JPS643233B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は筆記具用金銀インキに関し、更に詳し
くは金属粉顔料の分散に優れた筆記具用金銀イン
キに関する。 従来より、着色材として金属粉顔料を使用した
インキは筆跡が金属光沢を有するといつた特徴ゆ
え注目されてきている。しかしながら金属粉顔料
は比重が大きいため、インキ化した際、沈降しや
すく分散安定性が悪いといつた大きな問題点を有
している。特に筆記具用として使用する場合、筆
記具に内蔵されたインキは濃度差をもちやすく、
それゆえ筆跡に色むらが生じるといつた問題点が
あつた。 本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意研
究を重ねた結果、クマロン樹脂と脂肪族アマイド
を併用することにより、金属粉顔料の分散安定性
を向上することを見い出し、本発明を完成したも
のである。即ち、本発明は金属粉顔料と、クマロ
ン樹脂と、脂肪族アマイドと、有機溶剤とから少
なくともなる筆記具用金銀インキを要旨とするも
のである。 本発明において重要な点はクマロン樹脂と脂肪
族アマイドを併用することである。両者を併用す
ることにより、何故、金属粉顔料の分散安定性が
向上するのかは定かではないが以下の様に推察す
る。 一般に金属粉顔料は金属粉を顔料化する際に潤
滑剤としてステアリン酸、オレイン酸などの脂肪
酸を使用しており、表面に脂肪酸が吸着されてい
る。この金属粉顔料の表面に脂肪族アマイドが吸
着し、金属粉顔料に吸着した脂肪酸と脂肪族アマ
イドが相互作用をして、有機溶剤中に分散安定化
しているクマロン樹脂に対して何らかの結合を
し、上記金属粉顔料をクマロン樹脂中にとり込ま
せるために、金属粉顔料が有機溶剤中に分散安定
化するものと思われる。 以下、本発明について詳細に説明する。 金属粉顔料は筆跡に色調、及び金属光沢を与え
る着色材として使用するもので、その具体例を挙
げれば、黄銅粉、アルミニウム粉などがあり、そ
の使用量はインキ全量に対して10〜40重量％が好
ましい。 クマロン樹脂は、脂肪族アマイドとの併用によ
り金属粉顔料の分散安定化を向上させる分散安定
剤として主に使用するもので、その具体例を挙げ
れば日鉄クマロンＧ―75、同Ｇ―90、同Ｔ―105、
同Ｔ―120、同Ｖ―120、同Ｌ―10、同Ｌ―20（以
上日鉄化学工業(株)製）などがあり、その使用量は
インキ全量に対して５〜40重量％が好ましく、５
重量％より少ないとインキ粘度が低くなり、40重
量％より多いとインキ粘度が高くなるといつた問
題を有する。 脂肪族アマイドは、クマロン樹脂との併用によ
り金属粉顔料の分散安定性を向上させる分散安定
剤として使用するもので、その具体例を挙げれば
アーマイド18、同HT、同Ｃ、同Ｏ、アーモワツ
クス、アーモワツクスEBS（以上ライオン・アー
マー(株)製）、キレスライトＣ（キレスト化学(株)製）
などがあり、その使用量はインキ全量に対して
0.01〜5.0重量％が好ましく、0.01重量％より少な
いと効果が弱く、5.0重量％より多くとももはや
それ以上の効果は得られず経済的に好ましくな
い。 溶剤としてはほとんど全ての有機溶剤が使用可
能であるが、具体例を挙げればトルエン、キシレ
ンなどの芳香族炭化水素、酢酸ブチル、酢酸アミ
ルなどのエステル類、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトンなどのケトン類、シクロヘキ
サン、ｎ―ヘプタンなどの炭化水素類、エタノー
ル、プロパノール、ブタノールなどのアルコール
類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エ
チレングリコールモノエチルエーテルなどのセロ
ソルブ類などがあり、これらは単独、もしくは混
合して使用可能であり、その使用量はインキ全量
に対して40〜80重量％が好ましい。尚、必要に応
じて各種界面活性剤、防錆剤などの添加剤を適宜
量添加することもできる。 次に本発明のインキの製造方法を簡単に述べ
る。 本発明のインキは上記した成分を混合し、撹拌
することによつて容易に得られる。 以下、実施
例により本発明をより詳細に説明するが、実施例
中「部」とあるのは「重量部」を示す。 実施例 １ ブロンズ粉No.7000（黄銅粉顔料、福田金属箔粉
工業(株)製） 30.0部 日鉄クマロンＧ―90（クマロン樹脂、日鉄化学
工業(株)製） 30.0部 アーマイドHT（脂肪族アマイド、ライオン・
アーマー(株)製） 0.1部 キシレン 40.0部 上記成分を混合し、常温で撹拌することにより
金色インキを得た。 比較例 １ 実施例１の組成中アーマイドHTを除いた他は
実施例１と同様にして金色インキを得た。 実施例 ２ ブロンズ粉No.5000（黄銅粉顔料、福田金属箔粉
工業(株)製） 20.0部 日鉄クマロンＶ―120（クマロン樹脂、日鉄化学
工業(株)製） 30.0部 キレスライトＣ（脂肪族アマイド、キレスト化
学(株)製） 0.2部 キシレン 30.0部 酢酸ｎブチル 20.0部 防錆剤 0.01部 上記成分を混合し、常温で撹拌することにより
金色インキを得た。 比較例 ２ 実施例２の組成中日鉄クマロンＶ―120 30.0部
の代わりにエステルガム30.0部を加えた他は実施
例２と同様にして金色インキを得た。 実施例 ３ アルペースト240T（アルミニウム粉顔料、東洋
アルミニウム(株)製） 16.0部 日鉄クマロンＧ―90（クマロン樹脂、日鉄化学
工業(株)製） 20.0部 アーマイドＯ（脂肪族アマイド、ライオン・ア
ーマー(株)製） 0.1部 キシレン 50.0部 メチルイソブチルケトン 14.0部 上記成分を混合し、常温で撹拌することにより
銀色インキを得た。 比較例 ３ 実施例３の組成中アーマイドＯを除いた他は実
施例３と同様にして銀色インキを得た。 以上、実施例１〜３、比較例１〜３で得られた
インキの分散安定性試験の結果を以下の表に示
す。

【表】

【表】 以上、試験結果で示した様に本発明のインキは
金属粉顔料の分散安定性に優れたものであり、筆
記具に使用した際、色むらがなく、しかも、リー
フイング性のよい金属光沢を有する筆跡を得るこ
とができるものである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 金属粉顔料と、クマロン樹脂と、脂肪族アマ
   イドと、有機溶剤とから少なくともなる筆記具用
   金銀インキ。