JPS6366553B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、工業用ミシン等に装備されている布
送りを逆転するための返し縫い機構を、予め定め
られた縫い目数だけ作動させるための返し縫い制
御装置に係る。

従来例の構成とその問題点 一般の縫製作業に於いて、例えば縫い始め、或
は縫い終り時に縫い糸のほつれ止めのため多重縫
いを施すことを目的として、返し縫い機構を作動
させる必要がしばしば発生する。この返し縫いを
作業者が容易に行ない得るために工業用ミシンに
はソレノイドが装着され、このソレノイドを作動
させることにより返し縫い機構を動作させ、布送
りを逆転させる構造となつているのが一般的であ
る。

近年のマイクロ・コンピユータを中心とした電
子制御技術の急速な進歩は工業用ミシンの制御技
術にも及び、布送りの転換も作業者がミシンに装
備された布送り逆転レバーを遂一操作することな
く、ミシンの足踏みペダルを操作するだけでプリ
セツトされた縫い目数の縫い始め、及び縫い終り
返し縫いが自動的に行ない得る、所謂自動返し縫
の技術が一般化している。

縫製作業に於ける前述の自動返し縫いの他の有
効な用途として、例えばズボン、或はスカート等
のバンドループの縫い付け時の様に、比較的短い
縫製長で正縫い、逆縫いを多数回繰り返して縫製
する縫い工程がある。この様な短い縫い工程にお
いて、縫い過ぎ或は縫い不足が生じない様に作業
者が前記布送り逆転レバーを遂一操作して正縫い
逆縫いを繰り返すには、相当な熟練と多大な注意
力が作業者に要求されるのが普通であり、又縫製
速度を高めることも困難となり、とりわけ縫製能
率が重視される工業用ミシンでは重大な欠点とな
る。

これら作業者の熟練度と注意力の軽減をはか
り、しかも縫製能率、及び被縫製物の縫製品質の
向上をはかり得る手段として、正縫い目数、逆縫
い目数、及び正、逆縫いの繰り返し回数を、デジ
タルスイツチの如き設定器により予めプリセツト
し、作業者はミシンの足踏みペダルを操作するの
みでプリセツトされた正、逆の縫い目数を、同様
にプリセツトされた回数だけ自動的に縫製する、
所謂連続自動返し縫いの機能を持つミシン制御装
置が提案されている。

前記した、自動返し縫い、及び連続返し縫い
の、両方の機能を併せ持つミシン制御装置に具備
される縫い目数設定器には、作業者の理解とプリ
セツト作業を容易とするため、比較的高価な４ビ
ツトの２進化10進コード出力が得られるデジタル
スイツチを用いるのが一般的であり、この場合一
つの設定器で０から９までの設定が可能である。

縫い始め、縫い終りの返し縫いは前述した如
く、縫糸のほつれ止めが主目的であり、10縫目以
上の返し縫いを施すことは特殊な用途以外は必要
とされなかつたが、一方連続返し縫いの場合には
縫製工程によつては10縫目以上の正縫い長、逆縫
い長が必要とされる場合も多く、これに対応すべ
従来は、 (1) 一つの縫製工程の縫い目数の設定に複数個の
縫い目数設定器を用いる。

(2) 別にスイツチを設け、このスイツチがオンさ
れているときには縫い目数設定器の設定値を整
数倍となる様な演算処理を施す。

(3) 別にスイツチを設け、このスイツチがオンさ
れているときには縫い目数設定器の設定値に特
定の数値（たとえば10）を加える様な演算処理
を施す。

等の手段が採用されてきた。前述の(1)の例では縫
い目数設定器の増加に伴ない高価な装置となるこ
と、同じく(2)の例では寄数の縫い目数の設定が不
可能なこと、同じく(3)の例では演算処理が複数の
縫い工程の設定全てに及ぶため設定できない縫い
目数（たとえば正縫目数＝９、逆縫目数＝10など
の場合）が生じ、更には、未熟練な作業者にとつ
て縫い目数のプリセツト作業が煩雑となる等の欠
点があつた。

発明の目的 本発明は述した従来例の欠点を除くことによ
り、安価でしかも操作性、実用性の高い縫製装置
を提供することを目的としたものである。

発明の構成 本発明は、自動返し縫いと連続自動返し縫いの
２つの機能を併せ持つミシン制御装置に於いて、
自動返し縫い時の縫い始め、及び縫い終り返し縫
いの正、及び逆縫い工程の縫い目数設定を個別に
行なう４個の縫い目数設定器を、連続自動返し縫
い時には、その正、及び逆縫い工程の縫い目数設
定に３個（Ａ，Ｂ，Ｃ）を用いて（Ａ＋Ｃ）で正
縫い工程の縫い目数をプリセツトし、（Ｂ＋Ｃ）
で逆縫い工程のそれを行ない、残り１個の設定器
で、正、及び逆縫いの繰返し回路を設定可能な構
成としたもので、設定器の個数の増加、或は縫い
目数の設定可能範囲を拡大させる機能を持つスイ
ツチのような特別な切換え手段の追加等をみるこ
となく、１個の縫い目数設定器の持つ設定可能範
囲の２倍の縫い目数の設定が設定値の欠落等の矛
盾無く連続的に行ない得ようにしたものである。

実施例の説明 以下本発明の実施例を添付図面を参照して説明
する。

第１図及び第２図は本発明による縫製装置の一
実施例の概略の構成を示すもので、１は返し縫い
機構、糸切り機構等を装備するミシン、２はミシ
ンテーブル、３はミシン１の駆動、停止、糸切り
動作等を作業者が指令するための足踏みペダル、
４はミシン１を駆動するためのモータであり、そ
の駆動力をミシン１に伝達すべく各々のプーリを
介してベルトで連結させている。５はペダル３の
操作による指令を受けてモータ４の駆動、停止、
変速等の制御を行なう制御装置であり、その機能
の大部分をマイクロコンピユータ５１を中心とし
た素子及び回路で実現し、かつ返し縫い機構を動
作せしめる信号を出力する回路を含む。６はミシ
ン１の主軸の一回転につき１個の割で針位置に相
当するパルス信号を出力する針位置検出装置で、
その出力は前記マイクロコンピユータ５１の割込
み入力に接続される。７は自動返し縫い連続自動
返し縫いのいずれかを選択するパターン選択スイ
ツチ７１と、各縫い工程の縫い目数、或は連続自
動返し縫い時に正縫い、逆縫いの繰り返し回数
を、４ビツトの２進化10進コード出力で設定する
４個のデジタル設定器７２ａ，７２ｂ，７２ｃ，
７２ｄが配置された操作箱である。第１図及び第
２図では制御装置４と操作箱７を個別なものとし
たが、操作箱７を制御装置４の中に一体化した構
成とし得るものであることは当然なことである。

以下第３図ａ，ｂに示した縫製パターンを例と
して、本発明の作用を第２図、第４図のブロツク
図、フローチヤート図により説明する。

針位置検出器６の出力は前述の如くマイコンの
割込み入力に接続されるので、針位置信号が存在
する毎に、割込み処理ルーチン（iNT）では第
４図ｂに示す如く、各縫製工程の縫製長を管理す
るカウンタ（CNTR１とし、マイクロコンピユ
ータ５１の内部で構成されるものとし図示しな
い。）をデクリメントする。

ペダル３が何等操作されず、ミシン１が停止の
状態から、ペダル３が操作されて駆動指令が発せ
られると、ミシンは駆動を開始し、先ずパターン
選択スイツチ７１が参照され、その値に応じて自
動返し縫い或は連続返し縫いの処理を開始する。

パターン選択スイツチ７１が自動返し縫いと選
択された場合、第４図に示す１のルーチンを通り
縫い目数設定器７２ａの設定値Ａが、CNTR１
にセツトされ、次に２のルーチンに移行し、
CNTR１が０となるを持つ。CNTR１が０とな
ると、縫い目数設定器７２ａでプリセツトされた
縫い始め返し縫いの正縫い工程Ａの縫製を完了
し、返し縫いソレノイドをオンする信号を出力
し、ミシン１の布送りを逆転すると共に縫い目数
設定器７２ｂでの設定値ＢをCNTR１にセツト
して逆縫い工程Ｂの縫製を開始し３のルーチンに
行する。３のルーチンでCNTR１が０となる返
し縫いソレノイドをオフして逆縫い工程Ｂの縫製
を完了した後４のルーチンに移行して通常の縫製
工程Ｓを実行する。工程Ｓで適当な縫い目数が形
成された後に糸切り指令が与えられると、７２
ｃ，７２ｄでプリセツトされた逆及び正縫い目数
の縫い終り返し縫いを行ない、その後、糸切り
（図中×で示す）を実行して、第３図ａに示す縫
製パターンが形成される。

パターン選択スイツチ７１が連続自動返し縫い
と選択された場合、第４図ｃに示す５のルーチン
を通り２つの縫い目数設定器の設定値の和が（Ａ
＋Ｃ）がCNTR１にセツトされ、更に設定器７
２ｄの設定値Ｄを１だけ減算した（Ｄ−１）が、
正縫い、逆縫いの繰返し回数を管理するカウンタ
（CNTR２とし、マイクロコンピユータ５１の内
部で構成されるものとし図示しない）にセツトさ
れ、次に６のルーチンに移行し、CNTR１が０
となるのを待つ。CNTR１が０となると縫い目
数設定器７２ａと７２ｃの和でプリセツトされた
正縫い工程Ｅの縫製を完了し、縫い目数設定器７
２ｂ，７２ｃの設定値Ｂ，Ｃの和がCNTR１に
セツトされ、CNTR２を１減算すると同時に返
し縫いソレノイドをオンする信号を出力しミシン
１の布送りを逆転して逆縫い工程Ｆの縫製を開始
し７のルーチンに移行し、CNTR１が０となる
のを待つ。CNTR１が０となると縫い目数設定
器７２ｂ，７２ｃの設定値の和（Ｂ＋Ｃ）で設定
された逆縫い工程Ｆの縫製を完了し、再度縫い目
数設定器７２ａ，７２ｃによる設定値の和（Ａ＋
Ｃ）をCNTR１にセツトし、CNTR２を減算す
るとともに返し縫いソレノイドをオフして、ミシ
ン１の布送りを正送りに戻し正縫い工程Ｅの縫製
を開始する。６及び７のルーチンではその処理開
始時にCNTR２の内容を参照し、その値が０以
外であれば上述の縫い目数設定器による（Ａ＋
Ｃ），（Ｂ＋Ｃ）の設定縫製長の正、及び逆縫いを
交互に繰り返す。

CNTR２の内容が０となればその正域は逆縫
い工程は最終の工程となりCNTR１の内容が０
となるのを待つて糸切り（図中×で示す）へ移行
し、プリセツトされた正、及び逆縫いの繰返し回
数Ｄを完了して第３図ｂに示す縫製パターンが形
成される。

発明の効果 以上、詳述した如く本発明に依れば、自動返し
と連続自動返し縫いの２つの機能を併せ持つミシ
ン制御装置に於いて、自動返し縫い時の縫い始
め、及び縫い終り返し縫いの正、及び逆縫い工程
の縫い目数設定を個別に行なう４個の縫い目数設
定器を、連続自動返し縫い時には、その正、及び
逆縫い工程の縫い目数設定に３個（Ａ，Ｂ，Ｃ）
を用いて（Ａ＋Ｃ）で正縫い工程の縫い目数をプ
リセツトし、（Ｂ＋Ｃ）で逆縫い工程のそれを行
ない、残り１個の設定器で、正、及び逆縫いの繰
返し回路を設定可能な構成とすれば、設定器の個
数の増加、或は縫い目数の設定可能範囲を拡大さ
せる機能を持つスイツチのような特別な切換え手
段の追加等をみることなく、１個の縫い目数設定
器の持つ設定可能範囲の２倍の縫い目数の設定が
設定値の欠落等の矛盾無く連続的に行ない得るも
のであつて未熟練な作業者にとつても設定作業の
理解及び操作も容易であり、かつ安価な縫製装置
を提供できるものである。

加えて、連続返し縫い時には正、及び逆縫い工
程の縫い目数設定は等しい値に設定されるのが一
般的であり、本発明に依れば、この様な場合一つ
の設定器の操作で正、逆の縫い目数設定が同時に
行ない得るので設定作業が更に容易となる効果も
有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による縫製装置の一実施例を示
す正面図、第２図は本発明の一実施例を示すブロ
ツク図、第３図ａ，ｂは本発明の作用の説明のた
めに用いた縫製パターンの例を示す図、第４図
ａ，ｂ，ｃは、第３図の縫製パターンを例とした
場合の本発明による縫製装置による処理の流れを
示すフローチヤート図である。 １……ミシン、３……足踏みペダル、４……モ
ータ、５……制御装置、５１……マイクロコンピ
ユータ、５２，５３……ドライバー、６……針位
置検出装置、７……操作箱、７１……パターン選
択スイツチ、７２ａ，７２ｂ，７２ｃ，７２ｄ…
…デジタル設定器。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 電動機により駆動されるミシンヘツドと、前
   記ミシンヘツドに装着された布送りを逆転させる
   ための返し縫い機構と、返し縫いの正縫い目数、
   及び逆縫い目数を予めプリセツトし得る複数の縫
   い目数設定器と、縫製の開始時、或は終了時に返
   し縫いを付加する第１の縫製パターンと、正縫い
   及び逆縫いを交互にかつ連続的に繰返す第２の縫
   製パターンの選択を行なうパターン選択スイツチ
   を具備したミシン制御装置を有し、前記パターン
   選択スイツチが第１のパターンと選択された場合
   には、２個の前記縫い目数設定器（SWA，
   SWB）で縫製開始時の返し縫いの正縫い工程及
   び逆縫い工程の縫い目数をそれぞれプリセツト
   し、他の２個の前記縫い目数設定器（SWC，
   SWD）で縫製終了時の返し縫いの逆縫い工程、
   及び正縫い工程の縫い目数をそれぞれプリセツト
   し、前記パターン選択スイツチが第２のパターン
   と選択された場合には返し縫いの正縫い工程では
   任意の縫い目数設定器と特定の縫い目数設定器に
   より指示される縫い目数の和をプリセツトし、逆
   縫い工程では他の任意の縫い目数設定器と前記特
   定の縫い目数設定器により指示される縫い目数の
   和をプリセツトし、かつ残りの縫い目数設定器で
   正縫い、逆縫いの繰り返し回数をプリセツトする
   構成にした縫製装置。