JPS6364871B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、高周波加熱装置における加熱室内へ
の高周波照射構造の改良に関するものである。 この種の加熱装置特にマイクロ波を用いた電子
レンジ等において被加熱物を均一に加熱しようと
従来より種々の発明、考案がなされてきたが、そ
の１つの方向として加熱室内に生じる電界モード
を設定したモードより変化させてしまうほどの比
較的大きな被加熱物について、その中心部を外周
部分と同等以上に加熱できる様にしようとするも
のがあつた。そしてその１つの解決策としてマイ
クロ波の放射源を複数個設けその１つを被加熱物
の底部に配する事が発明され、実用に供されてい
る。 第１図に従来例を示す。 本体１内には、被加熱物２の出入にかかる扉３
を加熱室壁の一部に有する加熱室４が設けられて
いる。この加熱室４に対し、第１の高周波放射手
段として、加熱室上壁５の略中心部に円形の開口
６を設け、その中心を軸として加熱室上壁５より
加熱室４内に金属性の導体棒７を回動自在に突出
させている。金属性の導体棒７の加熱室側先端８
部には軸方向に直角に、金属板９が固着されてい
る。導体棒７の他の端面１０は導波管１１の一部
に突出している。 導波管１１は高周波の発振を行なうマグネトロ
ン１２のアンテナ部に高周波的結合がなされてい
る。 導体棒７の端面１０部分は導波管１１外に設け
た回転機構１３の回転軸出力を前記導体棒７に伝
達しかつこの導体棒７の軸方向の位置を固定する
支軸１４に機械的に結合している。支軸１４は導
波管１１内より外部に電波が漏れないように誘電
体にて形成している。本体１前面に設けた操作つ
まみ１５を操作し、マグネトロン１２に電力を印
加すると、導波管１１を伝わつて伝送された高周
波が導体棒７を励振、導体棒７に流れる高周波電
流は、金属板９にも電流を生じせしめ、加熱室４
は、金属板９から放射される高周波によつて励振
被加熱物２を加熱する。同様な構成が加熱室４の
底壁１６の略中央部分に設けられている。即第２
のマイクロ波の放射手段として底壁１６の略中心
に円形の開口１７を設け、その中心を軸として加
熱室上壁５より加熱室４内に第２の金属性導体棒
１８を回動自在に突出させている。金属性の導体
棒１８の加熱室側先端１９部には軸方向に直角に
第２の金属板２０が固着されている。導体棒１８
の他の端面２１は前記第１の導体棒７と同様、第
２の導波管２２の下部に突出している。 導波管２２は、第２のマグネトロン２３のアン
テナ部と高周波的結合がなされている。導体棒１
８の端面２１の部分は、導波管２２外に設けた第
２の回転機構２４の回転軸出力を前記導体棒１８
に伝達しかつ該導体棒７の軸方向の位置を固定す
る第２の支軸２５の機械的に結合している。支軸
２５は導波管２２より外部に高周波が漏れないよ
うに誘電体にて形成している。 金属板２０の回転面より上部には、誘電体より
なる被加熱物載置台２６を金属板２０の回転を防
げないような構成にて設けている。第１の高周波
の放射手段と同様、操作者が操作用つまみ１５を
操作することで導体棒１８および金属板２０部分
より、加熱室４内へ高周波を放射し、被加熱物載
置台２６の上面に載置せる被加熱物２を底面中心
部分より加熱するようにしている。 上記のごとき構成において被加熱物２を加熱し
た場合以下のごとき問題と生じた。第２図に模式
的に被加熱物２の断面図を示す。被加熱物２の形
状にもよるが、その形状が大きくなるほど図のご
とく底部中央部、あるいは上側側肩部分に過加熱
部を生じる。すなわち、第１の高周波の放射手段
より加熱室４内へ放射された高周波の一部は直接
被加熱物２へ向つて進行するが、被加熱物２のな
す面には直角には高周波が入りがたく、肩の部分
に過加熱部分を生じる。又、第２の高周波の放射
手段より加熱室内へ放射された高周波の大部分は
金属板２０の直上にある被加熱物の底面部分を加
熱するため、通常加熱室４内の略中央を中心に載
置される被加熱物２はその中心部分がアンテナに
近くその近傍が他の部分にくらべより強く加熱さ
れ、結果過加熱状態を生じ被加熱物の均一な加熱
について不満足といわざるを得なかつた。 本発明は上記従来の欠点を解消するもので被加
熱物の局部的な過加熱を防止し均一加熱すること
を目的とする。 上記目的を達するため、本発明の高周波加熱装
置は、被加熱物を収納する加熱室と、前記加熱室
内へ高周波を給電する高周波発振器と、前記被加
熱物に対し前記加熱室の上壁のほぼ中央部を中心
とし回転しながら前記高周波の照射を行なう第１
の高周波の放射手段と、前記加熱室の底壁のほぼ
中央部を中心とし回転しながら前記高周波の照射
を行なう第２の高周波の放射手段とを備え、前記
第１の高周波の放射手段には前記放射手段の回転
軸に連設され前記回転軸とともに回転する金属性
反射板を設ける構成であり、より均一な加熱を可
能とする。 以下、本発明の一実施例について、図面に基づ
いて説明する。 加熱室４内に高周波を照射する第１の高周波の
放射手段において導体棒７の加熱室側端面８に導
体棒７の軸方向と直角に金属板９を結合させる。
金属板９と、導体棒７の端面８の結合部分は金属
板９のいずれかの端部以外の位置としている。一
方、導体棒７の軸方向と直角に誘電体部材よりな
る支持板２７を設ける。支持板２７は直接導体棒
７に固定せず金属板９に固定している。 支持板２７は、前記金属板９と直交するように
設ける。支持板２７の両端面近傍２８，２９には
それぞれ金属性の反射板３０，３１を設ける。反
射板３０，３１は金属板９と異なり、加熱室４の
上下方向に幅をもたせている。又、この反射板は
加熱室上壁５と直角以外の角度となる様にしてい
る。導体棒７の端面１０は従来例と同じく加熱室
上壁５上に設けた開口６の中心部分を通り導波管
１１の内部に突出させるようにし、支軸１４と機
械的結合させている。支軸１４は開口６の中心と
同軸上に中心をもつ導波管１１に固定された軸受
３２により軸支され回動自在なるごとく構成され
ている。支軸１４の導波管１１外先端部分はモー
タ（図示せず）の回転出力を伝達するゴムベルト
３３と、プーリー３４により結合される構成を設
け、加熱動作中常時回転させる様にしている。こ
うして金属板９と反射板３０，３１はそれぞれ一
定回隔を保ちながら導体棒７を中心に、本体が加
熱動作中常時加熱室上壁５と略平行に常時回転す
る様にしている。 以上の構成を用いた場合下記のごとき加熱室内
の高周波の照射方向に変化させる事ができた。 第４図に模式的にその方向を示す。すなわち、
一般的には金属板９に流れる高周波電流は加熱室
の下方向に向つて照射が行なわれる。ところが金
属板９は、その一端面と導体棒７を結合させた場
合と異なり、導体棒７近傍の金属板に流れる電流
はそれぞれ導体棒から端面に向う訳で方向が逆向
きであり、それぞれの電流によつて発生する高周
波を打ち消し合い、下方向に向かう高周波を弱め
る。この状態を実線にて高周波電流の状態を破線
にて高周波の進行方向とその強度を示す。図のご
とく金属板９の端面近傍に生じた高周波は下方に
向かうが、導体棒７近傍で打けされた電界は結局
導体棒そのものから軸と直角方向に進行する様に
なる。この高周波成分は、前述の反射板３０，３
１に当接され、反射板が加熱室上壁５と直角でな
い角度をなしているため、導体棒７に向つては反
射されず加熱室４内に向つて進行するようにな
る。 従来例にてのべたごとく高周波は被加熱物２に
直角には進入しにくい。すなわち反射が大きく被
加熱物２を効率よく加熱することがむずかしい。
逆に、被加熱物に対し斜めに入射させれば反射が
少なく効率よく加熱する事ができる。一般の導波
管１１等の無反射終端に等いられる負荷形状がく
さび型を示しているごとくである。本発明の構成
によれば、被加熱物２のなす面に対し、反射板３
０，３１により反射された高周波は金属板９から
放射される高周波が被加熱物２に対し直角である
のに対し、斜めより進入する。そのため、より被
加熱物の上面に進入しやすく、この反射板３０，
３１の形状角度を適当に構成する事で被加熱物上
面の中心部分を集中して加熱する事ができるよう
になる。さらに反射板３０，３１へ向う高周波エ
ネルギー量は、金属板９の導体棒７との結合の位
置をかえる事で自由に調整可能である。 すなわち、導体棒７からの両端面までの距離と
等しくした時にもつとも多く一端に導体棒を結合
した場合にもつとも少なくなる。実施にあたつて
は、被加熱物の形状材質等に合わせ公約数的な寸
法を選定している。 以上、本発明を実施することで従来の金属板を
上下に配する方式の高周波加熱方法に比較し、被
加熱物の上面中央部をより強く加熱する事で、よ
り均一に加熱を行なう事が出きるようになつた。 そしてさらに次のごとき効果をも合せて有する
様になつた。第１に従来例によればたしかに高周
波は下方向、すなわち、被加熱物に向かうがこの
高周波によつて生じる加熱室内の定在波モードの
変化が少なく特に高さ方向の加熱ムラ性能が十分
でない面があつたが、本発明の実施によつて反射
板の上下方向の幅がこの定在波をかき乱し、結果
上下方向の加熱ムラをなくす事も合せて得る事が
出来るようになつた。 さらに、本発明の実施により、被加熱物２を上
下２段に配置した場合、第１の高周波の放射手段
の発した高周波を上側の被加熱物に集中させる事
が出来る様になり、被加熱物２，２′をほぼ均一
に加熱する事が可能となつた。第５図にその状態
を模式的に示し、下表に上下被加熱物２，２′の
温度差の実測データを示す。

【表】

【表】 第１、第２の高周波の放射手段が導体棒７，１
８と金属板９，２０による金属板のみの従来方式
の場合、上段の被加熱物の中央部分に照射された
高周波は吸収されにくく大半が反射して逆に下段
の被加熱物に達しそこで吸収される。下段の被加
熱物は直下の第２の高周波の放射手段により強制
的に加熱されており結果下段の被加熱物に大半の
高周波エネルギーが吸収され、上下段の被加熱物
に大きな温度差を生じていた。ところが、本発明
の実施において金属板９の導体棒７との結合位
置、長さの差および反射板の大きさ角度を調整す
る事で第１の高周波の放射手段の発生する高周波
を上側被加熱物に集中させる事で、上下の被加熱
物の温度差を非常に少なくする事が出来、結果、
加熱室に上下に被加熱物を配置して一度に大量の
被加熱物の加熱を行なう事ができるようになつて
いるのである。本発明は業務用の電子レンジによ
つて実施され、きわめて大きな性能向上、作業効
率の向上を見るに至つた。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の高周波加熱装置の側面断面図、
第２図は同装置での食品の過加熱状態を示す側面
断面図、第３図は本発明の高周波加熱装置のアン
テナ部分の拡大外観斜視図、第４図は同装置の動
作説明図、第５図は同装置で二段加熱調理を行な
つたときの状態を示す側面断面図である。 １……本体、２……被加熱物、４……加熱室、
５……加熱室上壁、６……開口、７……導体棒
（回転軸）、１２……マグネトロン（高周波発振
器）、１３……回転機構、１４……支軸、３０，
３１……反射板。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 被加熱物を上下２段に収納する加熱室と、前
   記加熱室内へ高周波を給電する高周波発振器と、
   前記被加熱物に対し加熱室上壁のほぼ中央部を中
   心とし回転しながら前記高周波の照射を行なう第
   １の高周波の放射手段と、加熱室底壁のほぼ中央
   部を中心とし回転しながら前記高周波の照射を行
   なう第２の高周波の放射手段とを備え、前記第１
   の高周波の放射手段は導体棒の先端に、軸方向に
   直角に設けた金属板をいずれかの端部以外の位置
   にて結合させ、さらに誘電体部材よりなる支持板
   により連設され前記導体棒とともに回転する加熱
   室上壁と直角以外の角度をなす金属性の反射板を
   設ける構成とした事を特徴とする高周波加熱装
   置。