JPS643333Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、種子を単粒づつまたは数粒づつ播付
けていく播種機についての改良に関するものであ
る。

本考案において対象とする播種機は、種子ホツ
パー内に貯溜した種子粒を、機体の走行により回
転する車輪によつてエンドレスに回転するよう駆
動される種子繰出用のベルトに設けた繰出溝に嵌
入せしめて種子導管に運び出すようにする形態の
播種機である。

この形態の播種機は、種子繰出用のエンドレス
のベルトに設けた繰出溝により規制される数の種
子粒が、株間に対応する時間毎に間欠的に繰出さ
れるようにしてあるが、実際には、繰出溝に規定
の数以上の種子粒が嵌入することで、規定数以上
の粒数の種子粒が播付けられるようになり、その
ため、播付けた種子粒が発芽してきたときに、そ
の苗を所定の本数に仕立てるための間引き作業を
必要としている。

これは、種子繰出用に設ける繰出溝の大きさ
を、種子粒が入り易いよう種子粒の略1.3倍程度
に設けることと、種子の多くが、正しい球状では
なく、長径と短径とを具備する細長い形状になつ
ていて、種子ホツパー内に堆積されているとき
に、その堆積する種子粒の重量で押出されること
で、繰出機構に臨む下層側の種子粒が立つた姿勢
となる傾向を生じ、その立つた姿勢で、繰出機構
の繰出溝に嵌入していくことにより、繰出溝に対
しその繰出溝の大きさにより規定した粒数以上の
種子粒が入り込むようになることによるものであ
る。

この対策としては、種子繰出用のエンドレスの
トのベルトの繰出行程側の下面に、そのベルトを
支承するガイド板を配位して、機枠に振動可能に
組付けておき、このガイド板を電磁振動発生器で
振動さすことで、ベルトを振動させることによ
り、不整な姿勢としてベルトの繰出溝に嵌入した
種子粒を、繰出溝からはじき出し、繰出溝には所
定粒数の種子粒だけが嵌入していく手段が、実公
昭48−24568号公報に知られている。

しかし、この手段は、ガイド板を振動させる電
磁振動発生器とそれを駆動するための電源が必要
であり、本考案において対象としている播種機の
如く、オペレーターが手で押していくことで、手
押台車状に機体が走行し、それにより回転する車
輪によつて種子繰出用のベルトがエンドレスに回
動し、種子を繰出すようになる形態の播種機にお
いては、適応が困難である。

本考案は、従来手段に生じているこれらの問題
を解消せしめるためになされたものであつて、電
源を必要とする電磁振動発生器を用いずに、しか
も、種子繰出用のベルトの駆動輪となる機体の車
輪の負荷を極く軽くして、種子繰出用のベルトを
効果的に振動させて、そのベルトに設けた繰出溝
に、種子粒が正しい姿勢となつて所定の粒数づつ
嵌入していくようにする新たな手段を提供するこ
とを目的とする。

そして本考案においては、この目的を達成する
ための手段として、車輪により手押台車状に走行
する機体に、種子ホツパーを装架するとともに、
その種子ホツパーの繰出口に繰出方向の始端部を
臨ませたエンドレスの種子繰出用のベルト１張架
して、それの駆動プーリーの回転軸を前記車輪の
回転軸に伝導し、そのベルトの繰出行程の終端側
を種子導管に連通させ、該ベルトの繰出行程側の
上面側に、下面側が該ベルトの上面に摺接して該
ベルトの長手方向に沿い回動する回転ブラシを配
設し、該ベルトには前記繰出行程の方向に適宜の
間隔をおいて繰出溝を形設し、該ベルトの繰出行
程の下面側には、上面がそのベルトの繰出行程の
下面に摺接するガイド板を配位して機体に振動可
能に支架し、そのガイド板にはバネ板の一端側を
止着し、そのバネ板の他端側を、前記種子繰出用
のベルトの駆動プーリーに設けた歯車状の歯部に
圧接せしめてなる播種機を提起するものである。

次に実施の一例を図面に従い説明する。

第１図乃至第３図において、１は播種機Ａの機
体で、前後に長い桁杆状に作られ、前端部（第１
図で左端部）には後述する繰出機構ａの駆動輪と
なる前部の車輪２が軸支され、後端部には後部の
車輪３が軸支してある。

４は、前記機体１に装脱自在に組付けた繰出機
構ａの取付機枠で、機体１から立上る板状に形成
してあり、前端側の上端部に繰出機構ａの駆動軸
となる回転軸５が横架軸支してある。

６は繰出機構ａの機枠で、前後に長い桁杆状に
作られ、それの前端部は前記回転軸５中心に自在
に回動するようその回転軸５に支架され、また、
前後の中間部位は、前記取付機枠４に設けた弧状
の長孔７に嵌挿せしめたセツトネジ８及びそれに
螺合する締付ナツト９とにより、昇降調節自在に
前述の取付機枠４に支持され、この調節により、
回動端となる後端側が前述の回転軸５中心に上下
に回動し、後述するベルト１２の傾斜角度が所望
に調節されるようになつている。そして、該機枠
６には、前端部に前記回転軸５を回転軸として回
転する駆動プーリー１０を軸支し、また後端部に
従動プーリー１１を軸支して、これらプーリー１
０，１１に広巾の種子繰出用のベルト１２をエン
ドレスに張設してある。

前記ベルト１２は、播種しようとする種子の長
径側の長さよりも薄い肉厚に形成され、また、種
子粒を嵌入せしめて繰出すための繰出溝１３が、
所望の株間に対応する時間をおいて種子粒を繰出
すよう該ベルト１２の長手方向に所望の間隔をお
いて設けてある。該繰出溝１３は、繰出す種子粒
を所定の粒数づつに規制するためのものであり、
一株に播付けようとする種子粒の粒数に応じた大
きさに作るが、単粒播きの場合についていえば、
平面視において単粒の種子粒の略1.3倍程度の大
きさに形成する。そして、繰出溝１３は、この実
施例においては、ベルト１２の外面側から内面側
に打抜穴状に形成され、かつ、第６図に示す如
く、長手方向がベルト１２の繰出方向と平行する
状態として長方形状に形設してある。

また、該ベルト１２は、播付けようとする種子
に応じて作られるもので、前記プーリー１０，１
１に対して互換自在に装着される。この交換は、
機枠６の後端部に軸支せる従動プーリー１１の回
転軸１４を、その回転軸１４を後方に牽引するよ
う作用させてあるバネ１５の付勢に抗して、機枠
６の後端部に前後方向の長孔として設けてある軸
穴１６に沿い前方に動かし、駆動プーリー１０と
従動プーリー１１の軸間隔を詰めた状態とするこ
とで行なわれるようにしてある。

２０は上記繰出機構ａの種子繰出用のベルト１
２を駆動回転させる駆動機構で、前述の前輪２の
回転軸２１に設けたスプロケツト２２と前記駆動
プーリー１０の回転軸５に設けたスプロケツト２
３とそれらにエンドレスにかけまわしたチエン２
４とよりなり、機体１が進行することで回転する
前輪２の回転力によつて駆動プーリー１０を駆動
し、ベルト１２の繰出行程側である上方回動側
を、傾斜上昇端となつている前端側に向け回動せ
しめる。

３０は、前記種子繰出用のベルト１２の、長く
形成した繰出行程の内面側に設けたガイド板で、
前述の繰出機構ａの機枠６の上面に、セツトネジ
３１により組付けられることで、上面が前記ベル
ト１２の繰出行程側の内面（下面）に摺接する状
態となるようにしてある。

４０は前記種子繰出用のベルト１２の繰出行程
側の始端部（第１図で後端部）に、播種しようと
する種子粒を供給するための種子ホツパーで、底
面に前記ベルト１２の巾よりも幾分狭い巾で前後
に長く形成した排出口４１を具備し、その排出口
４１が第３図及び第４図に示している如く前記ベ
ルト１２の始端部の上面で閉鎖されるようにその
ベルト１２の始端側の上方に配位して、適宜のス
テーにより前述のガイド板３０に固定支持せしめ
てある。そして、該ホツパー４０の前壁４２の下
端部で前述の排出口４１に臨む部位にはゲート状
に繰出口４３が形設してあり、その繰出口４３に
は下端が前述のベルト１２の上面に摺接するブラ
シ４４が垂設してある。

５０は上記ホツパー４０の繰出口４３の前方
に、長く前方に向け突出しているベルト１２の繰
出行程側の上方に、そのベルト１２の繰出行程の
左右両側を囲うよう装設せる案内樋で、底面が前
記ベルト１２より幾分狭い巾に開放するチヤンネ
ル状に形成されて、前述のガイド板３０にステー
５１…により支持され、底面の開放口５２の左右
の側縁の下面は、該案内樋５０下面に取付けたク
ツシヨン材５３を介してベルト１２の上面の左右
両部に摺接せしめてあり、前壁５４の下端部には
前方に開放するゲート状の開放口５５が設けてあ
つて、そこに下端が前記ベルト１２の上面に摺接
するブラシ５６が垂設してある。

６０…は、前述のベルト１２の繰出行程側の上
面側に繰出方向に整列させて多連に配設せる回転
ブラシで、それぞれの回転軸６１を、第４図及び
第５図に示している如く、ベルト１２の繰出方向
と直交する姿勢として、ベルト１２の繰出方向に
適宜の間隔をおいてその方向に並列させ、それら
回転軸６１…を前記案内樋５０の左右の側壁間に
渡架軸支することで、２連に装設してある。そし
て、各回転ブラシ６０は、それの周面に植設され
る刷毛が、第４図に示している如く刷毛束６０ａ
を回転方向に間隔をおいて放射状に突出させた状
態に構成してあり、かつ、各回転軸６１の一方の
軸端部に設けたスプロケツト６２を、前述の駆動
プーリー１０の回転軸５に設けたスプロケツト６
３にチエン６４を介して伝導することで、ベルト
１２の上面に摺接する下面側がベルト１２の繰出
方向と逆方向に駆動回転するようにしてあり、こ
の回転ブラシ６０，６０と前述のベルト１２及び
ガイド板３０ならびに機枠６とにより繰出機構ａ
を構成している。

なお、この回転ブラシ６０，６０はベルト１２
上面に摺接する下面側がベルト１２の繰出方向と
順方向に回動するよう駆動せしめる場合がある。

７０は、前記ガイド板３０を振動させる振動機
構で、種子ホツパー４０の取付機枠を兼ねている
前述のガイド板３０を、機枠６にセツトネジ８を
介して組付けるときに、ガイド板３０と機枠６と
の間に弾性材７１を介装しておき、また、ガイド
板３０の前端部には、第６図に示している如くバ
ネ板７２を取付け、そのバネ板７２を駆動プーリ
ー１０の軸方向の両端に形成してあるフランジ１
０ａに設けた歯車状の歯部７３に圧接せしめて、
駆動プーリー１０の回転により、バネ板７２が振
動することで、ガイド板３０ごと種子ホツパー４
０が振動するようにしてある。

８０は、種子ホツパー４０の排出口４１からベ
ルト１２に設けた繰出溝１３に嵌入して運び出さ
れ、ベルト１２の前端側の回行部において放出さ
れる種子粒を誘導する種子導管で、上端部を前記
回行部を囲むホツパー状８１に形成し、昇降調節
自在とした下端の繰出管８２が、第３図に示す如
く踏圧面を深い凹面に形成して播種床に小畝を成
形する畝成形器を兼ねさせた前輪２のすぐ後方に
臨むよう配位せしめて、機体１に支持せしめてあ
る。

なお、後輪３は第３図に示している如く、踏圧
面を浅い凹面に形成して、繰出管８２から放出さ
れる種子粒が播付けられた前記前輪２により成形
される小畝を踏圧することで、覆土と鎮圧が完了
するようにしてある。また、８３はハンドルであ
る。

このように構成せる実施例装置は次のように作
用する。

種子ホツパー４０内に種子粒を収容せしめた状
態で、ハンドル８３を持つて機体１を押していけ
ば、機体１はそれに軸支してある車輪２，３が回
転することで走行する。そして、これによる車輪
２の回転で、種子繰出用のベルト１２の駆動プー
リー１０が回転して、その種子繰出用ベルト１２
が駆動回転し、これにより、種子ホツパー４０内
に収容せしめた種子粒は、種子ホツパー４０の排
出口４１に臨んでいるベルト１２の始端部におい
て、そのベルト１２に形設してある繰出溝１３に
嵌入した種子粒が、ベルト１２の回動による繰出
溝１３の移動により種子導管８０に向け繰出され
てくる。

そして、同時に、駆動プーリー１０の回転で、
それの両端部に設けてあるフランジ１０ａに形成
した歯車状の歯部７３…が回転し、その歯部７３
…に圧接しているバネ板７２が、一つの歯部７３
を越す度ごとに強くはじかれて、そのバネ板７２
を支持しているガイド板３０を振動させ、これに
より、ガイド板３０の上面に摺接して回動してい
く前記ベルト１２の繰出行程側を、歯部７３…の
ピツチに従い間欠的に振動させていくようにな
る。

このため、ベルト１２の繰出溝１３…に嵌入し
てベルト１２の回動により運び出される種子粒
は、そのベルト１２の繰出行程の間において、前
記バネ板７２が歯部７３…ではじかれることによ
る振動を受けるようになつて、不整な姿勢で繰出
溝１３…に嵌入した種子粒が横倒しの安定した姿
勢に変換していき、そのとき過剰に嵌入した種子
粒を繰出溝１３から溢出させ、繰出溝１３内に所
定の粒数の種子粒が残るようにする。

そして、このようにして繰出溝１３に嵌入した
種子粒および繰出溝１３からはみ出た種子粒およ
びベルト１２の上面に乗つて該ベルト１２に追従
して繰出される種子粒は、種子導管８０に繰り出
されていく間に、回転ブラシ６０の摺擦作用を受
け、回転ブラシ６０をダムとしてそれに堰止めら
れるように集積し、次に回動してくる繰出溝１３
…に嵌入して運び出されていくようになり、この
嵌入の際にもバネ板７２がはじかれることによる
振動を受けるようになる。

このため、繰出溝１３に嵌入するとき、第８図
の如く立つた姿勢となつていることで不整な姿勢
となつて規定粒数以上繰出溝１３に嵌入するよう
になる種子粒Ｇは、正しい姿勢（寝た姿勢）に矯
正されたものだけが残つて、繰出溝１３に所定の
粒数（この実施例では単粒）となつて嵌入するよ
うになる。

以上説明したように、本考案による播種機は、
車輪２，３により手押台車状に走行する機体１
に、種子ホツパー４０を装架するとともに、その
種子ホツパー４０の繰出口４３に繰出方向の始端
部を臨ませたエンドレスの種子繰出用のベルト１
２を張架して、それの駆動プーリー１０の回転軸
５を前記車輪２の回転軸２１に伝導し、そのベル
ト１２の繰出行程の終端側を種子導管８０に連通
させ、該ベルト１２の繰出行程側の上面側に、下
面側が該ベルト１２の上面に摺接して該ベルト１
２の長手方向に沿い回動する回転ブラシ６０を配
設し、該ベルト１２には前記繰出行程の方向に適
宜の間隔をおいて繰出溝１３…を形設し、該ベル
ト１２の繰出行程の下面側には、上面がそのベル
ト１２の繰出行程の下面に摺接するガイド板３０
を配位して機体１に振動可能に支架し、そのガイ
ド板３０にはバネ板７２の一端側を止着し、その
バネ板７２の他端側を、前記種子繰出用のベルト
１２の駆動プーリー１０に設けた歯車状の歯部７
３に圧接せしめて構成してあるのだから、エンド
レスに回動する種子繰出用のベルト１２に設けた
繰出溝１３に対し所定粒数の種子粒が嵌入してい
くよう、その繰出溝１３に嵌入する種子粒の姿勢
を正しく修正さすために、ベルト１２を振動させ
るのを、ベルト１２の駆動プーリー１０に設けた
歯車状の歯部７３…に圧接するバネ板７２が、一
つの歯部７３を越える度ごとに、はじかれるよう
になる作動をもつて、ガイド板３０を振動さすこ
とで行なうようにしていることから、電源を必要
とする電磁振動発生器を用いずに、しかも、種子
繰出用のベルトの駆動輪となる機体の車輪の負荷
を極く軽くして、種子繰出用のベルトを効果的に
振動させて、そのベルトに設けた繰出溝に、種子
粒が正しい姿勢となつて所定の粒数づつ嵌入して
いくようにし得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を実施せる播種機の側面図、第
２図は同上の反対側から見た側面図、第３図は同
上の平面図、第４図は同上の要部の縦断側面図、
第５図は同上要部の縦断正面図、第６図は同上の
部分の斜視図、第７図及び第８図及び第９図なら
びに第１０図は作用の説明図である。 図面符号の説明、Ａ……播種機、ａ……繰出機
構、１……機体、２……前部の前輪、３……後部
の後輪、４……取付機枠、５……回転軸、６……
機枠、７……長孔、８……ネジ、９……締付ナツ
ト、１０……駆動プーリー、１０ａ……フラン
ジ、１１……従動プーリー、１２……ベルト、１
３……繰出溝、１４……回転軸、１５……バネ、
１６……軸穴、２０……駆動機構、２１……回転
軸、２２，２３……スプロケツト、２４……チエ
ン、３０……ガイド板、３１……セツトネジ、４
０……種子ホツパー、４１……排出口、４２……
前壁、４３……繰出口、４４……ブラシ、４５，
５１……ステー、５０……案内樋、５２……開放
口、５３……クツシヨン材、５４……前壁、５５
……開放口、５６……ブラシ、６０……回転ブラ
シ、６０ａ……刷毛束、６１……回転軸、６２，
６３……スプロケツト、６４……チエン、７０…
…振動機構、７１……弾性材、７２……バネ板、
７３……歯部、８０……種子導管、８１……ホツ
パー状、８２……繰出管、８３……ハンドル、Ｇ
……種子粒。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車輪２，３により手押台車状に走行する機体１
   に、種子ホツパー４０を装架するとともに、その
   種子ホツパー４０の繰出口４３に繰出方向の始端
   部を臨ませたエンドレスの種子繰出用のベルト１
   ２を張架して、それの駆動プーリー１０の回転軸
   ５を前記車輪２の回転軸２１に伝導し、そのベル
   ト１２の繰出行程の終端側を種子導管８０に連通
   させ、該ベルト１２の繰出行程側の上面側に、下
   面側が該ベルト１２の上面に摺接して該ベルト１
   ２の長手方向に沿い回動する回転ブラシ６０を配
   設し、該ベルト１２には前記繰出行程の方向に適
   宜の間隔をおいて繰出溝１３…を形設し、該ベル
   ト１２の繰出行程の下面側には、上面がそのベル
   ト１２の繰出行程の下面に摺接するガイド板３０
   を配位して機体１に振動可能に支架し、そのガイ
   ド板３０にはバネ板７２の一端側を止着し、その
   バネ板７２の他端側を、前記種子繰出用のベルト
   １２の駆動プーリー１０に設けた歯車状の歯部７
   ３に圧接せしめてなる播種機。