JPS6355382B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、高精度、強靭な刃を有するニツパー
を量産が出来る組立前のニツパー素材の型鍛造法
に関するものである。

〔従来の技術〕

従来のニツパーの型鍛造は、鍛造後、鍛造品が
型から抜けるように、また刃部内側の肉つきを出
来るだけ少なくする為第１０図に示すように軸受
部の両側面を垂直方向に向けて型鍛造（通称縦打
ち鍛造）を行つている。

このため、どうしても型鍛造後には軸受部の上
下面に機械加工により軸受孔用の予備孔と摺合面
用の摺合面形成凹部を加工する必要があるが、こ
の機械加工に当たつても一旦バリ取り後、研削を
行い、そしてセンターをだしてから予備孔と摺合
面形成凹部を加工しなくてはならないから厄介な
作業であり、量産を妨げる上に製品にバラツキが
出て高い精度を要求することが出来ない欠点があ
つた。

その上、柄部は鍛造上直線状態にしか鍛造出来
ないため、後で所定形状に曲げ加工しなければな
らずそれだけ工程数が増え、量産を妨げる結果に
なつていた。

〔発明が解決しようとする問題点〕

本発明は、かかる欠点を解決したもので、ニツ
パー素材を横向きにして型鍛造し、同時に柄部を
所定形状に曲げ、軸受孔形成用の予備孔、摺合面
形成用の摺合面形成凹部を形成して出来るだけ後
加工を省略化して高精度を有するニツパー素材を
量産化し、また予備孔と摺合面形成凹部の凹み分
だけ地金の節約、地金加熱燃料費の節約も出来る
組立前のニツパー素材の型鍛造法を提供すること
が技術的課題である。

〔問題点を解決するための手段、作用、実施例〕

第１図に示す棒状の地金１を約1200℃の鍛造温
度まで加熱する。

この地金１を使用して出来上がりニツパーの左
右一対の柄部２、刃部３、軸受部４よりなる２本
のニツパー素材ａを並べて型鍛造を行う際に、軸
受部４の上下面４ａ，４ｂが垂直方向に向くよう
にニツパー素材ａを横向きにした状態で型鍛造を
行つて柄部２が湾曲し、軸受部４の上面４ａに摺
合面５形成用の摺合面形成凹部６、下面４ｂに軸
受孔７形成用の予備孔８（凹み）がそれぞれ垂直
方向に向けられて形成され、軸受部４の先端部に
も刃部３形成用の水平部９ａ、垂直部９ｂ、斜辺
部９ｃよりなる刃部形成板部９が水平方向に向け
られて連設形成され、更にバリ１０が刃部３にお
いては、刃縁３ａ長さ方向と、反対上縁外角部３
ｂ長さ方向と、軸受部４においては、両側面４ｃ
中程長さ方向と、柄部２においては、両側長さ方
向とに夫々形成された組立前の２本のニツパー素
材ａを鍛造する。

この左右一対のニツパー素材ａは刃部を外側に
向け、而かもニツパー素材ａが表裏になるように
型鍛造を行つている。

このニツパー素材ａの外周に形成されているバ
リ１０を打抜加工により除去して２本の切り離し
た左右一対のニツパー素材ａを作る。

このニツパー素材ａを機械加工により予備孔８
を所定形状の軸受部７、摺合面形成凹部６を所定
形状の摺合面５、刃部形成板部９を所定形状の刃
部３にそれぞれ形成して組立前の２本のニツパー
組立前部材ｂを形成し、この２本のニツパー組立
前部材ｂを常法通り組立てニツパーの出来上がり
品Ａとする。

図中１１は型鍛造時のつかみ部、１７は軸であ
る。

本発明は上述の様に構成したから次の様な特長
を有するものである。

１ 従来のニツパー素材ｃの型鍛造は、鍛造後、
鍛造品が型から抜けるように、また刃部１３内
側に後加工するほどの肉がつかないようにする
ため、第１０図に示すように軸受部１２の両側
面を垂直方向に向け型鍛造を行つている。

仮りに本発明のように軸受部１２を90゜横に
倒して、横打ち鍛造しようとしても刃部１３内
側の三角部分１３ａに肉が盛られ、この肉を後
で機械加工によりきれいに除去しなくてはなら
ないから大変である。この点、本発明はニツパ
ー素材ａを軸受部４の上下面４ａ，４ｂが垂直
方向に向くように横向きにした状態で型鍛造を
行うものであるからニツパー素材ａが型鍛造さ
れると同時に軸受部４の上面４ａに摺合面５形
成用の摺合面形成凹部６、下面４ｂに軸受孔７
形成用の予備孔８が形成され、型鍛造後この予
備孔８と摺合面形成凹部６とを機械加工するこ
とにより所定形状の軸受孔７と摺合面５とが形
成されるから従来法の軸受部１２のバリを取
り、側面切削後、センターをだしその後機械加
工する方法に比べて極めて作業効率が向上する
ことになる。

この場合、既に摺合面形成凹部６、予備孔８
のセンターがでているから一層機械加工がスピ
ードアツプされる。

２ 而かもニツパー素材ａを横向きにして、型鍛
造する際にバリ１０が刃部３の刃縁３ａに添つ
て出るように型を設計したから型鍛造時に、刃
縁３ａにバリ１０が外側に向かつて逃げて形成
されて刃部３内側の三角部分３ｃ（刃部形成板
部９の斜辺部９ｃ）に肉が盛られることを防止
する。（実際バリ１０は図面で刃部形成板部９
の斜辺部９ｃ一側縁に延長連設される。）この
ため、この三角部分３ｃの厄介な後加工が全然
必要でないから本発明の横打ち鍛造が可能にな
つたとも云える。

この際、刃部３反対側のバリ１０は反対上縁
外角部３ｂに形成するようにし、軸受部４、柄
部２においては、バリ１０が両側に形成される
ようにしたからバリ取り作業が極めて容易であ
り、それだけ作業能率を向上させたことにな
る。

３ 従来ニツパー素材ｃの柄部１４は型が大き
く、重くなる関係上、曲げて型鍛造出来ず、直
線状態でしか型鍛造が出来ないから後で所定形
状に曲げ加工をしてやらなくてはならない欠点
があり、それだけ工程数が増えている。

この点本発明は、ニツパー素材ａを横向きに
して型鍛造を行うことにより同時に型鍛造によ
つて柄部２を所定形状に曲げることが出来るか
ら従来のような曲げ加工が不要となり、それだ
け工程数を少なくすることが出来る。

４ この軸受部４、予備孔８を凹ませて形成する
と凹ませる分だけ地金１を少なく出来るから地
金１の軽量化を計り、それだけ扱い易くなると
共に地金１を加熱する場合でも従来品に比べて
加熱時間も短縮出来、作業能率のアツプと加熱
燃料費のコストダウンを計ることが出来る。

５ 従来の型鍛造は、刃部１３の組織断面図は第
１１図に示す通りで組織線１５束が縦方向に走
り、その束間隔が粗で緻密性に劣つているから
強度が弱くすぐに摩耗し、切れ味が低下するニ
ツパーとなつた。

この点本発明は横打ち鍛造であるから刃部３
の組織断面図が第９図に示す通りで組織線１６
束が一側上部から他側下部に向かつて密の等束
間隔でバランス良く流れ、緻密性に優れている
から強度が大きく摩耗しない強靭性、切れ味が
優れニツパーを提供することになる。

以上本発明は、著しく工程数を省略出来、高精
度、均一性、強靭性の優れたニツパーを安価に提
供する優れた特長を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は地金の斜面図、第２図は型鍛造によつ
て出来上がつたニツパー素材を表側から見た斜面
図、第３図は第２図のニツパー素材を裏側から見
た斜面図、第４図はバリ板を除去し、少しバリを
つけたニツパー素材の表側から見た斜面図、第５
図は第４図のニツパー素材を裏側から見た斜面
図、第６図はバリを完全除去した左右一対のニツ
パー素材の正面図、第７図は左右一対のニツパー
組立前部材の正面図、第８図は出来上がりニツパ
ーの斜面図、第９図は本発明の刃部組織図、第１
０図は従来の型鍛造法を示す斜面図、第１１図は
従来品の刃部組織図である。 ａ…ニツパー素材、１…地金、２…柄部、３…
刃部、３ａ…刃縁、３ｂ…反対上縁外角部、４…
軸受部、４ａ…上面、４ｂ…下面、４ｃ…両側
面、５…摺合面、６…摺合面形成凹部、７…軸受
孔、８…予備孔、９…刃部形成板部、９ａ…水平
部、９ｂ…垂直部、９ｃ…斜辺部、１０…バリ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 地金１を鍛造温度まで加熱し、この地金１を
   使用して出来上がりニツパーの左右一対の柄部
   ２、刃部３、軸受部４よりなる２本のニツパー素
   材ａを並べて型鍛造を行う際に、軸受部４の上下
   面４ａ，４ｂが垂直方向に向くようにニツパー素
   材ａを横向きにした状態で型鍛造を行つて、柄部
   ２が湾曲し、軸受部４の上面４ａに摺合面５形成
   用の摺合面形成凹部６、下面４ｂに軸受孔７形成
   用の予備孔８がそれぞれ垂直方向に向けられて形
   成され、軸受部４の先端部にも刃部３形成用の水
   平部９ａ、垂直部９ｂ、斜辺部９ｃよりなる刃部
   形成板部９が水平方向に向けられて連設形成さ
   れ、更にバリ１０が刃部３においては、刃縁３ａ
   長さ方向と、反対上縁外角部３ｂ長さ方向と、軸
   受部４においては、両側面４ｃ中程長さ方向と、
   柄部２においては、両側長さ方向とに夫々形成さ
   れた組立前の２本のニツパー素材ａを鍛造するこ
   とを特徴とする組立前のニツパー素材の型鍛造
   法。