JPS644398B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、使用感と装着感の向上を図るように
した耳介装着型のイヤホンに関する。

〔従来の技術〕

従来、音楽鑑賞等のために用いられているイヤ
ホンとして、第１図に示す如く構成された密閉方
式の動電型イヤホンや、第２図に示す如く構成さ
れたオープンエア型イヤホン等が知られている。

上記第１図に示すイヤホンは、前面側に通気孔
１を有する筒状の突出部２を設けたハウジング３
内に磁気回路部４及び振動板として機能する可動
鉄片５を収納配置して構成されている。このよう
に構成されたイヤホンは、上記突出部２に可撓性
を有する合成樹脂等で形成されたイヤープラグ６
を嵌着し、このイヤープラグ６を使用者の外耳道
に挿入保持させることによつて装着される。

また、第２図に示すイヤホンも、前面側に通気
孔１１を有する筒状の突出部１２を設けたハウジ
ング１３内に磁気回路部１４及び振動板１５とか
らなる電気音響変換素子１６を収納配置して構成
されている。このイヤホンは、磁気回路部１４及
びハウジング１３に亘つて貫通孔１７が穿設さ
れ、振動板１５の背圧をハウジング１３の外方に
逃がすように構成されてなる。そして、上記イヤ
ホンは、ウレタン等によつて形成した柔軟性を有
する環状パツド１８を上記突出部１２の外周に嵌
装し、この突出部１２を使用者の外耳道に挿入保
持させることによつて装着される。

〔発明が解決しようとする問題点〕

ところで、前記第１図に示すように構成された
イヤホンは、イヤープラグ６を使用者の外耳道に
挿入保持して装着されるものであるため、装着時
の圧迫感が著しく良好な装着感が得られないばか
りか、イヤープラグ６で外耳道を塞いでしまうた
め、長時間装着してしていると汗をかく等して抜
け落ちやすくなり、良好な装着状態を得ることが
できなくなつてしまう。さらに、このイヤホン
は、イヤープラグ６を介して耳介への装着を図る
ものであるので、鼓膜と振動部としての鉄片５と
の距離が大きく離間してしまうため、良好なハイ
フアイ音の聴取ができない。

また、第２図に示すように構成されたイヤホン
にあつても、環状パツド１８を嵌装した突出部１
２を外耳孔に挿入保持させて装着されるものであ
るため、装着時の圧迫感が著しく良好な装着感が
得られないという問題点を有する。

そこで、本発明は、上述したような従来のイヤ
ホンが有している問題点の解消を図り、良好な装
着感が得られ、長時間使用しても良好な装着状態
が得られ、さらに良好なハイフアイ再生を可能と
なす耳介装着型のイヤホンを提供することを目的
に提案されたものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は、上記目的を達成するため、電気音響
変換素子を内蔵したハウジングの前面側外周に上
記ハウジングの他の部分より径大となす耳介係止
部を形成してなり、上記耳介係止部は、耳介の窪
み部内に装着される大きさであつて、且つ上記窪
み部内に装着したとき上記耳介の一部が少なくと
も一部に係止する大きさに形成されてなるなるも
のである。

〔作用〕

本発明に係るイヤホンは、耳介の窪み部内に装
着したとき、耳介の一部がハウジングに形成した
耳介係止部に係止され、抜け落ちが防止されて装
着される。

〔実施例〕

以下、本発明の具体的な実施例を図面を参照し
て説明する。

本発明に係るイヤホンは、第３図に示すように
耳介ａの窪み部である耳甲介腔の凹部ｂの部分に
装着し得る大きさに形成されてなるハウジング２
１内に、電気音響変換素子２２を収納して構成さ
れてなる。

このイヤホンに用いられる電気音響変換素子２
２は、第４図に示すように、振動板２３の下面側
中央部に垂下する如く連設され、磁気回路部２４
の磁気ギヤツプ内に挿入配置したボイスコイルボ
ビン２５に巻装したボイスコイル２６に音声信号
を供給することによつて上記振動板２３を振動さ
せるようにした動電型のスピーカユニツトとして
構成されてなる。なお、上記電気音響変換素子２
２は、小型で高再生出力が得られるようになすた
め、磁気回路部２４を構成するマグネツトに磁気
的特性に優れたサマリウムコバルトマグネツト等
の希土類マグネツトが用いられている。

そして、上記電気音響変換素子２２を収納する
ハウジング２１は、電気音響変換素子２２の磁気
回路部２４を収納する磁気回路収納部２７の前面
側外周に、振動板２３の外周縁側のエツジ部２３
ａを支持するとともに耳介ａの耳甲介腔の凹部ｂ
に装着されたとき上記耳介ａの一部である耳珠ｃ
及び対珠ｄによつて係止される耳介係止部２８を
設けて構成されてなる。すなわち、この耳介係止
部２８は、磁気回路収納部２７の前面側を大径と
なすように外方に突出する如く環状をなすフラン
ジ状に形成されてなる。また、上記耳介係止部２
８の外周囲には、環状の立上り部２９が形成され
ている。

そして、振動板２３は、上記立上り部２９の内
周側に嵌合配設される支持リング３０によつて上
記耳介係止部２８の内周面上に延在されたエツジ
部２３ａが支持されることによつてハウジング２
１の前面側に取付けられる。また、上記耳介係止
部２８の前面側には、上記支持リング３０を介し
て振動板２３の全面を覆うプロテクタ３１が取付
けられている。このプロテクタ３１は、多数の通
気孔３２を穿設したメツシユ状に形成された薄い
金属板等からなり、振動板２３の彎曲形状に略対
応するように中央部を膨出してなだらかに彎曲形
成されてなる。

ところで、耳介係止部２８は、このイヤホンが
耳介に装着されたとき、耳介ａの耳介甲腔ｂの凹
部に収納され且つ耳珠ｃ及び対珠ｂによつて適当
な圧着感をもつて係止されるに足る大きさに形成
されてなるものであつて、一般的な人の耳介ａの
耳甲介腔の凹部ｂに略対応する外径寸法l₁をもつ
て形成されてなり、本実施例にあつては1.8cm程
度に形成されてなる。また、耳介係止部２８の外
周囲に設けられる立上り部２９も、耳介に装着さ
れたとき、耳介ａの耳甲介腔の凹部ｂに適当な圧
着感をもつて収納されるに足るように、上記耳甲
介腔の凹部ｂの深さに略対応する厚さl₂を形成さ
れ、本実施例にあつては1.5mm程度に形成されて
なる。

そして、上記プロテクタ３１の前面側である放
音面側には、音響透過性を有するウレタン等で形
成されたイヤパツドが必要に応じて着脱自在に装
着される。このイヤパツドを着脱自在に設けるこ
とにより、広範囲の人の耳介に良好な装着感を保
持し、且つ確実な保持状態を維持して装着するこ
とが可能となる。

また、ハウジング２１の背面側には、電気音響
変換素子２２に音響信号を供給する外部接続用の
コード３３の一端が接続される端子板３４が配設
されている。この端子板３４は、合成樹脂等のモ
ールド部３５によつて上記ハウジング２１に一体
的に固着されている。

さらに、この本発明に係るイヤホンは、磁気回
路部２４の軸方向中心部からハウジング２１及び
端子板３４からモールド部３５に亘つて連通する
貫通孔３６が穿設されるとともに、耳介係止部２
８の振動板２３に対応する位置に通気孔３７が穿
設され、駆動時における振動板２３の背圧をハウ
ジング２１の外方に放音するようになすオープン
エア型のものとして構成されている。

上述のように構成されてなるイヤホンは、第５
図に示すように、放音面側であるプロテクタ３１
側を外耳道ｅに向けて耳介ａの耳甲介腔ｂの凹部
にハウジング２１を収納すると、上記ハウジング
２１に設けた耳介係止部２８の一部が耳珠ｃ及び
対珠ｄによつて圧着される如く係止されて装着さ
れる。このとき、イヤホンは、ハウジング２１の
前面側が単一の曲率をもつて彎曲形成されてなる
プロテクタ３１で覆われた大径の形状をもつて形
成されてなるので外耳道内に挿入されることな
く、耳介係止部２８の一部が耳珠ｃ及び対珠ｄに
よつて支持されて耳甲介腔ｂの凹部に装着なるの
で、外耳道ｅに圧迫感を与えることなく装着でき
る。従つて、良好な装着感をもつて長時間に亘り
装着しておくことが可能となる。

また、上記イヤホンは、耳甲介腔ｂの凹部に係
止されて保持されるハウジング２１の前面側に振
動板２３が位置するので、振動板２３と鼓膜まで
の距離を近付けることができ、良好に再生音の聴
取が可能となる。

さらに、上記イヤホンは、磁気回路部２４を収
納する磁気回路収納部２７より径大となした耳介
係止部２８に振動板２３を支持する構成となして
いるので、上記振動板２３の実効面積を十分に大
きくなすことができるとともに、磁気回路部２４
に磁気的特性に優れたサマリウムコバルトマグネ
ツト等の希土類マゲネツトを用いて構成してなる
ので、小型で十分にハイフアイ再生が可能なもの
となつている。

上述の実施例では、電気音響変換素子２２に動
電型のスピーカユニツトを用いているが、このよ
うなものに限られず静電型のスピーカユニツト等
他のスピーカユニツトを用いたものであつてもよ
い。

〔発明の効果〕

上述したように、本発明は、耳介の窪み部内に
装着したとき、耳介の一部がハウジングに形成し
た耳介係止部に係止して抜け落ちを防止して装着
されてなるので、外耳道に圧迫感を与えることな
く良好な装着感をもつて長時間に亘り装着利用す
ることができる。特に、上記耳介係止部は、ハウ
ジングの他の部分より径大となされていることか
ら、耳介の一部に確実に係止され、確実に抜け落
ちを防止できる。

また、本発明は、耳介係止部を係止させて装着
される構成としたことにより、耳介装着型のイヤ
ホンにおいて、再生音が放音されるハウジングの
前面側の大きさを、装着空間として最も大きな耳
介の窪み部中の最大径部分の大きさに対応する大
きさにまで拡大できるので、上記ハウジングに内
蔵される電気音響変換素子の振動板の径を大きく
することができ、音響再生特性の向上を達成でき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の密閉方式の動電型イヤホンを示
す断面図であり、第２図は従来のオープンエア型
イヤホンを示す断面図である。第３図は本発明に
係るイヤホンを耳介に装着した状態を示す斜視図
であり、第４図は上記イヤホンの縦断面図であ
り、第５図は上記イヤホンを耳介に装着した状態
の一部断面斜視図である。 ２１…ハウジング、２２…電気音響変換素子、
２８…耳介係止部、２９…立上り部、ａ…耳介、
ｂ…耳甲介腔、ｃ…耳珠、ｄ…対珠。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 電気音響変換素子を内蔵したハウジングの前
   面側外周に上記ハウジングの他の部分より径大と
   なす耳介係止部を形成してなり、 上記耳介係止部は、耳介の窪み部内に装着され
   る大きさであつて、且つ上記窪み部内に装着した
   とき上記耳介の一部が少なくとも一部に係止する
   大きさに形成されてなるイヤホン。 ２ 上記耳介係止部は、上記ハウジングの後面側
   よりも径大となるように形成されてなる特許請求
   の範囲第１項記載のイヤホン。 ３ 上記耳介係止部は、ハウジングの前面側外周
   にフランジ状に設けられてなる特許請求の範囲第
   ２項記載のイヤホン。