JPS643462B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、ベーキング用被覆調味料組成物に関
し、更に詳しくは、揚油中で揚げたフライ食品の
外観、食感及び風味を持つ食品を、オーブン乃至
はオーブントースターでベーキング調理すること
により得られるベーキング用被覆調味料組成物に
関する。 ポークカツ、エビフライ、鶏のから揚げ等はフ
ライ種に、小麦粉、コーンスターチ、卵水、パン
粉等で衣づけした後、揚げた食品で、衣とフライ
種の食感、風味の調和により特徴づけられ、好ま
れる食品であるが、これらの食品を家庭で調理す
る場合、比較的多量の油を用意してその中で揚げ
ることが必須なため、引火の危険性、油ハネによ
る火傷や床、調理器具の汚れを生じ易く、また、
油の後始末が必要である等、焼く、蒸す、煮る等
の他の調理法にない問題を抱えている。更に手間
や経済性からみて、少量を手軽に作るといつた料
理には、比較的、向かず、いつでも気軽に作れる
といつた簡便性に欠ける。 このような油揚げ調理の持つ種々の問題点を解
消すべく、油揚げ調理を行わずに揚げたような食
品を得る試みが行われている。その代表的な例が
油脂、穀粉、パン粉等を組み合せた衣用ミツクス
であり、これを食品にまぶして焼くだけで、油で
揚げたような食品を得ようとするものである。し
かしながら、従来知られているこのような方法に
おいては、油揚げ調理を省略し、これに代るベー
キング調理で、揚げたような食品を得ることが第
一の目的とされていたために、風味、食感、外観
等の品質面で必ずしも満足できるものではなかつ
た。 すなわち、油脂、穀粉、パン粉等を組合せた従
来法においては、更に、フライ種へのミツクスの
付着性を改善する目的で、結合剤を使用してお
り、結合剤として、澱粉、デキストリン、ガム
質、多糖類その他を採用しているが、これらの従
来、使用されている結合剤によつては、例えば、
付着性やパリパリした歯触りの付与に効果はある
ものの、より好ましいフライ衣として備えるべき
特性である適度の保水性やフライ種表面に均一に
被膜を形成するといつた効果は期待できず、市販
の或いは家庭で常法に従い調理されたフライやか
ら揚げとは必ずしも同等のものとはいい難かつ
た。そして、この傾向は、オーブン等で、20〜30
分以上という比較的長時間かけてベーキング調理
される場合に比べ、オーブントースター等で、10
〜20分以下の短時間のベーキング調理で迅速にフ
ライやから揚げに仕上げる場合には、更に著しい
ものとなる。 本発明者は、従来法が持つ上記のような問題点
を改善すべく、鋭意研究を重ね、結合物質とし
て、澱粉及び水溶性蛋白を併用することにより、
上記問題点が解決できるとの知見に至り、本発明
を完成したものである。 すなわち、本発明は、固型脂、穀粉含有物質及
び結合物質を主成分とするベーキング用被覆調味
料組成物において、結合物質として、澱粉及び水
溶性蛋白を重量比で１：１〜３：２の割合で使用
するベーキング用被覆調味料組成物である。 結合物質として使用する澱粉は、小麦澱粉、と
うもろこし澱粉、ワキシーとうもろこし澱粉、米
澱粉、ワキシー米澱粉、馬鈴薯澱粉、甘蔗澱粉、
タピオカ澱粉、その他の生澱粉並びに加工澱粉が
使用されるが、これらの澱粉、好ましくはアミロ
ース含量の高いものを加熱糊化、冷却・乾燥粉砕
して得た膨潤度3.0〜6.0の加工澱粉の使用が望ま
しい。 水溶性蛋白としては、ゼラチン、大豆蛋白、卵
白その他が使用される。 熱凝固性の有無は問わないが、あまり強固な蛋
白被膜を形成したり、保水性の低いものは好まし
くないため、ゼラチンの使用が望ましい。 上記澱粉及び水溶性蛋白を重量比１：１〜３：
２の割合で組合せて使用する。すなわち、澱粉単
独の使用では、パリパリした乃至は堅い食感のも
のとなり、ソフト感に乏しくなり、逆に蛋白特に
非熱凝固性蛋白を単独で使用する場合には被膜形
成力が弱くなる。従つて、フライ種から離水する
水分を保持し、なおかつ硬くなりすぎず、ソフト
感を持たせ、短時間のベーキングで十分な衣の形
成を確保するためには、澱粉と水溶性蛋白、特に
上記膨潤度3.0〜6.0の加工澱粉とゼラチンの併用
が望ましい。 固型脂は、硬化植物油、動物油脂等、その種類
を問わず使用できる。 穀粉含有物質としては、コーンミール、オート
ミールその他の穀粒、セリアル細粉、及びパン粉
並びにとうもろこし粉、米粉、大麦粉、小麦粉等
の穀粉などが挙げられるが、好ましくは、コーン
ミール、セリアル細粉及びパン粉の中の１種以上
と小麦粉を重量比で４：６〜６：４の割合で併用
する。 固型脂、穀粉含有物質及び結合物質の組成比
は、固型脂が全体の10〜20％重量、穀粉含有物質
が50〜60％重量及び結合物質が12〜25％重量を占
めることが望ましい。 固型脂が20％以上の場合、ベーキング時、油の
ドリツプ量が増え、調理器具への油の付着等も増
え、途中で煙が出る等のトラブルが生じるし、逆
に10％以下では、固型脂とその他の原料、特にパ
ン粉等穀粉含有物質との混合が十分に行われず、
焼き上りに均一なフライ感が望めない。 穀粉含有物質が50％以下の場合、フライ種に均
一な衣を形成し難くなり、逆に60％以上になる
と、その他の原料の組成比が減少せざるを得ず、
衣の十分な発達を阻害する。結合物質の重量比12
〜25％も、その他の原料との関連で、結着性、保
水性等を改善する上で至適の範囲である。尚、本
発明のベーキング用被覆調味料組成物は、上記３
成分の他にも、残余の少量成分として調味料、香
辛料、着色料、その他の品質改良剤の加配を妨げ
るものでないことはいうまでもない。 本発明のベーキング用被覆調味料組成物は、そ
の製法を特に限定されるものではなく、例えば、
固型脂を除くすべての原料を混合し、固型脂の固
結が防止される程度に加温した後、加熱溶融した
固型脂をスプレーし、冷却し、次いで篩分する方
法や、穀粉含有物質の粒度が20メツシユよりも粗
い場合には、予め粒度の粗い穀粉含有物質を加温
し、加熱溶融した固型脂で被覆した後、その他の
原料を添加し、コーテイング造粒する等の方法が
挙げられる。 また、本発明は、いわゆるから揚げタイプのも
のと、フライタイプのものの両者を、穀粉含有物
質の選択に応じて取得できるが穀粉含有物質とし
て粒度が７〜20メツシユ程度のパン粉、セリアル
細粉等を使用するフライタイプにおいて、衣とし
ての改善効果が著しい。 本発明のベーキング用被覆調味料組成物の使用
方法は、豚肉、鶏肉、魚肉等を適当にカツトした
ものに、そのまままぶしつけるか或いは、牛乳、
卵、水等で表面の水分を補つた後、まぶしつけた
後、オーブン乃至はオーブントースター等でベー
キングすればよく、焼き上りは市販乃至は家庭で
常法に従い調理された、から揚げやフライと遜色
のない衣の形成が見られる。 次に、実施例により本発明を更に説明する。 実施例 １ ベーキング用被覆調味料組成物（）の配合 固型脂 15.5重量％ パン粉（10〜24メツシユ） 30 小麦粉 23 「ハイソフト」（味の素(株)製加工澱粉） ７ ゼラチン ６ 食 塩 9.7 グルタミン酸ソーダ 3.8 粉末醤油 1.8 粉末肉エキス 1.1 スパイスミツクス 2.1 加温したパン粉に加熱溶融した固型脂をスプレ
ーコーテイングした後、その他の原料を混合造粒
して、ベーキング用被覆調味料組成物（）を調
製した。 対照して、下記配合に基づき、上記と同一の方
法により、ベーキング用被覆調味料組成物（）
及び（）を調製した。 ベーキング用被覆調味料組成物（）の配合 固型脂 28重量％ パン粉（10〜24メツシユ） 38 小麦粉 14 ゼラチン ７ 食 塩 7.8 グルタミン酸ソーダ 3.0 スパイスミツクス 2.2 ベーキング用被覆調味料組成物（）の配合 固型脂 ６重量％ パン粉（10〜24メツシユ） 54 小麦粉 12 澱 粉 13.5 食 塩 7.5 グルタミン酸ソーダ 4.5 スパイスミツクス 2.5 別に豚肉片（100ｇ／枚）を用意し、上記３種
のベーキング用被覆調味料組成物をトレーに開け
た中に豚肉片をおしつけて均一にまぶしつけた
後、オーブントースター中で約10分間ベーキング
した。 更に、常法に従い豚肉片に小麦粉、とき卵及び
パン粉の順で衣づけし、揚油中で揚げたポークカ
ツを対照として調製した。 上記４種類のポークカツにつき、よく訓練され
た味覚パネル20名により、外観、食感及び風味に
ついての官能評価を実施した。結果を第１表に示
す。

【表】

【表】

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 固型脂、穀粉含有物質及び結合物質を主成分
   とするベーキング用被覆調味料組成物において、
   結合物質として、澱粉と水溶性蛋白を重量比で
   １：１〜３：２の割合で使用することを特徴とす
   るベーキング用被覆調味料組成物。 ２ 澱粉が、澱粉を加熱糊化・冷却・乾燥粉砕し
   て得た膨潤度3.0〜6.0の加工澱粉であることを特
   徴とする特許請求の範囲第１項記載のベーキング
   用被覆調味料組成物。 ３ 固型脂、穀粉含有物質及び結合物質の重量比
   が、各々10〜20％、50〜60％及び12〜25％である
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項記載のベ
   ーキング用被覆調味料組成物。