JPS637143Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は化粧用塗布具に関し、特に、水性メイ
クアツプ化粧料の化粧用塗布具に関するものであ
る。

〔従来の技術〕

水性メイクアツプ化粧料は、水で化粧料を溶い
て塗布するものであり、水を使用するため清涼感
が得られ、夏場の化粧料として従来から多用され
ている。

この水性メイクアツプ化粧料は粉末固型状であ
り、水分を含浸したスポンジ体に付着させた後、
顔面に塗布するものである。

この化粧料に用いられるスポンジ体塗布具とし
ては、従来、天然海綿のブロツク体やポリビニル
アルコールの発泡体が使用されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

前述したような従来の化粧用塗布具には、次の
ような問題点がある。

水漏れの状態では弾性および柔軟性を有し、
化粧料を塗布するのに適しているが、乾燥状態
では弾性、柔軟性のない程に硬化し、そのた
め、化粧料を塗布することができなくなる。

使用後は短時間で水分の蒸発と共に硬化が始
まり、このため、使用の都度水中で揉み全体を
濡らす手間を要する。

このように化粧に際しては水が不可欠なた
め、水のない場所での化粧ができない。

上述のような問題点は、化粧用塗布具の使用上
誠に不便であり、何らかの改良が望まれていた。

〔考案に至る経過〕

当初、本考案者は、前述の問題点を解決するた
め、弾性と柔軟性を有するポリウレタン発泡体の
表面に薄い発泡ポリビニルアルコールシートを貼
合せて化粧用塗布具を試作してみた。しかし、こ
の化粧用塗布具は弾性効果は出せるが、表面に貼
合せたポリビニルアルコール発泡体が乾燥時に硬
化してしまい、予期した程の大幅な改良効果を達
成することができなかつた。

次いで、ポリウレタン発泡体を構成する骨格表
面にポリウレタンのエマルジヨン液にて発泡層を
形成せしめたもので化粧用塗布具を試作し、それ
について効果の確認を行つた。しかし、この化粧
用塗布具は弾性、柔軟性については問題ないが、
発泡体の骨格に形成した発泡層では水濡れ、水含
みが極めて悪く、固型粉末化粧料が化粧用塗布具
にうまく転移せず、満足するに至らなかつた。こ
れは、ポリウレタン樹脂そのものには吸水性が全
くなく、発泡層の発泡孔によつて吸水するだけで
あることが、水濡れ、水含みの悪い原因であるこ
とがわかつた。

〔考案の目的〕

本考案は上述のような背景に鑑みてなされたも
のであり、その目的とする点は水濡れの状態にお
いても乾燥の状態においても塗布具としての弾
性、柔軟性を有する化粧用塗布具であり、且つ一
度水に濡らすことにより長期間水分のない場所に
あつても化粧が行える極めて便利な化粧用塗布具
を提供することにある。

他の目的としては、水濡れの状態に極めて簡単
（瞬時）になし得る化粧用塗布具を提供すること
にある。

更に他の目的としては、必要に応じ、水性メイ
クアツプ化粧料以外の粉末化粧料の塗布にも利用
可能な化粧用塗布具を提供することである。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案においては、通気性を有し且つ乾燥状態
でも柔軟性を有する多孔質素材と、該多孔質素材
の表面に設けられたハイドロゲル生成高分子体を
含むゴム塗膜層とからなる化粧用塗布具により上
述した目的を達成し、問題点を解決する。

〔作用〕

本考案においては、発泡体や不織布等の通気性
を有する多孔質体の表面にハイドロゲル生成高分
子体を含むゴム塗膜層を設けているため、極めて
吸水性および保水性に富む。

すなわち、ハイドロゲル生成高分子体は強吸
水、保水性を有するものであり、自重の数十倍か
ら数百倍に及ぶ水分を吸水、保水することができ
る。従つて、ハイドロゲル生成高分子体に保水、
吸水されている塗布具外表面（肌と接触する塗布
具の表面）の水分により、化粧料塗布時に冷やり
とした清涼感が得られる。

更に、吸水性がよいので瞬時に水濡れ状態とな
り、一旦水分を含むと、吸水性、保水性の大きい
ハイドロゲル生成高分子体に吸水、保水されるの
で、水分の蒸発が極めて遅く、長時間に亘つて水
分を保持することができる。従つて、使用の都
度、水中で揉み全体を濡らすという手間が省け、
また、本考案の化粧用塗布具を水に濡らして持運
べば、水のない場所でも化粧ができ、便利であ
る。

また、ハイドロゲル生成高分子体はゴムにより
多孔質素材の表面にしつかりと固着されており剥
がれることがない。

ハイドロゲル生成高分子体を含むゴム塗膜層を
多孔質素材の表面に設けているので、本考案の化
粧用塗布具は滑かな表面であつて、化粧料の塗布
がムラなく行える。

本考案においては、通気性を有し且つ乾燥状態
でも柔軟性を有する多孔質素材を塗布具の主体と
しているので、水濡れの状態では勿論のこと、乾
燥状態でも弾性および柔軟性を有し、水性メイク
アツプ化粧料以外の粉末化粧料を塗布するのに適
している。

〔実施例〕

以下、本考案を図面に基き説明する。

発泡ポリウレタン、発泡ゴム、発泡ポリビニル
クロライド等の連続気泡を有する発泡体（第１図
参照）や、ポリエステル、ポリアミド、アクリ
ル、レーヨン、ビニロン、ポリオレフイン等の繊
維体（第２図参照）より得られる不織布等の、通
気性を有する多孔質素材Ａの表面に、天然ゴム、
アクリルニトリルブタジエンゴム、ポリブタジエ
ンゴム、スチレンブタジエンゴム、シリコンゴ
ム、フツソゴム等の有機溶剤溶解液か又はエマル
ジヨン化溶液中にハイドロゲル生成高分子体３を
配合した塗料液によつて、被膜を形成する。この
場合、前記塗料液に発泡剤や気泡を混入して、発
泡被膜を形成してもよい。

被膜形成方法は、浸漬処理方法が最も良好な仕
上りを呈する。浸漬処理した場合は、多孔質材Ａ
からなる化粧用塗布具の内部にまで処理液が浸透
するので、多孔質材Ａを形成する骨格１の表面全
体を被覆することになる。

浸漬後、液切りを行い、乾燥工程を経ることに
より骨格１の表面に前記ゴム分２が強固に固着し
た状態となり、且つそのゴム分２中にハイドロゲ
ル生成高分子体３も分散固着された状態になる。

ゴム分２は、骨格１とハイドロゲル生成高分子
体３とを固着させる接合剤的機能を果すととも
に、ゴム材特有の柔軟性により使用時の触感をよ
り良くする効果も奏する。

ハイドロゲル生成高分子体は、強吸水、保水性
を有するものであるが、特に、自重の数十倍から
数百倍に及ぶ水分を吸水、保水することができる
ものが適当である。

ここで使用されるハイドロゲル生成高分子体３
としては、カルボキシルメチルセルロースのアル
カリ金属塩の架橋生成物、ポリアクリル酸の金属
塩、ポリアルキレンオキサイド架橋生成物、セル
ロースアクリルニトリル・グラフト重合体より生
成せしめたカルボキシルアルカリ金属塩等が極め
て効果的である。

これらの材料は保水力（水中に浸漬して水分を
吸収させ、次いで遠心脱水した後になお保持され
ている水の量）が自重の数十から数百倍にも達
し、従つて、少々の外圧が掛つても一旦吸収した
液体を放出することはない。

また、本考案者の試験において、前記ハイドロ
ゲル生成高分子体３と共に海綿粉末、麻、綿、レ
ーヨン等の短繊維体を併用し混合すると、塗布時
にサツパリ感が増大して使用感を良くすることも
判明した。

〔考案の効果〕

本考案の化粧用塗布具では、通気性を有する多
孔質体の表面にハイドロゲル生成高分子体を含む
ゴム塗膜層を設けているので、極めて吸水性およ
び保水性に富み、化粧料塗布時に冷やりとした清
涼感が得られる。

ハイドロゲル生成高分子体はゴムにより多孔質
素材の表面にしつかりと固着されており剥がれる
ことがなく、ゴム塗膜層により多孔質素材の表面
が滑かとなるため、ムラなく化粧料が塗布でき
る。

本考案の化粧用塗布具は、通気性を有し且つ乾
燥状態でも柔軟性を有する多孔質素材を塗布具の
主体としているので、水濡れの状態では勿論のこ
と、乾燥状態でも弾性および柔軟性を有し、水性
メイクアツプ化粧料以外の粉末化粧料を塗布する
のに適している。

ハイドロゲル生成高分子体は、通常のスポンジ
の如く骨格の発泡孔または間隙で物理的に保水す
るのではなく、分子内に水分を保有するものであ
る。このため、水分が蒸発乾燥し難い。しかも、
水分を保有した場合、長期間湿つた状態となる。
従つて、本考案の化粧用塗布具に一旦水分を含ま
せると、長時間に亘つて水分を保持でき、使用の
都度、水中で揉み全体を濡らすという手間が省
け、また、水に濡らして持運べば、水のない場所
でも化粧ができ、便利である。

また、吸水性がよいので極めて簡単に塗布具を
水濡れ状態とでき、しかも塗布具の含水量が多い
場合にも、ハイドロゲル生成高分子体に保水され
るので、必要以上に肌が水濡れ状態になることが
なく、使い易く、使用感を損ねることもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の化粧用塗布具の一実施例の断
面図で、発泡体を骨格とするものである。第２図
は本考案の化粧用塗布具の別の実施例の断面図
で、不織布を骨格とするものである。 Ａ……通気性を有する多孔質素材、１……骨
格、２……ゴム分、３……ハイドロゲル生成高分
子体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 通気性を有し且つ乾燥状態でも柔軟性を有する
   多孔質素材と、該多孔質素材の表面に設けられた
   ハイドロゲル生成高分子体を含むゴム塗膜層とか
   らなることを特徴とする化粧用塗布具。