JPS63974Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、Ｖ型内燃機関のモジユラーパルス
コンバータ過給方式（MODULAR PULSE
CONVERTER過給方式。以下、MPC過給方式
という。）における排気管装置に関する。

最近、デイーゼル機関における過給方式とし
て、従来の動圧過給方式および静圧過給方式のそ
れぞれの長所、すなわち過給効率のよさおよび排
気管構造の簡単さを生かしつつ、それぞれの短
所、すなわち排気管構造の複雑さおよび過給効率
の悪さを改善し得るMPC過給方式が開発され、
実用化されてきている。

ここで、MPC過給方式について第１図〜第３
図を参照して説明することによつて、この考案の
目的を明らかにする。なお、第３図は縦軸に圧力
をとり、横軸にクランク角度をとつた圧力線図を
示し、Ａはシリンダー出口圧力を、Ｂはタービン
入口圧力を、Ｃはシリンダの吸気圧力をそれぞれ
示す。また、図中EOは排気弁開角度を、ECは排
気弁閉角度を、AOは吸気弁開角度を示してい
る。

この過給方式は、第１図および第２図に示すよ
うに、デイーゼル機関１のシリンダー列の各シリ
ンダー２から排出されるガスパルスを断面積の小
さな１本のパイプ４にエジエクタ３を通して吐出
させて定常流に近い振幅の小さなガスパルスにし
て、タービン５に導入するものである。すなわ
ち、このMPC過給方式にあつては、ガスパルス
を完全な静圧としていないからガスパルスのもつ
運動エネルギが失なわれることがなく、従つて過
給効率がよい。

しかしながら、このMPC方式を作動させた場
合、第３図に示すように、シリンダー２から排出
されたガスパルス６が完全な静圧とされずにター
ビン５に送られるため、このガスパルス６がター
ビン５の入口で反射され、この反射波が排気集合
管４を通つてシリンダー２の出口に到り、そのシ
リンダー２の出口圧力を高める（図中〇印部分）。
つまり、この反射波によりシリンダー２の排気の
流れが阻害されることになる。

この考案は上記事情に鑑みてなされたもので、
構造が簡単でありながら、反射波を著しく弱める
ことができ、ひいてはＶ型内燃機関の出力向上を
図ることができるＶ型内燃機関の排気管装置を提
供することを目的とする。

以下、この考案の一実施例について第４図およ
び第５図を参照して説明する。

図中１４，１４はＶ型内燃機関の排気集合管
で、この排気集合管１４の第４図中下方の一端部
には、前述した従来例と同様に、図示しない複数
のシリンダーがそれぞれエジエクタを介して接続
され、また他端部には図示しない排気タービンが
接続されている。この排気集合管１４はタービン
の入口直前において直角にかつ滑らかに互いに遠
ざかる方向に曲げられている。この直角に曲げら
れた部分において左、右列の排気集合管１４はフ
ランジ１７ａを有する連通管１７によつて相互に
連通されている。なお、この連通管１７の軸線は
排気集合管１４のタービンに到る部分の軸線と一
致させられている。また、排気集合管１４の連通
管１７が設けられた折曲げ部の側壁には、連通孔
１４ａが明けられており、これによつて排気集合
管１４と連通管１７とが連通されている。この連
通孔１４ａの直径は連通管１７の内径より小さ
く、しかも連通管１７の第４図中上方の内周に接
するようにして、つまり、排気ガスの当り面Ａを
直線状にして明けられている。従つて、排気集合
管１４の連通管１７が設けられた側壁の一部が整
流部１４ｂとして排気集合管１４の曲がりに沿つ
て残り、これによつてガス流れの乱れを防止して
いる。

しかして、このような排気管装置をＶ型デイー
ゼル機関と排気タービンとの間に装備して、Ｖ型
デイーゼル機関を作動させた場合について第５図
を参照して説明する。シリンダーから排出された
ガスパルス１６がエジエクタによつて振幅を小さ
くされるのは前述した従来例と同様である。しか
し、その振幅を小さくされたガスパルスが排気集
合管１４を通つて排気集合管１４と連通管１７と
の結合部を通過する際に、連通管１７の内部にお
いて他方の排気集合管１４を流動する位相の異な
るガスパルスとの干渉および圧力変動成分のエネ
ルギー分配が生じ、過給機入口付近での圧力変動
の振幅が減衰する。また排気タービンの入口で反
射されたガスパルスは、連通管１７を通つて他側
の排気集合管１４に向かつて直進する。したがつ
て、ガスパルスの反射波が著しく弱められる効果
が生じる。

以上説明したように、この考案によるＶ型内燃
機関の排気管装置は、複数のシリンダーが２列Ｖ
字状に配設されたＶ型４サイクル内燃機関の左右
シリンダー列にそれぞれ連設された左右２本の排
気集合管が、排気タービンの入口直前において互
いに遠ざかる方向に直角にかつ滑らかにそれぞれ
折り曲げられて上記排気タービンの入口に連結さ
れ、上記２本の排気集合管の互いに対向する折曲
げ部が、連通管で直線状に相互に連結されるとと
もに、上記折曲げ部に、連通管の内径よりも小さ
い連通孔が、排気集合管と連通管の排気ガス当り
面を直線状とし、かつ上記排気ガス当り面の反射
側に整流部を形成してそれぞれ設けられた構成で
あるから構造が簡単で、しかもガスパルスが排気
集合管と連通管との結合部を通過する際に過給機
入口付近での圧力変動の振幅を大幅に減衰するこ
とができ、従つて反射波を著しく弱めることがで
き、ひいてはＶ型内燃機関の出力向上を図ること
ができるという効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図はMPC過給方式の一例を示す概略図、
第２図はその一部拡大断面図、第３図は従来の
MPC過給方式におけるシリンダー出口圧力、タ
ービンの入口圧力およびシリンダー吸気圧力をそ
れぞれ示す圧力線図、第４図はこの考案の一実施
例を示す一部省略切欠き図、第５図はこの考案の
排気管装置を用いたMPC過給方式における第３
図と同様の図である。 １４……排気集合管、１４ａ……連通孔、１４
ｂ……整流部、１７……連通管、Ａ……排気ガス
当り面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 複数のシリンダーが２列Ｖ字状に配設されたＶ
   型４サイクル内燃機関の左右シリンダー列にそれ
   ぞれ連設された左右２本の排気集合管が、排気タ
   ービンの入口直前において互いに遠ざかる方向に
   直角にかつ滑らかにそれぞれ折り曲げられて上記
   排気タービンの入口に連結され、上記２本の排気
   集合管の互いに対向する折曲げ部が、連通管で直
   線状に相互に連結されるとともに、上記折曲げ部
   に、連通管の内径よりも小さい連通孔が、排気集
   合管と連通管の排気ガス当り面を直線状とし、か
   つ上記排気ガス当り面の反対側に整流部を形成し
   てそれぞれ設けられたことを特徴とするＶ型内燃
   機関の排気管装置。