JPS643694B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は車両のシートベルト支持装置に関する
ものである。

［従来の技術］ 例えば実開昭54−1312号公報に開示されるシー
トベルト支持装置では、インナベルトに結合した
金具が座席の側壁部にピンにより上下方向移動可
能に支持されるとともに、この金具の端部に設け
た開口へ車体に固定した可撓性ステーが挿通さ
れ、緊急時金具が引き上げられると、可撓性ステ
ーが座席の２本の固定ピンの間へ挟まれる。これ
により座席の前方移動が阻止され、同時にシート
ベルトの荷重が可撓性ステーを介して車体側で支
持される。

しかし、上述の従来技術では、可撓性ステーの
端部がばねにより緊張されてはいるが、インナベ
ルトの金具が非常に不安定で、シートベルトを装
着したまま座席の前後位置を調節する場合に、可
撓性ステーが固定ピンに当り、円滑な調節動作が
妨げられる。

［発明が解決しようとする問題点］ 本発明の目的は可撓性ステーの姿勢が安定であ
り、座席の前後・上下調節に何ら抵抗がなく、緊
急時シートベルトが可撓性ステーに捕縛されるシ
ートベルト支持装置を得ることにある。

［問題点を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本発明の構成は車
体側に一端を固定した可撓性ステーを脆弱材料製
のラツパ状の案内チユーブに挿通し、案内チユー
ブの両端部を座席の側壁部に断面Ｕ字形の板から
なるブラケツトにより固定する一方、案内チユー
ブの中間部にインナベルトの端部を摺動可能に係
合したものである。

［作用］ 可撓性ステー６は一端を車体側に固定され、他
端側を解放され、ラツパ状の案内チユーブ２に挿
通される中間部を座席１２の側壁部に支持され
る。つまり、案内チユーブ２の両端部が断面Ｕ字
形のブラケツト４により座席の側壁部に固定され
る。一方、インナベルト１の端部が案内チユーブ
２の中間部に摺動可能に結合される。

緊急時案内チユーブ２が破壊されると、可撓性
ステー６がジグザグ状に折り曲げられて滑りを阻
止され、インナベルト１の荷重が可撓性ステー６
を経て車体で支持される。座席１２の前後・上下
の調節操作に際し、可撓性ステー６は案内チユー
ブ２に沿つて自由に移動するので、調節動作を妨
げない。

［発明の実施例］ 第１図に示すように、シートベルト装置はアウ
タベルト１１とインナベルト１とからなる。アウ
タベルト１１は公知のように先端を車体の側壁部
に固定され、基端部を座席１２の外側方において
フロアに固定したリトラクタに繰り出し可能に巻
き付けられる。アウタベルト１１の中間部に外挿
した連結金具１７がインナベルト１の上端に備え
たバツクル１８（第２図）に着脱可能に係止され
る。インナベルト１は金属または合成樹脂からな
るカバーで覆われ、下端部を支持装置１０により
座席の側壁部に支持される。したがつて、インナ
ベルト１は座席１２と一緒に前後方向および上下
方向に移動することができる。

座席１２は４隅部をリンク１５により可動枠１
４に支持され、リンク１５を図示してない上下位
置調節機構により揺動することにより、座席１２
の上下位置を調節される。可動枠１４はフロアに
固定した案内レールに沿つて前後位置を調節され
る。

支持装置１０は比較的脆弱な合成樹脂からなる
案内チユーブ２の両端部を、断面Ｕ字形の板から
なるブラケツト４により座席１２の側壁部に押え
付け、かつ３個のボルト１６により固定してな
る。案内チユーブ２の中央部に、インナベルト１
が下端を折り返して引つ掛けられ、かつボルトに
より連結される。

第３図に示すように、案内チユーブ２は後端側
がラツパ状に拡がつており、前端部にクリツプ３
を装着する環状溝２ａが設けられる。案内チユー
ブ２の両端部が断面ほぼＵ字形の板からなるブラ
ケツト４の両側部に設けた凹溝に係合され、環状
溝２ａにクリツプ３を係合して前後方向に移動し
ないように支持される。ブラケツト４の上端に、
前方へ向つて延びる案内片５が一体に構成され、
この案内片５と座席１２の側壁部との間に、イン
ナベルト１が座席の側方へ倒れないように案内さ
れる。

案内チユーブ２にワイヤなどの可撓性ステー６
が挿通され、この後端ないし基端部が金具１９に
挿通したボルトにより車体側、具体的にはフロア
トンネルの壁部に固定される。

以上の構成において、座席１２の前後位置を調
節する場合に、座席１２に固定された案内チユー
ブ２が可撓性ステー６に沿つて移動するため、何
らの支障もない。また、インナベルト１は座席１
２と一緒に移動するので、乗員に対するシートベ
ルトの拘束性は何ら変化しない。

座席１２の上下位置を調節する場合は、案内チ
ユーブ２と可撓性ステー６とは若干相対移動する
が、ラツパ状の部分で可撓性ステー６が円滑に案
内される。

緊急時、シートベルトに作用する荷重により、
案内チユーブ２の中央部が僅かに引き上げられる
と、第４図に示すように破壊され、可撓性ステー
６がジグザグに折り曲げられてインナベルト１と
可撓性ステー６との相対移動が阻止される。した
がつて、シートベルトの荷重と座席１２に作用す
る慣性荷重は可撓性ステー６を介して車体で支持
される。

第５，６図に示す実施例では、ブラケツト４の
内側に逆Ｌ字形の補強板９が重ね合され、かつ共
通のボルト穴１６ａに挿通したボルトにより座席
の側壁部に密着して固定される。第６図に示すよ
うに、補強板９と案内片５との間にインナベルト
１が挿通案内される。案内片５の内面に前後方向
に間隔を存して、複数個の突起５ａが形成され
る。同様に、インナベルト１の板面にも１個また
は複数個の突起１ａが形成される。

このように構成することにより、鋸歯状に配列
された突起５ａに突起１ａが噛み合つてインナベ
ルト１の後方移動が規制される。緊急時、インナ
ベルト１が引き上げられるとともに前方へ傾けら
れると、インナベルト１の突起１ａが案内片５の
突起５ａを乗り越えて新しい突起５ａと突起５ａ
との間へ落ち込む。これにより、車両の衝突後の
反動によるインナベルト１の後方傾動が抑えら
れ、乗員に加わる反力が抑えられる。

［発明の効果］ 本発明は上述のように、車体側に一端を固定し
た可撓性ステーを脆弱材料のラツパ状の案内チユ
ーブに挿通し、案内チユーブの両端部を座席の側
壁部に断面Ｕ字形の板からなるブラケツトにより
固定する一方、案内チユーブの中間部にインナベ
ルトの端部を摺動可能に係合したから、インナベ
ルトの端部が可撓性ステーに外挿したラツパ状の
案内チユーブと一緒に座席に固定されるので、座
席の前後位置および上下位置を調節しても、乗員
の拘束性が変化することなく、円滑に可撓性ステ
ーが案内チユーブに沿つて相対移動し、調節動作
に抗力を及ぼさない。

緊急時、インナベルトが引き上げられると、案
内チユーブが破壊され、インナベルトの端部によ
り可撓性ステーがジグザグ状に折り曲げられて両
者の相対移動が阻止される。これによりシートベ
ルトに作用する荷重は可撓性ステーを介して車体
で支持される。

インナベルトを可撓性ステーに連結する案内チ
ユーブは、両端部をブラケツトにより座席に固定
されるから、インナベルトにより可撓性ステーが
僅かにジグザグ状に変形されるだけで相対移動が
阻止され、この時のベルトの弛みは極めて僅かで
あるので、乗員の拘束力が緩んで乗員が飛び出す
などの恐れがない。

可撓性ステーは一端部を車体に固定されるだけ
で、他端側が解放されており、案内チユーブによ
るインナベルトの連結部に殆どガタがないので、
姿勢が安定であり、座席の位置調節に無理がな
く、シートベルトの乗員拘束性に変化がない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るシートベルト支持装置を
示す斜視図、第２図は同装置の要部拡大斜視図、
第３図は同装置の案内チユーブを示す斜視図、第
４図は同装置の作動を説明する側面図、第５図は
本発明の変更実施例に係るシートベルト支持装置
の要部を示す側面図、第６図は同平面図である。 １：インナベルト、２：案内チユーブ、４：ブ
ラケツト、５：案内片、６：可撓性ステー、９：
補強板、１１：アウタベルト、１２：座席。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 車体側に一端を固定した可撓性ステーを脆弱
   材料製のラツパ状の案内チユーブに挿通し、案内
   チユーブの両端部を座席の側壁部に断面Ｕ字形の
   板からなるブラケツトにより固定する一方、案内
   チユーブの中間部にインナベルトの端部を摺動可
   能に係合したことを特徴とするシートベルト支持
   装置。