JPS6358920B2 - - Google Patents

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JPS6358920B2
JPS6358920B2 JP61130874A JP13087486A JPS6358920B2 JP S6358920 B2 JPS6358920 B2 JP S6358920B2 JP 61130874 A JP61130874 A JP 61130874A JP 13087486 A JP13087486 A JP 13087486A JP S6358920 B2 JPS6358920 B2 JP S6358920B2
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aluminum
metal
metal salt
surface treatment
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Description

【発明の詳細な説明】
(a) 産業上の利分野 本発明は、酸化皮膜を有する、アルミニウム又
はアルミニウムを含む合金などのアルミニウム系
金属における当該酸化皮膜の表面部に耐色性、耐
候性の優れた不透明なパルテルカラーの物質を生
成させる、酸化皮膜を有するアルミニウム系金属
の表面処理剤に関する。 (b) 従来の技術 近時、生活様式や嗜好の変化に伴い、建材、銘
板、装飾用品、日用品又は車両等に使用されるア
ルミニウム系金属製品を着色することが要求され
ており、特に、日用品、装飾用品、車両や建材等
の分野ではパステル調に着色したアルミニウム系
金属製品が看者に穏やか且つ暖かい感じを与える
ことから強く要請されている。 ところで、アルミニウム系金属製品をパルテル
調に着色するには、先ず、アルミニウム系金属半
製品を、基本となる不透明な白色乃至灰白色に着
色することが必要とされている。 従来、アルミニウム系金属半製品をパステルカ
ラーに着色する方法として、以下に述べる表面処
理方法が提案されている。 即ち、(イ)陽極酸化皮膜を有するアルミニウム系
金属半製品を、カルシウム塩、マグネシウム
塩、亜鉛塩及びアルミニウム塩の少なくとも1種
の金属塩と硫酸を含む溶液に浸漬又はその溶液中
で電解した後、この処理した陽極酸化皮膜の微
細孔中における上記塩からの生成物と反応して白
色乃至灰白色の化合物となる物質の1種以上を含
む溶液に浸漬又はその溶液中で電解し、これによ
つて、上記陽極酸化皮膜を白色乃至灰白色に着色
した後、金属塩或いは染料を用いて着色するも
のである(特開昭60―197897号公報)。 又、(ロ)酸化皮膜を有するアルミニウム系金属半
製品を、硫酸マンガンとトリエタノールアミンを
含む加温水溶液中に浸漬して着色と封孔処理を同
時に行うものである(特開昭52―15437号公報)。 更に、(ハ)酸化皮膜を有するアルミニウム系金属
半製品を、金属塩、有機酸またはその塩およびア
ミン類を含む弱アルカリ溶液中で60℃〜沸騰温度
にて上記陽極酸化皮膜(アルミニウム系金属半製
品)を処理することにより、陽極酸化皮膜を着色
すると同時に封孔するものである(特開昭51―
27832号公報)。 (c) 発明が解決しようとする問題点 しかしながら、上記(イ)に開示されている方法は
陽極酸化皮膜を有するアルミニウム系金属半製品
を上記の乃至の工程を経てパステル調に着色
するものであるから工程数が多くなり、しかも、
複数の電解・反応装置やこれらに付帯する設備、
更に水洗装置を要し、加えて、それらを管理する
人員が必要となる結果、製造コストが著しく高く
なるのである。 又、この方法は、電解工程も含まれるが、この
場合、電解液や電解条件の管理が困難であり、し
かも電流密度がエツジ部や凸部に集中し、被処理
体であるアルミニウム系金属半製品の中心部や凹
部での電流密度が小さくなつて反応が不充分とな
り、このため色ムラが生じて不良品が発生する場
合があつた。 更に、上記製造方法は再電解を行うためラツキ
ングのズレを生じ、このズレが生じた場合、電極
が絶縁部(Al2O3で被覆された箇所)と接触し通
電不良となる場合があつた。 また、上記(ロ)に開示されている方法では、
0.005〜0.5g/の濃度の硫酸マンガン水溶液に
2〜20g/のトリエタノールアミンを添加し、
この水溶液中で着色するのであるが、これでは、
トリエタノールアミンと硫酸マンガンからの加水
分解物等の生成物との結合力、更にトリエタノー
ルアミンと酸化皮膜中のAl3+との結合力、のい
ずれも弱く、つまりトリエタノールアミンを介し
て陽極酸化皮膜内に上記生成物を固着する結合力
が弱く、硫酸マンガンを用いて酸化皮膜を着色
後、封孔等の際に脱色が生じ、このため色ムラが
生じて不良品が発生する場合があつた。 又、この方法は、着色と封孔を同時に行おうと
するものであるが、本発明者らの実験結果による
と、このように、着色と封孔が同時に起きる条件
下で酸化皮膜を有するアルミニウム系金属半製品
を処理した場合、当該酸化皮膜の微細孔が塞がれ
て満足の行く着色ができず、又、色ムラが生じ実
用性に欠けるのであつた。 即ち、上記(ロ)に開示されている表面処理剤で酸
化皮膜を有するアルミニウム系金属半製品を均一
に着色できないのである。 更に、上記(ハ)に開示されている方法では、金属
塩、有機酸またはその塩およびアミン類を含む弱
アルカリ溶液(PH8〜13)で着色するものである
が、このように、有機酸またはその塩及びアミン
類を用いても、上記(ロ)と同様、金属塩からの生成
物を酸化皮膜の微細孔内に固着することができ
ず、しかも、この場合には、表面処理剤のPHが8
〜13と弱アルカリであるため、当該表面処理剤中
で金属塩が加水分解をし、しかもこの加水分解し
て生成した生成物が成長し、この結果、その生成
物が陽極酸化皮膜の微細孔内に入り難く、このた
め、上記金属塩を用いて酸化皮膜を着色後、水
洗、封孔等の際に脱色が生じ、このため色ムラが
生じて不良品が発生する場合があつた。 従つて、上記(ハ)に開示されている表面処理剤で
は酸化皮膜を有するアルミニウム系金属半製品を
均一に着色できないのである。 (d) 問題点を解決するための手段 本発明者らは、上記問題点を解決すべく多年に
亘つて鋭意検討を重ねた結果、酸化皮膜を有する
アルミニウム系金属半製品の表面を一挙にパステ
ル調に着色するには、加水分解により有色の水和
金属酸化物類を生成する金属塩を用い、しかも、
驚くべきことに、この金属塩の水溶液にエチレン
ジアミン四酢酸及び/又はそのアルカリ金属塩を
必須成分とすることが必要であるとの知見を得
た。 又、この表面処理剤において、そのPHが0.5未
満では酸化皮膜が破壊され、一方、PHが3を超え
ると金属塩が加水分解してその加水分解物が成
長、拡大し、このため、その生成物が酸化皮膜に
おける微細孔内に入り難く、この結果、上記生成
物が酸化皮膜の表面に付着した状態になり、水
洗、封孔の際に脱色が生じやすく、色ムラが生じ
るのであり、従つて、上記表面処理剤のPHは0.5
〜3であることが必要であり、これらの要件が総
て揃つた表面処理剤に上記アルミニウム系金属半
製品を浸漬するだけでその表面を優れた特性のパ
ステルカラーに着色しうるとの知見を得た。 又、この場合において、表面処理剤に定着性珪
酸塩を添加すると、酸化皮膜を有するアルミニウ
ム系金属半製品を着色する際、つまり上記酸化皮
膜の微細孔中に金属塩からの生成物を浸入、固定
させる際、上記定着性珪酸塩が当該酸化皮膜の微
細孔中において、金属塩からの生成物の浸入を容
易にし、しかもこれを微細孔内に一層強固に固定
するとの知見も得た。 本発明はこれらの知見に基づき完成されたもの
である。 即ち、本願の第1の発明は、加水分解により有
色の水和金属酸化物類を生成する金属塩と、エチ
レンジアミン四酢酸及び/又はそのアルカリ金属
塩を必須成分とするものであつて、且つPHが0.5
〜3である酸化皮膜を有するアルミニウム系金属
の表面処理剤である。 又、本願の第2の発明は、加水分解により有色
の水和金属酸化物類を生成する金属塩と、エチレ
ンジアミン四酢酸及び/又はそのアルカリ金属塩
および定着性珪酸塩を必須成分とするものであつ
て、且つPHが0.5〜3である酸化皮膜を有するア
ルミニウム系金属の表面処理剤である。 以下、先ず、本願の第1の発明について詳細に
説明する。 本発明に用いられる、加水分解により有色の水
和金属酸化物類を生成する金属塩は、水又は後述
するエチレンジアミン四酢酸及び/又はそのアル
カリ金属塩の水溶液に可溶性の金属塩であつて加
水分解により有色の水和金属酸化物類を生成する
金属塩であれば特に限定されるものではない。 具体的には、例えば鉄塩、コバルト塩、インジ
ウム塩、クロム塩、カドミウム塩、錫塩、銅塩、
鉛塩、ニツケル塩又はバナジウム塩等の少なくと
も1種の金属塩が挙げられる。 上記金属塩の濃度としては、用いる金属塩の種
類や濃度、更に要求されるパステルカラーの色調
等にもよるが、一般に、1〜200g/、特に好
ましくは5〜100g/とするのが望ましく、1
g/未満では濃度が薄くなり過ぎて充分に緻密
なパステル調の皮膜が得られない場合があり、逆
に200g/を超えると濃度が高くなり過ぎて液
温が下がると(例えば冬期)金属塩が析出し、こ
の結果、表面処理剤の管理が困難になる場合があ
るから好ましくない。 そして、本発明は、上記金属塩の加水分解によ
つてこれらの金属塩に相当する有色の水和金属酸
化物類を、酸化被膜を有するアルミニウム系金属
の表面部に析出させ、これによつて、アルミニウ
ム系金属の酸化皮膜部にパステルカラーの緻密な
皮膜を一挙に形成しうるのである。 本発明において、加水分解により有色の水和金
属酸化物類を生成するとは、加水分解による生成
物が無彩色であると有彩色であるとを問わず、乾
燥後に有彩色の酸化物を生成する金属塩であれば
特に限定されないことをいう。 本発明の酸化皮膜を有するアルミニウム系金属
の表面処理剤は、上記金属塩とエチレンジアミン
四酢酸及び/又はそのアルカリ金属塩を必須成分
とし、且つそのPHが0.5〜3とする点に、最も大
きな特徴を有するものである。 即ち、上記金属塩と、エチレンジアミン四酢
酸を必須成分とするものでもよく、これに代え
て、 上記金属塩と、エチレンジアミン四酢酸のア
ルカリ金属塩を必須成分とするものでもよく、更
に、これらに代えて、上記金属塩と、エチレン
ジアミン四酢酸及びそのアルカリ金属塩を必須成
分とするものでもよいのである。 この場合、メタノール、エタノール等の低級ア
ルコール、アセトン、メチルエチルケトン、ジエ
チルケトン等のケトン類を併用することにより、
金属イオンに配位している水分子を除去し、金属
塩の加水分解を促進すると共にその加水分解物を
酸化皮膜における微細孔内に一層強固に固着させ
るのである。 上記のアルコール及び/又はケトンの濃度とし
ては0.1〜15容量%とするのが好ましい。 このように、表面処理剤中に、上記のアルコー
ル及び/又はケトンを含有させることによつて、
一層に優れた特性のパステル調の緻密な皮膜を形
成し得るのであるが、アルコール及び/又はケト
ンの濃度が0.1容量%未満では薄くなり過ぎて充
分な効果が得られない場合があり、逆に15容量%
を超えると濃度が高くなり過ぎて上記金属塩の溶
解性に影響を与える場合があるから好ましくな
い。 又、本発明に用いられるエチレンジアミン四酢
酸及び/又はそのアルカリ金属塩は、表面処理剤
中における金属イオンの安定性や、該表面処理剤
中に上記アルミニウム系金属を浸漬した際、その
表面部(酸化皮膜部)で生成する水和金属酸化物
類のゾルを安定化させるだけでなく、特に、該酸
化皮膜部に上記水和金属酸化物類を極めて容易
に、しかも均一に且つ強固に結合させるのであ
る。 このように、エチレンジアミン四酢酸及び/又
はそのアルカリ金属塩を用いると、酸化皮膜を有
するアルミニウム系金属の当該酸化皮膜内に金属
塩からの生成物が固定されるのは、 [但し、Rは水素又はアルカリ金属] において、一方の窒素原子と結合している―
COO-と金属塩からの生成物とが結合し、他方の
窒素原子と結合している―COO-がアルミニウム
系金属の酸化皮膜における微細孔内に静電気的に
配位しているAl3+と結合し、このため酸化皮膜
の微細孔内に金属塩からの生成物が固定されるた
めと解される。 又、金属塩からの加水分解物(コロイド物質)
は負に帯電しており、これを、酸化皮膜において
微細孔中のAl3+や他の金属イオン(アルカリ金
属のイオン金属塩からの金属イオン)の周囲に電
気的に引き付けられ、この結果、該微細孔内に、
この金属塩からの生成物が集中し、この結果、複
雑な形成のアルミニウム系金属でも均一に着色で
きるのである。 更に、この微細孔内において、金属塩から生成
した生成物は静電気的に固定されているから、封
孔の際に脱離、つまり脱色し難く、均一に着色し
うるのである。 事実、エチレンジアミン四酢酸及び/又はその
アルカリ金属塩を用いることにより、優れた特性
のパステルカラーの皮膜が得られるものである。 尚、本発明において水和金属酸化物類とは上記
金属塩に相当する金属塩の酸化物に1以上の水分
子が配位しているもの、水和金属酸化物又は金属
水酸化物或いはこれらの集合物等をいう。 エチレンジアミン四酢酸及び/又はそのアルカ
リ金属塩の具体的な代表例としては、エチレンジ
アミン四酢酸やそのナトリウム塩、更にエチレン
ジアミン四酢酸のカリウム塩等が挙げられる。 上記エチレンジアミン四酢酸及び/又はそのア
ルカリ金属塩の濃度としては、用いる金属塩、所
望により添加されるアルコール及び/又はケトン
の種類や濃度によつても異なるが、一般に0.1〜
50g/の範囲が好ましく、0.1g/未満では
効果が乏しくなり、逆に50g/を超えると効果
に限界が生じると共に上記金属塩の溶解性に影響
を与える場合があるから望ましくない。 そして、本発明の酸化皮膜を有するアルミニウ
ム系金属の表面処理剤(以下、表面処理剤とい
う)は上記金属塩と、エチレンジアミン四酢酸及
び/又はそのアルカリ金属塩を必須成分とし、こ
れに水や所望によりPH調整剤が加えられた溶液で
ある。 そして、この表面処理剤のPHは0.5〜3の範囲、
特に1.5〜3の範囲にするのが望ましく、PHが0.5
未満になると酸性度が高くなり過ぎて皮膜が破壊
される恐れがあり、又、逆にPHが3を超えると上
記金属塩が加水分解されて表面処理剤が保存中や
取扱い中に濁り、しかも酸化皮膜を有するアルミ
ニウム系金属を浸漬した際、加水分解により生成
したパステル調の水和金属酸化物類の粒子が大き
くなり過ぎて上記アルミニウム系金属の表面部
(酸化皮膜部)に浸入できなくなつたり、或いは
緻密な皮膜が得られなくなるから好ましくない。 そして、上記PHの範囲では、水和金属酸化物類
が数分子集合した透明乃至わずかに濁りのあるヒ
ドロゾルになつているものと解される。 上記PH調整剤としては、硫酸、リン酸等の無機
酸、酢酸、クエン酸、コハク酸、グルコン酸、グ
リシン、マロン酸、修酸、ギ酸等の有機酸、アル
カリ金属の水酸化物、炭酸塩又は重炭酸塩、アン
モニア、有機酸のアルカリ金属塩、更に各種の塩
基性アミン等が挙げられる。 そして、上記のPH調整剤は1種類を用いてもよ
いし、2種以上を併用してもよく、特にその併用
がより有効な場合もある。 次に、本願の第2の発明について詳細に説明す
る。 本願第2発明の酸化皮膜を有するアルミニウム
系金属の表面処理剤は、加水分解により有色の水
和金属酸化物類を生成する金属塩と、エチレンジ
アミン四酢酸及び/又はそのアルカリ金属塩およ
び定着性珪酸塩を必須成分とするものであつて、
且つ、そのPHが0.5〜3のものである。 本願の第2の発明は、上記第1の発明におい
て、定着性珪酸塩を添加したものであり、その他
の要件、例えば金属塩、エチレンジアミン四酢酸
やそのアルカリ金属塩の種類及び濃度、更に表面
処理剤のPH範囲やPH調整剤等は第1の発明と同様
である。 そして、本発明に用いられる定着性珪酸塩は、
酸化皮膜を有するアルミニウム系金属の表面部
(酸化皮膜部)に有色(パステル調)の水和金属
酸化物類の均一な皮膜を形成して封孔する際、こ
の水和金属酸化物類を上記表面部に定着させてそ
の脱離を防止し、これによつて、脱色を防止する
ために用いるものである。 又、この場合において、表面処理剤に定着性珪
酸塩を添加すると、酸化皮膜を有するアルミニウ
ム系金属半製品を着色する際、つまり上記酸化皮
膜の微細孔中に金属塩からの生成物を浸入、固定
させる際、上記定着性珪酸塩が当該酸化皮膜の微
細孔中において、金属塩からの生成物の浸入を容
易にし、しかもこれを微細孔内に一層強固に固定
するのである。 即ち、本発明の表面処理剤においては、定着性
珪酸塩は、封孔剤或いは封孔促進剤として用いる
のではなく、逆に、金属塩から金属イオンや金属
塩からの生成物を酸化皮膜の微細孔内に浸入しや
すくし、且つ該微細孔内に固定する機能を有する
のである。 かかる定着性珪酸塩としては、水又は、エチレ
ンジアミン四酢酸及び/又はそのアルカリ金属塩
の水溶液に溶解或いは微粒子状で分散するもので
あれば特に限定されるものではなく、具体的な代
表例としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム又
か珪酸リチウム等の可溶性珪酸アルカリ、又、珪
酸アルミニウム、珪酸アルミニウムカリウム、珪
酸アルミニウムナトリウム、珪酸アルミニウムカ
ルシウム等の微粒子状水分散液等が挙げられる。 又、上記定着性珪酸塩の濃度としては、用いる
金属塩やエチレンジアミン四酢酸及び/又はその
アルカリ金属塩の種類や濃度、珪酸塩の種類等に
よつても異なるが、通常、0.1〜100g/、好ま
しくは0.5〜5g/の範囲とするのが望ましい。 本発明において、酸化皮膜を有するアルミニウ
ム系金属とは、アルミニウム又はアルミニウムを
含む合金の表面に、化学的或いは電気化学的(陽
極酸化)に酸化皮膜を形成したアルミニウム系金
属をいうが、特に陽極酸化皮膜を形成したもの
が、一層優れた特性のパステル調の酸化皮膜が得
られるから好ましい。 そして、上記アルミニウム系金属に陽極酸化皮
膜を形成するには、公知の陽極酸化法が採用され
る。 例えば、硫酸、リン酸、クロム酸等からなる無
機酸、シユウ酸、パラフエノールスルホン酸、ス
ルホサリチル酸、マロン酸等からなる有機酸又は
水酸化ナトリウム、リン酸三ナトリウム等からな
る水溶液中で、直流、交流、パルス、PR波又は
交直重畳法による電解によつて陽極酸化皮膜が形
成される。 次に、本発明の表面処理剤の使用例を以下に述
べる。 酸化皮膜を有するアルミニウム系金属の表面を
パステル調に着色するにあたり、上記表面処理剤
を処理槽に仕込み、所望により水或いはエチレン
ジアミン四酢酸及び/又はそのアルカリ金属塩、
更に定着性珪酸塩で濃度調整をしたり、PH調整剤
でPH調整を行い、該処理液の温度を、通常、室温
〜75℃、好ましくは30〜70℃に調節し、この溶液
に上記アルミニウム系金属を、通常10秒〜20分、
好ましくは1分〜15分間浸漬すると、特性の優れ
たパステル調の緻密且つ均一な皮膜が一回の処理
で得られるのである。 (e) 作用 本発明は、上記構成を有し、表面処理剤中にエ
チレンジアミン四酢酸及び/又はそのアルカリ金
属塩が含有されているのであり、このように、エ
チレンジアミン四酢酸及び/又はそのアルカリ金
属塩を用いると、酸化皮膜を有するアルミニウム
系金属の当該酸化皮膜内に金属塩からの生成物が
固定されるのは、 [但し、Rは水素又はアルカリ金属] において、一方の窒素原子と結合している―
COO-と金属塩からの生成物とが結合し、他方の
窒素原子と結合している―COO-がアルミニウム
系金属の酸化皮膜における微細孔内に静電気的に
配位しているAl3+と結合し、このため酸化皮膜
の微細孔内に金属塩からの生成物が固定されるた
めと解される。 又、金属塩からの加水分解物(コロイド物質)
は負に帯電しており、これを、酸化皮膜において
微細孔中のAl3+や他の金属イオン(金属塩から
の金属イオン等)の周囲に電気的に引き付けら
れ、この結果、該微細孔内に、この金属塩からの
生成物が集中し、この結果、複雑な形成のアルミ
ニウム系金属でも均一に着色できる作用を有する
のである。 更に、この微細孔内において、金属塩から生成
した生成物は静電気的に固定されているから、封
孔の際に脱離、つまり脱色し難く、均一に着色し
うる作用を有するのである。 又、表面処理剤中にエチレンジアミン四酢酸及
び/又はそのアルカリ金属塩を用いると、これが
金属イオンや、PHの変化により生成したパステル
カラーの水和金属酸化物類のゾルを安定化させる
だけでなく、特に、酸化皮膜を有するアルミニウ
ム系金属の当該酸化皮膜部に上記水和金属酸化物
類を極めて容易に、しかも均一且つ強固に結合さ
せる作用を有するものである。 又、本発明の表面処理剤のPHは0.5〜3の範囲
に調整されているが、これによつて、酸化皮膜
(アルミニウム系金属半製品)の破壊が防止され
るのであり、又、表面処理剤が保存中や取扱い中
に安定で濁り等が発生せず、しかも金属塩からの
生成物が容易に酸化皮膜の微細孔内に浸入できて
緻密な皮膜が得られる作用を有するものである。 更に、本発明の表面処理剤において、定着性珪
酸塩を添加すると、酸化皮膜を有するアルミニウ
ム系金属半製品を着色する際、つまり上記酸化皮
膜の微細孔中に金属塩からの生成物を浸入、固定
させる際、上記定着性珪酸塩が当該酸化皮膜の微
細孔中において、金属塩からの生成物の浸入を容
易にし、しかもこれを微細孔内に一層強固に固定
するのである。 即、本発明の表面処理剤においては、定着性珪
酸塩は、封孔剤或いは封孔促進剤として用いるの
ではなく、逆に、金属塩から金属イオンや金属塩
からの生成物を酸化皮膜の微細孔内に浸入しやす
くし、且つ該微細孔内に固定する機能を有し、こ
れによつて封孔の際の水和金属酸化物類の脱離、
つまりアルミニウム系金属の脱色を確実に防止す
ることができ、この結果、一層優れたパステルカ
ラーの皮膜を得ることができる作用を有するので
ある。 以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。 実施例 1〜6 実施例1〜6の表面処理剤の組成を第1表に示
す。
【表】 比較例 1〜6 上記実施例1〜6においてその各成分である
EDTA(二Na)を除いたものを用いた。 実施例 7〜9 実施例7〜9の各々の表面処理剤の組成を第2
表に示す。 比較例 7〜9 比較例7〜9においてその各成分である
EDTA(二Na)を除いたものを用いた。
【表】 実施例 10〜17 実施例10〜17の各々の表面処理剤の組成を第3
表に示す。 実施例 18〜25 実施例18〜25の各々の表面処理剤の組成を第4
表に示す。
【表】
【表】
【表】 上記各実施例及び各比較例を用いてパステル調
の着色試験を第5表に示す条件で行つた。 なお、上記各実施例及び各比較例並びに後述の
参考例において用いた陽極酸化皮膜は、純アルミ
ニウム板を通常の脱脂等の前処理を行つた後、硫
酸濃度180g/、浴温20℃、電流密度1.5A/d
m2の条件下、18分間直流電解して得た。 この場合、陽極酸化皮膜の厚さは8μmであつ
た。 その結果を第5表及び参考例に示す。
【表】
【表】
【表】 参考例 上記の陽極酸化皮膜を形成した純アルミニウム
板を酢酸カルシウム30g/及び硫酸0.5g/
の水溶液中で温度30℃の条件下、交流電圧20Vで
10分間電解し、水洗後、リン酸30g/の水溶液
中で温度30℃の条件下、交流電圧20Vで10分間電
解してアルミニウム板の表面に白色皮膜を得た。 かくして得られた白色皮膜付きアルミニウム板
を酢酸ニツケル10g/の水溶液中において温度
98℃で封孔することにより緑色の皮膜を得た。 第5表に色調の結果を示す通り、実施例では、
酸化皮膜を有するアルミニウム系金属を浸漬する
だけでその表面にパステル調の均一且つ緻密な着
色皮膜を形成できるのであり、しかも色ムラは認
められなかつた。 又、本発明の表面処理剤において、定着性珪酸
塩を添加すると、これが、金属塩からの生成物の
浸入を容易にし、しかもこれを微細孔内に一層強
固に固定し、このため封孔の際において、有色
(パステル調)の水和金属酸化物類をアルミニウ
ム系金属の表面部(酸化皮膜部)に定着してその
脱離、つまり脱色を防止し、これによつて、一層
優れた特性の皮膜が得られることが認められた。 上記各実施例は浸漬法によつて着色したもので
あるが、これに代えて、電解法でも良好な着色皮
膜が得られることが認められた。 これらに対して各比較例のものは色ムラが大で
実用性に欠けるのであり、又参考例のものはエツ
ジ部と中心部とで色ムラがあり、色調の均一性が
欠けると共に、耐候性についても良好な結果が得
られなかつた。 (g) 発明の効果 本発明の表面処理剤は酸化皮膜を有するアルミ
ニウム系金属を浸漬するだけで上記皮膜をパステ
ル調の色彩に着色するものであり、電解で行う場
合に比較して、反応のバラツキがなく均一且つ緻
密で耐候性に優れたパステルカラーの皮膜を一挙
に形成しうるのである。 又、本発明の表面処理剤は化学的に上記酸化皮
膜を不透明なパステルカラーに着色するものであ
り、電解による着色に比較して設備費やランニン
グコストが著しく安価になり、しかも反応条件や
表面処理剤の管理が容易である上、複雑な形状の
ものでも特殊な装置を使うことなく均一に着色し
うる効果を有するのである。 又、本発明の表面処理剤は、酸化皮膜を有する
アルミニウム系金属を浸漬するだけでその表面を
化学的に着色しうるから電解によつても着色する
ことができるのであり、しかも、この場合におい
ては、従来のように電解条件等を厳格にする必要
がない効果を有するものである。 更に、本発明の表面処理剤において、定着性珪
酸塩を添加すると、該定着性珪酸塩が、封孔の際
に、パステル調の水和金属酸化物類をアルミニウ
ム系金属の表面部(酸化皮膜部)に定着してその
脱離、つまり脱色を防止し、これによつて一層優
れた特性のパステルカラーの皮膜が得られる効果
を有するのである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 加水分解により有色の水和金属酸化物類を生
    成する金属塩と、エチレンジアミン四酢酸及び/
    又はそのアルカリ金属塩を必須成分とするもので
    あつて、且つそのPHが0.5〜3である、酸化皮膜
    を有するアルミニウム系金属の表面処理剤。 2 加水分解により有色の水和金属酸化物類を生
    成する金属塩と、エチレンジアミン四酢酸及び/
    又はそのアルカリ金属塩および定着性珪酸塩を必
    須成分とするものであつて、且つそのPHが0.5〜
    3である、酸化皮膜を有するアルミニウム系金属
    の表面処理剤。 3 定着性珪酸塩が珪酸アルカリである特許請求
    の範囲第2項に記載の酸化皮膜を有するアルミニ
    ウム系金属の表面処理剤。 4 定着性珪酸塩の濃度が0.1〜100g/である
    特許請求の範囲第2項または第3項に記載の酸化
    皮膜を有するアルミニウム系金属の表面処理剤。
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JPS5959896A (ja) * 1982-09-28 1984-04-05 Nippon Light Metal Co Ltd アルミニウム陽極酸化皮膜を封孔処理する方法

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