JPS647277Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） 本考案は、自動車等の内燃エンジンに使用され
るウオータポンプに関するもので、より詳しくは
インペラが揚水作用を行うポンプ室を密封するシ
ール機構に関するものである。

（従来の技術） 自動車等の使用されるウオータポンプは、一般
に、ポンプボデイ内にベアリングを介して回転軸
を支承し、該回転軸にインペラを固設すると共
に、該インペラが揚水作用を行うポンプ室を密封
するためにメカニカルシールを設ける、という基
本構造を有している。この様な構造を備えるウオ
ータポンプの一例として、実開昭58−148361号公
報に記載されるものが知られている。すなわち、
第２図に示されるこのウオータポンプ４０はポン
プボデイ４１を有し、該ポンプボデイ４１内にベ
アリング４２を介して回転軸４３が支承され、該
回転軸４３の一端部にインペラ４４が固設され
る。該インペラ４４が揚水作用を行うポンプ室４
５を密封するために、インペラ４４とベアリング
４２との間にメカニカルシール４６が配設され
る。該メカニカルシール４６は、回転軸４３に付
設された保持部材４６ａにセラミツク製の回転側
摺動部材４６ｂが固定され、ポンプボデイ４１に
嵌装された保持部材４６ｃ上のパツキン４６ｄに
取付けたカーボン製の固定側摺動部材４６ｅを、
スプリング４６ｆの付勢力にて回転側摺動部材４
６ｂに圧接するものであり、両摺動部材４６ｂ，
４６ｅの摺接作動によりシール作用がなされる。

（考案が解決しようとする問題点） 上記した従来のウオータポンプのメカニカルシ
ールに於いては、回転側摺動部材４６ｂに固定側
摺動部材４６ｂを圧接するために、ポンプボデイ
４１に嵌装される保持部材４６ｃと、該保持部材
上に配設される弾性材から成るパツキン４６ｄ
と、該パツキンに支持されるスプリング４６ｆと
を必要とする構成であり、この様に構成部品点数
が多く且つ構造が複雑であるので、組付作業性の
低下及び製造コストの増大を招くという問題があ
つた。

従つて本考案は、上記した従来技術の抱える問
題に対処するために、メカニカルシールを構成す
る部品点数を減少させることを、その技術的課題
とする。

〔考案の構成〕

（問題点を解決するための手段） 上記技術的課題を解決するこめに講じた技術的
手段は、ベアリングの端部に軸方向に突出するス
リーブを設け、該スリーブの外周に金属ベローズ
または樹脂ベローズを圧入嵌合し、該ベローズの
嵌合部にシールを一体成形することによりポンプ
ボデイの内周と気密をなし、インペラに配設され
る回転側摺動部材と前記ベローズに配設される固
定側摺動部材との摺接作動によりポンプ室の水圧
を密封する、ことである。

（作用） インペラに配設される回転側摺動部材とベロー
ズに配設される固定側摺動部との摺接作用と、ベ
ローズのスリーブ外周への圧入嵌合部に一体成形
されるシールとにより、インペラが揚水作用を行
うポンプ室を密封するものである。この様にベロ
ーズは、前述の従来技術に於けるポンプボデイに
嵌装される保持部材と、該保持部材上に配設され
るパツキンと、該パツキンに支持されるスプリン
グとを一体的に構成するものであり、メカニカル
シールを構成する部品点数を減少させることがで
きる。

（実施例） 以下、本考案を具体化した一実施例について、
添付図面に基づき説明する。

第１図に示されるウオータポンプ１０に於い
て、ポンプボデイ１１内にベアリング１２を介し
て回転軸１３が支承され、該回転軸１３の図示右
方端に揚水作用を行うインペラ１４が固設され
る。ベアリング１２の外輪１５の図示右端に軸方
向に突出する段付スリーブ１６が設けられ、該ス
リーブ１６には径方向の連通孔１７が複数形成さ
れる。スリーブ１６の外周には金属ベローズ（又
は樹脂ベローズ）１８が圧入嵌合され、該ベロー
ズ１８の嵌合部にゴム等の弾性材から成るシール
１９が一体成形される。該シール１９の配設によ
り、ポンプボデイ１１の内周と気密をなすと共
に、ポンプボデイ１１内周とスリーブ１６外周と
の間に大気室２０が形成される。スリーブ１６内
部のシール室２１は大気室２０と前記連通孔１７
を介して連通し、更にポンプボデイ１１の上方部
に設けられる水蒸気抜孔２２と、下方部に設けら
れる水抜孔２３を介して外気と連通する。スリー
ブ１６に形成される前述の連通孔１７は、組付時
に孔２２，２３に概略的に対向するように６〜８
ケ所等分が望ましく、これにより組付の自由度が
大となる。

インペラ１４に付設される弾性材から成る保持
部材２４にカーボン製の回転側摺動部材２５が固
定され、一方ベローズ１８にはセラミツク製の固
定側摺動部材２６が配設され、両部材２５，２６
の摺接作動によりポンプ室２７つまりインペラ１
４の揚水作用室の水圧が密封される。尚、回転側
摺動部材をセラミツク製とし、固定側摺動部材を
カーボン製とすることも可能である。

さて、ベローズ１８のスリーブ１６への圧入部
１８ａ外径寸法Ｄを蛇腹部１８ｂ外径寸法ｄより
大とするように設定することにより、プーリーシ
ート２８のない状態でベアリング１２にベローズ
１８の圧入を可能とし、更にインペラ１４を予め
圧入したサブ・アツセンブリをポンプボデイ１１
に圧入することで、組付工数の低減が図られる。

インペラが揚水作用を行うポンプ室２７は、回
転側摺動部材２５と固定側摺動部材２６との摺接
作動によるシール作用と、ベローズ１８に一体成
形されるシール１９のポンプボデイ１１内周との
密接によるシール作用とにより、確実に密封され
る。しかしながら、両摺動部材２５，２６の摺接
によつて生じる摩擦熱によつてポンプ室２７内の
水が水蒸気となつてスリーブ１６内部に形成され
るシール室２１内に流入するが、連通孔１７を介
して大気室２０に流れ、更に水蒸気抜孔２２及び
水抜孔２３から外部に放出される。尚、回転軸上
に固定されるスリンガー２９と、該スリンガー２
９に摺接するようにベアリング外輪１５に固定さ
れるシール部材３０とにより、シール室２１に浸
入した水が存在したとしてもベアリング１２側へ
浸入するのが確実に阻止される。

〔考案の効果〕

本考案に従うと固定側摺動部材を保持するのに
ベローズを採用するものであり、該ベローズは、
第２図の従来装置に於けるポンプボデイに嵌装さ
れる保持部材４６ｃと、該保持部材上に配設され
るパツキン４６ｄと、該パツキンに支持されるス
プリング４６ｆとを一体的に構成したものであ
る。この様に、メカニカルシールの構成を簡素化
することにより、組付作業の面で有利となり、同
時にシール機構の作動耐久性と信頼性の向上を計
ることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に従つたウオータポンプの一実
施例を示す断面図、第２図は従来のウオータポン
プの一例を示す断面図である。 １０…ウオータポンプ、１１…ポンプボデイ、
１２…ベアリング、１３…回転軸、１４…インペ
ラ、１５…ベアリングの外輪、１６…スリーブ、
１８…ベローズ、１９…シール、２５…回転側摺
動部材、２６…固定側摺動部材、２７…ポンプ
室。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ポンプボデイ内にベアリングを介して回転軸を
   支承し、前記ポンプボデイ内のポンプ室で揚水作
   用を行うインペラを前記回転軸に固定したウオー
   タポンプに於いて、前記ベアリングの端部に軸方
   向突出のスリーブを設け、該スリーブの外周に金
   属ベローズまたは樹脂ベローズを圧入嵌合し、該
   ベローズの嵌合部にシールを一体成形することに
   より前記ポンプボデイの内周と気密をなし、前記
   インペラに配設される回転側摺動部材と前記ベロ
   ーズに配設される固定側摺動部材との摺接作動に
   より前記ポンプ室の水圧を密封する、内燃エンジ
   ン用ウオータポンプ。