JP6761579B2 - 熱間鍛造用金型及び熱間鍛造方法 - Google Patents
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この荒地の具体的な製造方法としては、例えば、丸棒状の熱間鍛造素材を所望の直径までラジアル鍛造を行って長尺の丸棒材とし、所定の寸法に切断し、更に別な自由鍛造装置で所望の荒地形状に鍛造される。
そのため、荒地の製造時に「せぎり」と呼ばれる加工溝を設けて、型打ち鍛造時の型彫り面内に十分満肉するように荒地成形時に加工を行うことが好ましい。しかしながら例えば、特開昭60−250843号公報(特許文献2)に示されるように、せぎりの形成は特別な治具を用意してプレス装置で順次丸棒状の素材に加工溝を設けることになる。
そして、せぎり後の鍛造素材は、再び別な鍛造装置で所定の荒地形状とすべく、鍛造素材を伸長する(以下、鍛伸と言う)熱間鍛造が行われる。
なお、特許文献2で示される押圧部の形状は、その押圧部は平坦状に形成されており、難加工性材に所望の溝を形成するには不向きである。更に、せぎりで成形される溝は、幅が細く垂直に深い溝となっている。材料の深さ方向に垂直な溝が形成されると、鍛造素材をタービンブレード長さまで伸長する熱間鍛造時に、かぶり疵の発生が問題となる。
本発明の目的は、タービンブレードに使用される難加工性材であっても、ラジアル鍛造機を用いて容易に鍛伸を行うことが可能な熱間鍛造用金型と熱間鍛造方法を提供することである。
すなわち本発明は、棒状の鍛造素材をラジアル鍛造により熱間鍛造するための熱間鍛造用金型であって、
前記熱間鍛造用金型は、前記鍛造素材を鍛造する場合の前記鍛造素材の長手方向に相当する方向に沿った垂直な断面形状が凸形状である押圧部を有し、
前記押圧部は、粗加工部と仕上げ加工部とを有し、
前記仕上げ加工部は、前記鍛造素材の長手方向に相当する方向の凸形状の先端の幅が、前記粗加工部における幅よりも広い凸形状であり、
前記押圧部は、前記鍛造素材を鍛造する場合に前記鍛造素材の外周面を周方向に取り囲むように形成されている熱間鍛造用金型である。
好ましくは、前記押圧部は、前記幅が前記粗加工面から前記仕上げ加工面に向かって徐々に広がっている部分を有する熱間鍛造用金型である。
更に好ましくは、前記仕上げ加工部の前記幅は、前記粗加工部の前記幅よりも10mm以上広い熱間鍛造用金型である。
また、前記仕上げ加工部は凹部を有し、前記凹部により、前記仕上げ加工部の押圧面が前記鍛造素材の長手方向に相当する方向で2ヶ所以上に分かれていても良い。
前記熱間鍛造用金型は、前記鍛造素材を伸長する鍛伸用であることが好ましい。
前記熱間鍛造用金型は、前記鍛造素材を鍛造する場合の前記鍛造素材の長手方向に相当する方向に沿った垂直な断面形状が凸形状である押圧部を有し、
前記押圧部は、粗加工部と仕上げ加工部とを有し、前記仕上げ加工部は、前記鍛造素材を鍛造する場合の前記鍛造素材の長手方向に相当する方向の幅が、前記粗加工部における幅よりも広い凸形状であり、
前記凸形状の押圧部は、前記鍛造素材を鍛造する場合に前記鍛造素材の外周面を周方向に取り囲むように形成されており、
前記鍛造素材を熱間鍛造温度に加熱する鍛造素材加熱工程と、
前記加熱された鍛造素材を間欠回転と押圧と前記鍛造素材の移動を繰返して前記鍛造素材を伸長する熱間鍛造工程を含み、
前記熱間鍛造工程は、対向配置された2つの前記熱間鍛造用金型の前記各押圧部で鍛造素材を押圧することにより、前記鍛造素材を伸長する熱間鍛造方法である。
また、本発明の前記熱間鍛造工程では、前記粗加工部を用いた粗加工鍛造を行った後、仕上げ加工部を用いた仕上げ鍛造を行う熱間鍛造方法であり、前記鍛造素材の押圧場所が前記粗加工部から徐々に仕上げ加工部に移動する熱間鍛造方法である。
前記棒状の鍛造素材としてNi基超耐熱合金またはTi合金を用いることができる。
本発明の熱間鍛造方法は、タービンブレード用の荒地製造に好適である。
図1は本発明の熱間鍛造用金型1の正面図とその断面図である。「正面」とは、鍛造素材を鍛造する場合に鍛造素材が伸長する方向(長手方向)から見たときのものである。「断面」とは正面図に示す位置にて、上記の長手方向(鍛造素材が伸長する方向)に垂直な方向から見たときのものであり、「鍛造素材を鍛造する場合の前記鍛造素材の長手方向に相当する方向に沿った」断面である。また、本発明で言う「垂直な断面」とは、鍛造素材の外周面を周方向に取り囲むように形成された凸部を「正面」から見た時の凸部の輪郭線(該輪郭線が曲線の場合はその接線)に垂直な方向の断面である。なお、以下に説明する「鍛伸用」及び「せぎり用」の熱間鍛造用金型においても「正面」、「断面」は前記と同じ方向から見たときの形態を示すものである。
本発明の熱間鍛造用金型1は、図1の正面図及び図4右図(鍛造素材が伸長する方向から見たときの図)に示すように、鍛造素材を押圧して鍛伸加工する押圧部2(伸長部5)が鍛造素材を鍛造する場合に鍛造素材の外周面を周方向に取り囲むように形成されている。鍛伸する押圧部2は、図1の正面図のように、円弧状に窪んだ底部からその両側の押圧部同士の間隔が広がっていくような形状となっている。このような形状も本発明で規定する「鍛造素材の外周面を周方向に取り囲むように」の範疇である。
そして、図1のF−F断面図で示す位置の面幅W1からE−E断面図で示す位置の面幅W2までは、押圧部の平坦面の幅(鍛造素材の長手方向における幅)が徐々に広がって行き、E−E断面図の幅W2からD−D断面図で示す位置(底部)までの押圧部の平坦面の幅W3はほぼ同じとなるようにしている。なお、本発明で言う「仕上げ加工部」とは、前記のD−D断面図で示す位置(底部)を含んで、同じ幅を有する場所を仕上げ加工部とする。そして、前述の粗加工部及び仕上げ加工部が連続的に形成され、鍛造素材の外周面の周方向を取り囲むように形成されている。この仕上げ加工部、粗加工部は鍛造素材を押圧することができるように凸形状となっている。また、後述するように、凸状の押圧部の一部に凹部を設けても良い。
前記のように、鍛伸用の熱間鍛造用金型1は、鍛造素材を長手方向に伸長しつつ、形状を整えるものであるため、その押圧部は平坦状となる。この平坦状の押圧部の鍛造素材を鍛造する場合の鍛造素材の長手方向に相当する方向の幅を過度に広げると鍛造に要する圧力が大きくなってしまうことがある。そのため、1度の打撃で効率よく鍛伸できるように平坦状の押圧部の幅は接触面積を考慮し、鍛造機に適した幅を選択することが好ましい。
また、仕上げ加工部4の押圧部の幅は、粗加工部3の押圧部の幅よりも10mm以上広いことが好ましい。これは、接触面積の差を大きくすることで、鍛伸初期の加工量を大きくし、鍛伸後期で所定の形状に精度よく仕上げることが可能となるためである。仕上げ加工部と粗加工部との幅の差が10mm未満では、十分にその効果が得られない場合があるため、その差を10mm以上とする。好ましくは15mm以上の差をもって形成するのが好ましい。
具体的には、図1で示す熱間鍛造用金型が2つ1組(一対)となって、鍛造素材(図1では図示せず)を挟み込む凸形状の押圧部2を有しており、この押圧部で鍛造素材を挟み込むように押圧する。ラジアル鍛造機に備えられた把持機構により、鍛造素材は把持されると共に鍛造素材の間欠的な回転が行われることになる。また、この鍛造素材の回転と共に、把持された鍛造素材はその長手方向に移動して行き、鍛造素材の長手方向に伸長させる。
鍛伸加工開始段階では、F−F断面図からE−E断面図で示す凸形状の押圧部により鍛造素材の鍛伸加工が開始され、次第にE−E断面図からD−D断面図で示す凸形状の仕上げ加工部で鍛伸加工が順次行えるよう、凸形状の押圧部が連続して形成されている。また、その作業面が平坦状で凸形状の押圧部が前記鍛造素材の外周面を周方向に取り囲むように連続的に形成されることで、協働する2つの熱間鍛造用金型の押圧部に鍛造素材を挟み込むことで鍛造素材の直径を小さくし、鍛造素材を長手方向に移動することで鍛造素材の長手方向に伸長させることができる。
つまり、本発明では、最初に鍛造素材への接触面積の小さな粗加工部3で効率よく鍛伸を行い、その後、粗加工部3の押圧部の幅よりも広い幅を有する仕上げ加工部4で最終形状に効率よく成形していくものである。そのため、粗加工部3では押圧部の幅が徐々に広がる部分を形成しておき、仕上げ加工部4で最終形状に成形することになる。
なお、実際の押圧部は、例えば肉盛溶接などで補修を行ったり、その後に手作業で形状を機械加工したりする場合もあるため、必ずしも凹凸が殆ど無い平坦形状とならない場合がある。そのため、本発明でいう「平坦」とは、肉盛溶接や機械加工による誤差を含み、過剰な凹凸がないものであれば良い。少なくとも長手方向には湾曲しておらず、長手方向に平行であり、その形状はおおよその形状から求めれば良い。
なお、図3で示すF−F断面の位置からE−E断面の位置までの押圧部の断面の曲率半径は同じ曲率半径である。
なお、この複数個所同時せぎり鍛造が可能となるのも、本発明の熱間鍛造用金型に形成する押圧部の接触面積が、小さな面積から次第に大きな面積となるようにして、それをラジアル鍛造機と組み合せて初めて実現できたものである。
この図2及び図3に示す構造の熱間鍛造用金型においても、E−E断面図、A−A断面図で示す位置(底部)を含んで、同じ曲率半径を有する場所(F−F断面図の位置からE−E断面図の位置まで、及びB−B断面図の位置からA−A断面図の位置まで)を仕上げ加工部とする。
図4はラジアル鍛造機の一例を示す模式図である。ラジアル鍛造機には図2または図3で示す熱間鍛造用金型11が取り付けられている。熱間鍛造用金型11は、鍛造素材21を挟み込んで鍛造を行うため、鍛造素材の対面にそれぞれ1つずつ設けられている。図4では既に鍛造素材21がラジアル鍛造機に把持されているが、鍛造素材は加熱炉(図示せず)にて所定の熱間鍛造温度に加熱され、ラジアル鍛造機に取り付けられたものである。
加熱温度は鍛造素材の材質によって異なり、例えば、Ni基超耐熱合金であれば950〜1150℃であり、Ti合金であれば800〜1000℃である。この他、析出強化型ステンレス鋼では900〜1200℃である。また、鍛造素材の形状は棒状である。棒状の鍛造素材は、鍛造装置やプレス装置で所定の形状に整えたものであれば良く、もし、丸棒状であれば、その直径はせぎりが行える熱間鍛造用金型11の粗加工部同士の間隔と同等程度であることが好ましい。
そして、前述の鍛造素材のうち、所定の丸棒状鍛造素材をラジアル鍛造機に取り付けを行う。
せぎり加工を行う熱間鍛造用金型の形状は図2または図3に示すものである。このせぎり加工時は、先ず熱間鍛造用金型11の粗加工部13の稜線部分9が鍛造素材に接触して行き、熱間鍛造が開始される。熱間鍛造用金型11は、仕上げ加工部14から粗加工部13に向かって粗加工部同士の間隔が広がって行き、仕上げ加工部の両側には、かかる仕上げ加工部の底部に向かって傾斜した粗加工部を有し、2つの熱間鍛造用金型が鍛造素材の外周面を押圧したときに、連続して形成された略半円状の凸形状の押圧部によって所定の形状に成形できるようにするものである。また、最初に行うせぎり加工は、鍛造素材はその場で回転する(鍛造素材の長手方向の移動は行わない)。
このせぎり加工時の加工方法としては2通りの方法がある。1つ目の方法として、せぎり加工終了後の形状重視の方法から説明する。
一対の熱間鍛造金型を用いて、対向する2方向からの熱間鍛造が開始されると、図7(A)に示すように、先ず、粗加工部13から鍛造素材の所定の位置の押圧が開始される。粗加工時の鍛造素材21と熱間鍛造用金型の接触(鍛造)位置を矢印で示している。そうすると、対向する2方向からの熱間鍛造でありながら、鍛造初期は協働して鍛造する2つ熱間鍛造用金型に形成された粗加工部が押圧を開始することから、鍛造開始時に鍛造素材を押圧している箇所は一対の熱間鍛造金型を合わせて4ヶ所である。この4ヶ所が同時にせぎり加工を開始すると、接触面積が小さいため効率よく溝加工を行っていく。そして、押圧箇所は順次仕上げ加工部に向かい、一対の熱間鍛造用金型に形成された仕上げ加工部で所定の形状に整えられていくことになる。仕上げ加工の最終段階では、図7(B)で示すように、鍛造素材21を仕上げ加工部の底部で熱間鍛造を行うときは押圧箇所は一対の熱間鍛造金型を合わせて2ヶ所である。つまり、せぎり加工の初期段階では一対の熱間鍛造用金型を用いて4ヶ所の鍛造(せぎり加工)を行い、最後の形状調整時は一対の熱間鍛造用金型を用いて2ヶ所の鍛造により、形状を整えることができる。また、粗加工部よりも曲率半径が大きい凸形状の仕上げ加工部14で最終形状に効率よく成形することができる。しかも、矢印で示した仕上げ加工部の底部の形状で最終的な形状に整えることが可能であるため、最終仕上げ形状を重視する場合には好都合である。
一対の熱間鍛造金型を用いて、対向する2方向からの熱間鍛造が開始されると、図8(A)に示すように、先ず、粗加工部13から鍛造素材の所定の位置の押圧が開始される。粗加工時の鍛造素材21と熱間鍛造用金型の接触(鍛造)位置を矢印で示している。そうすると、対向する2方向からの熱間鍛造でありながら、鍛造初期は協働して鍛造する2つ熱間鍛造用金型に形成された粗加工部が押圧を開始することから、鍛造開始時に鍛造素材を押圧している箇所は一対の熱間鍛造金型を合わせて4ヶ所である。この4ヶ所が同時にせぎり加工を開始すると、接触面積が小さいため効率よく溝加工を行っていく。そして、順次仕上げ加工部に向かって熱間鍛造を行い、一対の熱間鍛造用金型に形成された仕上げ加工部14で所定の形状に整えられていくことになる。
前述のように、B−B断面図からA−A断面図で示す位置(底部)までの曲率半径はほぼ同じとしていることから、仕上げ加工部の底部まで使用する仕上げ加工は行わず、図8(B)に示すように、仕上げ加工時も押圧する箇所を4ヶ所として仕上げ加工を終了させる。この場合であっても、粗加工部よりも曲率半径が大きい凸形状の仕上げ加工部14で最終形状に効率よく成形することができ、且つ、押圧箇所を4ヶ所とすることで短時間でせぎり加工が行える。そのため、鍛造時間を短時間としたい場合には好都合である。
なお、この鍛造時間重視の方法を用いる場合、仕上げ加工部の底部(A−A断面図で示す位置)の曲率半径(図8で示す鍛造素材の長手方向に垂直方向から見たときの曲率半径)をせぎり加工した後の鍛造素材の直径の曲率半径よりも小さくすることが重要である。但し、仕上げ加工部の底部は曲面形状としておき、熱間鍛造時に過度な応力集中を避けるようにすると良い。
交換した熱間鍛造用金型1は、前記鍛造素材を伸長する鍛伸用押圧部を有する伸長部5が設けられている。
鍛伸用押圧部は、図1に示す形状を有するものである。この鍛伸用押圧部を有する熱間鍛造用金型の、鍛造素材の長手方向から見た押圧部の形状も、図7(A)に示す前記せぎり加工を行った熱間鍛造用金型11と同様であるため、対向する2方向からの熱間鍛造が開始されると、先ず、粗加工部3から鍛造素材の所定の位置の押圧が開始される。そうすると、対向する2方向からの熱間鍛造でありながら、鍛伸(鍛造)初期は協働して鍛造する2つ(一対)の熱間鍛造用金型に形成された粗加工部が押圧を開始することから、鍛造開始時に鍛造素材を押圧している箇所は一対の熱間鍛造金型を合わせて4ヶ所である。この4ヶ所が同時に鍛伸を開始すると、接触面積が小さいため効率よく鍛造素材を伸長していく。そして、鍛造素材はラジアル鍛造機によって間欠回転しつつ鍛造素材の長手方向に順次移動されて、押圧箇所は順次仕上げ加工部に向かい、一対の熱間鍛造用金型に形成された仕上げ加工部で所定の形状に整えられていくことになる。つまり、仕上げ加工の最終段階では、図7(B)で示すように、仕上げ加工部14で熱間鍛造を行うときは押圧箇所は一対の熱間鍛造金型を合わせて2ヶ所である。この仕上げ加工部の底部の形状で最終的な形状に整える方法は、最終仕上げ形状を重視する場合には好都合である。
また、この鍛伸用押圧部による熱間鍛造においても、熱間鍛造時間を短時間にするには図8のように、熱間鍛造初期から熱間鍛造の最終段階まで押圧箇所を一対の熱間鍛造金型を合わせて4ヶ所とすることで短時間で鍛造素材を伸長することができる。
このようにして、せぎりから鍛伸へと同じラジアル鍛造機を用いて連続して鍛造素材を所定の荒地形状に熱間鍛造が行えるため、従来のようにせぎり用の治具を用いた後に、別な鍛造機であらためて鍛伸を行うと言った、煩雑な工程を省略できる。そのため、再加熱回数を低減できるにもかかわらず、精度の高いタービンブレード用の荒地を製造することが可能となる。
図3に示す熱間鍛造用金型11を一対用意した。
用意したせぎり加工用の熱間鍛造用金型11のせぎり部7は、鍛造素材を挟み込むための一対の押圧部12を有し、前記各押圧部12は、その稜線部分で鍛造素材21の外周面を周方向に取り囲むように連続して形成され、その断面形状が略半円状の凸形状をなし、前記各押圧部12は、粗加工部13と、該粗加工部よりも曲率半径が大きい凸形状の仕上げ加工部14とを有するものである。粗加工部13の略半円状の凸形状の曲率半径は30mmとし、仕上げ加工部14の略半円状の凸形状の曲率半径は50mmとし、その間は徐変するものであった。
また、せぎり加工後に鍛造素材21を伸長する一対の熱間鍛造用金型1の伸長部5に設けられた鍛伸用押圧部は、平坦状に形成されたものであり、その形状は図1に示すものである。鍛伸用の伸長部5は、鍛造素材を挟み込むための一対の押圧部2を有し、各押圧部2は鍛造素材21の外周面を周方向に取り囲むように連続して形成され、その断面形状が略台形状の凸形状をなし、各押圧部2は、作業面が略平坦状の粗加工部3と、仕上げ加工部4とを有するものである。鍛伸用押圧部5の幅は粗加工部3を50mmとし、仕上げ加工部4を100mmとし、その間は除変するものであった。逃げ面はθは18°とした。熱間鍛造用金型1は最終形状を重視した形状を有する熱間鍛造用金型を用いた。
上記の熱間鍛造用金型を2つ1組で一対として、ラジアル鍛造機に取り付けて熱間鍛造の準備を行った。なお、粗加工部を用いた鍛造は粗加工鍛造であり、仕上げ加工部を用いた鍛造は仕上げ鍛造である。
鍛造素材を加熱炉から取り出して、ラジアル鍛造機で熱間鍛造を開始した。なお、鍛造素材は、マニプレータで把持して操作した。
熱間鍛造は、まず、加熱された鍛造素材21を間欠回転と、対向配置された2つの熱間鍛造用金型11の前記各押圧部で鍛造素材の外周面の押圧とを繰り返す、前記粗加工部を用いた粗加工鍛造に続いて仕上げ加工部を用いた仕上げ鍛造の順に鍛造素材にせぎり加工を行った。最初に行うせぎり加工は、鍛造素材はその場で回転(鍛造素材の長手方向の移動は行わない)しつつ、所定の形状に熱間鍛造した。図3に示すように1つの金型に複数個のせぎり加工用の押圧部12が形成された金型を使用し、2ヶ所同時にせぎりを行った。せぎり加工は、鍛造素材の押圧場所が粗加工部から徐々に仕上げ加工部に移動するように行った。
前記のせぎり加工の終了後、鍛伸用押圧部を有する図1に示す熱間鍛造用金型1に交換した。このとき、鍛造素材はラジアル鍛造機から取り外して、再度所定の鍛造温度に再加熱した。鍛伸用押圧部を有する熱間鍛造用金型1に交換終了後に再度鍛造素材をラジアル鍛造機に取り付けて鍛伸用押圧部による熱間鍛造を行った。鍛造素材はラジアル鍛造機によって間欠回転と長手方向への順次移動と押圧を繰返しながら所定の形状に整えて荒地形状に熱間鍛造した。この鍛伸加工は、鍛造素材の押圧場所が粗加工部から徐々に仕上げ加工部に移動するように行った。熱間鍛造後の荒地22は、根部、翼部、ボス部の成形に好適な図5に示すような形状であった。熱間鍛造後の荒地には、特にかぶり疵等の問題も発生しなかった。
本発明の製造方法により、タービンブレード等に使用される難加工性材であっても、ラジアル鍛造機を用いて容易に鍛伸することが可能であった。また、せぎり加工をラジアル鍛造機を用いて所定の荒地形状に熱間鍛造が行えるため、従来のようなせぎり用の治具を用いる煩雑な工程を省略できた。そのため、再加熱回数を低減できるにもかかわらず、精度の高いタービンブレード用の荒地を製造することが可能となった。
実施例2として、図9の熱間鍛造用金型の効果を確認した。図9に示す熱間鍛造用金型は、鍛伸用押圧部5の幅は粗加工部3を50mmとし、仕上げ加工部4を120mmに除変するものであり、その仕上げ加工部の中央に幅が50mmの凹部を形成し、仕上げ加工部の押圧面を2つにしたものである。なお、2つに分けた押圧面の幅はそれぞれ35mmであった。また、用いたせぎり用の熱間鍛造用金型は前述の実施例1と同じである。
50インチタービンブレード用の鍛造素材を950℃に加熱された加熱炉で加熱を行った。鍛造素材はチタン合金であり、その寸法は直径がφ200mm、長さが1100mmであった。
鍛造素材を加熱炉から取り出して、ラジアル鍛造機で熱間鍛造を開始した。なお、鍛造素材は、マニプレータで把持して操作した。
熱間鍛造は、まず、加熱された鍛造素材21を間欠回転と、対向配置された2つの熱間鍛造用金型11の前記各押圧部で鍛造素材の外周面の押圧を繰り返すことにより、前記粗加工部を用いた粗加工鍛造に続いて仕上げ加工部を用いた仕上げ鍛造の順に鍛造素材にせぎり加工を行った。最初に行うせぎり加工は、鍛造素材はその場で回転(鍛造素材の長手方向の移動は行わない)しつつ、所定の形状に熱間鍛造した。図3に示すように1つの金型に複数個のせぎり加工用の押圧部12が形成された金型を使用し、2ヶ所同時にせぎりを行った。せぎり加工は、鍛造素材の押圧場所が粗加工部から徐々に仕上げ加工部に移動して行った。
□前記のせぎり加工の終了後、鍛伸用押圧部を有する図9の熱間鍛造用金型1に交換した。このとき、鍛造素材はラジアル鍛造機から取り外して、再度所定の鍛造温度に再加熱した。鍛伸用押圧部を有する熱間鍛造用金型1に交換終了後に再度鍛造素材をラジアル鍛造機に取り付けて鍛伸用押圧部による熱間鍛造を行った。鍛造素材はラジアル鍛造機によって間欠回転と長手方向への順次移動と押圧を繰返しながら所定の形状に整えて荒地形状に熱間鍛造した。最後に、図9に示す熱間鍛造用金型1に交換して鍛造用素材に対して10パスのラジアル鍛造による仕上げ加工を行った。この鍛伸加工は、鍛造素材の押圧場所が粗加工部から徐々に仕上げ加工部に移動して行った。熱間鍛造後の荒地22は、根部、翼部、ボス部の成形に好適な図5に示すような形状であった。熱間鍛造後の荒地には、特にかぶり疵等の問題も発生しなかった。全長が約1500mmの荒地の曲りについては実施例1で得られた荒地と比較して、約5mm程度の曲りの抑制が確認された。
本発明の製造方法により、タービンブレード等に使用される難加工性材であっても、ラジアル鍛造機を用いて容易に鍛伸することが可能であった。また、せぎり加工をラジアル鍛造機を用いて所定の荒地形状に熱間鍛造が行えるため、従来のようにせぎり位置に跡付けするような、煩雑な工程を省略できた。そのため、再加熱回数を低減できるにもかかわらず、精度の高いタービンブレード用の荒地を製造することが可能となった。
2 押圧部
3 粗加工部
4 仕上げ加工部
5 伸長部
6 凹部
7 せぎり部
9 稜線部分
11 熱間鍛造用金型(せぎり用)
12 押圧部(せぎり用)
13 粗加工部(せぎり用)
14 仕上げ加工部(せぎり用)
21 鍛造素材
22 荒地
Claims (9)
- 棒状の鍛造素材をラジアル鍛造により熱間鍛造するための熱間鍛造用金型であって、
前記熱間鍛造用金型は、前記鍛造素材を鍛造する場合の前記鍛造素材の長手方向に相当する方向に沿った垂直な断面形状が凸形状である押圧部を有し、
前記押圧部は、粗加工部と仕上げ加工部とを有し、
前記仕上げ加工部は、前記鍛造素材の長手方向に相当する方向の凸形状の先端の幅が、前記粗加工部における幅よりも広い凸形状であり、
前記押圧部は、前記鍛造素材を鍛造する場合に前記鍛造素材の外周面を周方向に取り囲むように形成されていることを特徴とする熱間鍛造用金型。 - 前記押圧部は、前記幅が前記粗加工部から前記仕上げ加工部に向かって徐々に広がっている部分を有することを特徴とする請求項1に記載の熱間鍛造用金型。
- 前記仕上げ加工部の前記幅は、前記粗加工部の前記幅よりも10mm以上広いことを特徴とする請求項1または2に記載の熱間鍛造用金型。
- 前記仕上げ加工部は凹部を有し、前記凹部により、前記仕上げ加工部の押圧面が前記鍛造素材の長手方向に相当する方向で2ヶ所以上に分かれていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の熱間鍛造用金型。
- 前記押圧部は、前記鍛造素材を伸長する鍛伸用であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の熱間鍛造用金型。
- 棒状の鍛造素材を、熱間鍛造用金型を用いたラジアル鍛造により熱間鍛造する熱間鍛造方法であって、
前記熱間鍛造用金型は、前記鍛造素材を鍛造する場合の前記鍛造素材の長手方向に相当する方向に沿った垂直な断面形状が凸形状である押圧部を有し、
前記押圧部は、粗加工部と仕上げ加工部とを有し、前記仕上げ加工部は、前記鍛造素材を鍛造する場合の前記鍛造素材の長手方向に相当する方向の幅が、前記粗加工部における幅よりも広い凸形状であり、
前記凸形状の押圧部は、前記鍛造素材を鍛造する場合に前記鍛造素材の外周面を周方向に取り囲むように形成されており、
前記鍛造素材を熱間鍛造温度に加熱する鍛造素材加熱工程と、
前記加熱された鍛造素材を間欠回転と押圧と前記鍛造素材の移動を繰返して前記鍛造素材を伸長する熱間鍛造工程を含み、
前記熱間鍛造工程は、対向配置された2つの前記熱間鍛造用金型の前記各押圧部で鍛造素材を押圧することにより、前記鍛造素材を伸長することを特徴とする熱間鍛造方法。 - 前記熱間鍛造工程では、前記粗加工部を用いた粗加工鍛造を行った後、仕上げ加工部を用いた仕上げ鍛造を行うことを特徴とする請求項6に記載の熱間鍛造方法。
- 前記熱間鍛造工程は、前記鍛造素材の押圧場所が前記粗加工部から徐々に仕上げ加工部に移動することを特徴とする請求項6に記載の熱間鍛造方法。
- 前記棒状の鍛造素材がNi基超耐熱合金またはTi合金であることを特徴とする請求項6乃至8の何れかに記載の熱間鍛造方法。
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