JPS641614Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、内燃機関のノツキングを圧電素子に
より電気的に検出するノツキング検出装置に関す
る。

内燃機関のシリンダ壁に金属ケースを固結し、
その内底面に圧電素子からなる振動感知部材をボ
ルト等で取付け、ノツキングの発生と共に圧電素
子を共振させて出力信号を生じさせ、その発生を
検出するノツキング検出装置は公知である。

しかるに従来の構造は圧電素子のアース電極を
前記金属ケースと電気的に接続して接地するいわ
ゆるボデイアースによるものであるため、金属ケ
ースは真のアース電位に対してポテンシヤルを持
つているからこの間に電位差を生じ、この電位差
が圧電素子からノツキングとともに発生する出力
信号に重畳して雑音を起こす欠点があつた。

そこで第３図に示すように、金属ケースａの内
底面に絶縁板ｂを敷設し、さらに振動感知部材ｃ
をボルトｄによつて支持した金属性支持板ｅを前
記絶縁板ｂ上に載置して、金属ケースａ内に嵌装
した押え蓋ｆの側端縁で該支持板ｅを絶縁板ｂ側
へ押しつけると共に、圧電素子ｇの上下面電極
ｈ，ｉを、押え蓋ｆ上面に嵌着してケースａと絶
縁した端子ｊ，ｋに夫々接続して構成したノツキ
ング検出装置が考案され、本出願人によつて既に
出願がなされた。

ところが、ノツキングによる衝撃波はケースａ
の取付ねじから絶縁板ｂ、支持板ｅを介して振動
感知部材に伝達されるが、前記構成は絶縁板ｂ及
び支持板ｅが金属ケースａと一体化していない。

従つて押え蓋ｆによる押圧のみでは前記各部品
は緊密に接合し得ず、また各部品の膨張係数が異
なることからエンジンの熱による影響によつて、
各部品間に緩みを生じやすい。このため、衝撃波
が各部品の接合面で緩衝されて、出力信号のＳ／
Ｎ比の低下を招く。

本考案は、かかる知見に基づいて、圧電素子の
接地電極をボデイアースすることの弊害を除去す
るとともにＳ／Ｎ比の低下を防止するようにした
ノツキング検出装置の提供を目的とするものであ
つて下面に内燃機関のシリンダ壁に螺合する雄螺
子を突設し、内部に装着空隙を設けてなる装着ケ
ースを合成樹脂材料で形成し、金属薄板上に圧電
素子を接合してなるノツキング周波数と略等しい
共振周波数を有する振動感知部材を、その中心に
通したボルトによつて前記装着ケースの内底面上
に固結するとともに、前記圧電素子の上下面電極
を装着空隙内に挿通した端子に夫々接続した構成
になり、合成樹脂製装着ケースにより圧電素子
と、シリンダ壁とを電気的に絶縁し、さらに振動
感知部材をボルトによつて該ケース底面に固結し
てノツキングの緩衝作用を生じないようにしたも
のである。

本考案の一実施例を添付図面について説明す
る。

２は、内部に円筒状の装着空隙を設け、その内
周側に装着溝面３を形成した六角形外周の装着ケ
ースであつて、その下面に内燃機関のシリンダ壁
１に設けた雌螺子に螺合する雄螺子４を突設す
る。

前記装着ケース２は、合成樹脂材料によつて成
形される。

７は、円板状の金属薄板８上に、上下面に電極
１０ａ，１０ｂを有するリング状の圧電素子９を
接合してなる振動感知部材であつて、その共振周
波数を５〜10kHzの周波数帯域にあるノツキング
周波数と合致させる。前記薄板８の中心には挿通
孔８ａを穿設し、該孔の上下面に座金１１，１１
を当てて該孔にボルト１２を通し、さらにスペー
スナツト１３を下方から螺着してからそのねじ部
をケース２の内底面５に設けたねじ孔６に緊密に
螺合することにより、前記振動感知部材７を内底
面５上に固結する。前記ボルト１２の頭部と上部
座金１１間にはアース用の電極板１５を締着す
る。

１６は、外径を装着ケース２の内径を等しくし
た伏カツプ状の合成樹脂製蓋体であつて、その周
倒壁１７をケース２内の装着溝面３に嵌合し、該
ケースの上部周縁に設けた薄肉縁２ａを内方へか
しめて該蓋体１６を脱出不能にケース２内に収納
する。

前記蓋体１６の上壁面にはアース端子１７と、
出力端子１８とを挿嵌してその下端をケース２の
装着空隙に臨ませ、アース端子１７は前記ボルト
１２に取付けた電極板１５と接続し、出力端子１
８は圧電素子９の出力側電極１０ａと接続する。

本実施例は前記構成になり、圧電素子９の下面
のアース電極１０ｂ及び金属薄板８は合成樹脂製
装着ケース２によつてシリンダ壁１と絶縁され、
該アース電極１０ｂは薄板８、座金１１及び電極
板１５を介してアース端子１７と接続される。

前記実施例の作用を説明する。エンジン燃焼室
内でノツキングが起こると、その衝撃波はシリン
ダ壁１に機械的振動として伝幡し、該壁１に雄螺
子４によつて螺着した装着ケース２にノツキング
固有の振動数と略等しい振動を生ずる。

このため該振動がボルト１２を介してケース２
内部の振動感知部材７に伝達し、ボルト１２を中
心としてその周部を揺動する。而て、振動感知部
材７の共振周波数はノツキング周波数と略等しく
設定してあるから該部材７は共振し、圧電素子２
はよく歪んで出力側電極１０ａとアース電極１０
ｂ間に電位差を生じ、この信号電圧が出力端子１
８から得られる。このときアース電極１３ｂはボ
デイアースによらないため真のアース電位となつ
ており、雑音の少ない出力信号が得られる。

本考案は前記に詳述したように、装着ケース２
を雄螺子４によつてシリンダ壁１に螺着し、さら
に振動感知部材７をその中心に通したボルト１２
によつてケース２の内底面５上に固結して支持し
たから、部品間に温度の影響等による緩みを生ず
ることがなく、このためノツキングの衝撃波は部
品間の接合部で緩衝されることなく振動感知部材
７に伝幡する。而て、圧電素子１２から得られる
出力信号にＳ／Ｎ比の低下を生ずることなくボデ
イアースによらないで接地することができて、ボ
デイアースによつて生ずる出力信号への雑音の重
畳を阻止でき、クリアーな出力信号を取出せてノ
ツキング検出を正確に施し得る。さらに本考案は
装着ケース２を合成樹脂材料で形成するものであ
るから装置が軽量かつ低廉となる等の効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１，２図は本考案の一実施例を示し、第１図
は縦断側面図、第２図は第１図Ａ−Ａ線断面図、
第３図は比較する他のノツキング検出装置の縦断
側面図である。 ２……装着ケース、４……雄螺子、７……振動
感知部材、９……圧電素子、１２……ボルト、１
７，１８……端子。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 下面に内燃機関のシリンダ壁に螺合する雄螺子
   を突設し、内部に装着空隙を設けてなる装着ケー
   スを合成樹脂材料で形成し、金属薄板上に圧電素
   子を接合してなるノツキング周波数と略等しい共
   振周波数を有する振動感知部材を、その中心に通
   したボルトによつて前記装着ケースの内底面上に
   固結するとともに、前記圧電素子の上下面電極を
   装着空隙内に挿通した端子に夫々接続したことを
   特徴とする内燃機関のノツキング検出装置。