JPS6244397B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は高周波加熱装置の本体内に設けられた
加熱室内へマイクロ波を照射する構成に関するも
のである。

従来、この種の高周波加熱装置、特にマイクロ
波により被調理物を加熱する電子レンジ等におい
て、あらゆる被調理物の形状や素材のいかんにか
かわらず、被調理物を均一に加熱するために、加
熱室上壁中央に電界撹拌翼を設けて回転させた
り、あるいは加熱室内へマイクロ波を照射する方
法として、加熱室上壁の略中央にマイクロ波放射
源であるアンテナを設ける方法が発明されている
が、この二つの方法を同時に実施するには、いず
れも加熱室の上壁中央に電界撹拌翼とアンテナと
を設ける必要があることから、構造的にも信頼性
の面からも困難であつた。

従来例としては電界撹拌翼をマイクロ波放射源
であるアンテナに回転自在に設け、この電界撹拌
翼にマイクロ波発生装置を冷却した冷風の一部を
あてて回転させるというものであつた。しかしこ
の場合の電界撹拌翼は、風力で回転する形状や重
量に規制され、電界の撹拌に必要な形状を任意に
つくることができなかつた。

また電界撹拌翼の強度が弱く輸送中の振動で電
界撹拌翼が変形したり、あるいは折れたりして、
使用時に電界撹拌翼が回転せず、そのため食品に
加熱ムラが生じ、時としてマイクロ波により異常
加熱されるといつた不具合な面が生じていた。

本発明は本体内に設けられた加熱室と、この加
熱室内にマイクロ波を供給するマイクロ波発生装
置と、前記加熱室上壁の略中央に設けられた開口
部と、この開口部を貫通して前記加熱室内に臨む
導体棒と、前記加熱室上壁と略平行な回転面を有
し、前記加熱室内に供給されるマイクロ波を放射
する電界撹拌翼とからなり、前記電界撹拌翼を前
記導体棒に機械的に結合するとともに、この導体
棒を加熱室外部より回転する構成とすることによ
り上記従来の欠点を解消するものである。

まず上記従来の欠点を解消するものとして提案
される高周波加熱装置を、第１図に示す。

第１図において１は高周波加熱装置の本体で、
この本体１内に設けられた加熱室２の開口部に扉
３が開閉自在に設けられている。４はマイクロ波
発生装置の一例として用いたマグネトロンで、こ
のマグネトロン４で発生したマイクロ波はアンテ
ナ５から導波管６を経て加熱室上壁７に略中央に
設けられた開口部８から加熱室２内に供給され
る。このマグネトロン４で発生するマイクロ波は
2450MHzなので、マイクロ波に対し高さ方向の
電界モードが０となるように加熱室２の幅を406
mm、奥行342mmに構成している。９は加熱室２内
に収められた被調理物である。

以下第１図に示す高周波加熱装置にはない構成
および効果を有する本願の実施例について第２
図、第３図に示す。第２図において１０は加熱室
上壁７の開口部８から加熱室２内に略垂直に臨ん
で設けられた金属製の導体棒で、この導体棒１０
は誘電体で構成された軸受Ａ１１によつて回転自
在に軸支されている。１２は加熱室２内へ供給さ
れるマイクロ波を放射してマイクロ波の分布特性
をよくする金属製の電界撹拌翼１３を取付ける取
付具で、誘電体で構成され、軸受Ａ１１と導体棒
１０の下端部１４間のローレツト部１５に固定さ
れる部分は、アウトサート成型されており、この
取付具１２の先端近傍に電界撹拌翼１３が機械的
に結合されている。１６は加熱室上壁７と略平行
な回転面を有する電界撹拌翼１３の羽根で、この
羽根１６の回転面の一部は、電界撹拌翼１３の下
方に設けられた誘電体からなる仕切板１７と導体
棒１０の下端部１４間に位置するように設けられ
ている。１８は導体棒１０の同軸上に位置し、導
波管６の開口部１９の軸受Ｂ２０に回転自在に軸
支された誘電体製の軸で、一端が導波管６により
マグネトロン４のアンテナ５とマイクロ波的に結
合された導体棒１０の穴２１に挿入されてピン２
２で固定され、他端にはプーリー２３が取付けら
れている。このプーリー２３にはマグネトロン４
を冷却する冷却フアンモータ（図示せず）と連結
するベルト２４が設けられている。

高周波加熱装置をこのように構成して、加熱室
２内に収められた被調理物９を誘電加熱する時、
マグネトロン４が動作してアンテナ５から放射さ
れたマイクロ波は、導波管６を経て加熱室上壁７
の中央部に設けられたから導体棒１０から加熱室
２内へ供給されるので、あたかも導体棒１０の部
分にアンテナ５が存在するかの如く、強いマイク
ロ波が供給されるが、このマイクロ波の大半は電
界撹拌翼１３の羽根１６で反射し撹拌されるの
で、加熱室２内に対するマイクロ波の分布特性が
よくなり被調理物９が均一に加熱される。

またマグネトロン４を冷却した冷風で電界撹拌
翼１３を回転するのではなく、マグネトロン４を
冷却するフアンモータと連結するベルト２４を介
して電界撹拌翼１３が回転されるので、マグネト
ロン４との整合性や形状、重量等の規制にとらわ
れることなく、マイクロ波が撹拌されやすい形状
で、しかも機械的強度の強い電界撹拌翼１３をつ
くることができる。従つて、故障がなく信頼性の
高い高周波加熱装置をつくることができる。

また導体棒１０の下端部１４から放射されるマ
イクロ波の強度は他の部分から放射されるマイク
ロ波に比べて極端に強い。従つて電界撹拌翼１３
の羽根１６の一部を導体棒１０の下端部１４と仕
切板１７との間に介在するように設け、マイクロ
波を放射時にこの電界撹拌翼１３の羽根１６で反
射させ撹拌するようにしたことにより、被加熱物
９に照射されるマイクロ波の大半はこの羽根１６
で反射され、また羽根１６の回転に伴いマイクロ
波エネルギーが刻々変化するため、加熱ムラがな
くなり加熱性能が一段と向上し、しかもこの羽根
１６により導体棒１０下方に位置する仕切板１７
の加熱を防止することができる。この状態を模式
的に示したのが第３図である。図中〓はマイクロ
波の進行方向を、→は電界の方向を示すものであ
る。

更に金属製の導体棒１０と金属製の電界撹拌翼
１３とを直接機械的に結合すると、等価的に導体
棒１０の下端部１４の長さを変えることになり、
羽根１６の形状を変える毎にインピーダンスが大
幅に変化する。同一羽根１６において羽根１６の
取付位置を変えた場合も同様である。即ち導体棒
１０の下端部１４の長さを変えることは、マグネ
トロン４と導体棒１０とのマイクロ波的結合状態
を変化させることで、結果的にマグネトロン４の
動作点が大幅に変化し、効率を悪化させることが
判明した。しかし本実施例では金属製の電界撹拌
翼１３を誘電体からなる取付具１２を介して導体
棒１０に取付け、しかも導体棒１０の下端部１４
と仕切板１７との間に電界撹拌翼１３の一部が介
在するようにしたことにより、インピーダンスの
変化が生じたり、また導体棒１０の下方に設けら
れた仕切板１７が強電界で加熱されて溶けてしま
うといつた不具合を防止する。このことにより、
仕切板１７を導体棒１０に近ずけることが可能と
なり、加熱室の有効高さをより高くすることが可
能である。そして仕切板によつて吸収されていた
マイクロ波は電界撹拌翼１３により反射されるた
め、マグネトロン４の発したマイクロ波を被調理
物９に効率よく放射することが可能となる。この
ように構成した高周波加熱装置において、電界撹
拌翼１３の取付位置の違いによる調理を卵の目玉
焼きを例にして説明する。

まず、従来のように導体棒１０の下端部１４よ
り上方に電界撹拌翼１３の羽根１６を取付けてマ
イクロ波を照射し、この羽根１６でマイクロ波を
撹拌した場合は、卵白部分が75℃の時、卵黄部分
が33℃と温度差が極めて大きく未加熱であつたも
のが、本実施例の如く電界撹拌翼１３の一部を導
体棒１０と仕切板１７との間に介在するように取
付けて同様に調理を行うと、卵白部分が70℃の
時、卵黄部分が68℃とほぼ同一温度にまで上昇
し、加熱ムラのないことが判明した。

従つてこの卵の目玉焼き調理から明らかなよう
に、導体棒１０の下端部１４から放射されるマイ
クロ波が電界撹拌翼１３の羽根１６で反射されず
に、直接被調理物９に供給されると、加熱室２内
におけるマイクロ波の分布特性が悪く加熱ムラが
生じるが、導体棒１０の下端部１４から放射され
る強いマイクロ波を電界撹拌翼１３の羽根１６で
反射し撹拌することにより、加熱室２内における
マイクロ波の分布特性がよくなり、被調理物９を
均一に加熱することができるものである。

以上の説明から明らかなように本発明の高周波
加熱装置は、加熱室上壁の略中央に設けられた導
体棒からマイクロ波を放射し、このマイクロ波を
この導体棒に設けられた電界撹拌翼の羽根で反射
させるとともに、導体棒を加熱室外部から回転す
る構成としたことにより、加熱室内に供給される
マイクロ波の分布特性がよくなり、被調理物を均
一に加熱することができる。

また導体棒から放射されるマイクロ波を反射、
撹拌する電界撹拌翼の羽根の回転は、従来のよう
にマイクロ波発生装置を冷却した冷風の一部で回
転するのではなく、電界撹拌翼が設けられた導体
棒を加熱室外部から回転させるので、電界撹拌翼
の羽根の機械的強度を強くし、しかもマイクロ波
を撹拌しやすい形状につくることができるなど、
信頼性の高い高周波加熱装置として提供できる。
また電界撹拌翼を導体棒に結合する誘電体部材が
導体棒の端部、すなわち電界の集中部から離れた
中間部にあるため、熱変形の心配がなく、電界撹
拌翼も安定した動きで回動させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例の問題点を解決するために提案
される高周波加熱装置の側断面図、第２図は本発
明の一実施例における高周波加熱装置のの要部を
示す拡大断面図、第３図は同マイクロ波の電界を
示す模式図である。 １……本体、２……加熱室、４……マグネトロ
ン（マイクロ波発生装置）、８……開口部、１０
……導体棒、１３……電界撹拌翼。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 本体と、この本体内に設けられた加熱室と、
   この加熱室内にマイクロ波を供給するマイクロ波
   発生装置と、前記加熱室上壁の略中央に設けられ
   た開口部と、この開口部を貫通して前記加熱室内
   に臨む導体棒と、前記加熱室上壁と略平行な回転
   面を有し、加熱室内に供給されるマイクロ波を放
   射する電界撹拌翼とからなり、前記電界撹拌翼を
   前記導体棒の中間部に機械的に結合した誘電体部
   材により前記導体棒に結合するとともに、前記導
   体棒を前記加熱室外部より回転させ、前記電界撹
   拌翼の下方に誘電体からなる仕切板を設け、前記
   導体棒の下端部と前記仕切板との間に前記電界撹
   拌翼の一部が介在する構成とした高周波加熱装
   置。