JPS64330Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、車両に装備されるラジユエータをダ
イナミツクダンパのウエイトマスとして機能させ
ることによりエンジンのアイドル運転時における
車体の共振を抑制できるようにした共振抑制装置
に関するものである。

車両の運転時、特に低回転時、エンジンの回転
数に伴う振動が車体に伝搬し、車体前部が上下に
首振り共振し、車室内への振動、騒音として侵入
し改善が望まれる。そこでボデイの剛性をアツプ
することも考えられるが、一般に大幅な構造変更
なしでは効果ない。

ところで車両の前部に上記車体前部の首振り共
振を相殺するダイナミツクダンパを設け、共振を
抑制することが可能であるが、かかるダイナミツ
クダンパを機器の多い車両前部に付設することは
困難である。

そこで本考案の目的は、車両に装備されるラジ
ユエータを利用し、ダイナミツクダンパのウエイ
トマスとしてラジユエータを機能させることで、
エンジンアイドル運転時における車体の共振を抑
制できるようにした共振抑制装置を提供すること
にある。

以上の問題を解決して目的を達成すべく本考案
は、エンジンが搭載された車体にラジユエータを
マウントラバーを介して弾性支持する車両におい
て、マウントラバーの上下方向バネレートを、冷
却水を含むラジユエータマスとエンジンアイドル
運転時の車体の上下方向振動数とから定まる、車
体の共振を抑制するバネレートに設定し、マウン
トラバーとラジユエータとからなるダイナミツク
ダンパを構成したことを特徴とする。

次に本考案の好適一実施例を添付図面に従つて
詳述する。

第１図はラジユエータ支持部を含む背面図で、
車体エンジンルームの前部に上下にクロスメンバ
１，２が横架され、クロスメンバ１，２は図示例
では第２図の如く閉断面構造の梁状をなす。ラジ
ユエータ３はクロスメンバ１，２間の後面に付設
して取付支持される。

下部クロスメンバ２の左右に離間した後面には
上向き開放したチヤンネル状のブラケツト４，４
が付設され、一方、ラジユエータ３の両側下部に
は左右に支持ステー５を図示の如く突設し、ステ
ー５とブラケツト４，４との間にマウントラバー
６を介設する。マウントラバー６は第５図の如く
前後方向の中間部６ｂに上方への凹所６ａを有
し、この上にステー５の垂下部５ａが臨んでこの
中間部６ｂの実質的容量を小さくし、上下方向に
良く追従する如くバネレートを小さくし、前後方
向には容量が大きくバネレートが大きくなるよう
に設定している。図中、６ｃはブラケツト４に設
けた水抜孔である。

ラジユエータ３の上部左右には略Ｌ型の取付ス
テー７，７を固設し、このステー７，７と上部ク
ロスメンバ１との間にマウントラバー８を介装す
る。マウントラバー８は第３図に示される如く
で、前基板９と後基板１０との間にラバー１１を
焼付結着し、前基板９はクロスメンバ１の後面１
ａと接するフラツトな本体９ａと、これの上端か
ら折曲され、後方に水平に延出された上片９ｂ
と、上片９ｂ後端から下方に折曲垂下されたスト
ツパ部９ｃとからなり、鋼板素材を上部のみがＵ
型となる如く折曲して一体成形される。他方、後
基板１０は本体１０ａが前基板本体９ａと離間し
て平行し、これの上端を後方に折曲して水平な止
片１０ｂを備え、止片１０ｂは前基板上片９ｂと
平行して下辺にあつて離間し、止片１０ｂの先端
１０ｃとストツパ部９ｃとの間には充分の隙間が
存する。

この基板９，１０間にラバー１１の前後面１１
ａ，１１ｂを焼付けて双方を一体化し、後基板１
０の上部及び止片１０ｂ並びに先端１０ｃはラバ
ー１１の延出部１１ｃで覆い、止片１０ｂ上の部
分は厚肉とし、上片９ｂとの間でリバウンドスト
ツパラバー部１１ｄを形成する。そしてラバー１
１の前後面１１ａ，１１ｂの間はその中間部を左
右方向に肉抜きして空所Ｓを形成する。従つてラ
バー１１は止片１０ｂまでを覆い、基板９，１０
の上部を繋ぐ上ピースＡと、これの下辺に離間し
て配設され、基板９，１０の下部のみを繋ぐ下ピ
ースＢとからなる。更に後基板１０の止片１０ｂ
下面にはラバー１１の肉薄部１１ｅを設け、これ
の下に離間してステー７の上端から後方に折曲し
たストツパ部を臨ませる。

マウントラバー８の後基板１０にボルト１２を
溶接等し、これをステー７にナツト１３、ワツシ
ヤ１４を介して螺着し、マウントラバー８の前基
板９をボルト１５、ワツシヤ１６を介して上部ク
ロスメンバ１の後面１ａに対してこれに溶接等し
たナツト１７で螺着する。各ボルト・ナツト１
２，１３及びボルト・ナツト１５，１７は左右方
向に同一位置のラバー１１の上下ピースＡ，Ｂ間
に形成された既述の空所Ｓ内に臨ませ、実施例で
は上部クロスメンバ１側の螺締個所を第４図の如
く左右二箇所とし、この間にステー７側の螺締個
所を臨ませた。

以上によりマウントラバー８，１１は上下方向
にバネレートが小さく、前後方向にはバネレート
が大きくなる。かくして上部クロスメンバ１とラ
ジユエータ３の上部とはマウントラバー８，１１
で前後方向が硬く、上下方向が柔かく連結される
こととなる。

尚、上下のマウントラバー６及びマウントラバ
ー８，１１のバネレートは車体前部の上下振動に
対し、ラジユエータ３がダイナミツクダンパとな
るよう冷却水を含むラジユエータマスと、エンジ
ンアイドル運転時の車体前部の上下方向の振動数
とに適合するバネレートとし、ラジユエータ３の
上下動を容易なる如くしている。

以上において、エンジンの運転によりアイドリ
ング時に車体前部は上下に振動し、これに起因し
て首振り共振（車体の上下方向の曲げ共振）が発
生する。この場合、クロスメンバ１，２は車体と
一緒に振動するが、ラジユエータ３は上下でマウ
ントラバー６，８により弾性支持され、上下方向
のバネレートが小さくなるように弾性支持されて
いるため、相対的に車体とは逆方向に運動し、即
ちダイナミツクダンパのウエイトマスとして機能
し、共振を相殺する如く作用し、共振を可及的に
減少、抑制することとなる。

詳細には、車体側である上部クロスメンバ１の
上下動は、マウントラバー８のラバー１１の上下
ピースＡ，Ｂ間の空所Ｓの存在による小さいバネ
レートによりラジユエータ３のステー７との間で
相対的に行われ、クロスメンバ１とラジユエータ
３との間でラジユエータ３がダイナミツクダンパ
のウエイトマスとして良好に機能し、車体側の首
振り振動を相殺し、高い減衰効果を得ることがで
き、また下側のマウントラバー６の作用もダイナ
ミツクダンパのウエイトマスとしてラジユエータ
３を機能させるものである。

要するに本考案は、エンジンを搭載した車体に
ラジユエータを弾性支持するマウントラバーの上
下方向バネレートを、冷却水を含むラジユエータ
マスとエンジンアイドル運転時の車体の上下方向
振動数とから定まる、車体の共振を抑制するバネ
レートに設定し、マウントラバーとラジユエータ
とからなるダイナミツクダンパを構成したもので
ある。これによりエンジンのアイドル運転時にお
いて、車体にマウントラバーを介して弾性支持さ
れたラジユエータをダイナミツクダンパのウエイ
トマスとして機能させることができ、従つて車体
の共振を抑制することができる。

以上において、マウントラバー８の後基板１０
の止片１０ｂ上にラバー１１の上ピースＡによる
肉厚のリバウンドストツパラバー部１１ｄに対し
前基板９の上片９ｂが衝合した場合にダンピング
作用を奏する。また万一、ラバー１１が切断した
場合、後基板１０の止片先端１０ｃと前基板９の
ストツパ部９ｃとが衝合し、これによりラジユエ
ータ３上部の後方への倒れを防止でき、且つ止片
先端１０ｃまでラバー部１１ｆを形成することに
より衝撃は緩和される。

以上のように本考案によれば、エンジンが搭載
された車体にラジユエータを弾性支持するマウン
トラバーの上下方向バネレートを、冷却水を含む
ラジユエータマスとエンジンアイドル運転時の車
体の上下方向振動数とから定まる、車体の共振を
抑制するバネレートに設定することで、マウント
ラバーとラジユエータとからなるダイナミツクダ
ンパを構成したため、エンジンアイドル運転時に
おいて、ラジユエータをダイナミツクダンパのウ
エイトマスとして機能させることができ、従つて
ダイナミツクダンパを別設することなくラジユエ
ータを有効に利用して車体の共振を抑制すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
はラジユエータ及び取付部の背面図、第２図は同
縦断側面図、第３図は上部支持部の拡大縦断面
図、第４図は同背面図、第５図は下部支持部の拡
大断面図である。 尚、図面中、３はラジユエータ、６，８はマウ
ントラバーである。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 エンジンが搭載された車体にラジユエータをマ
   ウントラバーを介して弾性支持する車両におい
   て、 マウントラバーの上下方向バネレートを、冷却
   水を含むラジユエータマスとエンジンアイドル運
   転時の車体の上下方向振動数とから定まる、車体
   の共振を抑制するバネレートに設定し、 マウントラバーとラジユエータとからなるダイ
   ナミツクダンパを構成したことを特徴とする車両
   の共振抑制装置。