JPS642520B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、図柄層に合わせて複雑な模様あるい
は網点の大小により階調状の金属蒸着層を設けた
部分蒸着転写箔の製造方法に関するものである。

〈従来の技術〉 従来より合成樹脂シートや成型品、木材、紙、
布地等の被印刷体への文字、絵柄、模様等の絵付
けと、任意の金属光沢模様を付ける金属蒸着の箔
押しとは、別々の工程で行われている。従つて多
数の工程が必要であるばかりでなく、複雑な図
柄、模様等と箔押しの蒸着転写部との見当合せに
も技術的に多くの難点を有している。一方、フイ
ルム基材表面に水溶性樹脂を部分的に塗布した後
に全面蒸着を施し、これを水洗いして水溶性樹脂
の塗布してある部分を溶解除去し、蒸着層の部分
化を図る方法も出てきているが、これは水溶性樹
脂塗布時に、複雑な絵柄や細線の印刷が困難であ
るため、通常は大柄な模様の部分蒸着層を作るに
とどまつている。

上記水溶性樹脂を使用して部分蒸着層を形成す
る方法を具体的に説明する。

１回の転写によりインキによる図柄部と金属蒸
着蒸着部を同時に転写する転写シートとして、例
えば、特開昭52−132912号公報に示されるよう
に、図柄層を印刷した後、蒸着層を不要とする部
分に水溶性樹脂を塗布し、その後全面に蒸着を行
い、水洗により水溶性樹脂を溶解し、不要な蒸着
層を除去する方法が行われている。この方式にお
いては、最初に印刷される図柄層と、次に印刷さ
れる水溶性樹脂との位置を完全に合わせて印刷す
ることは、実際上フイルムの伸縮等があるため困
難である。従つて図柄層１２の上のみに蒸着層１
３を設ける構造とする（第４図）ことは不可能で
あるため、通常は水溶性樹脂１４を最初に印刷し
必要とする図柄層より印刷上の位置合せ精度以上
に大きい大きさの図柄層１２を印刷し、後に水洗
する方法がとられている。（第５図）この方法に
おいては、水溶性樹脂１４と図柄層１２の重なつ
ている部分は水が浸透しにくいため、洗い落とし
に手間のかかる問題があつた。

〈発明が解決しようとする課題〉 本発明は、これらの欠点を解消し、複雑な模様
の部分蒸着層、あるいは網点の大小による階調の
表現が可能な部分蒸着層と絵柄とを同調させるこ
とが出来る部分蒸着転写箔の製造方法を提供する
ことを目的とする。

〈課題を解決するための手段〉 本発明は、耐熱性のあるフイルム基材の片面に
該フイルム基材より剥離可能な剥離層を設けた上
へ任意の図柄層をインキにより印刷した後、図柄
層を覆うように全面あるいは部分的に保護層を設
け、その後保護層の金属蒸着層の必要ない部分
に、複雑な模様あるいは網点の大小による階調状
のアルコール可溶性塗膜層をグラビア印刷法によ
り形成し、次に全面に部分蒸着層を施し、しかる
後にアルコール可溶性塗膜層を溶解除去し、その
後全面に感熱接着層を設けて部分蒸着転写箔の製
造方法である。

以下本発明を図面を用いて更に詳しく説明す
る。第１図に示す様に耐熱性、耐水性、耐薬品性
を有するフイルム基材１に該フイルム基材１より
剥離性が良好な剥離層２を塗布し、次にインキを
用いて所望の図柄層３を印刷する。次に剥離層２
および図柄層３の全面または図柄層３を被う部分
の大きさに保護層４を塗布する。

次に複雑な模様あるいは網点の大小による階調
状の模様をアルコール可溶性塗膜層６を塗布し、
この上に真空蒸着法により金属蒸着層５を全面に
施す。しかる後に該アルコール可溶性塗膜層６を
エタノール、プロピルアルコール等のアルコール
類で溶解除去し、金属蒸着層を部分化する（第２
図）。次いで第３図に示すように被転写体に対し
て感熱性接着力を有する感熱性接着層７を塗布し
部分蒸着転写箔を得た。

ここで前記の各構成について更に詳しく説明す
る。前記フイルム基材１としては、耐熱性に優れ
かつ耐水性、耐薬品性のあるフイルムとしてポリ
エステル、ポリプロピレンフイルム等が実用上優
れており、他に紙との貼合せ又は二種以上の樹脂
の複合フイルムを使用するも可能である。

次いで剥離層２としては、前記フイルム基材１
より剥離容易であり、透明又は着色でもよく、転
写加工の際には被転写体と感熱性接着層７との接
着力より弱い力で接着しており、また金属蒸着層
５溶解除去の際にはフイルム基材１から剥がれな
い程度の剥離性を有している必要があり、塩化ゴ
ム、熱可塑性アクリル樹脂、塩素化ポリオレフイ
ン、ビニール樹脂、環化ゴムが使用でき、これら
の２種以上を混合して必要とする剥離性能と接着
力を調製して行う事も可能である。

次に図柄層３のインキは剥離層２に対して十分
な接着力を有する樹脂を用い、樹脂としては上記
の剥離層２使用した樹脂と同一でもよく、他の樹
脂としてポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、マレ
イン酸樹脂、アルキツド樹脂、エチレン−酢酸ビ
ニル樹脂も使用可能であり、これらを含むセルロ
ース樹脂系インキでも良い。インキに使用する顔
料は耐水性、耐薬品性が良好であり、また真空蒸
着の際に変色がない種類の物を使用する。

次に図柄層３の保護層４は全面又は必要とする
部分に設けるのであるが、この保護層４は透明で
も着色でも良い。保護層４に用にる樹脂として
は、一液型のアルキツド樹脂、フエノール樹脂、
酢酸ビニール樹脂、塩化ビニール樹脂、塩化ビニ
ール−酢酸ビニール共重合体、エポキシ樹脂、ア
クリル樹脂、ウレタン樹脂が有効である。またこ
れらを混合して使用しても良い。また添加剤とし
てセルロース系誘導体を添加しても良い。さらに
反応硬化型の樹脂として、加熱乾燥により架橋反
応を行うアミノ・アルキツド樹脂、アミノ樹脂、
エポキシ樹脂無水物などを用いて加熱硬化を行う
熱硬化型アクリル樹脂、フエノール樹脂、アミノ
樹脂、イソシアネートを用いて硬化を行うエポキ
シ樹脂、各種ポリオールとイソシアネートの反応
を行うウレタン樹脂が有効であり、これらの樹脂
を塗布し100〜180℃にて５〜10秒加熱を行い反応
硬化を行う。

更に上記図柄層と同調させて所望の柄にグラビ
ア印刷法によりアルコール可溶性樹脂層６を設け
る。アルコール可溶性樹脂層としては、例えばエ
チルセルロース、ニトロセルロース等セルロース
系樹脂やアミド系樹脂を使うことが出来る。これ
らの樹脂はイソプロピルアルコール等アルコール
類と、ケトン系溶剤の混合溶剤に容易に溶解し、
グラビア印刷の適性を備えているので複雑な絵柄
や、細線をも容易に描くことが出来る。次の工程
として通常の真空蒸着により全面に金属蒸着層５
を作成する。金属としてはアルミニウム、錫、
銀、銅等を使用し、例えば真空度10^-4〜10^- ₆mm
Hg。蒸着金属加熱温度1400〜2000℃の条件にて
20〜200μｍ程度の膜厚で蒸着を行ない、金属光
沢を有する膜を得る。

次の工程としてアルコール類による上記蒸着層
の洗浄を行なう。洗浄に用いる液はイソプロピル
アルコール、メタノール、エタノール等のアルコ
ール類及びこれらの水溶液を用いる。これらのア
ルコール類で洗浄を行なうと、所望の模様の金属
蒸着層が得られる。

最後の工程として感熱性接着層７を全面に塗布
する。この感熱性接着層７は被転写体に対して適
した感熱性の樹脂を適宜用いる。例えば被転写体
がポリスチロールである場合は、アクリル樹脂、
塩酢ビ樹脂等、被転写体がポリオレフイン樹脂で
ある場合は塩素化ポリプロピレン、エチレン−酢
酸ビニル等が使える。

以上のような構成からなる本発明の金属蒸着転
写シートにより被転写体に加熱転写するほうほう
としては、該金属蒸着シートの感熱性接着層７を
被転写面に接して重ねて加熱、加圧し冷却後被転
写体からフイルム基材を引剥がすことにより剥離
層２を境界として剥離し被転写体に転写され、絵
付けが完了する。

〈作用〉 本発明の部分蒸着転写箔の製造方法によると、
金属蒸着層を不必要とする部分に塗膜層を設ける
際に、アルコール類に可溶でグラビア印刷用イン
キとしての適性を備えている塗膜層樹脂を用いる
ので、複雑な形状の図柄や細線、あるいは網点の
大小による階調表現が可能である。また、保護層
を設けた事により、アルコール性の洗浄液に対し
て図柄層が侵されないという効果が得られる。

従つて全面蒸着後にアルコール類の溶液中で洗
浄を行うと、上述の様な塗膜層部分を溶解除去で
きるので、従来技術による大柄な模様の金属蒸着
層と比較して模様の複雑化に対応した所望の形状
の金属蒸着層が得られるものである。

〈実施例 １〉 ポリエステルフイルム＃25に剥離層としてメチ
ルメタクリル酸樹脂を塗布し、図柄層としてニト
ロセルロース、顔料を主成分とするインキにて印
刷を行ない、次に保護層として塩化ビニルー酢酸
ビニル共重合体樹脂を塗布し、次にニトロセルロ
ース樹脂からなるアルコール可溶性樹脂を網点状
の模様を部分的にグラビア印刷法で印刷乾燥さ
せ、全面にアルミニウム蒸着加工をを行つた後、
インプロピルアルコール液にて不必要な部分の蒸
着層を除去し、所望の部分のみアルミニウム蒸着
層を有する箔を得た。

次工程としてこの箔にエチルメタクリル酸樹脂
とポリエステル樹脂よりなる接着層を全面に印刷
し転写箔を得た。

該転写箔は図柄層とアルミニウム蒸着層が所望
の部分に設けられており、しかもアルミニウム蒸
着層は複雑な絵柄に至るまで明確に表現されてい
た。被転写体としてスチロール板にゴムロール表
面温度250℃、10cm／secの速度にて加熱圧着を行
つた後、ポリエステルフイルムを剥がし、部分的
に金属光沢を有する転写品を得た。

〈効果〉 本発明は、以上のように蒸着後溶解除去する塗
膜層として、アルコール可溶性を用いたので、グ
ラビア印刷法により複雑な模様、網点により階調
表現が可能となり、部分蒸着層を複雑な模様、網
点による階調状に形成することができる。

これにより、蒸着層に光沢差、細かい模様を再
現でき、図柄層と相まつて従来にない装飾効果を
発揮できた。

【図面の簡単な説明】

第１図から第３図は、本発明の部分蒸着箔の製
造工程を示す断面図、第４図、および第５図は、
従来の蒸着層を部分化する方法を示す断面図であ
る。 １……基材、２……剥離層、３……図柄層、４
……保護層、５……蒸着層、６……塗膜層、７…
…接着層。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ フイルム基材の片面に、該フイルム基材より
   剥離容易な剥離層を設けた上に、任意の図柄層、
   該図柄層を覆う保護層を設け、その後保護層の金
   属蒸着層の必要ない部分に、アルコール可溶性樹
   脂からなる複雑な模様、あるいは網点の大小によ
   り階調状の塗膜層をグラビア印刷法により形成
   し、次いで全面に金属蒸着層を設けた後、アルコ
   ールを主成分とする溶媒で前記塗膜層と塗膜層上
   の金属蒸着層と共に溶解除去し、接着層を全面に
   設けた部分蒸着転写箔の製造方法。