JPS6380994A - ガスシ−ルドア−ク溶接用Ｎｉ基複合ワイヤ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 ［ａ業上の利用分野］ 本発明はＮ　１−Ｃｒ−Ｎｂ−Ｔａ系合金溶接金腐が得
られる優れた性能を示すガスシールドアーク溶接用Ｎｉ
基複合ワイヤに関するものである。

［従来の技術］ Ｎ　１−Ｃｒ−Ｎｂ−Ｔａ系合金は優れた耐食性と耐熱
性を有することから、原子炉や圧力容器等に汎用されて
いる。

しかしこれらの合金を溶接するために使用されるＡＷＳ
　　Ａ５　・１４．ＥＲＮ　ｉ　Ｃｒ−３゜ＥＲＮｉＣ
ｒＭｏ−３等の溶接用ソリッドワイヤは鍛造、圧延時の
生産歩留りが悪く、また伸線も困難であり特にガスシー
ルド用溶接ワイヤにおいては通常１．２〜ＩＪ　ｍｍφ
のものが要求されることから価格も非常に高いものとな
っていた。そこでこれを改善すべく伸線性の良好なＮｉ
を外皮金属のベースとして用いた複合ワイヤが先に提案
開示された（特開昭５７−２８６９７）。

［発明が解決しようとする問題点］ しかしながらこれらのＮｉ基複合ワイヤは、アークの安
定性が悪いと共にスパッタの発生量が非常に多く、溶接
作業性に問題があるというところから汎用されるに至っ
ていない。

そこで本発明者等はこれらの原因をアーク現象面から研
究し追跡した。

その結果、安定したオーステナイト組織を得る目的で用
いられるＮｉ基金属外皮は、軟鋼外皮に比べて融点が約
１５０℃程度低いため、溶接時において外皮がフラック
スより先に溶融してしまい、フラックス柱が非常に長く
なっていることが判明した。そして長いフラックス柱が
アークの集中性を阻害し、アーク長さの変動及びスパッ
タの発生量の増大等を惹起し、その結果溶接作業性を劣
化させていることもわかった。この現象は、溶接電流１
００〜２５０Ａの低電流域では特に顕著であった。

本発明はこの様な事情に着目してなされたものであって
、その目的は耐食性、耐熱性、耐割れ性のみならず溶接
作業性も優れたガスシールドアーク溶接用Ｎｉ基複合ワ
イヤを提供しようとするものである。

［問題点を解決する為の手段］ 本発明はフラックス中にＰ及びＳを含有するＮｉ−Ｃｒ
−Ｎｂ−Ｔａ系複合ワイヤであって下記の点に主たる要
旨を有するものである。

フラックスを金属外皮中に充填してなる複合ワイヤにお
いて金属外皮は、金属外皮全重量に対してＮｉ：６０％
以上を含むと共に、Ｐ　：　０．０１５％以下及びＳ　
：　０．０１５％以下にそれぞれ抑制され、一方内包フ
ラックスは、フラックス全重量に対してＰ　：　０．０
０２〜０．０５％及びＳ　：　Ｏ，ＱＯ２〜０．１％を
含み、且つワイヤ全重量に対してはＮｉ：５０％以上、
Ｃｒ：１０〜２５％、Ｎｂ＋Ｔａ：０．８〜４．５　％
［但し、Ｃｒ　＋１．５（Ｎ　ｂ　＋Ｔ　ａ　）≧１５
％コを含み且つＣ：　０．２％以下に抑制してなること
を特徴とするガスシールドアーク溶接用Ｎｉ基複合ワイ
ヤ。

尚耐割れ性を一層向上させる必要がある場合には、上記
構成要件に加えて金属外皮にＭｇ：０．０００５〜０．
０３％、　Ａ　１　：　０．００１〜０．２％、Ｂ：０
．００００５〜０．０４％の群から選択される１ｆ！ｉ
以上を加えることが可能であり、これも本発明の重要な
構成要件となっている。

［作用］ 本発明は上記の様に構成されるが、要するにワイヤ中の
Ｎｉ、Ｃｒ、Ｎｂ、Ｔａの含有量を規制することにより
ワイヤの生産性を維持しつつ耐食性及び耐熱性の改善を
はかると共に、従来は耐割れ性を劣化させるという理由
でフラックスに添加することを極力制限する必要がある
と言われていたＰ及びＳを、フラックスに積極的に添加
することにより溶接作業性の向上をはかり、必要な場合
にはＭｇ、ＡＩ及びＢよりなる群から選択される１種以
上を添加することにより耐割れ性の一層の向上を図るも
のである。

以下各添加成分の作用及び数値限定理由について（ａ）
ワイヤ全重量に対する含有量が規制される添加物、（ｂ
）フラックス中の含有量が規制される添加物、（ｃ）外
皮金属中の含有量が規制される添加物に分けて説明する
。

（ａ）ワイヤ全重量に対する％と含有量が規制される添
加物： Ｎｉ：５０％以上 Ｎｉ基ワイヤは、Ｎｉ合金の共金溶接に用いられる他、
炭素鋼との異材溶接にも用いられる。ところが異材溶接
の際には、母材による希釈を２０〜４０％程度受けるこ
とから、この様な場合にも安定したオーステナイト組織
を形成し、良好な耐食性を保つためには５０％以上の含
有量が必要である。

Ｃｒ：１０〜２５％ Ｃｒは優れた耐食性及び耐熱性を与える元素であり、Ｎ
ｂやＴａと共に必須の添加成分であり、また強度の向上
にも寄与するが１０％未満の含有量ではこれらの効果が
あまり期待できない。

一方、２５％を超えた場合は溶接金属の延性の低下が著
しい。

Ｎ　ｂ　＋Ｔ　ａ　：　０．８〜４．５％ＮｂとＴａは
前述の如くワイヤの耐食性及び耐熱性を向上させるほか
、Ｎｉ−Ｃｒ合金においては強力な脱酸剤としての効果
を発揮する。しかしＮｂとＴａの総添加量が０．８％未
満では脱酸不足となりブローホールの発生を防止するこ
とができない。一方総添加量が４．５％を超えると凝固
割れが非常に発生し易くなる。尚ＮｂとＴａは必ず併用
され、総和として上記数値条件さえ満足すれば良いもの
である。但しＮｂ≧０．６％、Ｔａ≧０．１％の条件を
夫々満足することにより上記効果がより一層安定したも
のとなる。

Ｃｒ＋１．５（Ｎｂ＋Ｔａ）：　１５％以上ＮｂとＴａ
は複合ワイヤの耐食性に関しＣｒの１．５倍の寄与率を
有することが分かった。即ち第１図にＣｒ　＋１．５（
Ｎ　ｂ　＋Ｔ　ａ　）と耐食性の関係を示した様に［Ｊ
ＩＳ　　Ｇ　　０５７２（硫酸・硫酸第２鉄腐食試験方
法）による］　、　Ｃｒ　＋１．５（Ｎ　ｂ＋Ｔａ）が
１５％未満では耐食性が劣化する。

Ｃ：　０．２％以下 Ｃはワイヤの強度向上に寄与する他、ＮｂやＴａと同様
に脱酸剤として有効である。但し添加量が０．２％を超
えると溶接金属の延性の低下が著しい。

（ｂ）フラックス中の含有量が規制される添加物： 従来のＮｉ基複合ワイヤにおいて溶接作業性が悪化する
主たる原因は、すでにのべた様に溶接時にフラックス柱
が非常に長くなる事にある。そこで本発明者等は内包フ
ラックスをいかに容易に溶融させるかについて種々検討
を行なった。数値はいずれもフラックス全重量に対する
％である。

まず比較的融点の低いＮａＦ、ＫＦ、ＭｇＦｚ等及びこ
れらの複合化合物（融点８００〜１４００℃）をフラッ
クスに添加する実験を試みた。

その結果フラックス柱が若干短くなりスパッタの低減効
果もみられた。そして添加される金属弗化物の融点が低
いほどこれらの効果は大であった。添加効果が認められ
る下限は弗素二にして０．０１％であり、より好ましい
範囲は０．５％以上であった。しかしながらフラックス
に金属弗化物を添加するだけでは、単にフラックスの離
脱を容易にする作用を補助するにとどまり、フラックス
それ自体の溶融・離脱を容易に行なうまでには至らなか
った。

Ｐ　：　０．００２〜０．１％ Ｓ　：　０．００２〜０．０５％ そこで添加物を種々変更して検討を行なった結果、Ｐ及
びＳを含有させたフラックスを用いた場合に最も優れた
効果が得られることを見出した。

即ち、フラックスにＰ及びＳを添加することによってス
ラックス粒自体の融点が下がり個々のフラックス粒の溶
融が容易になるが、一般にフラックス粒は表面から溶融
しはじめるものであるところ、Ｐ及びＳが共存するため
粒表面の溶融部の粘性が著しく低下する結果フラックス
からの離脱が促進され、これらの効果が相乗的に影習し
あってフラックス柱がかなり短くなり、しかもスパッタ
の発生量が激減することが判明した。上記の効果を得る
ためにはＰ及びＳの添加量はいずれも０．００２％以上
であることが必要であり、一方割れの発生を防止するた
めにはＰは０．０５％以下に、Ｓは０．１％以下にそれ
ぞれ制限する必要があることがわかった。

（Ｃ）外皮金属中の含有量が規制される添加物：数値は
いずれも外皮金属全重量に対する％である。

Ｐ、Ｓ：いずれも０．０１５％以下、好ましくは０．０
０５％以下 フラックス中にＰ及びＳを添加して前述の如くフラック
スの融点を下げる一方で、割れ発生防止の観点からはＰ
及びＳは全くの不純物であり、ワイヤ全体としてのＰ及
びＳの添加量を制限する必要がある。このため外皮金属
中のＰ及びＳの添加量も制限されることとなる。しかる
に外皮金属中のＰ及びＳはフラックス中のＰ及びＳより
も溶接金属への歩留りが高いので、その添加割合はフラ
ックスにおける含有率よりも制限されＰ、Ｓいずれもそ
れぞれ０．０１５％以下、好ましくは０．００５％以下
とすることが必要である。

Ｍ　ｇ　：　０．０００５〜０，０３％Ａ　１　：　０
．００１〜０．２％ Ｂ　：　０．００００５〜０．０４％ 上記の様に全ワイヤ中のＰ及びＳを制限しているので良
好な耐割れ性を有する溶接金属を形成することができる
のであるが、更に耐割れ性の向上を図る必要がある場合
はＭｇ、Ａｔ及びＢの群から選択される１種以上を外皮
金属中に添加すると効果的である。その効果を得るため
に必要な添加量はそれぞれＭ　ｇ　：　０．０００５％
以上、Ａ　ｌ　：　０．００１％以上、Ｂ　：　０．０
０００５％以上であるが添加量が過度になると逆に溶接
作業性が劣化する。この見地からはＭ　ｇ　：　０．０
３％以下、Ａｌ：０．２％以下、Ｂ：　０．０４％以下
に添加量を制限する必要がある。

Ｎｆ：６０％以上 安定したオーステナイトの溶接金属を得るため、かつワ
イヤ生産時に良好な伸線性を確保するために外皮金属中
のＮｉ含有率は６０％以上であることが必要である。

この際外皮中にＣｒ、Ｎｂ＋Ｔａ、Ｃを添加する場合も
あるが、過度に添加すると伸線性を著しく損なうのでＣ
ｒ　：　３０％以下、Ｎｂ＋Ｔａ：５％以下、Ｃ：０．
２５％以下に添加量を制限する必要がある。

［実施例］ 第１表に示すＮｔ基合金を外皮として用い第２表に示す
複合ワイヤを製造した。ワイヤ径は１．２ｍｍφとした
。尚、内包するフラックス中に占めるＰｉびＳについて
は、それぞれＴｒ、〜０．２％の範囲でＰ及びＳを含有
する原料を選定し、全フランクス中に占めるＰ及びＳの
量を調整した。尚、第２表においてフラックス組成はＦ
ｅ−Ｎｂ−Ｔａ：６０％のＮｂ−Ｔａ、Ｆｅ−３ｉ　：
　５０％のＳｉ、Ｆｅ−Ｔｆ　：　５０％のＴｉ、Ｆｅ
−Ａｌ：４５％のＡＩ、ＮａＦ：４５％のＦ、ＣａＦ２
　：５０％のＦをそれぞれ含有し、又試験結果の欄のＯ
印は良好、Ｘ印は不良をあられす。

く溶接条件〉 電源　　　　：直流・定電圧特性（逆極性）シールドガ
ス：純Ａｒ　（２５４２／ｍｉｎ　）電流　　　　：　
２５０Ａ 電圧　　　　：２７〜２１３Ｖ 速度　　　　：３０ｃｍ／ｍｉｎ く腐食試験方法〉 ＪＩＳ　　ＧＯ５７２（硫酸・硫酸第２鉄腐食試験方法
） く曲げ試験方法〉 ＪＩＳ　　２３１２４（突合せ溶接継手のローラ曲げ試
験方法） 試験片厚：　９．５　ｍｍｔ 曲げ半径：１９ｍｍ 曲げ角度：１８０゜ 試験結果は次の通りであった。

［比較例コ ＜Ｗ−１＞ワイヤ中のＣｒが７．５％、（Ｃｒ＋１．５
（Ｎ　ｂ＋Ｔ　ａ）　）が１２．９％といずれも低いた
め耐食性が悪い。

＜Ｗ−５＞ワイヤ中のＣが０．２３％と高く、曲げ試験
時に延性不足による割れ発生。

＜Ｗ−１３＞ワイヤ中のＣｒが２６．４％と高く、曲げ
試験時に延性不足による割れ発 生。

＜ｗ−ｓ＞ワイヤ中の（Ｎｂ＋Ｔａ）が０．５４％と低
く、耐食性が悪い。また脱酸不 足によるブローホール発生。

＜Ｗ−７＞ワイヤ中の（Ｎｂ＋Ｔａ）が５．４％と高く
、凝固割れ発生。

＜Ｗ−１１＞フラックス中のＰが０．０７６％と高く、
凝固割れ発生。

（Ｗ−１４＞フラックス中のＳが０．１２％と高く、凝
固割れ発生。

（Ｗ−１５＞外皮金属中のＳが０．０１８％と高く、凝
固割れ発生。またフラックス 中のＰがｏ、ｏｏｏａ％、Ｓがｏ、ｏｏｏａ％と共に低
く作業性不良。

＜Ｗ−８＞フラックス中のＰが０．０００５％と低く作
業性不良。

＜Ｗ−１０＞フラックス中のＳが０．００１％と低く、
作業性不良。

＜Ｗ−１６＞ワイヤ中のＮｉが４８％と低く耐食性が悪
い。

＜Ｗ−１８＞外皮金属中のＮｉが５７．２％と低くまた
Ｃｒが３２．３％と高く、伸線時断線が発生。また外皮
金属中のＰが ０．０１７％と高く凝固割れ発生。

［実施例］ ＜Ｗ−２，３，４，９，１２，１７＞は本発明の実施例
であり、溶接作業性、耐食性能、曲げ性能のいずれの性
能も良好である。

［発明の効果］ 上記の様に構成された本発明のガスシールドアーク溶接
用Ｎｉ基複合ワイヤによればきわめて効率よく溶接作業
を行なうことができ、同時に耐食性、耐熱性及び耐割れ
性もすぐれた溶接金属を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はＣｒ、Ｎｂ＋ＴａのＪＩＳ　Ｇ　０５７２　（
硫酸・硫酸第２鉄腐食試験方法）を示す参考図である。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. （１）フラックスを金属外皮中に充填してなる複合ワイ
   ヤにおいて金属外皮は、金属外皮全重量に対してＮｉ：
   ６０％（重量％の意味、以下同じ）以上を含むと共に、
   Ｐ：０．０１５％以下及びＳ：０．０１５％以下にそれ
   ぞれ抑制され、一方内包フラックスは、フラックス全重
   量に対してＰ：０．００２〜０．０５％及びＳ：０．０
   ０２〜０．１％を含み、且つワイヤ全重量に対してはＮ
   ｉ：５０％以上、Ｃｒ：１０〜２５％、Ｎｂ＋Ｔａ：０
   ．８〜４．５％［但し、Ｃｒ＋１．５（Ｎｂ＋Ｔａ）≧
   １５％］を含み且つＣ：０．２％以下に抑制してなるこ
   とを特徴とするガスシールドアーク溶接用Ｎｉ基複合ワ
   イヤ。
2. （２）フラックスを金属外皮中に充填してなる複合ワイ
   ヤにおいて金属外皮は、金属外皮全重量に対してＮｉ：
   ６０％以上を含むと共にＰ：０．０１５％以下及びＳ：
   ０．０１５％以下にそれぞれ抑制され、更にＭｇ：０．
   ０００５〜０．０３％、Ａｌ：０．００１〜０．２％、
   Ｂ：０．００００５〜０．０４％の群から選択される１
   種以上を含み、一方内包フラックスは、フラックス全重
   量に対してＰ：０．００２〜０．０５％及びＳ：０．０
   ０２〜０．１％を含み、且つワイヤ全重量に対してはＮ
   ｉ：５０％以上、Ｃｒ：１０〜２５％、Ｎｂ＋Ｔａ：０
   ．８〜４．５％［但しＣｒ＋１．５（Ｎｂ＋Ｔａ）≧１
   ５％］を含み且つＣ：０．２％以下に抑制してなること
   を特徴とするガスシールドアーク溶接用Ｎｉ基複合ワイ
   ヤ。