JP6108259B2 - 熱間鍛造用金型及び熱間鍛造方法 - Google Patents
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Description
この荒地の具体的な製造方法としては、例えば、丸棒状の熱間鍛造素材を所望の直径までラジアル鍛造を行って長尺の丸棒材とし、所定の寸法に切断し、更に別な自由鍛造装置で所望の荒地形状に鍛造される。
そのため、荒地の製造時に「せぎり」と呼ばれる加工溝を設けて、型打ち鍛造時の型彫り面内に十分満肉するように荒地成形時に加工を行うことが好ましい。しかしながら例えば、特開昭60−250843号公報(特許文献2)に示されるように、せぎりの形成は特別な治具を用意してプレス装置で順次丸棒状の素材に加工溝を設けることになる。
そして、せぎり後の鍛造素材は、再び別な鍛造装置で所定の荒地形状とすべく、鍛造素材を伸長する(以下、鍛伸と言う)熱間鍛造が行われる。
なお、特許文献2で示される押圧部の形状は、その押圧部は平坦状に形成されており、難加工性材に所望の溝を形成するには不向きである。更に、せぎりで成形される溝は、幅が細く垂直に深い溝となっている。材料の深さ方向に垂直な溝が形成されると、鍛造素材をタービンブレード長さまで伸長する熱間鍛造時に、かぶり疵の発生が問題となる。
本発明の目的は、タービンブレードに使用される難加工性材であっても、ラジアル鍛造機を用いて容易に鍛伸を行うことが可能な熱間鍛造用金型と熱間鍛造方法を提供することである。
すなわち本発明は、棒状の鍛造素材をラジアル鍛造により熱間鍛造するための熱間鍛造用金型であって、
前記熱間鍛造用金型は、前記鍛造素材を挟み込むための一対の半割状押圧部を有し、
前記各半割状押圧部は平坦面を凹状に形成した面からなり、前記鍛造素材を取り囲むように形成されており、
前記半割状押圧部は、粗加工部と仕上げ加工部とを有し、
前記仕上げ加工部は、前記鍛造素材の長手方向における幅が前記粗加工部における幅よりも広い面幅を有する熱間鍛造用金型である。
好ましくは、前記半割状押圧部の前記幅は、前記粗加工面から前記仕上げ加工面に向かって徐々に広がっている熱間鍛造用金型である。
更に好ましくは、前記仕上げ加工部の前記幅は、前記粗加工部の前記幅よりも10mm以上広い熱間鍛造用金型である。
また、前記仕上げ加工部は凹部を有し、前記凹部により、前記仕上げ加工部の押圧面が2ヶ所以上に分かれていても良い。
前記熱間鍛造用金型は、前記鍛造素材を伸長する鍛伸用であることが好ましい。
前記鍛造素材を挟み込むための一対の半割状押圧部を有し、
前記各半割状押圧部は平坦面を凹状に形成した面からなり、前記鍛造素材を取り囲むように形成されており、
前記半割状押圧部は、粗加工部と仕上げ加工部とを有し、
前記仕上げ加工部は、前記鍛造素材の長手方向における幅が前記粗加工部における幅よりも広い面幅を有し、
前記鍛造素材を熱間鍛造温度に加熱する鍛造素材加熱工程と、
前記加熱された鍛造素材を回転させつつ、対向配置された2つの前記熱間鍛造用金型の前記各半割状押圧部で鍛造素材を押圧することにより、前記鍛造素材を伸長する熱間鍛造工程、
を含む熱間鍛造方法である。
好ましくは、前記棒状の鍛造素材がNi基超耐熱合金またはTi合金である熱間鍛造方法である。
本発明の熱間鍛造方法は、タービンブレード用の荒地製造に好適である。
図1は本発明の熱間鍛造用金型1の側面模式図と熱間鍛造用金型1の仕上げ加工部断面図(D−D断面図)、粗加工部断面図(F−F断面図)及び前記仕上げ加工部と粗加工部の間に位置する断面図(E−E断面図)である。なお、本発明では、対向する2方向から押圧するラジアル鍛造機を用いるものである。図1では、F−F断面図で示す位置の面幅W1からE−E断面図で示す位置の面幅W2までは押圧部の平坦面の面幅(鍛造素材の長手方向における幅)が徐々に広がって行き、E−E断面図の面幅W2からD−D断面図で示す位置(底部)までの押圧部の平坦面の幅W3はほぼ同じとしている。なお、本発明で言う「仕上げ加工部」とは、前記のD−D断面図で示す位置(底部)を含んで、同じ幅を有する場所を仕上げ加工部とする。この仕上げ加工部は図1のように鍛造素材を押圧する場所が平坦面を凹状に形成した面であっても良いし、後述するようにその一部に凹部を設けても良い。
各半割状押圧部2は図1の側面模式図に示すように、連続した複数の面(作業面となる押圧面と、その両側側面の傾斜面)からなり、前記鍛造素材を取り囲むように連続した凸形状をなす。半割状とすることで共働する2つの熱間鍛造用金型の押圧部に鍛造素材を挟み込むものである。また、「鍛造素材を取り囲むように連続した」とは、図4に示すように鍛造素材21の周囲を粗加工部、仕上げ加工部で取り囲むような形状を言う。半割状押圧部2は平坦面を凹状に形成したように形成されており、その押圧部は側面(図1の側面模式図)から見ると円弧状に見える。そして、半割状押圧部2は、仕上げ加工部4と粗加工部3とを有している。仕上げ加工部4は凹状(円弧状)の底部辺りに形成されており、粗加工部3は、その仕上げ加工部の両側(凹状(円弧状)の両端側)に形成されている。そして、仕上げ加工部4の底部から両方の粗加工部3の端部に向かって粗加工部同士の間隔が広がって行き、2つの熱間鍛造用金型が鍛造素材を押圧したときに鍛造素材を連続した凸形状で押圧可能な形状となっている。この形状を有する熱間鍛造用金型1で鍛造素材を熱間鍛造すると、熱間鍛造用金型に形成された凸形状の粗加工部から鍛造素材に接触していき、鍛造素材を順次所定の寸法に形成することができる。そのため、本発明で言う「凸形状」とは、上記の各断面図方向からみたときの形状を指す。つまり、鍛造素材の長手方向に垂直な方向から見たときの断面である。凸形状に形成され、鍛造素材を鍛伸する押圧部(作業面)は平坦面を凹状に形成した構造となっている。そこで、本発明では前述の押圧部(作業面)を「平坦状の押圧部」と言うことがある。
つまり、本発明では、最初に鍛造素材への接触面積の小さな粗加工部3で効率よく鍛伸を行い、その後、粗加工部3の押圧部の幅よりも広い幅を有する仕上げ加工部4で最終形状に効率よく成形していくものである。そのため、粗加工部3の押圧部の幅から徐々に押圧部の幅を広げていき、仕上げ加工部4では粗加工部よりも広い押圧部の幅の仕上げ加工面とするのが好ましい形状となる。
なお、実際の押圧部は、例えば肉盛溶接などで補修を行ったり、その後に手作業で形状を機械加工したりする場合もあるため、必ずしも凹凸が殆ど無い平坦形状とならない場合がある。そのため、本発明でいう「平坦」とは、肉盛溶接や機械加工による誤差を含み、過剰な凹凸がないものであれば良く、その形状はおおよその形状から求めれば良い。また、本発明の熱間鍛造用金型は、半割状押圧部を有することから、作業面は鍛造素材を取り囲むように曲面となっている。
基本的な構成は前記の鍛伸に適した熱間鍛造用金型と同じであり、せぎり用の熱間鍛造用金型11も2つで1組(一対)となる。鍛造素材のせぎりは、1組のせぎり用の熱間鍛造用金型11が共働して鍛造素材(図示せず)に所定の溝加工が可能なように、ラジアル鍛造機に備えられた把持機構により鍛造素材は把持されると共に、鍛造素材の回転が行われることになる。
なお、この複数個所同時せぎり鍛造が可能となるのも、本発明の熱間鍛造用金型に形成する押圧部の接触面積が、小さな面積から次第に大きな面積となるようにして、それをラジアル鍛造機と組み合せて初めて実現できたものである。
この図2及び図3に示す構造の熱間鍛造用金型においても、E−E断面図、A−A断面図で示す位置(底部)を含んで、同じ曲率半径を有する場所(F−F断面図の位置からE−E断面図の位置まで、及びB−B断面図の位置からA−A断面図の位置まで)を仕上げ加工部とする。
図4はラジアル鍛造機の一例を示す模式図である。ラジアル鍛造機には図2または図3で示す熱間鍛造用金型11が取り付けられている。熱間鍛造用金型11は、鍛造素材21を挟み込むために鍛造素材の対面にそれぞれ1つずつ設けられている。図4では既に鍛造素材21がラジアル鍛造機に把持されているが、鍛造素材は加熱炉(図示せず)にて所定の熱間鍛造温度に加熱され、ラジアル鍛造機に取り付けられたものである。
加熱温度は鍛造素材の材質によって異なり、例えば、Ni基超耐熱合金であれば950〜1150℃であり、Ti合金であれば800〜1000℃である。この他、析出強化型ステンレス鋼では900〜1200℃である。また、鍛造素材の形状は棒状である。棒状の鍛造素材は、鍛造装置やプレス装置で所定の形状に整えたものであれば良く、もし、丸棒状であれば、その直径はせぎりが行える熱間鍛造用金型11の粗加工部同士の幅と同等程度であることが好ましい。
そして、前述の鍛造素材のうち、所定の丸棒状鍛造素材をラジアル鍛造機に取り付けを行う。
このせぎり加工時の加工方法としては2通りの方法がある。1つ目の方法として、せぎり加工終了後の形状重視の方法から説明する。
対向する2方向からの熱間鍛造が開始されると、図7(A)に示すように、先ず、粗加工部13から鍛造素材の所定の位置の押圧が開始される。粗加工時の鍛造素材21と熱間鍛造用金型の接触(鍛造)位置を矢印で示している。そうすると、対向する2方向からの熱間鍛造でありながら、鍛造初期は共働して鍛造する2つ熱間鍛造用金型に形成された粗加工部が押圧を開始することから、鍛造開始時に鍛造素材を押圧している箇所は4ヶ所である。この4ヶ所が同時にせぎり加工を開始すると、接触面積が小さいため効率よく溝加工を行っていく。そして、順次仕上げ加工部に向かって熱間鍛造を行い、一対の熱間鍛造用金型に形成された仕上げ加工部で所定の形状に整えられていくことになる。仕上げ加工の最終段階では、図7(B)で示すように、鍛造素材21を仕上げ加工部の底部で熱間鍛造を行うときは押圧箇所は2ヶ所である。つまり、せぎり加工の初期段階では一対の熱間鍛造用金型を用いて4ヶ所の鍛造(せぎり加工)を行い、最後の形状調整時は一対の熱間鍛造用金型を用いて2ヶ所の鍛造により、形状を整えることができる。また、粗加工部よりも曲率半径が大きい凸形状の仕上げ加工部14で最終形状に効率よく成形することができる。しかも、矢印で示した仕上げ加工部の底部の形状で最終的な形状に整えることか可能であるため、最終仕上げ形状を重視する場合には好都合である。
対向する2方向からの熱間鍛造が開始されると、図8(A)に示すように、先ず、粗加工部13から鍛造素材の所定の位置の押圧が開始される。粗加工時の鍛造素材21と熱間鍛造用金型の接触(鍛造)位置を矢印で示している。そうすると、対向する2方向からの熱間鍛造でありながら、鍛造初期は共働して鍛造する2つ熱間鍛造用金型に形成された粗加工部が押圧を開始することから、鍛造開始時に鍛造素材を押圧している箇所は4ヶ所である。この4ヶ所が同時にせぎり加工を開始すると、接触面積が小さいため効率よく溝加工を行っていく。そして、順次仕上げ加工部に向かって熱間鍛造を行い、一対の熱間鍛造用金型に形成された仕上げ加工部14で所定の形状に整えられていくことになる。
前述のように、B−B断面図からA−A断面図で示す位置(底部)までの曲率半径はほぼ同じとしていることから、仕上げ加工部の底部まで使用する仕上げ加工は行わず、図8(B)に示すように、仕上げ加工時も押圧する箇所を4ヶ所として仕上げ加工を終了させる。この場合であっても、粗加工部よりも曲率半径が大きい凸形状の仕上げ加工部14で最終形状に効率よく成形することができ、且つ、押圧箇所を4ヶ所とすることで短時間でせぎり加工が行える。そのため、鍛造時間を短時間としたい場合には好都合である。
なお、この鍛造時間重視の方法を用いる場合、仕上げ加工部の底部(A−A断面図で示す位置)の曲率半径(図8で示す鍛造素材の長手方向に垂直方向から見たときの曲率半径)をせぎり加工した後の直径の曲率半径よりも小さく小さくしすることが重要である。但し、仕上げ加工部の底部は曲面形状としておき、熱間鍛造時に過度な応力集中を避けるようにすると良い。
交換した熱間鍛造用金型1は、前記鍛造素材を伸長する鍛伸用押圧部を有する伸長部5が設けてられている。
鍛伸用押圧部は、図1に示す形状を有するものである。この鍛伸用押圧部を有する熱間鍛造用金型の、鍛造素材の長手方向から見た押圧部の形状も、図7(A)に示す前記せぎり加工を行った熱間鍛造用金型11と同様であるため、対向する2方向からの熱間鍛造が開始されると、先ず、粗加工部3から鍛造素材の所定の位置の押圧が開始される。そうすると、対向する2方向からの熱間鍛造でありながら、鍛伸(鍛造)初期は共働して鍛造する2つ(一対)の熱間鍛造用金型に形成された粗加工部が押圧を開始することから、鍛造開始時に鍛造素材を押圧している箇所は4ヶ所である。この4ヶ所が同時に鍛伸を開始すると、接触面積が小さいため効率よく鍛造素材を伸長していく。そして、鍛造素材はラジアル鍛造機によって間欠回転しつつ鍛造素材の長手方向に順次移動されて、順次仕上げ加工部に向かって熱間鍛造を行い、一対の熱間鍛造用金型に形成された仕上げ加工部で所定の形状に整えられていくことになる。つまり、仕上げ加工の最終段階では、図7(B)で示すように、仕上げ加工部14で熱間鍛造を行うときは押圧箇所は2ヶ所である。この仕上げ加工部の底部の形状で最終的な形状に整える方法は、最終仕上げ形状を重視する場合には好都合である。
また、この鍛伸用押圧部による熱間鍛造においても、熱間鍛造時間を短時間にするには図8のように、熱間鍛造初期から熱間鍛造の最終段階まで押圧箇所を4ヶ所とすることで短時間で鍛造素材を伸長することができる。
このようにして、せぎりから鍛伸へと同じラジアル鍛造機を用いて連続して鍛造素材を所定の荒地形状に熱間鍛造が行えるため、従来のようにせぎり用の治具を用いた後に、別な鍛造機であらためて鍛伸を行うと言った、煩雑な工程を省略できる。そのため、再加熱回数を低減できるにもかかわらず、精度の高いタービンブレード用の荒地を製造することが可能となる。
図3に示す熱間鍛造用金型11を用意した。
用意したせぎり加工用の熱間鍛造用金型11のせぎり部7は、前記鍛造素材を挟み込むための一対の半割状押圧部12を有し、前記各半割状押圧部2は前記鍛造素材21を取り囲むように連続した、断面が略半円状の凸形状をなし、前記各半割状押圧部12は、粗加工部13と、該粗加工部よりも曲率半径が大きい凸形状の仕上げ加工部14とを有するものである。粗加工部13の略半円状の凸形状の曲率半径は30mmとし、仕上げ加工部14の略半円状の凸形状の曲率半径は50mmに徐変するものであった。
また、せぎり加工後に鍛造素材21を伸長する熱間鍛造用金型1の伸長部5に設けられた鍛伸用押圧部は、押圧部が平坦状に形成されたものであり、その形状は図1に示すものである。鍛伸用の伸長部5は、鍛造素材を挟み込むための一対の半割状押圧部2を有し、各半割状押圧部2は鍛造素材21を取り囲むように連続した凸形状をなし、各半割状押圧部2は、略平坦状の粗加工部3と、仕上げ加工部4とを有するものである。鍛伸用押圧部5の幅は粗加工部3を50mmとし、仕上げ加工部4を100mmに除変するものであった。逃げ面はθは18°とした。熱間鍛造用金型は最終形状を重視した形状を有するものである。
上記の熱間鍛造用金型を2つ1組で一対として、ラジアル鍛造機に取り付けて熱間鍛造の準備を行った。
鍛造素材を加熱炉から取り出して、ラジアル鍛造機で熱間鍛造を開始した。なお、鍛造素材は、マニプレータで把持して操作した。
熱間鍛造は、まず、加熱された鍛造素材21を回転させつつ、対向配置された2つの熱間鍛造用金型1の前記各半割状押圧部で鍛造素材を押圧することにより、鍛造素材にせぎり加工を行った。最初に行うせぎり加工は、鍛造素材はその場で回転(鍛造素材の長手方向の移動は行わない)しつつ、所定の形状に熱間鍛造した。図3に示すように1つの金型に複数個のせぎり加工用の半割状押圧部12が形成された金型を使用し、2ヶ所同時にせぎりを行った。
□前記のせぎり加工の終了後、鍛伸用押圧部を有する図1に示す熱間鍛造用金型1に交換した。このとき、鍛造素材はラジアル鍛造機から取り外して、再度所定の鍛造温度に再加熱した。鍛伸用押圧部を有する熱間鍛造用金型11に交換終了後に再度鍛造素材をラジアル鍛造機に取り付けて鍛伸用押圧部による熱間鍛造を行った。鍛造素材はラジアル鍛造機によって間欠回転しつつ長手方向に順次移動されて、所定の形状に整えて荒地形状に熱間鍛造した。熱間鍛造後の荒地22は、根部、翼部、ボス部の成形に好適な図5に示すような形状であった。熱間鍛造後の荒地には、特にかぶり疵等の問題も発生しなかった。
本発明の製造方法により、タービンブレード等に使用される難加工性材であっても、ラジアル鍛造機を用いて容易に鍛伸することが可能であった。また、せぎり加工をラジアル鍛造機を用いて所定の荒地形状に熱間鍛造が行えるため、従来のようにせぎり用の治具を用いりといった、煩雑な工程を省略できた。そのため、再加熱回数を低減できるにもかかわらず、精度の高いタービンブレード用の荒地を製造することが可能となった。
実施例2として、図9の熱間鍛造用金型の効果を確認した。図9に示す熱間鍛造用金型は、鍛伸用押圧部5の幅は粗加工部3をmmとし、仕上げ加工部4を120mmに除変するものであり、その仕上げ加工部の中央に幅が50mmの凹部を形成し、仕上げ加工部の押圧面を2つにしたものである。なお、2つに分けた押圧面の幅はそれぞれ35mmであった。また、用いたせぎり用の熱間鍛造用金型は前述の実施例1と同じである。
50インチタービンブレード用の鍛造素材を950℃に加熱された加熱炉で加熱を行った。鍛造素材はチタン合金であり、その寸法は直径がφ200mm、長さが1100mmであった。
鍛造素材を加熱炉から取り出して、ラジアル鍛造機で熱間鍛造を開始した。なお、鍛造素材は、マニプレータで把持して操作した。
熱間鍛造は、まず、加熱された鍛造素材21を回転させつつ、対向配置された2つの熱間鍛造用金型11の前記各半割状押圧部で鍛造素材を押圧することにより、鍛造素材にせぎり加工を行った。最初に行うせぎり加工は、鍛造素材はその場で回転(鍛造素材の長手方向の移動は行わない)しつつ、所定の形状に熱間鍛造した。図3に示すように1つの金型に複数個のせぎり加工用の半割状押圧部12が形成された金型を使用し、2ヶ所同時にせぎりを行った。
前記のせぎり加工の終了後、鍛伸用押圧部を有する図9の熱間鍛造用金型1に交換した。このとき、鍛造素材はラジアル鍛造機から取り外して、再度所定の鍛造温度に再加熱した。鍛伸用押圧部を有する熱間鍛造用金型1に交換終了後に再度鍛造素材をラジアル鍛造機に取り付けて鍛伸用押圧部による熱間鍛造を行った。鍛造素材はラジアル鍛造機によって間欠回転しつつ長手方向に順次移動されて、所定の形状に整えて荒地形状に熱間鍛造した。最後に、図9に示す熱間鍛造用金型1に交換して鍛造用素材に対して10パスのラジアル鍛造による仕上げ加工を行った。熱間鍛造後の荒地22は、根部、翼部、ボス部の成形に好適な図5に示すような形状であった。熱間鍛造後の荒地には、特にかぶり疵等の問題も発生しなかった。全長が約1500mmの荒地の曲りについては実施例1で得られた荒地と比較して、約5mm程度の曲の抑制が確認された。
本発明の製造方法により、タービンブレード等に使用される難加工性材であっても、ラジアル鍛造機を用いて容易に鍛伸することが可能であった。また、せぎり加工をラジアル鍛造機を用いて所定の荒地形状に熱間鍛造が行えるため、従来のようにせぎり位置に跡付けするような、煩雑な工程を省略できた。そのため、再加熱回数を低減できるにもかかわらず、精度の高いタービンブレード用の荒地を製造することが可能となった。
2 半割状押圧部
3 粗加工部
4 仕上げ加工部
5 伸長部
6 凹部
7 せぎり部
11 熱間鍛造用金型(せぎり用)
12 半割状押圧部(せぎり用)
13 粗加工部(せぎり用)
14 仕上げ加工部(せぎり用)
21 鍛造素材
22 荒地
Claims (8)
- 棒状の鍛造素材をラジアル鍛造により熱間鍛造するための熱間鍛造用金型であって、
前記熱間鍛造用金型は、前記鍛造素材を挟み込むための一対の半割状押圧部を有し、
前記各半割状押圧部は平坦面を凹状に形成した面からなり、前記鍛造素材を取り囲むように形成されており、
前記半割状押圧部は、粗加工部と仕上げ加工部とを有し、
前記仕上げ加工部は、前記鍛造素材の長手方向における幅が、前記粗加工部における幅よりも広いことを特徴とする熱間鍛造用金型。 - 前記半割状押圧部の前記幅は、前記粗加工部から前記仕上げ加工部に向かって徐々に広がっていることを特徴とする請求項1に記載の熱間鍛造用金型。
- 前記仕上げ加工部の前記幅は、前記粗加工部の前記幅よりも10mm以上広いことを特徴とする請求項1または2に記載の熱間鍛造用金型。
- 前記仕上げ加工部は凹部を有し、前記凹部により、前記仕上げ加工部の押圧面が2ヶ所以上に分かれていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の熱間鍛造用金型。
- 前記各半割状押圧部は、前記鍛造素材を伸長する鍛伸用であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の熱間鍛造用金型。
- 棒状の鍛造素材を、熱間鍛造用金型を用いたラジアル鍛造により熱間鍛造する熱間鍛造方法であって、
前記熱間鍛造用金型は、
前記鍛造素材を挟み込むための一対の半割状押圧部を有し、
前記各半割状押圧部は平坦面を凹状に形成した面からなり、前記鍛造素材を取り囲むように形成されており、
前記半割状押圧部は、粗加工部と仕上げ加工部とを有し、
前記仕上げ加工部は、前記鍛造素材の長手方向における幅が、前記粗加工部における幅よりも広い幅を有し、
前記鍛造素材を熱間鍛造温度に加熱する鍛造素材加熱工程と、
前記加熱された鍛造素材を回転させつつ、対向配置された2つの前記熱間鍛造用金型の前記各半割状押圧部で鍛造素材を押圧することにより、前記鍛造素材を伸長する熱間鍛造工程、
を含むことを特徴とする熱間鍛造方法。 - 前記棒状の鍛造素材がNi基超耐熱合金またはTi合金であることを特徴とする請求項6に記載の熱間鍛造方法。
- 請求項6または7に記載の熱間鍛造方法が、タービンブレード用の荒地の製造に用いられることを特徴とする熱間鍛造方法。
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