JP2019145963A - イヤホン - Google Patents
イヤホン Download PDFInfo
- Publication number
- JP2019145963A JP2019145963A JP2018027334A JP2018027334A JP2019145963A JP 2019145963 A JP2019145963 A JP 2019145963A JP 2018027334 A JP2018027334 A JP 2018027334A JP 2018027334 A JP2018027334 A JP 2018027334A JP 2019145963 A JP2019145963 A JP 2019145963A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- acoustic
- housing
- space
- earphone
- speaker unit
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Headphones And Earphones (AREA)
- Obtaining Desirable Characteristics In Audible-Bandwidth Transducers (AREA)
Abstract
【課題】再生する音波の出口がユーザーの外耳道入り口に挿入されるカナル型の、スピーカーユニットの損傷を防ぐように振動板の前側空間に連通するリークポートを設ける場合に、製造が容易で品質が安定し、また、外部への音漏れが小さくて、再生音質が良好で好ましい音声再生を実現するイヤホンを提供する。【解決手段】イヤホン1のハウジング2は、第1音響空間21と第2音響空間22とを連通させる音響通路27を形成する内側リークポート部を備える。内側リークポート部は、ハウジングの外殻を形成するハウジング部材と、ハウジング部材とスピーカーユニット3との間に介在してこれらを取り付ける取付部材25と、から構成され、ハウジング部材または取付部材に設けられる溝により音響通路を形成する。【選択図】図3
Description
本発明は、ユーザーの耳に装着されて音声再生するイヤホンに関して、特に、再生する音波の出口がユーザーの外耳道入り口に挿入されるイヤホンに関する。
ヘッドホン並びにイヤホンは、ユーザーの耳に当接するように近接配置されるスピーカーユニットに音声信号を印加することにより音を再生する。ユーザーの耳に装着されるイヤホンの中には、様々な形態のものがある。
例えば、イヤホンの中には、ヘッドホンのように比較的に大きなスピーカーユニットを備えて、耳介に本体を載せるように装着する耳掛部を備えるものがある。また、本体部を耳介の内側に収めるように装着し、本体部の放音面から外耳道に向け音を放出して使用するインナーイヤー型がある。また、本体部を耳介の内側に収めるように装着し、さらに本体部から突出する音筒部をそれに装着されたイヤピースと共に外耳道内に挿入して使用するカナル型と称されるタイプのイヤホンが普及している。
外側に露出する振動板を有する動電型のスピーカーユニットは、振動板口径が小さい小型なものになるほど、高い音圧レベルを得て、かつ、音声再生周波数帯域を十分に広げて良好な再生音質を確保するのが難しくなる。ユーザーの耳に装着されるインナーイヤー型またはカナル型のイヤホンにおけるスピーカーユニットでも、同様の問題が生じる。特に、再生する音波の出口がユーザーの外耳道入り口に挿入されるカナル型のイヤホンでは、動電型スピーカーユニットを取り付けるハウジングが小さく、必要十分な音声再生能力を有する振動板口径が大きいスピーカーユニットを採用するのが難しく、ハウジングの構造による影響および制限を受けやすいという問題がある。
従来には、イヤーパッドを外耳道入口に挿入して用いる密閉イヤホンにおいて、電気音響変換器を収納しているハウジングの内部の空間と外部の空間は音響的に連通しておらず、該ハウジングの内部の空間は、区画壁ならびに該電気音響変換器によってフロントスペースとリヤスペースに分離されており、該フロントスペースと該リヤスペースが1つの連比較的小さな管状スペースによってのみ連通していることを特徴とする密閉イヤホンがある(特許文献1)。このようなカナル型のイヤホンでは、密閉性が良く、遮音性能が高くて外部の雑音が聞こえにくいので、高い音圧感度が得られ、音漏れが少ないという利点がある。
例えば、カナル型イヤホンのハウジングにおいて、振動板の前側の音響空間に連通するノズル以外のリークポートが無い場合には低音域の再生能力が高くなりやすいので、適切なリークポートを設けて、メッシュなどの音響抵抗材を組み合わせて、低音域の音圧再生レベルを下げるように音響的な性能を設計する場合がある。また、リークポートを有さないようなカナル型のイヤホンでは、イヤピースが外耳道を密閉するので、聴取者がイヤホンを外耳道に挿脱する際に動電型スピーカーユニットの振動板に高い圧力がかかり、振動板並びにボイスコイルからなる振動系を損傷するなどの不具合が発生する場合がある。外耳道内空間の密閉度が高いので、イヤピースを聴取者の外耳道に挿脱する際に外耳道内空間の気圧の変化が大きくなり、聴取者の鼓膜にも大きな気圧変化が加わるという問題がある。
そこで、従来には、ドライバーと、該ドライバーを固定して該ドライバーの前室空間ならびに該前室空間に連通する音道を規定するハウジングと、該音道の外側を包囲して聴取者の外耳道に挿脱されるイヤピースと、を備えるイヤホンであって、該ハウジングが、該聴取者が該イヤホンを該外耳道に挿脱する場合に手の指で保持するハウジングボディと、該ハウジングボディに設けられて該前室空間と該ハウジングの外部自由空間とを連通する通気管と、該通気管内の空気の流れを制御する開閉機構と、を有し、該開閉機構が、該聴取者が該イヤピースを該外耳道に挿脱する場合に該ハウジングボディを手の指で保持する動作によって該通気管内の空気を移動可能にするように開き、かつ、該聴取者が該ハウジングボディから指を離す動作によって該通気管内の空気を移動不可能なように閉じる開閉弁を備える、イヤホンがある(特許文献2)。
しかし、従来のスピーカーユニットを備えるカナル型のイヤホンは、更に改良が望まれる。上記の様な開閉機構は、構成部品が多くなり、製造コストが高くなるなどの課題がある。そこで、開閉機構を備えない前室空間と外部自由空間とを連通するリークポートを設けると、挿抜時に操作を要する煩わしさからは解放されるものの、外耳道に近いところへの音漏れが大きくなり、再生音質が劣化するという問題がある。
なお、従来には、耳道挿入部と、音響変換機を内蔵する本体とよりなる耳道挿入型イヤホンにおいて、耳道挿入部の内部空間と耳道挿入型イヤホンの外部空間を連通する中空部材を、耳道挿入部に挿設してなることを特徴とする耳道挿入型イヤホンがある(特許文献3)。特許文献3の図3に記載の中空部材5の一方端側はイヤピース内の空間に位置し、中空部材5の他方端側は外部空間に位置している。ただし、特許文献3の図3に記載のようなその大部分が外部空間に突出するような中空部材5を設けることは、実用上では非現実的である。
本発明は、上記の従来技術が有する問題を解決するためになされたものであり、その目的は、再生する音波の出口がユーザーの外耳道入り口に挿入されるカナル型のイヤホンに関し、スピーカーユニットの損傷を防ぐように振動板の前側空間に連通するリークポートを設ける場合に、製造が容易で品質が安定し、また、外部への音漏れが小さくて、再生音質が良好で好ましい音声再生を実現するイヤホンを提供することにある。
本発明のイヤホンは、音声信号を電気音響変換して振動板から音波を放射するスピーカーユニットと、スピーカーユニットを振動板の一方側と他方側とにそれぞれ第1音響空間と第2音響空間とを規定するように取り付けるハウジングと、を備えるイヤホンであって、ハウジングは、第1音響空間と第2音響空間とを連通させる音響通路を形成する内側リークポート部をさらに備え、内側リークポート部は、ハウジングの外殻を形成するハウジング部材と、ハウジング部材とスピーカーユニットとの間に介在してこれらを取り付ける取付部材と、から構成され、ハウジング部材または取付部材に設けられる溝により音響通路を形成する。
好ましくは、本発明のイヤホンは、音響通路を形成する溝が、ハウジング部材または取付部材の材厚を、所定の長さに渡って他の部分の材厚よりも薄くまたは厚くして形成されている。
また、好ましくは、本発明のイヤホンは、ハウジングが、第1音響空間と外部空間とを連通させる音響通路を形成する、または、第2音響空間と外部空間とを連通させる音響通路を形成する外側リークポート部をさらに備える。
また、好ましくは、本発明のイヤホンは、ハウジングが、第1音響空間に連通してスピーカーユニットが放射する音波をユーザーの外耳道に導くノズル部を有し、ノズル部は、その内部に形成される音響通路および第1音響空間を通じてスピーカーユニットの振動板の一方側が少なくともノズル部の端部から直視できるような管状に形成されている。
また、好ましくは、本発明のイヤホンは、ユーザーの外耳道に挿入されるイヤピースと、イヤピースをノズル部に取り付けるイヤピース取付部と、をさらに備える。
以下、本発明の作用について説明する。
本発明のイヤホンは、音声信号を電気音響変換して振動板から音波を放射するスピーカーユニットと、スピーカーユニットを振動板の一方側と他方側とにそれぞれ第1音響空間と第2音響空間とを規定するように取り付けるハウジングと、を備える。ハウジングが、第1音響空間に連通してスピーカーユニットが放射する音波をユーザーの外耳道に導くノズル部を有し、ユーザーの外耳道に挿入されるイヤピースと、イヤピースをノズル部に取り付けるイヤピース取付部と、をさらに備えれば、イヤピースが外耳道に密着するカナル型のイヤホンを実現できる。
ここで、ハウジングは、第1音響空間と第2音響空間とを連通させる音響通路を形成する内側リークポート部をさらに備え、内側リークポート部は、ハウジングの外殻を形成するハウジング部材と、ハウジング部材とスピーカーユニットとの間に介在してこれらを取り付ける取付部材と、から構成され、ハウジング部材または取付部材に設けられる溝により音響通路を形成する。この音響通路を形成する溝は、ハウジング部材または取付部材の材厚を、所定の長さに渡って他の部分の材厚よりも薄くまたは厚くして形成されているのが好ましい。
つまり、本発明のイヤホンは、第1音響空間と第2音響空間とを連通させる音響通路を、ハウジング部材とスピーカーユニットとの間に介在してこれらを取り付ける取付部材の溝で形成するので、スピーカーユニットの損傷を防ぐリークポートを設けるのに製造が容易で、低コストで実現可能であり、品質が安定する利点がある。また、第1音響空間と第2音響空間とを連通させる音響通路であるので、外部への音漏れが小さく、外耳道に近いところへの音漏れが発生しないので、再生音質が劣化せずに、良好で好ましい音声再生を実現することができる。
また、本発明のイヤホンのハウジングは、第1音響空間と外部空間とを連通させる音響通路を形成する、または、第2音響空間と外部空間とを連通させる音響通路を形成する外側リークポート部をさらに備えるようにしてもよい。カナル型のイヤホンにおいて適切な音圧周波数特性を得ることができ、その結果、自然で好ましい音声再生を実現することができる。
本発明のイヤホンは、スピーカーユニットの損傷を防ぐように振動板の前側空間に連通するリークポートを設ける場合に、製造が容易で品質が安定し、また、外部への音漏れが小さくて、再生音質が良好で好ましい音声再生を実現できる。
以下、本発明の好ましい実施形態によるイヤホンについて説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
図1、図2および図3は、本発明の好ましい実施形態によるイヤホン1について説明する図である。具体的には、図1は、ユーザーの片耳に装着するイヤホン1の斜視図を示す。また、図2は、イヤホン1の内部構造を説明するA−A断面図である。また、図3は、イヤホン1の内部構造を説明する図であり、図3(a)は一部を省略した断面図、図3(b)はハウジング2を構成する第1部材2aの斜視図である。なお、本発明の説明に不要な他のイヤホン1の構成については、図示及び説明を省略する。例えば、図3(a)では、動電型スピーカーユニット3の内部構造、電磁型スピーカーユニット4、等の図示を省略している。
本実施例のイヤホン1は、再生する音波の出口がユーザーの耳介の外耳道孔に挿入されるカナル型のイヤホンである。イヤホン1は、ユーザーの左右耳にそれぞれ装着する略左右対称形状のイヤホンを備えて、ステレオ再生に対応することができる。以下では、イヤホン1の片方の耳に対応する構成を説明する。もちろん、イヤホン1の形態は、本実施例の場合に限定されない。
複合型のイヤホン1は、そのハウジング2に、コード5を介して音声信号を供給することで音を再生する動電型スピーカーユニット3および電磁型スピーカーユニット4が内部に取り付けられている。これらのスピーカーユニットが出力する音波の出力孔20が形成されるハウジング2のノズル部23には、イヤピース6が取り付けられるイヤピース取付部が形成されている。弾性を有する笠形状のイヤピース6を取り付ければ、イヤピース6がユーザーの外耳道孔に密着するカナル型のイヤホンを実現できる。イヤピース6により、ユーザーは耳介にイヤホン1を安定して装着することができる。
本実施例のハウジング2は、ユーザーの耳介の外耳道孔の大きさに相当するような口径の動電型スピーカーユニット3と、それよりも全長が長い大型の電磁型スピーカーユニット4を取り付けることができる。ハウジング2は、ノズル部23を含む略円筒形状の第1部材2aと、第1部材2aの後方側に連結してキャビティを構成する第2部材2bを含むように構成してもよい。ハウジング2は、金属材料又は樹脂材料から構成され、音声信号を供給するコード5を接続するコード接続部を備える。
ハウジング2は、音波の出力孔20が形成されるノズル部23に近い側に動電型スピーカーユニット3を配置し、そして、ノズル部23から遠い側に電磁型スピーカーユニット4を配置する。動電型スピーカーユニット3は、音声信号を人間の可聴音帯域(20Hz〜20kHz)よりも高い周波数帯域成分を含む高音域音波(つまり、20kHz以上の帯域成分を含む音波)に電気音響変換して放射する。一方、電磁型スピーカーユニット4は、音声信号をこの高音域音波よりも低い周波数帯域成分をより多く含む低音域音波に電気音響変換して放射する。
動電型スピーカーユニット3は、ボイスコイルが配置される磁気空隙を有する磁気回路31と、ボイスコイルが連結されて外側に露出する略ドーム状の振動板30と、振動板30並びに磁気回路31を連結するフレーム32と、を有するように構成される。動電型スピーカーユニット3は、振動板30の前方側と後方側とにお互いに逆相関係となる音波をそれぞれ放射する。動電型スピーカーユニット3のフレーム32は、ハウジング2の内壁面に対して取付部材25を介して連結して、動電型スピーカーユニット3の振動板30の一方側と他方側とを分離するように、動電型スピーカーユニット3を取り付ける。
ハウジング2は、動電型スピーカーユニット3の振動板30の前方側に音響空間21を規定し、動電型スピーカーユニット3の磁気回路が存在する後方側に音響空間22を形成する。また、音響空間22には、電磁型スピーカーユニット4がその内部に収容されるように取り付けられる。電磁型スピーカーユニット4は、ハウジング2の内壁面に対して取付部材26を介して連結する。したがって、動電型スピーカーユニット3が前方側の音響空間21に放射する高音域音波と、後方側の音響空間22に放射する高音域音波とは、逆相の関係になる。
電磁型スピーカーユニット4は、駆動ロッド部42を振動させるアーマチュア部を含む磁気駆動部41と、駆動ロッド部42に接続する振動板40と、磁気駆動部41および振動板40を内側に収めて振動板40から放射される音波を出力する出力孔44を形成するケース43と、を有するように構成されて低音域音波を放射する。電磁型スピーカーユニット4の出力孔44には、電磁型スピーカーユニット4が放射する低音域音波を音響空間21に導く管状のポート部24が接続する。
ポート部24は、チューブまたは柔軟な筒状体で形成されていてもよく、また、樹脂材料または金属材料で形成される管であってもよい。本実施例の場合には、長い管状のポート部24の一端側が電磁型スピーカーユニット4の出力孔44に連通し、他端側が音響空間21に連通しているので、電磁型スピーカーユニット4からの放射音である低音域音波は、音響空間22には放射されない。
音響空間21は、ユーザーの耳介の外耳道孔に挿入されるように、先端側が細く形成されるハウジング2のノズル部23の端部に形成される出力孔20に連通する。ノズル部23は、音響空間21に連通して音波をユーザーの外耳道に導く音響通路を、その内部側に形成する。このノズル部23は、動電型スピーカーユニット3の振動板30の一方側が、少なくともノズル部23の端部である出力孔20から直視できるような管状に形成されている。
したがって、動電型スピーカーユニット3が放射する高音域音波と、電磁型スピーカーユニット4が放射する低音域音波とは、音響空間21において合成されて、連通する出力孔20から放射される。なお、ノズル部23の開口端部には、通気性を有する保護部材としての保護ネットを取り付けるようにしてもよい。保護ネットは、ノズル部の開口端部から内部に異物が混入して音響通路が閉じてしまう、などの不具合を防止することができる。
本実施例のハウジング2は、ハウジング2の内側の音響空間21と音響空間22とを連通させる内側リークポート部としての音響通路27を備える。本実施例では、この音響通路27は、ハウジング2を構成するハウジング部材に設けられる溝と、動電型スピーカーユニット3との間に介在してこれらを取り付ける取付部材25との間に形成されている。取付部材25は、動電型スピーカーユニット3のフレーム32の外周側を覆うような筒状に構成されている。したがって、図3に図示するように、音響通路27を形成する溝は、ハウジング2を構成する第1部材2aの材厚を、所定の長さに渡って他の部分の材厚よりも薄くして形成されている。
取付部材25は、動電型スピーカーユニット3のフレーム32の外周側を覆うような筒状に構成されているので、音響通路27を形成する溝は、取付部材25に設けてもよい。また、所定の材厚のハウジング2または取付部材25に所定の長さの溝を設ける場合には、他の部分の材厚よりも薄くするだけでなく、他の部分の材厚よりも厚くしてリブを設けるなどして、溝を形成することができる。
溝を有するようにハウジング2または取付部材25を製造することは容易であるので、音響通路27を低コストで実現可能であり、イヤホン1の品質が安定する利点がある。また、振動板30の前側空間である第1音響空間21と第2音響空間22とを連通させるリークポートである音響通路27を形成するので、外部への音漏れが小さくなる。その結果、外耳道に近いところへの音漏れが発生しないので、再生音質が劣化せずに、良好で好ましい音声再生を実現することができる。
さらに、イヤホン1のイヤピース6がユーザーの外耳道に密着して、外耳道内空間と外部自由空間とをほぼ遮断するような場合においては、外耳道内空間の密閉度が高いので、イヤホン1を聴取者の外耳道に挿脱する際に外耳道内空間の気圧の変化が大きくなり、動電型スピーカーユニット3の振動板30に大きな気圧変化が加わり、場合によっては動電型スピーカーユニット3が破壊されてしまうという問題がある。本実施例のように、ハウジング2の内側の音響空間21と音響空間22とを連通させる内側リークポート部としての音響通路27を備えるようにすれば、振動板30の一方側と他方側から気圧変化が加わるようになるので、動電型スピーカーユニット3が破壊されるような不具合を防止することができる。
図4は、イヤホン1のリークポート構造並びにネットワーク回路について説明する模式図である。この模式図では、ハウジング2を含むイヤホン1の構成を、機能的に簡単化して図示している。
ハウジング2は、上記の音響通路27だけでなく、音響空間21または音響空間22に連通して音波を外部空間に導くリーク穴もしくはポートを、さらに備えていてもよい。例えば、音響空間21と外部空間を連通させる音響通路28をハウジング2に設けてもよく、また、音響空間22と外部空間を連通させる音響通路29をハウジング2に設けてもよい。
ハウジング2には、リーク穴もしくはポートとして上記の複数の音響通路27、28および29から1つ、または、複数の組み合わせを施すことができる。例えば、ハウジング2は、上記の音響通路27に加えて、音響空間22と外部空間を連通させる音響通路29を備えれば、音響空間21で生じる気圧変化を音響空間22に逃がし、さらに外部空間に逃がすことができる。同様に、音響通路27および28の組み合わせ、音響通路28および29の組み合わせ、音響通路27、28および29の組み合わせ、が可能である。
また、イヤホン1は、入力端子11に入力される音声信号を帯域制限して動電型スピーカーユニット3並びに電磁型スピーカーユニット4に供給するネットワーク回路12を備えていてもよい。ネットワーク回路12は、音声信号を所定の周波数以上の周波数帯域に帯域制限して動電型スピーカーユニット3に供給する回路素子13、および/または、音声信号を所定の周波数以下の周波数帯域に帯域制限して電磁型スピーカーユニット4に供給する回路素子14、を含む。
ネットワーク回路12の動電型スピーカーユニット3に接続する回路素子13としては、例えば、直列接続されるコンデンサ素子を含むようにして、1kHz以上20kHz以下の所定の周波数以上の帯域成分を少なくとも含む高音域成分を動電型スピーカーユニット3に供給するようにするのが好ましい。もちろん、ネットワーク回路12の回路素子13としては、再生レベルを調整する抵抗素子を含んでもよい。
また、ネットワーク回路12の電磁型スピーカーユニット4に接続する回路素子14としては、例えば、音声信号を所定の周波数以下の周波数帯域に帯域制限するインダクタンス素子であるコイルのような回路素子であってもよく、また、所定の周波数以上の周波数帯域を信号グランドにバイパスするような並列接続されるコンデンサのような回路素子であってもよい。なお、回路素子14は、直列接続される再生レベルを調整する抵抗素子でもよく、また、抵抗素子などを接続しない直結であってもよい。
図5は、本実施例のイヤホン1の音圧周波数特性について説明するグラフであり、横軸は入力音声信号の周波数を示し、縦軸は測定治具である耳型に装着した場合の外耳道での音圧レベルを実線で示す。また、比較例として、動電型スピーカーユニット3のみを用いる場合の音圧周波数特性と、電磁型スピーカーユニット4のみを用いる場合の音圧周波数特性と、を点線で重ね書きしている。
図5に示すように、複合型のイヤホン1の構成とすることで、20kHz〜40kHzを含む高音域音波を再生できる広い音圧周波数特性が実現される。振動板口径が小さい小型の動電型スピーカーユニット3が人間の可聴音帯域(20Hz〜20kHz)よりも高い周波数帯域成分(20kHz以上。好ましくは20kHz〜40kHz程度まで。)を含む高音域音波を再生するからである。一方で、電磁型スピーカーユニット4のみの場合は、4kHz以上の再生音圧レベルが低くて高音域音波の再生には適さないが、動電型スピーカーユニット3よりも低音域音波の再生音圧レベルが高いので、これらを合わせて広い再生周波数帯域を得ることができる。
本実施例のイヤホン1は、それぞれ単独のスピーカーユニット3または4を用いる場合に比べて、約300Hz〜1kHzがおおよそフラットな特性となるように改善されている。その結果、再生音声の明瞭度を向上させることができる。再生する音波の出口がユーザーの外耳道入り口に挿入されるカナル型のイヤホン1としては、自然で好ましい音声再生を実現することができる。上記の本実施例の場合の様に300Hz付近の音圧が下がらなくなると、再生音声の明瞭度を高めて、再生音質の劣化を防ぐことができる。
特に、ハウジング2のノズル部23の出力孔20では、その内部に形成される音響通路および音響空間21を通じて動電型スピーカーユニット3の振動板30の一方側が、本実施例のように出力孔20から直視できるような管状に形成されているのが好ましい。動電型スピーカーユニット3の振動板30から放射される高音域音波は、波長が短くて指向性が強くなるので、音響通路を構成する壁面に反射しない成分が多く放射されるようにするのが適切である。人間の可聴音帯域よりも高い周波数帯域成分を含む高音域音波の再生音圧レベルを高めて、高域限界周波数をより高くすることができる。その結果、本実施例のイヤホン1では、ハイレゾリューション・オーディオ信号等を再生するのに求められる所定の規格性能を満たすことができる。
なお、複合型のイヤホン1では、動電型スピーカーユニット3並びに電磁型スピーカーユニット4が並列接続されて同一の音声信号が入力されるように接続されていてもよいが、帯域制限して供給する回路素子、または、レベル調整して供給する回路素子を含むネットワーク回路12を有していれば、さらに音圧周波数特性の調整が容易になり、複合型のイヤホン1として適切な音圧周波数特性を得ることができる。
なお、本実施例の場合には、長い管状のポート部24の一端側が電磁型スピーカーユニット4の出力孔44に連通し、他端側が音響空間21に連通しているので、電磁型スピーカーユニット4からの放射音である低音域音波は、音響空間22には放射されない。しかし、例えば、ポート部24を短くしてその一端側が電磁型スピーカーユニット4の出力孔44に直接に取り付けられていないようにしてもよい。つまり、電磁型スピーカーユニット4の出力孔44から放射される音波は、音響空間22には放射されてからポート部24の一端側に入る構成になっていてもよい。音響空間22を音響的なハイカットフィルタを構成する音響容量として機能させることができる。
また、ハウジング2のポート部24は、音響空間21に連通する音響通路を、チューブまたは必ずしも柔軟な筒状体で形成しなくても、同程度の断面積を有する管部をハウジング部材の外壁部および内壁部を貫通するように設けることで代用してもよい。また、ポート部24は、その全部を柔軟な筒状体で形成しなくても、一部を上記の様なハウジング部材の外壁部および内壁部を貫通する管部によって代用してもよい。また、ハウジング部材に取り付ける他のカバー部材を用いて、音響通路27、28、または、29に代わるリークポートを設けてもよい。
本発明のイヤホンは、図示するようなカナル型のイヤホンに限らず、さらに別の耳掛け部を備えるイヤホンであってもよい。また、イヤホンに限らず、ヘッドバンドにより左右両耳に対応するイヤホンを連結して、オーバーヘッドタイプのイヤホンを構成してもよい。イヤホンは、家庭用のステレオ再生、もしくはマルチチャンネルサラウンド再生に限られず、車載用のオーディオ機器や、映画館等の音響再生設備にも適用が可能である。
1 イヤホン
2 ハウジング
3 動電型スピーカーユニット
4 電磁型スピーカーユニット
5 コード
6 イヤピース
12 ネットワーク回路
20 出力孔
21、22 音響空間
23 ノズル部
24 ポート部
25、26 取付部材
27、28、29 音響通路
2 ハウジング
3 動電型スピーカーユニット
4 電磁型スピーカーユニット
5 コード
6 イヤピース
12 ネットワーク回路
20 出力孔
21、22 音響空間
23 ノズル部
24 ポート部
25、26 取付部材
27、28、29 音響通路
Claims (5)
- 音声信号を電気音響変換して振動板から音波を放射するスピーカーユニットと、
該スピーカーユニットを該振動板の一方側と他方側とにそれぞれ第1音響空間と第2音響空間とを規定するように取り付けるハウジングと、
を備えるイヤホンであって、
該ハウジングは、該第1音響空間と該第2音響空間とを連通させる音響通路を形成する内側リークポート部をさらに備え、
該内側リークポート部は、該ハウジングの外殻を形成するハウジング部材と、該ハウジング部材と該スピーカーユニットとの間に介在してこれらを取り付ける取付部材と、から構成され、該ハウジング部材または該取付部材に設けられる溝により該音響通路を形成する、
イヤホン。 - 前記音響通路を形成する前記溝は、前記ハウジング部材または前記取付部材の材厚を、所定の長さに渡って他の部分の材厚よりも薄くまたは厚くして形成されている、
請求項1に記載のイヤホン。 - 前記ハウジングは、前記第1音響空間と外部空間とを連通させる音響通路を形成する、または、前記第2音響空間と外部空間とを連通させる音響通路を形成する外側リークポート部をさらに備える、
請求項1または2に記載のイヤホン。 - 前記ハウジングは、
前記第1音響空間に連通して前記スピーカーユニットが放射する前記音波をユーザーの外耳道に導くノズル部を有し、該ノズル部は、その内部に形成される音響通路および前記第1音響空間を通じて前記スピーカーユニットの前記振動板の前記一方側が少なくとも該ノズル部の端部から直視できるような管状に形成されている、
請求項1から3のいずれかに記載のイヤホン。 - ユーザーの外耳道に挿入されるイヤピースと、該イヤピースを前記ノズル部に取り付けるイヤピース取付部と、をさらに備える、
請求項1から4のいずれかに記載のイヤホン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018027334A JP2019145963A (ja) | 2018-02-19 | 2018-02-19 | イヤホン |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018027334A JP2019145963A (ja) | 2018-02-19 | 2018-02-19 | イヤホン |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019145963A true JP2019145963A (ja) | 2019-08-29 |
Family
ID=67772788
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018027334A Pending JP2019145963A (ja) | 2018-02-19 | 2018-02-19 | イヤホン |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2019145963A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112565964A (zh) * | 2020-11-30 | 2021-03-26 | 歌尔科技有限公司 | 智能耳机及其控制系统、控制方法 |
RU2796796C1 (ru) * | 2019-09-19 | 2023-05-29 | Шэньчжэнь Шокз Ко., Лтд. | Акустическое выходное устройство |
US12047737B2 (en) | 2019-09-19 | 2024-07-23 | Shenzhen Shokz Co., Ltd. | Acoustic output apparatus |
-
2018
- 2018-02-19 JP JP2018027334A patent/JP2019145963A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
RU2796796C1 (ru) * | 2019-09-19 | 2023-05-29 | Шэньчжэнь Шокз Ко., Лтд. | Акустическое выходное устройство |
US12047737B2 (en) | 2019-09-19 | 2024-07-23 | Shenzhen Shokz Co., Ltd. | Acoustic output apparatus |
CN112565964A (zh) * | 2020-11-30 | 2021-03-26 | 歌尔科技有限公司 | 智能耳机及其控制系统、控制方法 |
CN112565964B (zh) * | 2020-11-30 | 2022-11-15 | 歌尔科技有限公司 | 智能耳机及其控制系统、控制方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3057731B2 (ja) | 電気音響変換器及び音響再生システム | |
US8660289B2 (en) | Multiple receiver venting system | |
JP5695703B2 (ja) | 音響チューニングメカニズムを有するイヤホン | |
EP0421681B1 (en) | Electro-acoustic transducer and sound reproducing system | |
JP2019145962A (ja) | イヤホン | |
US20210099786A1 (en) | Earphone | |
US20170155994A1 (en) | Noise reduction with in-ear headphone | |
US11234085B2 (en) | Earpieces and related articles and devices | |
EP3264791B1 (en) | Earphone | |
EP3637799B1 (en) | Hearing device comprising a housing with a venting passage | |
US20220053259A1 (en) | Earpiece porting | |
US10721549B2 (en) | Direct-radiating earphone drivers | |
US10448147B2 (en) | Acoustic device having multiple diaphragms | |
JP2019145964A (ja) | イヤホン | |
JP2019145963A (ja) | イヤホン | |
RU2680663C2 (ru) | Внутриканальный наушник | |
CN114095818A (zh) | 一种耳机 | |
JP4826467B2 (ja) | 電気音響変換器及びイヤースピーカ装置 | |
WO2016181431A1 (ja) | 連通部付き密閉イヤホン | |
WO2016166785A1 (ja) | 連通管付きイヤホン | |
JP2017147533A (ja) | イヤホン | |
JP2019145965A (ja) | イヤホン | |
US11792564B2 (en) | Hearing device comprising a vent and an acoustic valve | |
CN216414550U (zh) | 一种耳机 | |
JP6863687B2 (ja) | イヤホン |