JPS642160Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は工業用炉等における燃焼排ガス等高温
ガスの持つ顕熱を輻射熱に変換して有効利用しそ
の省エネルギー化を図る通気性固体の炉内への取
付構造に関するものである。

［従来の技術］ 金属またはセラミツク等の耐熱材料を網状、ハ
ニカム状、多孔質状等の通気性のある形態に形成
したり、或いはセラミツクフアイバ製の糸から通
気性のある織布を作り、これらの材料（この材料
のことをここでは通気性固体という。）を加熱炉
内の燃焼排ガスの通路に配置し高温度の燃焼排ガ
スを貫流させることによつてこの通気性固体を高
温度に加熱せしめ、高温度になつたこの通気性固
体から放射される輻射熱をこの通気性固体と相対
面する被熱物を加熱するのに利用して排熱の有効
利用を図ることは知られている。

ところでこのような開口率の高い通気性固体を
炉内に設けると、この通気性固体自体或いは炉
壁、支持梁等の熱膨脹、熱収縮により該通気性固
体に過大な熱応力がかかり短時間で変形或いは損
傷する等のおそれがあつた。

［考案の目的］ 本考案は上記のような問題を起こさず通気性固
体の耐久性を改善する通気性固体の炉内壁への取
付構造を提供しようとするものである。

［目的を達成するための手段］ その目的を達成するため本考案に係る通気性固
体の取付構造は、通気性固体の周縁部に柔軟性の
あるセラミツクフアイバ製の難通気性織布を一体
的に継ぎ、該難通気性織布を炉内壁に止着するこ
とで通気性固体を炉内に脹設するようにしたこと
を特徴とするものである。

［作用］ セラミツクフアイバ製の難通気性織布は柔軟性
があるので通気性固体、或いは炉壁、支持梁等が
多少熱膨脹、或いは収縮してもそれを吸収し通気
性固体を変形、或いは損傷から保護する。

［実施例］ 次に本考案の一実施例を図面に従い説明する。
第１図に示した通気性個体１は、線径10μm程の
長繊維のセラミツクフアイバを多数撚り合わせる
ことで直径0.2〜３mm程の円形断面の撚糸を形成
し、これを開口率20％以上の網状に織つた通気性
織布を三枚重ねてなる。そして該通気性個体１の
周囲にセラミツクフアイバ製の難通気性織布２を
セラミツクフアイバ製の糸による縫目３で継いで
該通気性個体１の周囲四辺を該難通気性織布２に
よつて囲繞している。この難通気性織布２は第２
図に示されるように２つ折りにしその中にセラミ
ツクフアイバ製のロープ４を拘持し縫目５により
止着し該難通気性織布２の外周縁が該ロープ４に
よつて筋状の膨らみを持つようにしている。なお
６は通気性個体１に適宜間隔で挿通したセラミツ
クフアイバ製の紐である。

第３図乃至第７図にこの通気性個体の炉内への
取付構造を示す。図中１０は炉体の側壁、１１は
天井壁、１２は該天井壁に開設された煙道であ
る。１３ａ〜１３ｆは両端を夫々側壁１０に開設
した非貫通孔に嵌挿して炉内天井部に水平に支持
してなるセラミツク製中空パイプ状の支持梁で、
該支持梁の外周にはセラミツクフエルト１４が
夫々巻回され該支持梁の表面を該セラミツクフエ
ルト１４によつて被つている。しかして前記通気
性個体１を中間部に位置する支持梁１３ｂ〜１３
ｅ上に拡げ両端部の支持梁１３ａ，１３ｆについ
てはその下側に該通気性個体１に継がる難通気性
織布２を巻回させさらに該難通気性織布２端縁を
天井壁１１に止着する。即ち、第５図に拡大して
示したように、天井壁１１からセラミツク製のア
ンカーボルト１５を定間隔に多数本垂下させ、こ
のアンカーボルトの周囲天井壁にセラミツクフエ
ルト１６を敷設すると共に、難通気性織布２に該
アンカーボルト１５を貫挿させ、その表側に長方
形状のセラミツクボード１７を同じく該アンカー
ボルトを貫挿させて難通気性織布２を該セラミツ
クフエルト１６とセラミツクボード１７により挾
み、アンカーボルト１５の先端にはセラミツク製
のワツシヤー１８を通しさらにセラミツク製のナ
ツト１９を螺合させ該ナツト１９を締付けること
で難通気性織布２を挾着する。なおこの場合ロー
プ４よる膨部分はその挾着部の外側に位置させる
ようにする。一方、難通気性織布２の他の二辺と
側壁１０とは第６図に示したようにして止着す
る。即ち、難通気性織布２の端縁で支持梁１３ｂ
〜１３ｅと合致位置する部分に切欠きを設け該切
欠き中に支持梁１３ｂ〜１３ｅを入れて該難通気
性織布２の端縁を側壁１０に沿つて下方に垂下さ
せる。側壁１０にはセラミツク製のアンカーボル
ト２０を定間隔で多数本突設し、該アンカーボル
トの周縁壁面にセラミツクフエルト２１を敷設す
ると共に、該難通気性織布２に該アンカーボルト
２０を貫挿させ、その表側に長方形状のセラミツ
クボード２２を同様に該アンカーボルト２０を貫
挿させて該難通気性織布２を該セラミツクフエル
ト２１とセラミツクボード２２により挾む、そし
てアンカーボルト２０の先端に同様にセラミツク
製のワツシヤー２３を通しセラミツク製ナツト２
４を螺合させ、該ナツト２４を締付けることで難
通気性織布２を挾着する。なお、該側壁１０に当
る難通気性織布２の両隅角部寄りは鉤状のセラミ
ツクボード２２′および竪に配設した長方形状の
セラミツクボード２２″により同時に挾着され天
井壁１１に止着した前記セラミツクボード１７へ
と連なつている。そしてこの場合においてもロー
プ４による膨部分はその挾着部の外側に位置する
ようにする。また前記紐６は支持梁１３ａ〜１３
ｆの外周に巻掛し結び止める。

このようにして脹設された通気性個体１には煙
道１２へ向かう炉内の燃焼排ガスが貫流し該燃焼
排ガスの持つ顕熱を該通気性個体１に伝達し該通
気性個体１は高温度となつて炉内の被熱物に多量
の輻射熱を放射する。このため燃焼排ガスの持つ
熱エネルギーを効果的に回収することができ熱処
理炉の熱損失を大幅に改善できる。上記紐６は風
圧による通気性個体１の無用な動きを止める。ま
た、難通気性織布２の外縁部はロープ４による膨
らみを持つているのでセラミツクボード１７，２
２等がたとえ熱変形により挾着力が弱くなること
があつても抜け出て離脱するようなことはない。

なお、この実施例は通気性個体としてセラミツ
クフアイバ製の通気性個体を用いたが、本考案は
この実施例に示した通気性織布に限らず金属網の
もの、或いはセラミツク製ハニカム体、多孔質体
等種々の形態の通気性個体の取付に適用できるも
のである。

［考案の効果］ 通気性個体を難通気性織布を介して炉内壁に止
着するようにしたので、該通気性個体の熱膨脹や
熱収縮、或いは炉壁の熱貿脹、熱収縮はこの難通
気性織布によつて吸収される。従つて取付部分に
過大な熱応力が負荷するおそれはなく長期にわた
り通気性個体を変形或いは損傷から保護すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の一実施例を示したもので、第１図
は通気性個体の平面図、第２図は第１図のＡ−Ａ
線断面拡大図、第３図は炉内に脹設された通気性
個体の縦断面図、第４図は第３図のＢ−Ｂ線断面
矢視図、第５図は第３図の部分拡大図、第６図は
第３図のＣ−Ｃ線断面拡大図、第７図は第４図の
Ｄ−Ｄ線断面拡大図である。 １……通気性個体、２……難通気性織布、１０
……側壁、１１……天井壁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 燃焼排ガスにより加熱され輻射熱を発生して被
   熱物を加熱する通気性固体の周縁部に柔軟性のあ
   るセラミツクフアイバ製の難通気性織布を一体的
   に継ぎ、該難通気性織布を炉内壁に止着すること
   で該通気性固体を加熱炉内の燃焼排ガスの通路に
   配設したことを特徴とする通気性固体の取付構
   造。