析液排出ラインとの間にバイパスラインを接続
し、このバイパスラインより上流側の前記透析液
排出ラインに第１の電磁弁を設け、前記透析液供
給ラインと前記バイパスラインとに、透析液の流
れを前記ダイアライザ側と前記バイパスライン側
とに切換える回路切換手段を設け、前記血液ポン
プより下流側の前記血液流入ラインに第１の血液
圧測定用の圧力計を設け、前記血液流出ラインに
第２の血液圧測定用の圧力計を設け、前記透析液
回路に透析液圧測定用の圧力計を設け、前記第１
の電磁弁の上流側と下流側との間に、上、下部に
レベル・センサを持つ計量容器を接続し、この容
器の上部を前記第１の電磁弁の下流側に接続する
と共に第２の電磁弁を介し外気に連通し、下部を
前記第１の電磁弁の上流側に接続した計量器を設
け、透析時、前記第１の電磁弁を閉、前記第２の
電磁弁を閉、前記回路切換手段を前記ダイアライ
ザ側に透析液を流す向きに切換え、前記第１、第
２の血液圧測定用の圧力計からの検出信号Ｐ１，
Ｐ２、及び前記透析液回路中に設けられた透析液
圧測定用の圧力計からの検出信号Ｐ３に基づき限
外過圧TMPを、 TMP＝｛（P1＋P2）／２｝−P3＋△Ｐ なる演算により求め（但し、△Ｐ：オフセツト）、
この限外過圧TMPが後出の限外過能測定で
求めた目標限外過圧と一致するように前記陰圧
ポンプを制御し、限外過能測定時、前記第１の
電磁弁を開、前記第２の電磁弁を開にし、この計
量器を空にした後、前記第２の電磁弁を閉、前記
第１の電磁弁を閉、前記回路切換手段を前記バイ
パスラインを介して透析液が前記陰圧ポンプより
排出される向きに切換え、前記計量器が限外過
による液体で満たされる時間を前記レベル・セン
サで検出し、この時間Ｔ及び前記演算式で求めら
れる限外過圧TMPから限外過能UFRPを、 UFRP＝Ｖ／（TMP・Ｔ） なる演算により求め（但し、Ｖ：前記計量器の容
積）、この限外過能に基づき目標限外過圧を
設定するようにしたことにある。

＜作用＞ 前記の技術手段は次のように作用する。即ち、
限外濾過能測定中であつても、透接液が前記バイ
パス回路を介し前記陰圧ポンプに供給される為、
前記陰圧ポンプが空運転状態とならず、正確な圧
力コントロールが行える。また、限外濾過圧を求
める式(3)は、患者の血液の状態、血液流量、或は
透析液量に応じて補正される為、実際の限外濾過
圧に一致したTMPが求められ、限外濾過圧のコ
ントロールを正確に行うことが出来る。

＜実施例＞ 以下図面に従い本発明の実施例を説明する。第
１図は本発明の実施例装置を示す構成図である。
図中、第５図における要素と同じ要素には同一符
号を付し、これらについての説明は省略する。１
６は各種センサからの（入力カツコ内の番号は、
これらの入力を発生する要素の番号に対応してい
る。）に基づき、所定の演算処理を行い、演算出
力（カツコ内の番号は、これら出力が与えられる
要素の番号に対応している。）を各操作部に与え
る制御部である。

１７はダイアライザ１に対し上流側の透析液回
路２に設けられた定流量弁、１８はダイアライザ
１に対し下流側の血液回路３に設けられた血液圧
測定用の圧力計である。下流側透析液回路２に設
けられた一点鎖線部分Ａはダイアライザ１の限外
濾過能を測定する為の計量器で、このうち、１９
は透析液回路２中に設けられた電磁弁、２０は既
知容積の容器で、透析液回路２の迂回路２１中に
設けられている。この容器は更に絞り２２、電磁
弁２３とを有する分岐回路２４を介し大気に連通
している。２５，２６は超音波レベルセンサで、
容器２０内に注入される透析液のレベルを検出す
る。

２７は上流側透析液回路２と陰圧ポンプ６とを
結ぶバイパス回路で、途中に電磁弁２８が設けら
れている。

このような構成で、透析・限外濾過は、電磁弁
１０を開、電磁弁１９，２３，２８を閉の状態で
行われる。透析液は定流量弁１７により一定流量
にされ、上流側透析液回路２、ダイアライザ１、
計量器Ａ中の容器２０、迂回路２１を通つて陰圧
ポンプ６に流れている。この間、血液は血液ポン
プ５によつてダイアライザ１に連続的に与えられ
ている。

制御部１６では、圧力計７，１８からの血液圧
P1、P2、並びに圧力計８からの透析液圧Ｐ３の
基づき、(3)式に示す、 TMPm＝｛（P1＋P2）／２｝−P3＋△Ｐ なる演算を行い、動作中の限外濾過圧TMPmを
求め、この値が設定限外濾過圧と一致するように
陰圧ポンプ６を制御する。尚、上記式において、
ダイアライザ１の上、下流血液回路の血液圧P1、
P2の平均値（（P1＋P2）／２）を求めているの
は、この値の方がダイアライザ１内の血液圧によ
り近似しているからである。

次に、限外濾過能の測定の場合について第２図
を参照しながら説明を行う。第２図において、図
ａ、図ｂ、図ｃ、図ｄは夫々電磁弁１０，２８，
１９，２３の動作状態を表わす。時間t1までの透
析が行われている状態では、電磁弁１０が開、電
磁弁２８，１９，２３が閉の状態にある。時間t1
後、限外濾過能測定状態にあつては、最初、電磁
弁１０が閉、電磁弁２８が開となる。尚、電磁弁
１９，２３は未だ閉の状態にある。この状態で
は、透析液はバイパス回路２８を経て陰圧ポンプ
６へ直接与えられている。この為、陰圧ポンプ６
は空運転状態にはならない。

時間t2において、電磁弁１９，２３が共に開と
なり、分岐回路２４を介し空気が吸引され、容器
２０内に残留する液体が電磁弁１９を経て排出さ
れる。時間t3までに、容器２０内の残留液のパー
ジを終了し、電磁弁１９，２３を閉にする。これ
により、限外濾過後の透析液が容器２０内に導入
される。制御部１６は超音波レベルセンサ２６の
液位検出信号をトリガとして、透析液が容器２０
を満し、超音波レベルセンサ２５が液位を検出す
るまでの時間Ｔを計数し、この時間から限外濾過
率（UFR＝Ｖ／Ｔ、Ｖ：容器２０の容積）を算
出する。そして、そのときの限外濾過圧TMPと
から、前記ダイアライザの限外濾過能UFRPを、
(4)式に示す UFRP＝UFR／TMP＝Ｖ／（TMP・Ｔ） なる演算により求め、この限外濾過能に基づき予
定の除水量が得られるように目標限外濾過圧を設
定し、TMPがこの値になるように陰圧ポンプ６
を制御する。

次に、(3)式で示す演算式の補正方法について説
明を行う。オフセツト△Ｐがある場合、限外濾過
圧TMPと限外濾過率UFRとの関係は第３図に示
すような関係となる。この関係はオフセツト△Ｐ
の変化によつて変化する為、定期的、或は必要に
応じて補正する必要がある。本発明において、こ
のような補正は制御部１６からの操作指令信号並
びに、この制御部における演算処理によつて行わ
れる。

補正の方法として、例えば第４図に示すような
方法が考えられる。実際の治療のときと同じ状態
にして、治療のときの限外濾過圧TMPmより大
きな限外濾過圧TMPe1をダイアライザ１に加え、
前記限外濾過能の測定ときと同じ動作によつて、
このときの限外濾過率UFRe1を求める。更に、
治療のときの限外濾過圧TMPmより小さな限外
濾過圧TMPe2を加え、このときの限外濾過率
UFRe2を求め、これらＸ、Ｙ座標上の２点から
前記関係を特定する。そして、このようにして特
定された関係に基づき新たな目標限外濾過圧を定
め、これに従い、限外濾過圧の制御を行う。

このような補正演算を定期的、または必要に応
じて行うことにより、オフセツト△Ｐの変化が補
償された、正確な限外濾過圧のコントロールが行
えるようになる。

＜発明の効果＞ 本発明によれば、ダイアライザの限外濾過能の
測定中であつても前記陰圧ポンプに透析液が供給
されている為、この陰圧ポンプが空運転状態とな
らず、限外濾過圧のコントロールが正確に行え
る。また、前記ダイアライザの血液側圧損等の影
響が現われず、限外濾過圧のコントロールが正確
に行える。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例装置を示す構成図、第
２図乃至第４図は本発明実施例装置の動作説明
図、第５図は従来装置の構成図である。 １……ダイアライザ、２……透析液回路、３…
…血液回路、５……血液ポンプ、６……陰圧ポン
プ、７，８，１８……圧力計、１０，１９，２
３，２８……電磁弁、１６……制御部、１７……
定流量弁、Ａ……計量器。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ダイアライザの血液回路と患者との間に血液
   流入ラインと血液流出ラインとを接続し、前記血
   液流入ラインに血液ポンプを設け、前記ダイアラ
   イザの透析液回路に透析液供給ラインと透析液排
   出ラインとを接続し、前記透析液排出ラインに陰
   圧ポンプを設け、前記透析液供給ラインと、前記
   陰圧ポンプより上流側の前記透析液排出ラインと
   の間にバイパスラインを接続し、このバイパスラ
   インより上流側の前記透析液排出ラインに第１の
   電磁弁を設け、前記透析液供給ラインと前記バイ
   パスラインとに、透析液の流れを前記ダイアライ
   ザ側と前記バイパスライン側とに切換える回路切
   換手段を設け、前記血液ポンプより下流側の前記
   血液流入ラインに第１の血液圧測定用の圧力計を
   設け、前記血液流出ラインに第２の血液圧測定用
   の圧力計を設け、前記透析液回路に透析液圧測定
   用の圧力計を設け、前記第１の電磁弁の上流側と
   下流側との間に、上、下部にレベル・センサを持
   つ計量容器を接続し、この容器の上部を前記第１
   の電磁弁の下流側に接続すると共に第２の電磁弁
   を介し外気に連通し、下部を前記第１の電磁弁の
   上流側に接続した計量器を設け、透析時、前記第
   １の電磁弁を閉、前記第２の電磁弁を閉、前記回
   路切換手段を前記ダイアライザ側に透析液を流す
   向きに切換え、前記第１、第２の血液圧測定用の
   圧力計からの検出信号Ｐ１，Ｐ２、及び前記透析
   液回路中に設けられた透析液圧測定用の圧力計か
   らの検出信号Ｐ３に基づき限外過圧TMPを、
   TMP＝｛（P1＋P2）／２｝−P3＋△Ｐなる演算に
   より求め（但し、△Ｐ：オフセツト）、この限外
   過圧TMPが後出の限外過能測定で求めた目
   標限外過圧と一致するように前記陰圧ポンプを
   制御し、限外過能測定時、前記第１の電磁弁を
   開、前記第２の電磁弁を開にし、この計量器を空
   にした後、前記第２の電磁弁を閉、前記第１の電
   磁弁を閉、前記回路切換手段を前記バイパスライ
   ンを介して透析液が前記陰圧ポンプより排出され
   る向きに切換え、前記計量器が限外過による液
   体で満たされる時間を前記レベル・センサで検出
   し、この時間Ｔ及び前記演算式で求められる限外
   過圧TMPから限外過能UFRPを、 UFRP＝Ｖ／（TMP・Ｔ） なる演算により求め（但し、Ｖ：前記計量器の容
   積）、この限外過能に基づき目標限外過圧を
   設定するようにしたことを特徴とする人工透析装
   置。