JPS637906Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は電子時計における時刻修正の際に輪列
部の一部の歯車の回転を規制するのに好適な規制
構造に関する。

一般に、電子時計では、時刻修正の際に輪列部
の一部の歯車、例えば秒針車の回転を阻止する規
制手段を備える。この時刻修正に際しては、前記
規制手段によつて秒針車の回転を阻止し、他方、
時針および分針車を回転させて時刻合せをするた
めに、例えば分針カナと分針歯車がスリツプする
ように輪列の一部にスリツプ機構が設けられてい
る。この場合、一般に歯車はその製造誤差によつ
て各歯車のスリツプ回転に差が生じる問題があ
り、他面、スリツプ回転力が低すぎてしまうと、
例えばカレンダー機構の駆動時に歯車が空転して
しまつたり、衝撃力によつて分針等の位置がずれ
て時刻表示が不正確となる問題があることから、
輪列のスリツプ回転力は支障のない箇所で十分大
きく設定する必要がある。そこで、かかる大きな
スリツプ回転する輪列に対し、秒針車の回転を確
実に阻止するためには秒針歯車に規制手段によつ
て十分な規制力を加える必要がある。

従つて、従来、まず、第１図イ・ロに示すよう
な歯車の回転規制手段が提供されている。この従
来例では、レバー等の外部操作部材（図示省略）
を介して伸びる規制手段１の先端部の端面１ａが
平面状ないし断面円弧状に形成され、その端面１
ａが秒針歯車２の歯先２ａに接線方向に当接し、
これにより、秒針歯車２の回転を阻止している。
しかし、この例では、歯車の外形に対し接線方向
に規制手段１が当接することからその規制力が小
さくなり、他方この規制力を大きくとろうとして
も、却つて規制手段１によつて歯先を損傷させや
すいという問題があつた。

従つて、さらに、従来、第２図に示すように、
秒針車２とローター車（図示省略）との間の中間
歯車３の歯先３ａ間に先端部１ｂが爪状の規制手
段１を当接押圧させて回転を阻止する規制構造が
提供されている。

しかしながら、この例によれば、歯形モジユー
ルが小さくなるとこれに対する規制手段の加工が
極めて困難となつて却つて十分な規制力を歯車に
加えることができなくなり、しかも、歯車への当
接に際して歯車の動き、すなわち回転ずれが最大
１／２ピツチであり、これにより、歯車の回転方向
への位置が大きくずれて好ましくないという欠点
があつた。

従つて、本考案は、前記した従来の欠点を解消
し、歯車を損傷させることなくその回転を適確か
つ十分に規制し、しかも、その規制に際し歯車の
回転ずれを著しく低減することを目的とする。そ
こで、本考案は、時刻修正の際に外部操作部材を
介して輪列部の一部の歯車の回転を規制する手段
を備える電子時計において、前記回転規制手段の
先端部に、前記歯車の１つ以上の歯先を嵌め込め
る孔または凹部を設け、その孔または凹部に前記
歯先を嵌め込んだ状態で前記回転規制手段を当該
歯車に当接させることを特徴とする。

本考案が特徴とするところは、図示の実施例に
ついての以下の説明により、さらに明らかとなろ
う。

第３図は本考案に係る歯車の回転規制手段の形
状を示す部分概略説明図であり、図中符号１０で
規制手段の全体を示している。該規制手段は、そ
の先端部１０ａ近傍で折り曲げられ、その先端部
１０ａが幅広に形成されている。規制手段１０の
先端部１０ａには、第３図に示すように、孔１０
ｂが設けられている。この規制手段１０はレバー
のような外部操作部材（図示省略）を介して回転
を規制すべく、例えば第４図に示すような秒針歯
車１１に向けて伸びかつ位置決められている。規
制手段１０によつて秒針歯車１１の回転を阻止す
る場合には、規制手段１０の孔１０ｂ内に秒針歯
車１１の歯先１０ａを１以上嵌め込むようにして
規制手段１０を秒針歯車１１に当接させかつ押圧
する。

第３図には、規制手段１０の先端部１０ａに孔
１０ｂを設けた例を示したが、先端部１０ａを成
形して前記した秒針歯車１１の歯先１１ａが１以
上嵌め込められるような凹部を形成し、これによ
り、規制手段１０を秒針歯車１１に当接させるよ
うにすることもできる。

また、本考案に係る規制手段１０によつて秒針
歯車１１の回転を規制すべく当接するときに生じ
る秒針歯車１１の回転量は最大1/4ピツチであり、
前記した従来例の場合（最大1/2ピツチ）に比し
て秒針歯車１１の規制時の回転ずれを半減させ
る。

さらに、本考案に係る規制構造の場合には、歯
車の回転規制状態で該歯車が微小回転しても、作
用力が第４図に示すように、歯車１１の中心方向
へ距離ｌを有することから、大きな復元力が働い
て復元させ易い。この点、前記した従来例では作
用力が歯車の中心方向への一点であることから、
歯車の僅かな動きに対して復元し難いのとは異な
る。

なお、前記した例では秒針歯車の回転規制を示
したが、本考案は２針式時計における輪列の回転
規制に適用されることは勿論である。

前記したように、本考案によれば、回転規制手
段の先端部に、歯車の１つ以上の歯先を嵌め込め
る孔または凹部を設け、その孔または凹部に前記
歯先を嵌め込んだ状態で前記回転規制手段を当該
歯車に当接させて、歯車を損傷させることなく適
確かつ十分に歯車の回転を阻止することができ、
しかも、歯車の規制時の回転ずれを低減して他の
輪列のスリツプ回転のバラツキに対し大きな許容
範囲をもつことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図イ・ロおよび第２図は従来の電子時計の
歯車回転規制構造を示す概略説明図、第３図は本
考案に係る歯車回転規制手段の形状を示す部分概
略説明図、第４図は第３図に示す規制手段によつ
て歯車の回転を阻止した状態を示す概略説明図で
ある。 １０……歯車の回転規制手段、１０ｂ……孔、
１１……秒針歯車、１１ａ……歯先。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 時刻修正の際に外部操作部材を介して輪列部の
   一部の歯車の回転を規制する手段を備える電子時
   計において、前記回転規制手段の先端部に、前記
   歯車の１つ以上の歯先を嵌め込める孔または凹部
   を設け、その孔または凹部に前記歯先を嵌め込ん
   だ状態で前記回転規制手段を当該歯車に当接させ
   ることを特徴とする電子時計の歯車回転規制構
   造。