JPS638641B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (1) 発明の技術分野 本発明はマイクロ波帯に用いられる誘電体フイ
ルタに関するものである。

(2) 技術の背景 マイクロ波無線装置等に使用される誘電体フイ
ルタとして外導体となる筐体内に納められた誘電
体内にフイルタ特性に対応した所定の間隔で共振
用導体（内導体）を配置した同軸型フイルタは公
知である。このような同軸型フイルタは車載や携
帯等の移動無線装置に使用するには大型で重く、
また焼結体である誘電体に高精度で内導体用の孔
加工をしなければならず製造が容易ではない。こ
のような点を改良するため誘電体表面に複数の共
振用導体を設け孔加工を不要としたマイクロスト
リツプライン型フイルタが開発されている。この
ようなマイクロストリツプライン型フイルタにお
いてもさらになおその小型、軽量化が要望されて
いる。

(3) 従来技術と問題点 第１図に従来のマイクロストリツプライン型の
四分の一波長誘電体フイルタを２段で構成した場
合の例を示す。誘電体板１の表面に２本の共振用
導体３および入出力用結合線路４が設けられる。
誘電体板１の裏面および下面はアース用導体２で
覆われる。各共振用導体３は共振波長の四分の一
波長の奇数倍で共振する長さに形成される。各共
振用導体３の下端部はアース用導体２へ短絡し、
上端は開放端部である。このような誘電体フイル
タにおいては、要求されるフイルタ特性に応じて
両共振用導体３間の距離が定まり、従つて各共振
用導体３はこの形状のままでは相互に近づけるこ
とはでできず各共振用導体間の空間がデツドスペ
ースとなつて誘電体フイルタ全体の容積をこれ以
上小さくすることはできない。

(4) 発明の目的 本発明は上記の点に鑑みなされたものであつ
て、共振用導体の形状を変えることによつて要求
されるフイルタ特性を保持したまま共振用導体同
士を近づけ誘電体表面上のデツドスペースを減少
可能としこれによつて誘電体フイルタの形状を小
型化することを目的とする。

(5) 発明の構成 この目的を達成するため本発明に係る誘電体フ
イルタは誘電体板の一表面上に複数の並列配置し
た共振用導体および入出力用結合線路を有し、そ
の反対表面上をアース用導体で覆い、上記各共振
用導体の一端を上記アース用導体に接続する短絡
端部とし、他端を開放端部とした誘電体フイルタ
において、上記複数の共振用導体の形状をその開
放端部が短絡端部方向に同じ側で折返されて屈曲
した形状とし折返された側の結合線路は電界結合
とし、他の側の結合線路は磁界結合としている。

(6) 発明の実施例 第２図は本発明に係る四分の一波長誘電体フイ
ルタの斜視図である。誘電体板１１の表面上に２
つの共振用導体１３および２つの入出力用結合線
路１４，１４′が設けられる。誘電体板１１の裏
面および下面はアース用導体１２で覆われる。共
振用導体１３の開放端部は下端のアース用導体と
の短絡端部方向に折曲されて屈曲した形状であ
る。四分の一波長共振用導体においては短絡端部
で磁界が最大となり、開放端部で電界が最大とな
る。図の左側の入出力用結合線路１４は先端が短
絡されているため主に磁界に基く共振用導体との
電磁的結合（カツプリング）により外部配線とフ
イルタとのインピダンス特性を整合させるような
位置、形状に配設される。一方、右側の入出力用
端子１４′は共振用導体１３の開放端部に近接す
るため主に電界に基く共振用導体との電磁的結合
により外部配線とフイルタとのインピダンス特性
を整合させるような位置、形状に配設される。フ
イルタの通過周波数帯域のロスを少くし特性を向
上させるために共振用導体１３は高周波電流が十
分流れるような厚さをもたせることが望ましい。
このため、誘電体板上に一旦共振用導体の形状の
導体パターンを密着形成しこの導体パターン上に
これと同形状の金属板をハンダ接合あるいは導電
性ペースト等により接着して共振用導体１３を形
成することが望ましい。導体パターンを形成する
には誘電体板を無電解メツキ処理後所望形状にエ
ツチングを行う方法あるいは所望形状の導体パタ
ーンを誘電体板上に密着させて形成することがで
きる。

第３図に本発明の別の実施例を示す。この例に
おいては、共振用導体１３を形成した誘電体板１
１の表面を別の誘電体板１１ａで覆つている。こ
の別の誘電体板１１ａの外表面はアース用導体１
２ａで覆われ、各誘電体板１１，１１ａのアース
用導体１２，１２ａ同士は電気的に接続される。
この別の誘電体板１１ａは誘電体板１１の共振用
導体１３と同一形状の共振用導体をこれと対向し
てその表面上に形成してもよいし、又はこのよう
な共振用導体を具備しないものであつてもよい。

(7) 発明の効果 以上説明したように、本発明に係る誘電体フイ
ルタにおいては、開放端部を短絡端部方向に屈曲
させた形状の共振用導体を並列して誘電体板表面
上に形成している。即ち、隣接する共振用導体の
開放端部と短絡端部とが接近して配置され磁界の
強い部分と電界の強い部分とが接近する。従つ
て、第１図に示した真直形状の共振用導体に比べ
共振用導体同士のカツプルが弱くなり第１図のも
のと同一のフイルタ特性を得ようとすれば共振用
導体同士間距離を近づけなければならない。この
ため共振用導体間のデツドスペースが減少し、ま
た共振用導体の高さが低くなるため誘電体板の形
状を小さくすることができ誘電体フイルタの小型
軽量化が達成される。実験例を示せば、共振用導
体の長さ19mm、厚さ0.8mm、誘電体板寸法２×３
×3.5mm、フイルタ体積約2.6c.c.の第１図に示す従
来形状の誘電体フイルタと同じ伝送特性の本発明
に係る誘電体フイルタにおいては、共振用導体の
長さ19mm、厚さ0.8mm、誘電体板寸法1.1×3.1×
3.5mm、フイルタ体積約1.4c.c.であつた。

本発明に係る誘電体フイルタにおいて誘電体板
上に一旦薄膜導体パターンをメツキあるいは印刷
等により密着して形成しこの上に金属板を重ねる
ことにより共振用導体を形成すればフイルタ通過
帯域での伝送ロスの少い誘電体フイルタが得られ
る。

本発明に係る誘電体フイルタにおいて、誘電体
板上の共振用導体を別の誘電体板で覆い、共振用
導体を２枚の誘電体板で挾む形状とすればフイル
タ通過帯域以外の周波数の減衰特性を向上させる
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の誘電体フイルタの斜視図、第２
図および第３図は各々本発明に係る誘電体フイル
タの各別の例を示す斜視図である。 １１……誘電体板、１２……アース用導体、１
３……共振用導体、１４，１４′……入出力用結
合線路。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 誘電体板の一表面上に複数の並列配置した共
   振用導体および入出力用結合線路を有し、その反
   対表面上をアース用導体で覆い、上記各共振用導
   体の一端を上記アース用導体に接続する短絡端部
   とし、他端を開放端部とした誘電体フイルタにお
   いて、上記複数の共振用導体の形状をその開放端
   部が短絡端部方向に同じ側で折返されて屈曲した
   形状とし折返された側の結合線路は電界結合と
   し、他の側の結合線路は磁界結合としたことを特
   徴とする誘電体フイルタ。 ２ 特許請求の範囲第１項記載の誘電体フイルタ
   において、一表面をアース用導体で覆つた別の誘
   電体板をそのアース用導体側表面との反対側表面
   を上記共振用導体を形成した誘電体板の共振用導
   体側表面に対面させて接合したことを特徴とする
   誘電体フイルタ。