JPS641650B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、自動車に有用な４サイクル内燃エ
ンジンの構造に関するものである。

内燃エンジンの排ガス対策、および燃費低減対
策上有効な手段として、シリンダの吸気にスワー
ルを形成させる技術が知られているが、従来技術
によるスワール形成エンジンでは、高速運転時に
おける出力の低下、および燃費の悪化があり、さ
らに、スワールを利用して層状燃焼を行わんとす
るものでは、低速運転時にスワール強さが不足し
て、層状燃焼が実現困難になるなど、スワール形
成によつてメリツトが得られる範囲が局限される
欠点があつた。

上述のスワール形成エンジンにおける欠点は、
スワール形成に付随して生じるものであり、すな
わち、高速運転時にはスワール生成手段に基因し
て吸気抵抗が増大し、これにより吸入効率が低下
してエンジンの出力低下や燃費増大をもたらすも
のであり、低速運転時には吸気流量が少いため流
速が不足し、従つて、スワール生成が不十分にな
るものである。

なお、吸入効率の低下に伴つてエンジン作動に
おける熱効率が低下する理由は、ポンピング損失
の増大が主たるものである。

スワール形成の目的は、良く知られているよう
に、エンジンの希薄燃焼や高率の排ガス環流（以
下、EGRという）の条件下での燃焼を容易にす
ること、また、ある種の層状給気エンジンにおい
ては燃料空気混合気の分布の層状化そのものが目
的である。

ところで、自動車用エンジンでは、低速運転が
主用される都市走行時には、希薄燃焼や大量
EGRあるいは層状燃焼を行つて排ガス有害成分
の低減をはかる必要があるが、高速運転が主用さ
れる郊外走行時には、有害成分の低減よりも出力
や燃費の向上が必要であり、このためには、エン
ジンの高速運転時には希薄燃焼や大量EGRある
いは層状燃焼を行なうためのスワール形成を抑え
て吸入向率を向上させることが必要である。この
ことから、エンジンの運転状態に対応してスワー
ル形成を使い分けることが望ましく、これによ
り、従来の欠陥を解消することが可能である。

本発明は、このような現状に鑑みなされたもの
であつて、本発明の目的は、上述したスワール形
成エンジンの欠陥を補うこと、特に、エンジンの
高速運転域では十分な出力が得られ、かつ低速運
転域では、有害排ガス成分を減少させるように
し、かつその成分減少に際し、その成分減少のた
めに用いられる希薄燃焼のためのスワール形成を
最適な状態に設定できるようにすることにある。

以下、図示の実施例に基いて本発明を説明す
る。

第１図に示されたシリンダでは、シリンダヘツ
ド１に半球状の燃焼室２が形成されると共に、１
次吸気ポート３、２次吸気ポート４、および排気
ポート５が形成されていて、各ポート３，４，５
の燃焼室２開口には、きのこ弁より成る１次吸気
弁６、２次吸気弁７、および排気弁８が配設さ
れ、また、燃焼室２の中心に近い位置には、点火
プラグ９が取付られている。

しかして、並列した１次吸気ポート３の内端部
および排気ポート５の内端部は、２次吸気ポート
４の内端部と対向して燃焼室２の中心に対しＶ形
に配置されている。

ところで、１次吸気ポート３は、２次吸気ポー
ト４より小さい径に形成されると共に、燃焼室２
の周縁に接して開口している。

また、２次吸気ポート４は、燃焼室２の中心寄
りに開口すると共に、その吸気抵抗を極力低減さ
せる目的から、緩い湾曲によりシリンダ中心に指
向する直筒に近い形状に形成されている。

つぎに、両吸気ポート３，４には、第３図に示
すように、吸気マニホールド１２を介して２連式
気化器１３から混合気が供給されており、すなわ
ち１次吸気ポート３および２次吸気ポート４は、
夫々気化器１３の１次バレル１４と２次バレル１
５に連通されている。

しかして、気化器１３の１次スロツトル弁１６
は操作によつて駆動されるが、その２次スロツト
ル弁１７は、１次バレル１４内を通過する吸気量
に対応する１次バレル１４のベンチユリ１４ａの
負圧で駆動される負圧モータ１８で開閉作動し、
これにより、エンジン燃焼室へ供給される吸気の
量が少ないエンジンのアイドリング時や低負荷時
には、２次弁１７は閉成し、従つて、この時は、
１次吸気ポートにのみ混合気が供給される。

ところで、吸気ポート３，４に対する吸気量の
制御手段は、必ずしも気化器と一体化して設ける
必要はなく、気化器、あるいは燃料噴射ノズルを
吸気通路中の適宜箇所に設け、かつ、別個に同制
御手段を上述同態様に形成しても良く、また、２
次吸気ポート４側にのみ絞り弁を設けても良い。

１次、２次の両吸気弁６，７および排気弁８
は、従来と同様な動弁機構によつて駆動され、す
なわち、１次、２次の両吸気弁６，７の開閉タイ
ミングは、ほぼ等しいタイミングに設定するが、
しかし、１次吸気弁６の開成には排気弁８とのオ
ーバラツプを殆んど与えず、これにより、アイド
リング時には内部EGRに基因する燃焼の不安定
を防止し、さらに、２次吸気弁７の開成には、十
分なオーバラツプを与えて、高速出力を増大させ
るように動弁機構のタイミングを設定することが
望ましい。

一方、１次吸気ポート３のエンジン燃焼室側に
は、第４図に示す如く、１次吸気弁の開口縁に、
エンジン燃焼室側の開口を覆うようにしてキヤツ
プ形のカバー４４が例えばシリンダーヘツドに対
して螺合させて装着されている。

このカバー４４には、１次吸気ポート３と、エ
ンジン燃焼室２とを連通するための連通口４４ａ
が穿設されており、この連通口４４ａは、１次吸
気ポート３から燃焼室２内に流入する吸気の方向
を規定するようになつていて、例えばシリンダの
接線方向に指向させて１次吸気ポート３から燃焼
室２に流れ込む吸気に燃焼室２内でのスワール
（第７図Ｓで示す）を形成させるようになつてい
る。

なお、カバー４４の連通口４４ａによつて燃焼
室２内で発生するスワールをさらに強力にするた
めに、第５，６図に示すように、エンジン燃焼室
２の１次吸気弁６に近接するシリンダの内壁部分
に、燃焼室２の湾曲したシユラウド１ａを形成
し、エンジン燃焼室の１次吸気弁６の開口縁に備
えられているカバー４４（図示されず）の連通口
４４ａから燃焼室２に向けて噴き出す吸気の流動
方向、角度等を制御するようにしても良い。

以上のように構成された構造においては、エン
ジン燃焼室へ供給される吸気の量が少ない低負
荷、低速の運転域では、１次吸気ポート３からの
吸入気がカバー４４の連通口４４ａによつてその
流動方向を規定された状態で燃焼室２に流れ込
み、そこで強いスワールを発生して希薄燃焼や大
量のEGRを可能とし、また、エンジン燃焼室へ
供給される吸気の量が多い高負荷、高速の運転域
では、主として２次吸気ポート４からの大量の吸
入気導入によつて燃焼作動を行なわせ、従つて、
低い吸気抵抗によりエンジンの出力の向上と燃費
の向上が達成される。

以上のように、本発明によれば、スワールの使
い分けが行なえるとともに、特に、スワールを形
成する際、燃焼室内に流入する吸気の流入方向を
自由に選択設定することができ、また、吸気の量
も、カバーの連通口の大きさを適切に設定するこ
とによつて選択設定でき、燃焼に最も適したスワ
ール旋回方向及び軸線方向の成分の大きさおよび
スワールの強さを設定できる。

なお、本発明は、先の実施例に示した例に限ら
ず、シリンダの形式、燃焼室の形状が異なつてい
る場合にも適用でき、さらに、燃料噴射型のエン
ジンにも適用することができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を適用する内燃エンジ
ンの平面概略図、第２図は第１図の−線にお
ける正断面図、第３図は第１，２図に示した内燃
エンジンの吸気通路の側断面概略図、第４，５，
６図は本発明実施例の要部概略図、第７図は第１
図におけるスワールを説明する模式図である。 Ｓ……スワール流、１……シリンダヘツド、１
ａ……シユラウド、２……燃焼室、３……１次吸
気ポート、４４……カバー、４４ａ……連通口。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 内燃エンジンの燃焼室に開口する第１の吸気
   ポートおよび第２の吸気ポートと、上記エンジン
   の運転状態に基いて作動し、上記エンジンの低速
   運転時又は低負荷運転時に上記第２の吸気ポート
   を介して行われる上記燃焼室への吸気の流入を制
   限する吸気制御手段と、上記第１の吸気ポートの
   上記燃焼室側開口を覆うようにして同開口に装着
   されたカバーと、同カバーに形成されるととも
   に、上記第１の吸気ポートから上記燃焼室内に流
   入される吸気の流入方向を規定せしめるようにし
   て上記第１の吸気ポートと上記燃焼室とを連通せ
   しめる連通口とを備え、上記連通口を介して上記
   第１の吸気ポートから上記燃焼室内に流入した吸
   気が同燃焼室内で渦流を形成するように上記連通
   口が配置されていることを特徴とする内燃エンジ
   ンの構造。