JPS646447Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、開閉弁に連繋せしめたサーモスタツ
トを、通電により作動するヒーターの加熱により
起動せしめることで、開閉弁を作動さすようにし
た形態の電動弁についての改良に関する。

上述の形態の電動弁は、通電してからサーモス
タツトが起動して開閉弁を作動させるまでにある
程度の時間差が生ずるが、電磁弁と同様に電気の
オン・オフによつて作動させ得ることから広く用
いられている。

この形態の電動弁は、それを作動させておく間
は、通電しておくことになることから、サーモス
タツトがヒーターにより加熱され続けることにな
つて、特に、サーモスタツトにワツクスとダイヤ
フラムを組合わせた感応素子を用いた場合にあつ
ては、サーモスタツトの機能に損傷が生じ易い問
題がある。

このため、電動弁のサーモスタツトを加熱させ
るヒーターに、通電による昇温が一定の温度以下
に保持される正特性サーミスタを用いる試みがな
されている。しかし、この正特性サーミスタは、
それの電極となる放熱板をサーモスタツトに接触
させることから、サーモスタツトに、熱と一緒に
電気が流れるようになるので、この電動弁のヒー
ターに、正特性サーミスタを用いる手段には、手
を触れても安全なように、サーモスタツト部分を
絶縁性のカバーで囲うようにすることが要求され
ることになつて、電動弁の構造を面倒にし、か
つ、電動弁全体を大きくし、しかも、サーモスタ
ツトの放熱を悪くする問題が生じてきている。

本考案は、この問題を解消せしめるためになさ
れたものであつて、電動弁のサーモスタツトを加
熱するヒーターに、正特性サーミスタを用いなが
ら、電動弁の全体を大きくすることなく、かつ、
サーモスタツトの枚熱を良好にし、しかも、触手
に対して安全な電動弁を構成し得るようにする新
たな手段を提供することを目的とする。

しかして本考案は、上述の目的のために、種々
の試験を重ねて得られた結果に基づくものであ
る。即ち、電動弁にあつては、それの弁の開閉作
動が、通電により発熱するヒーターによつてサー
モスタツトが加熱されて起動することにより行な
われることから、ある程度の作動の遅れが許容さ
れることに着目し、サーモスタツトに対し正特性
サーミスタをそれの放熱板となる電極板を当接さ
せて組付ける際に、その電極板を弗素系合成樹脂
皮膜等の絶縁性の皮膜を介してサーモスタツトに
当接することで、この放熱板となる電極板とサー
モスタツトとの間において絶縁するようにしたと
ころ、この絶縁性の皮膜により生ずる正特性サー
ミスタからサーモスタツトに対する熱伝導の劣化
に伴う該サーモスタツトの起動の遅れが、殆んど
無視し得る程度のもので、電動弁としての機能に
影響を与えず実用に問題がないという結果を得
た。

そこで、本考案においては、上述の目的を達成
するための手段として、ボデイに、温度上昇によ
り起動するサーモスタツトを、前記ボデイ内に形
設してある弁口または弁座を開閉するよう設けら
れた弁に対し連繋せしめて組付け、そのサーモス
タツトの感温部に、正特性サーミスタの放熱板と
なる電極板を、弗素系合成樹脂皮膜等の絶縁性の
皮膜を介して接触せしめ、正特性サーミスタをそ
の電極板に当接せしめてボデイに組付けて電動弁
を構成する手段を提起するものである。

この本考案手段による電動弁は、ボデイに組付
けるサーモスタツトが、正特性サーミスタから絶
縁されているので、それが露出している状態に組
付けてよいことになつて、それを被覆するカバー
を不要にして、構造を簡略化しながら小型にで
き、かつ、サーモスタツトの放熱を良好にする。

次に実施の一例を図面に従い詳述する。

第１図において１は弁箱を形成しているボデイ
で、左右の一側に流入口１０と連通する接続筒１
１が一体に形設され、他側には吐出口１２と連通
する接続筒１３が一体に形設してあり、内部には
前記流入口１０及び吐出口１２と連通する弁室１
４が形設してある。弁室１４内には、前記流入口
１０と吐出口１２とを仕切るように隔壁１５が設
けられ、その隔壁１５には上下方向に透孔１６が
形成され、その透孔１６と対応する弁室１４の底
部に弁座１７が形成してある。

２は前記弁座１７に対し進退して弁室１４の流
入口１０と吐出口１２との連通を開閉するようボ
デイ１に組付けた弁で、シリンダ状に形成して前
述の透孔１６に摺動自在に嵌装せる弁主体２０
と、その弁主体２０に連結する弁棒２１とよりな
り、弁主体２０はそれの下縁が前述の弁座１７に
対向し、弁棒２１は弁室１４の底壁１４ａを貫通
してボデイ１の底面に設けてある筒状部１８内に
突出し、その筒状部１８内においてバネ２２によ
り前述弁主体２０の下縁２０ａが弁座１７に圧接
するように付勢せしめてある。

３は、前記弁２を作動さすよう組付けるサーモ
スタツトで、感温部３０に封入したワツクスが昇
温により膨張することで作動部３１が押し出され
てくるようになる通常のもので、前記ボデイ１の
下面側の筒状部１８に組付けたホルダー４に感温
部３０を保持せしめて、作動部３１の突出端を絶
縁材５を介し弁棒２１の下端に当接することで、
弁２に対し連繋してある。前記ホルダー４は、絶
縁材たる合成樹脂材の成形物で、サーモスタツト
３の感温部３０の大半を外部に露出させる窓穴４
０を具備している。そして、このホルダー４の底
面は、感温部３０の底面を露出させる開放部に形
成してある。

６は前記サーモスタツト３の感温部３０を加熱
して起動さすよう組付ける正特性サーミスタで、
円盤状に形成してあり、それの上面側及び下面側
に電極板６０，６１を当接して、サンドイツチ状
にはさみ付け、その状態で前述のホルダー４の下
面の開放部からサーモスタツト３の感温部３０の
底面に当接し、その下方から絶縁材よりなる蓋板
４１を当てボルト４２により閉じ合せることで、
該正特性サーミスタ６の放熱板となる上面側の電
極板６０が、サーモスタツト３の感温部３０の底
面に当接する状態に組付け、ホルダー４から突出
する各電極板６０，６１の端子部６０ａ，６１ａ
にコードを接続して通電することにより、サーモ
スタツト３の感温部３０を加温して該サーモスタ
ツト３を起動させるようにしてある。そして、そ
の正特性サーミスタの上面側に当接して放熱板と
する側の電極板６０は、第３図に示している如
く、円盤状に形成した正特性サーミスタ６の上面
形状に倣う円盤状の金属板にて形成し、かつ、そ
の電極板６０上面側に、薄い弗素系合成樹脂材よ
りなる絶縁性の皮膜７を貼着しておいて、その皮
膜７を介してサーモスタツト３の感温部３０の底
面に当接していくようにしてある。弗素系合成樹
脂の絶縁性の皮膜７は、熱伝導を良くするため
に、電気の絶縁が行なえる範囲において薄いほど
よい。実施例では、約0.15ミリの厚さである。こ
の弗素系合成樹脂の絶縁性の皮膜７は、絶縁性の
よい他の合成樹脂材の皮膜にする場合がある。

このように構成せる実施例装置は次のように作
用する。

サーモスタツト３を起動さすためのヒーター
が、正特性サーミスタ６であるから、長時間通電
して作動状態においても、その正特性サーミスタ
に設定した温度以上に昇温することがないので、
サーモスタツト３が過剰に加熱されて機能を損な
うことがなくなる。

そして、サーモスタツト３は、正特性サーミス
タ６の放熱板となる電極板６０との接触部位にお
いて、絶縁性の皮膜７により電気が絶縁されるこ
とから、露出させた状態で組付けてよいので、安
全のためのカバーが不要となり、放熱が良くな
る。

以上説明したように、本考案による電動弁は、
ボデイに、温度上昇により起動するサーモスタツ
トを、前記ボデイ内に形設してある弁口または弁
座を開閉するよう設けられた弁に対し連繋せしめ
て組付け、そのサーモスタツトの感温部に、正特
性サーミスタの放熱板となる電極板を、弗素系合
成樹脂皮膜等の絶縁性の皮膜を介して接触せし
め、正特性サーミスタを、その電極板に当接せし
めてボデイに組付け構成してあるのだから、電動
弁のサーモスタツトを加熱するヒーターに、正特
性サーミスタを用いながら、電動弁の全体を大き
くすることなく、かつ、サーモスタツトの放熱を
良好にし、しかも、触手に対して安全な電動弁と
なる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を実施せる電動弁の分解した状
態の縦断正面図、第２図は同上電動弁の正面図、
第３図は同上電動弁の要部の分解した斜視図であ
る。 図面符号の説明、Ａ……電動弁、１……ボデ
イ、１０……流入口、１１……接続筒、１２……
吐出口、１３……接続筒、１４……弁室、１４ａ
……底壁、１５……隔壁、１６……透孔、１７…
…弁座、１８……筒状部、２……弁、２０……弁
主体、２０ａ……下縁、２１……弁棒、２２……
バネ、３……サーモスタツト、３０……感温部、
３１……作動部、４……ホルダー、４０……窓
穴、４１……蓋板、４２……ボルト、５……絶縁
材、６……正特性サーミスタ、６０，６１……電
極板、６０ａ，６１ａ……端子部、７……弗素系
合成樹脂皮膜。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ボデイに、温度上昇により起動するサーモスタ
   ツトを、前記ボデイ内に形設してある弁口または
   弁座を開閉するよう設けられた弁に対し連繋せし
   めて組付け、そのサーモスタツトの感温部に、正
   特性サーミスタの放熱板となる電極板を、弗素系
   合成樹脂皮膜等の絶縁性の皮膜を介して接触せし
   め、正特性サーミスタを、その電極板に当接せし
   めてボデイに組付けたことを特徴とする電動弁。