JPS635553B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、場所打杭基礎工法として施工され
るオールケーシング工法（ベノト工法）において
使用するケーシングチユーブ（以下単にケーシン
グという。）の先端に取付けるカツター、即ちケ
ーシングカツターに係り、さらにいえば、ケーシ
ングの揺動回転運動の双方向運動時に切削可能な
ケーシングカツターに関する。

（背景技術） オールケーシング工法とは、ケーシングをチユ
ービング装置の油圧シリンダで締付け、円周方向
に揺動回転（往復回転運動）させ、かつ上下運動
を与えることにより、ケーシングを地中に圧入し
又は引き抜きつつ施工される。ケーシング内部の
土砂は、ハンマーグラブ又はアースドリルバケツ
トで掘削される。

フアーストチユーブとも呼ばれるケーシングの
先端部はカツテイングエツジに構成されていて、
円周方向の揺動回転力と押し込み力とにより地盤
を切削可能である。

カツテイングエツジは、通常のこ刃状の刃を付
けられた鋳鋼製のもので、ハードフエーシング
（表面被覆硬化）加工をして耐摩耗性を向上させ
ている。

しかしながら、従来のカツテイングエツジ（つ
まり、ケーシングカツター）の場合は、地盤によ
り一概にはいえないが、Ｎ値75以上の土質に対し
ては掘削及びケーシング押し込みが困難であると
され、また、玉石掘削は一般に困難又は不可能で
あつた。とくに、砂、礫の締つた層、玉石のある
締つた層、玉石の重なつている層、岩盤などは掘
削不能で、他工法によるほかなかつた。これ等の
層は、前記カツテイングエツジで掘削できず、ハ
ンマーグラブでも掘削できないからである。

ところで、軟弱地盤におけるオールケーシング
工法の掘削では、通常ケーシングがハンマーグラ
ブやバケツトより先行し、孔壁の崩壊を防ぎなが
ら施工される。しかし、そうした施工が困難な場
合は、ハンマーグラブ又はバケツトの掘削を先行
させ、ケーシングを揺動回転させ、かつ、押し込
み施工される。何故なら、カツテイングエツジは
上述のように切削能力が悪く、掘削能力が劣つて
いるので、バケツトの先掘りによりカツテイング
エツジ下部の地盤の土砂を崩壊させ、しかる後に
ケーシングを押し込むことが得策だからである。

以上に詳述したとおり、従来のカツテイングエ
ツジ、即ちケーシングカツターは硬質又は締つた
地盤等の掘削性能が非常に悪かつた。極論すれ
ば、揺動回転運動と押し込み運動とにおける土砂
との摺動による摩り減りを防ぐため硬装したにす
ぎない構成のものであり、掘削又は切削の刃先と
しての性能は殆んど期待し得なかつた。

また、ケーシングは円周方向に揺動回転運動さ
れ、正、逆転するため、通常の掘削カツターの如
く刃先のすくい角、逃げ角を付与したものを使用
できず、やむなく単にのこ刃状の凸起設けた構成
に止どまつていたのである。

（発明の目的） そこでこの発明の目的は、揺動回転運動の正逆
双方向に掘削又は切削性能の良い刃先を構成し、
従来至難又は不可能であつたＮ値75以上の締つた
地盤あるいは硬質の玉石掘削、岩盤掘削が可能に
改良したケーシングカツターを提供することにあ
る。

（発明の構成と作用効果） 上記目的を達成するため、この発明のケーシン
グカツターは、ケーシングの下端円周方向に同下
端面より下向きに突出する多数の刃先を等配して
取り付け、前記刃先相互間のケーシング下端面は
被掘削土砂の移動を容易ならしめる角度のエツジ
に形成してあり、前記刃先にはケーシング回転方
向前後部に超硬チツプを取り付け、ケーシングの
揺動回転運動の正逆双方向に切削可能に構成され
ている。

従つて、ケーシングの揺動回転に伴ない超硬チ
ツプで対象地盤を正逆双方向に性能良く切削、掘
削する。即ち、従来不可能であつた地層の掘削が
可能となるのである。

次に、図示した実施例を説明する。

（第１の実施例） 第１図と第２図において、１はケーシング、２
…は前記ケーシング１の下端円周上に等ピツチで
取り付けた刃先である。

ケーシング１…は同形、同大であり、ケーシン
グ１の下端面に刃先２の基部と同形、同大の矩形
状切欠き３…を設け、この矩形状切欠き３中に挿
し込み溶接することにより、ケーシング下端面よ
り下向きに突出するように取り付けられている。
刃先２の刃厚ａは、ケーシング下端の断面厚さｂ
より若干大きく（又は同一でも可）、ケーシング
厚さと同等以上の幅で掘削するように構成されて
いる。

上記刃先２，２相互間のケーシング下端面は、
掘削土砂の移動を容易ならしめる逃げ角度φのナ
イフエツジ４に形成されている。もつとも、この
ナイフエツジ４は、ベントナイト使用の場合は、
ケーシング外周の摩擦を減じ、崩壊を防ぐため、
図示例とは逆に外向きに逃げる角度に形成される
こともある。

ところで、刃先２の構成は、基本的には第３図
〜第１２図に示すように刃先主体たるシヤンク２
ａと、該シヤンク２ａにおけるケーシング回転方
向前後部に取り付けた超硬チツプ２ｂ，２ｂとよ
り成る。しかし、刃先２の形状及び超硬チツプ２
ｂの形状は、掘削対象地盤の強度、ケーシング１
に付与される回転トルク（揺動トルク）、回転距
離（揺動距離）、押し込み力、ケーシング径等々
によつて種々異なり、第３図〜第１１図に例示し
たとおり構成されたものの中からその都度適当な
ものを選択することとなる。ちなみに第３図Ａ，
Ｂ〜第６図Ａ，Ｂは両刃の刃先２を、第７図Ａ，
Ｂ〜第１０図Ａ，Ｂは片刃２を、第１１図はエツ
ジの無い刃先２の例をそれぞれ示す。

刃先２には、適度のすくい角αが付与されてい
る。

この刃先２は、超硬チツプ２ｂに比べてシヤン
ク２ｂは軟らかいので、シヤンク下端面は食込み
抵抗による掘削地盤との摺動摩擦により摩り減
り、結局、第１２図中に符号２ｃで示すように凹
溝を形成する。この凹溝２ｃは掘削土砂の流動通
路となり、超硬チツプ２ｂの先端が摩耗するまで
はこの状態で安定する。同時にこの凹溝２ｃは通
常の刃先においていう逃げ角を形成し、掘削時に
食い込み抵抗を軽減する効果を生ずる。

その上、シヤンク２ａは超硬チツプ２ｂに較べ
て軟らかいので、掘削土砂の移動により、凹溝２
ｃの深さは数mmにまで成長する結果、ケーシング
１の往復回転に伴ない、超硬チツプ２ｂで地盤を
切削することとなる。このように凹溝２ｃの成長
により、超硬チツプ２ｂの先端はむき出しとなり
弱められるので、それに耐え得るような適当な厚
さと形状が必要となるのである。

ところで、第４図Ｂに図示する通り、掘削時に
おいて刃先２が矢印方向に移動し、かつ圧入され
刃先２の食い込み代がｔ＋t′のとき、βは食込み
角でありt′は食い込み抵抗となつて働く。ケーシ
ング１の揺動距離（長さ）、シヤンク幅が定ると、
ｔとt′の割合いは自ずと定まる。一般にt′／ｔは
30〜40／100であり、ｔが１mmであればt′は0.3〜
0.4mmである。実際において、ｔは0.3〜0.5mmで十
分な掘削能率であり、t′は0.12〜0.2mm程度で非常
に小さいものである。

（第２の実施例） 第１３図と第１４図は、刃先２の刃厚a′がケー
シング１の断面厚さｂと同一又はそれ以下である
場合に、刃先２を１つおきにケーシング断面の内
径面より内方又は外径面より外方へ突出するよう
に交互にずらした千鳥状配置に取り付け、もつて
刃先２…が結果的にケーシング１の断面厚さｂよ
り大きい幅で掘削する構成とした例を示すもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明に係るケーシングカツターの
底面図、第２図は第１図の−矢視断面図、第
３図Ａ，Ｂ〜第１１図Ａ，Ｂはそれぞれ刃先の異
なる例を示す側面図と正面図、第１２図は刃先の
摩り減り状態を示す拡大詳細図、第１３図はこの
発明に係る他のケーシングカツターを示す底面
図、第１４図は同前の断面図である。 １……ケーシング、２……刃先、２ｂ……超硬
チツプ、４……エツジ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 円周方向の揺動回転運動で縦孔を掘削するケ
   ーシングの先端カツターにおいて、ケーシング１
   の下端円周上に同下端面より下向きに突出する刃
   先２…を取り付け、前記刃先２，２相互間のケー
   シング下端面は被掘削土砂の移動を容易ならしめ
   る逃げの角度（φ）を有するエツジ４に形成して
   あり、前記刃先２のケーシング回転方向前後部に
   は超硬チツプ２ｂを取り付けてあり、ケーシング
   １の揺動回転運動の正逆いずれの回転方向におい
   ても切削可能に構成したことを特徴とするケーシ
   ングカツター。