JPS63994Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、デイーゼルエンジンの電子制御燃
料噴射ポンプの噴射特性調整装置に関する。

一般に、デイーゼルエンジンの燃料噴射ポンプ
を量産した場合においては、製作誤差や組立誤差
のため、各々の噴射特性にばらつきが生じること
はさけられない。そのために、組立後、噴射特性
を均一化する必要があり、例えば従来の機械式燃
料噴射ポンプやコントロールユニツトからの信号
により、モータを駆動させ、この回転によつて進
退移動するスライダーで、リンクを介してコント
ロールスリーブを移動させ、噴射量を制御する電
子制御燃料噴射ポンプでは、次のようにして、噴
射特性を調整している。

まず、外部のコントロールレバーをアイドル側
のストツパー位置に固定し、ストツパーと共に移
動させることによりリンクを介して連動するコン
トロールスリーブ位置を調整してアイドル時の噴
射量を均一化する。

その後、全開時の噴射量をコントロールレバー
のフル側のストツパー位置で調節し、さらに全開
時のスモークをスモークセツトスクリユーで調整
するようにしている。

ところが、この方法であると、モータにはスラ
イダーの制御移動範囲の他に、ゼロ点調整が十分
できるように可動範囲を余分に持たせる必要があ
つた。

このため、ゼロ点調整のためのスライダーの可
動範囲は無視できないほど大きなものになる。

また、この方法であると、調整のための作業に
非常に手数がかかり実用的でないという問題があ
つた。（特開昭55−5423号公報参照） この考案は、従来のこのような問題に着目して
なされたものであり、ゼロ点調整を、電気的に調
整することにより、噴射ポンプ間のばらつきを、
簡単にしかも精度よく均一化できるようにした電
子制御燃料噴射ポンプを提供することを目的とす
る。

まず、第１図に電子制御燃料噴射ポンプの１例
を示す。

燃料は、ポンプ本体の入口１から、ドライブシ
ヤフト２により駆動されるフイードポンプ３によ
つて吸引される。フイードポンプ３からの吐出燃
料は圧力調整弁４により供給圧を制御された後、
ポンプハウジングの内部のポンプ室５へと供給さ
れる。ポンプ室５の燃料は作動部分の潤滑を行な
うと共に、高圧プランジヤポンプ６に送られる。

プランジヤ７はエキセントリツクデイスク８に
固定されており、継手２Ａを介して前記ドライブ
シヤフト２により駆動される。

エキセントリツクデイスク８は機関シリンダ数
と同数のフエイスカム９をもち、ローラリング１
０に配設されたローラ１１を乗り越えて回転しな
がら所定のカムリフトだけ往復運動する。

従つて、プランジヤ７は回転しながら往復運動
することになり、この往復運動に伴い吸入ポート
１２から吸引された燃料が、分配ポート１３より
デリバリバルブ１４を通つて図示しない噴射ノズ
ルへと圧送される。

燃料の噴射量はプランジヤ７に形成したスピル
ポート１５を被覆するコントロールスリーブ１６
の位置により決められるのであり、プランジヤ７
の右行によりスピルポート１５が開くと高圧燃料
をポンプ室５の内部へと解放して圧送を終了す
る。

従つて、コントロールスリーブ１６を図中、右
方へ移動すれば燃料の噴射量は増加し、左方へ移
動すれば逆に減少するのである。

コントロールスリーブ１６の位置は、支点Ｂを
中心に回転運動するリンク１７を介して伝えられ
るスライダー１８の移動によつて決定される。

スライダー１８は、DCモータ２０のモータ軸
１９と螺合しており、このDCモータ２０の回転
に応じて往復運動する。

支点Ｂを固定するレバー２１は支点Ａとアジヤ
ストスクリユー２２によりポンプ本体に固定され
ており、このアジヤストスクリユー２２を調節す
ることにより支点Ｂは支点Ａを中心に回転移動し
て、ゼロ点調整がなされる。

また、DCモータ２０の作動は、コントロール
ユニツト３０によつて制御される。

これを第２図に示す。

クランク角センサ３１あるいはアクセルペダル
センサ３２などの各種センサからの信号がコント
ロールユニツト３０に入力されると、このコント
ロールユニツト３０は適切な燃料噴射量を演算し
て、デジタル量としてＤ／Ａ変換器３４に出力す
る。Ｄ／Ａ変換器３４はコントロールユニツト３
０の出力値をデジタル量からアナログ量に変換
し、抵抗３５を介してアンプ３６に入力する。ア
ンプ３６には並列に可変抵抗３７が備えられてい
て、このアンプ３６の出力値は、可変抵抗３７に
応じて増幅されこれによりフル側（最大噴射量）
の噴射特性が調整される。

この増幅信号はサーボ回路３８に入力し、DC
モータ２０を所定値だけ回転させる。

２３はポテンシヨメータであり、DCモータ２
０の回転量を検知してサーボ回路３８にフイード
バツクする。

このようにして、コントロールユニツト３０は
運転状態に応じて、最適な燃料噴射量が得られる
ように、コントロールスリーブ１６の位置をDC
モータ２０を介し、フイードバツク制御するので
ある。

ところで、噴射特性の調整は次のようにして決
められる。

第３図において、コントロールスリーブ１６位
置をパラメータとしてエンジンスピードと燃料噴
射量の関係を示すと、等スリーブ位置では噴射量
はある回転速度Noを頂点とする、上に緩やかな
山形の曲線になる。そこで、予め設定されたポテ
ンシヨメータ２３の電圧値Voでその最大値を示
す回転速度Noのとき燃料噴射量がＱ＝０となる
ように、アジヤストスクリユー２２によつて支点
Ｂの位置を移動してコントロールスリーブ１６の
位置を調節する。このようにしてゼロ点を調整す
る。

すなわち、第４図の燃料噴射量Ｑとポテンシヨ
メータ電圧との関係に示すように、スクリユー２
２を調節すると、例えばａという特性をもつたも
のはｂという特性に平行移動し、ポテンシヨメー
タ電圧がVoのときちようどＱ＝０となるような
位置に移動することになる。

その後、フル側の要求噴射量にあうように可変
抵抗３７によつてアンプ３６の増幅率を変化させ
て、噴射特性の傾きを変化させ、第４図の要求特
性Ｃになるように調整する。この時、ゼロ点の流
量が多少変化するがこれはポテンシヨメータを０
にできないことからおこり、ソフトウエアを考慮
することによつて解決される。

このように第１のアジヤスタとしてのアジヤス
トスクリユー２２でゼロ点を調節し、第２のアジ
ヤスタとしての可変抵抗３７で最大噴射量を調整
し、各々の噴射ポンプを要求特性に均一化するも
のである。

なお、可変抵抗３７をポンプケーシングに独立
して設けておけば作業性は一層向上する。

以上説明してきたように本考案によれば、プラ
ンジヤとコントロールスリーブの相対的初期位置
を移動してゼロ点を調整する第１のアジヤスタと
してのスクリユーとフル側の噴射量を調整する第
２のアジヤスタとしての可変抵抗を設けることに
より、噴射ポンプの調整を適確にしかも簡単に行
うことができるので、その実用的価値は極めて大
きいものがある。

【図面の簡単な説明】

第１図は電子制御燃料噴射ポンプの断面図、第
２図はその制御回路、第３図は等スリーブ位置ラ
インをパラメータとする燃料噴射量Ｑとエンジン
スピードの関係を示すグラフ、第４図は噴射特性
を示すグラフである。 １５……スピルポート、１６……コントロール
スリーブ、１７……リンク、１８……スライダ
ー、２０……DCモータ、２１……レバー、２２
……アジヤストスクリユー、３０……コントロー
ルユニツト、３６……アンプ、３７……可変抵
抗。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. コントロールユニツトからの信号でエンジン運
   転状態に対応して作動する電磁アクチユエータに
   よつて、プランジヤ上を摺動するコントロールス
   リーブを駆動し、かつコントロールスリーブの位
   置をフイードバツクして燃料噴射量をフイードバ
   ツク制御するデイーゼルエンジンの電子制御燃料
   噴射ポンプにおいて、プランジヤとコントロール
   スリーブの相対的初期位置を移動してゼロ点を調
   整する第１のアジヤスタと、上記コントロールユ
   ニツトの増幅値を増減させて最大噴射量を調整す
   る第２のアジヤスタを備えたことを特徴とする電
   子制御燃料噴射ポンプの噴射特性調整装置。