JPS6355162B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は主反射鏡と、反斜鏡と協同動作する少
く共２個の光源と、閉止および散光用の透明板と
を有する形式の自動車用前照灯に関する。

ここで使用している「前照灯」という用語は、
透明板が反射鏡の前部に固定されている光学的ブ
ロツクは勿論、反射鏡が、透明板で閉止され自動
車の車体と一体となつた、またはそうでない凹み
中に設置された様な更に複雑な方式にも適用され
るものと了解しなければならない。

更に詳細に言うと、本発明はすれちがい用長手
光源フイラメントがパラボラ反射鏡の光軸上にそ
の焦点のわずか前方に位置している前述の形式の
すれちがい前照灯に関し、すれちがい照明に専用
化された前照灯であれ、すれちがい機能を有する
前照灯（例えば走行用フイラメントおよびすれち
がいフイラメントとを同時に有する走行／すれち
がい前照灯）であれ、共にこれに含まれる。

この形式の前照灯において、反射鏡によつて反
射送出された光ビームは透明板の方向に非常に強
く収斂され、この収斂は反射鏡の比較的近くに光
の集束節となつてあらわれる。その結果前照灯自
体の構造に対してすら特有の不備を生じる。

まず、鏡面の深奥部で作られたすれちがいフイ
ラメントの像がまず収斂性であり、前照灯の光軸
に垂直な前方平面（主として、現行法規で定める
様な、前照灯の前方25メートルに位置する前方平
面）上へのその投射が中央暗部あるいは、「暗黒
孔」を有する環状光となつて見える。この中央暗
部は電球の通路に役立てるために計画的に設けら
れた反射鏡の中央円孔に幾何学的に対応するもの
である。通常の構造においては、暗黒孔は頂点が
前照灯にありその半頂角が３度程の円錐に対応す
る。その結果前照灯の近くでの不必要に強い照明
（即ち前照灯前10メートル程の）と、快的視野に
寄与する路上領域（即ち前照灯から20ないし60メ
ートル）での比較的不充分な照明を得るという不
都合を生じる。

第１図は従来技術に成るすれちがい前照灯の軸
水平断面を略示する。本図において、回転軸Ａ−
Ａ、焦点Ｆのパラボラ面反射鏡Ｒ、その中央円孔
Ｏ、焦点Ｆの前方に位置するすれちがいフイラメ
ントfc、閉止透明板Ｇ，fcから出た光がすれちが
い照明に使用される反射鏡領域だけにのみ到達す
ることを許す遮蔽キヤツプＣとをそれぞれ表示し
ている。図において、反射鏡Ｒの深奥部、即ち開
口Ｏの近くの反射鏡領域、または更に前記反射鏡
の周縁部が関与する光源に関するフイラメントfc
の発する各種光線の軌跡が見られる。図示の光線
は集光節Ｎに従つて反射鏡Ｒによつて反射送出さ
れた光線の第１収斂を示している。

第１ａ図は従来の要領で、25メートルに規定さ
れたスクリーン上にこの種の前照灯によつて得ら
れたすれちがい照明の投射光を示す。すれちがい
ビームを得るために、遮蔽キヤツプＣはfcから出
てすれちがい照明に使用されない反射鏡領域に向
う、特に反射鏡の下方部分に向う光を遮断する。
キヤツプは左右に光軸Ａ−Ａに平行な水平な２本
の縁部を有する。スクリーン上でキヤツプのこれ
らの縁部は半直線BdおよびBgを定めるが、これ
ら半直線はすれちがいビームの投射の照明軸Ａ−
Ａの左右それぞれでの限界の役をする。

第１ａ図において暗黒孔TNを見るが、これは
前述の通り比較的重要で、すれちがい照明は図示
の様に、その周囲に環状に位置している。

これに関連して反射鏡によつて反射送出された
光線の収斂に伴う集光節Ｎが透明板Ｇの近くに位
置するとき、この透明板に顕著な加熱を生じ、特
に光軸Ａ−Ａの近くにおいて100以上150℃にもな
る温度に到達し得る。この様な加熱は有害であ
り、ガラス製の透明板の場合、わずかの水の射突
でその破損を生じ、プラスチツク製の透明板の場
合その軟化と、その変形と、回復不能の品位低下
を生じる。

本発明は反射鏡に加えられた新構造によつてこ
れらの不都合を防除することを提案するものであ
る。

本発明によれば、主パラボラ面を有する反射鏡
の深奥部に環状の中央領域を定め、ここに対し主
周縁面の焦点に比較してすれちがいフイラメント
の近くに焦点のあるパラボラ面によつて反射鏡を
作る。中央領域は好ましくはすれちがいフイラメ
ントの後方に位置する反射鏡の領域として定めら
れるが、然しこの種の定数はこれらが本発明の枠
から外れることなしに単に概略的に満足し得るも
のである。

状況によつて、中央領域に反射鏡本体のそれと
同一の焦点距離を与えることも、ちがつた焦点距
離、特に長い焦点距離を与えることもあるが、こ
の反射鏡の２部分は目立つた不連続部を持たせる
ことも、持たせない様にすることも可能である。

本発明のその他の特性および長所は、限定的な
意味を持たない例示としての添付図面を参照して
の以下の説明から明らかとなろう。

本発明はすれちがいビームの構成に寄与する反
射鏡Ｒの区域１００内の、反射鏡の開口を取囲ん
で位置する中央領域Ｚの変形によつて要するに構
成される。

第２図において、前から見た反射鏡Ｒを示す。
領域Ｚをハツチングで示す。反射鏡を、その上部
および下部で水平２側部J₁およびJ₂で切断した矩
形開口の反射鏡として示したのは例示の意味しか
ない。図に見る様に、領域Ｚは遮断面を定める２
半平面１１０および１２０の上部に位置し、半平
面１１０はほゞ光軸Ａ−Ａを通る水平面Ｈ−Ｈ内
にあり、また半平面１２０はＨ−Ｈの上に約15度
傾斜している。すれちがいビームの実現に寄与し
ている反射鏡Ｒの区域１００の限定は、光軸Ａ−
Ａに平行な端縁部がビームの遮断を定めているキ
ヤツプＣによつて得られていることは周知の処で
ある。

中央領域Ｚ外では反射鏡は第１図に定める特性
を有する。これは光軸Ａ−Ａを有するパラボラ状
で、その焦点は光源フイラメントfcの後方にあ
る。

中央領域Ｚは反射鏡Ｒの幾何学的形状と相違し
ている。これは光軸Ａ−Ａのパラボラ領域を成し
ているが、その焦点Fzは主周縁領域（反射鏡Ｒ）
の焦点Ｆに比較してフイラメントfcの近くに位置
する。中央領域Ｚの焦点距離fzは反射鏡Ｒの焦点
距離と等しくもなし得るし、これを相違させる様
にしてもよい。

第３ａ図の場合、領域Ｚは主反射鏡Ｒと同一焦
点距離を有する。その焦点Fzは反射鏡Ｒの焦点
Ｆの前に、フイラメントfcの後端の近くに位置す
る。２パラボラ面の間に不連続部Ｄがある。

第３ａ図の場合、領域Ｚの焦点距離fzは反射鏡
Ｒの焦点距離ｆより大きい。前記と同様焦点Fz
は反射鏡Ｒの焦点Ｆの前方にフイラメントfcの後
部端の近くである。領域Ｚと主反射鏡Ｒの両パラ
ボラ面間には不連続部Ｄが存在する。

第３ｃ図の場合、領域Ｚはフイラメントfcの後
端部近くに焦点Fzを有するが、焦点距離fzとｆ
とは相違している。両パラボラ面は相互間に不連
続部がない。この種の反射鏡はプレス金属板で非
常に容易に実現される。

それぞれ第３ａ図、第３ｂ図、第３ｃ図に対応
する上記の３つの場合、それらの境界としては、
反射鏡の後部開口（第３ａ図〜第３ｃ図には図示
せず）を取囲み、フイラメントfcの後方にある領
域として定義し得る。

実用的には、すれちがい前照灯用に使用される
すべての焦点距離ｆに対して、環状部Ｚの半径方
向寸法は15ないし35mmとなる。この環状部寸法は
領域１３０の境界の半径r₁と開口の半径r₀の差に
相当する（第２図）。

本発明による変形、即ち焦点がすれちがいフイ
ラメントの後端部近くにある中央領域Ｚを作るこ
とによつてすれちがい照明が改良されることがわ
かる。

第４図はこの改善を示す。前照灯光軸に対して
度で測つた角度傾斜で照準した（自動車に対する
距離に対応）3/4度の開きの水平バンド内で計算
した光束ルーメン値を示した。

実線で変形なしの反射鏡Ｒで得られた曲線を示
した。破線ですれちがいフイラメントの後部に位
置する領域Ｚに対して本発明による変形を加えた
反射鏡で得られた曲線を表示した。

反射鏡Ｒのみで得られた照明に比較して本発明
によつて変形した反射鏡は次記の２長所を得てい
ることが明らかである。即ち、 まず、前照灯から短距離での、即ち約８メート
ル以下での照明に関するもので、照明レベルが低
下していること。

更に、大距離に対しては照明レベルは増加して
いること。

これらの２つの結果は、前照灯近くの照明は余
り重要ではなく、一方、反対に大距離に対しては
良好な視野を得るために照明レベルを増加するこ
とが重要であるため、非常に有利である。

第１ａ図と第５図の比較は上述の２長所を示し
ている。反射鏡Ｒの場合（第１ａ図）と本発明に
よつて変形した反射鏡の場合（第５図）の間で、
自動車の灯火から離している像の移動が見られる
し、第５図で第１ａ図に比較して暗黒孔の寸法の
減少が見られる。

最後に、反射鏡Ｒの幾何学的形状に対して変形
を行つた中央領域Ｚの存在は加熱面に対して長所
を作ることに注意すべきである。事実、領域Ｚの
変形は集光節Ｎに対する光の拡幅をもたらす。従
つて前照灯の透明板Ｇが反射鏡Ｒで作られる節Ｎ
の近くにあるとしても、本発明による変形は節Ｎ
での集光度を減少させることによつて（領域Ｚが
fcから出る光線に反射鏡Ｒを与えるものと違つた
集光を与えるため）透明板の加熱のおそれを減少
する。

最後に、透明板レベルでの光の有害な集光を更
に減少したいと望むならば、中央領域に散光細溝
条を備えてもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の前照灯の軸水平断面を示す説明
図、第１ａ図は規定スクリーン上でのビームの様
子を示す説明図、第２図は中央領域の定義を示す
反射鏡の前面図、第３ａ図、第３ｂ図及び第３ｃ
図は本発明の３つの実施例における反射鏡を切断
面Ｈ−Ｈによつて軸水平断面として略示した説明
図、第４図は従来の前照灯と本発明による前照灯
との比較光度を示すグラフ、第５図は第１ａ図と
の比較を示すもので同一尺度が同一図に使用され
ているが、規定スクリーン上での本発明によつて
変形されたすれちがいビームの様相を示す説明図
である。 Ａ−Ａ……中心軸、光軸、Ｃ……キヤツプ、Ｄ
……不連続段部、Ｆ……鏡面Ｒの焦点、Fz……
中央領域焦点、fc……すれちがい光源フイラメン
ト、Ｇ……閉止透明板、Ｏ……反射鏡中央開口、
Ｒ……回転反射面鏡、主パラボラ面、TN……暗
黒孔、Ｚ……中央領域、１００……すれちがいビ
ーム形成に寄与する反射面の区域。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 中心軸Ａ−Ａを中心とし、焦点Ｆの主周縁パ
   ラボラ表面を有する回転反射面鏡と、焦点Ｆの前
   方に位置するすれちがい光源フイラメントfcと、
   閉止透明板Ｇとを有する形式の自動車用すれちが
   い前照灯において、すれちがいフイラメントfcの
   後部の反射鏡の中央領域Ｚはその焦点Fzが主パ
   ラボラ面Ｒの焦点Ｆに比較してフイラメントfcの
   近くにあるパラボラ面で構成されていることを特
   徴とする自動車用すれちがい前照灯。 ２ 反射鏡の中央領域はすれちがいフイラメント
   fcの後端部近くにその焦点Fzを有することを特
   徴とする特許請求の範囲第１項に記載の前照灯。 ３ ２個の反射面Ｒ，Ｚは同一焦点距離を有する
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項又は第２
   項に記載の前照灯。 ４ ２反射面Ｒ，Ｚは異なる焦点距離を有するこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項又は第２項
   に記載の前照灯。 ５ ２反射面Ｒ，Ｚは不連続段部Ｄで接続されて
   いることを特徴とする特許請求の範囲第１項から
   第４項までのいずれか１項に記載の前照灯。 ６ ２反射面Ｒ，Ｚは不連続なしに接続定位置に
   位置していることを特徴とする特許請求の範囲第
   １項から第４項までのいずれか１項に記載の前照
   灯。