JPS642574Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、苗植付装置を車体に対してローリン
グ操作する駆動機構を設け、前記苗植付装置の対
地左右傾斜姿勢を検出する傾斜検出装置を設け、
前記苗植付装置の対地左右傾斜姿勢を設定範囲内
に維持させるよう前記傾斜検出装置の情報に基づ
いて自動的に前記駆動機構を作動させる制御機構
を設けた田植機に関する。

上記田植機は、車体が接地する地面の凹凸のた
めに左右に傾斜するようなことがあつても、苗植
付装置の対地左右傾斜姿勢を自動的に設定範囲内
に維持させるようにすることによつて、植付姿勢
の一定化を図るようにし、しかも、車体横巾方向
複数条に苗を植付ける場合においては、複数条
夫々の植付深さの一定化を図ることができるよう
にしたものであるが、従来構造のものは、次に述
べる不都合があつた。

すなわち、従来では、苗植付装置を車体に対し
てローリング操作する駆動機構として、油圧シリ
ンダを用いるようにしているが、油圧シリンダ
は、使用する油の粘性が油温の変化により変動す
る等に起因して、その伸縮作動速度が変化するも
のであるため、常に、適正な速度でローリング操
作を行なわせることができず、例えばローリング
操作速度が速過ぎてハンチングを生じたり、これ
とは逆に、ローリング操作速度が遅過ぎて、植付
苗の姿勢が所望姿勢から大きく外れてしまう等の
不都合をもたらす虞れがあつた。

又、従来では、傾斜検出装置を構成するに、圃
場面に沿つて追従移動する左右一対の接地センサ
ーの夫々を、苗植付装置に対して各別に上下動す
る状態で設け、もつて、左右接地センサー夫々の
苗植付装置に対する高さの差に基づいて対地左右
傾斜姿勢を検出させるようにしているが、この場
合、両接地センサーが圃場面凹凸のために上下動
することに起因して、誤検出を起す虞れがあり、
その結果、不必要なローリング操作を行なつてし
まう不都合があつた。

本考案は、上記実情に鑑みて為されたものであ
つて、合理的な改造によつて、上記両不都合を一
挙に解消せんとするものである。

本考案は、冒記田植機において、ローリング操
作用螺軸を、その一端がわが前記苗植付装置がわ
又は前記車体がわに回転自在に且つスライド不能
に支持される状態で、且つ、他端がわが前記苗植
付装置がわ又は車体がわに取付けた被螺合部材に
螺合する状態で設け、前記駆動機構が、前記螺軸
を正逆転操作するよう前記螺軸に対してそれの軸
心方向に移動可能に係止連結させた電動モータで
あり、前記傾斜検出装置が、前記苗植付装置の水
平姿勢に対する左右傾斜を電気信号の変動として
検出する装置であることを特徴とする。

すなわち、常に定速度で回転作動させることが
できる電動モータによつて、苗植付装置を車体に
対してローリング操作させるようにしてあるか
ら、油圧シリンダを用いた場合においてローリン
グ作速度が不測に変化してしまうことに起因する
冒記不都合を解消して、常に、適正な速度でロー
リング操作させることができるようになつた。し
かも、上記の如く、電動モータにてローリング操
作させるに、電動モータにて正逆転操作されるロ
ーリング操作用螺軸を設けてあるから、螺軸にお
ける減速作用により、回転特性が安定した高速回
転型の電動モータを使用することができるのであ
り、高速回転型に較べて回転特性が不安定な低回
転型の電動モータを使用するに較べて、一層確実
に、適正な速度でローリング操作させることがで
きるようになつた。そのうえ、上記の如く、電動
モータにて螺軸を回転操作させるに、電動モータ
を、苗植付装置がわ又は車体がわに回転自在且つ
スライド自在に支持させた螺軸に対して、それの
軸心方向に移動可能に係止連結させるようにして
あるから、苗植付装置に対するローリング操作に
て作用する負荷を螺軸のみに作用させ、つまり、
前記負荷を電動モータに作用させないようにする
ことができるのであり、前記負荷が電動モータに
作用した場合において電動モータが損傷されるの
を回避できるのである。

さらに、車体の左右傾斜に起因する苗植付装置
の左右傾斜のみを検出できる苗植付装置の水平姿
勢に対する左右傾斜を電気信号の変動として検出
する装置によつて苗植付装置の対地左右傾斜姿勢
を検出させるようにしてあるから、接地センサー
を用いた場合において圃場面の凹凸のために不要
なローリング操作が行なわれてしまう不都合を解
消して、常に、適正なローリング操作を行なわせ
ることができるようになつた。

もつて、上記利点の相剰により、長期間に亘つ
て適正なローリング操作を行なわせることが可能
となつた。

次に、本考案の実施例を例示図に基づいて説明
する。

第１図に示すように、向き変更操作可能な左右
推進用前輪１，１、左右推進用後輪２，２、エン
ジンＥ、運転席３、ステアリングハンドルＳ等を
備えた車体の後部に、上方リンク４ａ，及び、左
右一対の下方リンク４ｂ，４ｂを上下揺動自在に
枢支し、リンク４ａ，４ｂの後端部に、一定スト
ロークで横往復移動される苗のせ台５、上下に循
環作動しながら苗のせ台５に載置されたマツト苗
の下端部列に沿つて順次一株分づつの苗を植付け
る爪６の四個、左右一対の整地フロート７を備え
た苗植付装置８を取付け、苗植付装置８を昇降操
作すべく上下リンク４ａ，４ｂを揺動操作する油
圧シリンダ９を、上方リンク４ａに作用させる状
態で設け、更に、油圧シリンダ９と上方リンク４
ａとの間に緩衝用スプリング１０を設け、もつ
て、機体進行に伴い順次４条の苗を植付ける作業
を行ない、しかも、植付深さの調節のため及び枕
地走行や路上走行時において地面との接当を回避
させるために苗植付装置８を昇降操作可能な乗用
型田植機を構成してある。

第２図乃至第４図に示すように、前記苗植付装
置８におけるフレームを兼ねた横長状の駆動ケー
ス１１を、前記上下リンク４ａ，４ｂの後端部に
連結された枠体１２に、前後方向軸心Ｘ周りに回
転自在にピン１３を用いて取付け、前記枠体１２
から右横側方に延出させたブラケツト１４に、筒
状枠体１５を前後方向軸心周りに回転自在に枢支
連結し、苗植付装置ローリング操作用螺軸１６の
上端部を、筒状枠体１５に回転自在且つスライド
不能にベアリングを用いて取付け、螺軸１６の下
端部を、前記駆動ケース１１に連設のブラケツト
１７に前後方向軸心周りに揺動自在に枢支した筒
状部材１８に内嵌させる状態で螺合し、ギヤ減速
機構が一体的に組込まれた正逆転自在な電動モー
タ１９を、前記筒状枠体１５にボルト連結し、電
動モータ１９の角軸状出力軸１９ａを、前記螺軸
１６の上端部に相対回転不能且つ軸心方向に相対
移動可能に係入させた状態で係止連結し、もつ
て、電動モータ１９の正逆転によつて、苗植付装
置８を車体に対してローリング操作できるように
してある。

前記駆動ケース１１から立設した逆Ｕ字状の苗
のせ台支持枠２０に、苗植付装置８の水平姿勢に
対する左右傾斜を電気信号の変動として検出する
装置２１が取付けられている。この装置２１を構
成するに、ケース２２内に、自重下降揺動する錘
２３を、前後方向軸心Ｙ周りに揺動自在に吊下げ
支持した状態で設け、前記苗植付装置８が水平姿
勢から左方又は右方へ設定範囲以上傾斜すると、
前記錘２３によつて操作されるリードスイツチ２
４ａ，２４ｂを設けてある。

第５図に示すように、前記両リードスイツチ２
４ａ，２４ｂの夫々を、前記電動モータ１９に対
する正転駆動用操作回路２５ａ及び逆転駆動用操
作回路２５ｂに各別に接続し、もつて、苗植付装
置８が設定範囲以上左方に傾斜すると、電動モー
タ１９を正転作動させて苗植付装置８を水平姿勢
がわへローリング操作させ、これとは逆に、苗植
付装置８が設定範囲以上右方に傾斜すると、電動
モータ１９を逆転作動させて苗植付装置８を水平
姿勢がわへローリング操作する制御機構を構成し
てある。

要するに、車体がそれが接地する地面凹凸のた
めに左右に傾斜するようなことがあつても、苗植
付装置８の左右傾斜姿勢を水平姿勢近くの設定範
囲内に維持させるようにすることによつて、植付
苗の姿勢の一定化を図り、しかも、４条の苗夫々
の植付深さの一定化を図るようにしてある。

尚、図中２６は、メインスイツチである。

前記両モータ操作回路２５ａ，２５ｂを収納す
るケース２７を、前記苗のせ台支持枠２０に取付
け、もつて、路上走行時において、車体に対して
緩衝用スプリング１０を用いて弾性支持される苗
植付装置がわに、前記ケース２７、傾斜検出装置
２１、及び、電動モータ１９を取付けることによ
つて、前記諸装置が衝撃のために損傷することを
抑制できるようにしてある。

第６図及び第７図に示すように、エンジンＥの
出力が車輪１，２及び苗植付装置８に伝動される
のを断続する主クラツチペダル２８を、踏み込み
にて遮断状態に操作する状態で、且つ、上方がわ
へ自動復帰するよう弾性付勢した状態で設け、主
クラツチペダル２８の踏み込み操作時にそれにて
押圧入り操作される常開型リミツトスイツチ２９
を、前記エンジンＥの起動用電動モータ３０に対
して、それの起動スイツチ３１と直列に接続させ
る状態で設け、もつて、エンジン始動を安全に行
なえるようにしてある。又、前記リミツトスイツ
チ２９を押圧入り操作する揺動片３２を、押圧解
除がわに弾性付勢した状態で設け、前記起動スイ
ツチ３１に対する操作用キー３３の横側部に設け
たスライド操作具３４を、前記揺動片３２に対し
て、引張り操作により押圧入り操作状態がわへ揺
動させることができるようワイヤ３５を介して連
動連結し、もつて、点検、調節時等において、車
体外に位置しながらもエンジンＥを始動できるよ
うに構成してある。

尚、本考案を実施するに、螺軸１６を、苗植付
装置がわに回転自在に且つスライド自在に支持さ
せるようにしてもよい。

又、傾斜検出装置２１としては、例えば実施例
で述べた錘２３にて操作されるポテンシヨメータ
を設けて、苗植付装置８に対する左右傾斜を電気
信号を連続的に変化させる状態で検出させるよう
にする等、各種構成のものが使用できる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る田植機の実施の態様を例示
し、第１図は乗用型田植機の側面図、第２図は苗
植付装置連結構造の側面図、第３図は同構造の正
面図、第４図は電動モータ装着部の一部切欠き側
面図、第５図は電気回路図、第６図はリミツトス
イツチとスライド操作具との連係図、第７図は電
気回路図である。 ８……苗植付装置、１６……螺軸、１８……被
螺合部材、１９……電動モータ、２１……傾斜検
出装置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 苗植付装置８を車体に対してローリング操作す
   る駆動機構１９を設け、前記苗植付装置８の対地
   左右傾斜姿勢を検出する傾斜検出装置２１を設
   け、前記苗植付装置８の対地左右傾斜姿勢を設定
   範囲内に維持させるよう前記傾斜検出装置２１の
   情報に基づいて自動的に前記駆動機構１９を作動
   させる制御機構を設けた田植機であつて、ローリ
   ング操作用螺軸１６を、その一端がわが前記苗植
   付装置がわ又は前記車体がわに回転自在に且つス
   ライド不能に支持される状態で、且つ、他端がわ
   が前記苗植付装置がわ又は車体がわに取付けた被
   螺合部材１８に螺合する状態で設け、前記駆動機
   構が、前記螺軸１６を正逆転操作するよう前記螺
   軸１６に対してそれの軸心方向に移動可能に係止
   連結させた電動モータ１９であり、前記傾斜検出
   装置が、前記苗植付装置８の水平姿勢に対する左
   右傾斜を電気信号の変動として検出する装置２１
   であることを特徴とする田植機。